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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104055
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240726BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20240726BHJP
   B60L 58/16 20190101ALI20240726BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20240726BHJP
   B60L 58/24 20190101ALI20240726BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240726BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20240726BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240726BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
G06Q50/10
B60L3/00 S
B60L58/16
B60L58/12
B60L58/24
B60L50/60
B60L1/00 L
H02J7/00 Y
H02J7/10 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008069
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】森 幹太
(72)【発明者】
【氏名】森 恵一
(72)【発明者】
【氏名】脇 匡史
(72)【発明者】
【氏名】高沢 修
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 渉
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5G503AA07
5G503BA01
5G503BB01
5G503CB11
5G503EA08
5H125AA01
5H125AC12
5H125BC09
5H125BC19
5H125CD02
5H125EE27
5H125EE29
5H125EE42
5H125EE44
5H125EE70
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】車両の使用に関するユーザの志向に合わせてバッテリの劣化抑制制御をユーザに提案できる情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置1は、車両3の運転情報を取得する取得部12と、取得部12で取得された運転情報に基づいて、車両3でエコ運転が行われているか否かを判定する判定部14と、判定部14により車両3でエコ運転が行われていることが判定された場合に、車両3に搭載されたバッテリ34の劣化を抑制するバッテリ劣化抑制制御を車両3のユーザに提案するための情報を出力する提案部15と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転情報を取得する取得部と、
前記取得部で取得された前記運転情報に基づいて、前記車両でエコ運転が行われているか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記車両でエコ運転が行われていることが判定された場合に、前記車両に搭載されたバッテリの劣化を抑制するバッテリ劣化抑制制御を前記車両のユーザに提案するための情報を出力する提案部と、
を含む情報処理装置。
【請求項2】
前記運転情報は、前記車両のユーザによる加減速の操作状況を示す加減速操作情報を含み、
前記判定部は、前記取得部で取得された前記運転情報に含まれる前記加減速操作情報に基づきユーザの運転方法に関する志向を推定し、該推定結果に応じて前記車両でエコ運転が行われているか否かを判定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記運転情報は、前記車両に搭載された空調装置の使用状況を示す空調使用情報を含み、
前記判定部は、前記取得部で取得された前記運転情報に含まれる前記空調使用情報に基づきユーザの空調使用方法に関する志向を推定し、該推定結果に応じて前記車両でエコ運転が行われているか否かを判定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記運転情報は、前記バッテリの充電履歴を示す充電履歴情報を含み、
