(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104035
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/56 20060101AFI20240726BHJP
【FI】
A61F13/56 100
A61F13/56 110
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008040
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】細田 涼太
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BA07
3B200BA16
3B200BB09
3B200BB20
3B200CA11
3B200DE03
3B200DE04
3B200DE06
3B200DE07
3B200DE09
3B200DE16
(57)【要約】
【課題】ズレの発生、及び肌荒れの発生を抑えることが可能な吸収性物品を提供する。
【解決手段】本開示は、肌側の液透過性のトップシート11と、非肌側の液不透過性のバックシートと、トップシート11とバックシートとの間の吸収体13とを備え、着用者の着衣に対して装着して使用可能な吸収性物品10であって、吸収性物品10の非肌側面に設けられて着衣の肌側面に対して貼り付け可能な止着材と、吸収性物品10の肌側面10bに固定される通気性を有するシート状の基材17と、基材17の肌側面に設けられて着用者の肌に対して滑り止め可能なシリコンゴム製の滑り止め材18とを有するズレ止めシート15と、を備え、ズレ止めシート15は、吸収性物品10の肌側面10bのうち、吸収性物品10の長手方向の両側の第1領域19、及び吸収性物品10の幅方向の両側の第2領域20の少なくとも一方に設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着時に肌側に位置する液透過性のトップシートと、非肌側に位置する液不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収体とを備え、着用者の着衣に対して装着して使用可能な吸収性物品であって、
前記吸収性物品の非肌側面に設けられて前記着衣の肌側面に対して貼り付け可能な止着材と、
前記吸収性物品の肌側面に固定される通気性を有するシート状の基材と、前記基材の肌側面に設けられて着用者の肌に対して滑り止め可能なシリコンゴム製の滑り止め材とを有するズレ止めシートと、を備え、
前記ズレ止めシートは、前記吸収性物品の肌側面のうち、前記吸収性物品の長手方向の両側の第1領域、及び前記吸収性物品の幅方向の両側の第2領域の少なくとも一方に設けられる
ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記ズレ止めシートの前記基材の前記肌側面には、前記滑り止め材が配置されない空隙が設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記第1領域は、前記吸収体の前記長手方向の両端部に位置する領域であり、
前記第2領域は、前記吸収体よりも前記幅方向の外側に位置する領域である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記第1領域は、前記吸収体の前記長手方向の両端から20mm以上60mm以下の範囲に位置する領域であり、
前記第1領域に設ける前記ズレ止めシートの前記幅方向の長さは、前記吸収性物品の前記幅方向の全長の50%以上70%以下である
ことを特徴とする請求項3に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記第2領域は、前記吸収性物品の前記長手方向の中央線の両側に離間して設けられる領域であり、
前記中央線から前記長手方向の両側の前記第2領域の前記ズレ止めシートまでの距離は、前記吸収性物品の前記長手方向の全長の10%以上20%以下である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記ズレ止めシートの面積の総和は、前記吸収性物品の前記肌側面の面積の10%以上30%以下である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記ズレ止めシートに設けられる前記空隙の面積は、前記ズレ止めシートの面積の50%以上80%以下である
ことを特徴とする請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記ズレ止めシートの前記滑り止め材は、前記基材の前記肌側面に、並列的に複数本設けられ、
前記滑り止め材の長さは、前記ズレ止めシートの長辺方向の長さの50%以下である
ことを特徴とする請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記ズレ止めシートの前記滑り止め材は、前記基材の前記肌側面に、並列的に複数本設けられ、
前記滑り止め材の幅は、前記ズレ止めシートの短辺方向の長さの30%以下である
