(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104049
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】半導体光素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01S 5/30 20060101AFI20240726BHJP
H01S 5/343 20060101ALI20240726BHJP
H01S 5/14 20060101ALI20240726BHJP
H01S 5/026 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
H01S5/30
H01S5/343
H01S5/14
H01S5/026 618
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008060
(22)【出願日】2023-01-23
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発/次世代コンピューティング技術の開発/異種材料集積光エレクトロニクスを用いた高効率・高速処理分散コンピューティングシステム技術開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】菊地 健彦
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AA02
5F173AB32
5F173AB49
5F173AF12
5F173AF54
5F173AG05
5F173AG20
5F173AH07
5F173AH48
5F173AK22
5F173AP05
5F173AP32
5F173AP38
5F173AP45
5F173AQ02
5F173AQ03
5F173AR92
5F173AR93
(57)【要約】
【課題】エッチングにおいて残存物の発生を抑制することが可能な半導体光素子の製造方法を提供する。
【解決手段】III-V族化合物半導体を含む小片と、第1基板とを有する半導体光素子の製造方法であって、小片は第2基板と、第2基板の上に積層された半導体層とを有し、前記製造方法は、前記第2基板および前記半導体層を切断することで前記小片を形成する工程と、前記小片の前記半導体層を前記第1基板に接合する工程と、前記第1基板に接合された前記小片にエッチングを行うことで、前記第2基板を除去する工程と、を有し、前記小片の平面形状は第1方向に垂直な辺を有しておらず、前記第2基板を除去する工程におけるエッチングは、前記第1方向に比べて、前記第1方向に交差する第2方向に進みやすい半導体光素子の製造方法。
【選択図】
図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
III-V族化合物半導体を含む小片と、第1基板とを有する半導体光素子の製造方法であって、
小片は第2基板と、第2基板の上に積層された半導体層とを有し、
前記製造方法は、前記第2基板および前記半導体層を切断することで前記小片を形成する工程と、
前記小片の前記半導体層を前記第1基板に接合する工程と、
前記第1基板に接合された前記小片にエッチングを行うことで、前記第2基板を除去する工程と、を有し、
前記小片の平面形状は第1方向に垂直な辺を有しておらず、
前記第2基板を除去する工程におけるエッチングは、前記第1方向に比べて、前記第1方向に交差する第2方向に進みやすい半導体光素子の製造方法。
【請求項2】
前記小片の平面形状は多角形であり、前記第2方向から傾斜した辺を有する請求項1に記載の半導体光素子の製造方法。
【請求項3】
2つの前記傾斜した辺は頂点を形成し、
前記頂点の角度は60°以上、120°以下である請求項2に記載の半導体光素子の製造方法。
【請求項4】
前記小片の平面形状は六角形であり、
前記六角形の6つの辺のうち2つの辺は1つの前記頂点を形成し、
前記6つの辺のうち別の2つの辺は別の前記頂点を形成し、
前記1つの頂点および前記別の頂点は前記第1方向において互いに対向する請求項2または請求項3に記載の半導体光素子の製造方法。
【請求項5】
複数の前記頂点が前記第2方向に並び、
前記複数の頂点のうち一部と、前記複数の頂点のうち別の一部は、前記第1方向において互いに対向する請求項2または請求項3に記載の半導体光素子の製造方法。
【請求項6】
前記小片の平面形状は平行四辺形である請求項2に記載の半導体光素子の製造方法。
【請求項7】
前記小片の2つの頂点の角度はそれぞれ45°以上、90°未満である請求項6に記載の半導体光素子の製造方法。
【請求項8】
前記小片を形成する工程において、光学的な方法によって前記第2基板および前記半導体層を切断する請求項1または請求項2に記載の半導体光素子の製造方法。
【請求項9】
前記第2基板はインジウムリンを含み、
前記半導体層はインジウムガリウム砒素を含み、
前記第2基板を除去する工程において、塩酸を含むエッチャントを用いたウェットエッチングにより前記第2基板を除去する請求項1または請求項2に記載の半導体光素子の製造方法。
【請求項10】
前記半導体層は第1半導体層と第2半導体層とを含み、
前記第2基板、前記第1半導体層、および前記第2半導体層はこの順番に積層され、
