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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104025
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】電動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/215 20160101AFI20240726BHJP
【FI】
H02K11/215
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008024
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】白井 寛
(72)【発明者】
【氏名】照井 亨弥
【テーマコード(参考)】
5H611
【Fターム(参考)】
5H611AA01
5H611BB01
5H611BB06
5H611PP07
5H611QQ03
5H611RR02
5H611TT01
5H611UA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】製造コストおよび製造工数が増大することを抑制できる電動アクチュエータを提供する。
【解決手段】電動アクチュエータ1は、モータ軸を中心として回転可能なロータ21と、ロータと隙間を介して径方向に対向するステータ22と、を有するモータ20と、ロータに連結された伝達機構30と、伝達機構を介してロータの回転が伝達される出力シャフト46と、ステータの軸方向一方側に配置され、ステータと電気的に接続される制御基板80と、制御基板よりも軸方向他方側に配置される素子部82aと、素子部から軸方向一方側に延び制御基板と電気的に接続される端子部82bと、を有する磁気センサ82と、制御基板に固定され、素子部を保持する磁気センサ保持部材70と、を備える。ロータは、マグネット24bを有する。素子部は、マグネットの軸方向一方側に配置され、かつ、マグネットと軸方向に隙間を介して対向し、マグネットの磁界を検出可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ軸を中心として回転可能なロータと、前記ロータと隙間を介して径方向に対向するステータと、を有するモータと、
前記ロータに連結された伝達機構と、
前記伝達機構を介して前記ロータの回転が伝達される出力シャフトと、
前記ステータの軸方向一方側に配置され、前記ステータと電気的に接続される制御基板と、
前記制御基板よりも軸方向他方側に配置される素子部と、前記素子部から軸方向一方側に延び前記制御基板と電気的に接続される端子部と、を有する磁気センサと、
前記制御基板に固定され、前記素子部を保持する磁気センサ保持部材と、
を備え、
前記ロータは、マグネットを有し、
前記素子部は、前記マグネットの軸方向一方側に配置され、かつ、前記マグネットと軸方向に隙間を介して対向し、前記マグネットの磁界を検出可能である、電動アクチュエータ。
【請求項2】
前記磁気センサ保持部材は、軸方向に貫通する貫通孔が設けられた保持部を有し、
前記素子部は、前記保持部の内側面に保持され、前記端子部は、前記保持部の内部を軸方向に通され、
前記磁気センサ保持部材の軸方向一方側の端部は、前記制御基板に固定される、請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項3】
前記保持部の軸方向一方側の端部は、前記制御基板の軸方向他方側を向く面に接着剤によって固定される、請求項2に記載の電動アクチュエータ。
【請求項4】
前記制御基板は、前記制御基板を軸方向に貫通する基板孔部を有し、
前記磁気センサ保持部材は、軸方向に延び、前記基板孔部を軸方向に通される固定部を有する、請求項2に記載の電動アクチュエータ。
【請求項5】
前記保持部は、前記制御基板の軸方向他方側を向く面と軸方向に接触し、
前記固定部の軸方向一方側の端部は、前記制御基板の軸方向一方側を向く面に沿って広がり、前記制御基板の軸方向一方側を向く面のうち前記基板孔部の縁部と軸方向に接触する、請求項4に記載の電動アクチュエータ。
【請求項6】
前記保持部は、前記制御基板の軸方向他方側を向く面と軸方向に接触し、
前記固定部は、前記基板孔部を軸方向に通される挿通部と、前記挿通部の軸方向一方側の部分から前記制御基板の軸方向一方側を向く面に沿って突出する爪部と、を有し、
前記挿通部は、前記爪部が突出する方向に弾性変形可能であり、
前記爪部の軸方向他方側を向く面は、前記制御基板の軸方向一方側を向く面のうち前記基板孔部の縁部と軸方向に接触する、請求項4に記載の電動アクチュエータ。
【請求項7】
前記磁気センサ保持部材は、軸方向に延びる延伸部と、前記延伸部と繋がり軸方向両側に開口する保持部と、前記延伸部の軸方向一方側の端部から前記制御基板の軸方向他方側を向く面に沿って広がる固定部と、を有し、
前記素子部は、前記保持部の内側面に保持され、
前記固定部は、前記制御基板に固定される、請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項8】
前記固定部は、前記制御基板に半田によって固定される、請求項7に記載の電動アクチュエータ。
【請求項9】
前記固定部は、前記制御基板にねじによって固定される、請求項7に記載の電動アクチュエータ。
【請求項10】
複数の前記磁気センサを備え、
前記磁気センサ保持部材は、複数の前記磁気センサそれぞれの前記素子部を保持する請求項1から9のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
ロータに固定されたマグネットの磁界を検出可能な磁気センサを備える電動アクチュエータが知られている。例えば、特許文献1には、バスバーホルダに固定された磁気センサが導電線を介して回路基板と接続される構成の電動アクチュエータが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-58306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電動アクチュエータにおいては、磁気センサを固定するバスバーホルダを回路基板と別個に設けているため、電動アクチュエータの部品点数および製造コストが増大していた。また、磁気センサの導電線は径が小さく、剛性が小さいため、導電線の位置は安定しづらい。よって、磁気センサが固定されたバスバーホルダに向けて回路基板を移動させて、磁気センサの導電線を回路基板の孔に通すことは困難であるため、電動アクチュエータの製造工数が増大する虞があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、製造コストおよび製造工数が増大することを抑制できる電動アクチュエータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動アクチュエータの一つの態様は、モータ軸を中心として回転可能なロータと、前記ロータと隙間を介して径方向に対向するステータと、を有するモータと、前記ロータに連結された伝達機構と、前記伝達機構を介して前記ロータの回転が伝達される出力シャフトと、前記ステータの軸方向一方側に配置され、前記ステータと電気的に接続される制御基板と、前記制御基板よりも軸方向他方側に配置される素子部と、前記素子部から軸方向一方側に延び前記制御基板と電気的に接続される端子部と、を有する磁気センサと、前記制御基板に固定され、前記素子部を保持する磁気センサ保持部材と、を備える。前記ロータは、マグネットを有する。前記素子部は、前記マグネットの軸方向一方側に配置され、かつ、前記マグネットと軸方向に隙間を介して対向し、前記マグネットの磁界を検出可能である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、電動アクチュエータにおいて、製造コストおよび製造工数が増大することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態の電動アクチュエータを示す断面図である。
図2図2は、第1実施形態の伝達機構を上側から見た図である。
図3図3は、第1実施形態の電動アクチュエータの一部を示す斜視図である。
図4図4は、第1実施形態の磁気センサ保持部材を示す断面図である。
図5図5は、第1実施形態の電動アクチュエータの基板固定工程を示す断面図である。
図6図6は、第1実施形態の電動アクチュエータの変形例の一部を示す斜視図である。
図7図7は、第2実施形態の磁気センサ保持部材を示す断面図である。