ことを特徴とする請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記ズレ止めシートの前記基材は、通気性を有するフィルム又は不織布であり、
前記基材の坪量は、20gsm以上32gsm以下である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
市販の紙パンツ用パッド等の吸収性物品には、使用中のズレやヨレを防止するために、面ファスナーや粘着剤等の止着材を設けているものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、不透液性裏面シートと透液性表面シートとの間に吸収体を介在させて構成される吸収性物品が開示されている。この吸収性物品の不透液性裏面シートには、所定パターンの接着性ズレ止め手段がホットメルト粘着剤により形成されている。
【0004】
また、特許文献2には、体液透過性の表面シートと体液不透過性の裏面シートとの間に吸収要素が介在された吸収性物品が開示されている。この吸収性物品の前後端部の使用面には、人体の肌に対して接着性を有するホットメルト接着剤や感圧粘着剤からなる粘着部が露出して形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-10245号公報
【特許文献2】特許第4084009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
紙パンツ用パッド等の吸収性物品は、長時間の使用に伴ってズレやヨレが発生し易くなる。ズレやヨレが発生してしまうと、吸収性物品が排泄物を上手く吸収できず、排泄物が紙パンツへ直接受け止められてしまい、不快感を及ぼすとともに、紙パンツの交換が必要になるので、経済性も悪化する可能性がある。
【0007】
特許文献1に記載の吸収性物品では、併用される紙パンツないし下着に対して接着可能なズレ止め手段を不透液性裏面シート(バックシート)に設けているが、紙パンツや下着がズレると吸収性物品も一緒にズレてしまう。
【0008】
また、特許文献2に記載の吸収性物品では、肌に接着する粘着部を吸収性物品の使用面に設けているが、肌に粘着部が触れ続けると通気性が妨げられ、肌がかぶれて肌荒れが発生してしまう可能性がある。
【0009】
そこで、本開示は、ズレの発生、及び肌荒れの発生を抑えることが可能な吸収性物品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、装着時に肌側に位置する液透過性のトップシートと、非肌側に位置する液不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収体とを備え、着用者の着衣に対して装着して使用可能な吸収性物品であって、前記吸収性物品の非肌側面に設けられて前記着衣の肌側面に対して貼り付け可能な止着材と、前記吸収性物品の肌側面に固定される通気性を有するシート状の基材と、前記基材の肌側面に設けられて着用者の肌に対して滑り止め可能なシリコンゴム製の滑り止め材とを有するズレ止めシートと、を備え、前記ズレ止めシートは、前記吸収性物品の肌側面のうち、前記吸収性物品の長手方向の両側の第1領域、及び前記吸収性物品の幅方向の両側の第2領域の少なくとも一方に設けられる。
【0011】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様の吸収性物品であって、前記ズレ止めシートの前記基材の前記肌側面には、前記滑り止め材が配置されない空隙が設けられる。
【0012】
本発明の第3の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の吸収性物品であって、前記第1領域は、前記吸収体の前記長手方向の両端部に位置する領域であり、前記第2領域は、前記吸収体よりも前記幅方向の外側に位置する領域である。
【0013】
本発明の第4の態様は、上記第3の態様の吸収性物品であって、前記第1領域は、前記吸収体の前記長手方向の両端から20mm以上60mm以下の範囲に位置する領域であり、前記第1領域に設ける前記ズレ止めシートの前記幅方向の長さは、前記吸収性物品の前記幅方向の全長の50%以上70%以下である。
【0014】
本発明の第5の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の吸収性物品であって、前記第2領域は、前記吸収性物品の前記長手方向の中央線の両側に離間して設けられる領域であり、前記中央線から前記長手方向の両側の前記第2領域の前記ズレ止めシートまでの距離は、前記吸収性物品の前記長手方向の全長の10%以上20%以下である。
【0015】
本発明の第6の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の吸収性物品であって、前記ズレ止めシートの面積の総和は、前記吸収性物品の前記肌側面の面積の10%以上30%以下である。
【0016】
本発明の第7の態様は、上記第2の態様の吸収性物品であって、前記ズレ止めシートに設けられる前記空隙の面積は、前記ズレ止めシートの面積の50%以上80%以下である。
【0017】