前記判定部は、前記取得部で取得された前記運転情報に含まれる前記充電履歴情報に基づき前記ユーザの充電方法に関する志向を推定し、該推定結果に応じて前記車両でエコ運転が行われているか否かを判定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記バッテリ劣化抑制制御は、前記バッテリの温度を調整するバッテリ温調制御である、請求項1に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されたバッテリの劣化抑制制御をユーザに提案する情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両のユーザに対して該車両に関連する各種情報を提供する情報処理装置が知られている。例えば、特許文献1には、バッテリを搭載した車両より送信されるバッテリデータと、該バッテリを二次利用するユーザからの要求情報とに基づいて、バッテリの価値情報を解析して売却に関する情報を提供する情報処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2021/0049480号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の技術のように車両に搭載されたバッテリの二次利用を想定する場合などには、該バッテリの劣化を抑制することが重要になる。バッテリの状態は、ユーザによる当該車両の使い方に依存して様々に変化し得る。バッテリの劣化抑制制御は、その制御自体で電力を消費してしまうので、車両の使い勝手などに影響を及ぼす可能性がある。この点を考慮すると、ユーザに対するバッテリの劣化抑制制御の提案は、車両の使用に関するユーザの志向に合わせて実施されることが望まれる。上記従来の技術では、バッテリの売却に関する情報が提供されるものの、ユーザの志向に合わせたバッテリの劣化抑制制御の提案までは実現されていなかった。
【0005】
本発明は上記の点に着目してなされたもので、車両の使用に関するユーザの志向に合わせてバッテリの劣化抑制制御をユーザに提案できる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理装置の一態様は、車両の運転情報を取得する取得部と、前記取得部で取得された前記運転情報に基づいて、前記車両でエコ運転が行われているか否かを判定する判定部と、前記判定部により前記車両でエコ運転が行われていることが判定された場合に、前記車両に搭載されたバッテリの劣化を抑制するバッテリ劣化抑制制御を前記車両のユーザに提案するための情報を出力する提案部と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る情報処理装置の一態様によれば、車両の使用に関するユーザの志向に合わせてバッテリの劣化抑制制御をユーザに提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置を含む情報処理システムの構成例を示す図である。
図2】上記実施形態における車両に搭載された制御装置の機能構成例を示すブロック図である。
図3】上記実施形態の情報処理装置で実行される処理の流れを示すフローチャートである。
図4】上記実施形態においてバッテリ温調制御の提案が表示された画面の一例を示す図である。
図5】上記実施形態においてバッテリ温調制御の設定を行う旨が表示された画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置1を含む情報処理システム100の構成例を示す図である。
図1において、情報処理システム100では、本実施形態の情報処理装置1と、サーバ2と、車両3と、該車両3のユーザが所持する携帯機器4とが、通信ネットワーク5を介して情報を交換することによって、ユーザに対する各種の提案情報が情報処理装置1から出力される。
【0010】
情報処理装置1は、その機能構成として、例えば、通信部11と、取得部12と、記憶部13と、判定部14と、提案部15とを含んでいる。情報処理装置1のハードウェア構成は、ここでは図示を省略するが、例えば、プロセッサ、メモリ、ユーザ入力インターフェースおよび通信インターフェースを含むコンピュータシステムを備える。つまり、情報処理装置1では、コンピュータシステムのプロセッサがメモリに格納されたプログラムを読み出して実行することによって各ブロックの機能が実現されている。
【0011】
取得部12は、通信部11および通信ネットワーク5を介してサーバ2に保存されている車両3の運転情報を取得する。車両3の運転情報は、加減速操作情報、空調使用情報および充電履歴情報を含む。
