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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104016
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】苗移植機
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20240726BHJP
【FI】
A01C11/02 351A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008013
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森重 定樹
(72)【発明者】
【氏名】堀田 直岐
(72)【発明者】
【氏名】野村 勝
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 慎
(72)【発明者】
【氏名】近藤 裕志
(72)【発明者】
【氏名】野村 仁志
【テーマコード(参考)】
2B064
【Fターム(参考)】
2B064AA05
2B064AA07
2B064AB01
2B064AC01
2B064EA30
(57)【要約】
【課題】取り扱いを容易にするために育苗床材に厚みの薄いウレタンマットを用いて軽量にしたロール苗から一株分の苗を分割して圃場に植付ける乗用型田植機がある。然しながら、ロ-ル苗の苗床部が苗載置台の左右往復移動にて左右幅が潰れて狭くなり、苗載置台の苗載せ部の左右両端部では苗植付装置が掻き取って圃場に植付ける一株の苗本数が少なくなる、または、欠株となるような事態が発生する。そこで、ロ-ル苗の苗床部が苗載置台の左右往復移動にて左右幅が潰れて狭くなることを防止して、適切な苗移植作業が行なえる苗移植機を提供する。
【解決手段】苗受け板近傍にロール苗を苗載せ面に押圧する苗押さえ体21を装備した苗押さえ装置20を設け、苗押さえ装置20の左右両端部を支持する支持部24に苗押さえ体21が苗載せ面から離れる方向に移動するのを規制する規制部26bを設ける。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右往復移動する苗載置台(11)の各苗載せ部(11a)に載置されたロール苗(N)下端部に対向して設けた苗受け板(16)から各苗植付装置(13)が一株分の苗を取り出して圃場に植付ける苗移植機において、苗受け板(16)近傍に苗載せ部(11a)の苗載せ面から所定間隔離れて配置され苗載せ面に沿って上方に向けて延びてロール苗(N)を苗載せ面に押圧する苗押さえ体(21)を装備した苗押さえ装置(20)を設け、苗載せ部(11a)の側壁(11b)に基部(24a)が固定された支持部(24)にて苗押さえ装置(20)の左右両端部を支持し、該支持部(24)に苗押さえ体(21)が苗載せ面から離れる方向に移動するのを規制する規制部(26b)を設けたことを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
支持部(24)を少なくとも2つ以上の隣接する苗載せ部(11a)の間隔で設けたことを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
【請求項3】
苗押さえ装置(20)が横杆(22)に複数の苗押さえ体(21)を設けて構成され、支持部(24)に横杆(22)の左右端部の軸部が嵌入する上方が開口した係合孔(26a)と横杆(22)の左右端部の折り曲げ部(22a)が嵌入する上方が開放した規制部(26b)で構成された嵌入部(26)を設け、係合孔(26a)の上方開口部には嵌入した横杆(22)が上方に抜けることを防止する抜け止め部(26c)を設けたことを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
【請求項4】
苗押さえ体(21)を苗減少センサ(25)の上方まで延設し、横杆(22)にロール苗(N)の苗床部(Na)を押下する複数の苗押さえピース(23)を設けたことを特徴とする請求項3記載の苗移植機。
【請求項5】