本発明の第8の態様は、上記第2の態様の吸収性物品であって、前記ズレ止めシートの前記滑り止め材は、前記基材の前記肌側面に、並列的に複数本設けられ、前記滑り止め材の長さは、前記ズレ止めシートの長辺方向の長さの50%以下である。
【0018】
本発明の第9の態様は、上記第2の態様の吸収性物品であって、前記ズレ止めシートの前記滑り止め材は、前記基材の前記肌側面に、並列的に複数本設けられ、前記滑り止め材の幅は、前記ズレ止めシートの短辺方向の長さの30%以下である。
【0019】
本発明の第10の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の吸収性物品であって、前記ズレ止めシートの前記基材は、通気性を有するフィルム又は不織布であり、前記基材の坪量は、20gsm以上32gsm以下である。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、ズレの発生、及び肌荒れの発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る吸収性物品の肌側からの平面図である。
【
図2】
図1の吸収性物品の非肌側からの平面図である。
【
図5】吸収性物品を装着した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る吸収性物品について説明する。
【0023】
本明細書の説明において、吸収性物品の着用とは、体液の吸収前、吸収時、及び吸収後を問わず、吸収性物品を身体に装着した状態を意味する。また、吸収性物品の各構成部材の「長手方向」とは、吸収性物品の長尺の方向(着用時に着用者の前後に沿う方向)を意味し、図中の矢印Xに沿った方向である。また、吸収性物品の各構成部材の「幅方向」とは、長手方向と直交する短尺の方向(着用時に着用者の左右に沿う方向)を意味し、図中の矢印Yに沿った方向である。また、吸収性物品の各構成部材の「厚み方向」とは、各構成部材を積層する方向を意味し、図中の矢印Zに沿った方向である。また、吸収性物品の各構成部材の「肌側」とは、厚み方向のうち吸収性物品を着用したときの着用者の身体に向かう方向を意味し、「非肌側」とは、厚み方向のうち肌側とは反対の方向を意味する。また、体液とは、尿や血液、軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。吸収性物品としては、例えば、吸水ナプキン、軽失禁パッド、尿取りパッド等の軽失禁製品、生理用ナプキン等の生理用品、パンティーライナー等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、その他の吸収性物品であってもよい。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る吸収性物品の肌側からの平面図である。
図2は、
図1の吸収性物品の非肌側からの平面図である。
図3は、
図1のIII-III矢視断面図である。
図4は、
図1のIV部分を拡大した説明図である。
図4は、
図1のIV部分を拡大した説明図である。
図5は、吸収性物品を装着した状態を示す説明図である。なお、各図は、吸収性物品の構成部材の寸法の大小関係を規定するものではなく、各構成部材の寸法は、吸収性物品の用途等に応じてそれぞれ広い範囲から適宜選択できる。
【0025】
[吸収性物品]
図1~
図3に示すように、本発明の一実施形態に係る吸収性物品10は、着用者の下着や紙おむつ等の着衣A(
図5参照)に対して装着して使用可能なパッド型の吸収性物品10である。吸収性物品10は、装着時に肌側に位置する液透過性のトップシート11と、装着時に非肌側に位置する液不透過性のバックシート12と、トップシート11とバックシート12との間に配置される吸収体13と、吸収性物品10の非肌側面(非肌側の面)10aに設けられる粘着層(止着材)14と、吸収性物品10の肌側面(肌側の面)10bに固定されるズレ止めシート15と、を備える。また、本実施形態の吸収性物品10は、トップシート11、バックシート12、吸収体13、粘着層14、及びズレ止めシート15に加えて、立体ギャザー16を備える。なお、吸収性物品10は、トップシート11、バックシート12、ズレ止めシート15、及び立体ギャザー16以外の他のシート(例えば、吸収体13を包むカバーシート等)を備えていてもよい。また、吸収性物品10の形状は、特に限定されるものではないが、略矩形型や小判型であることが好ましい。本実施形態の吸収性物品10の形状は、略矩形型となっている。
【0026】
吸収性物品10の長手方向の長さ(最大長。以下同じ。)L1は、下限値140mm以上であることが好ましく、上限値300mm以下であることが好ましい。また、吸収性物品10の幅方向の長さL2は、下限値50mm以上であることが好ましく、上限値100mm以下であることが好ましい。吸収性物品10の寸法を上記の範囲に調整することにより、軽失禁製品、生理用ナプキン等の生理用品、パンティーライナー等に適したパッド型の吸収性物品10を得ることができる。
【0027】
(トップシート)