【0012】
加減速操作情報は、車両3のユーザ(運転者)による加減速の操作状況を示す情報である。本実施形態における加減速操作情報は、運転者が車両3のアクセルペダル(図示せず)を操作して駆動装置31の駆動力を調節する動作(アクセルワーク)と、運転者が車両3のブレーキペダル(図示せず)を操作して制動装置32の制動力を調節する動作(ブレーキワーク)とに対応した情報である。
【0013】
空調使用情報は、車両3に搭載された空調装置33のオンオフや温度の設定、風量の設定などの使用状況を示す情報である。空調装置33は、例えば、カーエアコン、ヒーター等である。
【0014】
充電履歴情報は、車両3に搭載されたバッテリ34の充電履歴を示す情報である。バッテリ34は、例えば、リチウムイオン電池である。充電履歴情報には、普通充電および急速充電などの充電モードに関する情報も含まれている。
【0015】
サーバ2に保存されている加減速操作情報、空調使用情報および充電履歴情報は、後述するように車両3の通信装置35から通信ネットワーク5を経由してサーバ2に所要のタイミングで送信されるデータ(加減速データ、空調利用データ、空調設定データおよび充電データ)を、該車両3の識別情報(車両ID)に関連付けて蓄積したものである。なお、通信ネットワーク5は、例えば、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、プロバイダ装置、無線基地局などを含んでいる。
【0016】
つまり、情報処理装置1の取得部12は、通信部11および通信ネットワーク5経由でサーバ2に車両3の運転情報を要求する信号を送信する。サーバ2は、情報処理装置1からの要求に応答して、車両3の識別情報に関連付けて蓄積されている加減速操作情報、空調使用情報および充電履歴情報を、通信ネットワーク5および通信部11経由で取得部12に送信する。取得部12は、サーバ2から取得した車両3の運転情報(加減速操作情報、空調使用情報および充電履歴情報)を、記憶部13に記憶するとともに判定部14に伝える。
【0017】
判定部14は、取得部12からの車両3の運転情報を基に車両3でエコ運転が行われているか否かを判定する。エコ運転とは、環境負荷の軽減に配慮した車両の使用方法のことであり、電力(燃料)消費量および/または二酸化炭素排出量を削減可能な運転方法やユーザの心がけを表している。本実施形態における判定部14は、加減速操作情報に基づきユーザ(運転者)の運転方法に関する志向(エコに対する意識)を推定する。また、判定部14は、空調使用情報に基づきユーザの空調使用方法に関する志向(エコに対する意識)を推定する。さらに、判定部14は、充電履歴情報に基づきユーザの充電方法に関する志向(エコに対する意識)を推定する。そして、判定部14は、それぞれ推定したユーザの志向に応じて、車両3でエコ運転が行われているか否かを総合的に判定する。なお、具体的な判定方法については後述する。判定部14での判定結果は、提案部15に伝えられる。
【0018】
提案部15は、判定部14により車両3でエコ運転が行われていることが判定された場合に、車両3のバッテリ34の劣化を抑制するバッテリ劣化抑制制御をユーザに提案するための情報を生成して出力する。バッテリ劣化抑制制御は、例えば、バッテリ34の温度を調整するバッテリ温調制御などである。以下では、提案部15がバッテリ温調制御を提案するための情報を出力する場合について説明する。ただし、本発明におけるバッテリ劣化抑制制御はバッテリ温調制御に限定されない。
【0019】
具体的に、本実施形態における提案部15は、判定部14でエコ運転と判定された車両3の識別情報に関連付けて、バッテリ温調制御をユーザに提案するための文字や画像等からなる提案情報を生成する。提案部15で生成された提案情報は、通信部11に出力される。通信部11は、提案部15からの提案情報を通信ネットワーク5経由で車両3または携帯機器4に送信する。
【0020】
情報処理装置1からの提案情報を通信ネットワーク5経由で受信する車両3は、前述した駆動装置31、制動装置32、空調装置33、バッテリ34および通信装置35の他に、表示装置36および制御装置37を備えている。本実施形態における車両3は、例えば、電気自動車であるものとするが、ハイブリッド自動車であってもよい。
【0021】
図2は、本実施形態における車両3に搭載された制御装置37の機能構成例を示すブロック図である。
図2において、制御装置37は、駆動制御部371と、制動制御部372と、空調制御部373と、バッテリ制御部374と、データ生成部375と、表示制御部376と、を含んで構成されている。
【0022】
