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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104022
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】水質センサーおよびその洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/18 20060101AFI20240726BHJP
   C02F 1/00 20230101ALI20240726BHJP
   G01N 21/85 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
G01N33/18 106E
C02F1/00 V
G01N21/85 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008021
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 伸次
(72)【発明者】
【氏名】有村 良一
(72)【発明者】
【氏名】城田 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】松代 武士
(72)【発明者】
【氏名】毛受 卓
(72)【発明者】
【氏名】金谷 道昭
(72)【発明者】
【氏名】横山 雄
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA48
2G051CA04
2G051CB02
(57)【要約】
【課題】 定期的にセンサー部を洗浄する機能を備えた水質センサーを提供すること。
【解決手段】 実施形態によれば、水質センサーは、センサー部と、洗浄校正系と、光学系と、判定部とを具備する。センサー部は、観測対象を含む被処理水を保持するために使用される。洗浄校正系は、センサー部を洗浄するための洗浄液をセンサー部へ供給し、洗浄液によるセンサー部の洗浄後、洗浄が十分か否かを判定するために使用される校正液を、センサー部に供給する。光学系は、センサー部における校正液を撮像する。判定部は、光学系による撮像結果に基づいて洗浄が十分か否かを判定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観測対象を含む被処理水を保持するために使用されるセンサー部と、
前記センサー部を洗浄するための洗浄液を前記センサー部へ供給し、前記洗浄液による前記センサー部の洗浄後、洗浄が十分か否かを判定するために使用される校正液を、前記センサー部に供給する洗浄校正系と、
前記センサー部における前記校正液を撮像する光学系と、
前記光学系による撮像結果に基づいて前記洗浄が十分か否かを判定する判定部とを具備する、水質センサー。
【請求項2】
洗浄校正動作を制御する制御部をさらに具備し、
前記洗浄校正動作は、
前記洗浄校正系が、前記洗浄液を、前記センサー部へ供給するステップと、
前記センサー部が前記洗浄液によって洗浄された後、前記洗浄校正系が、前記校正液を、前記センサー部へ供給するステップと、
前記光学系が、前記センサー部へ供給された前記校正液を撮像するステップと、
前記判定部が、前記光学系による撮像結果に基づいて、前記洗浄が十分か否かを判定するステップとを含む、請求項1に記載の水質センサー。
【請求項3】
前記制御部は、
前記洗浄校正動作を、最大でも第1の所定回数連続して実行させ、実行中に、前記判定部によって、前記洗浄が十分であると判定された場合、次回を実行することなく前記洗浄校正動作を終了させ、
前記判定部によって、前記洗浄が十分であると判定されないまま、前記洗浄校正動作の連続実行回数が、前記第1の所定回数に達した場合、前記洗浄校正動作を終了させる、請求項2に記載の水質センサー。
【請求項4】
前記洗浄液は、水および薬液であり、
前記洗浄校正系は、
前記洗浄液として前記水を前記センサー部へ供給する水供給部と、
前記洗浄液として前記薬液を前記センサー部へ供給する薬液供給部とを含み、
前記制御部は、
前記洗浄液として前記水供給部からの水を用いて、前記洗浄校正動作を、最大でも第2の所定回数連続して実行させ、実行中に、前記判定部によって、前記水による洗浄が十分であると判定された場合、次回を実行することなく前記洗浄校正動作を終了させ、
前記判定部によって、前記水による洗浄が十分であると判定されないまま、前記洗浄校正動作の連続実行回数が、前記第2の所定回数に達した場合、前記洗浄液として前記薬液供給部からの薬液を用いて、前記洗浄校正動作を、最大でも第3の所定回数連続して実行させ、実行中に、前記判定部によって、前記薬液による洗浄が十分であると判定された場合、次回を実行することなく前記洗浄校正動作を終了させ、
前記判定部によって、前記洗浄が十分であると判定されないまま、前記洗浄校正動作の連続実行回数が、前記第3の所定回数に達した場合、前記洗浄校正動作を終了させる、請求項2に記載の水質センサー。
【請求項5】
前記洗浄液は、常温水、温水、および薬液であり、
前記洗浄校正系は、
前記洗浄液として前記常温水を前記センサー部へ供給する常温水供給部と、
前記洗浄液として前記温水を前記センサー部へ供給する温水供給部と、
前記洗浄液として前記薬液を前記センサー部へ供給する薬液供給部とを含み、
前記制御部は、
前記洗浄液として前記常温水供給部からの常温水を用いて、前記洗浄校正動作を、最大でも第4の所定回数連続して実行させ、実行中に、前記判定部によって、前記常温水による洗浄が十分であると判定された場合、次回を実行することなく前記洗浄校正動作を終了させ、
前記判定部によって、前記常温水による洗浄が十分であると判定されないまま、前記洗浄校正動作の連続実行回数が、前記第4の所定回数に達した場合、前記洗浄液として前記温水供給部からの温水を用いて、前記洗浄校正動作を、最大でも第5の所定回数連続して実行させ、実行中に、前記判定部によって、前記温水による洗浄が十分であると判定された場合、次回を実行することなく前記洗浄校正動作を終了させ、
前記判定部によって、前記温水による洗浄が十分であると判定されないまま、前記洗浄校正動作の連続実行回数が、前記第5の所定回数に達した場合、前記洗浄液として前記薬液供給部からの薬液を用いて、前記洗浄校正動作を、最大でも第6の所定回数連続して実行させ、実行中に、前記判定部によって、前記薬液による洗浄が十分であると判定された場合、次回を実行することなく前記洗浄校正動作を終了させ、
前記判定部によって、前記洗浄が十分であると判定されないまま、前記洗浄校正動作の連続実行回数が、前記第6の所定回数に達した場合、前記洗浄校正動作を終了させる、請求項2に記載の水質センサー。
【請求項6】
警報を出力する警報出力部をさらに具備し、
前記洗浄が十分であると判定されないまま、前記洗浄校正動作が終了した場合、前記制御部は、前記警報出力部を動作させる、請求項4又は5に記載の水質センサー。
