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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104043
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】硬貨処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/14 20190101AFI20240726BHJP
   G07D 1/00 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
G07D11/14
G07D1/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008051
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣田 和大
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA08
3E141GA06
3E141GB01
3E141JA15
3E141LA33
(57)【要約】
【課題】出金トレイに払い出された硬貨の取り出しを促すこと。
【解決手段】入金された硬貨の真偽及び金種を識別し、正貨として識別された硬貨を金種毎に収納する一方、出金する場合には硬貨を出金口14より出金トレイ50に払い出す硬貨処理装置10であって、出金トレイ50は、出金口14から離隔するに連れて漸次下方に傾斜延在する態様で形成され、かつ出金口14より払い出された硬貨を案内するトレイガイド部52と、自身のトレイ光透過部433がトレイガイド部52から露出する態様で配設され、任意の個所に配置された出金トレイ光源36からの光を透過させるトレイ導光部材43とを備えている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入金された硬貨の真偽及び金種を識別し、正貨として識別された硬貨を金種毎に収納する一方、出金する場合には、硬貨を出金口より出金トレイに払い出す硬貨処理装置であって、
前記出金トレイは、
前記出金口から離隔するに連れて漸次下方に傾斜延在する態様で形成され、かつ該出金口より払い出された硬貨を案内するトレイガイド部と、
自身の光透過部が前記トレイガイド部から露出する態様で配設され、かつ任意の個所に配置された光源からの光を透過させる導光部材と
を備えたことを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項2】
前記トレイガイド部は、
前記出金口から離隔するに連れて漸次下方に傾斜するガイド面と、
前記ガイド面より上方に突出する態様で形成され、かつ突出端部が前記出金口から払い出された硬貨と摺接可能な複数のガイドリブと
を備え、
前記導光部材は、前記光透過部が前記ガイド面に形成されたガイド孔より上方に向けて突出する態様で配設され、
前記光透過部は、前記ガイド面からの突出高さが前記ガイドリブの突出高さよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項3】
前記ガイド孔は、前記出金口から払い出された硬貨が前記出金トレイに貯留される場合においても露出される位置に形成されたことを特徴とする請求項2に記載の硬貨処理装置。
【請求項4】
前記導光部材は、前記光透過部と前記ガイド孔との隙間より浸入した水を排出するための排出経路を備えたことを特徴とする請求項2に記載の硬貨処理装置。
【請求項5】
前記光源が配置された基板に実装され、かつ前記出金トレイにおける硬貨の有無を検出する硬貨検出部を備え、
出金指示が与えられたことを条件として前記光源を点灯させ、前記硬貨検出部により硬貨無しが検出されたことを条件として該光源を消灯させる制御部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記出金指示により前記光源を常時点灯させ、前記硬貨検出部による硬貨有りの検出の継続時間が予め設定された設定時間に達した場合に該光源を点滅点灯させることを特徴とする請求項5に記載の硬貨処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨処理装置に関し、より詳細には釣銭機として適用される硬貨処理装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、釣銭機として適用される硬貨処理装置は、入金された硬貨の真偽及び金種を識別し、正貨と識別された硬貨を金種毎に振り分け、金種毎に設けられた収納庫に金種別に収納するものである。