(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104033
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】診療装置、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
A61C 19/00 20060101AFI20240726BHJP
A61B 90/20 20160101ALI20240726BHJP
A61C 19/04 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
A61C19/00 B
A61B90/20
A61C19/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008038
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000138185
【氏名又は名称】株式会社モリタ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 勇貴
(72)【発明者】
【氏名】高橋 和基
(72)【発明者】
【氏名】木下 和也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 恭平
(72)【発明者】
【氏名】小向 倖平
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052LL02
4C052LL07
4C052LL09
4C052NN04
4C052NN15
4C052NN16
(57)【要約】
【課題】術者が直接手で顕微鏡を移動させることなく、接触感染のリスクを低減できる診療装置、制御方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】歯科用の診療装置1であって、患者を載置する診療台220と、診療台220に載置した患者の口腔内を観察する顕微鏡100と、診療台220の高さまたは姿勢を制御し、顕微鏡100の患者に対する位置を制御するユニット制御部210aと、ユニット制御部210aに接続され、術者が足で診療台220を操作する複数の操作部を有するフットコントローラ214と、を備える。フットコントローラ214は、複数の操作部の一部に顕微鏡100の操作が割り付けることが可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用の診療装置であって、
患者を載置する診療台と、
前記診療台に載置した前記患者の口腔内を観察する顕微鏡と、
前記診療台の高さまたは姿勢を制御し、前記顕微鏡の前記患者に対する位置を制御する制御装置と、
前記制御装置に接続され、術者が足で前記診療台を操作する複数の操作部を有するフットコントローラと、を備え、
前記フットコントローラは、前記複数の操作部の一部に前記顕微鏡の操作が割り付けることが可能である、診療装置。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記フットコントローラに設定することができる操作モードとして、前記複数の操作部に前記診療台の操作が割り付けられている第1操作モードと、前記複数の操作部の一部に前記顕微鏡の操作が割り付けられている第2操作モードと、を有し、
所定の条件を満たす場合に、前記第1操作モードから前記第2操作モードに前記フットコントローラの設定を切り替える、請求項1に記載の診療装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記操作モードを切り替える切替手段を有し、
術者が前記切替手段を操作した場合、前記所定の条件を満たしたとして、前記第1操作モードから前記第2操作モードに前記フットコントローラの設定を切り替える、請求項2に記載の診療装置。
【請求項4】
前記顕微鏡は、前記患者との距離を検出する測距手段を有し、
前記制御装置は、前記測距手段で前記顕微鏡と前記患者との距離が所定の距離以下と判断した場合、前記所定の条件を満たしたとして、前記第1操作モードから前記第2操作モードに前記フットコントローラの設定を切り替える、請求項2に記載の診療装置。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記診療台の高さまたは姿勢の制御を第1速度で行う通常モード、または前記第1速度より遅い第2速度で行うスローモードで行うことが可能で、
前記スローモードで前記診療台の高さまたは姿勢を制御している場合、前記所定の条件を満たしたとして、前記第1操作モードから前記第2操作モードに前記フットコントローラの設定を切り替える、請求項2に記載の診療装置。
【請求項6】
歯科用のインスツルメントをさらに備え、
前記制御装置は、
前記インスツルメントに関する駆動を制御することができ、
前記第1操作モードにおいて前記複数の操作部の一部に前記インスツルメントに関する操作が割り付けている場合、前記第2操作モードにおいて前記インスツルメントに関する操作を割り付けている操作部以外の前記複数の操作部の一部または全部に前記顕微鏡に関する操作を割り付ける、請求項2~請求項5のいずれか1項に記載の診療装置。
【請求項7】
前記顕微鏡は、複数のカメラと、少なくとも1つの表示装置とを有し、
前記表示装置は、前記複数のカメラから得られた画像を3次元画像として表示する、請求項2~請求項5のいずれか1項に記載の診療装置。
【請求項8】
前記表示装置は、前記複数のカメラから得られた画像を2次元画像として表示するか、3次元画像として表示するかを選択することができる、請求項7に記載の診療装置。