前記接合する工程において、前記第2半導体層が前記第1基板に接合され、
前記製造方法は、
前記第2基板を除去する工程の後、前記第1半導体層を除去する工程と、
前記第2半導体層をエッチングする工程を有する請求項1または請求項2に記載の半導体光素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は半導体光素子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化合物半導体で形成され光学利得を有する半導体素子を、導波路を形成したSOI(Silicon On Insulator)基板(シリコンフォトニクス)などの基板に接合する技術が知られている(例えば特許文献1)。例えばインジウムリン(InP)などの化合物半導体のウェハに半導体層を成長する。ウェハを切断することで半導体素子を形成する。半導体素子をSOI基板に接合する。接合後に、半導体素子にエッチングなどを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
接合後のエッチングにおいて、エッチングの異方性に起因して、残存物が発生することがある。残存物は、例えばレジストの塗布といった後工程の障害となる。そこで、エッチングにおいて残存物の発生を抑制することが可能な半導体光素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る半導体光素子の製造方法は、III-V族化合物半導体を含む小片と、第1基板とを有する半導体光素子の製造方法であって、小片は第2基板と、第2基板の上に積層された半導体層とを有し、前記製造方法は、前記第2基板および前記半導体層を切断することで前記小片を形成する工程と、前記小片の前記半導体層を前記第1基板に接合する工程と、前記第1基板に接合された前記小片にエッチングを行うことで、前記第2基板を除去する工程と、を有し、前記小片の平面形状は第1方向に垂直な辺を有しておらず、前記第2基板を除去する工程におけるエッチングは、前記第1方向に比べて、前記第1方向に交差する第2方向に進みやすいものである。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、エッチングにおいて残存物の発生を抑制することが可能な半導体光素子の製造方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】
図1Aは第1実施形態に係る半導体光素子を例示する斜視図である。
【
図2A】
図2Aは半導体光素子の製造方法を例示する図である。
【
図2B】
図2Bは半導体光素子の製造方法を例示する図である。
【
図3A】
図3Aは半導体光素子の製造方法を例示する図である。
【
図3B】
図3Bは半導体光素子の製造方法を例示する図である。
【
図4】
図4は半導体光素子の製造方法を例示する図である。
【
図5A】
図5Aは半導体光素子の製造方法を例示する図である。
【
図5B】
図5Bは半導体光素子の製造方法を例示する図である。
【
図6A】
図6Aは半導体光素子の製造方法を例示する図である。
【
図6B】
図6Bは半導体光素子の製造方法を例示する図である。
【
図7A】
図7Aは半導体光素子の製造方法を例示する図である。
【
図7B】
図7Bは半導体光素子の製造方法を例示する図である。
【
図8A】
図8Aは比較例に係る半導体光素子の製造方法を例示する平面図である。
【
図9A】
図9Aは比較例に係る半導体光素子の製造方法を例示する平面図である。
【
図10】
図10は第2実施形態に係る半導体光素子の製造方法を例示する平面図である。
【
図11】
図11は第3実施形態に係る半導体光素子の製造方法を例示する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0009】
本開示の一形態は、(1)III-V族化合物半導体を含む小片と、第1基板とを有する半導体光素子の製造方法であって、小片は第2基板と、第2基板の上に積層された半導体層とを有し、前記製造方法は、前記第2基板および前記半導体層を切断することで前記小片を形成する工程と、前記小片の前記半導体層を前記第1基板に接合する工程と、前記第1基板に接合された前記小片にエッチングを行うことで、前記第2基板を除去する工程と、を有し、前記小片の平面形状は第1方向に垂直な辺を有しておらず、前記第2基板を除去する工程におけるエッチングは、前記第1方向に比べて、前記第1方向に交差する第2方向に進みやすい半導体光素子の製造方法である。小片の平面形状が第1方向に垂直な辺を有していないため、第2基板のエッチングにおいて、エッチングレートの低い面が露出しにくい。第2基板のエッチングが進みやすい。エッチングおける残存物の発生が抑制される。半導体光素子に対するエッチングの残存物の影響が抑制される。
(2)上記(1)において、前記小片の平面形状は多角形であり、前記第2方向から傾斜した辺を有してもよい。第2基板のエッチングにおいて、エッチングレートの低い面が露出しにくい。第2基板のエッチングが進みやすい。エッチングおける残存物の発生が抑制される。
(3)上記(2)において、2つの前記傾斜した辺は頂点を形成し、前記頂点の角度は60°以上、120°以下でもよい。辺が第1方向に垂直な位置から遠ざかる。エッチングが頂点まで進むとき、厚さ方向において半導体層まで進む。残存物の発生が抑制される。