硬貨処理装置は、外部の装置等から釣銭払出要求である出金指示が与えられた場合に、要求金額に相当する硬貨を該当する収納庫から繰り出させ、出金口を通じて出金トレイに払い出している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-185509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に提案されている硬貨処理装置では、出金トレイに硬貨(釣銭)を払い出しても、利用者が該出金トレイから釣銭を取り出すことを忘れてしまい、そのまま放置されてしまうことがあった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、出金トレイに払い出された硬貨の取り出しを促すことができる硬貨処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る硬貨処理装置は、入金された硬貨の真偽及び金種を識別し、正貨として識別された硬貨を金種毎に収納する一方、出金する場合には、硬貨を出金口より出金トレイに払い出す硬貨処理装置であって、前記出金トレイは、前記出金口から離隔するに連れて漸次下方に傾斜延在する態様で形成され、かつ該出金口より払い出された硬貨を案内するトレイガイド部と、自身の光透過部が前記トレイガイド部から露出する態様で配設され、かつ任意の個所に配置された光源からの光を透過させる導光部材とを備えたことを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記硬貨処理装置において、前記トレイガイド部は、前記出金口から離隔するに連れて漸次下方に傾斜するガイド面と、前記ガイド面より上方に突出する態様で形成され、かつ突出端部が前記出金口から払い出された硬貨と摺接可能な複数のガイドリブとを備え、前記導光部材は、前記光透過部が前記ガイド面に形成されたガイド孔より上方に向けて突出する態様で配設され、前記光透過部は、前記ガイド面からの突出高さが前記ガイドリブの突出高さよりも小さいことを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記硬貨処理装置において、前記ガイド孔は、前記出金口から払い出された硬貨が前記出金トレイに貯留される場合においても露出される位置に形成されたことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記硬貨処理装置において、前記導光部材は、前記光透過部と前記ガイド孔との隙間より浸入した水を排出するための排出経路を備えたことを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上記硬貨処理装置において、前記光源が配置された基板に実装され、かつ前記出金トレイにおける硬貨の有無を検出する硬貨検出部を備え、出金指示が与えられたことを条件として前記光源を点灯させ、前記硬貨検出部により硬貨無しが検出されたことを条件として該光源を消灯させる制御部を備えたことを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上記硬貨処理装置において、前記制御部は、前記出金指示により前記光源を常時点灯させ、前記硬貨検出部による硬貨有りの検出の継続時間が予め設定された設定時間に達した場合に該光源を点滅点灯させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、出金トレイを構成するトレイガイド部に自身の光透過部がトレイガイド部から露出する態様で配設された導光部材が、任意の個所に配置された光源からの光を透過させるので、出金トレイに払い出された硬貨の取り出しを促すことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施の形態である硬貨処理装置の外観構成を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示した硬貨処理装置の内部構成を模式的に示す模式図である。
図3図3は、図1に示した硬貨処理装置の特徴的な制御系を示すブロック図である。
図4図4は、図1に示した硬貨処理装置の入金口の周辺構造を示す分解斜視図である。
図5図5は、図1に示した硬貨処理装置の入金口の周辺構造を示す縦断面図である。
図6図6は、図4及び図5に示した入金口導光部材を示す斜視図である。
図7図7は、図1に示した硬貨処理装置の出金口の周辺を拡大して示す拡大斜視図である。
図8図8は、図1等に示した出金トレイを含む構成要素の分解斜視図である。
図9図9は、図1等に示した出金トレイを含む構成要素の分解斜視図である。
図10図10は、図8及び図9に示したトレイ導光部材を示す斜視図である。
図11図11は、図2及び図3に示した制御部が実施する入金点灯制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