図8図8は、第3実施形態の磁気センサ保持部材を示す断面図である。
図9図9は、第4実施形態の磁気センサ保持部材を示す断面図である。
図10図10は、第5実施形態の磁気センサ保持部材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
各図において、Z軸方向は、正の側(+Z側)を上側とし、負の側(-Z側)を下側とする上下方向である。各図に適宜示すモータ軸J1の軸方向は、Z軸方向、すなわち上下方向と平行である。以下の説明においては、モータ軸J1の軸方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼ぶ。また、モータ軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、モータ軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。なお、各図において適宜示す矢印Rは径方向を示し、矢印Rが向く側(+R側)は径方向内側、すなわちモータ軸J1を向く側であり、矢印Rが向く側と反対側(-R側)は径方向外側、すなわちモータ軸J1を向く側と反対側である。
【0010】
本実施形態において、上側は「軸方向一方側」に相当し、下側は「軸方向他方側」に相当する。なお、上下方向、上側、および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0011】
<第1実施形態>
図1に示す本実施形態の電動アクチュエータ1は、車両に取り付けられる。より詳細には、電動アクチュエータ1は、例えば、車両の運転者のシフト操作に基づいて駆動されるパーク・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載される。電動アクチュエータ1は、ケース10と、モータ20と、伝達機構30と、出力シャフト46と、第1ベアリング51と、第2ベアリング52と、第3ベアリング53と、制御基板80と、回転センサ81と、センサマグネット45と、磁気センサ82と、磁気センサ保持部材70と、を備える。第1ベアリング51、第2ベアリング52、および第3ベアリング53は、例えば、ボールベアリングである。
【0012】
ケース10は、モータ20、伝達機構30、出力シャフト46、制御基板80、磁気センサ82、および磁気センサ保持部材70を含む電動アクチュエータ1の各部を内部に収容する。ケース10は、ケース本体11と、蓋部材12と、を有する。ケース本体11は、モータ軸J1を中心とする円筒状である。ケース本体11は、上側に開口する開口部11hを有する。ケース本体11は、第1収容部11aと、第2収容部11bと、を有する。
【0013】
第1収容部11aは、ケース本体11の下側の部分である。第1収容部11aは、下側に位置する底部11cと、底部11cの径方向外縁から上側に延びる周壁部11dと、を有する。底部11cには、底部11cを軸方向に貫通する孔部11eが設けられる。孔部11eは、モータ軸J1を中心とする略円形状の孔である。孔部11eの上側の部分は、第1ベアリング51を保持する第1ベアリング保持部11fを構成する。第1ベアリング51は、第1ベアリング保持部11fに保持される。
【0014】
第2収容部11bは、ケース本体11の上側の部分である。第2収容部11bは、第1収容部11aと軸方向に繋がる。第2収容部11bは、上側に開口する筒状である。第2収容部11bの内周面には、上側を向く段差面11gを有する段差が設けられる。段差面11gは、軸方向と直交する面である。段差面11gには、基板保持部11kが設けられる。
【0015】
基板保持部11kは、制御基板80を保持する。基板保持部11kは、基板支持部11mと、挿入部11nと、を有する。基板支持部11mは、段差面11gから上側に突出する略円板状である。軸方向に見て、基板支持部11mは、略円形状である。挿入部11nは、基板支持部11mから上側に突出する円柱状である。本実施形態において、ケース本体11には、複数の基板保持部11kが設けられる。図示は省略するが、本実施形態において、ケース本体11には、4個の基板保持部11kが設けられる。各基板保持部11kは、周方向に沿って互いに間隔をあけて配置される。
【0016】
蓋部材12は、ケース本体11の上端に固定される。蓋部材12は、ケース本体11の開口部11hを上側から塞ぐ。蓋部材12は、開口部11hを上側から塞ぐ蓋本体部12aと、蓋本体部12aから下側に突出する第2ベアリング保持部12bと、を有する。第2ベアリング保持部12bは、モータ軸J1を中心とし、下側に開口する円筒状である。第2ベアリング保持部12bの内周面には、第2ベアリング52が保持される。
【0017】
モータ20は、ロータ21と、ステータ22と、を有する。ロータ21は、モータ軸J1を中心として回転可能である。ロータ21は、モータシャフト23と、ロータコア24aと、マグネット24bと、を有する。モータシャフト23は、モータ軸J1を中心として回転可能である。モータシャフト23は、モータ軸J1を中心として軸方向に延びる略円筒状である。モータシャフト23は、中空シャフトである。モータシャフト23は、軸方向の両側に開口する。モータシャフト23は、第1収容部11aの内部と第2収容部11bの内部とに跨って延びている。モータシャフト23は、本体部23aと、偏心軸部23bと、を有する。
【0018】
本体部23aは、モータシャフト23の上側の部分である。本体部23aの外周面にはロータコア24aが固定される。本体部23aの上側の端部は、第2収容部11bの内部に位置する。本体部23aのうち上側の端部以外の部分は、第1収容部11aの内部に位置する。
【0019】
偏心軸部23bは、モータシャフト23の下側の部分である。偏心軸部23bは、本体部23aと軸方向に繋がる。偏心軸部23bは、第1収容部11aの内部に配置される。偏心軸部23bは、ロータコア24aの下側に配置される。軸方向に見て、偏心軸部23bの内周面は、モータ軸J1を中心とする円形状である。軸方向に見て、偏心軸部23bの外周面は、モータ軸J1に対して偏心した偏心軸線J2を中心とする円形状である。偏心軸線J2は、モータ軸J1と平行である。偏心軸部23bの外周面には、第3ベアリング53の内輪が嵌め合わされて固定される。これにより、第3ベアリング53は、モータシャフト23に固定される。
【0020】
ロータコア24aは、本体部23aの外周面に固定される。ロータコア24aは、モータ軸J1を中心とする円環状である。ロータコア24aは、第1収容部11aの内部に収容される。マグネット24bは、ロータコア24aの外周面に固定される。本実施形態において、マグネット24bは、周方向に間隔をあけて複数配置される。
【0021】
ステータ22は、ロータ21と径方向に対向して配置される。ステータ22は、ロータ21の径方向外側に、ロータ21と隙間を介して配置される。ステータ22は、第1収容部11aの内部に収容される。ステータ22は、ロータコア24aを径方向外側から囲む環状のステータコア22aと、ステータコア22aに装着されたインシュレータ22bと、コイル部22cと、を有する。ステータコア22aの外周面は、周壁部11dの内周面に固定されている。これにより、ステータ22は、ケース10に固定される。
【0022】
コイル部22cは、複数のコイル本体部22dと、複数のコイル引出線22eと、を有する。複数のコイル本体部22dは、インシュレータ22bを介してステータコア22aに装着される。複数のコイル本体部22dは、周方向に沿って互いに間隔をあけて配置される。複数のコイル引出線22eは、コイル本体部22dから上側に引き出され、制御基板80と接続される。本実施形態において、各コイル引出線22eのそれぞれは、制御基板80と直接的に接続される。これにより、ステータ22は、制御基板80と電気的に接続される。なお、本実施形態において、コイル部22cは、6本のコイル引出線22eを有する。コイル部22cが有する、コイル引出線22eの本数は、5本以下であってもよいし、7本以上であってもよい。
【0023】
伝達機構30は、第1収容部11aの内部に収容される。伝達機構30は、ロータコア24aおよびステータ22の下側に配置される。伝達機構30は、モータシャフト23および出力シャフト46に連結される。伝達機構30は、モータシャフト23の回転を出力シャフト46に伝達する。すなわち、出力シャフト46には、伝達機構30を介してロータ21の回転が伝達される。本実施形態において、伝達機構30は、ロータ21の回転を減速して出力シャフト46に伝達する減速機構である。伝達機構30は、ロータ21の回転を増速して出力シャフト46に伝達する増速機構であってもよいし、ロータ21の回転と同じ回転速度の回転を出力シャフト46に伝達する伝達機構であってもよい。伝達機構30は、外歯ギヤ31と、内歯ギヤ32と、フランジ部42と、複数の突出部43と、を有する。
