(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104053
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
B60L 3/00 20190101AFI20240726BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20240726BHJP
B60L 58/16 20190101ALI20240726BHJP
B60L 58/24 20190101ALI20240726BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20240726BHJP
B60L 53/62 20190101ALI20240726BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240726BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240726BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20240726BHJP
G06Q 10/06 20230101ALI20240726BHJP
【FI】
B60L3/00 S
B60L58/12
B60L58/16
B60L58/24
B60L53/14
B60L53/62
B60L50/60
H02J7/00 Y
H02J7/04 L
H02J7/00 X
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008066
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】森 幹太
(72)【発明者】
【氏名】森 恵一
(72)【発明者】
【氏名】脇 匡史
(72)【発明者】
【氏名】高沢 修
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 渉
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CB11
5G503EA08
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC23
5H125BC05
5H125BC09
5H125BC19
5H125BC21
5H125CD02
5H125CD10
5H125DD01
5H125DD02
5H125EE25
5H125EE27
5H125EE29
5H125EE52
5H125EE55
5L010AA06
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】的確なタイミングでバッテリ劣化抑制制御に関する情報の報知を行う。
【解決手段】情報処理装置1は、車両2に搭載されたバッテリ22の充放電履歴情報を取得する取得部12と、取得部12にて取得された充放電履歴情報に基づいて、バッテリ22が劣化促進状態にあるか否かを判定する判定部14と、判定部14によりバッテリ22が劣化促進状態にあると判定された場合、バッテリ22の充電開始前に、バッテリ22の劣化を抑制するバッテリ劣化抑制制御に関する情報の報知を行う報知部15と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたバッテリの充放電履歴情報を取得する取得部と、
前記取得部にて取得された前記充放電履歴情報に基づいて、前記バッテリが劣化促進状態にあるか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記バッテリが劣化促進状態にあると判定された場合、前記バッテリの充電開始前に、前記バッテリの劣化を抑制するバッテリ劣化抑制制御に関する情報の報知を行う報知部と、
を含む、情報処理装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記バッテリの残容量を示すバッテリ測定情報と、前記車両の位置および速度を示す車両走行情報と、前記バッテリを充電可能な充電ポイントの場所を示す充電ポイント情報と、を取得し、
前記判定部は、前記取得部にて取得された前記バッテリ測定情報、前記車両走行情報、及び前記充電ポイント情報に基づいて、前記バッテリの残容量が所定値以下の状態で前記車両が前記充電ポイントに停車したか否かを判定し、
前記報知部は、前記判定部により前記バッテリが劣化促進状態にあり、かつ、前記バッテリの残容量が所定値以下の状態で前記車両が前記充電ポイントに停車したと判定された場合に、前記バッテリ劣化抑制制御に関する情報の報知を行う、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記報知部による前記報知は、前記バッテリ劣化抑制制御の実行により前記バッテリの劣化を抑制できることを報知する第1報知と、前記バッテリ劣化抑制制御の実行の有無による所定期間後の前記バッテリの劣化度合いの変化を含む実行影響情報を報知する第2報知と、を含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記バッテリ劣化抑制制御は、前記バッテリの温度を調整するバッテリ温調制御であり、
前記実行影響情報は、前記バッテリ温調制御の実行の有無による所定期間後における前記車両の買値価格の変化、前記バッテリ温調制御に要する電力量、及び、前記バッテリ温調制御の実行の有無による所定期間後における前記バッテリの満充電一回当たりでの前記バッテリによる前記車両の走行可能距離の変化のうちの少なくとも一つを更に含む、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記報知部は、前記第1報知の後に前記第2報知を行う、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記報知部は、前記第1報知の後に前記第2報知の要求を受け付けた場合に、前記第2報知を行う、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記充放電履歴情報は、所定期間において前記バッテリの充放電中の温度が基準値以上になった回数、又は、所定期間において前記バッテリの急速充放電が行われた回数を含み、