図12図12は、図2及び図3に示した制御部が実施する出金点灯制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
図13図13は、出金口導光部材及びトレイ導光部材の光の放出例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る硬貨処理装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
<硬貨処理装置の概要構成>
図1は、本発明の実施の形態である硬貨処理装置の外観構成を示す斜視図である。ここで例示する硬貨処理装置10は、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗においてPOS(Point Of Sales)レジスタ装置(上位装置1)に接続される自動釣銭機として適用されるものであり、装置本体11を備えている。
【0016】
装置本体11は、略直方状を成す筐体であり、入金口12、操作表示部13、出金口14及び返却口15を備えている。入金口12は、装置本体11の前端上面の右側に設けられており、投入された硬貨を装置本体11の内部に受け入れるための開口である。この入金口12は、例えば顧客等の利用者からの預り金を一時保持する一時保持部として機能する。
【0017】
操作表示部13は、装置本体11の前端上面の左側に設けられており、表示部13a及び操作部13bを有している。表示部13aは、各種情報を表示するものであり、操作部13bは各種の操作入力を行う入力手段である。
【0018】
出金口14は、装置本体11の前面左側に設けられている。この出金口14は、装置本体11の内部に収納された硬貨を払い出すための開口であり、装置本体11に取り付けられた出金トレイ50に硬貨を払い出すものである。返却口15は、装置本体11の前面右側に設けられている。この返却口15は、硬貨を返却するための開口である。
【0019】
尚、硬貨処理装置10は、装置本体11の前面が店舗の顧客である利用者側に向けて配置され、利用者(顧客)が商品のバーコード等の読み込み及び金銭の授受を行うセルフレジ、あるいは利用者が金銭の授受のみを行うセミセルフレジとして機能するものである。
【0020】
図2は、図1に示した硬貨処理装置10の内部構成を模式的に示す模式図であり、図3は、図1に示した硬貨処理装置10の特徴的な制御系を示すブロック図である。これら図2及び図3を用いて、硬貨処理装置10の内部構成を機能別に説明する。
【0021】
装置本体11の内部には、硬貨搬送機構20が設けられている。この硬貨搬送機構20は、入金搬送部21、一時保留部22、振分部23、収納庫24、出金搬送部25及び切換ゲート群26を有している。
【0022】
入金搬送部21は、入金口12より投入されるとともに該入金口12の近傍に設けられた投入検出センサ16によって検出された硬貨を搬送するものである。この入金搬送部21には検銭部21aが設けられている。検銭部21aは、硬貨の真贋及び金種を識別するものである。
【0023】
一時保留部22は、検銭部21aで正貨と識別された硬貨を一時的に保留するものである。振分部23は、一時保留部22で保留されてから搬送された硬貨を金種毎に振り分けるものである。
【0024】
収納庫24は、金種毎に設けられており、振分部23により振り分けられた硬貨を収納するものである。より具体的には、収納庫24として、前方側から1円収納庫24a、50円収納庫24b、5円収納庫24c、100円収納庫24d、10円収納庫24e、500円収納庫24fの6つが設けてある。
【0025】
出金搬送部25は、収納庫24から繰り出された硬貨を前方に向けて搬送するものである。つまり出金搬送部25は、収納庫24から繰り出された硬貨を、出金口14に連通する出金シュート27に向けて前方に搬送するものである。
【0026】
切換ゲート群26は、第1切換ゲート26a、第2切換ゲート26b及び第3切換ゲート26cを備えている。第1切換ゲート26aは、入金搬送部21の搬送方向下流側に設けられている。この第1切換ゲート26aは、入金搬送部21で搬送された硬貨を一時保留部22に搬送させる状態と、該硬貨を出金口14に搬送させる状態との間で択一的に切換可能なものである。
【0027】
第2切換ゲート26bは、一時保留部22の搬送方向下流側に設けられている。この第2切換ゲート26bは、一時保留部22で保留された硬貨を振分部23に送出させる状態と、該硬貨を返却口15に送出させる状態との間で択一的に切換可能なものである。かかる第2切換ゲート26bは、常態においては、一時保留部22で保留された硬貨を振分部23に送出させる状態となっている。
【0028】