【請求項7】
前記光学系は、前記センサー部に保持された前記被処理水を撮像し、
前記判定部は、前記被処理水の撮像結果に基づいて、前記被処理水の水質を判定する、
請求項1に記載の水質センサー。
【請求項8】
被処理水を監視する水質センサーにおいて、前記被処理水を保持するために使用されるセンサー部を洗浄する洗浄液を、前記センサー部へ供給するステップと、
前記センサー部の洗浄が十分か否かを判定するために使用される校正液を、前記センサー部へ供給するステップと、
前記センサー部における前記校正液を撮像するステップと、
撮像結果に基づいて、前記洗浄が十分か否かを判定するステップと
を含む洗浄校正動作を、最大でも所定回数連続して実行している間に、前記洗浄が十分であると判定された場合、次回を実行することなく前記洗浄校正動作を終了し、
前記洗浄が十分であると判定されないまま、前記洗浄校正動作の連続実行回数が、前記所定回数に達した場合、前記洗浄校正動作を終了するとともに、警報を出力する、水質センサーの洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、被処理水の水質変動を画像により監視する水質センサーおよびその洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上下水道の水質変動を監視する水質センサーには、一般的に濁度計、pH計、導電率計などが使用されていた。しかしながら近年では、水質変動を画像により監視する水質センサーも使用されている。
【0003】
この種の水質センサーには、サイズが数μm~数十μmである微生物や浮遊物といった観測対象を含む被処理水を保持するための、例えば、石英セル製の水槽からなるセンサー部と、対物レンズ、鏡筒、およびカメラ等からなる光学系とが含まれている。
【0004】
そして、センサー部に保持された被処理水に含まれる観測対象が、光学系によって撮像され、撮像結果である2次元画像から、観測対象とされた微生物や藻類の種類、あるいは浮遊物の大きさやその量などが解析されることによって、画像に基づく水質変動の監視がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-098479号公報
【特許文献2】特開2018-163095号公報
【特許文献3】特開2016-183946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、センサー部は、継続的な使用により、被処理水の水質に由来するゴミ等により汚染される。センサー部が、石英セル製の水槽である場合、荷電されているゴミが、水槽表面のガラスに付着すると、付着したゴミの電荷による斥力で、水槽内における観測対象の移動速度にずれが生じたり、あるいは付着物からの斥力で、観測対象の水平方向の移動速度が大きくなる場合がある。
【0007】
このような場合、その観測対象の画像を検出できなくなり、水質変動を正しく監視できなくなる。したがって、定期的にセンサー部を洗浄し、センサー部からゴミを除去する必要がある。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、定期的にセンサー部を洗浄する機能を備えた水質センサーおよびその洗浄方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の水質センサーは、センサー部と、洗浄校正系と、光学系と、判定部とを具備する。センサー部は、観測対象を含む被処理水を保持するために使用される。洗浄校正系は、センサー部を洗浄するための洗浄液をセンサー部へ供給し、洗浄液によるセンサー部の洗浄後、洗浄が十分か否かを判定するために使用される校正液を、センサー部に供給する。光学系は、センサー部における校正液を撮像する。判定部は、光学系による撮像結果に基づいて洗浄が十分か否かを判定する。
【0010】
また、実施形態の洗浄方法は、被処理水を監視する水質センサーにおいて、被処理水を保持するために使用されるセンサー部を洗浄する洗浄液を、センサー部へ供給するステップと、センサー部の洗浄が十分か否かを判定するために使用される校正液を、センサー部へ供給するステップと、センサー部における校正液を撮像するステップと、撮像結果に基づいて、洗浄が十分か否かを判定するステップとを含む洗浄校正動作を、最大でも所定回数連続して実行している間に、洗浄が十分であると判定された場合、次回を実行することなく洗浄校正動作を終了し、洗浄が十分であると判定されないまま、洗浄校正動作の連続実行回数が、所定回数に達した場合、洗浄校正動作を終了するとともに、警報を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、一般的な上水処理システムの構成例を示す機能構成図である。
図2図2は、第1の実施形態の水質センサーの構成例を示す概念図である。
図3図3は、洗浄校正系の構成例を示す概念図である。
図4図4は、2系統の水供給部を備えた洗浄校正系の構成例を示す概念図である。
図5図5は、第1の実施形態の水質センサーによる洗浄校正動作の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、ポンプを排除した洗浄校正系の変形例の構成例を示す概念図である。
図7図7は、第2の実施形態の水質センサーに適用される校正液保管容器の構成例を示す概念図である。
図8図8は、第3の実施形態の水質センサーに適用される校正液生成部の一例を示す概念図である。
図9図9は、液体原料と固体原料とから校正液を生成する校正液生成部の変形構成例を示す概念図である。
図10図10は、粉体計量部の構成例を示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照して説明する。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0013】
(上水処理システム)
まず、本発明の実施形態の水質センサーが適用される上水処理システムについて説明する。
【0014】
図1は、一般的な上水処理システムの構成例を示す機能構成図である。
【0015】
上水処理システム100は、上水処理系110とサンプリング系120とを備えている。本発明の実施形態の水質センサー10は、サンプリング系120に適用される。
【0016】
上水処理系110は、原水調整池111、凝集剤供給部112、注入ポンプ113、急速撹拌池接触層114、凝集沈殿池115、ろ過池116、UV照射設備117、塩素注入部118、および配水池119を備えている。
【0017】
一方、サンプリング系120は、試薬注入部121、サンプリング水槽122、および水質センサー10を備えている。
【0018】
上水処理系110では、川、湖もしくは地下水等より取水された原水aが、原水調整池111に貯水されたのち、急速撹拌池接触層114へ送られる。急速撹拌池接触層114には、注入ポンプ113によって、凝集剤供給部112から供給された凝集剤bも注入され、原水aと混合される。
