(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104027
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】配線保持構造
(51)【国際特許分類】
F02M 37/10 20060101AFI20240726BHJP
F02M 37/00 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
F02M37/10 D
F02M37/00 301L
F02M37/10 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008026
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川上 哲正
(72)【発明者】
【氏名】榊原 仁
(57)【要約】
【課題】燃料タンクに蓋部材を取り付ける際の燃料タンクとフランジユニットとの間への電気配線の噛み込みを抑制すること、及び、複数種類の電気配線同士の干渉を防止ないし抑制すると共に、ジョイント部に配設されるスプリングへの噛み込みを抑制する。
【解決手段】燃料タンク内に備えられ燃料供給装置における電気配線を保持する配線保持構造80であって、ジョイント部63には、複数種類の電気配線である第1リード線(燃料ポンプの電気配線)と第2リード線(センダゲージの電気配線)を保持する第1収容部100Aと第2収容部100Bが隣接して配設されている。そして、第1リード線を挿入する第1収容部100Aへの第1挿入部82と、第2リード線を挿入する第2収容部100Bへの第2挿入部86も仕切り壁部83を挟んで隣接して配設されている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクの開口孔を閉鎖しかつ外部と電気的に接続される電気コネクタを有する蓋部材と、
前記燃料タンク内に配置される電気機器側に設けられかつ前記蓋部材に上下方向に移動可能に連結されるジョイント部と、
前記電気コネクタと前記電気機器側の複数の電気機器とを電気的に接続する複数種類の電気配線と、を備える燃料供給装置において、
前記電気配線を保持する配線保持構造であって、
前記電気機器側のジョイント部には、前記複数種類の電気配線を保持する中空状の配線保持空間を複数個形成する収容部が形成されており、
前記収容部は少なくとも第1収容部と第2収容部とを備え、
前記第1収容部は第1フック壁部により包囲形成され、前記第2収容部は第2フック壁部により包囲形成されると共に、前記第1収容部と前記第2収容部とは隣接して配設されており、
前記隣接して配設される第1収容部の第1フック壁部と第2収容部の第2フック壁部の一部は共通部位の仕切り壁部を有して形成されており、当該仕切り壁部の両側の一方側が第1収容部に保持される一つの種類の電気配線が挿入される第1挿入部とされると共に、他方側が第2収容部に保持される他の種類の電気配線が挿入される第2挿入部とされており、異なる種類の電気配線の挿入部が前記仕切り壁部を挟んで隣接して配設されている配線保持構造。
【請求項2】
請求項1に記載の配線保持構造であって、
前記仕切り壁部の上下方向の長さは、当該仕切り壁部以外の第1フック壁部及び第2フック壁部の上下方向の長さより長く形成されており、前記仕切り壁部の上端部位置は前記第1挿入部及び第2挿入部の設定位置より上方位置となっている配線保持構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の配線保持構造であって、
前記隣接して配設される収容部は、前記ジョイント部内に配置されるスプリングに近い側の収容部の中空状の配線保持空間が、スプリングから遠い側の収容部の中空状の配線保持空間よりも小さく形成されている配線保持構造。
【請求項4】
請求項3に記載の配線保持構造であって、
前記ジョイント部内に配置されるスプリングに近い側の収容部の中空状の配線保持空間は、前記電気機器のセンダゲージの配線が保持される収容室であり、前記スプリングから遠い側の収容部の中空状の配線保持空間は、前記電気機器の燃料ポンプの配線が保持される収容室である配線保持構造。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の配線保持構造であって、
両側に複数の挿入部を形成する仕切り壁部の突出方向の先端部は、前記挿入部の位置より突出して形成されている配線保持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、配線保持構造に関する。詳しくは、燃料タンク内に配置される電気機器に接続する電気配線を、電気機器と燃料タンクの蓋部材とを伸縮自在に連結するジョイント部に保持するための配線保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から燃料タンク内に配設される電気機器の電気配線は、各種の方策で保持されている。例えば、特許文献1に示される配線保持構造がある。特許文献1に記載された配線保持構造は、電気機器側の複数の電気機器と蓋部材の複数の電気コネクタとを電気的に接続する複数種類の電気配線を、水平方向に延在させた状態で上下方向に移動可能に保持する保持溝を有する配線保持部材により保持する構造である。この配線保持部材は、電気機器側に設けられ、かつ蓋部材に上下方向に移動可能に連結されるジョイント部材に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の配線保持構造によると、電気配線が水平方向に延在させた状態で弛みをもって保持される。このため、燃料タンク内への電気機器側の挿入後における燃料タンクに蓋部材を取り付ける際の燃料供給装置の収縮時において、電気配線の弛み部分が燃料タンクの開口孔の投影範囲外にはみ出しやすい。したがって、燃料タンク(詳しくは開口孔の口縁部)と蓋部材との間に電気配線の弛み部分を噛み込むおそれがあった。