第3切換ゲート26cは、出金搬送部25の搬送方向下流側に設けられている。この第3切換ゲート26cは、出金搬送部25で搬送された硬貨を、出金シュート27を経由して出金口14に搬送させる搬送状態と、該硬貨を一時保留部22に搬送させる循環状態との間で択一的に切換可能なものである。かかる第3切換ゲート26cは、常態においては、搬送状態となっている。
【0029】
硬貨処理装置10は、上記構成の他、制御部30を備えている。制御部30は、表示部13a、操作部13b、硬貨搬送機構20等に電気的に接続されているとともに、POSレジスタ装置等の上位装置1に電気的に接続されている。この制御部30は、操作部13bを通じて指令が与えられた場合、あるいは検銭部21aから検出信号が与えられた場合、更には上位装置1から各種指令が与えられた場合、記憶部31に格納したプログラムやデータに基づいて表示部13aの表示制御、硬貨搬送機構20の駆動制御を行うものである。
【0030】
尚、制御部30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよいし、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア及びハードウェアを併用して実現してもよい。
【0031】
<硬貨処理装置10の概要動作>
以上のような構成を有する硬貨処理装置10は、次のように動作する。まず入金動作について説明する。上位装置1から入金許可指令が与えられた場合、入金口12に投入された硬貨を投入検出センサ16によって検出した後、入金搬送部21によって搬送し、検銭部21aにより真贋及び金種を識別する。硬貨が正貨である場合、一時保留部22に保留する。一方、硬貨が正貨でない場合、第1切換ゲート26aを介して出金口14に搬送し、出金トレイ50に返却する。尚、上位装置1からの返却指示があった場合、一時保留部22に保留した硬貨を、第2切換ゲート26bを介して返却口15に返却する。
【0032】
一時保留部22に保留した硬貨を振分部23に搬送し、振分部23にて後方に向けて搬送しながら金種毎に振り分ける。振分部23によって振り分けられた硬貨は、金種に応じて収納庫24に収納され、その後に上位装置1に対して入金完了通知を行うことにより入金動作を終了する。
【0033】
次に出金動作について説明する。上位装置1から出金指令が与えられた場合、該出金指令に応じた金種の硬貨を任意の収納庫24から出金搬送部25に繰り出す。該当する収納庫24から出金搬送部25に繰り出す。出金搬送部25に繰り出された硬貨については、出金搬送部25により前方に向けて搬送し、搬送状態となる第3切換ゲート26cを介して、出金シュート27を経由して出金口14から装置本体11の外部に払い出す。このようにして所定の硬貨を外部に払い出した後、上位装置1に対して出金完了通知を行うことにより出金動作を終了する。
【0034】
更に精査動作について説明する。精査動作は、各収納庫24に収納された硬貨の枚数を計測する動作である。上位装置1から精査指令が与えられた場合、または操作部13bから精査指令が与えられた場合、収納庫24から出金搬送部25に硬貨を繰り出し、出金搬送部25により前方に搬送して一時保留部22に一時保留させる。そして、一時保留部22に保留した硬貨を振分部23に搬送し、振分部23にて金種毎に振り分けた後、金種毎の枚数を検出しつつ所定の収納庫24に収納させる。これにより各収納庫24の硬貨の枚数を計測することができる。
【0035】
<入金口12の周辺構造>
図4及び図5は、図1に示した硬貨処理装置10の入金口12の周辺構造を示すものであり、図4は分解斜視図であり、図5は縦断面図である。これら図4及び図5にも示すように、入金口12の前縁部(以下、入金口前縁部ともいう)12aは、前方に向かうに連れて漸次下方に傾斜する態様で延在しており、例えば三角形状の三角孔部12bが形成してある。そして、かかる三角孔部12bを閉塞する態様で入金口導光部材41が設けてある。
【0036】
入金口導光部材41は、例えば光透過性の材料から成形されるものであり、図6に示すように、入金口導光基部411と入金口光透過部412とを有している。入金口導光基部411は、上方に向かうに連れて漸次前方に湾曲する態様で延在している部分である。入金口光透過部412は、入金口導光基部411の上端部における左右方向の中央部分より上方に向けて突出する部分であり、上記三角孔部12bを挿通可能な三角形状を成している。
【0037】
そのような入金口導光部材41は、図5にも示したように、入金口光透過部412の上面が入金口前縁部12aと同一平面となる態様で、該入金口光透過部412が三角孔部12bを下方から進入して配置されている。すなわち、入金口導光部材41は、入金口光透過部412が入金口前縁部12aから露出される態様で配置されている。
【0038】
かかる入金口導光部材41は、図5に示したように、入金口側基板32に実装された入金口光源33から発せられた光を透過させるものである。ここで入金口光源33は、例えばLED等により構成されるもので、制御部30から与えられる指令により点灯又は消灯するものである。