駆動制御部371は、車両3のユーザ(運転者)によるアクセルペダルの操作量に応じて、車両3に搭載されている駆動装置31の駆動力を制御する。駆動装置31は、電動モータやエンジン等である。電動モータは、バッテリ34からの電力供給を受けて駆動される。駆動制御部371は、ユーザによるアクセルペダルの操作状態を示す信号をデータ生成部375に出力可能に構成されている。
【0023】
制動制御部372は、車両3のユーザ(運転者)によるブレーキペダルの操作量に応じて、車両3に搭載されている制動装置32の制動力を制御する。制動装置32は、フットブレーキや回生ブレーキ、エンジンブレーキ、パーキングブレーキ等である。制動制御部372は、ユーザによるブレーキペダルの操作状態を示す信号をデータ生成部375に出力可能に構成されている。
【0024】
空調制御部373は、車両3に設けられている空調操作パネル(図示せず)の操作状況に応じて、車両3に搭載されているカーエアコンやヒーター等の空調装置33の動作を制御する。空調操作パネルでは、空調装置33のオンオフの切換え、温度および風量の設定、オートモード/手動モードの切換えなどの操作が車両3のユーザによって行われる。空調制御部373は、空調装置33の制御状態(オンオフ、温度および風量の設定等)を示す信号をデータ生成部375に出力可能に構成されている。
【0025】
バッテリ制御部374は、車両3に搭載されているバッテリ34の充放電を制御する。バッテリ制御部374は、外部充電器(図示せず)がバッテリ34の充電ポートに接続されているとき、外部充電器との間で通信を行ってバッテリ34の充電状態を制御する。本実施形態におけるバッテリ34には、バッテリ34の温度を調整可能な温調ユニット34Aが設けられている。温調ユニット34Aは、例えば、バッテリ34に向けて空気を送風することでバッテリ34を冷却するファンを備えた空冷式装置やバッテリ34に熱媒体を循環させることでバッテリ34の温度を調整する熱媒体回路を備えた液冷式装置などを有している。本実施形態におけるバッテリ制御部374は、バッテリ温調制御の設定に従って温調ユニット34Aの動作を制御することも可能である。バッテリ制御部374は、バッテリ34の充放電状態を示す信号をデータ生成部375に出力可能に構成されている。
【0026】
データ生成部375は、駆動制御部371および制動制御部372からの各出力信号を用いて、ユーザ(運転者)によるアクセルペダルおよびブレーキペダルの各操作状態に対応した加減速操作データを生成する。加減速操作データの時間的な変化は、ユーザがアクセルペダルおよびブレーキペダルをどのように操作しているか、すなわち、ユーザによる車両3の運転の仕方(運転習慣)を表している。
【0027】
また、データ生成部375は、空調制御部373からの出力信号を用いて、空調装置33の稼働状態(オンオフ)を示す空調利用データと、空調装置33の温度および風量の各設定を示す空調設定データとを生成する。空調利用データおよび空調設定データの時間的な変化は、車両3のユーザが空調装置33をどのように使用しているかを表している。
【0028】
さらに、データ生成部375は、バッテリ制御部374からの出力信号を用いて、バッテリ34の充電状態を示す充電データを生成する。充電データは、バッテリ34が充電されているかどうかだけでなく、充電開始時のバッテリ34の残容量や充電モード(普通充電、急速充電など)などの情報も含んでいる。充電データの時間的変化(充電履歴)は、車両3のユーザがバッテリ34の充電をどのようなタイミングおよびモードで行っているかを表している。
【0029】
上記のようにデータ生成部375で生成された加減速操作データ、空調利用データ、空調設定データおよび充電データは、車両3の通信装置35に出力される。通信装置35は、データ生成部375の出力データを通信ネットワーク5経由でサーバ2に送信する(図1)。車両3からの送信データを受信したサーバ2は、該車両3の識別情報に関連付けて、加減速操作データを蓄積することで加減速操作情報を生成し、空調利用データおよび空調設定データを蓄積することで空調使用情報を生成し、充電データを蓄積することで充電履歴情報を生成する。
【0030】
また、車両3の通信装置35は、情報処理装置1から通信ネットワーク5に送信されるバッテリ温調制御の提案情報を受信し、該提案情報のうちで自車両の識別情報に該当する提案情報を制御装置37の表示制御部376に伝える(図2)。
【0031】