【0019】
急速撹拌池接触層114において凝集剤bと混合された原水aは、その後、凝集沈殿池115へ送られる。凝集沈殿池115では、原水aに含まれる固形物cが沈殿する。固形物cが沈殿した原水aは、その後、ろ過池116へ送られ、ここで固形物cが分離された後に、UV照射設備117へ送られる。
【0020】
UV照射設備117において、原水aは、耐塩素性生物の不活化処理が行われ、その後、塩素注入部118から、消毒のために注入された塩素dとともに配水池119へ送られ、配水池119から、一般家庭や事業所などに配水される。
【0021】
一方、サンプリング系120では、原水調整池111から、サンプリングに供される原水aが採水され、この原水aは、試薬注入部121から試薬eが注入された後に、サンプリング水槽122に送られる。試薬eには、凝集剤やpH調整薬などの混合液などが用いられる。
【0022】
サンプリング水槽122に送られた原水aの一部は、ポンプ123によって水質センサー10に送られ、以下に詳述するように、原水aの水質変動の監視のための解析に使用される。また、この解析の結果fは、ポンプ113の制御のためにも使用される。
【0023】
(第1の実施形態の水質センサー)
次に、第1の実施形態の水質センサーについて説明する。
【0024】
図2は、第1の実施形態の水質センサーの構成例を示す概念図である。
【0025】
第1の実施形態の水質センサー10は、光源12、水槽台13、水槽からなるセンサー部14、可動部15、光学系20、コントローラ30、および洗浄校正系40を備えている。
【0026】
光源12、水槽台13、および可動部15は、この順にテーブル11上に一列に配置されている。
【0027】
さらに水槽台13上にセンサー部14が固定され、可動部15上には、光学系20が固定されている。光学系20は、対物レンズ21、鏡筒22、および画像検出素子23を含む。
【0028】
光源12、センサー部14、対物レンズ21、鏡筒22、および画像検出素子23は、この順に、ほぼ一直線上に配置される。
【0029】
光源12は、テーブル11上に固定されており、可視光であるバックライト光Lを、センサー部14に向けて発する。
【0030】
水槽台13も、テーブル11上に固定されており、水槽台13の上部には、センサー部14が、バックライト光Lによって照明されるように固定されている。
【0031】
センサー部14は、サンプリング水槽122から送られた原水aの一部である被処理水Sを保持するための容器であり、例えば、水槽によって実現できる。したがって、以下では、センサー部14を、水槽14とも称する。
【0032】
水槽14は、例えば石英のような透明な材料で製造できる。したがって、バックライト光Lは、水槽14を透過して、水槽14内に保持されている被処理水Sを照明できる。被処理水Sには、前述したように、微生物や浮遊物などといった観測対象が含まれている。したがって、被処理水Sに含まれる観測対象が、バックライト光Lによって照明される。
【0033】
可動部15は、可動ステージ天板15aおよび可動ステージ下板15bを備え、可動ステージ下板15bが、テーブル11に固定されている。可動ステージ天板15aは、可動ステージ下板15b上を図中X方向に移動可能なように、可動ステージ下板15b上に載置されている。
【0034】
可動部15はまた、可動ステージ天板15aのX方向の移動量を設定するための可動調整つまみ15cも備えている。可動部15は、可動調整つまみ15cに設定された移動量にしたがって、可動ステージ天板15aを、可動ステージ下板15b上で移動させる。オペレータは、可動調整つまみ15cから、可動ステージ天板15aの移動量を設定できる。
【0035】
可動ステージ天板15a上には、光学系20が固定されている。図2に示す例では、可動ステージ天板15a上には、軸方向がX方向に一致するように鏡筒22が固定されており、鏡筒22の一端である水槽14側には、対物レンズ21が、鏡筒22の他端には画像検出素子23が固定されている。
【0036】
これによって、バックライト光Lによって照明された水槽14内の被処理水Sに含まれる観測対象の像が、対物レンズ21によって拡大され、鏡筒22を介して画像検出素子23へ送られ、画像検出素子23によって、観測対象の拡大画像が撮像される。
【0037】
可動部15の移動、特に可動ステージ天板15aのX方向の移動により、水槽14と対物レンズ21との間の距離を変化させることができる。このように、可動部15は、対物レンズ21の焦点調整のために使用される。
【0038】
対物レンズ21の焦点調整がなされると、鮮明に結像された観測対象の像が、鏡筒22を介して、画像検出素子23に送られる。
【0039】
画像検出素子23は、例えばCCDカメラ、C-MOSカメラ等によって実現され、鏡筒22から送られた像を撮像し、撮像結果である画像を、コントローラ30へ出力する。
【0040】
コントローラ30は、水質センサー10の全体の動作を制御する制御部31と、画像検出素子23からの画像を画像処理し、画像処理の結果に基づいて、種々の判定を行う判定部32と、制御部31による制御に応じて、音、光、表示等により警報を出力する警報出力部33とを備えている。
【0041】
判定部32による判定は、水質センサー10の通常動作時になされる被処理水Sの水質の判定や、後述する洗浄校正動作時に行われる水槽14の洗浄の十分/不十分の判定等を含む。水質センサー10の通常動作時になされる被処理水Sの水質の判定の結果fは、ポンプ113の制御のために使用することもできる。
【0042】
ところで、前述したように、水槽14は、継続的な使用により、被処理水Sの水質に由来するゴミ等により汚染され、この汚染は、水質監視に悪影響をもたらす。したがって、定期的に水槽14を洗浄する必要がある。そこで、制御部31は、例えば1日に1回などの、所定のタイミングで、洗浄校正系40、光学系20、および判定部32を制御して、洗浄校正動作を実行し、水槽14の洗浄および校正を定期的に実施する。
【0043】
図3は、洗浄校正系の構成例を示す概念図である。
【0044】
図3に示すように、洗浄校正系40は、センサー部(以下、「水槽」と称する)14を洗浄する洗浄液jを、水槽14へ供給する洗浄液供給部410と、洗浄液jによる水槽14の洗浄後、洗浄が十分か否かを判定するために使用される校正液kを、センサー部14に供給する校正液供給部440とを備えている。
【0045】
洗浄液jには、例えば水および薬液を使用することができる。これに応じて、洗浄液供給部410は、洗浄液jとして洗浄水j1を水槽14へ供給する水供給部420と、洗浄液jとして洗浄薬液j2を水槽14へ供給する薬液供給部430とを含んでいる。
【0046】