【0005】
また、上述の配線保持構造においては、接続先が異なる複数種類の電気配線を、配線保持部材の1カ所に束ねて保持する形態となっている。そして、上述した蓋部材に上下方向に移動可能に連結されるジョイント部には、通常、コイルスプリングが配置されている。これにより、複数種類の電気配線同士の予期しない干渉により、電気配線のコイルスプリングへの噛み込みが懸念される。特に、コイルスプリングに近い側に配置される電気配線の噛み込みが懸念される。
【0006】
而して、本明細書に開示の技術が解決しようとする課題は、上述した点に鑑みて創案されたものであって、複数種類の電気配線を区別して保持する複数の収容部を隣接して配設形成することにより、先ず、燃料タンクに蓋部材を取り付ける際の燃料供給装置の収縮時における燃料タンクと蓋部材との間に対する電気配線の噛み込みを抑制ないし防止することにある。そして、更に、複数種類の電気配線同士の干渉を防止ないし抑制すると共に、ジョイント部に配設されるスプリングへの噛み込みを防止ないし抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本明細書に開示の配線保持構造は、次の手段をとる。
【0008】
第1の手段は、燃料タンクの開口孔を閉鎖しかつ外部と電気的に接続される電気コネクタを有する蓋部材と、前記燃料タンク内に配置される電気機器側に設けられかつ前記蓋部材に上下方向に移動可能に連結されるジョイント部と、前記電気コネクタと前記電気機器側の複数の電気機器とを電気的に接続する複数種類の電気配線と、を備える燃料供給装置において、前記電気配線を保持する配線保持構造であって、前記電気機器側のジョイント部には、前記複数種類の電気配線を保持する中空状の配線保持空間を複数個形成する収容部が形成されており、前記収容部は少なくとも第1収容部と第2収容部とを備え、前記第1収容部は第1フック壁部により包囲形成され、前記第2収容部は第2フック壁部により包囲形成されると共に、前記第1収容部と前記第2収容部とは隣接して配設されており、前記隣接して配設される第1収容部の第1フック壁部と第2収容部の第2フック壁部の一部は共通部位の仕切り壁部を有して形成されており、当該仕切り壁部の両側の一方側が第1収容部に保持される一つの種類の電気配線が挿入される第1挿入部とされると共に、他方側が第2収容部に保持される他の種類の電気配線が挿入される第2挿入部とされており、異なる種類の電気配線の挿入部が前記仕切り壁部を挟んで隣接して配設されている配線保持構造である。
【0009】
第1の手段によると、燃料供給装置の電気機器側のジョイント部に、複数種類の電気配線を区別して保持する複数の収容部が隣接して配設形成される。これにより、複数種類の電気配線同士の予期しない干渉が防止ないし抑制される。
【0010】
また、第1の手段によると、電気機器側のジョイント部に配設される収容部に、電気配線が上下方向に延在させた状態で軸方向及び径方向に移動可能に保持される。これにより、燃料タンクに蓋部材を取り付ける際の燃料供給装置の収縮時における燃料タンクの開口孔の投影範囲外への電気配線のはみ出しを抑制できて、燃料タンクと蓋部材との間への電気配線の噛み込みを防止ないし抑制することができる。
【0011】
更に、第1の手段によれば、複数の収容部が隣接して配設され、かつ、複数の収容部の各挿入部が仕切壁部を挟んで隣接して配設される。これにより、複数種類の電気配線の各収容部への挿入を、同時に挿入することが可能であり、容易に挿入することができる。
【0012】
第2の手段は、前述した第1の手段の配線保持構造であって、前記仕切り壁部の上下方向の長さは、当該仕切り壁部以外の第1フック壁部及び第2フック壁部の上下方向の長さより長く形成されており、前記仕切り壁部の上端部位置は前記第1挿入部及び第2挿入部の設定位置より上方位置となっている配線保持構造である。
【0013】
第2の手段によれば、仕切り壁部は、第1フック壁部及び第2フック壁部より上下方向の長さが長く形成され、かつ、仕切り壁部の上端部位置は第1挿入部及び第2挿入部の設定位置より上方位置となっている。これにより、仕切り壁部に隣接して配設される各収容部は、確実に区別した状態として配設されるので、複数種類の電気配線を区別した状態として確実に挿入して保持することができる。
【0014】
第3の手段は、前述した第1の手段または第2の手段の配線保持構造であって、前記隣接して配設される収容部は、前記ジョイント部内に配置されるスプリングに近い側の収容部の中空状の配線保持空間が、スプリングから遠い側の収容部の中空状の配線保持空間よりも小さく形成されている配線保持構造である。
【0015】
第3の手段によれば、ジョイント部内に配置されるスプリングに近い側の収容部の配線保持空間が相対的に小さい。これにより、相対的に小さい保持空間により保持される電気配線は保持空間内において精度良く確実に保持されるので、スプリングへの噛み込みを確実に防止ないし抑制することができる。
【0016】
第4の手段は、前述した第3の配線保持構造であって、前記ジョイント部内に配置されるスプリングに近い側の収容部の中空状の配線保持空間は、前記電気機器のセンダゲージの配線が保持される収容室であり、前記スプリングから遠い側の収容部の中空状の配線保持空間は、前記電気機器の燃料ポンプの配線が保持される収容室である配線保持構造である。
【0017】