【0024】
外歯ギヤ31は、偏心軸線J2を中心とする略円環状である。外歯ギヤ31は、第3ベアリング53の外輪に嵌め合わされる。これにより、外歯ギヤ31は、モータシャフト23の偏心軸部23bに第3ベアリング53を介して連結される。伝達機構30は、ロータ21に連結される。外歯ギヤ31は、偏心軸線J2周りにモータシャフト23と相対的に回転可能である。図2に示すように、外歯ギヤ31は、複数の貫通孔部31bと、外歯歯車部31cと、を有する。
【0025】
複数の貫通孔部31bは、それぞれ、外歯ギヤ31を軸方向に貫通する孔である。複数の貫通孔部31bは、それぞれ、円形状の孔である。複数の貫通孔部31bは、モータ軸J1を囲んで配置される。本実施形態において、貫通孔部31bは、8個設けられる。外歯歯車部31cは、外歯ギヤ31の外周面に沿って設けられる。外歯歯車部31cは、外歯ギヤ31の外周面に沿って並ぶ複数の外歯歯部31dを有する。
【0026】
内歯ギヤ32は、外歯ギヤ31を径方向外側から囲む。内歯ギヤ32は、モータ軸J1を中心とする環状である。図1に示すように、内歯ギヤ32の外周面は、周壁部11dの内周面に固定される。すなわち、内歯ギヤ32は、ケース10に固定される。図2に示すように、内歯ギヤ32は、内歯歯車部32aを有する。内歯歯車部32aは、内歯ギヤ32の内周面に沿って設けられる。内歯歯車部32aは、内歯ギヤ32の内周面に沿って並ぶ複数の内歯歯部32bを有する。内歯歯車部32aの一部は、外歯歯車部31cの一部と噛み合っている。
【0027】
図1に示すように、フランジ部42は、外歯ギヤ31の下側に配置される。フランジ部42は、外歯ギヤ31と軸方向に間隔をあけて配置される。フランジ部42は、モータ軸J1を中心として径方向に広がる円環状である。フランジ部42は、出力シャフト46のうちモータシャフト23よりも下側の部分に固定される。フランジ部42には、複数の突出部43が設けられる。
【0028】
本実施形態において、複数の突出部43のそれぞれは、フランジ部42から上側に突出する円柱状である。本実施形態において、複数の突出部43とフランジ部42とは、同一の単一部材の一部である。図2に示すように、複数の突出部43それぞれの外径は、複数の貫通孔部31bそれぞれの内径よりも小さい。複数の突出部43は、モータ軸J1を囲んで配置される。本実施形態において、突出部43は、8個設けられる。図1に示すように、複数の突出部43のそれぞれは、複数の貫通孔部31bのそれぞれに下側から挿入される。図2に示すように、各突出部43は、貫通孔部31bの内側面を介して、外歯ギヤ31をモータ軸J1周りに揺動可能に支持する。
【0029】
出力シャフト46は、電動アクチュエータ1の駆動力を出力する。図1に示すように、出力シャフト46は、軸方向に延びる。出力シャフト46は、モータ軸J1周りに回転可能である。出力シャフト46には、伝達機構30を介してモータシャフト23の回転が伝達される。出力シャフト46は、モータシャフト23の内部を軸方向に通される。出力シャフト46は、モータシャフト23から軸方向両側に突出している。なお、出力シャフト46とフランジ部42とは、同一の単一部材の一部であってもよい。出力シャフト46は、出力シャフト本体41と、出力シャフト本体41の外周面に固定される取付部材44と、を有する。
【0030】
出力シャフト本体41は、軸方向に延びる。出力シャフト本体41は、第1ベアリング51および第2ベアリング52によって、モータ軸J1周りに回転可能に支持される。出力シャフト本体41は、連結部41aと、延伸部41bと、を有する。
【0031】
連結部41aは、出力シャフト本体41の下側の部分である。連結部41aは、モータ軸J1を中心として軸方向に延びる円筒状である。連結部41aは、下側に開口する。連結部41aの下側の端部は、孔部11eの内部に挿入されている。連結部41aの上側の端部は、偏心軸部23bの内部に挿入されている。連結部41aは、第1ベアリング51によってモータ軸J1周りに回転可能に支持される。
【0032】
連結部41aの内部には、下側から被駆動シャフトDSが挿入可能である。被駆動シャフトDSの外周面に設けられたスプライン部が、連結部41aの内周面に設けられたスプライン溝に嵌め合わされると、連結部41aと被駆動シャフトDSとが互いに連結される。これにより、モータシャフト23の回転が、出力シャフト46を介して、被駆動シャフトDSに伝達される。よって、電動アクチュエータ1は、被駆動シャフトDSをモータ軸J1周りに回転させることができる。
【0033】
延伸部41bは、出力シャフト本体41の上側の部分である。延伸部41bは、モータ軸J1を中心として軸方向に延びる円柱状である。延伸部41bは、連結部41aと軸方向に繋がる。延伸部41bは、モータシャフト23の内部を軸方向に通される。延伸部41bの上側の部分は、モータシャフト23よりも上側に突出する。延伸部41bの上側の端部は、第2ベアリング52によってモータ軸J1周りに回転可能に支持される。
【0034】
本実施形態において、延伸部41bの外径は、モータシャフト23の本体部23aの内径よりも僅かに小さい。延伸部41bは、本体部23aの内部に隙間嵌めされる。延伸部41bと本体部23aとの間の径方向の隙間は、延伸部41bによって、モータシャフト23をモータ軸J1周りに回転可能に支持できる程度に小さい。なお、延伸部41bと本体部23aとの隙間には、例えば、潤滑油を配置してもよい。
【0035】
取付部材44は、延伸部41bの外周面のうちモータシャフト23よりも上側の部分に固定される。取付部材44は、固定筒部44aと、環状部44bと、を有する。固定筒部44aは、モータ軸J1を中心とし、軸方向両側に開口する円筒状である。固定筒部44aは、延伸部41bの外周面に固定される。環状部44bは、固定筒部44aの下端から径方向外側に広がる略円環板状である。環状部44bの板面は、軸方向を向く。
【0036】
センサマグネット45は、モータ軸J1を囲む環状である。センサマグネット45は、固定筒部44aの外周面に固定される。すなわち、センサマグネット45は、出力シャフト46に固定される。センサマグネット45の径方向外縁部は、環状部44bよりも径方向外側に位置し、回転センサ81と軸方向に対向する。
【0037】
ワッシャ61は、軸方向において、モータシャフト23の本体部23aの下端と、出力シャフト46の連結部41aの上端との間に配置される。ワッシャ61は、延伸部41bを囲む円環板状である。ワッシャ61の板面は、軸方向を向く。ワッシャ61は、本体部23aおよび連結部41aのそれぞれと軸方向に接触する。また、ワッシャ62は、軸方向において、本体部23aの上端と環状部44bとの間に配置される。ワッシャ62は、延伸部41bを囲む円環板状である。ワッシャ62の板面は、軸方向を向く。ワッシャ62は、本体部23aおよび環状部44bのそれぞれと軸方向に接触する。ワッシャ61およびワッシャ62のそれぞれは、例えば、スリップワッシャである。本実施形態では、ワッシャ61およびワッシャ62によって、出力シャフト46に対するモータシャフト23の軸方向の位置が決まる。よって、本実施形態では、モータシャフト23と出力シャフト46とが直接的に軸方向に接触する場合と比較して、モータシャフト23と出力シャフト46との間の摩擦力を低減できる。したがって、電動アクチュエータ1の出力効率を高めることができる。
【0038】
モータ20に電力が供給されてモータシャフト23がモータ軸J1周りに回転すると、偏心軸部23bは、モータ軸J1を中心として周方向に公転する。偏心軸部23bの公転は、第3ベアリング53を介して外歯ギヤ31に伝達され、外歯ギヤ31は、貫通孔部31bの内周面と突出部43の外周面との接触する位置が変化しつつ、周方向に公転する。外歯ギヤ31が周方向に公転すると、外歯ギヤ31の外歯歯車部31cと内歯ギヤ32の内歯歯車部32aとが噛み合う位置が、周方向に変化する。これにより、外歯ギヤ31を介して、内歯ギヤ32にモータシャフト23の駆動力が伝達される。
【0039】
上述のように、内歯ギヤ32は、ケース10に固定されているため回転しない。そのため、内歯ギヤ32に伝達される駆動力の反力によって、外歯ギヤ31は偏心軸線J2周りに回転する。このとき、外歯ギヤ31の回転は、モータシャフト23の回転に対して減速される。
【0040】