係合孔(26a)を苗載せ部(11a)から離れる方向に複数並列して設けたことを特徴とする請求項3または請求項4記載の苗移植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール苗から一株分の苗を分割して圃場に植付ける苗移植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、運搬やロ-ル苗供給部への装填等の取り扱いを容易にするために、苗床部材に厚みが3mm~7mmのウレタンマットを用いて軽量にしたロール苗から一株分の苗を分割して圃場に植付ける乗用型田植機がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-078523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
然しながら、ロ-ル苗供給部から繰り出されて苗載置台の各苗載せ部上に載置されたロ-ル苗の苗床部が苗載置台の左右往復移動にて左右幅が潰れて狭くなり、苗載置台の苗載せ部の左右両端部では苗植付装置が掻き取って圃場に植付ける一株の苗本数が少なくなる、または、ロ-ル苗が無くて欠株となるような事態が発生する課題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ロ-ル苗の苗床部が苗載置台の左右往復移動にて左右幅が潰れて狭くなることを防止して、適切な苗移植作業が行なえる苗移植機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、左右往復移動する苗載置台11の各苗載せ部11aに載置されたロール苗N下端部に対向して設けた苗受け板16から各苗植付装置13が一株分の苗を取り出して圃場に植付ける苗移植機において、苗受け板16近傍に苗載せ部11aの苗載せ面から所定間隔離れて配置され苗載せ面に沿って上方に向けて延びてロール苗Nを苗載せ面に押圧する苗押さえ体21を装備した苗押さえ装置20を設け、苗載せ部11aの側壁11bに基部24aが固定された支持部24にて苗押さえ装置20の左右両端部を支持し、該支持部24に苗押さえ体21が苗載せ面から離れる方向に移動するのを規制する規制部26bを設けた苗移植機である。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、苗受け板16近傍に苗載せ部11aの苗載せ面から所定間隔離れて配置され苗載せ面に沿って上方に向けて延びてロール苗Nを苗載せ面に押圧する苗押さえ体21を装備した苗押さえ装置20を設け、苗載せ部11aの側壁11bに基部24aが固定された支持部24にて苗押さえ装置20の左右両端部を支持し、該支持部24に苗押さえ体21が苗載せ面から離れる方向に移動するのを規制する規制部26bを設けたので、苗載置台11が左右往復移動しても苗載せ面上のロ-ル苗Nが苗載せ面上で左右方向にスライド移動することを防止して苗床部Naの潰れが防止され、苗載せ面上のロ-ル苗Nの左右幅が保たれ、苗植付装置13が取り出して圃場に植付ける一株の苗本数が所定数を維持して適切な苗移植が行える。
【0008】
請求項2記載の発明は、支持部24を少なくとも2つ以上の隣接する苗載せ部11aの間隔で設けた請求項1記載の苗移植機である。
【0009】
請求項3記載の発明は、苗押さえ装置20が横杆22に複数の苗押さえ体21を設けて構成され、支持部24に横杆22の左右端部の軸部が嵌入する上方が開口した係合孔26aと横杆22の左右端部の折り曲げ部22aが嵌入する上方が開放した規制部26bで構成された嵌入部26を設け、係合孔26aの上方開口部には嵌入した横杆22が上方に抜けることを防止する抜け止め部26cを設けた請求項1記載の苗移植機である。
【0010】
請求項4記載の発明は、苗押さえ体21を苗減少センサ25の上方まで延設し、横杆22にロ-ル苗Nの苗床部Naを押下する複数の苗押さえピース23を設けた請求項3記載の苗移植機である。
【0011】
請求項5記載の発明は、係合孔26aを苗載せ部11aから離れる方向に複数並列して設けた請求項3または請求項4記載の苗移植機である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態にかかる乗用型田植機の側面図である。