第4の手段によれば、センダゲージの配線が相対的に小さい保持空間の収容部により保持される。これにより、センダゲージの配線のスプリングへの噛み込みを確実に抑制ないし防止することができる。
【0018】
第5の手段は、前述した第1の手段または第2の手段配線保持構造であって、両側に複数の挿入部を形成する仕切り壁部の突出方向の先端部は、前記挿入部の位置より突出して形成されている配線保持構造である。
【0019】
第5の手段によれば、仕切り壁部の突出方向の先端部は、隣接する収容部の各挿入部の位置より突出して形成される。これにより、各挿入部への異なる種類の電気配線の挿入を間違いなく確実に、かつ容易に挿入することができる。
【発明の効果】
【0020】
本明細書に開示の配線保持構造によれば、複数種類の電気配線を区別して保持する複数の収容部を隣接して配設形成することにより、先ず、燃料タンクに蓋部材を取り付ける際の燃料供給装置の収縮時における燃料タンクと蓋部材との間に対する電気配線の噛み込みを防止ないし抑制することができる。そして、更に、複数種類の電気配線同士の干渉を防止ないし抑制すると共に、ジョイント部に配設されるスプリングへの噛み込みを防止ないし抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態にかかる燃料供給装置を示す斜視図である。
【
図6】電気配線を保持する収容部を備えるジョイント主体を示す斜視図である。
【
図7】電気配線を保持する収容部を備えるジョイント主体を示す正面図である。
【
図8】電気配線を保持する収容部を備えるジョイント主体を示す平面図である。
【
図9】電気配線を保持する収容部を備えるジョイント主体を示す左側面図である。
【
図10】電気配線を保持する収容部を備えるジョイント主体を示す右側面図である。
【
図11】収容部への電気配線の組付け手順の組付け前状態を示す図である。
【
図12】収容部への電気配線の組付け手順の組付け途中状態(その1)を示す図である。
【
図13】収容部への電気配線の組付け手順の組付け途中状態(その2)を示す図である。
【
図14】収容部への電気配線の組付け手順の組付け完了状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本明細書に開示の技術である配線保持構造の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、本実施形態の配線保持構造は、エンジンを搭載する自動車等の車両に搭載された燃料タンク内の燃料をエンジンへ供給する燃料供給装置に適用したものである。
【0023】
(実施形態)
先ず、本実施形態の全体構成について説明する。本実施形態の配線保持構造が適用される燃料供給装置の基本形態は、
図1~
図4に示される。
図1は燃料供給装置を示す斜視図、
図2は同じく正面図、
図3は同じく背面図、
図4は同じく左側面図、
図5は同じく右側面図である。図中の方位は、燃料供給装置の前後左右上下方向を示している。上下方向は、車両の燃料タンクに搭載された状態での重力方向いわゆる天地方向に対応する。また、前後左右方向は特定するものではない。
【0024】
(燃料タンク)
図2に示すように、燃料タンク10は中空容器状に形成されている。燃料タンク10は上壁部11及び底壁部12を有する。上壁部11には、円形孔状の開口孔13が形成されている。燃料タンク10は、車両に対して上壁部11及び底壁部12を水平状態として搭載される。燃料タンク10内には、例えば液体燃料としてのガソリンが貯留される。燃料タンク10は樹脂製である。燃料タンク10は、タンク内圧の変化や燃料量の変化によって変形(主に上下方向に伸縮)する。これにより、上壁部11と底壁部12との相対位置すなわち間隔が変化する。
【0025】
(燃料供給装置)
図1に示すように、燃料供給装置18は、フランジユニット20、ポンプユニット40及びジョイント部材63を備えている。ジョイント部材63は、フランジユニット20に上下方向に移動可能に連結されるととともに、ポンプユニット40に上下方向に回動可能に連結されている。
【0026】
(フランジユニット20)
フランジユニット20は円盤状のフランジ本体21を有している。
図2に示すように、フランジ本体21は、燃料タンク10の上壁部11に対して開口孔13を閉鎖するように設けられている。フランジユニット20は樹脂製である。フランジ本体21の外周部の下面には、上壁部11との間を弾性的にシールする円環状のシール部材22が装着されている。
【0027】
図1に示すように、フランジ本体21には、燃料吐出ポート23、第1電気コネクタ24及び第2電気コネクタ25が設けられている。燃料吐出ポート23は、
図1で見て、フランジ本体21の左端部に配置されている。両電気コネクタ24,25は、フランジ本体21の前部に左右横並び状に配置されている。フランジ本体21の下面側において、第1電気コネクタ24の左側部には、ペンクリップ形状の上部配線クリップ27が形成されている(
図1、
図2参照)。
【0028】
図3に示すように、フランジ本体21の後部には、中空容器状のキャニスタ部30が形成されている。キャニスタ部30は、フランジ本体21と同心状をなす略半円筒形状の外形を有する。キャニスタ部30内には、燃料タンク10内で発生した蒸発燃料を吸着、脱離可能な吸着材(例えば、活性炭)が収納されている。キャニスタ部30の上面側には、キャニスタ部30内に連通するエバポポート31、大気ポート32及びパージポート33が形成されている。
【0029】
図4、
図5に示すように、キャニスタ部30の前面側には、上下方向に直線状に延在する左右一対の固定側レール35が形成されている。両固定側レール35は左右対称状に形成されている。フランジユニット20は本明細書でいう「蓋部材」に相当する。
【0030】
(ポンプユニット40)