外歯ギヤ31の偏心軸線J2周りの回転は、貫通孔部31bの内側面および突出部43を介して、フランジ部42に伝達され、フランジ部42がモータ軸J1周りに回転する。上述のように、出力シャフト46は、フランジ部42と固定されるため、出力シャフト46は、フランジ部42とともにモータ軸J1周りに回転する。すなわち、フランジ部42によって、外歯ギヤ31の回転は出力シャフト46に伝達される。このようにして、出力シャフト46には、伝達機構30を介してモータシャフト23の回転が伝達される。
【0041】
図1に示すように、制御基板80は、ステータ22の上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)に配置される。制御基板80は、径方向に広がる板状である。図3に示すように、軸方向に見て、制御基板80は、略円形状である。制御基板80の板面は、軸方向を向く。図示は省略するが、制御基板80には、モータ20に電力を供給するインバータ回路が設けられる。制御基板80には、貫通孔80aおよび取付孔80fが設けられる。図1に示すように、制御基板80には、コイル接続孔80bおよび端子接続孔80cが設けられる。貫通孔80a、取付孔80f、コイル接続孔80bおよび端子接続孔80cのそれぞれは、制御基板80を軸方向に貫通する孔である。制御基板80には、回転センサ81、磁気センサ保持部材70、および磁気センサ82が固定される。
【0042】
軸方向に見て、貫通孔80aは、モータ軸J1を中心とする略円形状である。貫通孔80aには、出力シャフト46の延伸部41bが軸方向に通される。図3に示すように、取付孔80fは、制御基板80の径方向外縁に設けられる。本実施形態において、制御基板80には、4個の取付孔80fが設けられる。各取付孔80fは、周方向に沿って互いに間隔をあけて配置される。図1に示すように各取付孔80fには、挿入部11nが軸方向に通される。本実施形態において、各取付孔80fには、挿入部11nが嵌め合わされている。これにより、ケース10に対する制御基板80の径方向および周方向の位置が決まる。また、制御基板80の下側を向く面のうち各取付孔80fの周縁部は、基板支持部11mと軸方向に接触する。これにより、ケース10に対する制御基板80の軸方向の位置が決まる。これらにより、制御基板80は、ケース10に固定される。
【0043】
コイル接続孔80bは、制御基板80の径方向の略中央に設けられる。図示は省略するが、本実施形態において、制御基板80には、6個のコイル接続孔80bが設けられる。各コイル接続孔80bは、周方向に沿って互いに間隔をあけて配置される。各コイル接続孔80bのそれぞれには、互いに異なるコイル引出線22eが軸方向に通される。これにより、コイル引出線22eは、制御基板80と接続される。なお、各コイル引出線22eと制御基板80とは、半田等によって固定されてもよい。
【0044】
端子接続孔80cは、制御基板80の径方向内側の部分に設けられる。図3に示すように、本実施形態において、制御基板80には、9個の端子接続孔80cが設けられる。本実施形態では、3個の端子接続孔80cによって構成される1組の端子接続孔80c毎に、周方向に沿って間隔をあけて配置される。1組の端子接続孔80cを構成する3個の端子接続孔80c同士は、周方向に互いに間隔をあけて配置される。
【0045】
図1に示すように、回転センサ81は、制御基板80の上側を向く面うち貫通孔80aの周縁部に固定される。回転センサ81は、出力シャフト46に固定されるセンサマグネット45の径方向外縁部と軸方向に対向する。本実施形態において、回転センサ81は、磁気センサである。回転センサ81は、例えば、ホールICなどのホール素子である。回転センサ81は、センサマグネット45の磁界を検出することでセンサマグネット45の回転を検出する。これにより、回転センサ81は、出力シャフト46の回転を検出する。
【0046】
図3に示すように、磁気センサ保持部材70は、軸方向に突出する略直方体状である。本実施形態において、磁気センサ保持部材70の2つの外側面は、径方向を向く。図1に示すように、軸方向において、磁気センサ保持部材70は、ロータ21のマグネット24bと制御基板80との間に配置される。磁気センサ保持部材70は、制御基板80の下側を向く面に固定される。また、磁気センサ保持部材70は、径方向において制御基板80の内縁側の領域に配置される。軸方向において、磁気センサ保持部材70は、マグネット24bと間隔をあけて配置される。本実施形態において、磁気センサ保持部材70は、樹脂製である。磁気センサ保持部材70は、金属製であってもよい。図3に示すように、本実施形態において、電動アクチュエータ1は、複数の磁気センサ保持部材70を備える。各磁気センサ保持部材70は、周方向に沿って互いに間隔をあけて配置される。軸方向に見て、各磁気センサ保持部材70は、互いに異なる1組の端子接続孔80cと重なる。図4に示すように、本実施形態において、磁気センサ保持部材70は、保持部71を有する。
【0047】
保持部71は、軸方向に突出する略直方体状である。保持部71は、制御基板80の下側を向く面と軸方向に接触する。本実施形態において、保持部71の2つの外側面は、径方向を向く。保持部71には、保持部71を軸方向に貫通する保持孔71aが設けられる。図示は省略するが、軸方向に見て、保持孔71aは、略矩形状である。保持孔71aの2つの内側面は、径方向を向く。軸方向に見て、各保持部71の保持孔71aは、互いに異なる1組の端子接続孔80cと重なる。本実施形態において、保持部71の上側の端部は、接着剤86によって制御基板80の下側、すなわち軸方向他方側(-Z側)を向く面に固定される。これにより、磁気センサ保持部材70の上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)の端部は、制御基板80に固定される。なお、接着剤86としては、例えば、エポキシ樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤およびフェノール樹脂系接着剤などの熱硬化性を有する接着剤を用いることができる。本実施形態において、接着剤86は、エポキシ樹脂系接着剤である。
【0048】
磁気センサ82は、磁気センサ保持部材70に保持される。図1に示すように、軸方向において、磁気センサ82は、ロータ21のマグネット24bと制御基板80との間に配置される。軸方向に見て、磁気センサ82は、マグネット24bと重なる。図3に示すように、本実施形態において、電動アクチュエータ1は、複数の磁気センサ82を有する。本実施形態において、電動アクチュエータ1は、3個の磁気センサ82を有する。各磁気センサ82は、周方向に沿って互いに間隔をあけて配置される。各磁気センサ82は、互いに異なる磁気センサ保持部材70に保持される。図4に示すように、磁気センサ82は、素子部82aと、端子部82bと、を有する。
【0049】
図1に示すように、素子部82aは、制御基板80よりも下側、すなわち軸方向他方側(-Z側)に配置される。素子部82aは、マグネット24bの上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)に配置される。素子部82aは、マグネット24bと軸方向に隙間を介して対向する。図4に示すように、素子部82aは、保持部71の保持孔71aの内部に配置される。素子部82aは、保持孔71aの内側面に保持される。これにより、磁気センサ保持部材70は、磁気センサ82を保持する。また、これにより、各磁気センサ保持部材70を介して、各磁気センサ82を制御基板80に固定できる。本実施形態において、素子部82aは、保持孔71aの内側面に嵌め合わされている。素子部82aは、保持孔71aの内側面に、例えば、接着等の他の方法によって保持されてもよい。
【0050】
本実施形態において、素子部82aの下端は、保持孔71aの下側の開口から下側に突出する。本実施形態において、素子部82aは、例えば、ホールICなどのホール素子である。素子部82aは、マグネット24bの磁界を検出可能である。素子部82aは、マグネット24bの磁界を検出することでマグネット24bの回転を検出する。これにより、磁気センサ82は、ロータ21の回転を検出する。
【0051】
端子部82bは、素子部82aから上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)に延びる端子である。図示は省略するが、本実施形態において、磁気センサ82のそれぞれは、3本の端子部82bを有する。各磁気センサ82において、3本の端子部82bは、周方向に互いに間隔をあけて配置される。各端子部82bは、保持部71の内部を軸方向に通され、互いに異なる端子接続孔80cを軸方向に通される。各端子部82bのうち制御基板80よりも上側の部分は、半田によって、制御基板80の上側を向く面のうち端子接続孔80cの周縁部と固定される。これにより、各端子部82bは、制御基板80と電気的に接続される。よって、磁気センサ82は、制御基板80と電気的に接続される。