トップシート11は、吸収体13に向けて体液を速やかに通過させて吸収体13の面方向に体液を拡散させる液透過性のシート状基材である。トップシート11は、着用者の肌に直接当接してもよいように、柔らかな感触で、肌に刺激を与えない基材が好ましい。基材の一例としては、例えば、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布等の不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム、これらの2種以上を積層した複層シート等が挙げられる。
【0028】
トップシート11には、液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施してもよい。これらのエンボス加工や穿孔加工を施すための方法としては、公知の方法を制限なく実施することができる。また、肌への刺激を低減させるため、トップシート11には、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させてもよい。
【0029】
(バックシート)
バックシート12は、吸収体13が保持する体液が着用者の衣類を濡らさないような液不透過性を備えた基材を用いて形成されればよく、該基材としては、例えば、樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布との積層体である複合シート等が挙げられる。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布等の単層不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布積層体、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布積層体等の複合不織布、これらの複合材料等が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。また、着用時の蒸れを防止するため、バックシート12には、通気性を持たせることが好ましい。バックシート12に通気性を備えさせるためには、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合したり、バックシート12にエンボス加工を施したりすればよい。なお、フィラーとしては炭酸カルシウムを挙げることができ、その配合方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。
【0030】
(吸収体)
吸収体13としては、例えば、吸収性繊維と高吸収性ポリマー(以下、「SAP」という場合がある。)とを含むフラッフ吸収体や、液吸収性シート間にSAP粒子を固着したSAPシートが挙げられる。
【0031】
吸収性繊維は、一般に生理用ナプキンや紙おむつ、尿取りパッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュー、吸収紙、親水性不織布等を挙げることができる。フラッフパルプとしては、木材パルプ(例えば、サウザンパインやダグラスファー等の針葉樹晒クラフトパルプ(N-BKP))、合成繊維、樹脂繊維、非木材パルプ等を綿状に解繊したものを挙げることができる。また、液吸収性シートとしては、上記吸収性繊維の1種又は2種以上から構成されるシートが挙げられる。
【0032】
高吸収性ポリマーとしては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸塩、ポリアスパラギン酸塩、(デンプン-アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸-ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン-無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等が挙げられる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸アルカリ金属塩がより好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムが更に好ましい。高吸収性ポリマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0033】
吸収体13において、吸収性繊維及びSAPの形態は、吸収性繊維中にSAP粒子を混合して形成したものであってもよく、或いは吸収性繊維間にSAP粒子を固着したものであってもよい。
【0034】
(カバーシート)
SAP粒子の漏洩防止や吸収体13の形状の安定化の目的から、吸収体13を包むような、カバーシート(図示省略)を設けてもよい。カバーシートの基材としては、親水性を有するものであればよく、例えば、ティッシュ、吸収紙、エアレイド不織布、スパンボンド不織布等の親水性不織布を挙げることができる。これらの中でも、スパンボンド不織布が好ましい。また、カバーシートを複数備える場合は、複数のカバーシートの基材は同一のものであっても異なるものであってもよい。また、トップシート11とカバーシートとの間に、体液をカバーシート側から吸収体13側へ迅速に捕捉し分配するためのADL層を設けてもよい。
【0035】
(立体ギャザー)