洗浄薬液j2としては、例えば2種以上からなる混合液を使用することができる。この場合、酸類、アルカリ、溶剤、および界面活性剤で実現できる。酸類の混合液としては、例えば純水、水道水などの希釈液によって希釈された塩酸、硫酸、酢酸等が挙げられる。アルカリの混合液としては、例えば純水、水道水などの希釈液によって希釈された水酸化ナトリウムが挙げられる。溶剤の混合液としては、例えば純水、水道水などの希釈液によって希釈されたエタノール、アセトン、ベンゼン等が挙げられる。界面活性剤を含む混合液としては、炭酸水などの希釈液によって希釈された脂肪酸カリウム(例えば、油脂、水酸化カリウム(苛性カリ))が挙げられる。
【0047】
また、洗浄薬液j2として、粉体の洗浄剤の混合液を使用することもできる。紛体の洗浄剤としては、例えば、過硫酸カリウム(漂白・除菌剤)、過炭酸ナトリウム(漂白・除菌剤)、テトラアセチルエチレンジアミン(漂白活性化剤)、ラウリル硫酸ナトリウム(界面活性剤)が挙げられる。
【0048】
水供給部420は、洗浄水j1を貯液する水タンク421と、水タンク421に貯液された洗浄水j1を水槽14へ送るためのポンプ422と、水槽14へ被処理水Sを送るか、洗浄水j1を送るかを切り替える3方向弁423とを含んでいる。
【0049】
洗浄水j1には、蒸留水や、水道水を用いることができ、洗浄水j1の温度は、室温のような常温とすることができるが、加熱された水である温水とすることもできる。洗浄水j1として、常温水を使用した場合よりも、温水を使用した場合の方が、高い洗浄効果が期待される。なお、温水を使用する場合、水を加熱するために、水タンク421に、ヒータ等の加熱手段を備える必要がある。
【0050】
また、洗浄水j1に、常温水と温水との両方を用いることもできる。ただし、洗浄水j1に、常温水と温水との両方を用いる場合、水供給部420は、常温水用の水供給部と、温水用の水供給部との2系統が必要となる。このように2系統の水供給部を備えた構成例を、図4を用いて説明する。
【0051】
図4は、2系統の水供給部を備えた洗浄校正系の構成例を示す概念図である。
【0052】
図4に示すように、洗浄校正系40’は、水供給部として、常温水供給部420Aと、温水供給部420Bとの2系統を並列的に備えている。常温水供給部420Aの構成は、水供給部420の構成と同一である。また、温水供給部420Bの構成は、水タンク421の代わりに、水を加熱するためのヒータ424を備えた温水タンク421Bを備えている点を除いて、水供給部420の構成と同一である。
【0053】
したがって、常温水供給部420Aに含まれる部位については、図3に示す洗浄校正系40に含まれる部位と同一部位については、符号の末尾に「A」を付すものの、図3と同じ符号を付し、重複説明を避ける。
【0054】
同様に、温水供給部420Bに含まれる部位についても、図3に示す洗浄校正系40に含まれる部位と同一部位については、符号の末尾に「B」を付すものの、図3と同じ符号を付し、重複説明を避ける。
【0055】
図3に戻って、薬液供給部430は、酸(例えば、塩酸、硫酸)などである洗浄薬液j2を貯液する薬液タンク431と、薬液タンク431に貯液された洗浄薬液j2を水槽14へ送るためのポンプ432と、水槽14へ被処理水Sまたは洗浄水j1を送るか、または洗浄薬液j2を送るかを切り替える3方向弁433とを含んでいる。
【0056】
校正液供給部440は、校正液kを貯液する校正液保管容器441と、校正液保管容器441に貯液された校正液kを水槽14へ送るためのポンプ442と、水槽14へ被処理水S、洗浄水j1、洗浄薬液j2のうちの何れかを送るか、または校正液kを送るかを切り替える3方向弁443とを含んでいる。
【0057】
3方向弁423,433,443は、サンプリング水槽122から水槽14までに至る配管上に直列に配置されており、ともに、この配管において、水槽14側をC(コモン)ポート、水槽14側の反対側をNO(ノーマルオープン)ポートとしている。3方向弁423のNC(ノーマルクローズ)ポートには水タンク421が、3方向弁433のNCポートには薬液タンク431が、3方向弁443のNCポートには校正液保管容器441が接続されている。
【0058】
3方向弁423,433,443は、通常はNO(ノーマルオープン)ポートが開き、NC(ノーマルクローズ)ポートは閉じており、C(コモン)ポートは常時開いている。
【0059】
校正液kには、シリカゲルやアクリル粒子が混合されたリン酸溶液を用いることができる。シリカゲルやアクリル粒子は、リン酸溶液に溶けないので、観測対象を模擬できる。
【0060】
また、洗浄校正系40は、水槽14に供給された校正液kを、水槽14から回収する回収部450も備えている。回収部450は、3方向弁451と、回収容器452とを備えている。3方向弁451は、水槽14から校正液kが排出される場合、NCポートを開き、水槽14から排出された校正液kを、回収容器452へと導く。これによって、校正液kを、環境に放出することなく、回収容器452によって回収できる。
【0061】
制御部31は、所定のタイミングになると、一連の洗浄校正動作を実行するように、光学系20、判定部32、洗浄校正系40、および警報出力部33を制御する。
【0062】
この洗浄校正動作は、洗浄液供給部410が、洗浄液jを、水槽14へ供給するステップと、水槽14が洗浄液jによって洗浄された後、校正液供給部440が、校正液kを、水槽14へ供給するステップと、光学系20が、水槽14に供給された校正液kを撮像するステップと、撮像結果に基づいて、判定部32が、洗浄が十分か否か、すなわち、校正液kの測定が誤差範囲内で可能であるか否かを判定するステップとを含む。具体的には、測定指示値が、誤差範囲内の規定範囲内か否かを確認し、誤差範囲内の規定範囲の上限以上もしくは下限以下の指示値が測定された場合、十分な洗浄が行なわれたと判定する。
【0063】
制御部31は、このような洗浄校正動作を、予め決定された回数連続して実行させることができるが、実行中に、判定部32によって、洗浄が十分であると判定された場合、次回を実行することなく、その時点で、洗浄校正動作を終了させる。
【0064】
一方、制御部31は、判定部32によって、洗浄が十分であると判定されないまま、洗浄校正動作の連続実行回数が、予め決定された回数に達した場合、洗浄校正動作を終了させ、警報出力部33を動作させる。警報出力部33は、音、光、表示等により警報を出力し、適切に洗浄できなかったことを伝え、オペレータに対して、故障修理あるいは部品交換など、直ちに必要な対策を講じるように促すことができる。
【0065】
(動作例)
次に、第1の実施形態の水質センサーによる洗浄校正動作について説明する。
【0066】
図5は、第1の実施形態の水質センサーによる洗浄校正動作の一例を示すフローチャートである。
【0067】
洗浄校正動作は、制御部31によって制御される。
【0068】
以下では、洗浄液供給部410が、図4に示すように、水供給部420として、常温水供給部420Aおよび温水供給部420Bを含む場合について説明する。
【0069】