【請求項9】
前記表示装置は、前記フットコントローラに設定されている前記操作モードの情報を、前記複数のカメラから得られた画像に重畳して表示することができる、請求項7に記載の診療装置。
【請求項10】
前記表示装置は、術者が頭部に装着できるゴーグル型のデバイスである、請求項7に記載の診療装置。
【請求項11】
前記表示装置は、術者が頭部に装着できるゴーグル型のデバイスと、フラットパネルディスプレイと、を含む、請求項7に記載の診療装置。
【請求項12】
患者を載置する診療台と、前記診療台に載置した前記患者の口腔内を観察する顕微鏡と、前記診療台の高さまたは姿勢を制御し、前記顕微鏡の前記患者に対する位置を制御する制御装置と、前記制御装置に接続され、術者が足で前記診療台を操作する複数の操作部を有するフットコントローラと、を備える歯科用の診療装置の制御方法であって、
前記フットコントローラに設定することができる操作モードとして、前記複数の操作部に前記診療台の操作が割り付けられている第1操作モードを設定するステップと、
所定の条件を満たすか否かを判断するステップと、
前記所定の条件を満たすと判断した場合、前記第1操作モードから前記複数の操作部の一部に前記顕微鏡の操作が割り付けられている第2操作モードに前記フットコントローラの設定を切り替えるステップと、を含む、制御方法。
【請求項13】
患者を載置する診療台と、前記診療台に載置した前記患者の口腔内を観察する顕微鏡と、前記診療台の高さまたは姿勢を制御し、前記顕微鏡の前記患者に対する位置を制御する制御装置と、前記制御装置に接続され、術者が足で前記診療台を操作する複数の操作部を有するフットコントローラと、を備える歯科用の診療装置の前記制御装置で実行されるプログラムであって、
前記フットコントローラに設定することができる操作モードとして、前記複数の操作部に前記診療台の操作が割り付けられている第1操作モードを設定するステップと、
所定の条件を満たすか否かを判断するステップと、
前記所定の条件を満たすと判断した場合、前記第1操作モードから前記複数の操作部の一部に前記顕微鏡の操作が割り付けられている第2操作モードに前記フットコントローラの設定を切り替えるステップと、を含む、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、診療装置、制御方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、歯科医療分野では、根管治療などの際に、顕微鏡を用いて歯牙を観察して治療することが行われている。特開2003-052718号公報(特許文献1)には、顕微鏡付の診療台が記載されている。顕微鏡付の診療台では、診療台の近傍に配置された支持アームに顕微鏡が支持されており、術者が顕微鏡で歯牙を観察しながら精密な診療を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、顕微鏡は、高倍率で精密に歯牙を観察することができる反面、支持アームに支持された顕微鏡を術者が直接手で移動させると、観察する視野が大きく移動してしまい微調節することが困難であった。また、診療中の術者が、顕微鏡に直接手で触れることにより接触感染のリスクが高まる問題があった。
【0005】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、術者が直接手で顕微鏡を移動させることなく、接触感染のリスクを低減できる診療装置、制御方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の歯科用の診療装置であって、患者を載置する診療台と、診療台に載置した患者の口腔内を観察する顕微鏡と、診療台の高さまたは姿勢を制御し、顕微鏡の患者に対する位置を制御する制御装置と、制御装置に接続され、術者が足で診療台を操作する複数の操作部を有するフットコントローラと、を備える。フットコントローラは、複数の操作部の一部に顕微鏡の操作が割り付けることが可能である。
【0007】
本開示の制御方法は、患者を載置する診療台と、診療台に載置した患者の口腔内を観察する顕微鏡と、診療台の高さまたは姿勢を制御し、顕微鏡の患者に対する位置を制御する制御装置と、制御装置に接続され、術者が足で診療台を操作する複数の操作部を有するフットコントローラと、を備える歯科用の診療装置の制御方法である。制御部は、フットコントローラに設定することができる操作モードとして、複数の操作部に診療台の操作が割り付けられている第1操作モードを設定するステップと、所定の条件を満たすか否かを判断するステップと、所定の条件を満たすと判断した場合、第1操作モードから複数の操作部の一部に顕微鏡の操作が割り付けられている第2操作モードにフットコントローラの設定を切り替えるステップと、を含む。
【0008】
本開示のプログラムは、患者を載置する診療台と、診療台に載置した患者の口腔内を観察する顕微鏡と、診療台の高さおよび姿勢を制御し、顕微鏡の患者に対する位置を制御する制御装置と、制御装置に接続され、術者が足で診療台を操作する複数の操作部を有するフットコントローラと、を備える歯科用の診療装置の制御装置で実行されるプログラムである。プログラムは、フットコントローラに設定することができる操作モードとして、複数の操作部に診療台の操作が割り付けられている第1操作モードを設定するステップと、所定の条件を満たすか否かを判断するステップと、所定の条件を満たすと判断した場合、第1操作モードから複数の操作部の一部に顕微鏡の操作が割り付けられている第2操作モードにフットコントローラの設定を切り替えるステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、制御装置で顕微鏡の患者に対する位置を制御することが可能で、フットコントローラの複数の操作部の一部に、顕微鏡の操作が割り付けられることで、診療中に術者が直接手で顕微鏡を移動させることなく、観察する視野を移動させることができ、接触感染のリスクを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態における診療装置の構成を概略的に示す斜視図である。