【0039】
上記入金口導光基部411における入金口光透過部412の後方部分及び左右両側部分には、入金口光透過部412の後方域及び左右両側域を囲繞する態様で上方に向けて立設する入金口導光壁部413が設けてあり、三角孔部12bと入金口光透過部412との隙間に浸入した水を前方に向けて排出できるように構成してある。
【0040】
<出金口14の周辺構造>
図7は、図1に示した硬貨処理装置10の出金口14の周辺を拡大して示す拡大斜視図である。この図7に示すように、出金口14の近傍には、出金口導光部材42及び上述した出金トレイ50が設けてある。
【0041】
出金口導光部材42は、例えば光透過性の材料から成形されるものであり、一部が装置本体11から露出する態様で設置してある。この出金口導光部材42は、出金口光源34(図3参照)から発せられた光を透過させるものである。ここで出金口光源34は、例えばLED等により構成されるもので、制御部30から与えられる指令により点灯又は消灯するものである。
【0042】
出金トレイ50は、出金口14から払い出された硬貨をトレイ底部51(図1参照)にて受容するものであり、装置本体11に取り付けられている。この出金トレイ50は、図8及び図9に示すように、トレイガイド部52を有している。
【0043】
トレイガイド部52は、前方に向かうに連れて漸次下方に傾斜延在する態様で形成、すなわち出金口14から離隔するに連れて漸次下方に傾斜延在する態様で形成されており、出金口14から払い出された硬貨をトレイ底部51に案内するものである。
【0044】
そのようなトレイガイド部52は、ガイド面521と複数のガイドリブ522とを有している。ガイド面521は、出金口14から前方に離隔するに連れて漸次下方に傾斜する傾斜面である。複数のガイドリブ522は、それぞれガイド面521より上方に突出しており、前後方向に沿って延在している。これらガイドリブ522は、左右方向に等間隔毎に離隔して形成してあり、それぞれの突出端部が出金口14から払い出された硬貨と摺接可能である。
【0045】
かかるトレイガイド部52を構成するガイド面521には、3つのガイド孔523が形成してある。これら3つのガイド孔523は、それぞれガイドリブ522を避けるように形成してあり、全体で略三角形状を成している。これら3つのガイド孔523は、出金口14から払い出された硬貨がトレイ底部51(出金トレイ50)に貯留される場合においても露出される位置に形成してある。
【0046】
そのような出金トレイ50に対して、図8及び図9に示したように、トレイ導光部材43がトレイ側基板35とともにネジ等の取付部材Nにより取り付けてある。トレイ導光部材43は、例えば光透過性の材料から成形されるものであり、図10に示すように、トレイ導光基部431と、3つのトレイ光透過部433とを備えて構成してある。
【0047】
トレイ導光基部431は、前方に向かうに連れて漸次下方に傾斜延在する部分であり、その前端部分の左右の両端部には、下方に向けて延在する脚部432が形成してある。
【0048】
3つのトレイ光透過部433は、トレイ導光基部431の上面より上方に向けて突出する態様で形成してあり、全体として略三角形状を成している。より詳細に説明すると、最も左側のトレイ光透過部433aは、最も左側のガイド孔523aを挿通することが可能な大きさを有しており、中央のトレイ光透過部433bは、中央のガイド孔523bを挿通することが可能な大きさを有しており、最も右側のトレイ光透過部433cは、最も右側のガイド孔523cを挿通することが可能な大きさを有している。そして、最も左側のトレイ光透過部433aと中央のトレイ光透過部433bとの間、並びに中央のトレイ光透過部433bと最も右側のトレイ光透過部433cとの間には、ガイドリブ522との干渉を避けるための間隙434が形成してある。
【0049】
また、トレイ導光部材43においては、トレイ導光基部431の前端部分及び左右の脚部432には、壁を形成することで、水を排出するための排出経路435が形成してある。かかる排出経路435は、トレイ導光基部431の上面を流通する水を脚部432を経由して下方に排出するようにして、水が下方のトレイ側基板35に流通することを回避するものである。
【0050】
そのようなトレイ導光部材43は、最も左側のトレイ光透過部433aが最も左側のガイド孔523aを下方より挿通するとともに、中央のトレイ光透過部433bが中央のガイド孔523bを下方より挿通し、かつ最も右側のトレイ光透過部433cが最も右側のガイド孔523cを下方より挿通するようにして取り付けてある。ここで、それぞれのトレイ光透過部433のガイド面521からの上方への突出高さは、各ガイドリブ522のガイド面521からの上方への突出高さよりも小さい。