このような構成の場合、先ず、常温水供給部420Aからの常温の洗浄水j1cを用いて、所定回数(例えば3回)の洗浄を行うように制御されるが、所定回数(例えば3回)に達していなくても、洗浄が十分であると判定された時点で、次回の洗浄を行うことなく、洗浄校正動作を終了する。
【0070】
一方、常温の洗浄水j1cを用いて所定回数(例えば3回)の洗浄を行ったにも関わらず、洗浄が十分ではないと判定された場合、次に、温水供給部420Bからの温水の洗浄水j1hを用いて、所定回数(例えば3回)の洗浄を行うように制御されるが、所定回数(例えば3回)に達していなくても、洗浄が十分であると判定された時点で、次回の洗浄を行うことなく、洗浄校正動作を終了する。
【0071】
一方、温水の洗浄水j1hを用いて所定回数(例えば3回)の洗浄を行ったにも関わらず、洗浄が十分ではないと判定された場合、次に、薬液供給部430からの洗浄薬液j2を用いて所定回数(例えば3回)の洗浄を行うように制御されるが、この場合も、洗浄が十分であると判定された時点で、次回の洗浄を行うことなく、洗浄校正動作を終了する。
【0072】
一方、洗浄薬液j2を用いて所定回数(例えば3回)を行ったにも関わらず、洗浄が十分ではないと判定された場合、警報出力部33が動作する。
【0073】
図5のフローチャートは、このような動作の詳細を示している。以下では、図5のフローチャートを用いて、常温の洗浄水j1cを用いてなされる洗浄の所定回数、温水の洗浄水j1hを用いてなされる洗浄の所定回数、および洗浄薬液j2を用いてなされる洗浄の所定回数ともに3回である場合における洗浄校正動作について説明する。なお、所定回数が3回であることは単なる一例であり、それに限定されず、他の回数を適用することもできる。また、常温の洗浄水j1cを用いてなされる洗浄の所定回数、温水の洗浄水j1hを用いてなされる洗浄の所定回数、および洗浄薬液j2を用いてなされる洗浄の所定回数は、同じである場合に限定されず、それぞれ異なっていてもよい。
【0074】
図5に戻って説明するように、洗浄校正動作を実行するタイミングになると、制御部31によって、先ず、常温の洗浄水j1cを用いた洗浄校正動作が開始され、「洗浄回数」が「1」と認識される(S1)。
【0075】
洗浄校正系40’では、3方向弁423A,423B,433,443は、通常はNOポートが開き、NCポートは閉じており、Cポートは常時開いている。
【0076】
常温の洗浄水j1cを用いた洗浄校正動作が開始されると、制御部31によって、3方向弁423AのNCポートが開かれ、ポンプ422Aが駆動される。これによって、常温水タンク421Aに貯液されていた常温の洗浄水j1cがセンサー部14、すなわち水槽14へ供給され、水槽14は、常温の洗浄水j1cによって洗浄される(S2)。
【0077】
なお、このとき、水槽14には、直前の校正において使用された校正液kが残っている場合がある。このような場合、校正液kを廃液hとして環境に放出しないために、3方向弁451のNCポートを開く。これによって、水槽14に保持されていた校正液kは、水槽14に洗浄水j1が供給されることに応じて、代わりに水槽14から排出され、回収容器452に回収される。
【0078】
洗浄後、制御部31によって、3方向弁423AのNCポートが閉じられ、3方向弁443のNCポートが開かれた後に、ポンプ442が駆動される。
【0079】
これによって、校正液保管容器441に貯液されていた校正液kが水槽14へ供給される。これによって、水槽14から洗浄水j1cは廃液hとして排水され、代わりに、水槽14には校正液kが保持される。この状態で制御部31によって光学系20の動作が開始され、水槽14に保持されている校正液kが、光学系20によって撮像され、撮像結果が判定部32へ出力される(S3)。
【0080】
判定部32では、光学系20から出力された撮像結果に基づいて、洗浄が十分か否か、すなわち、校正液kの測定が、誤差範囲以内で可能であるか否かが判定される(S4)。
【0081】
校正液kの測定が誤差範囲以内で可能であれば、洗浄が十分であると判定され(S4:Yes)、洗浄校正動作は終了する。
【0082】
一方、校正液kの測定が誤差範囲以内で可能でなければ、洗浄が十分であると判定されない(S4:No)。この場合、制御部31によって認識されている「洗浄回数」が「3」に達していなければ(S5:No)、制御部31によって、「+1」された「洗浄回数」が認識され(S6)、ステップS2に戻り、前述したように、以降の処理が繰り返される。
【0083】
そして、洗浄が十分であると判定された時点(S4:Yes)で、洗浄校正動作が終了するが、「洗浄回数」が「3」の状態で、ステップS5に進んだ場合(S5:Yes)、ステップS7に進む。
【0084】
ステップS7では、洗浄薬液j2による洗浄が未だに実施されていないのであれば(S7:No)、ステップS1に戻り、次に、制御部31によって、温水の洗浄水j1hを用いた洗浄校正動作が開始される。
【0085】
温水の洗浄水j1hを用いた洗浄校正動作が開始された場合も、制御部31によって「洗浄回数」が「1」と認識される(S1)。
【0086】
温水の洗浄水j1hを用いた洗浄校正動作が開始されると、制御部31によって、3方向弁423BのNCポートが開かれ、ポンプ422Bが駆動される。これによって、温水タンク421Bに貯液されていた温水の洗浄水j1hが水槽14へ供給され、水槽14は、温水の洗浄水j1hによって洗浄される(S2)。
【0087】
ステップS2の動作後になされるステップS3,S4,S5,S6の動作は、前述同様であるので重複説明を避ける。
【0088】
そして、動作は、ステップS7に進むが、この場合ではまだ洗浄薬液j2による洗浄は実施されていないので「No」となり、ステップS1に戻り、制御部31によって、洗浄薬液j2を用いた洗浄校正動作が開始される。
【0089】
洗浄薬液j2を用いた洗浄校正動作が開始されると、制御部31によって、3方向弁433のNCポートが開かれ、ポンプ432が駆動される。これによって、薬液タンク431に貯液されていた洗浄薬液j2が水槽14へ供給され、水槽14は、洗浄薬液j2によって洗浄される(S2)。
【0090】
ステップS2の動作後になされるステップS3,S4,S5,S6の説明は、前述同様であるので省略する。
【0091】
そして、動作はステップS7に進むが、この場合、洗浄薬液j2による洗浄が実施されているので「Yes」となり、ステップS8に進む。ステップS8では、制御部31によって、洗浄校正動作が終了されるとともに、警報出力部33が動作される(S8)。
【0092】
なお、図3のように、温水設備を備えていない洗浄校正系40の場合、水供給部420による水洗浄の後、薬液供給部430による薬液洗浄が行なわれる。
【0093】
この場合の処理フローは、前述した説明の常温の洗浄水j1cを用いたときの洗浄校正動作を、水供給部420による洗浄水j1を用いた洗浄校正動作とみなし、ステップS7で「No」になり、ステップS1に戻ったとき、薬液供給部430による洗浄薬液j2を用いた洗浄校正動作をするものとなる。
【0094】
