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  • 特開-封緘ラベル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104018
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】封緘ラベル
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/03 20060101AFI20240726BHJP
   G09F 3/10 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
G09F3/03 F
G09F3/10 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008016
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】591186888
【氏名又は名称】株式会社トッパンインフォメディア
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】中村 雄一
(57)【要約】
【課題】容器が開封されたことを容易に認知でき、使用後の容器から取り外しやすい封緘ラベルを提供する。
【解決手段】封緘ラベル1は、平面視形状が長手方向を有する基材と、基材の一方の面に設けられた粘着層とを備える。基材の両端部は、基材を厚さ方向に貫通し、一方向に延びる複数の第一スリット41と、基材を厚さ方向に貫通し、第一スリットと非平行な方向に延びる複数の第二スリット42とを有する。基材の中間部は、基材を厚さ方向に貫通し、平面視において図形を形作るミシン目状スリット51が設けられた抜き部50を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視形状が長手方向を有する基材と、
前記基材の一方の面に設けられた粘着層と、
を備え、
前記基材の両端部は、
前記基材を厚さ方向に貫通し、一方向に延びる複数の第一スリットと、
前記基材を厚さ方向に貫通し、前記第一スリットと非平行な方向に延びる複数の第二スリットと、を有し、
前記基材の中間部は、前記基材を厚さ方向に貫通し、平面視において図形を形作るミシン目状スリットが設けられた抜き部を有する、
封緘ラベル。
【請求項2】
前記抜き部に形作られた前記図形の少なくとも一つが回転対称性の無い図形である、
請求項1に記載の封緘ラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に取り付けることで未開封状態を保証するための封緘ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
容器に充填した内容物に関して、内容物の品質を保証したり、異物混入の可能性を検知しやすくしたりするために、開封されたことをわかりやすくする各種の技術が知られている。
【0003】
ペットボトル等を主な対象とする上記技術として、特許文献1には、開封履歴明示バンドを有するキャップが開示されている。
キャップを回して開封すると、キャップ本体と開封履歴明示バンドとを接続するブリッジが切断され、キャップ本体と開封履歴明示バンドとが分離される。これにより、容器が開封されたことを容易に認知できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6264732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、開封履歴明示バンドが容易に取り外せない状態で容器側に残る。容器とキャップとは異なる材質からなることが少なくなく、このような場合、容器をリサイクルするためには、開封履歴明示バンドを取り外す必要がある。その結果、リサイクル工程が煩雑となる。
【0006】
上記事情を踏まえ、本発明は、容器が開封されたことを容易に認知でき、使用後の容器から取り外しやすい封緘ラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、平面視形状が長手方向を有する基材と、基材の一方の面に設けられた粘着層とを備える封緘ラベルである。
基材の両端部は、基材を厚さ方向に貫通し、一方向に延びる複数の第一スリットと、基材を厚さ方向に貫通し、第一スリットと非平行な方向に延びる複数の第二スリットとを有する。
基材の中間部は、基材を厚さ方向に貫通し、平面視において図形を形作るミシン目状スリットが設けられた抜き部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る封緘ラベルは、容器が開封されたことを容易に認知でき、使用後の容器から取り外しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る封緘ラベルを示す平面図である。