図2】同実施形態の苗載置台の作用説明用の側面図である。
図3】同苗載置台の作用説明用の平面図である。
図4】同実施形態の支持部の平面図である。
図5】同支持部の側断面図である。
図6】同実施形態の苗載せ部の作用説明用の断面図である。
図7】他の実施形態を示す支持部の側断面図である。
図8】他の実施形態を示す支持部の平断面図である。
図9】他の実施形態を示す苗載せ部の斜視図である。
図10】他の実施形態を示す施肥装置部の平面図である。
図11】他の実施形態を示す施肥装置部の側面図である。
図12】前輪ホイールケースの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態である苗移植機の一例であるロ-ル苗Nから一株分の苗を分割して圃場に植付ける乗用型田植機1について添付図面を参照して説明する。なお、理解を容易にするために、操縦者から見て、前方を前側、後方を後側、右手側を右側、左手側を左側として便宜的に方向を示して説明しているが、これらにより構成が限定されるものではない。
【0014】
<ロ-ル苗N>
ロ-ル苗Nは、長いマット苗の長手方向に苗床部Naが外側になるように巻取軸S周りに巻き取られており、このロ-ル苗Nが乗用型田植機1に装填され、乗用型田植機1により繰り出されて一株づつ圃場に移植される。
【0015】
尚、巻取軸Sは、直径約15cmの樹脂性のパイプで構成されている。ロ-ル苗Nは、人手により、巻取軸Sを育苗プ-ル内で育苗された長いマット苗の一端部から苗の葉が他端側に倒伏するように密着させて押し当て、他端側へ向けて巻取軸Sを回転させていき隙間が生じないように苗を巻き取っていくことで作られる。従って、この苗の巻き取りによりロ-ル苗Nの内外で苗が相互に重なり合うため、マット苗の葉が先に巻き取られた苗の苗床部Naの底面に圧接されて自ずと巻き取り終端側へ倒伏した状態でロ-ル苗Nが作られる。
【0016】
また、ロ-ル苗Nは、苗床部Naが苗床部材であるウレタンマットに根が互いに絡み合って伸長して強度が得られるため、ロ-ル苗Nの巻き取り終端側に倒伏した苗の葉がロ-ル苗Nから繰り出されることにより起立姿勢側に戻って後述の苗規制体19に円滑に当接する高さまで復元する。
【0017】
そして、ロ-ル苗Nから繰り出されることにより苗の葉が起立姿勢側に戻るように復元する苗床部Naの強度は、前記ウレタンマットの厚みを3mm以上とすることにより得られる。尚、マット苗をロール状に巻き取るため苗床部Naをある程度屈曲可能な構成としたりロ-ル苗Nの運搬やロ-ル苗供給部10への装填等の取り扱いを容易にするため該ロ-ル苗Nの外径を小さくする必要があるため、苗床部Naの厚みを小さくする必要があり、前記ウレタンマットの厚みを3mm~7mmとするのが適当である。
【0018】
従って、ロ-ル苗Nは、長尺のマット状苗であるが、育苗床材に厚みが3mm~7mmのウレタンマットを用いているので、軽量であり運搬やロ-ル苗供給部10への装填等の取り扱いが容易で作業性が良い。
【0019】
尚、苗床部材としてウレタンマット以外に不織布を使用してもよい。不織布の場合も、育苗床材の厚みを3mm~7mmとするのが適当である。
【0020】
そして、このマット苗がロ-ル状に巻取軸S周りに巻き取られてできたロ-ル苗Nは、図1に示すような乗用型田植機1によって圃場に移植される。
【0021】
<乗用型田植機1の全体構成>
図1に示すように、乗用型田植機1は、走行車体2と6条植えの苗植付部3から構成される。
【0022】
走行車体2には左右一対の前輪4,4及び後輪5,5が装着され、これらの左右前後輪4,4,5,5を駆動することにより走行車体2が走行する。
【0023】
走行車体2の略中央に操縦席6が備えられ、該操縦席6の前側にステアリングハンドル7が設けられている。
【0024】
なお、ステアリングハンドル7の操縦席6側の後半部に沿ってパイプ材よりなる手置きフレームを設けると、操縦席6に着座した操縦者がステアリングハンドル7を握った手を置くことができて楽にステアリングハンドル7の操縦操作が行なえ、また、機体直進時には手置きフレームを握って姿勢を安定させることができる。更に、作業者がステアリングハンドル7の側方を苗や肥料を持って車体上を移動する場合に、手置きフレームを手摺として利用できて安全である。
【0025】