【
図2】実施の形態における顕微鏡を概略的に示す図である。
【
図3】実施の形態における診療装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】実施の形態における診療装置の操作モードの切り替えを説明するためのフローチャートである。
【
図5】実施の形態におけるフットコントローラの第1操作モードでの操作の割り付けを説明するための図である。
【
図6】実施の形態におけるフットコントローラの第2操作モードでの操作の割り付けを説明するための図である。
【
図7】実施の形態における診療装置の表示画像の切り替えを説明するためのフローチャートである。
【
図8】操作モードの情報を表示画像に重畳した表示を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について図に基づいて説明する。
【0012】
<実施の形態>
まず、本開示の実施の形態における診療装置の構成について説明する。本実施の形態では診療装置の一例として歯科用の診療装置について説明する。
【0013】
図1は、実施の形態における診療装置の構成を概略的に示す斜視図である。
図1で示すように、実施の形態に係る診療装置1は、顕微鏡100と、歯科診療ユニット200とで構成されている。
【0014】
歯科診療ユニット200は、
図1で示すように、診療器具213(インスツルメント)(213a~213e)を備えた器具台210と、施術対象である患者を載せて治療を行うための診療台220とで構成している。
【0015】
器具台210は、診療台220にアームを介して回動可能に取付けたテーブル211の手前側に器具ホルダ212を備えている。器具ホルダ212には、エアータービンハンドピース、マイクロモータハンドピースなどの切削工具やスケーラ、スリーウエイシリンジ、バキュームシリンジなどで構成する診療器具213(213a~213e)を着脱可能に取り付けてある。また、器具台210は、モニタ216が取り付けてある。モニタ216は、器具台210以外に、治療用スタンドポール230、診療台220を設置した部屋の壁などに取り付けてもよい。また、モニタ216は、1台に限定されない。
【0016】
診療器具213は、図示していないが、水供給源、エア供給源やエア吸引部に接続されている。診療器具213は、術者がフットコントローラ214、またはタッチパネル215を操作することで駆動する。
【0017】
患者を載せる診療台220は、
図1に示すように、基台221に昇降可能に載置された座部シートと、その座部シートの後方に連接された傾動可能な背板シート223と、その背板シート223の上端に連接された傾動可能なヘッドレスト224とを備えている。基台221、背板シート223、およびヘッドレスト224は、油圧シリンダや電動モータ等の駆動部によって駆動される。これらの駆動部の制御は、器具台210または背板シート223に内蔵されたユニット制御部210a(
図3参照)で行われている。なお、ユニット制御部210aは、診療台220以外に、診療器具213に関する駆動を制御することができる。
【0018】
ユニット制御部210aは、術者によるフットコントローラ214の足踏操作に基づき、基台221、背板シート223、およびヘッドレスト224の位置を変更して、診療台220の高さおよび姿勢を制御している。なお、診療台220は、基台221、背板シート223、およびヘッドレスト224のすべての位置を変更できる構成に限定されず、基台221のみ位置を変更できる構成、または背板シート223のみ位置を変更できる構成でもよい。そのため、ユニット制御部210aは、術者によるフットコントローラ214の操作に基づき、診療台220の高さまたは姿勢を制御できればよい。
【0019】
また、診療台220には、スピットン225および治療用スタンドポール230が付設されている。治療用スタンドポール230には、途中より分岐し、回動可能に突出させたアーム231と、上端に支持アーム300とが備えられている。アーム231の先端には、オペライト232が設けられている。また、支持アーム300の先端には、顕微鏡100が設けられている。なお、スピットン225は、口腔内を濯ぐ際などに給水する給水栓と、排唾鉢とを備えている。
【0020】
位置調整可能な支持アーム300によって顕微鏡100が支持されている。支持アーム300は、診療台220に付設された治療用スタンドポール230の上端に対して回動可能に設けられている。支持アーム300は、複数のアーム301がそれぞれ可動できるように複数の関節部301aで連結された多関節アーム式であり、アーム301の先端に取り付けられた顕微鏡100を、所望の位置に移動することができる。
【0021】
なお、支持アーム300は、診療台220に付設された治療用スタンドポール230に設けられると説明したが、天井、壁、あるいは床から延びるポール、診療台220とは別のスタンドに付設されたポール等に設けられてもよい。
【0022】
顕微鏡100は、カメラを用いて患者の口腔内を拡大して観察する構成であると以下説明するが、レンズ等の光学部品のみの構成(いわゆる、光学顕微鏡)でもよい。