表示制御部376は、車両3に搭載されている表示装置36の表示状態を制御する。表示装置36は、カーナビゲーションシステムのディスプレイ等である。表示制御部376は、通信装置35から伝えられる提案情報に従って、バッテリ温調制御の提案を行うための文字や画像等を表示装置36に表示させる。なお、本実施形態では、バッテリ温調制御の提案が車両3の表示装置36に表示される一例を説明するが、車両3にカーナビゲーションシステムのディスプレイ等が設けられていない場合などには、車両3のユーザが所持する携帯機器4(図1)にバッテリ温調制御の提案が表示されるようにしてもよい。
【0032】
携帯機器4は、通信ネットワーク5に接続可能な通信機能を備えたスマートフォンやタブレット端末等である。携帯機器4には、情報処理装置1に対応したアプリケーションプログラムがインストールされており、該アプリケーションプログラムには、携帯機器4のユーザが保有する車両3の識別情報が事前に登録されている。
【0033】
次に、本実施形態による情報処理装置1の動作について、図3のフローチャートを参照しながら詳しく説明する。
本実施形態による情報処理装置1では、まず、図3のステップS100において、取得部12が、通信部11および通信ネットワーク5を経由してサーバ2にアクセスし、サーバ2に保存されている車両3の加減速操作情報を取得する。
【0034】
そして、ステップS110では、判定部14が、ステップS100で取得された加減速操作情報に基づき、車両3のユーザ(運転者)の運転方法に関する志向(エコに対する意識)を推定する。具体的には、例えば、加減速操作情報により、所定期間(例えば、1カ月など)における急加速および急ブレーキの発生回数が所定値以下(例えば、3回以下など)であることが示されている場合に、ユーザの運転方法がエコ志向であると推定することができる。このようなユーザの運転方法に関する志向の推定は、該ユーザによる車両3の使用開始後の走行距離が3000kmに達した時点以降に行うのが好ましい。これにより、ユーザの運転方法に関する志向推定の精度を高めることができる。
【0035】
次のステップS120では、取得部12が、サーバ2に保存されている車両3の空調使用情報を取得する。そして、ステップS130では、判定部14が、ステップS120で取得された空調使用情報に基づき、車両3のユーザの空調使用方法に関する志向(エコに対する意識)を推定する。具体的には、例えば、空調使用情報により、夏場の温度設定が28℃以上であることが示されている場合に、ユーザの空調使用方法がエコ志向であると推定することができる。このようなユーザの空調使用方法に関する志向の推定は、該ユーザによる車両3の使用開始後に1年が経過した時点以降に行うのが好ましい。これにより、ユーザの空調使用方法に関する志向推定の精度を高めることができる。
【0036】
次のステップS140では、取得部12が、サーバ2に保存されている車両3の充電履歴情報を取得する。そして、ステップS150では、判定部14が、ステップS140で取得された充電履歴情報に基づき、車両3のユーザの充電方法に関する志向(エコに対する意識)を推定する。具体的には、例えば、充電履歴情報により、所定期間(例えば、1カ月など)において、バッテリ34の残容量が20%~80%の範囲内で充電が開始された回数が所定値以上(例えば、3回以上など)であることが示されている場合に、ユーザの充電方法がエコ志向であると推定することができる。このようなユーザの充電方法に関する志向の推定は、該ユーザによる車両3の使用開始後の走行距離が3000kmに達した時点以降に行うのが好ましい。これにより、ユーザの充電方法に関する志向推定の精度を高めることができる。
【0037】
続くステップS160では、判定部14が、上記各ステップS110,S130,S150での推定結果に応じて、車両3でエコ運転が行われているか否かを総合的に判定する。本実施形態では、ユーザの運転方法に関する志向、空調使用方法に関する志向、および充電方法に関する志向のうちの少なくとも1つについて、エコ志向であることが推定された場合に、車両3でエコ運転が行われていることが判定され、それ以外の場合には、車両3でエコ運転が行われていないことが判定される。車両3でエコ運転が行われていることが判定された場合には(YES)、次のステップS170に進む。一方、車両3でエコ運転が行われていないことが判定された場合には(NO)、ステップS100に戻って上述した一連の処理が繰り返される。
【0038】
ステップS170では、提案部15が、ステップS160でエコ運転と判定された車両3の識別情報に関連付けて、バッテリ温調制御をユーザに提案するための文字や画像等からなる提案情報を生成する。この提案情報は、例えば、「エコ運転をするとバッテリの寿命が延びます。バッテリの寿命を延ばすための今よりも良いバッテリ温度管理を行いますか?」という文字情報と、「はい」の文字が描画されたボタンおよび「いいえ」の文字が描画されたボタンの画像情報と、を含んでいる。
【0039】