走行車体2の後部にはリンク機構8を介して苗植付部3が装着され、この苗植付部3は油圧昇降シリンダ9の伸縮により上下に昇降するように設けられている。また、該苗植付部3は、走行車体側から動力が伝達されて作動する。
【0026】
苗植付部3は、ロ-ル苗巻取軸Sに巻きつけられたロ-ル苗Nを装填可能にした各条毎のロ-ル苗供給部10と苗載置台11と植付伝動部12及び各条毎の苗植付装置13とからなり、走行車体側の植付入力ケ-ス14、植付伝動部12を介して各条の苗植付装置13を駆動する。
【0027】
尚、苗載置台11の各条毎の苗載せ部11aに設けたロ-ル苗供給部10それぞれに、ロ-ル苗Nを人手により供給するようになっている。
【0028】
ロ-ル苗供給部10のロ-ル苗Nは、植付伝動部12からの伝動により作動する苗載置台11の各条毎の苗載せ部11aに設けた苗送りベルト15の駆動により下方の苗受け板16に向けて繰り出される。
【0029】
尚、この乗用型田植機1は、ロ-ル苗Nをロ-ル苗供給部10に装填するようにしているので、コンパクトな状態で多量の苗を装填することができ、乗用型田植機1への苗供給作業の回数を少なくすることができ、苗供給作業の省力化を図ることができる。
【0030】
苗植付装置13は、植付伝動部12の植付伝動ケース12aからの出力軸12b回りに回動するロータリーケース17の両端部に設けられ、マット苗を一株づつ掻き取る植付爪18と該植付爪18が保持した苗を圃場面で押し出す押出体を備えている。
【0031】
苗植付装置13の植付爪18の先端部は、上下方向に長いル-プ軌跡Tを描いて作動する。
【0032】
苗載置台11は、植付伝動部12からの動力により苗受け板16に沿って左右往復移動して、苗受け板16に備えた苗掻き取り口に苗を一株分づつ左右方向に送って、苗植付装置13の植付爪18が苗掻き取り口からロ-ル苗Nを一株づつ掻き取って圃場に植付ける。
【0033】
苗掻き取り口の上方には苗載置台11と共に左右移動するプレートで構成される苗規制体19を設け、該苗規制体19がマット苗の端部の苗の葉に当接して苗の葉が苗植付装置13側に倒れ込まないようにしている。
【0034】
また、前記苗載置台11は、苗載置台11の左右移動終端において前記苗送りベルト15によりロ-ル苗Nを苗載置台11に沿って下方の苗受け板16に向けて順次移送する構成となっている。
【0035】
ところで、前述のように、ロ-ル苗Nは、運搬やロ-ル苗供給部10への装填等の取り扱いを容易にするために、苗床部材に厚みが3mm~7mmのウレタンマットを用いて軽量にしている。
【0036】
そのために、苗載置台11が左右往復移動すると、ロ-ル苗供給部10から繰り出されて苗載置台11の各苗載せ部11a上に載置されたロ-ル苗Nのウレタンマットで構成される苗床部Naが苗載置台11の左右往復移動にて左右幅が潰れて狭くなり、苗載せ部11aの左右両端部では苗植付装置13の植付爪18が掻き取って圃場に植付ける一株の苗本数が少なくなる、または、ロ-ル苗Nが無くて欠株となるような事態が発生する課題があった。
【0037】
従来の課題解決策として、ロ-ル苗Nを用いる田植機では、ロール苗専用の左右移動装置(専用のリードカム)にして苗載置台11の左右往復移動速度を変更して苗植付装置13の植付爪18が掻き取る一株の苗量を多くするようにしていたが、苗載置台11の左右往復移動による苗床部Naの潰れが大きい場合には未だ課題が解消されない場合があり、専用の左右移動装置が必要でコストアップになるものであった。
【0038】
そこで、本実施形態では、苗載置台11の各苗載せ部11a下方側(苗受け板16側)には、苗載置台11の左右往復移動によってロ-ル苗Nが潰れて左右幅が狭くなるのを防止する苗押さえ装置20が設けられている。
【0039】
なお、苗押さえ装置20は、隣接する2つの苗載せ部11aに左右に亘って設けられており、本実施形態の乗用型田植機1が6条植えで6つの苗載せ部11aがあるから、3つの苗押さえ装置20が左右方向に並設されている。
【0040】
以下に、図2図5に基づいて、苗押さえ装置20の詳細構成を説明する。
【0041】
苗押さえ装置20は、苗載置台11の各苗載せ部11aに各々平行に配列した3つの上下方向に延びる苗押さえ体21と、該苗押さえ体21の基部が溶接固定された横杆22と、苗押さえ体21の基部が溶接固定された横杆22部に装着された苗押さえピース23と、横杆22の左右端部を支持する支持部24にて構成される。