図2は、実施の形態における顕微鏡を概略的に示す図である。顕微鏡100は、アーム301の先端に取り付けられる筐体10と、筐体10対して着脱可能なディスプレイ11と、筐体10対して位置を変更できる可動部12と、筐体10に設けられたハンドル13と、可動部12に取り付けられたカメラ14L,14Rおよび測距センサ15とを含む。
【0023】
筐体10は、アーム301の先端に設けた関節部301aから延びるアーム302に接続されている。術者が、筐体10に設けられたハンドル13を把持して筐体10を可動させることで、顕微鏡100を所望の位置に移動させる。
【0024】
しかし、顕微鏡100は、精密に歯牙を観察するため高倍率で患者の口腔内を観察する場合、術者がハンドル13を把持して観察する視野を微調節しようとすると、観察する視野が大きく移動して微調節することができない。そこで、筐体10対して位置を変更できる可動部12にカメラ14L,14Rを設けている。可動部12には、後述するようにステッピングモータが設けてあり、筐体10対して位置を変更できる。そのため、顕微鏡100は、筐体10対して可動部12の位置を変更することで、観察する視野を微調節することができる。
【0025】
筐体10対して可動部12の位置を変更するためには、術者による何らかの操作を必要とするが、診療中の術者が、可動部12の位置を変更するために、タッチパネル215等を操作すると接触感染のリスクが高くなる。そこで、本実施の形態に係る診療装置1では、後述するように所定の条件を満たした場合、フットコントローラ214で可動部12の位置を変更することができる。そのため、本実施の形態に係る診療装置1では、診療中に術者が直接手で顕微鏡100およびタッチパネル215等を触れることなく、観察する視野を微調整することができ、接触感染のリスクを低減できる。
【0026】
カメラ14L,14Rは、ステレオカメラであり、患者の口腔内を3次元画像で撮像することができる。顕微鏡100のカメラは、ステレオカメラに限定されず、1つのカメラで、三角法、合焦法などの原理を用いて患者の口腔内を3次元画像で撮像してもよい。また、顕微鏡100のカメラは、3次元画像に限定されず、3次元画像と2次元画像とを切り替えることができる構成でもあっても、2次元画像のみ撮像できる構成であってもよい。顕微鏡100は、カメラ14L,14Rの2つのカメラを有しているとして以下説明するが3つ以上のカメラを有していてもよい。
【0027】
ディスプレイ11は、カメラ14L,14Rで撮像した3次元画像を表示する。ディスプレイ11は、筐体10に取り付けられている場合、顕微鏡100の接眼部として機能するが、筐体10から取り外した場合、術者が頭部に装着できるゴーグル型のデバイス(ヘッドマウントディスプレイ(HMD))として機能する。ディスプレイ11は、メガネ型のヘッドアップディスプレイ(HUD)などのデバイスであってもよい。
【0028】
測距センサ15は、診療台220に載置されている患者と顕微鏡100との距離を測定するセンサである。測距センサ15は、たとえば、患者にレーザ光を照射する発光素子と、患者で反射したレーザ光を受ける受光素子を有するレーザ測距センサである。測距センサ15は、レーザ測距センサに限られず、超音波測距センサ、マイクロ波測距センサであってもよい。なお、測距センサ15は、一例であって患者と顕微鏡100との距離を測定する機能を有する測距手段であればよく、たとえばステレオカメラで患者と顕微鏡100との距離を測定したり、アーム301の角度から患者と顕微鏡100との距離を特定したり、アーム301の角度、基台221の位置および背板シート223の位置から患者と顕微鏡100との距離を特定したりしてもよい。
【0029】
次に、診療装置1による顕微鏡100の制御について説明する。
図3は、実施の形態における診療装置1の構成を示すブロック図である。顕微鏡100は、
図3に示すように、カメラ14L,14Rで撮像した画像を処理する画像処理部12aと、カメラ14L,14Rのカメラ間距離、各カメラの角度を制御するカメラ制御部12bと、カメラ14L,14Rの位置を変更するステッピングモータ12cとを有する。
【0030】
さらに、顕微鏡100は、可動部12の位置を制御するためのステージ制御部10aと、可動部12をX軸方向に位置を変更するためのステッピングモータ10bと、Y軸方向に位置を変更するためのステッピングモータ10cと、Z軸方向に位置を変更するためのステッピングモータ10dと、θ軸方向に位置を変更するためのステッピングモータ10eとを有する。また、顕微鏡100は、ディスプレイ11と、測距センサ15とを有する。
【0031】
画像処理部12a、カメラ制御部12b、およびステージ制御部10aは、CAN(Controller Area Network)通信を用いて、歯科診療ユニット200のユニット制御部210aと接続されている。そのため、ユニット制御部210aは、ユーザ操作部250からの操作信号に基づいて、画像処理部12a、カメラ制御部12b、およびステージ制御部10aに対して制御信号を送信する。具体的に、画像処理部12aは、ユニット制御部210aから画像を要求する制御信号を受け付けた場合、カメラ14L,14Rで撮像した画像をディスプレイ11に出力する。また、画像処理部12aは、ユニット制御部210aからズーム(ZOOM)を要求する制御信号を受け付けた場合、カメラ14L,14Rに対してZOOM要求を出力する。カメラ14L,14Rは、当該ZOOM要求に応じて、拡大した画像を画像処理部12aに送信する。
【0032】