【0052】
次に、本実施形態の電動アクチュエータ1において、制御基板80をケース10に固定する基板固定工程について説明する。基板固定工程は、電動アクチュエータ1の製造工程の一部である。なお、以下の説明において、「作業者等」とは、各作業を行う作業者および組立装置等を含む。各作業は、作業者のみによって行われてもよいし、組立装置のみによって行われてもよいし、作業者と組立装置とによって行われてもよい。
【0053】
図5に示すように、基板固定工程では、まず、作業者等は、伝達機構30、出力シャフト本体41、モータ20、第1ベアリング51、および第3ベアリング53が組み付けられたケース本体11を、開口部11hを例えば上側に配置した状態で治具等に固定する。
【0054】
次に、作業者等は、図4に示すように、各磁気センサ保持部材70の保持部71の上端を、接着剤86によって、制御基板80の下側を向く面に固定する。このとき、各保持部71の保持孔71aのそれぞれは、制御基板80の1組の端子接続孔80cと軸方向に重なる。次に、作業者等は、各磁気センサ保持部材70の保持孔71aに端子部82bを通しつつ、保持孔71aの内側面に素子部82aを嵌め合わせて、磁気センサ82を各磁気センサ保持部材70に取り付ける。端子部82bは、外径が小さく、剛性が小さいため、端子部82bの位置は安定しづらい。本実施形態では、上述のように、保持部71の保持孔71aのそれぞれは、制御基板80の端子接続孔80cと軸方向に重なる。このため、保持孔71aに素子部82aを挿入することで、容易に各磁気センサ82の各端子部82bを、端子接続孔80cに通すことができる。次に、作業者等は、各端子部82bの上端と制御基板80とを半田85によって固定する。これにより、各磁気センサ82と制御基板80とは電気的に接続される。
【0055】
次に、作業者等は、制御基板80の上側を向く面に回転センサ81を固定した後に、図5に示すように、各磁気センサ保持部材70、各磁気センサ82、および回転センサ81が固定された制御基板80を、ケース本体11の上側から下側に移動させ、開口部11hを介して、ケース本体11の内部に挿入する。その後、作業者等は、制御基板80の複数のコイル接続孔80bのそれぞれに、コイル引出線22eを通しつつ、制御基板80を下側に移動させる。さらに、作業者等は、制御基板80の複数の取付孔80fのそれぞれに、基板保持部11kの挿入部11nを軸方向に通し、制御基板80の下側を向く面と基板支持部11mとが軸方向に接触するまで、制御基板80を下側に移動させると、制御基板80は、ケース10に固定され、基板固定工程は終了する。
【0056】
本実施形態によれば、電動アクチュエータ1は、ステータ22の上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)に配置され、ステータ22と電気的に接続される制御基板80と、制御基板80よりも下側、すなわち軸方向他方側(-Z側)に配置される素子部82aと、素子部82aから上側に延び制御基板80と電気的に接続される端子部82bと、を有する磁気センサ82と、制御基板80に固定され、素子部82aを保持する磁気センサ保持部材70と、を備える。ロータ21は、マグネット24bを有し、素子部82aは、マグネット24bの上側に配置され、かつ、マグネット24bと軸方向に隙間を介して対向し、マグネット24bの磁界を検出可能である。例えば、ケース10またはステータ22に固定されたバスバー等の部材に磁気センサ82が保持される構成の場合では、基板固定工程において、制御基板80を下側に移動する際に、バスバー等から上側に突出する端子部82bを制御基板80の端子接続孔80cに通す必要がある。上述のように、端子部82bは径が小さく、剛性が小さいため、端子接続孔80cに対する端子部82bの周方向の位置および径方向の位置は安定しづらい。さらに、この場合、端子部82bが制御基板80の下側に位置するため、端子部82bを制御基板80の端子接続孔80cに通す際に、作業者等は、ケース10の開口部11hを介して、端子接続孔80cに対する端子部82bの相対的な径方向の位置および周方向の位置を視認することが困難である。したがって、制御基板80を下側に移動しつつ、端子部82bを端子接続孔80cに通す作業の簡易化を図ることが困難であったため、基板固定工程の工数が増大し易かった。これに対して、本実施形態では、基板固定工程において、あらかじめ制御基板80に保持された磁気センサ保持部材70に磁気センサ82を取り付ける。このため、制御基板80の端子接続孔80cに対する相対的な端子部82bの径方向の位置ずれおよび周方向の位置のずれを小さくし易く、容易に端子部82bを端子接続孔80cに通すことができる。さらに、図5に示すように、磁気センサ保持部材70および磁気センサ82等が固定された制御基板80を下側に移動させて、制御基板80の取付孔80fのそれぞれに基板保持部11kの挿入部11nを通す簡易な作業によって、制御基板80をケース10に固定できる。これらにより、磁気センサ82と制御基板80とを直接的に接続する作業、および制御基板80をケース10の固定する作業それぞれの簡易化を図ることができるため、基板固定工程の簡易化を図ることができる。したがって、電動アクチュエータ1の製造工数が増大することを抑制できる。
【0057】
また、本実施形態では、磁気センサ82と制御基板80とを直接的に接続できる。このため、例えば、制御基板80とは別個のセンサ基板に磁気センサ82を接続し、ケーブル等の部材を介してセンサ基板と制御基板80とを間接的に接続する構成と比較して、センサ基板およびケーブル等の部材が不要となる。よって、係る構成と比較して、電動アクチュエータ1の部品点数が増大することを抑制できるとともに、センサ基板と制御基板80とをケーブル等の部材を介して間接的に接続する作業が不要となる。したがって、電動アクチュエータ1の製造コストおよび製造工数が増大することを抑制できる。
【0058】
さらに、本実施形態では、磁気センサ保持部材70が、磁気センサ82の素子部82aを保持するため、マグネット24bに対する素子部82aの位置を精度よく決めることができる。よって、磁気センサ82によって、ロータ21の回転速度および位相を精度よく検出できるため、電動アクチュエータ1の駆動時において、ロータ21および出力シャフト46それぞれの回転速度の安定化を図ることができるとともに、ロータ21および出力シャフト46それぞれの周方向の位置精度を高めることができる。
【0059】
本実施形態によれば、磁気センサ保持部材70は、軸方向に貫通する保持孔71aが設けられた保持部71を有し、素子部82aは、保持部71の内側面に保持され、端子部82bは、保持部71の内部を軸方向に通され、磁気センサ保持部材70の上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)の端部は、制御基板80に固定される。そのため、基板固定工程において、制御基板80に磁気センサ保持部材70を固定する際に、図4に示すように、保持孔71aと端子接続孔80cとを軸方向に重ねて配置できる。よって、保持孔71aの内部に端子部82bを通す簡易な作業のみによって、より容易に端子部82bを端子接続孔80cに通すことができる。また、保持孔71aに素子部82aを挿入する簡易な作業のみによって、磁気センサ保持部材70を介して、磁気センサ82を制御基板80に固定できる。したがって、電動アクチュエータ1の製造工数が増大することをより好適に抑制できる。
【0060】
また、本実施形態では、バスバーホルダによって、複数の磁気センサ82を保持する構成と比較して、バスバーホルダの重量よりも、複数の磁気センサ保持部材70それぞれの重量を足し合わせた総重量を低減し易い。したがって、磁気センサを保持する部材の製造コストを低減し易いため、電動アクチュエータ1の製造コストが増大することを抑制し易い。
【0061】
本実施形態によれば、図4に示すように、保持部71の上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)の端部は、制御基板80の下側、すなわち軸方向他方側(-Z側)を向く面に接着剤86によって固定される。よって、容易に磁気センサ保持部材70を制御基板80に固定できる。したがって、電動アクチュエータ1の製造工数が増大することを抑制できる。
【0062】
<第1実施形態の変形例>