以上説明したように、本実施形態の水質センサーによれば、定期的に、水槽14の校正を実施することにより、水槽14の汚損状況を判定し、指示値が、誤差範囲内の規定範囲外の上限以上もしくは下限以下の場合、洗浄校正系40によって水槽14を洗浄し、引き続き被処理水Sをモニタリングすることが可能となる。
【0095】
洗浄は、洗浄水j1(あるいは、洗浄水j1c,j1h)、洗浄薬液j2などの洗浄液jを用いて自動的かつ効率的に行い、洗浄後は、校正液kを使って校正することによって、洗浄が十分であるか否かを確認できる。
【0096】
この確認の結果、万が一、洗浄が十分ではない、すなわち、被処理水Sのモニタリングを正しく行うことができないと判定された場合、警報出力部33から警報を発し、故障修理あるいは部品交換など、直ちに必要な対策を講じるように、オペレータを促すことができる。
【0097】
(洗浄校正系の変形例)
洗浄校正系40は、図3に示すようにポンプ422,432,442を備えた構成に限定されず、これらポンプを使用しない構成でも実現できる。ここでは、変形例として、ポンプを使用しない洗浄校正系について説明する。
【0098】
図6は、ポンプを排除した洗浄校正系の変形例の構成例を示す概念図である。
【0099】
図6に例示する洗浄校正系40’’は、水供給部420’’、薬液供給部430’’、校正液供給部440’’、および回収部450を備えている。水供給部420’’、薬液供給部430’’、校正液供給部440’’、および回収部450は、いずれもポンプを備えていない。水供給部420’’、薬液供給部430’’、および校正液供給部440’’は、重力による自然流下を利用して、被処理水S、洗浄水j1、洗浄薬液j2、および校正液kを、水槽14へ移送することができる。
【0100】
水供給部420’’、薬液供給部430’’、校正液供給部440’’では、ポンプを使用しない代わりに、サンプリング水槽122、水タンク421、薬液タンク431、校正液保管容器441の下側に、サンプリング水槽122から水槽14までに至る配管470を設け、配管470に、NCポートが水タンク421に接続された3方向弁423、NCポートが薬液タンク431に接続された3方向弁433、およびNCポートが校正液保管容器441に接続された3方向弁443を設置している。また、3方向弁423、3方向弁433、および3方向弁443はともに、配管470において、水槽14側をCポート、水槽14側の反対側をNOポートとしている。
【0101】
これによって、通常は、サンプリング水槽122からの被処理水Sが自然流下し、配管470を通じて、水槽14へ送られる。しかしながら、3方向弁423のNCポートを開くことによって、水タンク421からの洗浄水j1が自然流下し、配管470を通じて、水槽14へ送られる。3方向弁433のNCポートを開くことによって、薬液タンク431からの洗浄薬液j2が自然流下し、配管470を通じて、水槽14へ送られる。3方向弁443のNCポートを開くことによって、校正液保管容器441からの校正液kが自然流下し、配管470を通じて、水槽14へ送られる。
【0102】
このように、洗浄校正系40’’によれば、ポンプを使用することなく、3方向弁423,433,443の操作だけで、水槽14への被処理水S、洗浄水j1、洗浄薬液j2、および校正液kの供給を切り替えることができる。
【0103】
このようなポンプレス構成によれば、ポンプの購入に要するコストもメンテナンスも不要となるのに加えて、洗浄校正系40’’全体の構成を簡素化することもできる。
【0104】
なお、図6は、図3のように、水供給部420が1系統の場合の構成例であるが、図4のように2系統の水供給部420A,420Bを備えた構成に対しても同様に適用可能である。
【0105】
(第2の実施形態の水質センサー)
次に、第2の実施形態の水質センサーについて説明する。
【0106】
校正液kの中には、推奨保管条件以外の条件になると変質しやすいものもある。推奨保管条件としては例えば、要冷暗所保管や、使用温度範囲の規定等が挙げられる。
【0107】
したがって、第2の実施形態の水質センサーでは、校正液kが変質しないように、校正液kを推奨保管条件で保管できる校正液保管容器が適用される。
【0108】
図7は、第2の実施形態の水質センサーに適用される校正液保管容器の構成例を示す概念図である。
【0109】
校正液保管容器441は、校正液kを貯液する金属製容器461の周囲を、断熱カバー462で覆うことによって形成された恒温槽となっている。また、校正液保管容器441の下には、温度センサー463、温度調整コントローラ464、および温度調整用ベルチェユニット465から構成される温度調整部を設けている。
【0110】
温度センサー463は、金属製容器461内の校正液kの温度を測定し、測定結果を、温度調整コントローラ464へ出力する。温度調整コントローラ464は、測定結果に基づいて温度調整用ベルチェユニット465を制御する。
【0111】
例えば、測定結果が、校正液kが安定して存在する温度範囲Tを超える温度を示すのであれば、温度調整コントローラ464は、金属製容器461内の校正液kの温度が、温度範囲Tまで低下するように、温度調整用ベルチェユニット465に対して吸熱動作させる。
【0112】
一方、測定結果が、校正液kが温度範囲T未満の温度を示すのであれば、温度調整コントローラ464は、金属製容器461内の校正液kの温度が、温度範囲Tまで上昇するように、温度調整用ベルチェユニット465を発熱動作させる。
【0113】
以上説明したように、校正液保管容器441の金属製容器461の周囲を、断熱カバー462で覆うことによって、校正液保管容器441を恒温槽とすることができる。そして、金属製容器461の中に校正液kを冷暗所保管することが可能となる。
【0114】
また、校正液保管容器441に、温度センサー463、温度調整コントローラ464、および温度調整用ベルチェユニット465から構成される温度調整部を設けることによって、金属製容器461内の校正液kの温度を、規定された使用温度範囲内に維持することができる。したがって、校正液kの変質を阻止することができる。
【0115】
なお、上記では、校正液保管容器441は、恒温槽であり、かつ温度調整部を備える構成について説明したが、推奨保管条件として、使用温度範囲が例えば常温範囲を含むなど、特に管理を要しないものであれば、必ずしも温度調整部を備える必要はない。また、推奨保管条件として、冷暗所保管が規定されていない場合、必ずしも校正液保管容器441を恒温槽とする必要がない場合もある。このように、第2の実施形態では、校正液保管容器441の構成を、推奨保管条件の内容に応じて、柔軟に決定することができる。
【0116】
(第3の実施形態の水質センサー)
次に、第3の実施形態の水質センサーについて説明する。
【0117】
校正液kの中には、大気と触れると変質しやすいものもある。したがって、第3の実施形態の水質センサーでは、校正液kが変質しないように、校正液kを使用直前に生成する校正液生成部を備えている。
【0118】