前記判定部は、前記充放電履歴情報に含まれる前記回数が所定の閾値以上である場合に、前記バッテリが劣化促進状態にあると判定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されたバッテリの劣化抑制制御に関する情報の報知を行うことのできる情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車などの車両には、バッテリ(二次電池)と、このバッテリから供給される電力により駆動される走行用の電動モータとが搭載されている。バッテリに関し、例えば、特許文献1には、バッテリの温度を調整することによりバッテリの劣化を抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、バッテリの劣化はバッテリの温度を調整する温度調整制御などのバッテリ劣化抑制制御を実行することで抑制され得る。しかし、バッテリ劣化抑制制御には、バッテリの温度調整(温調)などのために電力が消費されてしまう。このため、バッテリ劣化抑制制御の実行やその制御内容について、車両の所有者などのユーザの意向が反映されるべく、ユーザにバッテリ劣化抑制制御に関する情報を報知することが望まれ得る。この点について、例えば、ユーザへの報知が頻繁に行われると、ユーザはその報知について煩わしさを感じてしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、車両のユーザに的確なタイミングでバッテリ劣化抑制制御に関する情報の報知を行うことのできる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面によると、情報処理装置が提供される。この情報処理装置は、車両に搭載されたバッテリの充放電履歴情報を取得する取得部と、前記取得部にて取得された前記充放電履歴情報に基づいて、前記バッテリが劣化促進状態にあるか否かを判定する判定部と、前記判定部により前記バッテリが劣化促進状態にあると判定された場合、前記バッテリの充電開始前に、前記バッテリの劣化を抑制するバッテリ劣化抑制制御に関する情報の報知を行う報知部と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一側面によれば、車両のユーザに的確なタイミングでバッテリ劣化抑制制御に関する情報の報知を行うことのできる情報処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置を含む情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図2】上記情報処理装置で実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【
図3】上記情報処理装置で実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】上記情報処理装置で実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】上記情報処理装置の報知部による第1報知を含む表示画像の例を示す模式図である。
【
図6】上記報知部による第2報知を含む表示画像の例を示す模式図である。
【
図7】
図6に示された画像に続く第2報知を含む表示画像の例を示す模式図である。
【
図8】
図7に示された画像に続く第2報知を含む表示画像の例を示す模式図である。
【
図9】
図8に示された画像に続く第2報知を含む表示画像の例を示す模式図である。
【
図10】
図9に示された画像に続く第2報知を含む表示画像の例を示す模式図である。
【
図11】
図10に示された画像に続くバッテリ温調制御の実行の有無を問う表示画像の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置1を含む情報処理システム100の構成例を示す図である。
図1を参照すると、情報処理システム100では、情報処理装置1及び車両2と、サーバ3とが通信ネットワーク4を介して各種情報を交換することによって、情報処理装置1による各種の報知(提案)が行われる。
【0011】
本実施形態では、情報処理装置1は、車両2に搭載されており、この車両2において車両2のユーザなどに各種の報知を行う。以下の説明において、車両2は電気自動車であるものとするが、ハイブリッド自動車であってもよい。
【0012】
本実施形態では、車両2は、例えば、走行を含む車両全般の制御を行う制御部21と、バッテリ22と、検知部23と、温調装置24と、を含む。
【0013】
制御部21は、例えば、バッテリ22の充放電を制御するとともに充放電履歴情報を生成可能なバッテリコントローラとしての機能と、温調装置24の動作を制御する温調コントローラとしての機能とを有している。充放電履歴情報には、所定期間において充放電中のバッテリ22の温度が基準値以上になった回数と、初期状態(新品)のバッテリ22における満充電の容量である初期満充電容量と、現在のバッテリ22における直前の充電による満充電の容量である現在満充電容量と、が含まれる。
【0014】
バッテリ22は、例えば、リチウムイオン電池である。バッテリ22の電力は図示を省略された車両走行用の電動モータに供給される。図示を省略されているが、車両2には、充電インレットが設けられている。バッテリ22の充電の際には、充電ステーションや家庭用電源などの外部電源と充電インレットが充電ケーブルにより接続され、バッテリ22が外部電源によって充電されるようになっている。
【0015】
ここで、バッテリ22の温度は、周囲の温度環境や自己発熱により上昇する。そして、バッテリ22は高温状態で充電や放電を行うと、バッテリ22の劣化が進行してしまう。そのため、バッテリ22の温度が所定の管理温度範囲内に収まるように調整されて管理されると、バッテリ22の劣化が抑制される。バッテリ22の管理温度範囲は、バッテリメーカなどにより推奨された範囲である。バッテリ22の急速充電を行った場合、バッテリ22の温度が上昇して管理温度範囲を超えやすくなり、バッテリ22の劣化が進行してしまう。例えば、温度管理を行っていないバッテリ22を急速充電により残容量が40%から100%まで充電した場合、バッテリ22の劣化が進行する可能性が高まる。また、温度管理を行っていないバッテリ22を普通充電により残容量が10%から100%まで充電した場合にも、充電時間が長くなってバッテリ22の温度が上昇しやすくなり、バッテリ22の劣化が進行する可能性が高まる。
【0016】
バッテリ22の劣化は、上述のようにバッテリ22の温度の管理状況やバッテリ22の急速充放電の回数などに依存して進行し得る。したがって、充放電履歴情報に含まれている、所定期間において充放電中のバッテリ22の温度が基準値以上になった回数などは、バッテリ22の充放電の仕方に起因して当該バッテリ22が劣化促進状態にあるか否かを判断し得る指標(パラメータ)として有用な情報である。
【0017】
バッテリ22の劣化度合いは、例えば、SOH(State Of Health)により表される。SOHは、バッテリ22の現在満充電容量をバッテリ22の初期満充電容量で除算することで算出され得る(SOH=現在満充電容量/初期満充電容量×100[%])。バッテリ22の現在満充電容量及び初期満充電容量の情報は、制御部21のバッテリコントローラにより生成される充放電履歴情報に含まれている。SOHの値が高いほど、バッテリ22の状態が良く、SOHの値が低いほど、バッテリ22の劣化が進んでいる。
【0018】
検知部23は、バッテリ22の電圧、電流、温度、及び残容量等を測定し、これらの測定結果を示すバッテリ測定情報を制御部21に出力する。また、検知部23は、車両2に搭載されたGPSや車速センサ等を利用して車両2の位置および速度を測定し、これらの測定結果を示す車両走行情報を制御部21に出力する。制御部21は、バッテリコントローラに相当する機能として、例えば、検知部23からのバッテリ測定情報に基づいて、所定期間において充放電中のバッテリ22の温度が基準値以上になった回数を含む充放電履歴情報を生成し得る。