(4)上記(2)または(3)において、前記小片の平面形状は六角形であり、前記六角形の6つの辺のうち2つの辺は1つの前記頂点を形成し、前記6つの辺のうち別の2つの辺は別の前記頂点を形成し、前記1つの頂点および前記別の頂点は前記第1方向において互いに対向してもよい。第2基板のエッチングにおいて、エッチングレートの低い面が露出しにくい。第2基板のエッチングが進みやすい。エッチングおける残存物の発生が抑制される。エッチングは1つの頂点および別の頂点まで進む。小片の両側において残存物の発生を抑制することができる。
(5)上記(2)または(3)において、複数の前記頂点が前記第2方向に並び、前記複数の頂点のうち一部と、前記複数の頂点のうち別の一部は、前記第1方向において互いに対向してもよい。エッチングは複数の頂点まで進む。小片の両側において残存物の発生を抑制することができる。
(6)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記小片の平面形状は平行四辺形でもよい。第2基板のエッチングにおいて、エッチングレートの低い面が露出しにくい。第2基板のエッチングが進みやすい。エッチングおける残存物の発生が抑制される。
(7)上記(6)において、2つの前記傾斜した辺は頂点を形成し、前記頂点の角度は45°以上、90°未満でもよい。辺が第1方向に垂直な位置から遠ざかる。エッチングが頂点まで進むとき、厚さ方向において半導体層まで進む。残存物の発生が抑制される。
(8)上記(1)から(7)のいずれかにおいて、前記小片を形成する工程において、光学的な方法によって前記第2基板および前記半導体層を切断してもよい。
(9)上記(1)から(8)のいずれかにおいて、前記第2基板はインジウムリンを含み、前記半導体層はインジウムガリウム砒素を含み、前記第2基板を除去する工程において、塩酸を含むエッチャントを用いたウェットエッチングにより前記第2基板を除去してもよい。第2基板と半導体層との間で高いエッチング選択比が得られる。エッチングによって第2基板を除去する。エッチングは半導体層で停止する。
(10)上記(1)から(9)のいずれかにおいて、前記半導体層は第1半導体層と第2半導体層とを含み、前記第2基板、前記第1半導体層、および前記第2半導体層はこの順番に積層され、前記接合する工程において、前記第2半導体層が前記第1基板に接合され、前記製造方法は、前記第2基板を除去する工程の後、前記第1半導体層を除去する工程と、前記第2半導体層をエッチングする工程を有してもよい。第2半導体層の加工に対する残存物の影響が抑制される。
【0010】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る半導体光素子の製造方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0011】
<第1実施形態>
(半導体光素子)
図1Aは第1実施形態に係る半導体光素子100を例示する斜視図である。
図1Bは
図1Aの線A-Aに沿った断面図である。
図1Aおよび
図1Bに示すように半導体光素子100は、基板10(第1基板)と半導体素子20とを有するハイブリッド型のレーザ素子である。半導体素子20はIII-V族化合物半導体層を含む素子である。半導体素子20は、例えば光学利得を有し、光を発生させる。別の例では、半導体素子20は、光感度を有し、光を吸収して光電流を発生させる。半導体素子20は、電圧に応じて屈折率を変化させ、光を変調させてもよい。基板10は光を伝搬させる。Z軸方向は基板10の上面の法線方向である。
【0012】
図1Bに示すように、基板10は、Z軸方向に順に積層された基板12、ボックス層14、およびシリコン(Si)層16を含むSOI基板である。基板12は例えばSiで形成される。ボックス層14は例えば酸化シリコン(SiO
2)で形成される。ボックス層14の厚さは例えば3μmである。Si層16の厚さは、例えば220nmである。基板10の上面は絶縁膜18で覆われている。絶縁膜18は例えば厚さ1μmのSiO
2で形成されている。Si層16の屈折率は3.45である。ボックス層14および絶縁膜18の屈折率は、Si層16より低く、1.45である。
【0013】
基板10のSi層16は、導波路11、2つの凹部13、2つのテラス15を有する。導波路11と凹部13とは同じ方向に延伸する。2つの凹部13は導波路11の両側に位置し、導波路11と同じ方向に延伸する。テラス15はSi層16の平面であり、凹部13の導波路11とは反対に位置する。
図1Bにおいて凹部13の底面はSi層16であるが、底面はボックス層14でもよい。Si層16には、リング共振器およびループミラーなどの光学部品を設けてもよい。例えば導波路11をリング状に湾曲させることでリング共振器が形成される。
【0014】
図1Bに示すように、半導体素子20は、Si層16の上面であって、導波路11および凹部13の上に接合されている。半導体素子20は、クラッド層22、活性層24、クラッド層26およびコンタクト層28を有する。クラッド層22からコンタクト層28は、基板10の上面から上に向けて順番に積層されている。
【0015】