図2に示すように、ポンプユニット40は、サブタンク42、燃料ポンプ57及びセンダゲージ60を有する。
【0031】
(サブタンク42)
サブタンク42は、サブタンク本体43、カバー部材44、燃料フィルタ46、ポンプケース50、レギュレータケース52及びプレッシャレギュレータ55を有する。サブタンク本体43は、下面を開口する逆浅箱状に形成されている。サブタンク本体43は、平面視で左右方向を長くする長四角形状に形成されている。サブタンク本体43の後面下部の中央部左寄りの位置(
図3において右寄りの位置)には係合軸43aが形成されている。サブタンク本体43は樹脂製である。
【0032】
カバー部材44は、長四角形板状でかつ多数の開口を有する格子板状に形成されている。カバー部材44は樹脂製である。カバー部材44は、サブタンク本体43の下面開口部を覆うようにサブタンク本体43にスナップフィットにより結合されている。カバー部材44の下面には、多数の突起部44aが分散的に形成されている。
【0033】
燃料フィルタ46は、不織布からなる濾材により中空袋状に形成されてなる。燃料フィルタ46は、サブタンク本体43とカバー部材44との間に形成される内部空間に収容されている。燃料フィルタ46の外周縁部は、サブタンク本体43とカバー部材44との間に挟持されている。
【0034】
図1、
図2に示すように、ポンプケース50は、左右方向に延在する中空円筒状に形成されている。ポンプケース50は、サブタンク本体43上に設けられている。ポンプケース50の右端部には、燃料フィルタ46の吸入管46aが接続されている。ポンプケース50は樹脂製である。
【0035】
レギュレータケース52は中空円筒状に形成されている。レギュレータケース52はポンプケース50の左端部に接続されている。レギュレータケース52の一端部には燃料吐出部52aが形成されている。レギュレータケース52の他端部には排出管部52bが形成されている(
図5参照)。レギュレータケース52の右前方に向けられた側面部には、ペンクリップ形状の下部配線クリップ53が形成されている(
図1、
図2参照)。レギュレータケース52は樹脂製である。
【0036】
図2に示すように、プレッシャレギュレータ55はレギュレータケース52内に収容されている。プレッシャレギュレータ55は、燃料ポンプ57から吐出された加圧燃料すなわちエンジンに供給される燃料の圧力を所定の圧力に調整する。プレッシャレギュレータ55により調整された燃料は、レギュレータケース52の燃料吐出部52aから吐出される。また、プレッシャレギュレータ55で余剰となった燃料は、
図5に示される、レギュレータケース52の排出管部52bからサブタンク42内へ排出される。
【0037】
(燃料ポンプ57)
図2に示される、燃料ポンプ57は、モータ部とポンプ部とを備える電動式燃料ポンプである。燃料ポンプ57は略円柱状の外形を有する。燃料ポンプ57は、ポンプケース50内にモータ部を左方、ポンプ部を右方に向けた状態で収容されている。燃料ポンプ57が有する燃料吸入口は、ポンプケース50を介して燃料フィルタ46の吸入管46aと連通されている。燃料ポンプ57が有する燃料吐出口は、ポンプケース50及びレギュレータケース52を介してプレッシャレギュレータ55と連通されている。燃料ポンプ57の一端部(左端部)の前側部には、モータ部への電力を供給可能とする電気コネクタ部58が設けられている。燃料ポンプ57は本明細書でいう「電気機器」に相当する。
【0038】
(センダゲージ60)
図1、
図2に示すように、センダゲージ60は、燃料タンク10内の燃料の残量すなわち液面の位置を検出する液面計である。センダゲージ60は、アーム60a及びフロート60bを有する。センダゲージ60は、サブタンク本体43の右端部に設けられている。センダゲージ60の後側部には、電源端子、グランド端子、出力端子を有する電気コネクタ部61が設けられている(
図1参照)。センダゲージ60は本明細書でいう「電気機器」に相当する。また、燃料ポンプ57及びセンダゲージ60を有するポンプユニット40は本明細書でいう「電気機器側」に相当する。
【0039】
(ジョイント部材63)
図4、
図5に示すように、ジョイント部材63は、ジョイント主体64と、ジョイント副体66とを有する。なお、ジョイント主体64には本技術が特徴とする電気配線を保持する収容部100を備える。そのため、ジョイント主体64の単品部品の形態構造の詳細を
図6~
図10に示す。
図6は斜視図、
図7は正面図、
図8は平面図、
図9は左側面図、
図10は右側面図を示す。したがって、以後、ジョイント部材63の説明は、
図4~
図5、及び
図6~
図10を参照しつつ行う。なお、本技術の特徴構成の収容部100の詳細説明は後述する。
【0040】
図6および
図7に良く示されるように、ジョイント主体64は、前後方向に扁平をなしかつ上下方向に延在する縦長帯板状に形成されている。
図8に示されるように、ジョイント主体64の後面側には、左右一対の移動側レール65が形成されている。両移動側レール65は上下方向に直線状に延在する。両移動側レール65は左右対称状に形成されている。
【0041】
図4および
図5に示すように、ジョイント副体66は、前後方向に扁平をなしかつ上下方向に延在する縦長帯板状に形成されている。ジョイント副体66は、ジョイント主体64の縦方向の長さよりも短い縦方向長さを有する。ジョイント副体66は、ジョイント主体64の前面側に重ねるようにして結合されている。ジョイント主体64の前面の上部は、ジョイント副体66から露出されている。ジョイント主体64及びジョイント副体66は樹脂製である。ジョイント部材63は本明細書でいう「ジョイント部」に相当する。
【0042】
(フランジユニット20とジョイント部材63との連結)