【0019】
温調装置24は、バッテリ22の劣化を抑制するバッテリ劣化抑制制御を行うための装置である。本実施形態では、バッテリ劣化抑制制御は、バッテリ22の温度を調整する温調制御である。この温調制御(温度調整制御)により、バッテリ22の温度が前述の所定の管理温度範囲に調整され得る。
【0020】
温調装置24は、特に限定されるものではないが、バッテリ22に向けて空気を送風することでバッテリ22を冷却する冷却ファンを備えた空冷式装置やバッテリ22に熱媒体を循環させることでバッテリ22の温度を調整する熱媒体回路を備えた液冷式装置などにより構成されている。温調装置24の動作は制御部21によって制御される。具体的には、制御部21は、バッテリ22の温度が所定の管理温度範囲内に収まるように、温調装置24の動作を制御する。このように、車両2は、制御部21、検知部23及び温調装置24によって、バッテリ22の劣化を抑制するバッテリ劣化抑制制御(バッテリ温調制御)を実行可能に構成されている。バッテリ劣化抑制制御において、温調装置24を駆動させるための電力はバッテリ22から供給されている。
【0021】
なお、本実施形態では、制御部21は、情報処理装置1からのユーザの意向を反映した後述するバッテリ温調制御実行要求信号を受け付けた場合に、温調装置24を駆動できるように構成されている。つまり、バッテリ温調制御実行要求信号を受け付けていない場合には、制御部21は、バッテリ22の温度が所定の管理温度範囲を超えていたとしても、温調装置24を駆動させない(バッテリ温調制御を実行しない)。したがって、本実施形態では、バッテリ温調制御の実行の有無はユーザの意向に委ねられている。
【0022】
情報処理装置1は、その機能構成として、例えば、通信部11と、取得部12と、記憶部13と、判定部14と、表示装置15aを有する報知部15とを含んでいる。表示装置15aを除く情報処理装置1のハードウェア構成は、例えば、プロセッサ、メモリ、ユーザ入力インターフェースおよび通信インターフェースを含むコンピュータシステムを備える。つまり、情報処理装置1では、コンピュータシステムのプロセッサがメモリに格納されたプログラムを読み出して実行することによって各機能が実現されている。
【0023】
通信部11は、情報処理装置1とサーバ3との間の通信ネットワーク4を介した情報交換を無線により行う通信装置である。また、特に限定されるものではないが、車両2は情報処理装置1の通信部11及び通信ネットワーク4を経由して外部と通信可能に構成されている。
【0024】
取得部12は、少なくとも前述の充放電履歴情報を取得する。本実施形態では、取得部12は、サーバ3に保存されている各種の情報を通信部11及び通信ネットワーク4を介して取得し、バッテリ22の充放電履歴情報を制御部21から取得し、検知部23による測定結果を示すバッテリ測定情報及び車両走行情報を制御部21経由で取得する。サーバ3に保存されている各種の情報は、取得部12に所定の周期で送信される。サーバ3は、取得部12から所定の周期やタイミングで要求されたときに、通信ネットワーク4及び通信部11経由で取得部12に情報を送信することもできる。また、バッテリ22の充放電履歴情報、バッテリ測定情報及び車両走行情報は、例えば、制御部21から取得部12に所定の周期で送信され、取得部12で最新情報に書き換えられる。また、制御部21は、取得部12から所定の周期やタイミングで要求されたときに、取得部12に情報を送信することもできる。
【0025】
サーバ3に保存されている情報には、充電ポイント情報、バッテリ劣化傾向情報、車両買値価格情報、電気料金情報、単位電力量当たりの車両の走行距離情報などが含まれている。
【0026】
充電ポイント情報は、車両2のバッテリ22を充電可能な充電ポイント(充電ステーションや家庭用電源など)の場所を示す地図情報を含んでいる。充電ポイントには、普通充電器および急速充電器の少なくとも一方が設置されている。
【0027】
バッテリ劣化傾向情報は、バッテリの劣化傾向を示す情報である。バッテリ劣化傾向情報は、例えば、バッテリ温調制御下で使用された場合とバッテリ温調制御下で使用されていない場合のそれぞれについての、満充電容量の低下傾向やSOHの低下傾向に関するデータなどである。バッテリ劣化傾向情報は、車両の型番及びバッテリの型番などと関連付けて保存されている。
【0028】
車両買値価格情報は、中古車市場における車両の買値価格を示す情報である。車両買値価格情報は、車両の型番、車両の年式、及び、バッテリの型番などと関連付けて保存されている。
【0029】
電気料金情報は、地域ごとの電気料金を示す情報である。電気料金情報は、例えば、単位電力量当たりの電気料金である。取得部12は、例えば、サーバ3からの地域ごとの電気料金情報の中から、車両2に搭載されたGPSにより特定される車両2の現在位置が属する地域の電気料金の情報を抽出して取得し得る。
【0030】
単位電力量当たりの車両の走行距離情報は、バッテリ駆動による電動モータによって走行可能な距離(航続距離)を単位電力量当たりで示す情報である。電動モータによる単位電力量当たりの車両の走行距離は、内燃機関による燃費と対比して電費とも呼ばれ得る。単位電力量当たりの車両の走行距離は、車両の型番及びバッテリの型番などと関連付け保存されている。
【0031】
新機種の車両やバッテリが追加されると、その追加の度に、新機種(型番、型式)に対応する情報(バッテリ劣化傾向情報、車両買値価格情報、単位電力量当たりの車両の走行距離情報)がサーバ3の保存情報として追加される。したがって、サーバ3の保存情報は市場に流通している大半の機種(型番、型式)の車両及びバッテリを網羅できるように逐次更新されている。
【0032】
取得部12で取得された、充放電履歴情報、バッテリ測定情報、車両走行情報、及びサーバ3の保存情報(充電ポイント情報、バッテリ劣化傾向情報、車両買値価格情報、電気料金情報、単位電力量当たりの車両の走行距離情報など)は、記憶部13に記憶される。そして、本実施形態では、取得部12で取得された情報のうちの充放電履歴情報、バッテリ測定情報、車両走行情報、及び充電ポイント情報は、判定部14に伝えられる。
【0033】
判定部14は、取得部12にて取得された充放電履歴情報に基づいて、バッテリ22が劣化促進状態にあるか否かを判定する。また、判定部14は、取得部12にて取得されたバッテリ測定情報、車両走行情報及び充電ポイント情報に基づいて、バッテリ22の充電開始前のタイミングを判定する。
【0034】
具体的に、本実施形態における判定部14は、取得部12にて取得された充放電履歴情報を用いて、所定期間(例えば、1カ月など)においてバッテリ22の充放電中の温度が基準値以上(例えば、35℃以上)になった回数が、所定の閾値以上(例えば、3回以上など)である場合に、バッテリ22が劣化促進状態にあると判定する。また、判定部14は、取得部12にて取得されたバッテリ測定情報、車両走行情報及び充電ポイント情報を用いて、バッテリ22の現在の残容量が所定値以下(例えば、50%以下など)の状態で、車両2が充電ポイントに停車したか否かを判定する。そして、判定部14での判定結果は、報知部15に伝えられる。