図8は、第3の実施形態の水質センサーに適用される校正液生成部の一例を示す概念図である。
【0119】
図8に例示する校正液生成部500は、図3および図4に例示される校正液供給部440や、図6に例示される校正液供給部440’’の一部として適用されるものであり、2つの計量部501A,501B、2つの3方向弁502A,502B、2つのポンプ503A,503B、2つの原料槽504A,504B、1つの混合部505、およびこれらの接続する配管を備えている。
【0120】
以降、便宜的に、計量部501A、3方向弁502A、ポンプ503A、原料槽504A、および関連する配管を総称してA系、計量部501B、3方向弁502B、ポンプ503B、原料槽504B、および関連する配管を総称してB系とも称するものとする。A系に含まれる部位には末尾に「A」が付され、B系に含まれる部位には末尾に「B」が付される。混合部505は、共通的に設けられる部位であるので、末尾に「A」も「B」も付されない。
【0121】
校正液kは、2つの原料k1,k2を混合することによって生成されるものとする。
【0122】
計量部501Aは、原料k1を計量する。計量部501Bは、原料k2を計量する。
【0123】
ここでは、原料k1,k2ともに液体であると想定する。原料k1,k2ともに液体である場合、計量部501A,501Bは、計量槽によって実現でき、混合部505は、混合槽によって実現できる。したがって、以下では、計量部501A,501Bを、計量槽501A,501Bとも称する。同様に、混合部505を混合槽505とも称する。
【0124】
計量槽501Aは、原料槽504Aおよび混合槽505よりも高いレベルに設置される。同様に、計量槽501Bは、原料槽504Bおよび混合槽505よりも高いレベルに設置される。
【0125】
原料槽504Aには原料k1が貯液されている。同様に、原料槽504Bには原料k2が貯液されている。
【0126】
計量槽501Aの底部には配管510Aが接続され、配管510Aの他端は、3方向弁502AのCポートに接続されている。
【0127】
3方向弁502AのNOポートには、原料槽504Aに向けて設けられた配管511Aが接続されている。配管511Aには、ポンプ503Aが設けられている。配管511Aの先端のレベルは、原料槽504Aにおいて、原料k1の液面よりも低い。すなわち、配管511Aの先端は、原料k1に液浸している。一方、3方向弁502AのNCポートには、混合槽505に向けて設けられた配管512Aが接続されている。
【0128】
したがって、ポンプ503Aを駆動させることにより、原料槽504Aの原料k1を汲み上げ、計量槽501Aへ供給することができる。
【0129】
計量槽501Aの容積V1は、原料k1の予め決定された量、すなわち、原料k1の計量値に対応する。計量槽501Aの上端高さには、原料槽504Aに戻るオーバフロー配管506Aが接続されている。
【0130】
ポンプ503Aは、計量値よりも多くの原料k1を計量槽501Aへ供給する。供給後、3方向弁502AのNOポートを閉じる。これによって、計量値よりも多い分の原料k1は、オーバフロー配管506Aを通って原料槽504Aに戻り、計量された原料k1が計量槽501Aに保持される。
【0131】
同様に、計量槽501Bの底部には配管510Bが接続され、配管510Bの他端は、3方向弁502BのCポートに接続されている。
【0132】
3方向弁502BのNOポートには、原料槽504Bに向けて設けられた配管511Bが接続されている。配管511Bには、ポンプ503Bが設けられている。配管511Bの先端のレベルは、原料槽504Bにおいて、原料k2の液面よりも低い。すなわち、配管511Bの先端は、原料k2に液浸している。一方、3方向弁502BのNCポートには、混合槽505に向けて設けられた配管512Bが接続されている。
【0133】
したがって、ポンプ503Bを駆動させることにより、原料槽504Bの原料k2を汲み上げ、計量槽501Bへ供給することができる。
【0134】
計量槽501Bの容積V2は、原料k2の予め決定された量、すなわち、原料k2の計量値に対応する。計量槽501Bの上端高さには、原料槽504Bに戻るオーバフロー配管506Bが接続されている。
【0135】
ポンプ503Bは、計量値よりも多くの原料k2を計量槽501Bへ供給する。供給後、3方向弁502BのNOポートを閉じる。これによって、計量値よりも多い分の原料k1は、オーバフロー配管506Bを通って原料槽504Bに戻り、計量された原料k2が計量槽501Bに保持される。
【0136】
したがって、計量槽501Aに、計量された原料k1が保持され、計量槽501Bに、計量された原料k2が保持された状態で、3方向弁502Aおよび3方向弁502BのNCポートをそれぞれ開くことで、計量槽501Aから原料k1が、計量槽501Bから原料k2が、混合槽505へ重力落下し、混合槽505で保持される。
【0137】
混合槽505には、撹拌機509が設けられており、混合槽505では、撹拌機509によって、原料k1と原料k2とが混合される。これによって、校正液kが生成される。
【0138】
生成された校正液kは、校正液保管容器441へ供給される。あるいは、混合槽505を校正液保管容器441としてもよい。
【0139】
上述した校正液kの生成や回収に関する動作を実行するための3方向弁502A,502B、およびポンプ503A,503Bの制御もまた、制御部31によってなされる。
【0140】
このような構成によって、第3の実施形態の水質センサーは、校正のタイミングにあわせて、2種類の液体の原料k1,k2を自動的に混合調整することによって、必要な校正液kをリアルタイムで生成し、水槽14へ供給することができる。
【0141】
(校正液生成部の変形例)
上記では、原料k1,k2ともに液体である場合の例を説明したが、一方の原料k1が液体であり、他方の原料k3が紛体のような固体である場合も、同様な校正液kのリアルタイム生成が可能である。これを図9および図10を用いて説明する。
【0142】
図9は、液体原料と固体原料とから校正液を生成する校正液生成部の変形構成例を示す概念図である。
【0143】
図9に例示する校正液生成部500’は、図8に例示する校正液生成部500において、B系の代わりに、紛体である原料k3を計量する粉体計量部600を備えた構成をしている。粉体計量部600は、紛体である原料k3を計量すると、混合槽505へ供給する。
【0144】
なお、校正液生成部500’では、A系において校正液生成部500で説明したように、液体である原料k1を計量する。したがって、ここではA系の説明は繰り返さない。
【0145】
図10は、粉体計量部の構成例を示す分解図である。
【0146】
図10(a)にその外形を示す粉体計量部600は、図10(a)に加えて図10(b),(c),(d)に例示するように、上部プレート610、回転摺切プレート620、下部プレート630、および摺切プレート回転用モータ640から構成される。