図4、
図5に示すように、フランジユニット20の両固定側レール35に対してジョイント部材63の両移動側レール65が上下方向に移動可能に係合されている。すなわち、フランジユニット20とジョイント部材63とが上下方向に移動可能に連結されている。フランジユニット20とジョイント主体64との間には、両者を離間方向へ付勢するコイルスプリング67が介在されている。図示しないが、フランジユニット20とジョイント部材63との間には、両者間の相対的な移動量を所定の範囲内に規制する移動量規制手段が設けられている。
【0043】
(ポンプユニット40とジョイント部材63との連結)
図3に示すように、ポンプユニット40のサブタンク42の係合軸43aにジョイント部材63のジョイント副体66が上下方向(
図3中、矢印Y1,Y2方向参照)に回動可能に連結されている。
図3において、ジョイント主体64の紙面裏側にジョイント副体66が位置している。図示しないが、ポンプユニット40とジョイント部材63との間には、両者間の相対的な回動量を所定の範囲内に規制する回動量規制手段が設けられている。
【0044】
(フランジユニット20とポンプユニット40との配管)
図1に示すように、フランジユニット20の燃料吐出ポート23とポンプユニット40のレギュレータケース52の燃料吐出部52aとは、可撓性を有するホースからなる吐出燃料配管69を介して接続されている。
【0045】
(フランジユニット20と燃料ポンプ57との配線)
図1に示すように、フランジユニット20と燃料ポンプ57とは、4本の第1リード線71を介して電気的に接続されている。第1リード線71の一方(上側)の上側コネクタ部71aは、フランジユニット20の第1電気コネクタ24に接続されている。また、第1リード線71の他方(下側)の下側コネクタ部71bは、燃料ポンプ57の電気コネクタ部58に接続されている。第1リード線71は、燃料ポンプ57の駆動電力を供給するための電気配線である。第1リード線71は本明細書でいう「電気配線」に相当する。
【0046】
(フランジユニット20とセンダゲージ60との配線)
フランジユニット20とセンダゲージ60とは、3本の第2リード線72を介して電気的に接続される。第2リード線72の一方(上側)の上側コネクタ部72aは、フランジユニット20の第2電気コネクタ25に接続されている。また、第2リード線72の他方(下側)の下側コネクタ部72bは、センダゲージ60の電気コネクタ部61に接続されている。第2リード線72は、第1リード線71より細い太さを有する。第2リード線72は、センダゲージ60からの検出信号を送信するための電気配線である。第2リード線72は本明細書でいう「電気配線」に相当する。
【0047】
(両リード線71,72の位置決め)
第1リード線71の上端部は、フランジユニット20の上部配線クリップ27に掛装されて位置決めされている。第1リード線71の下端部は、レギュレータケース52の下部配線クリップ53に掛装されて位置決めされている。第2リード線72の下部は、下側コネクタ部72bから左方へ引き出されてレギュレータケース52の下部配線クリップ53に掛装されて位置決めされている。上部配線クリップ27と下部配線クリップ53との間において、両リード線71,72には、フランジユニット20に対するポンプユニット40の上下方向の最大移動量及び上下方向の最大回動量を考慮した長さが確保されている。このため、両リード線71,72は、燃料タンク10に対する燃料供給装置18の設置状態(
図2参照)において平面視でΩ字状の弛みをもって配線されている。なお、本技術が特徴とする、両配線クリップ27,53間の両リード線71,72の保持にかかる配線保持構造80の収容部100の詳細については後で詳述する。
【0048】
(燃料供給装置18の設置)
図2、
図3に示すように、燃料供給装置18は、燃料タンク10への設置に際して伸長状態とされる。この伸長状態では、フランジユニット20にジョイント部材63が懸吊されるとともに、ジョイント部材63にポンプユニット40が懸吊される。すなわち、ジョイント部材63がフランジユニット20に対する最下方位置に下降されるとともに、ポンプユニット40がジョイント部材63に対する右下がりの傾斜状態に回動される(
図3中、二点鎖線40参照)。
【0049】
次に、燃料供給装置18を伸長状態のまま、ポンプユニット40を燃料タンク10の開口孔13内から挿入させる。燃料タンク10の底壁部12にポンプユニット40の下端部が当接した後、ポンプユニット40がジョイント部材63に対して懸吊時とは反対方向へ回動されることにより、燃料タンク10の底壁部12上に水平状に載置される(
図2参照)。
【0050】
次に、フランジユニット20がコイルスプリング67の付勢力に抗して押し下げられることにより、キャニスタ部30が燃料タンク10の開口孔13内に嵌合される。この状態で、フランジ本体21の外周部が燃料タンク10の上壁部11に固定金具、ボルト等の固定手段(不図示)を介して固定される。上記のようにして、燃料タンク10に対する燃料供給装置18の設置が完了する(
図2参照)。
【0051】
燃料供給装置18の設置状態において、ポンプユニット40は、コイルスプリング67の付勢力によって燃料タンク10の底壁部12に押し付けられた状態に保持される。また、図示しないが、フランジユニット20の燃料吐出ポート23には、エンジンにつながる燃料供給配管が接続される。また、第1電気コネクタ24及び第2電気コネクタ25には、車両のバッテリ及び制御回路にそれぞれ外部コネクタが接続される。また、エバポポート31には、燃料タンク10のブリーザ配管につながる蒸発燃料通路が接続される。また、大気ポート32は、大気に開放される。また、パージポート33は、エンジンの吸気通路につながるパージ通路が接続される。