【0051】
上記トレイ導光部材43は、トレイ側基板35に実装された出金トレイ光源36(図3参照)から発せられた光を透過させるものである。ここで出金トレイ光源36は、例えばLED等により構成されるもので、制御部30から与えられる指令により点灯又は消灯するものである。
【0052】
またトレイ側基板35には、硬貨検出部37が実装してある。硬貨検出部37は、例えば磁気センサ等により構成されるもので、出金トレイ50における硬貨の有無を検出するものである。この硬貨検出部37は、硬貨の有無の検出結果を制御部30に送出するものである。
【0053】
<入金点灯制御処理>
図11は、図2及び図3に示した制御部30が実施する入金点灯制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
【0054】
この入金点灯制御処理において、制御部30は、上位装置1から上記入金許可指令が与えられたか否かを判断する(ステップS101)。上位装置1から入金許可指令が与えられていない場合(ステップS101:No)、制御部30はかかる処理を繰り返す。
【0055】
上位装置1から入金許可指令が与えられた場合(ステップS101:Yes)、制御部30は、入金口光源33を点灯させる(ステップS102)。これにより入金口導光部材41が入金口光源33から発せられた光を透過し、入金口光透過部412から光を放出することとなる。
【0056】
このように入金口光源33を点灯させた制御部30は、上位装置1から入金完了応答が与えられたか否かを判断する(ステップS103)。この入金完了応答は、上述した入金動作における上位装置1に対する入金完了通知に対して、上位装置1が硬貨処理装置10に与える応答である。
【0057】
上位装置1から入金完了応答が与えられていない場合(ステップS103:No)、制御部30はかかる処理を繰り返す。一方、上位装置1から入金完了応答が与えられた場合(ステップS103:Yes)、制御部30は、入金口光源33を消灯させ(ステップS104)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0058】
これによれば、上位装置1から入金許可指令が与えられてから入金許可応答が与えられるまでの間、入金口光源33を点灯させることにより入金口光透過部412から光を放出することができ、利用者に対して、入金口12を意識させることができる。
【0059】
<出金点灯制御処理>
図12は、図2及び図3に示した制御部30が実施する出金点灯制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
【0060】
この出金点灯制御処理において、制御部30は、上位装置1から上記出金指令が与えられたか否かを判断する(ステップS201)。上位装置1から出金指令が与えられていない場合(ステップS201:No)、制御部30はかかる処理を繰り返す。
【0061】
上位装置1から出金指令が与えられた場合(ステップS201:Yes)、制御部30は、出金口光源34及び出金トレイ光源36を常時点灯させる(ステップS202)。これにより、図13に示すように、出金口導光部材42が出金口光源34から発せられた光を透過して装置本体11から露出される部分から光を放出するとともに、トレイ導光部材43が出金トレイ光源36から発せられた光を透過し、各トレイ光透過部433から光を放出することとなる。
【0062】
このように出金口光源34及び出金トレイ光源36を常時点灯させた制御部30は、硬貨検出部37が硬貨有りを検出したか否かを判断する(ステップS203)。硬貨検出部37が硬貨有りを検出しない場合(ステップS203:No)、制御部30はかかる処理を繰り返す。
【0063】
一方、硬貨検出部37が硬貨有りを検出した場合(ステップS203:Yes)、制御部30は、硬貨検出部37が硬貨無しを検出したか否かを判断する(ステップS204)。
【0064】
硬貨検出部37が硬貨無しを検出せずに、ステップS203における硬貨有りの検出からの継続時間が予め決められた設定時間(例えば10~20秒間)を経過した場合(ステップS204:No,ステップS205:Yes)、制御部30は、出金口光源34及び出金トレイ光源36を点滅点灯させ(ステップS206)、ステップS204の判断を行う。
【0065】
上記ステップS204において硬貨検出部37が硬貨無しを検出した場合(ステップS204:Yes)、制御部30は、出金口光源34及び出金トレイ光源36を消灯させ(ステップS207)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0066】