吸収性物品10の肌側面10bに、着用者が排泄した体液の横漏れ等を防止するための左右の立体ギャザー16を設けてもよい。この場合、立体ギャザー16は、トップシート11の肌側面11aの幅方向の両端部において、吸収性物品10の長手方向に沿って延びるように設けられる。立体ギャザー16は、撥水性及び/又は防水性のギャザーシート16aと、弾性伸縮部材16bとを含む。
【0036】
ギャザーシート16aは、撥水性及び/又は防水性(液不透過性)を有するシートであり、例えば不織布から構成される。不織布としては、疎水性繊維にて形成された撥水性及び/又は防水性の不織布を特に限定なく使用でき、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布積層体である複合不織布(SMS不織布)等が挙げられる。ギャザーシート16aは、例えば、幅方向の一端(固定端)がバックシート12の肌側面の幅方向の両端付近に固定され、幅方向の中間部がトップシート11の肌側面11aの幅方向の両端付近に固定され、幅方向の他端が起立性を有する自由端である。なお、ギャザーシートの固定位置は、本実施形態に限定されるものではなく、例えば、幅方向の一端(固定端)をトップシート11の肌側面11aの幅方向の両端付近に固定してもよい。
【0037】
弾性伸縮部材16bは、ギャザーシート16aの自由端(他端)付近に長手方向に沿って配設され、該自由端に起立性を付与し、ギャザーシート16aの自由端及びその近傍領域を着用者の体型に合わせて変形可能にする。弾性伸縮部材16bとしては、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリウレタン等からなる、糸状、紐状、帯状のものを適宜使用することができる。
【0038】
(止着材)
図2及び
図3に示すように、吸収性物品10の非肌側面10a(本実施形態ではバックシート12の非肌側面12a)には、吸収性物品10を着衣A(下着や紙おむつ等)の肌側面A1に対して貼り付けるための粘着層(止着材)14が設けられる。すなわち、粘着層14は、吸収性物品10の非肌側面10aに設けられて着衣Aの肌側面A1に対して貼り付け可能である。粘着層14を形成する粘着剤としては、特に限定はないが、例えば、ポリアクリル酸エステル、酢酸ビニル-エチレン共重合体、酢酸ビニル-アクリル共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、スチレン-アクリル系共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ブタジエン-スチレン共重合体等のホットメルト系粘着剤が挙げられる。これらを、1種のみを使用しても、複数をブレンドして使用してもよい。上記の粘着剤を、吸収性物品10の非肌側面10aに塗布することで、粘着層14を形成することができる。吸収性物品10の使用時には、吸収性物品10は、粘着層14を介して着衣Aの肌側面A1に装着される(
図5参照)。使用前の吸収性物品10の粘着層14には、剥離可能なシート(剥離紙等)を貼り付けて、粘着層14を保護してもよい。なお、止着材は、吸収性物品10の非肌側面10aに粘着剤を塗布することによって形成される粘着層14に限定されるものではなく、例えば、吸収性物品10の非肌側面10a(バックシート12の非肌側面12a等)に貼り付けられる両面テープや面ファスナー等であってもよい。
【0039】
(ズレ止めシート)
図1、
図3、及び
図4に示すように、吸収性物品10の肌側面10bには、吸収性物品10を着用者の肌(「身体」という場合もある。)Bに対して滑り止め可能とする複数のズレ止めシート15が設けられる。複数のズレ止めシート15は、吸収性物品10の肌側面10bに固定される通気性を有するシート状の基材17と、基材17の肌側面に設けられて着用者の肌Bに対して滑り止め可能なシリコンゴム製の滑り止め材18とをそれぞれ有する。ズレ止めシート15は、吸収性物品10の肌側面10bに設けられて着用者の肌Bに対して滑り止め可能であり、肌Bに対する吸収性物品10のズレ止め機能を有する。
【0040】
(基材)
基材17は、通気性を有するシート状の基材であり、吸収性物品10の肌側面10bに対して固定される。例えば、基材17は、ホットメルト等の接着剤によって、吸収性物品10の肌側面10bに接着固定される。基材17は、通気性を有するフィルム又は不織布であることが好ましい。フィルムとしては、蒸れや肌のかぶれを防止する観点から、例えば、6000(g/m2・24h)以上の透湿性を持つPE系多孔質フィルム、ないしは同等の通気性を持つプラスチック系フィルム等が挙げられる。不織布としては、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布積層体である複合不織布(SMS不織布)等が挙げられる。基材17の坪量は、下限値が20gsm以上であることが好ましく、上限値が32gsm以下であることが好ましい。基材17の坪量が20gsm未満である場合、薄くなり過ぎて、後述する滑り止め材18の定着性を確保することが難しい。また、基材17の坪量が32gsm以上である場合、通気性が悪化するので、蒸れや肌のかぶれを防止する観点から好ましくない。
【0041】
(滑り止め材)