クラッド層22は、例えば厚さ400nmのn型インジウムリン(n-InP)で形成される。クラッド層26は、例えば厚さ2μmのp-InPで形成される。コンタクト層28は、(p+)-ガリウムインジウム砒素(GaInAs)などで形成されている。活性層24は、交互に積層された複数の井戸層およびバリア層を含み、多重量子井戸構造(MQW:Multi Quantum Well)を有する。井戸層およびバリア層は、ノンドープのガリウムインジウム砒素リン(i-GaInAsP)などで形成されている。活性層24の厚さは例えば300nmである。活性層24は光学利得を有し、例えば波長1.55μmの光を出射する。半導体素子20の各層は上記以外のIII-V族化合物半導体で形成されてもよい。
【0016】
図1Aに示すように、半導体素子20はメサ30、電極32および34を有する。半導体素子20のメサ30は導波路11の上に位置する。メサ30の先端はテーパ形状であり、導波路11に沿って先細りである。半導体素子20のメサ30およびテーパ形状の先端などが、素子構造である。
【0017】
図1Bに示すように、メサ30は活性層24、クラッド層26およびコンタクト層28で形成され、導波路11の上に位置する。クラッド層22はメサ30と基板10との間に位置し、メサ30の外側に広がる。クラッド層22は、基板10の導波路11の上面およびテラス15の上面に接触する。メサ30およびクラッド層22の表面は絶縁膜18に覆われる。絶縁膜18はメサ30の上、およびクラッド層22の上に開口部を有する。
【0018】
図1Bに示すように、電極32は、メサ30の上からメサ30の外側の絶縁膜18の上面まで延伸する。電極32は絶縁膜18の開口部を通じてコンタクト層28と電気的に接続される。電極32は例えばチタン(Ti)、白金(Pt)および金(Au)の積層体などで形成されている。電極34は電極32から離間し、絶縁膜18の上面に設けられ、絶縁膜18の開口部を通じてクラッド層22に電気的に接続される。電極34は、例えば金、ゲルマニウムおよびニッケルの合金(AuGeNi)などの金属で形成されている。電極32および電極34にAuのメッキ層などを設けてもよい。
【0019】
電極32および34に電圧を印加し、半導体素子20の活性層24にキャリアを注入する。キャリアを注入することで、活性層24は光を生成する。半導体素子20と基板10とはエバネッセント光結合によって光学的に結合しており、光は基板10の導波路11に遷移する。光は導波路11を伝搬し基板10の端部から半導体光素子100の外に出射される。
【0020】
(製造方法)
図2Aから
図7Bは半導体光素子100の製造方法を例示する図である。
図2Aは基板40(第2基板)を例示する平面図である。
図2Bは
図2Aの線B-Bに沿った断面図である。図中には基板40の結晶の方向を示している。
図2Aにおいて、基板40の表面は(100)面である。奥から手前の方向は[100]方向である。上は[011]方向である。下は[0-1-1]方向である。右は[01-1]方向である。左は[0-11]方向である。[0-11]方向および[01-1]方向は第1方向に対応する。[011]方向および[0-1-1]方向は第2方向に対応し、[0-11]方向および[01-1]方向とは交差する。[011]方向および[0-1-1]方向は、[0-11]方向および[01-1]方向に直交する。
【0021】
図2Aに示す基板40は、例えば2インチのInP基板である。
図2Bに示すように、例えば有機金属気相成長法(MOVPE:Metalorganic Vapor Phase Epitaxy)により、基板40の1つの面に、エッチングストップ層42(第1半導体層)、および半導体層44(第2半導体層)を、この順番でエピタキシャル成長する。半導体層44は、
図1Bに示したクラッド層22、活性層24、クラッド層26およびコンタクト層28を含む。エッチングストップ層42の上に、クラッド層22、活性層24、クラッド層26およびコンタクト層28がこの順番で積層される。基板40は、例えば厚さが350μmのインジウムリン(InP)で形成されている。エッチングストップ層42は、例えば厚さが0.3μmのインジウムガリウム砒素(InGaAs)で形成されている。半導体層44の成長後、基板40、エッチングストップ層42および半導体層44を切断し、小片43を形成する。
【0022】
図3Aは切断の工程を例示する平面図である。
図3Aにおいて、切断線41を点線で図示している。切断線41は、基板40の表面に六角形を敷き詰めるように定められる。切断の方法は、例えばレーザアブレーションなど光学的な方法である。レーザ光を照射することで、基板40、エッチングストップ層42および半導体層44し、小片43を形成する。
【0023】
図3Bは1つの小片43を拡大した平面図である。小片43の平面形状は六角形である。小片43は6つの辺43a、43b、43c、43d、43e、および43fを有する。辺43aと辺43dとは互いに対向する。辺43aおよび辺43dは、[011]方向および[0-1-1]方向に垂直であり、[0-11]方向および[01-1]方向に平行である。辺43aおよび辺43dそれぞれの長さL1は例えば5mmである。小片43の[011]方向および[0-1-1]方向における長さL2は例えば5mmである。
【0024】