これによれば、上位装置1から出金指令が与えられた場合に、出金口光源34及び出金トレイ光源36を点灯(常時点灯又は点滅点灯)させることにより、出金口導光部材42の露出部分から光を放出するとともに、各トレイ光透過部433から光を放出することができ、利用者に対して、出金トレイ50を意識させることができる。
【0067】
以上説明したように、本発明の実施の形態である硬貨処理装置10によれば、出金トレイ50を構成するトレイガイド部52に各トレイ光透過部433が露出する態様で配設されたトレイ導光部材43が、出金トレイ光源36からの光を透過させるので、利用者に対して出金トレイ50を意識させることができ、出金トレイ50に払い出された硬貨の取り出しを促すことができる。
【0068】
特に、制御部30が出金トレイ光源36の点灯のタイミングを出金口光源34の点灯のタイミングと一緒にしたので、出金口導光部材42も出金口光源34からの光を透過させることとなり、利用者に対して出金口14を意識させることができ、これにより、出金トレイ50に払い出された硬貨の取り出しを促すことができる。
【0069】
上記硬貨処理装置10によれば、トレイガイド部52が、出金口14から離隔するに連れて漸次下方に傾斜するガイド面521と、ガイド面521より上方に突出する態様で形成され、かつ突出端部が出金口14から払い出された硬貨と摺接可能な複数のガイドリブ522とを備え、トレイ導光部材43が、各トレイ光透過部433がガイド面521に形成された各ガイド孔523より上方に向けて突出する態様で配設され、各トレイ光透過部433が、ガイド面521からの突出高さがガイドリブ522の突出高さよりも小さいので、トレイ光透過部433が出金口14から払い出された硬貨と干渉することを防止することができる。
【0070】
しかも、各ガイド孔523が、出金口14から払い出された硬貨が出金トレイ50に貯留される場合においても露出される位置に形成されているので、各トレイ光透過部433を常時露出させることができ、結果的に利用者に対して出金口14を意識させることができ、これにより出金トレイ50に払い出された硬貨の取り出しを促すことができる。
【0071】
上記硬貨処理装置10によれば、トレイ導光部材43が、各トレイ光透過部433と各ガイド孔523との隙間より浸入した水を排出するための排出経路435を備えているので、硬貨検出部37等が実装されたトレイ側基板35に水が流通することを抑制することができる。
【0072】
上記硬貨処理装置10によれば、制御部30が、上位装置1からの出金指示により出金トレイ光源36を出金口光源34とともに常時点灯させ、硬貨検出部37による硬貨有りの検出の継続時間が予め設定された設定時間に達した場合に該出金トレイ光源36を出金口光源34とともに点滅点灯させるので、利用者に対して出金トレイ50を意識させることができ、出金トレイ50に払い出された硬貨の取り出しを促すことができる。
【0073】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0074】
上述した実施の形態では、出金トレイ光源36は、出金口光源34とともに点灯又は消灯していたが、本発明においては、出金口光源34や出金口導光部材42が設けられていなくてもよい。
【0075】
上述した実施の形態では、各トレイ光透過部433が各ガイド孔523を挿通していたが、本発明においては、トレイ導光部材43の光透過部がガイド孔523を閉塞していてもよい。またトレイ導光部材43の光透過部が単数であってもよい。
【0076】
上述した実施の形態では、出金動作を行う際に出金点灯制御処理を行っていたが、本発明においては、出金動作に限られず、上述したように入金動作において、例えば硬貨が正貨でないものとして、出金口14に搬送して出金トレイ50に返却する場合に、出金トレイ光源36を出金口光源34とともに点灯するようにしてもよい。これによれば、出金トレイ50に払い出された硬貨の取り出しを促すことができる。
【0077】
上述した実施の形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置及び構成要素の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0078】
1…上位装置、10…硬貨処理装置、11…装置本体、12…入金口、13…操作表示部、14…出金口、15…返却口、20…硬貨搬送機構、30…制御部、31…記憶部、33…入金口光源、34…出金口光源、36…出金トレイ光源、37…硬貨検出部、41…入金口導光部材、42…出金口導光部材、43…トレイ導光部材、431…トレイ導光基部、433…トレイ光透過部、434…間隙、435…排出経路、50…出金トレイ、51…トレイ底部、52…トレイガイド部、521…ガイド面、522…ガイドリブ、523…ガイド孔。
図1
図2
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図10
図11
図12
図13