【0147】
上部プレート610、回転摺切プレート620、および下部プレート630はそれぞれ、同一の直径を有する円板形状をしている。
【0148】
そして、図10(c)に示すように、回転摺切プレート620の上面の円の中心からは、回転摺切プレート620の高さ方向(図中Z方向)に延びるロッド641が固定して設けられている。
【0149】
これに対応して、図10(b)に示すように、上部プレート610の円の中心には、ロッド641を挿入するための貫通穴613が、Z方向に設けられている。
【0150】
また、図10(d)に示すように、下部プレート630の上面の円の中心からは、Z方向に延びる円柱状の突起633が固定して設けられている。
【0151】
これに対応して、図10(c)に示すように、回転摺切プレート620の下面の円の中には、突起633が緩く嵌合するための、断面が円形状である受け穴623が設けられている。
【0152】
下部プレート630の上に、受け穴623に突起633が嵌合されるように回転摺切プレート620を載せ、回転摺切プレート620の上に、貫通穴613にロッド641が挿入されるように上部プレート610を載せることによって、円柱形状の粉体計量部600を形成することができる。
【0153】
このとき、ロッド641の先端は、上部プレート610上面から突出する。この突出した部分に、摺切プレート回転用モータ640が固定される。摺切プレート回転用モータ640は、駆動されると、ロッド641に円周方向への回転力を与える。
【0154】
これによって、摺切プレート回転用モータ640が駆動すると、上部プレート610および下部プレート630は回転せず、回転摺切プレート620のみが、ロッド641を中心軸として、円周方向に回転するようになる。
【0155】
上部プレート610の上面には、上部プレート610を貫通するように、紛体投入口612が設けられている。紛体投入口612は、例えばシリカゲルやアクリル粒子のように、計量分別される前の固体の原料k3を、粉体、粉末、錠剤等の形態で、粉体計量部600内に投入するための投入口である。
【0156】
回転摺切プレート620には、回転摺切プレート620を貫通するように、Z方向に延びる円柱形状の摺切穴622が設けられている。摺切穴622の容積V3は、原料k3の予め決定された量、すなわち、原料k3の計量値に対応する。
【0157】
摺切プレート回転用モータ640が駆動して回転摺切プレート620が回転し、摺切穴622が、粉体投入口612の真下に来ると、粉体投入口612に投入されていた原料k3が摺切穴622に落下する。なお、紛体投入口612に原料k3を投入する際には、容積V3に相当する量よりも多く投入する。これによって、粉体投入口612から摺切穴622へと、容積V3に相当する量よりも多くの原料k3が落下する。
【0158】
この状態でさらに回転摺切プレート620が回転すると、原料k3は、摺切穴622に入りきらず、摺切穴622の上端面よりも高く積もる。上端面よりも高く積もった原料k3は、回転摺切プレート620の上端面と、上部プレート610の下端面とによって挟まれ、摺り切られる。これによって、摺切穴622は、ちょうど、原料k3で満たされる。このようにして、原料k3は、容積V3に相当する量に計量される。
【0159】
下部プレート630には、下部プレート630をZ方向に貫通する円柱形状の貫通穴631が設けられ、貫通穴631の下端には、紛体出口632が設けられている。貫通穴631の内径は、摺切穴622の内径以上である。これによって、回転摺切プレート620が更に回転して、摺切穴622が、貫通穴631の真上に来た時に、摺切穴622内の原料k3が、貫通穴631内を落下し、紛体出口632を介して、粉体計量部600から排出され、混合槽505へ供給される。これによって、混合槽505には、計量された量の原料k3が供給される。
【0160】
このように、第3の実施形態によれば、校正液kが、液体の原料k1と、固体の原料k3とから生成される場合であっても、校正のタイミングにあわせて、液体の原料k1と固体の原料k3とを自動的に混合調整することによって、必要な校正液kをリアルタイムで生成し、水槽14へ供給することができる。
【0161】
これによって、例えば、大気と触れると変質しやすいような校正液kを使用する場合には、校正液kを、校正直前に生成することによって、変質していない状態で使用することが可能となる。
【0162】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0163】
10 水質センサー
11 テーブル
12 光源
13 水槽台
14 センサー部、水槽
15 可動部
15a 可動ステージ天板
15b 可動ステージ下板
15c 可動調整つまみ
20 光学系
21 対物レンズ
22 鏡筒
23 画像検出素子
30 コントローラ
31 制御部
32 判定部
33 警報出力部
40,40’,40’’ 洗浄校正系
100 上水処理システム
110 上水処理系
111 原水調整池
112 凝集剤供給部
113 注入ポンプ
114 急速撹拌池接触層
115 凝集沈殿池
116 ろ過池
117 UV照射設備
118 塩素注入部
119 配水池
120 サンプリング系
121 試薬注入部
122 サンプリング水槽
123 ポンプ
410 洗浄液供給部
420,420’’ 水供給部
420A 常温水供給部
420B 温水供給部
421 水タンク
421A 常温水タンク
421B 温水タンク
422,422A,422B ポンプ
423,423A,423B 3方向弁
424 ヒータ
430,430’’ 薬液供給部
431 薬液タンク
432 ポンプ
433 3方向弁
440,440’’ 校正液供給部
441 校正液保管容器
442 ポンプ
443 3方向弁
450 回収部
451 3方向弁
452 回収容器
461 金属製容器
462 断熱カバー
463 温度センサー
464 温度調整コントローラ
465 温度調整用ベルチェユニット
470 配管
500,500’ 校正液生成部
501A,501B 計量部、計量槽
502A,502B 3方向弁
503A,503B ポンプ
504A,504B 原料槽
505 混合部、混合槽
506A,506B オーバフロー配管
509 撹拌機
510A,510B,511A,511B,512A,512B 配管
600 粉体計量部
610 上部プレート
612 紛体投入口
613 貫通穴
620 回転摺切プレート
622 摺切穴
623 受け穴
630 下部プレート
631 貫通穴
632 紛体出口
633 突起
640 摺切プレート回転用モータ
641 ロッド
a 原水
b 凝集剤
c 固形物
d 塩素
e 試薬
f 結果
h 廃液
j 洗浄液
j1 洗浄水
j2 洗浄薬液
k 校正液
k1,k2,k3 原料
L バックライト光
S 被処理水
T 温度範囲
V1,V2,V3 容積
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10