滑り止め材18は、肌Bに対して滑り止め可能なシリコンゴム製であり、肌Bに対する吸収性物品10のズレ止め機能を有する。すなわち、滑り止め材18には、吸収性物品10を肌Bに対して接着(止着)するほどの粘着力は必要ではなく、肌Bに対して吸収性物品10をズレ止めする程度の粘着力があればよい。シリコンゴム製の滑り止め材18であるので、気体透過性及び水蒸気透過性に優れており、蒸れ難い。
【0042】
ズレ止めシート15は、吸収性物品10の肌側面10bのうち、吸収性物品10の長手方向の両側の第1領域19、及び吸収性物品10の幅方向の両側の第2領域20の少なくとも一方に設けられる。すなわち、ズレ止めシート15は、少なくとも2つ設けられる。本実施形態では、ズレ止めシート15を、第1領域19及び第2領域20の双方に設けている。具体的には、本実施形態の複数のズレ止めシート15は、第1領域19に設けられる前後1対のズレ止めシート15a,15bと、第2領域20に設けられる左右2対のズレ止めシート15c~15fとである(
図1参照)。第1領域19に設けるズレ止めシート15a,15bは、吸収性物品10の長手方向よりも幅方向に長尺であることが好ましい。また、第2領域20に設けるズレ止めシート15c~15fは、吸収性物品10の幅方向よりも長手方向に長尺であることが好ましい。なお、本実施形態では、ズレ止めシート15を、第1領域19及び第2領域20の双方に設けているが、これに限定されるものではなく、第1領域19及び第2領域20の少なくとも一方に設けていればよい。また、本実施形態では、第1領域19を、トップシート11の肌側面11aの一部の領域とし、第2領域20を、ギャザーシート16aの肌側面の一部の領域としているが、これに限定されるものではなく、第1領域19及び第2領域20は、吸収性物品10の肌側面10bの一部の領域であればよい。
【0043】
(第1領域)
吸収性物品10の長手方向の両側の第1領域19は、吸収性物品10を肌側から視た際に吸収体13の長手方向の両端部に重なる領域であることが好ましい。すなわち、吸収性物品10の長手方向の両側の第1領域19は、吸収体13の長手方向の両端部に位置する領域であることが好ましい。これにより、ズレ止めシート15を第1領域19に設ける場合、
図1に示すように、前後のズレ止めシート15a,15bは、吸収体13の長手方向の両端部に位置することとなる。このように、第1領域19を、吸収体13の長手方向の両端部に位置する領域に設定することによって、吸収性物品10全体ではなく吸収体13のズレを集中的に抑えることができるので、体液等の排泄物を吸収体13によって確実に受け止めることができる。
【0044】
また、第1領域19を、吸収体13の長手方向の両端部に位置する領域にする場合、第1領域19は、吸収体13の長手方向の両端13aから長手方向の内側(中央側)の20mm以上60mm以下の範囲に位置する領域であることが好ましい。第1領域19を、吸収体13の長手方向の両端13aから20mmよりも短い位置に設定すると、ズレ止めシート15a,15bを第1領域19に設ける際の操業性が低下し、これに伴って吸収性物品10の生産性が低下してしまう可能性がある。また、第1領域19を、吸収体13の長手方向の両端13aから60mmよりも長い位置に設定すると、第1領域19のズレ止めシート15a,15bが吸収体13の長手方向の中央に近くなってしまい、吸収体13の吸水性能が低下する可能性がある。すなわち、第1領域19を、吸収体13の長手方向の両端13aから20mm以上60mm以下の範囲内の領域にすることによって、ズレ止めシート15a,15bを第1領域19に設ける際の操業性及び生産性の低下を抑制するとともに、吸収体13の吸水性能を確保することができる。
【0045】
第1領域19にズレ止めシート15を設ける場合、ズレ止めシート15a,15bの幅方向の長さL3は、吸収性物品10の幅方向の全長L2の50%以上であることが好ましく、70%以下であることが好ましい。ズレ止めシート15a,15bの幅方向の長さL3を、吸収性物品10の幅方向の全長L2の50%以上に設定することによって、ズレ止め効果を発揮することができる。また、ズレ止めシート15a,15bの幅方向の長さL3を、吸収性物品10の幅方向の全長L2の70%以下に設定することによって、吸収性物品10の生産性の低下を抑えて、生産性を良好に保つことができる。
【0046】
(第2領域)
吸収性物品10の幅方向の両側の第2領域20は、吸収体13よりも幅方向の外側に位置する領域であることが好ましい。これにより、ズレ止めシート15を第2領域20に設ける場合、左右のズレ止めシート15は、吸収体13よりも幅方向の外側に位置することとなる。このように、吸収性物品10の幅方向の両側の第2領域20を、吸収体13よりも幅方向の外側に設定することによって、第2領域20に設けるズレ止めシート15に起因する吸収体13の吸収能力の低下を防止することができる。なお、吸収性物品10の第2領域20は、吸収体13よりも幅方向の外側に位置する領域に限定されるものではなく、例えば、吸収体13に重なる領域であってもよい。
【0047】
また、吸収性物品10の幅方向の両側の第2領域20の各々は、吸収性物品10の長手方向の中央線CL(
図1に一点鎖線CLで示す。)の両側に互いに離間して設けられることが好ましい。これにより、ズレ止めシート15を第2領域20に設ける場合、