辺43b、辺43c、辺43eおよび辺43fは、[011]方向、[0-1-1]方向、[0-11]方向および[01-1]方向に対して傾斜しており、(01-1)面および(0-11面)に対して平行ではない。辺43b、辺43c、辺43eおよび辺43fは、[0-11]方向および[01-1]方向に垂直ではない。辺43bと辺43eとは互いに平行である。辺43cと辺43fとは互いに平行である。辺43bと辺43fとは、[0-11]方向および[01-1]方向において互いに対向する。辺43cと辺43eとは、[0-11]方向および[01-1]方向において互いに対向する。
【0025】
辺43bと辺43cとは頂点43gを形成する。辺43eと辺43fとは頂点43hを形成する。頂点43gと頂点43hとは、[0-11]方向および[01-1]方向において互いに対向する。頂点43gは[01-1]方向に向けて突出する。頂点43hは[0-11]方向に向けて突出する。頂点43gの角度θ1および頂点43hの角度θ2は、例えば60°以上、120°以下である。角度θ1は角度θ2に等しくてもよいし、異なってもよい。辺43b、辺43c、辺43eおよび辺43fそれぞれの、[011]方向および[0-1-1]方向からの傾斜角度は、例えば30°以上、60°以下である。
【0026】
図4は基板10を例示する平面図である。基板10は例えば直径10インチのウェハである。
図4に示すように、基板10に複数の小片43を接合する。接合の方法は親水化接合またはプラズマ活性化接合などである。小片43の半導体層44の表面および基板10のSi層16の表面に親水化、またはプラズマ照射による活性化を行う。
【0027】
【0028】
図5Bに示すように、半導体層44の表面を、基板10のSi層16の表面に対向させ、接触させる。接触後、例えば300℃の温度で加熱処理を行うことで、接合強度を強める。Z軸方向において、基板10、半導体層44、エッチングストップ層42および基板40がこの順番に並ぶ。小片43の基板40は、半導体層44およびエッチングストップ層42を挟んで基板10の反対に位置する。半導体層44は基板10の導波路11の上に接合される。
【0029】
小片43の接合後、基板40の裏面からウェットエッチングを行う。基板40がInP基板である場合、基板40の裏面は(-100)面である。基板40がInP基板である場合、エッチャントとしては塩酸(HCl)を含む溶液を用いる。エッチャントの溶液は、基板40を構成する材料に合わせて選択される。
【0030】
InP基板の(-100)面に対して、塩酸系のエッチャントを用いてウェットエッチングを施すとき、エッチングは基板40の厚さ方向、すなわち[100]方向に進行する。ウェットエッチングは、[100]方向に進むとともに、基板40の面内にも進む。すなわち、ウェットエッチングは3次元的にあらゆる方向に進行する。
【0031】
基板40のウェットエッチングには異方性がある。エッチングは[01-1]方向、[0-11]方向、[011]方向、および[0-1-1]方向にも進行する。エッチングの進行しやすさは方向ごとに異なる。(-100)面と35度の角度を有する面に垂直な方向に対するエッチングレートは極めて小さく、当該方向にはエッチングはほとんど進行しない。基板40に対するウェットエッチングの開始から、ある方向で基板40が溶けてなくなるまでの時間を、その方向におけるエッチングレートと定義する。[01-1]方向におけるエッチングレート、および[0-11]方向におけるエッチングレートは、[011]方向におけるエッチングレートおよび[0-1-1]方向におけるエッチングレートより小さい。すなわち、ウェットエッチングは、[01-1]方向および[0-11]方向に進みにくく、[011]方向および[0-1-1]方向に進みにくい。
【0032】
図5Aに示すように、小片43の平面形状は六角形であり、[01-1]方向および[0-11]方向に垂直な辺を有さない。エッチングレートの小さい面が露出しにくい。ウェットエッチングは[100]方向にも、面内の方向にも進む。ウェットエッチングは、[100]方向においてエッチングストップ層42に達し、エッチングストップ層42で停止する。ウェットエッチングは、小片43の辺43a、辺43b、辺43c、辺43d、辺43eおよび辺43fまで達する。
図6Aおよび
図6Bに示すように、ウェットエッチングによって小片43から基板40が除去される。エッチングストップ層42が露出する。基板40のウェットエッチングの終了後、小片43に後工程を行う。
【0033】
図7Aおよび
図7Bに示すように、エッチングストップ層42を除去する。半導体層44が露出する。半導体層44の上にレジストパターンおよびエッチングマスクなどを設ける。半導体層44にエッチングを行い、半導体層44から
図1Aおよび
図1Bに示す半導体素子20を形成する。半導体光素子100が形成される。
【0034】
図8Aおよび
図9Aは比較例に係る半導体光素子の製造方法を例示する平面図である。
図8Bおよび
図9Bは対応する平面図の線D-Dに沿った断面図である。小片43の平面形状は矩形である。小片43の2つの辺は、[01-1]方向および[0-11]方向に垂直である。
【0035】
基板40のウェットエッチングにおいて、[01-1]方向および[0-11]方向にエッチングが進むとき、(-100)面と35度の角度を有し、[011]方向に平行に延伸する特定の結晶面が露出しやすい。(-100)面に対し35度で傾斜した面に垂直な方向のエッチングレートは極めて小さい。角度35度で傾斜した面が露出すると、その面に垂直な方向にはエッチングが進みにくい。[011]方向および[0-1-1]方向に比べて、[01-1]方向および[0-11]方向にはエッチングが進みにくい。