【0052】
(燃料供給装置18の作動)
図1および
図2において、燃料ポンプ57が外部からの駆動電力により駆動されると、燃料タンク10内からサブタンク42内に流入した燃料が、燃料フィルタ46を介して燃料ポンプ57に吸入されて加圧される。燃料ポンプ57から吐出された加圧燃料は、プレッシャレギュレータ55により調圧される。調圧された加圧燃料は、吐出燃料配管69によりフランジユニット20の燃料吐出ポート23へ流れ、燃料吐出ポート23から燃料供給配管を介してエンジンへ供給される。また、プレッシャレギュレータ55の調圧により余剰となった燃料は、レギュレータケース52の排出管部52b(
図5参照)からサブタンク42内に排出される。
【0053】
また、燃料タンク10内で発生した蒸発燃料は、蒸発燃料通路からエバポポート31を介してキャニスタ部30に導入されて吸着される。また、キャニスタ部30内に吸着された蒸発燃料は、吸気負圧により脱離され、パージポート33からパージ通路を介して吸気通路へパージされる。また、キャニスタ部30から蒸発燃料が脱離されるときにキャニスタ部30内に大気が導入される。
【0054】
ところで、前述もしたように、燃料タンク10は、気温の変化や燃料量の変化等によるタンク内圧の変化によって変形すなわち膨張及び収縮する。これにともない、燃料タンク10の高さが変化(増減)する。この場合、フランジユニット20とジョイント部材63とが、相対的に上下方向に移動することにより、燃料タンク10の高さの変化に燃料供給装置18が追従する。
【0055】
(燃料タンク10内へのポンプユニット40の挿入後のフランジユニット20の取り付けに際しての燃料供給装置18の収縮時における不具合)
前に述べたように、両リード線71,72は、両配線クリップ27,53の間において弛みをもって配線されている。このため、以後に説明する本実施形態の配線保持構造80がジョイント部材63に設けられていない場合には、燃料タンク10にフランジユニット20を取り付ける際の燃料供給装置18の収縮時において、両リード線71,72の弛み部分が燃料タンク10の開口孔13の投影範囲外にはみ出すことが予測される。すると、そのはみ出し部分が燃料タンク10とフランジユニット20との間に噛み込まれるおそれがある。このような両リード線71,72の弛み部分の噛み込みを抑制するために、本実施形態の配線保持構造80が設けられている。この配線保持構造80が本技術における特徴構成である。
【0056】
また、
図2の正面視で見て理解できるように、センダゲージ60の第2リード線72は、ジョイント部材63に配設されるコイルスプリング67と同じ正面位置関係の配置状態とされている。このため、第2リード線72はコイルスプリング67の近傍を通って第2電気コネクタ25の上側コネクタ部72aに接続される。したがって、本実施形態のようにジョイント部材63に配設される配線保持構造80の収容部100が設けられていない場合には、第2リード線72がコイルスプリング67の巻き線の線間に噛み込みを生じる恐れがある。そうすると、コイルスプリング67が正常なスプリング作用をしなくなる恐れがある。特に、本実施形態では、第2リード線72はセンダ―ゲージ60の配線であり、比較的細い配線であるため、コイルスプリング67への噛み込みが生じ易い。
【0057】
(本技術の特徴構成“両リード線71,72の配線保持構造80”)
本技術の特徴構成である配線保持構造80は、
図1に示すように、ジョイント部材63の上部位置において、両リード線71,72を軸方向及び径方向に移動可能に保持する。
図8に良く示されるように、配線保持構造80は、ジョイント部材63のジョイント主体64の前面上部に形成された収容部100を備える。そして、収容部100は第1収容部100Aと第2収容部100Bとからなる。収容部100は全体が樹脂製で成形されて形成される。
【0058】
収容部100を備えるジョイント主体64に構成される配線保持構造80は、前述した
図6~
図10に示される。これらの各図に詳細が示されるように、配線保持構造80を構成する収容部100は、ジョイント主体64の前面部における上部位置に形成される。本技術における収容部100は、複数種類の電気配線を個別に保持する中空状の配線保持空間90が複数個形成される。本実施形態では、第1配線保持空間90Aと第2配線保持空間90Bの2個の配線保持空間90が形成される。
【0059】
第1配線保持空間90Aは燃料ポンプ57に配線される第1リード線71を保持する第1収容部100Aを形成する。
図8に示す平面図で見て、第1収容部100Aを形成する第1配線保持空間90Aは概略変形三角形形態として形成されている。
【0060】
第2配線保持空間90Bはセンダゲージ60に配線される第2リード線71を保持する第2収容部100Bを形成する。
図8に示す平面図で見て、第2収容部100Bを形成する第2配線保持空間90Bは、横長方向の長方形状として形成されている。なお、
図8で見て、第2配線保持空間90Bの上方位置は閉鎖部材87で覆われた閉鎖形態となっている。
【0061】
図6及び
図8に良く示されるように、第1収容部100Aと第2収容部100Bは左右方向に隣接して配設される。第1収容部100Aは第1フック壁部81により包囲形成される。第2収容部100Bは第2フック壁部85により包囲形成される。
【0062】
第1収容部100Aを形成する第1フック壁部81と、第2収容部100Bを形成する第2フック壁部85は、互いに隣接する一部の壁部が共通壁部となっており、仕切り壁部83となっている。仕切り壁部83は、
図9及び
図10に良く示されるように、上下方向に延在する帯板形状で、前後方向に延在する形態として配設されている。
【0063】