【0035】
報知部15は、判定部14によりバッテリ22が劣化促進状態にあり、かつ、バッテリ22の現在の残容量が所定値以下の状態で車両2が充電ポイントに停車したと判定された場合に、バッテリ22の劣化を抑制するバッテリ劣化抑制制御に関する情報の報知を行う。本実施形態では、報知部15は、バッテリ劣化抑制制御の一例としてバッテリ22の温調制御に関する情報の報知を行う。
【0036】
具体的には、報知部15は、バッテリ22の温調制御に関する情報の報知(提案)のための文字や図形等の報知情報(提案情報)を生成する。本実施形態では、報知部15は、生成した報知情報の文字や図形等を含む画像を液晶ディスプレイなどの表示装置15aの表示部(表示画面)に表示することで、バッテリ22の温調制御に関する情報の報知を、ユーザに対して行う。
【0037】
本実施形態では、情報処理装置1の報知部15による報知は、第1報知と第2報知とを含む。第1報知は、バッテリ劣化抑制制御(バッテリ温調制御)の実行によりバッテリの劣化を抑制することができることを報知する。第2報知は、バッテリ劣化抑制制御(バッテリ温調制御)の実行の有無による所定期間後(例えば、1年後など)のバッテリ22の劣化度合いの変化を含む実行影響情報を報知する。つまり、報知部15は、ユーザに対して、第1報知によってバッテリ劣化抑制制御についての概要をお知らせし、第2報知によってバッテリ劣化抑制制御によるメリットなどの詳しい内容を含む実行影響情報をお知らせするように構成されている。なお、実行影響情報の内容については、後に詳述する。
【0038】
本実施形態では、報知部15は第1報知の後に第2報知を行うように構成されている。第1報知の内容はバッテリ劣化抑制制御の概要であり、第2報知の内容は第1報知の内容よりも詳しい内容になっている。したがって、報知部15は、ユーザに対して、概要のお知らせを行った後に、詳しいお知らせを行うように構成されており、ユーザの理解が深まるようになっている。
【0039】
本実施形態では、報知部15は、第1報知の後に第2報知の要求をユーザから受け付けた場合に、第2報知を行うように構成されている。車両のユーザは多様な志向を有している。したがって、車両のユーザは、報知について煩わしく感じたり、バッテリ劣化抑制制御について関心を示さなかったり、報知やバッテリ劣化抑制制御について関心を有したり、多様な志向を有しており、バッテリ劣化抑制制御の報知を望まないユーザがいる可能性もある。この点、報知部15がユーザからの第2報知の要求を受け付けた場合に、第2報知を行うことで、ユーザの志向及び意向を反映した報知を行うことができるようになる。
【0040】
また、本実施形態では、第2報知は、複数回に分けて段階的に行われるように構成されている。報知部15は、次の第2報知の要求をユーザから受け付けた場合に、次の第2報知を行うように構成されている。
【0041】
次に、
図2から
図4を参照して情報処理装置1で実行される処理の流れを説明するとともに、
図5から
図11を参照して情報処理装置1の報知部15による報知内容について詳しく説明する。
【0042】
図2から
図4は、それぞれ情報処理装置1で実行される処理の流れを示すフローチャートである。
図5は、報知部15による第1報知を含む表示画像G10の一例を示す模式図である。
図6から
図10は、それぞれ報知部15による第2報知を含む表示画像(G20、G21、G22、G23、G24)の一例を示す模式図である。
図11は報知部15によるバッテリ温調制御の実行の有無をユーザに問う表示画像G30の一例を示す模式図である。
【0043】
図6は最初の第2報知を含む表示画像G20を示し、
図7は表示画像G20に続く第2報知を含む表示画像G21を示し、
図8は表示画像21に続く第2報知を含む表示画像G22を示し、
図9は表示画像22に続く第2報知を含む表示画像G23を示し、
図10は表示画像G23に続く第2報知を含む表示画像G24を示す。各表示画像(G10、G20、G21、G22、G23、G24、G30)は、報知部15の表示装置15aの表示部に表示されている。各表示画像には、見出し表示領域Vaと、報知情報表示領域Vbと、GUIからなるボタン(B1、B2)のボタン表示領域Vcとが設けられている。
【0044】
図2を参照すると、ステップS100で、情報処理装置1の取得部12は、制御部21から充放電履歴情報を取得する。充放電履歴情報には、所定期間において充放電中のバッテリ22の温度が基準値以上になった回数が含まれている。
【0045】
ステップS105で、判定部14は、取得部12にて取得された充放電履歴情報に基づいて、バッテリ22が劣化促進状態にあるか否かを判定する。具体的には、判定部14は、例えば、1カ月の所定期間において充放電中のバッテリ22の温度が35℃以上になった回数が3回以上であるか否かを判定することで、バッテリ22が劣化促進状態にあるか否かを判定する。充放電履歴情報が示す上記回数が3回以上である場合(ステップS105:Yes)、判定部14は、バッテリ22が劣化促進状態にあると判定し、その判定結果を報知部15に伝える。充放電履歴情報が示す上記回数が3回未満である場合(ステップS105:No)、判定部14は、バッテリ22が劣化促進状態にないと判定する。この場合、情報処理装置1は、例えば、ステップS100に戻り、ステップS105でYesと判定されるまで、ステップS100及びステップS105の処理を繰り返す。
【0046】
ステップS110で、取得部12は、検知部23から制御部21経由でバッテリ測定情報及び車両走行情報を取得するとともに、サーバ3から通信ネットワーク4及び通信部11経由で充電ポイント情報を取得する。
【0047】
ステップS115で、判定部14は、取得部12にて取得されたバッテリ測定情報を用いて、バッテリ22の現在の残容量が所定値以下(例えば、50%以下など)である場合に、車両2のユーザがバッテリ22の充電を行う可能性が高まっていることを推定する。そして、判定部14は、取得部12にて取得された車両走行情報及び充電ポイント情報を用いて、車両2の位置が充電ポイントの敷地内にあり、車両2の速度が略零であるかどうかを判定する。
【0048】
つまり、ステップS115において判定部14は、バッテリ22の現在の残容量が所定値以下の状態にあり、かつ、車両2が充電ポイントで停車した状態にある場合に、バッテリ22の充電が開始される直前のタイミングにあることを判定する。バッテリ22の充電開始前が判定されると(ステップS115:Yes)、判定部14は、その判定結果を報知部15に伝えて、次のステップS120に進む。一方、バッテリ22の充電開始前ではないと判定されると(ステップS115:No)、ステップS100に戻り、ステップS115でYesと判定されるまで、ステップS100~S115の処理が繰り返される。
【0049】
ステップS120で、報知部15は、判定部14からの判定結果(ステップS115:Yes)に応じて、バッテリ温調制御(バッテリ劣化抑制制御)に関する情報の第1報知を行う。報知部15は、第1報知として表示装置15aの表示部に