【0036】
図8Aおよび
図8Bに示すように、[01-1]方向および[0-11]方向に、基板40の一部が除去されず、残存物40eとして残る。基板40のウェットエッチングの後、エッチングストップ層42にウェットエッチングを行う。
図9Aおよび
図9Bに示すように、残存物40e、および下のエッチングストップ層42が残る。残存物40eは2つの辺に沿って延伸する。残存物40eはエッチングストップ層42の上面から上に突出する。残存物40eの断面形状は三角形である。残存物40eの底角の角度は例えば35度である。残存物40eの高さは例えば20μmである。残存物40e底辺の長さは例えば30μmである。残存物40eがあるため、半導体層44の上にレジストパターンおよびエッチングマスクなどを形成することが難しい。
【0037】
第1実施形態によれば、小片43を基板10に接合した後、小片43にウェットエッチングを行う。ウェットエッチングは、[01-1]方向および[0-11]方向に進みにくく、[011]方向および[0-1-1]方向に進みやすい。
図3Bに示すように、小片43の平面形状は六角形であり、[0-11]方向および[01-1]方向に垂直な辺を有さない。ウェットエッチングの工程において、エッチングレートの低い面が露出しにくい。ウェットエッチングは[100]方向に進むとともに、基板40の面内にも進む。ウェットエッチングがエッチングストップ層42に達し、かつ小片43の辺に達することで、基板40は除去される。
図6Aおよび
図6Bに示すように、残存物の発生を抑制することができる。残存物のない小片43を加工することで、半導体素子20を形成することができる。
【0038】
小片の辺が、[011]方向および[0-1-1]方向に対して平行、すなわち(01-1)面および(0-11)面に対して平行である場合、ウェットエッチングの途中でエッチングレートの低い面が露出する。
図8Aおよび
図8Bに示すように、残存物が発生しやすい。第1実施形態によれば、
図3Bに示すように、小片43の平面形状は六角形である。小片43の辺43b、辺43c、辺43eおよび辺43fは、[011]方向および[0-1-1]方向から傾斜し、(01-1)面および(0-11)面に対して平行でない。エッチングレートの小さい面が露出しにくく、ウェットエッチングが進みやすい。残存物の発生を抑制することができる。
【0039】
辺43bおよび辺43cは頂点43gを形成する。辺43eおよび辺43fは頂点43hを形成する。頂点43gの角度θ1および頂点43hの角度θ2が大きすぎると、辺43b、辺43c、辺43eおよび辺43fは、[011]方向および[0-1-1]方向に平行に近くなり、[01-1]方向および[0-11]方向に垂直に近づく。残存物が発生する恐れがある。角度θ1およびθ2が小さすぎると、ウェットエッチングが頂点付近まで進んだときに、厚さ方向に基板40が残る恐れがある。角度θ1およびθ2は例えば60°以上、120°以下である。辺43b、辺43c、辺43eおよび辺43fが、[01-1]方向および[0-11]方向に垂直な位置から遠ざかる。ウェットエッチングは頂点まで進み、厚さ方向においてエッチングストップ層42まで進む。残存物の発生が抑制される。角度θ1およびθ2は例えば30°以上、40°以上、50°以上、110°以下、130°以下、140°以下などでもよい。
【0040】
頂点43gと頂点43hとは、[01-1]方向および[0-11]方向において互いに対向する。小片43の両側に頂点43gと頂点43hとが位置する。ウェットエッチングが頂点43gおよび頂点43hまで進むことで、小片43の両側において残存物の発生を抑制することができる。
【0041】
辺43b、辺43c、辺43eおよび辺43fは、同一の長さを有してもよいし、互いに異なってもよい。頂点43gの角度θ1が頂点43hの角度θ2と同一でもよいし、異なってもよい。辺43b、辺43c、辺43eおよび辺43fが同一の長さを有し、頂点43gの角度θ1が頂点43hの角度θ2と同一であることにより、III-V族半導体の材料を有効に活用することができる。
図3Aに示すように、基板40に複数の六角形を敷き詰めるように、切断線41を設定する。隣り合う六角形が噛み合うように並び、隙間が発生しにくい。基板40のうち小片43となる部分が多くなり、廃棄される部分は少なくなる。無駄が発生しにくい。
【0042】
光学的な方法によって基板40を切断する。ブレードを用いる方法に比べ、光学的な方法を用いることで精度が向上する。小片43を所望の形状とすることができる。光学的な方法とは、レーザ光を照射することで切断する方法である。
【0043】
基板40とエッチングストップ層42との間でエッチング選択比が高いことにより、接合後に基板40をウェットエッチングで除去することができる。例えば、基板40はInPで形成される。エッチングストップ層42はInGaAsで形成される。ウェットエッチングのエッチャントとして塩酸を用いる。基板40を除去し、ウェットエッチングをエッチングストップ層42で停止させることができる。基板40はInPを含んでもよいし、InP以外の半導体で形成されてもよい。エッチングストップ層42はInGaAsを含んでもよいし、InGaAs以外の半導体で形成されてもよい。エッチャントは塩酸以外の溶液を含んでもよい。