図1に示すように、左右2対のズレ止めシート15c~15fが設けられることとなる。この場合、中央線CLから長手方向の両側の第2領域20のズレ止めシート15c~15fまでの距離L4は、吸収性物品10の長手方向の全長L1の10%以上であることが好ましく、20%以下であることが好ましい。このように、ズレ止めシート15c~15fを中央線CLから吸収性物品10の長手方向の全長L1の10%以上離間させることによって、ズレ止めシート15が設けられない領域を、中央線CLを含む長手方向の中央部分に、吸収性物品10の長手方向の全長L1の20%以上確保することができる。これにより、吸収性物品10が体液等の排泄物を受け止めた際に、吸収性物品10の長手方向の中央部分の立体ギャザー16を起立させ易くなるので、立体ギャザー16を効果的に機能させることができる。また、ズレ止めシート15c~15fを中央線CLから吸収性物品10の長手方向の全長L1の20%以下離間させることによって、吸収性物品10の長手方向の中央部分の滑り止め材18が設けられない領域を、吸収性物品10の長手方向の全長L1の40%以下にすることができる。これにより、着用時に着用者の股ぐり部に位置する吸収性物品10のズレ止め効果の低下を抑えることができる。なお、吸収性物品10の第2領域20は、吸収性物品10の幅方向の両側の2対の領域に限定されるものではなく、幅方向の両側の1対の領域であってもよいし、或いは幅方向の両側の3対以上の領域であってもよい。
【0048】
(空隙)
ズレ止めシート15の基材17の肌側面に、滑り止め材18が配置されない空隙21を設けることが好ましい。ズレ止めシート15の基材17の肌側面に設けられる空隙21の面積は、ズレ止めシート15の面積(基材17の肌側面の面積)の50%以上であることが好ましく、80%以下であることが好ましい。また、空隙21の面積の下限値は、ズレ止めシート15の面積の60%以上であることがより好ましく、空隙21の面積の上限値は、ズレ止めシート15の面積の70%以下であることがより好ましい。空隙21の面積を、ズレ止めシート15の面積の50%よりも小さくすると、吸収性物品10と肌との密着性が高くなり過ぎて、蒸れや肌のかぶれの可能性が高まる。また、空隙21の面積を、ズレ止めシート15の面積の80%よりも大きくすると、ズレ止め効果を十分に発揮できない可能性がある。すなわち、ズレ止めシート15に設けられる空隙21の面積を、ズレ止めシート15の面積の50%以上80%以下に設定することによって、蒸れや肌のかぶれを抑制可能であるとともに、十分なズレ止め効果を発揮することができる。
【0049】
ズレ止めシート15の基材17の肌側面に設ける滑り止め材18の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、波線状、破線状、直線状、ドット状等の複数の滑り止め材18を、基材17の肌側面に空隙21を設ける態様で設けてもよい。
【0050】
例えば、
図1及び
図4に示すように、直線状の複数本の滑り止め材18を、基材17の肌側面に並列的に設けてもよい。すなわち、滑り止め材18を、基材17の肌側面に、並列的に複数本設けてもよい。本実施形態では、第1領域19のズレ止めシート15a,15bに設ける複数本の滑り止め材18を、ズレ止めシート15a,15bの長手方向(X方向)の一端から他端まで長手方向に対して傾斜した状態で、幅方向(Y方向)に並列的に設けている。また、第2領域20のズレ止めシート15c~15fに設ける複数本の滑り止め材18を、ズレ止めシート15c~15fの幅方向(Y方向)の一端から他端まで幅方向に対して傾斜した状態で、長手方向(X方向)に並列的に設けている。なお、第1領域19のズレ止めシート15a,15bは、吸収性物品10の幅方向に長尺になっており、第2領域20のズレ止めシート15c~15fは、吸収性物品10の長手方向に長尺になっている。
【0051】
この場合、複数本の滑り止め材18の長さL5は、ズレ止めシート15の長辺方向の長さL6の50%以下であることが好ましい。複数本の滑り止め材18の長さL5を、ズレ止めシート15の長辺方向の長さL6の50%よりも長くすると、吸収性物品10と肌との密着性が高くなり過ぎて、蒸れたり肌がかぶれたりする可能性がある。すなわち、複数本の滑り止め材18の長さL5を、ズレ止めシート15の長辺方向の長さL6の50%以下に設定することによって、蒸れや肌のかぶれを抑えることができる。なお、ズレ止めシート15の長辺方向は、第1領域19に設けられるズレ止めシート15a,15bの場合は、吸収性物品10の幅方向(Y方向)となり、第2領域20に設けられるズレ止めシート15c~15fの場合は、吸収性物品10の長手方向(X方向)となる(
図1参照)。
【0052】
また、複数本の滑り止め材18の幅L7は、ズレ止めシート15の短辺方向の長さL8の30%以下であることが好ましい。複数本の滑り止め材18の幅L7を、ズレ止めシート15の短辺方向の長さL8の30%よりも長くすると、吸収性物品10と肌との密着性が高くなり過ぎて、蒸れたり肌がかぶれたりする可能性がある。すなわち、複数本の滑り止め材18の幅L7を、ズレ止めシート15の短辺方向の長さL8の30%以下に設定することによって、蒸れや肌のかぶれを抑えることができる。なお、ズレ止めシート15の短辺方向は、第1領域19に設けられるズレ止めシート15a,15bの場合は、吸収性物品10の長手方向(X方向)となり、第2領域20に設けられるズレ止めシート15c~15fの場合は、吸収性物品10の幅方向(Y方向)となる。