カメラ制御部12bは、ユニット制御部210aからの制御信号に基づき、ステッピングモータ12cを駆動し、カメラ14L,14Rの位置を変更する。カメラ制御部12bは、カメラ14L,14Rの位置を変更して、ステレオカメラとして適切な3次元画像を撮像できるように調整する。ステージ制御部10aは、ユニット制御部210aからの制御信号に基づき、ステッピングモータ10b~10eを駆動し、可動部12の位置を変更する。可動部12の位置を変更することで、画像処理部12aは、観察する視野を移動させて所望の位置における患者の口腔内の3次元画像を得ることができる。
【0033】
歯科診療ユニット200には、ユニット制御部210a以外に、モニタ216、ユーザ操作部250、オペライト制御部15aを含む。モニタ216は、たとえば、LCD(Liquid Crystal Display)または有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどのフラットパネルディスプレイで構成される。また、モニタ216は、画像処理部12aから送信される画像データにより、2次元画像表示と3次元画像表示とを切り替えて表示可能なモニタである。もちろん、3次元画像表示のモニタ216aと、2次元画像表示のモニタ216bとに分けて、歯科診療ユニット200に設けてもよい。
【0034】
ユーザ操作部250には、たとえば、フットコントローラ214、タッチパネル215などが含まれる。フットコントローラ214は、術者などの足踏操作によって、診療台220、診療器具213を駆動するための操作を受け付けるとともに、後述する顕微鏡100を駆動するための操作を受け付ける。フットコントローラ214は、フットコントローラ制御部214Aを介してユニット制御部210aに接続されている。フットコントローラ制御部214Aは、フットコントローラ214による術者の足踏操作に基づいて操作信号を生成し、ユニット制御部210aに送信している。
【0035】
タッチパネル215は、器具台210に設けられた表示部に設けられており、表示部に表示されたボタン画像をタッチする操作によって、診療台220、診療器具213を駆動するための操作を受け付ける。タッチパネル215は、タッチパネル制御部215aを介してユニット制御部210aに接続されている。タッチパネル制御部215aは、タッチパネル215に対する術者のタッチ操作に基づいて操作信号を生成し、ユニット制御部210aに送信している。
【0036】
オペライト制御部15aは、測距センサ15からの出力信号に基づいて、診療台220に載置されている顕微鏡100と患者との距離データをユニット制御部210aに送信している。また、オペライト制御部15aは、測距センサ15で測定した距離に応じて、
図1に示すオペライト232を点灯または消灯する。
【0037】
ユニット制御部210aは、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)を備える。CPUは、ROM等に保存されている動作プログラムを実行することにより、診療装置1全体を総括的に制御する。ROMは、CPUが実行するプログラムやその他のデータを記憶する。RAMは、CPUがプログラムを実行する際の作業領域となるものであり、プログラムやプログラムを実行する際のデータ等を一時的に記憶する。なお、フットコントローラ制御部214A、タッチパネル制御部215a、およびオペライト制御部15aは、ユニット制御部210aのCPUの1つの機能として実現してもよい。もちろん、フットコントローラ制御部214A、タッチパネル制御部215a、およびオペライト制御部15aは、少なくとも1つのプロセッサのような半導体集積回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのDSP(Digital Signal Processor)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、および/またはその他の演算機能を有する回路によって構成されてもよい。
【0038】
さらに、画像処理部12a、カメラ制御部12b、およびステージ制御部10aは、少なくとも1つのプロセッサのような半導体集積回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路ASIC、少なくとも1つのDSP、少なくとも1つのFPGA、および/またはその他の演算機能を有する回路によって構成されている。もちろん、画像処理部12a、カメラ制御部12b、およびステージ制御部10aは、ユニット制御部210aのCPUの1つの機能として実現してもよい。
【0039】
[操作モードの切り替え]
次に、フットコントローラ214の操作モードの切り替えについて、フローチャートを用いて説明する。
図4は、実施の形態における診療装置1の操作モードの切り替えを説明するためのフローチャートである。まず、ユニット制御部210aは、タッチパネル215にある操作モードの切替ボタンの操作を受け付けたか否かを判断する(ステップS101)。具体的に、タッチパネル215には、フットコントローラ214を通常の診療台220の操作として使用する第1操作モードと、フットコントローラ214を顕微鏡100の操作として使用する第2操作モードとを切り替える切替ボタンがある。なお、切替ボタンは、一例であって操作モードを切り替える機能を有する切替手段であれば切替ボタンに限定されない。また、ユニット制御部210aは、背板シート223の位置から患者が立位治療を受けていると判断できる場合、誤って第2操作モードに切り替わらないように切替ボタンの操作を制限してもよい。
【0040】
切替ボタンの操作を受け付けていない場合(ステップS101でNO)、ユニット制御部210aは、測距センサ15で測定した顕微鏡100と患者との距離が所定の距離(たとえば、30cm)以下か否かを判断する(ステップS102)。具体的に、顕微鏡100と患者との距離が所定の距離以下となる場合とは、術者が、ハンドル13を把持して顕微鏡100を移動させ、患者の口腔内を顕微鏡100で拡大して観察できるようにセットした状態である。