図2図1のI-I線における断面図である。
図3】同封緘ラベルの貼り付け対象となる容器の一例を示す図である。
図4】同封緘ラベルが容器に貼り付けられた状態の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態について、図1から図4を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る封緘ラベル1の平面図である。封緘ラベル1は、一方向に長い平面視形状を有する。本実施形態の封緘ラベル1の平面視形状は、一方向に長い長方形であり、長手方向を有するが、角を丸めた長方形や楕円形等であってもよい。
【0011】
図2は、図1のI-I線における断面図である。
封緘ラベル1の層構造は、一般的なラベルと同様であり、基材10と、基材10の一方の面10aに設けられた粘着層20とを備える。一例において、粘着層20は、封緘ラベル1の使用時までセパレータSによって覆われる。
【0012】
基材10としては、各種の紙や、比較的容易に引き裂ける合成樹脂フィルム等を例示できる。このような合成樹脂フィルムとしては、各種合成樹脂からなる二軸延伸フィルムや、微小な切り込みを多数形成する等の脆弱加工を施した合成樹脂フィルム等を例示できる。詳細は後述するが、基材10が裂けやすいことが封緘ラベル1においては重要である。
粘着層20の材料には特に制限はないが、後述する使用時の動作を考慮すると、対象物に貼りつけた後は、剥がすために一定の力量を要し、かつはがした際に一部が対象物上に残留しやすいものが好ましい。このような粘着剤としては、例えば、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、ゴム系、ポリエステル系、セルロース系、エマルジョン系、シリコーン系等の粘着剤を例示できる。粘着層20の特性向上のため、必要に応じてこれらの粘着剤中に、添加剤としてフィラー、粘着付与剤、硬化剤などを添加してもよい。
【0013】
図1および図2に示すように、封緘ラベル1の長手方向両端部には、基材10を厚さ方向に貫通する2種類の切れ目が設けられている。本実施形態においては、それぞれの端部により近い位置に、封緘ラベル1の長手方向に平行な第一スリット41が複数設けられ、第一スリット41よりも封緘ラベル1の長手方向中央に近い位置に、第一スリット41と非平行な複数の第二スリット42が設けられている。
第一スリット41は、いずれも封緘ラベル1の長手方向端部に達しており、第二スリット42は、いずれも一方の端部が封緘ラベル1の幅方向端部に達している。
【0014】
第一スリット41および第二スリット42の数や互いになす角度は適宜設定できる。
第二スリット42は、封緘ラベル1の幅方向において少なくとも1/2を超える範囲に設けられることが好ましい。封緘ラベル1の幅方向において第二スリット42が広い範囲(例えば90%以上)に設けられる場合、第二スリット42が封緘ラベル1の長手方向と直角をなす方向に延びていると、例えば図4に示されるように、第一スリット41および第二スリット42を設けた部位が貼り付けられる位置と、抜き部50が設けられた中央部が貼られる位置との高さの差が大きい場合、第一スリット41および第二スリット42を設けた部位が残部との接続部位を中心にねじれやすくなり、封緘ラベル1を貼り付ける工程において著しく断裂しやすくなるため、この方向を避けて設定することが好ましい。
第一スリット41および第二スリット42は、いずれも連続する直線状であってもよいし、断続するミシン目状であってもよい。さらに、一方向に延びつつわずかに湾曲したり蛇行したりしてもよい。
【0015】
封緘ラベル1の長手方向中央を含む一定範囲の領域には、基材10を厚さ方向に貫通する断続的なミシン目状スリット51を有する抜き部50が形成されている。抜き部50のミシン目状スリットの少なくとも一つは、断続状態を保持しつつ、特定の図形を形作る環状に形成されている。具体的に、本実施形態では、8つの図形を形作る環状のミシン目が抜き部50に設けられている。
【0016】
上記のように構成された本実施形態に係る封緘ラベル1の使用時の動作について説明する。
封緘ラベル1を用いて容器の蓋を封緘する場合、使用者は、抜き部50を蓋の天面に貼りつけ、第一スリット41および第二スリット42が設けられた両端部を容器に貼りつける。このとき、第一スリット41および第二スリット42が設けられた範囲全体が容器と接合するように貼り付けられることが好ましい。
封緘となる蓋および容器の材質や、容器に対する蓋の取り付け態様には特に制限はない。
容器としては、上述したペットボトルに加えて、図3に示すような、蓋Cpの取り付け部位を有するゲーブルトップ型容器100等の各種紙製容器や、ガラス瓶等を例示できる。取り付け態様としては、上述したスクリュー式以外に、日本酒等に見られる嵌め込みの栓等であってもよい。
抜き部50と第二スリット42との間の領域は、容器に貼り付けられてもよいし、図4に示すように容器Cに貼り付けられなくてもよい。