【0042】
苗押さえ体21は、鉄等の金属製の丸棒で構成され、基部が横杆22に溶接固定され、苗載せ部11aの苗載せ面に沿って上方に向けて延び、苗載せ面から所定間隔離れて配置され、苗載せ面上のロ-ル苗Nの茎葉間に入り込んで茎葉を介してロール苗Nの苗床部Naを苗載せ面に押圧する。
【0043】
なお、苗載せ部11a上の左右の苗押さえ体21は左右の苗送りベルト15上方に配置され、中央の苗押さえ体21は左右の苗送りベルト15間に設けた苗減少センサ25上方に配置されている。
【0044】
従って、苗載置台11が左右往復移動しても苗載せ面上のロ-ル苗Nは苗載せ面上で左右方向にスライド移動せず苗床部Naの潰れが防止され、苗載せ面上のロ-ル苗Nの左右幅が保たれ、苗植付装置13の植付爪18が掻き取って圃場に植付ける一株の苗本数が所定数を維持して適切な苗移植が行える。
【0045】
また、苗押さえ体21の先端(上端)は、苗載せ部11aの苗載せ面から離れる方向に屈曲して構成されており、ロ-ル苗Nが苗載せ部11aの苗載せ面に沿って下方に円滑にスライド移動する。
【0046】
また、苗押さえ体21は、苗載せ部11aの苗載せ面上に載置されたロ-ル苗Nの有無を検出する苗減少センサ25上方まで延設しており、苗減少センサ25上のロ-ル苗Nを押下しているので、苗減少センサ25がロ-ル苗Nの有無を適切に検出できる。
【0047】
また、苗押さえ体21は、苗送りベルト15上にあるロ-ル苗Nを押下しているので、苗送りベルト15にてロ-ル苗Nを適切に下方の苗受け板16に向けて送ることができる。
【0048】
横杆22は、鉄等の金属製の丸棒で構成され、隣接する2つの苗載せ部11aを左右に亘って設けられ、各苗載せ部11aに対応して各々3つの苗押さえ体21の基部が溶接固定されている。
【0049】
苗押さえピース23は、合成樹脂にて構成され、苗押さえ体21の基部が溶接固定された横杆22部に基部が着脱自在に嵌着され、下方に延びる左右幅の薄い先端が苗載せ部11aの苗載せ面上のロ-ル苗Nの床土部上面に突き刺さってロ-ル苗Nの左右方向の移動を規制する。
【0050】
支持部24は、苗載置台11の苗載せ部11aの左右側壁11bに基部24aがボルトにて固定されて、上方に向けて延びている。
【0051】
支持部24の上部には、横杆22の左右端部が嵌合する嵌入部26が上下方向に4つ並設されている(図4の1~4)。
【0052】
嵌入部26は、横杆22の左右端部の軸部が嵌入する上方が開口した係合孔としての筒状横孔26aと横杆22の左右端部の直角に折り曲げた折り曲げ部22aが嵌入する上方が開放した規制部としての筒状縦孔26bで構成され、筒状横孔26aの上方開口部には嵌入した横杆22が上方に抜けないように抜け止め部としてのリップ部26cが設けられている。
【0053】
横杆22の左右端部を支持部24の嵌入部26に嵌入すると、横杆22の左右端部の直角に折り曲げた折り曲げ部22aが筒状縦孔26b内に嵌入すると共に、横杆22の左右端部の軸部が筒状横孔26a内に嵌入し、リップ部26cにて横杆22が嵌入部26から抜けるのが規制された状態で固定される。
【0054】
従って、横杆22の左右端部を支持部24の嵌入部26に嵌入すると、横杆22の左右端部の軸部が筒状横孔26a内に嵌入してリップ部26cにて横杆22が嵌入部26から抜けるのが規制された状態で固定され、横杆22の左右端部の直角に折り曲げた折り曲げ部22aが筒状縦孔26b内に嵌入することで、横杆22が軸まわりに回動することが規制されるので、苗押さえ装置20は横杆22回りに回動せず所定姿勢で固定され、苗押さえ体21及び苗押さえピース23が苗載せ部11aの苗載せ面から所定高さを維持し、ロ-ル苗Nを適正に押下して左右方向の移動を規制し、苗載置台11が左右往復移動しても苗載せ面上のロ-ル苗Nが苗載せ面上で左右方向にスライド移動せず苗床部Naの潰れが防止され、苗載せ面上のロ-ル苗Nの左右幅が保たれ、苗植付装置13の植付爪18が掻き取って圃場に植付ける一株の苗本数が所定数を維持して適切な苗移植が行える。
【0055】
また、横杆22の左右端部を支持部24の嵌入部26に嵌入するのみで苗押さえ装置20を適切に固定でき、ワンタッチ操作での着脱が可能である。