【0053】
ズレ止めシート15の面積の総和(本実施形態ではズレ止めシート15a~15fの面積の総和)は、吸収性物品10の肌側面10bの面積の10%以上であることが好ましく、30%以下であることが好ましい。ズレ止めシート15の面積の総和を、上記範囲内に設定することによって、ズレ止め効果を発揮しつつ、ズレ止めシート15に起因する肌へのダメージを抑えることができる。
【0054】
(使用方法)
次に、吸収性物品10の使用方法の一例について説明する。
図5は、吸収性物品を装着した状態を示す説明図である。なお、
図5は、吸収性物品を装着した状態を側方から視た概略的な断面図である。また、
図5では、着衣A(下着や紙おむつ等)及び着用者の身体Bを概略的に図示しており、身体Bの下側の曲線部分は股ぐり部であり、着用者の脚の図示を省略している。
【0055】
図5に示すように、吸収性物品10を使用する際には、使用者は、吸収性物品10の非肌側面10a(本実施形態ではバックシート12の非肌側面12a)の粘着層(止着材)14を着衣Aの肌側面A1に貼り付ける。吸収性物品10を貼り付けた状態の着衣Aを、使用者が着用すると、吸収性物品10の肌側面10bのズレ止めシート15の滑り止め材18が着用者の肌Bに当接する。着用者の肌Bに当接するズレ止めシート15の滑り止め材18は、着用者の肌Bに対する吸収性物品10の滑り止め効果を有する。
【0056】
上記のように構成された吸収性物品10では、着衣Aの肌側面A1に対して貼り付け可能な粘着層(止着材)14を吸収性物品10の非肌側面10aに備えるので、吸収性物品10を使用する際に着衣Aに貼り付けることができる。また、着用者の肌Bに対して滑り止め可能な滑り止め材18を有するズレ止めシート15を吸収性物品10の肌側面10bに備えるので、吸収性物品10を貼り付けた状態の着衣Aを着用した際に、吸収性物品10の肌側面10bのズレ止めシート15の滑り止め材18が着用者の肌Bに当接する。滑り止め材18は、着用者の肌Bに対する吸収性物品10の滑り止め効果を有するので、例えば長時間の使用時に着衣Aがズレる際に、着用者の肌Bに対する吸収性物品10のズレの発生を抑えることができる。
【0057】
また、ズレ止めシート15は、吸収性物品10の肌側面10bのうち、長手方向の両側の第1領域19、及び幅方向の両側の第2領域20の少なくとも一方に設けられる。すなわち、ズレ止めシート15を、吸収性物品10の肌側面10bに長手方向又は幅方向に対称的に設けることができるので、着用者の肌Bに対する吸収性物品10のズレの発生を、安定的に抑えることができる。
【0058】
また、ズレ止めシート15の基材17は、通気性を有するので、蒸れや肌のかぶれを抑制することができる。
【0059】
また、ズレ止めシート15の滑り止め材18は、シリコンゴム製であるので、気体透過性及び水蒸気透過性に優れており、通気性を確保して蒸れや肌のかぶれを抑制することができる。また、肌Bに対して吸収性物品10をズレ止めするものであり、吸収性物品10を肌Bに対して接着(止着)するものではないので、着用者の動きや体勢によっては、ズレ止めシート15が肌Bに当接したり、肌Bから離間したりする。このように、着用者の動きや体勢によっては、肌Bとズレ止めシート15との間に隙間が生じるので、通気性を確保して蒸れや肌のかぶれを抑制することができる。
【0060】
したがって、本実施形態によれば、吸収性物品10のズレの発生、及び肌荒れの発生を抑えることができる。
【0061】
また、ズレ止めシート15の基材17の肌側面に、滑り止め材18が配置されない空隙21を設けることによって、ズレ止めシート15の通気性をより高めることができ、蒸れや肌のかぶれを抑えて、肌荒れの発生を抑えることができる。
【0062】
なお、ズレ止めシート15の基材17の肌側面に滑り止め材18を設ける態様(形状、寸法を含む)は、上記に限定されるものではない。例えば、本実施形態では、ズレ止めシート15の基材17の肌側面に、滑り止め材18が配置されない空隙21を設けているが、空隙21を設けることなく、基材17の肌側面の全域に滑り止め材18を設けてもよい。この場合であっても、基材17は、通気性を有しているので、通気性を確保して蒸れや肌のかぶれを抑制することができる。また、滑り止め材18は、シリコンゴム製であるので、気体透過性及び水蒸気透過性に優れており、通気性を確保して蒸れや肌のかぶれを抑制することができる。また、上述したように、着用者の動きや体勢によっては、肌Bとズレ止めシート15との間に隙間が生じるので、通気性を確保して蒸れや肌のかぶれを抑制することができる。
【0063】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0064】
10:吸収性物品
10a:吸収性物品の非肌側面
10b:吸収性物品の肌側面
11:トップシート
12:バックシート
13:吸収体
14:粘着層(止着材)
15:ズレ止めシート
17:基材
18:滑り止め材
19:第1領域
20:第2領域
21:空隙
A:着衣
A1:着衣の肌側面
B:着用者の肌