【0041】
顕微鏡100と患者との距離が所定の距離より長い場合(ステップS102でNO)、ユニット制御部210aは、診療台220の制御がスローモードで駆動中か否かを判断する(ステップS103)。具体的に、診療台220の制御には、診療台220に患者が載っていないとき、基台221、背板シート223、およびヘッドレスト224を通常の速度(第1速度)で移動させる通常モードと、診療台220に患者が載っているとき、基台221、背板シート223、およびヘッドレスト224を通常の速度よりゆっくりした速度(第2速度)で移動させるスローモードとがある。そのため、診療台220の制御がスローモードで駆動中であるということは診療中であり、患者の口腔内を顕微鏡100で拡大して観察する可能性がある。
【0042】
診療台220の制御がスローモードで駆動中でない場合(ステップS103でNO)、ユニット制御部210aは、フットコントローラ214に設定する操作モードとして、複数の操作部に診療台220の操作が割り付けられている第1操作モードを設定する。
図5は、実施の形態におけるフットコントローラ214の第1操作モードでの操作の割り付けを説明するための図である。フットコントローラ214には、1つのボタン、4つのレバー、2つのペダルの7つの操作部を有している。第1操作モードでは、7つの操作部のそれぞれに対して、以下の操作が割り付けてある。
【0043】
フットコントローラ214は、
図5に示すように、真ん中にあるボタンがハンドピースの注水スイッチ214aとして割り付けられ、右側の前後レバーがマイクロモータ、超音波スケーラのモードを切り替える切替レバー214bとして割り付けられ、右側の上下レバーがオペライトのON/OFFを切り替える切替レバー214cとして割り付けられている。さらに、フットコントローラ214は、右側のペダルがマイクロモータの回転速度を変更するマイクロモータハンドピースペダル214dとして割り付けられ、左側のペダルがエアータービンの回転速度を変更するエアータービンハンドピースペダル214eとして割り付けられている。また、フットコントローラ214は、左側の上下レバーが基台221の昇降を行う昇降レバー214fとして割り付けられ、左側の前後レバーが背板シート223の起伏を行う起伏レバー214gとして割り付けられている。なお、
図5に示す第1操作モードで、各操作部に対して割り付けられている操作は一例であり、ユーザが各操作部に対して割り付ける操作を任意に設定することができる。
【0044】
フットコントローラ214は、第1操作モードにおいて、複数の操作部に診療台220の操作、および診療器具213の操作が割り付けられているだけで、顕微鏡100の操作が割り付けられていない。つまり、ユニット制御部210aは、ステップS101~ステップS103までの条件を、いずれも満たしていないと判断した場合(すべてのステップS101~S103でNO)、術者が顕微鏡100を使用しないと判断してフットコントローラ214の操作部に顕微鏡100の操作を割り付けない。
【0045】
一方、ステップS101~ステップS103までの条件のうち、いずれか1つの条件を満たした場合(ステップS101~S103のいずれか1つでYES)、ユニット制御部210aは、フットコントローラ214に設定する操作モードとして、複数の操作部に顕微鏡100の操作が割り付けられている第2操作モードを設定する。
図6は、実施の形態におけるフットコントローラ214の第2操作モードでの操作の割り付けを説明するための図である。第2操作モードでは、7つの操作部のそれぞれに対して、以下の操作が割り付けてある。
【0046】
フットコントローラ214は、
図6に示すように、真ん中にあるボタンが顕微鏡100の可動部12を移動させる十字キー214x(D-pad)として割り付けられ、右側の上下レバーが顕微鏡100の光量を調整する光量調整レバー214yとして割り付けられている。さらに、フットコントローラ214は、左側の上下レバーが顕微鏡100のズームイン、ズームアウトを行うズームスイッチ214zとして割り付けられ、左側の前後レバーが顕微鏡100のフォーカスを調整するフォーカス調整レバー214wとして割り付けられている。なお、
図6に示す第2操作モードで、各操作部に対して割り付けられている顕微鏡100の操作は一例であり、ユーザが各操作部に対して割り付ける顕微鏡100の操作を任意に設定することができる。
【0047】
図6に示す第2操作モードに設定したフットコントローラ214では、診療器具213の操作が割り付けられている操作部に、第1操作モードと同じ操作が割り付けられている。つまり、フットコントローラ214は、第2操作モードでも、右側の前後レバーがマイクロモータ、超音波スケーラのモードを切り替える切替レバー214bとして割り付けられている。さらに、フットコントローラ214は、第2操作モードでも、右側のペダルがマイクロモータの回転速度を変更するマイクロモータハンドピースペダル214dとして割り付けられ、左側のペダルがエアータービンの回転速度を変更するエアータービンハンドピースペダル214eとして割り付けられている。
図6に示すフットコントローラ214において、ハッチングで示した操作部だけに顕微鏡100の操作を割り付けている。そのため、術者は、操作モードの変更に関わらず、フットコントローラ214を同じ足踏操作で診療器具213を操作することができ、誤操作を防止できる。
【0048】