図5に示された表示画像G10を表示する。
図5の表示画像G10では、見出し表示領域Vaに、「バッテリ温調制御に関する情報」という文字情報が表示され、報知情報表示領域Vbに、「急速充電はバッテリが劣化する場合があります。バッテリ温調制御の実行によりバッテリの劣化を抑えることができます。」という第1報知の情報としての文字情報と、「バッテリ温調制御の実行の有無によるメリットなどの詳細情報の表示に進みますか?」という文字情報とが表示され、ボタン表示領域Vcに、「はい」の文字が描画されたボタンB1と「いいえ」の文字が描画されたボタンB2とが表示されている。
【0050】
ステップS130(
図2)で、報知部15は、ユーザからの第2報知の表示の要求を、表示画像G10を通じて受け付ける。ユーザが表示画像G10の「はい」ボタンB1をタッチすることで、報知部15は第2報知の表示の要求受付有り(ステップS130:Yes)と判定し、ステップS140に進む。ユーザが表示画像G10の「いいえ」ボタンB2をタッチすることで、報知部15は第2報知の表示の要求受付無し(ステップS130:No)と判定する。この場合、情報処理装置1は、例えば、以降の報知を行うことなく処理を終了させる。
【0051】
ステップS140で、報知部15は、ユーザから第2報知の表示の要求に応じて、第2報知の報知情報の生成を行う。具体的には、報知部15は、バッテリ温調制御の実行の有無による実行影響情報の生成を行う。
【0052】
本実施形態では、実行影響情報は、(1)バッテリ温調制御の実行の有無による所定期間後におけるバッテリ22の劣化度合いの変化と、(2)バッテリ温調制御の実行の有無による所定期間後における車両の買値価格の変化と、(3)バッテリ温調制御に要する電力量及び電気料金と、(4-1)バッテリ温調制御の実行の有無による現在におけるバッテリ22の満充電一回当たりでのバッテリ22による車両2の走行可能距離の変化と、(4-2)バッテリ温調制御の実行の有無による将来(所定期間後)におけるバッテリ22の満充電一回当たりでのバッテリ22による車両2の走行可能距離の変化を示す情報を含む。
【0053】
(1)劣化度合いの変化の報知情報の生成
報知部15は、記憶部13からバッテリ22の充放電履歴情報(現在満充電容量及び初期満充電容量)とバッテリ劣化傾向情報とを取得する。報知部15は、充放電履歴情報に基づきバッテリ22の現在SOH(=現在満充電容量/初期満充電容量×100[%])を推定する。報知部15は、充放電中においてバッテリ温調制御下で使用された場合のSOH低下傾向データと現在SOHとに基づき現在から所定期間後(例えば1年後)の満充電容量である温調有り将来満充電容量を推定し、この推定値と初期満充電容量とに基づき現在から所定期間後のSOHである温調有りの将来SOHα%を推定する。そして、報知部15は、充放電中においてバッテリ温調制御下で使用されていない場合のSOH低下傾向データと現在SOHとに基づき現在から所定期間後(例えば1年後)の満充電容量である温調無しの将来満充電容量を推定し、この推定値と初期満充電容量とに基づき現在から所定期間後のSOHである温調無しの将来SOHの値β%を推定する。そして、報知部15は、推定した情報(SOHα%及びSOHβ%)を用いて、バッテリ温調制御の実行の有無による所定期間後におけるバッテリ22の劣化度合いの変化についての報知情報を生成する。
【0054】
(2)車両2の買値価格の変化の報知情報の生成
報知部15は、記憶部13から車両2の車両買値価格情報を取得する。報知部15は、例えば、車両買値価格情報と上記(1)で推定した温調有りの将来SOHα%とに基づき現在から所定期間後(例えば1年後)のSOH低下を考慮した車両2の買値価格(X1円)を推定する。同様に、報知部15は、例えば、車両買値価格情報と上記(1)で推定した温調無しの将来SOHβ%とに基づき現在から所定期間後(例えば1年後)のSOH低下を考慮した車両2の買値価格(X2円)を推定する。そして、報知部15は、推定した二つの買値価格(X1円、X2円)に基づいて、バッテリ温調制御の実行の有無による所定期間後における車両2の買値価格の変化(差額X=X1-X2)についての報知情報を生成する。
【0055】
(3)電力量及び電気料金の報知情報の生成
報知部15は、記憶部13から電気料金情報と年間の外気温度の変化予測情報とを取得する。そして、記憶部13には、温調装置24による温調に要する単位温度当たりの消費電力量を示す温調消費電力量情報が記憶されており、報知部15は、記憶部13から温調消費電力情報を取得する。報知部15は、記憶部13から取得した温調消費電力情報と年間の外気温度の平均予測情報と電気料金情報とに基づき1年間のバッテリ温調制御に要する年間温調予測消費電力量と年間温調予測電気料金を推定する。そして、報知部15は、推定した年間温調予測消費電力量及び年間温調予測電気料金に基づきバッテリ温調制御を所定期間(例えば1年間)行った場合に必要な電力量YKWh及び電気料金Z円を推定し、推定した情報(電力量YKWh及び電気料金Z円)を用いて、バッテリ温調制御を所定期間行った場合に必要な電力量YKWh及び電気料金Z円についての報知情報を生成する。
【0056】
(4-1)現在の満充電一回当たりの走行可能距離の変化の報知情報の生成
報知部15は、記憶部13から単位電力量当たりの車両2の走行距離情報(いわゆる電費)と充放電履歴情報に含まれる現在満充電容量の情報を取得する。報知部15は、単位電力量当たりの車両2の走行距離情報と現在満充電容量とに基づきバッテリ温調制御を行わなかった場合の、満充電一回当たりの現在の走行可能距離La2kmを推定する。
【0057】
そして、記憶部13には、年間の標準走行距離情報(例えば、8000km)が記憶されており、報知部15は、例えば、記憶部13から年間標準走行距離情報を取得し、取得した年間標準走行距離情報と推定した現在の走行可能距離La2kmの情報とに基づき現在の満充電一回当たりの電力消費に要する日数(現在のバッテリ電力消費日数)を推定する。そして、報知部15は、例えば、上記(3)で推定した年間温調予測消費電力量を一日当たりの温調予測消費電力量に換算し、この換算した一日当たりの温調予測消費電力量に上記現在のバッテリ電力消費日数を乗算することで満充電一回当たりの電力のうちの温調に消費される温調消費電力量を算出する。報知部15は、算出した該温調消費電力量を現在満充電容量から減算して得た値に、単位電力当たりの車両の走行距離を乗算することで、バッテリ温調制御を行った場合の、満充電一回当たりの現在の走行可能距離La1kmを推定する。そして、報知部15は、推定した情報(走行可能距離La1km及びLa2km)を用いて、バッテリ温調制御の実行の有無による現在のバッテリ22の満充電一回当たりでのバッテリ22による車両2の走行可能距離の変化についての報知情報を生成する。
【0058】
(4-2)将来の満充電一回当たりの走行可能距離の変化の報知情報の生成
また、報知部15は、単位電力当たりの車両2の走行距離情報と上記(1)で推定した温調無しの将来満充電容量とに基づいて、バッテリ温調制御を行わなかった場合の満充電一回当たりの将来(例えば1年後)の走行可能距離Lb2kmを推定する。