図6は、第1実施形態の変形例の電動アクチュエータ101の一部を示す斜視図である。以下の説明において、上述の第1実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0063】
本変形例において、電動アクチュエータ101は、複数の磁気センサ82を備える。本変形例において、電動アクチュエータ101は、3個の磁気センサ82を備える。各磁気センサ82の構成等は、上述の第1実施形態の各磁気センサ82の構成等と同一である。
【0064】
本変形例において、電動アクチュエータ101は、1個の磁気センサ保持部材170を備える。本変形例において、磁気センサ保持部材170は、樹脂製である。磁気センサ保持部材170は、金属製であってもよい。磁気センサ保持部材170は、1個の保持部171と、3個の保持孔71aとを有する。本変形例の保持部171は、モータ軸J1を中心として周方向に沿って延びる。保持部171の中心角は、150°程度である。保持部171の2つの外側面は、径方向を向く。保持部171は、制御基板80の下側を向く面のうち、径方向内側の部分に固定される。保持部171の上側の端部は、図示しない接着剤によって、制御基板80の下側を向く面に固定される。これにより、磁気センサ保持部材170は、制御基板80に固定される。
【0065】
3個の保持孔71aのそれぞれは、保持部171を軸方向に貫通する孔である。各保持孔71aのそれぞれには、磁気センサ82が収容される。各保持孔71aの内側面には、磁気センサ82の素子部82aが保持されている。これにより、磁気センサ保持部材170は、複数の磁気センサ82それぞれの素子部82aを保持する。すなわち、磁気センサ保持部材170は、複数の磁気センサ82を保持する。3個の保持孔71aそれぞれの構成等は、上述の第1実施形態の保持孔71aの構成等と同一である。
【0066】
本変形例によれば、電動アクチュエータ101は、複数の磁気センサ82を備え、磁気センサ保持部材170は、複数の磁気センサ82それぞれの素子部82aを保持する。よって、1つの磁気センサ保持部材170によって複数の磁気センサ82を保持できるため、基板固定工程において、1つの磁気センサ保持部材170のみを制御基板80に固定し、磁気センサ保持部材170に各磁気センサ82を取り付ける作業によって、磁気センサ保持部材170を介して、各磁気センサ82を制御基板80に固定できる。そのため、複数の磁気センサ82のそれぞれを互いに異なる磁気センサ保持部材を介して、制御基板80に固定する構成と比較して、磁気センサ保持部材170を制御基板80に固定する工数が増大することを抑制できる。したがって、電動アクチュエータ101の製造工数が増大することを抑制できる。
【0067】
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態の磁気センサ保持部材270を示す断面図である。以下の説明において、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0068】
本実施形態において、制御基板280は、基板孔部280dを有する。基板孔部280dは、制御基板280を軸方向に貫通する孔である。図示は省略するが、本実施形態において、制御基板280は、6個の基板孔部280dを有する。3個の基板孔部280dのそれぞれは、互いに異なる端子接続孔80cの径方向内側に配置され、他の3個の基板孔部280dのそれぞれは、互いに異なる端子接続孔80cの径方向外側に配置される。図7に示すように、2個の基板孔部280dは、1つの端子接続孔80cを径方向に挟んで配置される。以下の説明では、端子接続孔80cの径方向内側に配置される基板孔部280dを一方の基板孔部280dと呼ぶ場合がある。端子接続孔80cの径方向外側に配置される基板孔部280dを他方の基板孔部280dと呼ぶ場合がある。なお、本実施形態において、2個の基板孔部280dは、端子接続孔80cの周方向両側に配置されていてもよい。
【0069】
本実施形態の磁気センサ保持部材270は、保持部71と、接続部272と、固定部273と、を有する。本実施形態の保持部71の構成等は、上述の第1実施形態の保持部71の構成等と同一である。保持部71は、制御基板280の下側、すなわち軸方向他方側を向く面と軸方向に接触する。なお、本実施形態において、磁気センサ保持部材270は、樹脂製である。
【0070】
接続部272は、保持部71の上端から径方向に延びる。本実施形態において、磁気センサ保持部材270は、一対の接続部272を有する。一方の接続部272は、保持部71から径方向内側に延びる。一方の接続部272の径方向内側の端部は、一方の基板孔部280dの下側に位置する。他方の接続部272は、保持部71から径方向外側に延びる。他方の接続部272の径方向外側の端部は、他方の基板孔部280dの下側に位置する。一対の接続部272のそれぞれは、制御基板280の下側を向く面と軸方向に接触する。
【0071】
固定部273は、接続部272から軸方向に延びる。より詳細には、固定部273は、接続部272から上側に延びる。本実施形態において、磁気センサ保持部材270は、一対の固定部273を有する。一方の固定部273は、一方の接続部272の径方向内側の端部から上側に延び、一方の基板孔部280dを軸方向に通される。他方の固定部273は、他方の接続部272の径方向外側の端部から上側に延び、他方の基板孔部280dを軸方向に通される。一対の固定部273それぞれの上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)の端部は、制御基板280の上側を向く面に沿って広がる。一対の固定部273それぞれの上側の端部は、制御基板280の上側を向く面のうち基板孔部280dの縁部と軸方向に接触する。本実施形態において、一対の固定部273それぞれの上側の端部は、熱かしめによって溶融され、制御基板280の上側を向く面に沿って広がる。
【0072】
本実施形態によれば、制御基板280は、制御基板280を軸方向に貫通する基板孔部280dを有し、磁気センサ保持部材270は、軸方向に延び、基板孔部280dを軸方向に通される固定部273を有する。そのため、基板孔部280dの内側面によって、制御基板280に対する固定部273の周方向の位置および径方向の位置がずれることを抑制できる。これにより、制御基板280に対する磁気センサ保持部材270および磁気センサ82それぞれの周方向の位置および径方向の位置を精度よく決めることができる。したがって、マグネット24bに対する素子部82aの周方向の位置および径方向の位置を精度よく決めることができるため、磁気センサ82によって、ロータ21の回転速度および位相をより精度よく検出できる。よって、電動アクチュエータ201の駆動時において、ロータ21および出力シャフト46それぞれの回転速度をより安定させることができるとともに、ロータ21および出力シャフト46それぞれの周方向の位置精度をより高めることができる。
【0073】
本実施形態によれば、保持部71は、制御基板280の下側、すなわち軸方向他方側(-Z側)を向く面と軸方向に接触し、固定部273の上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)の端部は、制御基板280の上側を向く面に沿って広がり、制御基板280の上側を向く面のうち基板孔部280dの縁部と軸方向に接触する。これらにより、制御基板280に対する磁気センサ保持部材270および磁気センサ82の軸方向の位置をより精度よく決めることができるため、マグネット24bに対する素子部82aの軸方向の位置をより精度よく決めることができる。したがって、磁気センサ82によって、ロータ21の回転速度および位相をより精度よく検出できる。
【0074】
また、本実施形態では、基板孔部280dを軸方向に通された固定部273の上側の端部に熱かしめを行う簡易な作業によって、磁気センサ保持部材270を制御基板280に固定できる。よって、制御基板280に磁気センサ保持部材270を固定する作業の簡易化を図ることができるため、電動アクチュエータ201の製造工数が増大することを抑制できる。また、例えば、ねじ等の別途の部材を用いることなく、磁気センサ保持部材270を制御基板280に固定できるため、電動アクチュエータ201の部品点数および製造コストが増大することを抑制できる。
【0075】
<第3実施形態>
図8は、第3実施形態の磁気センサ保持部材370を示す断面図である。以下の説明において、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0076】