ユニット制御部210aは、第1操作モードにおいて複数の操作部の一部(たとえば、切替レバー214b、マイクロモータハンドピースペダル214d、エアータービンハンドピースペダル214e)に診療器具213に関する操作が割り付けている場合、第2操作モードにおいて診療器具213に関する操作を割り付けている操作部以外の複数の操作部の一部または全部に顕微鏡100に関する操作を割り付ける。これにより、診療装置1は、操作モードを変更しても術者が診療器具213に関する操作を誤って操作する虞がなく、安全に患者の診療を行うことができる。
【0049】
なお、
図4に示すフローチャートでは、ステップS101~ステップS103までの条件のうち、いずれか1つの条件を満たした場合(ステップS101~S103のいずれか1つでYES)、ユニット制御部210aは、フットコントローラ214に設定する操作モードを第2操作モードに設定すると説明した。しかし、ユニット制御部210aは、ステップS101~ステップS103までの条件のうち、いずれか1つの条件を判断する処理であってもよい。また、ユニット制御部210aは、ステップS101~ステップS103までの条件のうち、複数の条件を満たす場合に、フットコントローラ214に設定する操作モードを第2操作モードに設定してもよい。さらに、ステップS101~ステップS103までの条件は一例であり、ユニット制御部210aは、他の条件に基づいて、フットコントローラ214に設定する操作モードを第2操作モードに設定してもよい。
【0050】
次に、ユニット制御部210aは、停止操作を受け付けたか否かを判断する(ステップS106)。停止操作を受け付けていない場合(ステップS106でNO)、ユニット制御部210aは、処理をステップS101に戻す。一方、停止操作を受け付けた場合(ステップS106でYES)、ユニット制御部210aは、操作モードの切り替え処理を終了する。
【0051】
以上で説明した処理を診療装置1の制御方法として、以下のように説明することもできる。診療装置1の制御方法は、フットコントローラ214に設定することができる操作モードとして、複数の操作部に診療台220の操作が割り付けられている第1操作モードを設定するステップ(ステップS104)と、所定の条件を満たすか否かを判断するステップ(ステップS101~ステップS103)と、所定の条件を満たすと判断した場合、第1操作モードから複数の操作部の一部に顕微鏡100の操作が割り付けられている第2操作モードにフットコントローラ214の設定を切り替えるステップ(ステップS105)と、を含む。
【0052】
また、診療装置1の制御方法を、診療装置1のユニット制御部210aで実行されるプログラムの処理としても説明することもできる。診療装置1のユニット制御部210aで実行されるプログラムであって、フットコントローラ214に設定することができる操作モードとして、複数の操作部に診療台220の操作が割り付けられている第1操作モードを設定するステップ(ステップS104)と、所定の条件を満たすか否かを判断するステップ(ステップS101~ステップS103)と、所定の条件を満たすと判断した場合、第1操作モードから複数の操作部の一部に顕微鏡100の操作が割り付けられている第2操作モードにフットコントローラ214の設定を切り替えるステップ(ステップS105)と、を含む。
【0053】
[表示画像の切り替え]
次に、顕微鏡100の表示画像の切り替えについて、フローチャートを用いて説明する。
図7は、実施の形態における診療装置1の表示画像の切り替えを説明するためのフローチャートである。まず、前提として、顕微鏡100は、ステレオカメラ(カメラ14L,14R)を備えており、患者の口腔内を3次元画像で撮像することができる。しかし、モニタ216で3次元画像表示を見る場合、専用の3次元メガネをかける必要があり、当該3次元メガネをかけていないと画像が2重に見えて視認し難い画像となる。そこで、ユニット制御部210aは、モニタの状況に応じて、画像処理部12aから出力する画像を2次元画像とするのか、3次元画像とするのかを切り替えている。なお、出力する画像を2次元画像とする場合、画像処理部12aは、カメラ14L,14Rのいずれか一方の画像を出力する画像とする。
【0054】
術者がディスプレイ11で顕微鏡100の表示画像を見ている場合、画像処理部12aは、患者の口腔内を撮像した3次元画像をディスプレイ11に出力する。しかし、モニタ216で患者に3次元メガネなしで口腔内を撮像した画像を見せる場合、画像処理部12aは、患者の口腔内を撮像した2次元画像をモニタ216に出力する。また、画像処理部12aは、3次元画像表示のモニタ216aに画像を出力するときには、3次元画像をモニタ216aに出力し、2次元画像表示のモニタ216bに画像を出力するときには、2次元画像をモニタ216bに出力する。
【0055】
図7に示すフローチャートでは、2次元画像および3次元画像を表示可能なディスプレイ11およびモニタ216において、表示画像を切り替える処理について説明する。まず、ユニット制御部210aは、タッチパネル215にある2次元画像表示の切替ボタンの操作を受け付けたか否かを判断する(ステップS201)。具体的に、タッチパネル215には、顕微鏡100の表示画像の2次元画像にするか3次元画像にするかを切り替える切替ボタンがある。
【0056】
切替ボタンの操作を受け付けていない場合(ステップS201でNO)、ユニット制御部210aは、画像処理部12aに対して撮像した画像を3次元画像でディスプレイ11またはモニタ216に出力させ、ディスプレイ11またはモニタ216に3次元画像を表示する(ステップS202)。切替ボタンの操作を受け付けた場合(ステップS201でYES)、ユニット制御部210aは、画像処理部12aに対して撮像した画像を2次元画像でディスプレイ11またはモニタ216に出力させ、ディスプレイ11またはモニタ216に2次元画像を表示する(ステップS203)。