第1収容部100Aの前壁を形成する第1フック壁部81の前壁部位81aと、第2収容部100Bの前壁を形成する第2フック壁部85の前壁部位85aとは、前後方向に僅かオフセットして配設されている。本実施形態ではXだけオフセットされており、第2フック壁部85の前壁部位85aが前方にオフセットして配設されている。
【0064】
図8に良く示されるように、仕切り壁部83の左右方向の両側は、第1収容部100Aと第2収容部100Bへの各リード線71、72の挿入部82、86となっている。本実施形態では、仕切り壁部83の左側が、第1収容部100Aへ挿入される第1リード線71の第1挿入部82となっており、仕切り壁部83の右側が、第2収容部100Bへ挿入される第2リード線72の第2挿入部86となっている。すなわち、本実施形態では、異なる種類の電気配線71、72の挿入部82、86が仕切り壁部83を挟んで隣接して配設されている。
【0065】
図8に示されるように、挿入部82、86を形成する第1フック壁部81の前壁部位81aの先端部と、第2フック壁部85の前壁部位85aの先端部は、各リード線71、72の挿入を容易とするために、各挿入部82、86に向けて傾斜する傾斜面形状として形成されている。すなわち、第1フック壁部81の前壁部位81aの先端部は傾斜面81bとして形成されており、第2フック壁部85の前壁部位85aの先端部は傾斜面85bとして形成されている。また、
図7に示されるように、それぞれの先端部は下方に向けても傾斜面形状とされている。
【0066】
図8に示すように、本実施形態では、隣接して配設される第1収容部100Aと第2収容部100Bの配線保持空間90は、異なった大きさとして形成されている。本実施形態では、第1収容部100Aの配線保持空間90の方が相対的に大きく形成されており、第2収容部100Bの配線保持空間90の方が相対的に小さく形成されている。すなわち、第2収容部100Bの配線保持空間90は、第1収容部100Aの配線保持空間90より小さく形成されている。これは第2収容部100Bの形成位置が、ジョイント部63内に配置されるコイルスプリング67の配置位置と近いことによる。逆に、第1収容部100Aは、当該第1収容部100Aが保持する第1リード線71がコイルスプリング67を横切らない位置として設定されている。
【0067】
すなわち、本実施形態では、ジョイント部63内に配置されるコイルスプリング67に近い側の第2収容部100Bの配線保持空間90が、コイルスプリング67から遠い側の第1収容部100Aの配線保持空間よりも小さく形成されている。そして、本実施形態では、コイルスプリング67に近い側の第2収容部100Bの第2配線保持空間90Bに、センダゲージ60の配線の第2リード線72が保持される。コイルスプリング67から遠い側の第1収容部100Aの中空状の第1配線保持空間90Aに、燃料ポンプ57の配線の第1リード線71が保持される。
【0068】
なお、
図9及び
図10に示されるように、仕切り壁部83の上下方向の長さは、この仕切り壁部83以外の第1フック壁部81及び第2フック壁部85の上下方向の長さより長く形成されている。すなわち、仕切り壁部83の上下方向の長さL1(
図9参照)、第1フック壁部81の上下方向の長さL2(
図9参照)、第2フック壁部85の上下方向の長さL3(
図10参照)は、L1>L2、L3となっている。そして、
図6および
図7に示されるように、この仕切り壁部83の上端部位置83aは、第1挿入部82及び第2挿入部86の設定位置より上方位置となっている。
【0069】
(両リード線71、72の組付け作業)
次に、
図11~
図14に基づいて、配線保持構造80の第1収容部100A及び第2収容部100Bへの第1リード線71及び第2リード線72の組付け作業について説明する。この作業は、燃料供給装置18に対する両リード線71、72の配線作業の最後に行われる。
図11~
図14は収容部100への電気配線(リード線71、72)の組付け手順を示す。
図11は組付け前状態を示し、左手で第1リード線71を把持し、右手で第2リード線72を把持した状態を示す。
【0070】
図12は収容部100への組付け途中状態(その1)を示す。この状態は、
図11に示す左手と右手で別個に把持した各リード線71、72を、それぞれ挿入しようとする第1収容部100Aの第1挿入部82と、第2収容部100Bの第2挿入部86の前方位置まで引き寄せた状態を示す。
【0071】
図13は収容部100への組付け途中状態(その2)を示す。この状態は、
図12に示す状態から、左手で第1リード線71を第1収容部100Aの第1挿入部82に押し込み、同時に右手で第2リード線72を第2収容部100Bの第2挿入部86に押し込む状態を示す。
【0072】
図14は組付け完了状態を示す。この状態では、第1リード線71は4本とも、第1挿入部82から第1収容部100A内に完全に挿入されて、第1収容部100Aに保持された状態にある。また、第2リード線72は3本とも、第2挿入部86から第2収容部100B内に完全に挿入されて、第2収容部100Bに保持された状態にある。
【0073】
本実施形態においては、上述したように、電気配線の収容部を増加させた場合であっても、その収容部を隣接して配設し、かつ、その挿入部も隣接して設定することにより、1回の組付け作業で、同時に組付けることができて、組付け時間が延長することがなく、生産効率も落ちない利点がある。尤も、本実施形態においても、第1収容部100Aと第2収容部100Bへの各リード線71、72の組付け作業を別個に行うことを禁止するものではない。
【0074】