【0017】
封緘ラベル1が貼り付けられた後の容器を悪意のない使用者が開封する場合は、封緘ラベル1を気にせずに開封動作を行うことで、封緘ラベル1がちぎれるため、ほぼ妨げなく蓋を取り外して容器内部にアクセスできる。
【0018】
容器内に異物を混入しようとする者は、痕跡を残さずに封緘ラベル1をはがして蓋を開け、異物を入れた後に蓋を閉めて再度封緘ラベル1を貼り付けることを試みる。
しかし、第一スリット41および第二スリット42が設けられた部位は、スリットが連続的である場合は、複数の細長い帯状部位に分かれており挙動が一致しないために些細なミスで帯状部位がちぎれやすい。一方、スリットが断続的なミシン目である場合は、些細なミスでスリット間の部位がちぎれてミシン目が連続しやすい。すなわち、いずれの場合も痕跡を残さずにはがすことが難しい。
【0019】
さらに、第一スリット41と第二スリット42とは、延びる方向が異なるため、痕跡を残さずにはがしやすい方向が異なっている。これにより、一方の領域を剥がすために封緘ラベルに加えている力は、その領域を剥がし終わってもう一方に差し掛かった途端に、もう一方の領域において痕跡を残しやすい、すなわち上記のようなちぎれを発生しやすい力に容易に変化する。その結果、力の制御が極めて煩雑となり、痕跡を残さずに第一スリット41および第二スリット42が設けられた部位のすべてをはがすことが著しく困難となっている。
【0020】
特に蓋がスクリュー式の場合、痕跡を残さずに容器を空けるためには、封緘ラベル1の両端部を剥がすか、一方の端部と抜き部50とを剥がす必要がある。両端部を剥がす場合は、上述した第一スリット41および第二スリット42が設けられた部位をさらにもう一度剥がす必要があり、その難度はさらに高くなる。
【0021】
一方、抜き部50を剥がす場合は、スリットのミシン目が容易にちぎれやすく、スリットに囲まれた特定の図形の領域が蓋の天面上に残留しやすい。この現象は、粘着層20の粘着力が高いとさらに発生しやすくなり、スリットに囲まれた部位を一つも残留させずに封緘ラベル1を剥がすことはほぼ不可能となる。
残留した部位に剥がした封緘ラベル1をうまく重ねて貼ることで、一見ミシン目がちぎれていないことを装うこともできる。しかし、容器には、商品名やロゴ等が直接印刷されたりラベルとして取り付けられたりすることで正面が存在していることがあり、その場合、封緘ラベル1は、その正面に対して決まった定位置に貼り付けられて出荷されることがある。
ここで、蓋がスクリュー式の場合は、螺合長により変化する蓋と容器との位置関係を開封前と全く同一にすることはかなり難しく、円柱状の栓の場合も、一旦抜いてしまえば、開封前と完全に同じ位置関係で容器に再度打栓することは容易ではない。位置関係が開封前の状態から変化した場合、蓋の天面上に残留した部位にうまく重なるように封緘ラベル1を再度貼り付けると、封緘ラベルの両端部が容器に貼り付けられる位置が定位置とは異なってしまう。その結果、未開封の製品と一緒に陳列された際に違和感が生じやすくなり、異常を検知しやすくなる。
【0022】
以上説明したように、封緘ラベル1は、両端部に第一スリット41及び第二スリット42を有し、かつ中間部に抜き部50を有することにより、通常の開封動作にはほとんど妨げにならない一方で、痕跡を残さずにはがし、かつ元通りに貼りなおすことが極めて困難となるように構成されている。
封緘ラベル1は、この構成により、悪意ある者による異物混入等を著しく抑制し、かつ混入等が行われた場合に気づきやすくすることに大きく寄与する。
【0023】
さらに、上述した開封履歴明示バンドとは異なり、高圧洗浄等により、使用後の容器から簡便に除去することができるため、容器のリサイクルの妨げになることもない。
【0024】
本発明の一実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成要素の組み合わせを変えたり、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。
【0025】
たとえば、抜き部においてミシン目に形作られる図形の少なくとも1つが回転対称でないことが好ましい。上記実施形態では、かけた月の形Lnが回転対称性を有さない図形に該当する。このようにすると、ミシン目がちぎれて図形領域が蓋上に残留した際、残留した部位にうまく重なるように貼り付けることができる封緘ラベルの姿勢が一つに定まるため、未開封の製品と違和感なく再度貼り付けることの難度が高くなる。このような観点からは、抜き部に形作られる図形が回転対称でないもの1つだけであってもよい。
他の態様として、抜き部に形作られる複数の図形をいずれも回転対称としつつ、複数の図形の配置態様全体として回転対称性を有さないものとすることもできる。
【符号の説明】
【0026】
1 封緘ラベル
10 基材
20 粘着層
41 第一スリット
42 第二スリット
50 抜き部
51 ミシン目状スリット
図1
図2
図3
図4