【0057】
さらに、ユニット制御部210aは、タッチパネル215にある操作モードの表示切替ボタンの操作を受け付けたか否かを判断する(ステップS204)。具体的に、タッチパネル215には、顕微鏡100の表示画像にフットコントローラ214で設定している操作モードの情報を重畳表示するか否かを切り替える切替ボタンがある。
【0058】
切替ボタンの操作を受け付けた場合(ステップS204でYES)、ユニット制御部210aは、顕微鏡100の表示画像にフットコントローラ214で設定している操作モードの情報を重畳表示する(ステップS205)。
図8は、操作モードの情報を表示画像に重畳した表示を説明するための図である。
図8では、ディスプレイ11の表示画面に、患者の口腔内の3次元画像が表示されていると共に、右端に操作モードの情報の表示画面11Aが重畳表示されている。表示画面11Aには、現在設定されているフットコントローラ214の操作モードが「第2操作モード」であることが表示されていると共に、操作部に割り当てられている操作が表示されている。
図8に示す例では、十字キーにXYステージ操作が割り当てられていること、左側の前後レバーにフォーカス調整が割り当てられていることが表示画面11Aに表示されている。
【0059】
このように、顕微鏡100の表示画像にフットコントローラ214で設定している操作モードの情報を重畳表示することで、術者が現在設定されているフットコントローラ214の操作モードを確認できると共に、操作部に割り当てられている操作を容易に把握でき、誤操作を防止できる。なお、
図8に示す操作モードの情報の重畳表示は一例であって、フットコントローラ214のイメージ図に割り当てられている操作を表示する重畳表示でもよい。
【0060】
図7に戻って、ユニット制御部210aは、停止操作を受け付けたか否かを判断する(ステップS206)。停止操作を受け付けていない場合(ステップS206でNO)、ユニット制御部210aは、処理をステップS201に戻す。一方、停止操作を受け付けた場合(ステップS206でYES)、ユニット制御部210aは、表示画像の切り替え処理を終了する。
【0061】
<変形例>
(1)顕微鏡100にライトを設けてもよい。顕微鏡100にライトを設けた場合、ユニット制御部210aは、測距センサ15で測定した顕微鏡100と患者との距離が所定の距離以下のとき顕微鏡100のライトを点灯させて、オペライト232を消灯する。逆に、ユニット制御部210aは、測距センサ15で測定した顕微鏡100と患者との距離が所定の距離より長いとき顕微鏡100のライトを消灯させて、オペライト232を点灯する。これにより、術者は、顕微鏡100のライトおよびオペライト232の操作を行うことなく切り替えができる。なお、顕微鏡100にライトを設けた場合、測距センサ15で測定した顕微鏡100と患者との距離に応じて、顕微鏡100のライトの光量、照射野を自動で変更してもよい。
【0062】
(2)顕微鏡100の表示画像に、遠心近心方向などの情報を重畳表示してもよい。近心遠心方向の情報を顕微鏡100の表示画像に重畳表示することで、術者がどちらの方向に顕微鏡100を動かせばよいのかが容易に把握することができる。なお、顕微鏡100に回転方向を検出するセンサ(たとえば、ポテンショメータ、ジャイロセンサなど)を組み込んで、当該センサの検出結果に基づいて、顕微鏡100の表示画像の方向を回転させてもよい。もちろん、フットコントローラ214による術者の足踏操作に基づいて、顕微鏡100の表示画像の方向を回転させてもよい。
【0063】
(3)フットコントローラ214に設定する操作モードを第2操作モードに切り替える条件として、ステップS101~ステップS103までの条件を説明したが、オペライト232に設けたタッチレスセンサの操作を条件としてもよい。オペライト232の点灯・消灯の切り替えに使用しているタッチレスセンサで、フットコントローラ214の操作モードを第2操作モードに切り替えてもよい。
【0064】
(4)
図1に示す診療台220では、治療用スタンドポール230に、オペライト232が設けられているアーム231と、顕微鏡100が設けられているアーム301との2本のアームが設けられている。顕微鏡100にライトを設けることで、診療台220は、オペライト232を設けず、治療用スタンドポール230に、顕微鏡100が設けられているアーム301のみを設けてもよい。アームを1本にすることで、診療台220の省スペース化、操作感の向上、価格の低減につながる。
【0065】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0066】
1 診療装置、10 筐体、10a ステージ制御部、10b~10e,12c ステッピングモータ、11 ディスプレイ、11A 表示画面、12 可動部、12a 画像処理部、12b カメラ制御部、13 ハンドル、14L,14R カメラ、15 測距センサ、15a オペライト制御部、100 顕微鏡、200 歯科診療ユニット、210 器具台、210a ユニット制御部、211 テーブル、212 器具ホルダ、213 診療器具、214 フットコントローラ、214A フットコントローラ制御部、215 タッチパネル、215a タッチパネル制御部、216,216a,216b モニタ、220 診療台、221 基台、223 背板シート、224 ヘッドレスト、225 スピットン、230 治療用スタンドポール、231,301,302 アーム、232 オペライト、250 ユーザ操作部、300 支持アーム。