本実施形態において、制御基板380は、基板孔部380dを有する。基板孔部380dは、制御基板380を軸方向に貫通する孔である。図示は省略するが、本実施形態において、制御基板380は、6個の基板孔部380dを有する。3個の基板孔部380dのそれぞれは、互いに異なる端子接続孔80cの径方向内側に配置され、他の3個の基板孔部380dのそれぞれは、互いに異なる端子接続孔80cの径方向外側に配置される。図8に示すように、2個の基板孔部380dは、1つの端子接続孔80cを径方向に挟んで配置される。以下の説明では、端子接続孔80cの径方向内側に配置される基板孔部380dを一方の基板孔部380dと呼ぶ場合がある。また、端子接続孔80cの径方向外側に配置される基板孔部380dを他方の基板孔部380dと呼ぶ場合がある。なお、本実施形態において、2個の基板孔部380dは、端子接続孔80cの周方向両側に配置されていてもよい。
【0077】
本実施形態の磁気センサ保持部材370は、保持部71と、接続部272と、固定部373と、を有する。本実施形態の保持部71および接続部272の構成等は、上述の実施形態の保持部71および接続部272の構成等と同一である。保持部71は、制御基板380の下側、すなわち軸方向他方側を向く面と軸方向に接触する。なお、本実施形態において、磁気センサ保持部材370は、樹脂製である。磁気センサ保持部材370は、金属製であってもよい。
【0078】
固定部373は、接続部272から軸方向に延びる。より詳細には、固定部373は、接続部272から上側に延びる。本実施形態において、磁気センサ保持部材370は、一対の固定部373を有する。一方の固定部373は、一方の基板孔部380dを軸方向に通される。他方の固定部373は、他方の基板孔部380dを軸方向に通される。固定部373は、挿通部373aと、爪部373bと、を有する。
【0079】
挿通部373aは、接続部272から上側に延び、基板孔部380dを軸方向に通される。より詳細には、一方の挿通部373aは、一方の接続部272の径方向内側の端部から上側に延び、一方の基板孔部380dを軸方向に通される。他方の挿通部373aは、他方の接続部272の径方向外側の端部から上側に延び、他方の基板孔部380dを軸方向に通される。各挿通部373aの上側の端部は、制御基板380よりも上側に位置する。
【0080】
爪部373bは、挿通部373aの上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)の部分から制御基板380の上側を向く面に沿って突出する。より詳細には、一方の爪部373bは、一方の挿通部373aの上側の端部から径方向内側に突出する。周方向に見て、一方の爪部373bは、径方向内側に向かうにしたがって軸方向の寸法が小さくなる略直角三角形状である。一方の爪部373bは、径方向内側に向かうにしたがって、すなわち爪部373bが突出する方向に向かうにしたがって、下側に位置する傾斜面373cを有する。他方の爪部373bは、他方の挿通部373aの上側の部分から径方向外側に突出する。周方向に見て、他方の爪部373bは、径方向外側に向かうにしたがって軸方向の寸法が小さくなる略直角三角形状である。他方の爪部373bは、径方向外側に向かうにしたがって、爪部373bが突出する方向に向かうにしたがって、下側に位置する傾斜面373cを有する。本実施形態において、爪部373bの径方向の寸法は、基板孔部380dの径方向の寸法よりも小さい。
【0081】
各爪部373bそれぞれの下側、すなわち軸方向他方側を向く面は、制御基板380の上側を向く面のうち基板孔部380dの縁部と軸方向に接触する。これにより、制御基板380に対して、磁気センサ保持部材370が下側に移動することを抑制できる。本実施形態において、一方の挿通部373aは、径方向外側、すなわち、一方の爪部373bが突出する方向に弾性変形可能である。また、他方の挿通部373aは、径方向内側、すなわち、他方の爪部373bが突出する方向に弾性変形可能である。
【0082】
本実施形態によれば、保持部71は、制御基板380の下側、すなわち軸方向他方側(-Z側)を向く面と軸方向に接触し、固定部373は、基板孔部380dを軸方向に通される挿通部373aと、挿通部373aの上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)の部分から制御基板380の上側を向く面に沿って突出する爪部373bと、を有し、挿通部373aは、爪部373bが突出する方向に弾性変形可能であり、爪部373bの下側を向く面は、制御基板380の上側を向く面のうち基板孔部380dの縁部と軸方向に接触する。磁気センサ保持部材370を制御基板380に固定する作業において、作業者等は、制御基板380の下側から磁気センサ保持部材370を上側に移動させて、固定部373を基板孔部380dに通す。このとき、基板孔部380dの内側面と爪部373bとが径方向に接触すると、挿通部373aが径方向に撓むため、爪部373bが制御基板380の下側を向く面に引っ掛かることを抑制できる。よって、容易に爪部373bを基板孔部380dに通すことができる。また、爪部373bが基板孔部380dを通過し、制御基板380の上側に位置すると、挿通部373aの復元力により、爪部373bは、爪部373bが突出する方向に移動できる。これにより、爪部373bの下側を向く面と制御基板380の上側を向く面とを軸方向に接触させることができるため、制御基板380に対して磁気センサ保持部材370が下側に移動することを抑制できる。また、保持部71が、制御基板380の下側を向く面と軸方向に接触する。これらにより、磁気センサ保持部材370を制御基板380に固定できる。したがって、制御基板380の下側から磁気センサ保持部材370を上側に移動させる簡易な作業のみによって、磁気センサ保持部材370を制御基板380に固定できるため、電動アクチュエータ301の製造工数が増大することを抑制できる。
【0083】
また、本実施形態では、爪部373bは、爪部373bが突出する方向に向かうにしたがって下側に位置する傾斜面373cを有する。よって、上述の磁気センサ保持部材370を制御基板380に固定する作業において、爪部373bが、制御基板380の下側を向く面に引っ掛かることをより好適に抑制できる。したがって、より容易に爪部373bを基板孔部380dに通すことができるため、より容易に磁気センサ保持部材370を制御基板380に固定できる。よって、電動アクチュエータ301の製造工数が増大することをより好適に抑制できる。
【0084】
また、本実施形態では、例えば、ねじ等の別途の部材を用いることなく、磁気センサ保持部材370を制御基板380に固定できるため、電動アクチュエータ301の部品点数および製造コストが増大することを抑制できる。
【0085】
本実施形態によれば、磁気センサ保持部材370は、基板孔部380dを軸方向に通される固定部373を有するため、上述の第2実施形態と同様に、基板孔部380dの内側面によって、制御基板380に対する磁気センサ保持部材370および磁気センサ82それぞれの周方向の位置および径方向の位置を精度よく決めることができる。したがって、マグネット24bに対する素子部82aの周方向の位置および径方向の位置を精度よく決めることができるため、磁気センサ82によって、ロータ21の回転速度および位相を精度よく検出できる。
【0086】
<第4実施形態>
図9は、第4実施形態の磁気センサ保持部材470を示す断面図である。以下の説明において、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0087】
本実施形態の磁気センサ保持部材470は、延伸部471と、保持部472と、固定部473と、を有する。本実施形態において、磁気センサ保持部材470は、金属製である。特に、本実施形態の磁気センサ保持部材470は、プレス加工によって成形できる。
【0088】
延伸部471は、軸方向に延びる板状である。延伸部471の板面は、径方向を向く。図示は省略するが、径方向に見て、延伸部471は、軸方向に延びる略矩形状である。延伸部471の上側の端部は、制御基板80の下側を向く面と軸方向に接触する。本実施形態において、延伸部471は、端子接続孔80cおよび磁気センサ82よりも径方向外側に配置される。延伸部471は、端子接続孔80cおよび磁気センサ82よりも径方向外側に配置されてもよい。
【0089】