【0044】
残存物40eの発生が抑制されることで、半導体層44の上にレジストパターンおよびエッチングマスクなどを形成することが可能である。半導体層44のエッチングを行い、
図1Aに示すようなテーパ形状を有するメサ30を形成することができる。
【0045】
基板40の表面は(100)面であるとした。基板40の表面の面方位が、InPの(100)面に対して例えば2°、6°、15°など15°以下に傾いてもよい。こうした基板40を用いた場合でも、第1実施形態と同様の効果が得られる。第1方向および第2方向は、製造上のばらつきの範囲で[01-1]方向および[011]方向からずれることがある。当該ばらつきが発生した場合でも同様の効果が得られる。
【0046】
<第2実施形態>
図10は第2実施形態に係る半導体光素子の製造方法を例示する平面図であり、第1実施形態の
図3Bと同様に1つの小片を図示している。第1実施形態と同じ構成については、説明を省略する。
【0047】
図10に示すように、第2実施形態における小片50の平面形状は多角形である。小片50は辺51および辺52を有する。辺51および辺52は互いに対向し、かつ互いに平行である。辺51および辺52はそれぞれ[011]方向および[0-1-1]方向に垂直である。辺54、辺55、辺57および辺58は、[011]方向および[0-1-1]方向から傾斜し、(0-11)面および(01-1)面に平行ではない。辺54、辺55、辺57および辺58は、[0-11]方向および[01-1]方向に垂直ではない。
【0048】
小片50は複数の頂点53および複数の頂点56を有する。複数の頂点53および複数の頂点56は、辺51と辺52との間に配列されている。頂点53と頂点56とは互いに対向する。1つの頂点53は、辺54と辺55とにより形成される。頂点53は、[0-11]方向に向けて突出する。1つの頂点56は、辺57と辺58とにより形成される。頂点56は、[01-1]方向に向けて突出する。頂点53の角度θ3および頂点56の角度θ4は例えば60°以上である。角度θ3は角度θ4に等しくてもよいし、角度θ4とは異なってもよい。
【0049】
隣り合う2つの頂点53の間の距離D1、および隣り合う2つの頂点56の間の距離D2は、例えば50μm以上、500μm以下である。距離D1は距離D2に等しくてもよいし、距離D2とは異なってもよい。
【0050】
小片50を基板10に接合した後、ウェットエッチングを行うことで、基板40を除去する。ウェットエッチングによって小片50から基板40が除去される。エッチングストップ層42が露出する。基板40除去後の工程は第1実施形態と同じである。
【0051】
第2実施形態によれば、小片50の平面形状は多角形であり、[0-11]方向および[01-1]方向に垂直な辺を有さない。ウェットエッチングの途中でエッチングレートの小さい面が露出しにくい。ウェットエッチングは[100]方向に進み、面内の方向にも進む。ウェットエッチングは、[100]方向においてエッチングストップ層42に達し、エッチングストップ層42で停止する。ウェットエッチングは、小片50の辺まで達する。残存物の発生を抑制することができる。残存物のない小片50を加工することで、半導体素子20を形成することができる。
【0052】
小片50の辺54、辺55、辺57および辺58は、[011]方向および[0-1-1]方向から傾斜し、(01-1)面および(0-11)面に対して平行でない。エッチングレートの小さい面が露出しにくく、ウェットエッチングが進みやすい。残存物の発生を抑制することができる。
【0053】
辺54と辺55とは頂点53を形成する。辺57と辺58とは頂点56を形成する。頂点53の角度θ3および頂点56の角度θ4が大きすぎると、辺54、辺55、辺57および辺58は、[0-11]方向および[01-1]方向に垂直に近くなる。残存物が発生する恐れがある。角度θ3およびθ4が小さすぎると、ウェットエッチングが頂点付近まで進んだときに、厚さ方向に基板40が残る恐れがある。角度θ3およびθ4は例えば60°以上、120°以下である。辺54、辺55、辺57および辺58が、[01-1]方向および[0-11]方向に垂直な位置から遠ざかる。ウェットエッチングは頂点まで進み、厚さ方向においてエッチングストップ層42まで進む。残存物の発生が抑制される。角度θ3およびθ4は例えば30°以上、40°以上、50°以上、110°以下、130°以下、140°以下などでもよい。
【0054】
複数の頂点53および複数の頂点56は、[011]方向および[0-1-1]方向に並ぶ。頂点53と頂点56とは、[01-1]方向および[0-11]方向において対向する。ウェットエッチングが複数の頂点53および複数の頂点56まで進むことで、小片50の両側において残存物の発生を抑制することができる。
図10の例では頂点53の個数および頂点56の個数はそれぞれ6個である。頂点53および56それぞれの個数は6個以下でもよいし、6個以上でもよい。
【0055】
辺54、辺55、辺57および辺58は、互いに等しい長さを有してもよい。頂点53の角度θ3は、頂点56の角度θ4は互いに等しくてもよい。頂点同士が噛み合い、かつ小片50が敷き詰められるように、切断線41を設定する。基板40のうち小片50となる部分が多くなり、廃棄される部分は少なくなる。無駄が発生しにくい。