【0056】
また、従来のように苗載置台11の左右往復移動速度を変更して苗植付装置13の植付爪18が掻き取る一株の苗量を多くするようにロール苗N専用の左右移動装置(専用のリードカム)にする必要もないので、コストダウンが図れると共に専用部品に組み替える手間も不要で省力化が図れる。
【0057】
また、図4に示すように、嵌入部26は上下方向に4つ(1~4)並設されているので、ロ-ル苗Nの状態に応じて、横杆22の左右端部を嵌入部26に脱着することにより苗押さえ装置20の高さ調節が容易に行なえる。
【0058】
図6は、ロール苗Nの苗床部Naの底面に縦方向の溝Nbを複数設けてある場合に、苗載置台11の各苗載せ部11aの苗載せ面上に該苗床部Naの溝Nbの左右ピッチに合わせてキール11cを複数設けた例を示す。
【0059】
特に、苗送りベルト15よりも下方の各苗載せ部11aの苗載せ面上に苗床部Naの溝Nbの左右ピッチに合わせてキール11cを複数設けると、キール11cが苗床部Naの溝Nbに嵌まり込んで苗載せ面上のロ-ル苗Nが苗載せ面上で左右方向にスライド移動せず苗床部Naの潰れが防止され、苗載せ面上のロ-ル苗Nの左右幅が保たれ、苗植付装置13の植付爪18が掻き取って圃場に植付ける一株の苗本数が所定数を維持して適切な苗移植が行える。
【0060】
図7及び図8は、支持部24の他の実施形態を示す。
【0061】
即ち、支持部24は、上部に横杆22の左右端部の軸部を内部に入れる開口30と内部に上下方向に4つの係止凹部31と横杆22の左右端部の直角に折り曲げた折り曲げ部22aが嵌入する縦孔32と横杆22の折り曲げ部22aを該縦孔26bから左右方向にスライドさせて縦孔26bから抜け出した際に折り曲げ部22aの横杆22の軸まわりの回動を許容する回動許容空間部33から構成される。
【0062】
従って、苗押さえ装置20の横杆22の左右端部を支持部24の開口30から内部に嵌入して何れかの係止凹部31に係止させ固定すると、横杆22の左右端部の直角に折り曲げた折り曲げ部22aが縦孔32に嵌入し横杆22が軸まわりに回動することが規制されるので、苗押さえ装置20は横杆22回りに回動せず所定姿勢で固定され、苗押さえ体21及び苗押さえピース23が苗載せ部11aの苗載せ面から所定高さを維持し、ロ-ル苗Nを適正に押下して左右方向の移動を規制し、苗載置台11が左右往復移動しても苗載せ面上のロ-ル苗Nが苗載せ面上で左右方向にスライド移動せず苗床部Naの潰れが防止され、苗載せ面上のロ-ル苗Nの左右幅が保たれ、苗植付装置13の植付爪18が掻き取って圃場に植付ける一株の苗本数が所定数を維持して適切な苗移植が行える。
【0063】
また、横杆22の左右端部を支持部24内部に嵌入して係止凹部31に係止するのみで苗押さえ装置20を適切に固定でき、ワンタッチ操作での着脱が可能である。
【0064】
また、上下方向に4つの係止凹部31が並設されているので、ロ-ル苗Nの状態に応じて、横杆22の左右端部を4つの係止凹部31の何れかを選択して係止させることにより苗押さえ装置20の高さ調節が容易に行なえる。
【0065】
また、横杆22の折り曲げ部22aを縦孔26bから左右方向にスライドさせて縦孔26bから抜け出させて回動許容空間部33にて折り曲げ部22aを横杆22の軸まわりに回動させると、苗押さえ装置20の苗押さえ体21及び苗押さえピース23を苗載せ部11aの苗載せ面から離れる方向に上方回動させることができ、ロ-ル苗Nを苗載置台11から取り出す作業が容易に行なえる。
【0066】
図9は、苗載置台11の側壁11bの苗載せ部11a側壁面に上段キール35と下段キール36と下段キール36から苗載せ部11aの苗載せ面に向けて下方に傾斜する複数の傾斜キール37を設けた例を示す。
【0067】
即ち、上段キール35は、苗載せ部11aに載置した苗床部Naよりも高い位置に苗載せ面と平行に配置している。
【0068】
下段キール36は、苗載せ部11aに載置した苗床部Naよりも低い位置に苗載せ面と平行に配置している。
【0069】
そして、上段キール35は、下段キール36よりも高く突出している。
【0070】
傾斜キール37は、下段キール36と同じ高さの突出で、苗載せ面に向けて下方に傾斜している。
【0071】