なお、上記組付け作業において、本実施形態によれば、仕切り壁部83の突出方向の先端部83bは、隣接して配設される各収容部100A、100Bの各挿入部82、86の位置より突出して形成されている。これにより、各挿入部82、86への異なる種類の電気配線、すなわち燃料ポンプ57の第1リード線71とセンダゲージ60の第2リード線72の挿入を、間違いなく、確実に、かつ容易に挿入することができる。
【0075】
(実施形態の作用効果)
次に、上記実施形態の作用効果を説明する。先ず、ジョイント部材63に配線保持構造80を設定したことにより、次の作用効果を奏する。ジョイント部材63に設けられた配線保持構造80の第1収容部100Aと第2収容部100Bにより、第1リード線71と第2リード線72が上下方向に延在させた状態で軸方向及び径方向に移動可能に保持されてジョイント部材63に保持される。これにより、燃料タンク10にフランジユニット20を取り付ける際の、燃料供給装置18の収縮時における燃料タンク10の開口孔13の投影範囲外への両リード線71、72のはみ出しを抑制することができる。そして、燃料タンク10とフランジユニット20との間への両リード線71、72の噛み込みを防止ないし抑制することができる。
【0076】
また、本実施形態によると、燃料供給装置18のジョイント部材63に、第1リード線71と第2リード線72を区別して保持する複数の第1収容部100Aと第2収容部100Bが隣接して配設される。これにより、複数種類の電気配線同士の予期しない干渉を防止ないし抑制することができる。
【0077】
更に、第1の手段によれば、複数の第1収容部100Aと第2収容部100Bが隣接して配設され、かつ、複数の第1収容部100Aと第2収容部100Bへの第1挿入部82と第2挿入部86が仕切り壁部83を挟んで隣接して配設される。これにより、複数種類の電気配線の各収容部100A、100Bへの挿入を、同時に挿入することが可能であり、容易に挿入することができる。
【0078】
また、本実施形態によれば、仕切り壁部83は、当該仕切り壁部83以外の第1フック壁部81及び第2フック壁部85の上下方向の長さより長く形成されている。そして、仕切り壁部83の上端部位置83aは第1挿入部82及び第2挿入部86の設定位置より上方位置となっている。これにより、仕切り壁部83に隣接して配設される第1収容部100Aと第2収容部100Bは、確実に区別した状態として配設されるので、複数種類の電気配線を区別した状態として確実に挿入して保持することができる。
【0079】
また、本実施形態によれば、ジョイント部63内に配置されるコイルスプリング67に近い側の第2収容部100Bの第2配線保持空間90Bが相対的に小さい。これにより、相対的に小さい保持空間により保持される電気配線は保持空間内において精度良く確実に保持される。このため、コイルスプリング67への噛み込みを確実に防止ないし抑制することができる。特に、本実施形態においては、第2収容部100Bには比較的細い線径のセンダゲージ60の第2リード線72が保持されるので、効果的に第2リード線72のコイルスプリング67への噛み込みが防止ないし抑制される。
【0080】
(その他の実施形態)
本明細書に開示の技術は、上記した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能なものである。
【0081】
例えば、ジョイント部材63のジョイント主体64とジョイント副体66とのうちの少なくともジョイント副体66はサブタンク本体43に固定状に設けてもよい。
【0082】
また、ジョイント主体64とジョイント副体66とは一体成形により形成してもよい。
【0083】
また、仕切り壁部83と第1フック壁部81および第1フック壁部81との上下方向の長さと、及び第1挿入部82および第2挿入部との位置関係は、上記実施形態に関係なく設定しても良い。但し、上記実施形態の利点を得られない不利は生じる。
【0084】
また、第1配線保持空間90Aと第2配線保持空間90Bの大きさも、上記実施形態に関係なく設定しても良い。但し、上記実施形態の利点を得られない不利は生じる。
【0085】
また、仕切り壁部83の突出方向の先端部83bの位置も、上記実施形態に関係なく設定しても良い。但し、上記実施形態の利点を得られない不利は生じる。
【符号の説明】
【0086】
10 燃料タンク
11 上壁部
12 底壁部
13 開口孔
18 燃料供給装置
20 フランジユニット(蓋部材)
21 フランジ本体
22 シール部材
23 燃料吐出ポート
24 第1電気コネクタ
25 第2電気コネクタ
27 上部配線クリップ
30 キャニスタ部
31 エバポポート
32 大気ポート
33 パージポート
40 ポンプユニット(電気機器側)
42 サブタンク
43 サブタンク本体
44 カバー部材
46 燃料フィルタ
50 ポンプケース
52 レギュレータケース
52a 燃料吐出部
52b 排出管部
53 下部配線クリップ
55 プレッシャレギュレータ
57 燃料ポンプ(電気機器)
58 電気コネクタ部
60 センダゲージ(電気機器)
60a アーム
60b フロート
61 電気コネクタ部
63 ジョイント部材(ジョイント部)
64 ジョイント主体
65 移動側レール
66 ジョイント副体
67 コイルスプリング
69 吐出燃料配管
71 第1リード線(電気配線)
71a 上側コネクタ部
71b 下側コネクタ部
72 第2リード線(電気配線)
72a 上側コネクタ部
72b 下側コネクタ部
80 配線保持構造
81 第1フック壁部
81b 傾斜面
82 第1挿入部
83 仕切り壁部
83a 上端部位置
83b 突出方向の先端部
85 第2フック壁部
85b 傾斜面
86 第2挿入部
87 閉鎖部材
90 配線保持空間
90A 第1配線保持空間
90B 第2配線保持空間
100 収容部
100A 第1収容部
100B 第2収容部