【0059】
そして、報知部15は、例えば、記憶部13から年間標準走行距離情報を取得し、取得した年間標準走行距離情報と推定した将来の走行可能距離Lb2kmの情報とに基づき将来の満充電一回当たりの電力消費に要する日数(将来のバッテリ電力消費日数)を推定する。そして、報知部15は、例えば、上記(3)で推定した年間温調予測消費電力量を一日当たりの温調予測消費電力量に換算し、この換算した一日当たりの温調予測消費電力量に上記将来のバッテリ電力消費日数を乗算することで満充電一回当たりの電力のうちの温調に消費される温調消費電力量を算出する。報知部15は、算出した該温調消費電力を上記(1)で推定した温調有りの将来満充電容量から減算して得た値に、単位電力当たりの車両の走行距離を乗算することで、バッテリ温調制御を行った場合の、満充電一回当たりの将来の走行可能距離Lb1kmを推定する。そして、報知部15は、推定した情報(走行可能距離Lb1km及びLb2km)を用いて、バッテリ温調制御の実行の有無による将来のバッテリ22の満充電一回当たりでのバッテリ22による車両2の走行可能距離の変化についての報知情報を生成する。
【0060】
ステップS150で、報知部15は、最初に、生成した第2報知の情報のうちのバッテリ22の劣化度合いの変化についての報知を行う。報知部15は、劣化度合いの変化の報知として表示装置15aの表示部に
図6に示された表示画像G20を表示する。表示画像G20では、見出し表示領域Vaに、「バッテリ温調制御に関する詳細情報(劣化度合い)」という文字情報が表示され、報知情報表示領域Vbに、「充放電中にバッテリ温調制御を行った場合、バッテリの1年後の劣化度合いは、概ねSOHα%です。充放電中にバッテリ温調制御を行わなかった場合、バッテリの1年後の劣化度合いは、概ねSOHβ%です。」という第2報知の情報としての文字情報が表示され、ボタン表示領域Vcに、「次の表示に進みますか?」という文字情報と、「はい」ボタンB1と、「いいえ」ボタンB2とが表示されている。なお、
図6では、一般化のためSOHの数値は「α」、「β」と表示されているが、実際には、具体的な数値が表示される。充放電中にバッテリ温調制御を行った場合(つまり、充放電中にバッテリ温調制御を1年間継続して行った場合)の1年後のSOHαは、充放電中にバッテリ温調制御を行わなかった場合(つまり、充放電中にバッテリ温調制御を1年間行わなかった場合)の1年後のSOHβよりも高い(α>β)。その結果、充放電中にバッテリ温調制御を行った場合の1年後の満充電容量は高容量に保たれ、バッテリ22の劣化が抑制され得る傾向にある。
【0061】
ステップS160(
図3)で、報知部15は、第2報知について、ユーザからの次の表示の要求を、表示画像G20を通じて受け付ける。ユーザが「はい」ボタンB1をタッチすることで、報知部15は次の表示の要求受付有り(ステップS160:Yes)と判定し、ステップS170に進む。ユーザが「いいえ」ボタンB2をタッチすることで、報知部15は次の表示の要求受付無し(ステップS160:No)と判定する。この場合、情報処理装置1は、例えば、以降の報知を行うことなく処理を終了させる。
【0062】
ステップS170で、報知部15は、生成した第2報知の情報のうちの車両2の買値価格の変化についての報知を行う。報知部15は、買値価格の変化の報知として表示装置15aの表示部に
図7に示された表示画像G21を表示する。表示画像G21では、見出し表示領域Vaに、「バッテリ温調制御に関する詳細情報(買値価格)」という文字情報が表示され、報知情報表示領域Vbに、「バッテリ温調制御を行った場合の1年後の車両の買値価格は、バッテリ温調制御を行わなかった場合の1年後の車両の買値価格よりも、概ねX円高くなります。」という第2報知の情報としての文字情報が表示され、ボタン表示領域Vcに、表示画像G20と同じ内容が表示されている。なお、
図7では、一般化のため買値価格の数値は「X」と表示されているが、実際には、具体的な数値が表示される。この報知によって、ユーザはバッテリ温調制御を行った場合の1年後の車両2の買値価格(中古車としての車両2の査定価格、評価額)が、バッテリ温調制御を行わなかった場合の1年後の車両2の買値価格よりもX円高くなることを認識できる。
【0063】
ステップS180(
図3)で、ユーザが表示画像G21の「はい」ボタンB1をタッチすることで、報知部15は次の表示の要求受付有り(ステップS180:Yes)と判定し、ステップS190に進む。ユーザが「いいえ」ボタンB2をタッチすることで、報知部15は次の表示の要求受付無し(ステップS180:No)と判定する。この場合、情報処理装置1は、例えば、以降の報知を行うことなく処理を終了させる。
【0064】
ステップS190で、報知部15は、生成した第2報知の情報のうちのバッテリ温調制御に要する電力量及び電気料金についての報知を行う。報知部15は、電力量及び電気料金の報知として表示装置15aの表示部に
図8に示された表示画像G22を表示する。表示画像G22では、見出し表示領域Vaに、「バッテリ温調制御に関する詳細情報(電力量及び電気料金)」という文字情報が表示され、報知情報表示領域Vbに、「バッテリ温調制御を1年間行った場合に、必要な電力量は、概ねYKWhです。バッテリ温調制御を1年間行った場合に、必要な電気料金は、概ねZ円です。」という第2報知の情報としての文字情報が表示され、ボタン表示領域Vcに、表示画像G20と同じ内容が表示されている。なお、
図8では、一般化のため電力量や電気料金の数値は「Y」、「Z」と表示されているが、実際には、具体的な数値が表示される。この報知によって、ユーザはバッテリ温調制御に要する電力量や電気料金を認識できる。
【0065】
ステップS200(
図3)で、ユーザが表示画像G22の「はい」ボタンB1をタッチすることで、報知部15は次の表示の要求受付有り(ステップS200:Yes)と判定し、ステップS210に進む。ユーザが「いいえ」ボタンB2をタッチすることで、報知部15は次の表示の要求受付無し(ステップS200:No)と判定する。この場合、情報処理装置1は、例えば、以降の報知を行うことなく処理を終了させる。
【0066】
ステップS210で、報知部15は、生成した第2報知の情報のうちの満充電一回当たりでの現在の走行可能距離についての報知を行う。報知部15は、現在の走行可能距離の報知として表示装置15aの表示部に
図9に示された表示画像G23を表示する。表示画像G23では、見出し表示領域Vaに、「バッテリ温調制御に関する詳細情報(満充電走行可能距離:現在)」という第2報知の情報としての文字情報が表示され、報知情報表示領域Vbに、「バッテリ温調制御を行った場合、満充電一回当たりの現在の走行可能距離は、概ねLa1kmです。バッテリ温調制御を行わなかった場合、満充電一回当たりの現在の走行可能距離は、概ねLa2kmです。」という第2報知の情報としての文字情報が表示され、ボタン表示領域Vcに、表示画像G20と同じ内容が表示されている。なお、