保持部472は、延伸部471から径方向内側に突出する略直方体状である。保持部472は、延伸部471の径方向内側を向く面と繋がる。保持部472には、保持部472を軸方向に貫通する保持孔472aが設けられる。これにより、保持部472は軸方向両側に開口する。軸方向に見て、保持孔472aは、略矩形状である。472aの2個の内側面は、径方向を向く。軸方向に見て、保持孔472aの径方向外側の端部は、保持部472の径方向外側の端部に位置する。図示は省略するが、軸方向に見て、各磁気センサ保持部材470それぞれの保持孔472aは、互いに異なる1組の端子接続孔80cと重なる。保持孔472aには、磁気センサ82の素子部82aが軸方向に通される。本実施形態において、素子部82aは、保持孔472aに嵌め合わされている。素子部82aは、保持部472の内側面に保持される。これにより、磁気センサ保持部材470は、磁気センサ82を保持する。なお、素子部82aは、保持孔71aの内側面に、例えば、接着等の他の方法によって保持されてもよい。
【0090】
固定部473は、延伸部471の上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)の端部から制御基板80の下側、すなわち軸方向他方側(-Z側)を向く面に沿って広がる。より詳細には、固定部473は、延伸部471の上側の端部から径方向外側に延びる板状である。周方向に見て、固定部473は略直角三角形状である。固定部473の上側を向く面は、制御基板80の下側を向く面と軸方向に接触する。固定部473の下側を向く面は、径方向外側に向かうにしたがって上側に位置する傾斜面である。なお、周方向に見て、固定部473は、略矩形状等の他の形状であってもよい。固定部473は、制御基板80に半田486によって固定される。これにより、磁気センサ保持部材470は、制御基板80に固定される。
【0091】
本実施形態によれば、磁気センサ保持部材470は、軸方向に延びる延伸部471と、延伸部471と繋がり軸方向両側に開口する保持部472と、延伸部471の上側、すなわち軸方向一方側の端部から制御基板80の下側、すなわち軸方向他方側を向く面に沿って広がる固定部473と、を有し、素子部82aは、保持部472の内側面に保持され、固定部473は、制御基板80に固定される。そのため、上述の基板固定工程において、あらかじめ制御基板80に固定された磁気センサ保持部材470の保持部472の内部に素子部82aを挿入する簡易な作業のみによって、磁気センサ保持部材470を介して、磁気センサ82を制御基板80に固定できる。したがって、電動アクチュエータ401の製造工数が増大することを抑制できる。
【0092】
また、本実施形態によれば、延伸部471が端子接続孔80cよりも径方向外側に配置される板状であるため、端子接続孔80cの下方側の空間が開放されている。よって、上述の基板固定工程において、端子部82bを端子接続孔80cに通す際に、作業者等は、端子部82bと端子接続孔80cそれぞれの位置を視認しつつ、端子部82bを掴んで端子接続孔80cに通すことができる。これらにより、より容易に端子部82bを端子接続孔80cに通すことができるため、より容易に磁気センサ82と制御基板80とを直接的に接続できる。したがって、基板固定工程の簡易化を図ることができるため、電動アクチュエータ401の製造工数が増大することをより好適に抑制できる。
【0093】
本実施形態によれば、固定部473は、制御基板80に半田486によって固定される。よって、固定部473と制御基板80とを半田付けによって固定する簡易な作業によって、磁気センサ保持部材470を制御基板80に固定できる。したがって、電動アクチュエータ401の製造工数が増大することを抑制できる。
【0094】
<第5実施形態>
図10は、第5実施形態の磁気センサ保持部材570を示す断面図である。以下の説明において、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0095】
本実施形態において、制御基板580は、基板孔部580dを有する。基板孔部580dは、制御基板580を軸方向に貫通する孔である。図示は省略するが、本実施形態において、制御基板580は、3個の基板孔部580dを有する。3個の基板孔部580dのそれぞれは、互いに異なる端子接続孔80cの径方向外側に配置される。
【0096】
本実施形態の磁気センサ保持部材570は、延伸部471と、保持部472と、固定部573と、を有する。本実施形態の延伸部471および保持部472の構成等は、上述の実施形態の延伸部471および保持部472の構成等と同一である。本実施形態において、磁気センサ保持部材570は、金属製である。磁気センサ保持部材570は、樹脂製であってもよい。
【0097】
固定部573は、延伸部471の上側の端部から制御基板80の下側を向く面に沿って広がる。固定部573は、延伸部471の上側の端部から径方向外側に延びる板状である。周方向に見て、固定部573は略矩形状である。固定部573の上側を向く面は、制御基板580の下側を向く面と軸方向に接触する。固定部573には、固定孔573aが設けられる。固定孔573aは、固定部573を軸方向に貫通する孔である。軸方向に見て、固定孔573aは、基板孔部580dと重なる。固定孔573aの内周面には、図示しない雌ねじが設けられる。ねじ579が、基板孔部580dを軸方向に通され、固定孔573aの雌ねじに締め込まれると、固定部573は、制御基板580にねじ579によって固定される。これにより、磁気センサ保持部材570は、制御基板580に固定される。
【0098】
よって、本実施形態によれば、固定部573と制御基板580とをねじ579によって固定する簡易な作業によって、磁気センサ保持部材570を制御基板580に固定できる。したがって、磁気センサ保持部材570を制御基板580に固定する作業の簡易化を図ることができるため、電動アクチュエータ501の製造工数が増大することを抑制できる。
【0099】
本実施形態によれば、磁気センサ保持部材570は、延伸部471と繋がり軸方向両側に開口する保持部472を有し、素子部82aは、保持部472の内側面に保持され、固定部573は、制御基板580に固定される。そのため、上述の基板固定工程において、あらかじめ制御基板580に固定された磁気センサ保持部材570の保持部472の内部に素子部82aを挿入する簡易な作業のみによって、磁気センサ保持部材570を介して、磁気センサ82を制御基板580に固定できる。したがって、電動アクチュエータ501の製造工数が増大することを抑制できる。
【0100】
以上に、本発明の実施形態を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0101】
電動アクチュエータが備える磁気センサの個数は、2個以下であってもよいし、4個以上であってもよい。また、磁気センサの構成は本実施形態に限定されず、例えば、磁気センサが有する端子の本数は、2本以下であってもよいし、4本以上であってもよい。
【0102】
減速機構の構成は、モータシャフトの回転を出力シャフトに伝達できるならば、特に限定されない。例えば、複数の突出部とフランジ部とは別体であってもよい。この場合、複数の突出部のそれぞれは、フランジ部を貫通する複数の孔のそれぞれに圧入等によって固定される。また、貫通孔部の個数および突出部の個数は、それぞれ、8つに限定されず、7つ以下でもよいし、9つ以上であってもよい。
【0103】
また、複数の突出部は外歯ギヤに設けられ、複数の貫通孔部は出力フランジ部に設けられてもよい。この場合、複数の突出部のそれぞれは、外歯ギヤから出力フランジ部に向かって、すなわち下側に向かって突出し、貫通孔部に挿入される。この場合、上側が軸方向一方側であり、下側が軸方向他方側になる。
【0104】
本発明が適用される電動アクチュエータの用途は、特に限定されない。電動アクチュエータは、運転者のシフト操作に基づいて駆動されるシフト・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載されてもよい。また、電動アクチュエータは、車両以外の機器に搭載されてもよい。なお、以上に、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0105】
1,101,201,301,401,501…電動アクチュエータ、20…モータ、21…ロータ、22…ステータ、24b…マグネット、30…伝達機構、46…出力シャフト、70,170,270,370,470,570…磁気センサ保持部材、71,171,472…保持部、71a…保持孔、80,280,380,580…制御基板、82…磁気センサ、82a…素子部、82b…端子部、86…接着剤、273,373,473,573…固定部、280d,380d,580d…基板孔部、373a…挿通部、373b…爪部、471…延伸部、472…保持部、486…半田、579…ねじ、J1…モータ軸、J2…偏心軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10