従って、苗載置台11の苗載せ部11aに載置された苗Nは、苗床部Naが高く突出した上段キール35にて苗載せ面からの浮き上がりが規制されると共に、苗床部Na側面に低く突出した下段キール36が食い込んで浮き上がりが規制する。
【0072】
更に、苗載せ面に向けて下方に傾斜している傾斜キール37にて、苗Nが苗送りベルト15の駆動により下方の苗受け板16に向けて繰り出されるたびに、苗床部Naを苗載せ面に押し下げるように作用する。
【0073】
よって、上段キール35、下段キール36及び傾斜キール37にて苗床部Naが苗載せ面からの浮き上がることが適切に規制され、苗植付装置13の植付爪18が一株分の苗を適切に掻き取って圃場に植付けることができる。
【0074】
尚、上記実施形態は6条植えの乗用型田植機の例を示したが、本発明は6条植えのものに限定するものではない。また、歩行型田植機等においても利用できるものである。
【0075】
図10及び図11は、走行車体2の後端部で操縦席6の左右側方位置に施肥装置40の肥料タンク41、肥料繰出し部42、肥料空気搬送用のエアブロア43、施肥パイプ44等の左右施肥装置本体部45L,45Rを設けた例を示す。
【0076】
前述のように走行車体2の略中央に操縦席6が設けられ、該操縦席6の下方位置にエンジン50が搭載され、操縦席6の後方位置にリアステップ51が車体左右方向に長く配置されている。
【0077】
左右施肥装置本体部45L,45Rは、操縦席6の左右側方でリアステップ51の左右端部に配置されている。
【0078】
左施肥装置本体部45Lの後部側でリアステップ51の上方位置には、エンジン50のエアクリーナ55が配置され、エアクリーナホース56がリアステップ51の下方に配策されている。
【0079】
エアクリーナ55の下面とリアステップ51の間には空間57があり、作業者がリアステップ51に足を載せた際に、該空間57に足先を入れることができるので、肥料タンク41への肥料供給作業や苗植付部3に対する作業等が楽な姿勢で容易に行なえて作業性が良い。
【0080】
なお、図中、58は手摺である。
【0081】
図12は、前輪4を装着する前輪ホイールケース60を示す。
【0082】
前輪4は、前輪ホイールケース60から突出する車軸に固定された車軸ボス61に装着される。
【0083】
車軸ボス61には、ボルト62及びボルト孔63が同ピッチAで円周上に設けられている。
【0084】
前輪4のホイールボスには、上記ピッチAと同じピッチでボルト挿通孔が設けられており、車軸ボス61のボルト62に1つのボルト挿通孔を挿通しナットで固定し、他のボルト挿通孔をボルト孔63に合わせてボルトにて締付けて前輪4を車軸ボス61に固定する。
【0085】
そして、前輪4を車軸ボス61に固定した後に、前輪4の外側面に樹脂製のホイールキャップを装着する。
【0086】
前輪ホイールケース60には、車軸ボス61に向けて立ち上がったスクレーパ65をボルト66で固定して設けている。
【0087】
スクレーパ65の長さBは、ピッチAよりも短い。
【0088】
スクレーパ65のエッジであるスクレーパ部は、車軸よりも上方に位置する構成としている。
【0089】
乗用型田植機が圃場で走行中に前輪ホイールケース60と前輪4のホイールキャップの間に石等の異物が嵌って挟み込んでしまうと、前輪4の回転により該異物が前輪ホイールケース60を削ってしまい異音も発生する。
【0090】
本実施形態では、前輪ホイールケース60に車軸ボス61に向けて立ち上がったスクレーパ65を設けたので、前輪ホイールケース60と前輪4のホイールキャップの間に入り込んだ石等の異物を取り除くことができ、前輪ホイールケース60が削られて破損することを防止でき、異音の発生も防止できる。
【符号の説明】
【0091】
11 苗載置台
11a 苗載せ部
11b 側壁
13 苗植付装置
16 苗受け板
20 苗押さえ装置
21 苗押さえ体
22 横杆
22a 折り曲げ部
23 苗押さえピース
24 支持部
24a 基部
25 苗減少センサ
26 嵌入部
26a 係合孔(筒状横孔)
26b 規制部(筒状縦孔)
26c 抜け止め部(リップ部)
N ロール苗
Na 苗床部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12