図9では、一般化のため走行可能距離の数値は「La1」、「La2」と表示されているが、実際には、具体的な数値が表示される。
【0067】
バッテリ温調制御を行った場合には、バッテリ温調のための電力がバッテリ22で消費される。したがって、現在の満充電一回当たりの走行可能距離La1は、バッテリ温調制御を行わなかった場合の現在の満充電一回当たりの走行可能距離La2よりも温調のための消費電力分だけ低くなり得る(La1<La2)。
【0068】
ステップS220(
図3)で、ユーザが表示画像G23の「はい」ボタンB1をタッチすることで、報知部15は次の表示の要求受付有り(ステップS210:Yes)と判定し、ステップS230に進む。ユーザが「いいえ」ボタンB2をタッチすることで、報知部15は次の表示の要求受付無し(ステップS210:No)と判定する。この場合、情報処理装置1は、例えば、以降の報知を行うことなく処理を終了させる。
【0069】
ステップS230で、報知部15は、生成した第2報知の情報のうちの満充電一回当たりでの将来(1年後)の走行可能距離についての報知を行う。報知部15は、将来の走行可能距離の報知として表示装置15aの表示部に
図10に示された表示画像G24を表示する。表示画像G24では、見出し表示領域Vaに、「バッテリ温調制御に関する詳細情報(満充電走行可能距離:将来)」という第2報知の情報としての文字情報が表示され、報知情報表示領域Vbに、「バッテリ温調制御を行った場合、満充電一回当たりの1年後の走行可能距離は、概ねLb1kmです。バッテリ温調制御を行わなかった場合、満充電一回当たりの1年後の走行可能距離は、概ねLb2kmです。」という第2報知の情報としての文字情報が表示され、ボタン表示領域Vcに、表示画像G20と同じ内容が表示されている。なお、
図10では、一般化のため走行可能距離の数値は「Lb1」、「Lb2」と表示されているが、実際には、具体的な数値が表示される。
【0070】
バッテリ温調制御を行った場合には、バッテリ温調制御のための電力がバッテリ22で消費される。しかし、バッテリ温調制御を行った場合の1年後のSOHα%(換言すると満充電容量)はバッテリ温調制御を行わなかった場合の1年後のSOHβ%(換言すると満充電容量)よりも顕著に高くなる傾向にある。したがって、バッテリ温調制御を行った場合(つまり、バッテリ温調制御を1年間継続して行った場合)の1年後の満充電一回当たりの走行可能距離Lb1は、バッテリ温調制御を行わなかった場合(つまり、バッテリ温調制御を1年間行わなかった場合)の1年後の満充電一回当たりのLb2よりも高くなり得る(Lb1>Lb2)。
【0071】
ステップS240(
図4)で、ユーザが表示画像G24の「はい」ボタンB1をタッチすることで、報知部15は次の表示の要求受付有り(ステップS240:Yes)と判定し、ステップS250に進む。ユーザが「いいえ」ボタンB2をタッチすることで、報知部15は次の表示の要求受付無し(ステップS240:No)と判定する。この場合、情報処理装置1は、例えば、以降の報知を行うことなく処理を終了させる。
【0072】
ステップS250で、報知部15は、バッテリ温調制御の実行の有無をユーザに問うための報知を行う。報知部15は、実行有無を問うための報知として表示装置15aの表示部に
図11に示された表示画像G30を表示する。表示画像G30では、見出し表示領域Vaに、「バッテリ温調制御」という第2報知の情報としての文字情報が表示され、報知情報表示領域Vbに、「バッテリ温調制御を実行しますか?」という文字情報が表示され、ボタン表示領域Vcに、表示画像G20と同じ内容が表示されている。
【0073】
ステップS260(
図4)で、ユーザが表示画像G30の「はい」ボタンB1をタッチすることで、報知部15はバッテリ温調制御の実行要求受付有り(ステップS260:Yes)と判定し、ステップS270に進む。ユーザが「いいえ」ボタンB2をタッチすることで、報知部15はバッテリ温調制御の実行要求受付無し(ステップS260:No)と判定する。この場合、情報処理装置1は、例えば、処理を終了させる。
【0074】
ステップS270で、報知部15は、車両2の制御部21にバッテリ温調制御の実行要求信号を送信する。これにより、制御部21は、情報処理装置1からのユーザの意向を反映した後述するバッテリ温調制御実行要求信号を受け付ける。これにより、制御部21は、バッテリ温調制御の実行を禁止された状態(モード)から、バッテリ温調制御の実行をユーザにより許可された状態(モード)へ切り替わる。そして、制御部21は、バッテリ22の温度が所定の管理温度範囲内に収まるように、温調装置24の動作を制御する。
【0075】
本実施形態に係る情報処理装置1によれば、以下のような効果が得られる。
【0076】
情報処理装置1の報知部15は、判定部14により充放電履歴情報に基づいてバッテリ22が劣化促進状態にあると判定された場合、該バッテリ22の充電開始前に、バッテリ22の劣化を抑制するバッテリ劣化抑制制御に関する情報の報知を行うように構成されている。したがって、ユーザへの報知が頻繁に行われることはなく、ユーザがその報知について煩わしさを感じる可能性も低下する。そして、ユーザへの報知は、過去に急速充放電を多く行っていてバッテリ22に負荷をかけやすい使い方をする傾向があるユーザに対して、バッテリ22の充電を開始する前のタイミングに行われるので、この報知は、ユーザがバッテリ劣化抑制制御に関する情報の内容を理解し易かったり、関心を持ち易かったりするタイミングで行われている。その結果、情報処理装置1は、車両2のユーザに的確なタイミングでバッテリ劣化抑制制御に関する情報の報知を行うことのできる装置である。
【0077】
本実施形態では、情報処理装置1の判定部14は、バッテリ22が劣化促進状態にあるかを判定するのに加えて、取得部12にて取得されたバッテリ測定情報、車両走行情報、及び充電ポイント情報に基づいて、バッテリ22の残容量が所定値以下の状態で車両2が充電ポイントに停車したか否かを判定するように構成されている。情報処理装置1の報知部15は、判定部によりバッテリ22が劣化促進状態にあり、かつ、バッテリ22の残容量が所定値以下の状態で車両2が充電ポイントに停車したと判定された場合に、バッテリ劣化抑制制御に関する情報の報知を行う。したがって、急速充電を行いやすい傾向にあるユーザがバッテリ22の充電を開始するであろうタイミングをより的確に判断してバッテリ劣化抑制制御に関する情報の報知を行うことが可能になる。
【0078】
本実施形態では、情報処理装置1の報知部15による報知は、バッテリ劣化抑制制御(バッテリ温調制御)の実行によりバッテリの劣化を抑制することができることを報知する第1報知と、バッテリ劣化抑制制御の実行の有無による所定期間後のバッテリ22の劣化度合いの変化を含む実行影響情報を報知する第2報知とを含む。したがって、報知部15は、ユーザに対して、第1報知によってバッテリ劣化抑制制御についての概要をお知らせし、第2報知によってバッテリ劣化抑制制御によるメリットなどの詳しい内容を含む実行影響情報をお知らせすることができる。また、実行影響情報がユーザに報知されるので、ユーザにおけるバッテリ劣化抑制制御についての理解が深まり易くなり、バッテリ劣化抑制制御の実行やその制御内容に対して、ユーザの意向が的確に反映され易くなる。