【0056】
<第3実施形態>
図11は第3実施形態に係る半導体光素子の製造方法を例示する平面図であり、第1実施形態の
図3Bと同様に1つの小片を図示している。第1実施形態および第2実施形態のいずれかと同じ構成については、説明を省略する。
【0057】
図11に示すように、第3実施形態における小片60の平面形状は平行四辺形である。小片60は辺61、辺62、辺63および辺64を有する。辺61および辺62は互いに対向し、かつ互いに平行である。辺61および辺62はそれぞれ[011]方向および[0-1-1]方向に垂直である。
【0058】
辺63および辺64は、互いに対向し、かつ互いに平行である。辺63および辺64は[011]方向および[0-1-1]方向から傾斜し、(0-11)面および(01-1)面に平行ではない。辺63および辺64は、[0-11]方向および[01-1]方向に垂直ではない。傾斜角度は例えば45°以下である。
【0059】
辺62と辺63とは頂点65を形成する。辺61と辺64とは頂点66を形成する。頂点65は[0-11]方向に向けて突出する。頂点66は[01-1]方向に向けて突出する。頂点65と頂点66とは、平行四辺形の対角線の方向に沿って互いに対向する。頂点65の角度θ5および頂点66の角度θ6は、例えば45°以上、90°未満である。角度θ5は角度θ6に等しくてもよいし、角度θ6とは異なってもよい。
【0060】
小片60を基板10に接合した後、ウェットエッチングを行うことで、基板40を除去する。ウェットエッチングによって小片60から基板40が除去される。エッチングストップ層42が露出する。基板40除去後の工程は第1実施形態と同じである。
【0061】
第3実施形態によれば、小片60の平面形状は平行四辺形であり、[0-11]方向および[01-1]方向に垂直な辺を有さない。ウェットエッチングの途中でエッチングレートの小さい面が露出しにくい。ウェットエッチングは[100]方向に進み、面内の方向にも進む。ウェットエッチングは、[100]方向においてエッチングストップ層42に達し、エッチングストップ層42で停止する。ウェットエッチングは、小片60の辺まで達する。残存物の発生を抑制することができる。残存物のない小片60を加工することで、半導体素子20を形成することができる。
【0062】
小片60の辺63および辺64は、[011]方向および[0-1-1]方向から傾斜し、(01-1)面および(0-11)面に対して平行でない。エッチングレートの小さい面が露出しにくく、ウェットエッチングが進みやすい。残存物の発生を抑制することができる。
【0063】
辺61および辺62は[011]方向および[0-1-1]方向から90°傾斜している。辺63および辺64は[011]方向および[0-1-1]方向から傾斜している。傾斜角度は例えば45°以下である。辺62と辺63とは頂点65を形成する。辺61と辺64とは頂点66を形成する。頂点65の角度θ5および頂点66の角度θ4が90°である場合、辺63および辺64は、[011]方向および[0-1-1]方向に平行であり、[01-1]方向および[0-11]方向に垂直である。ウェットエッチングの工程で残存物が発生する恐れがある。角度θ5およびθ6が小さすぎると、ウェットエッチングが頂点付近まで進んだときに、厚さ方向に基板40が残る恐れがある。角度θ5およびθ6は例えば45°以上、90°未満である。辺63および辺64が、[01-1]方向および[0-11]方向に垂直な位置から遠ざかる。ウェットエッチングは頂点まで進み、厚さ方向においてエッチングストップ層42まで進む。残存物の発生が抑制される。角度θ5およびθ6は例えば40°以上、50°以上、80°以下、85°以下などでもよい。
【0064】
辺63と辺64とは互いに等しい長さを有してもよい。辺61と辺62とは互いに等しい長さを有してもよい。頂点65の角度θ5は、頂点66の角度θ6に等しくてもよい。小片60が敷き詰められるように、切断線41を設定する。基板40のうち小片60となる部分が多くなり、廃棄される部分は少なくなる。無駄が発生しにくい。
【0065】
小片の平面形状は多角形であり、例えば六角形および平行四辺形でもよいし、
図10のように複数の頂点が並ぶ形状でもよい。小片の平面形状は例えば三角形、台形でもよく、[0-11]方向および[01-1]方向に垂直な辺を有さない。
図3Aの例のように、多角形が基板40に敷き詰められるように、切断線41を定める。基板40のうち廃棄される部分が少なくなる。小片の平面形状は例えば円形および楕円形など曲線を含む形状でもよい。
【0066】
以上、本開示の実施形態について詳述したが、本開示は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0067】
10、12、40 基板
11 導波路
13 凹部
14 ボックス層
15 テラス
16 Si層
18 絶縁膜
20 半導体素子
22、26 クラッド層
24 活性層
28 コンタクト層
30 メサ
32、34 電極
40e 残存物
41 切断線
42 エッチングストップ層
44 半導体層
43 小片
43a、43b、43c、43d、43e、43f、51、52、54、55、57、58、61、62、63、64 辺
43g、43h、53、56、65、66 頂点
100 半導体光素子