【0079】
本実施形態では、報知部15により報知するバッテリ劣化抑制制御は、バッテリ22の温調制御であり、第2報知に含まれる実行影響情報は、バッテリ温調制御の実行の有無による所定期間後における車両2の買値価格の変化、バッテリ温調制御に要する電力量及び電気料金、及び、バッテリ温調制御の実行の有無による所定期間後におけるバッテリ22の満充電一回当たりでのバッテリ22による車両2の走行可能距離の変化である。したがって、ユーザは、温調制御の有無による、所定期間後における車両2(バッテリ22)の評価額の差、及び満充電一回当たりの走行可能距離(航続距離)の差を認識でき、且つ、バッテリ22の温調制御に要する電気料金を認識することができる。これにより、バッテリ劣化抑制制御の実行やその制御内容に対して、ユーザの意向がより的確に反映され易くなる。
【0080】
本実施形態では、報知部15は第1報知の後に第2報知を行うように構成されている。したがって、報知部15は、ユーザに対して、概要のお知らせを行った後に、詳しいお知らせを行うように構成されており、ユーザの理解が深まるようになっている。
【0081】
本実施形態では、報知部15は、第1報知の後に第2報知の要求をユーザから受け付けた場合に、第2報知を行うように構成されている。車両のユーザは多様な志向を有している。したがって、車両のユーザは、報知について煩わしく感じたり、バッテリ劣化抑制制御について関心を示さなかったり、報知やバッテリ劣化抑制制御について関心を有したり、多様な志向を有しており、バッテリ劣化抑制制御の報知を望まないユーザがいる可能性もある。この点、報知部15がユーザからの第2報知の要求を受け付けた場合に、第2報知を行うことで、ユーザの志向及び意向を反映した報知を行うことができるようになる。
【0082】
なお、本実施形態では、判定部14の判定に用いられる充放電履歴情報は、所定期間において充放電中のバッテリ22の温度が基準値以上になった回数であるが、これに限らず、所定期間にバッテリ22の急速充放電が行われた回数であってもよい。バッテリ22の急速充放電の回数は、急速充電の回数と急速放電の回数の合計回数で表される。バッテリ22の急速充放電中はバッテリ22の温度が上昇しやく、バッテリ22の温度が基準値以上になりやすい。このため、上記充放電中のバッテリ22の温度が基準値以上になった回数に代えて、バッテリ22の急速充放電が行われた回数を用いても、上述した実施形態の場合と同様に、バッテリ22が劣化促進状態にあるか否かを判定することが可能である。
【0083】
また、本実施形態では、バッテリ測定情報(バッテリ22の残容量)、車両走行情報(車両3の現在位置、速度)、及び充電ポイント情報(充電ポイントの地図情報)に基づいてバッテリ22の充電開始前のタイミングが判定される一例を説明したが、これに限らない。例えば、車両2に搭載されている走行ナビゲーション等で目的地が設定された際に、バッテリ22の現在の残容量から走行可能距離を推定し、当該走行可能範囲内の目的地ルート上にある充電ポイントを検索し、該充電ポイントに車両が接近して停車することにより、バッテリ22の充電開始前のタイミングを判定するようにしてもよい。
【0084】
また、報知部15の表示装置15aは、走行ナビゲーション用のディスプレイとして利用されてもよい。また、車両2に、走行ナビゲーション用のディスプレイが設けられている場合には、情報処理装置1は、報知の表示用の表示装置を有さなくてもよい。この場合、報知部15は、車両2のディスプレイを介して、報知情報の表示を行えばよい。
【0085】
また、情報処理装置1は、車両2に搭載されているが、これに限らない。情報処理装置1は、サーバ3と同様に、独立した端末装置として車両2外に設置されてもよいし、携帯可能な端末装置(例えば、スマートフォン)に設けられてもよい。これらの場合には、車両2には、情報処理装置1の通信部11とネットワーク4経由で通信する通信装置が設けられている。そして、情報処理装置1の報知部15による報知情報は、通信部11、通信ネットワーク4及び車両2の通信装置経由で制御部21に伝えられ車両2に設けられている走行用ナビゲーション用のディスプレイに表示されてもよいし、情報処理装置1の表示装置15aの表示部に表示されてもよい。
【0086】
本実施形態では、報知部15は、表示画像G20~G24を表示装置15aの表示部にそれぞれ個別に表示させているが、これに限らず、表示画像G20~G24の報知情報表示領域Vbの第2報知の内容を表示装置15の表示部に一括で表示してもよい。つまり、本実施形態では、報知部15は、第2報知を複数回に分けて段階的に行われているが、これに限らず、第2報知を一回の報知(表示)で行ってもよい。この場合、表示画像G20~G24の内容を表示した第2報知表示画像のボタン表示領域Vcには、ボタン表示領域Vcに、「次の表示に進みますか?」という文字情報と、「はい」ボタンB1と、「いいえ」ボタンB2とが表示されている。そして、報知部15は、ステップS150、S170、S190、S210、S230を一括で行い、ステップS240で、ユーザが前記第2報知表示画像の「はい」ボタンB1をタッチすることで、報知部15は次の表示の要求受付有り(ステップS240:Yes)と判定し、ステップS250に進み、
図11に示されたように、バッテリ温調制御の実行の有無をユーザに問うための報知を行う。
【0087】
また、本実施形態では、制御部21は、情報処理装置1からのバッテリ温調制御実行要求信号を受け付けていない場合には、制御部21は、バッテリ22の温度が所定の管理温度範囲を超えていたとしても、バッテリ温調制御を実行しないように構成されているが、これに限らない。制御部21の実行の有無は、車両2側の制御に委ねられるように構成されてもよい。制御部21は、バッテリ22の温度が所定の管理温度範囲を超えないように、温調装置24の動作を自律的に実行し、情報処理装置1からのバッテリ温調制御実行要求信号を受け付けた場合に、管理温度範囲の上限値を下げることで、バッテリ22の劣化の抑制する通常の劣化抑制制御モードから劣化の抑制を促進する劣化抑制促進制御モードに切り替わるように構成されてもよい。この場合、情報処理装置1の報知部15はバッテリ劣化抑制制御に関する情報として、劣化抑制促進制御の情報を報知する。具体的には、報知部15は、例えば、通常の温調制御による管理温度範囲の上限値を下げることで、通常の劣化抑制制御よりも、バッテリ22の劣化を抑制することができることを報知する。
【0088】
以上、本発明の実施形態及びその変形例について説明したが、本発明は、上述の実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいてさらなる変形が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0089】
1…情報処理装置、2…車両、3…サーバ、4…通信ネットワーク、11…通信部、12…取得部、13…記憶部、14…判定部、15…報知部、15a…表示装置、21…制御部、22…バッテリ、23…検知部、24…温調装置、100…情報処理システム