提案部15で生成された提案情報は、通信部11に出力され、通信部11から通信ネットワーク5を経由して車両3(または携帯機器4)に送信される。車両3では、情報処理装置1からの提案情報が通信装置35で受信されて表示制御部376に伝えられる。これにより、提案情報に含まれる文字および画像(ボタン)が表示装置36に表示される。
【0040】
図4は、ステップS170の処理によりバッテリ温調制御の提案が表示された表示装置36の画面の一例を示している。車両3のユーザは、表示装置36に表示された提案の内容を確認して、提案を受け入れる場合には「はい」のボタンをタッチし、提案を受け入れない場合には「いいえ」のボタンをタッチする。「はい」または「いいえ」のボタンがタッチされると、その旨を示す信号が表示制御部376から通信装置35に出力されて通信ネットワーク5経由で情報処理装置1に送信される。
【0041】
続くステップS180(図3)では、提案部15が、車両3のユーザにより提案が受け入れられたか否かを判定する。ユーザにより提案が受け入れられた、すなわち、車両3から通信ネットワーク5経由で情報処理装置1に「はい」のボタンがタッチされたしたことを示す信号が送られてきた場合には(YES)、次のステップS190に進む。一方、ユーザにより提案が受け入れられなかった、すなわち、車両3から通信ネットワーク5経由で情報処理装置1に「いいえ」のボタンがタッチされたしたことを示す信号が送られてきた場合には(NO)、ステップS100に戻って上述した一連の処理が繰り返される。
【0042】
ステップS190では、提案部15が、バッテリ温調制御の設定を行う旨の確認情報を生成する。この確認情報は、例えば、「バッテリ温調制御を行います。設定を続ける場合は[バッテリ温調設定]ボタンを押してください。」という文字情報と、「バッテリ温調設定」の文字が描画されたボタンおよび「キャンセル」の文字が描画されたボタンの画像情報と、を含んでいる。
【0043】
提案部15で生成された確認情報は、通信部11に出力され、通信部11から通信ネットワーク5を経由して車両3(または携帯機器4)に送信される。車両3では、情報処理装置1からの確認情報が通信装置35で受信されて表示制御部376に伝えられる。これにより、確認情報に含まれる文字および画像(ボタン)が表示装置36に表示される。
【0044】
図5は、ステップS190の処理によりバッテリ温調制御の設定を行う旨が表示された画面の一例を示している。車両3のユーザは、表示装置36に表示された内容を確認して、バッテリ温調制御の設定を続ける場合には、「バッテリ温調設定」のボタンをタッチする。ユーザにより「バッテリ温調設定」のボタンがタッチされた場合、ここでは図示を省略するが、表示制御部376によってバッテリ温調制御の設定画面が表示装置36に表示される。一方、バッテリ温調制御の設定を行わない場合、ユーザは「キャンセル」のボタンをタッチすることにより処理を中止する。
【0045】
次に、本実施形態による情報処理装置1の効果について説明する。
上述したような本実施形態の情報処理装置1では、取得部12により取得された車両3運転情報に基づいて、判定部14により車両3でエコ運転が行われていることが判定された場合に、提案部15によりバッテリ劣化抑制制御をユーザに提案するための情報が出力される。このような情報処理装置1によれば、エコ運転を心がけている可能性の高いユーザに対してバッテリ劣化抑制制御を効果的に提案することができる。エコ運転を心がけている可能性の低いユーザには、バッテリ劣化抑制制御の提案が行われないため、ユーザが煩わしさを感じてしまうような状況を回避することができる。
【0046】
また、本実施形態の情報処理装置1では、判定部14が、加減速操作情報に基づきユーザの運転方法に関する志向を推定し、該推定結果に応じて車両3でエコ運転が行われているか否かを判定している。これにより、車両3の運転方法に関するエコ志向の高いユーザに対してバッテリ劣化抑制制御をより効果的に提案することができる。
【0047】
また、本実施形態の情報処理装置1では、判定部14が、空調使用情報に基づきユーザの空調使用方法に関する志向を推定し、該推定結果に応じて車両3でエコ運転が行われているか否かを判定している。これにより、車両3の空調装置33の使用方法に関するエコ志向の高いユーザに対してバッテリ劣化抑制制御をより効果的に提案することができる。
【0048】
また、本実施形態の情報処理装置1では、判定部14が、バッテリ34の充電履歴情報に基づきユーザの充電方法に関する志向を推定し、該推定結果に応じて車両3でエコ運転が行われているか否かを判定している。これにより、バッテリ充電方法に関するエコ志向の高いユーザに対してバッテリ劣化抑制制御をより効果的に提案することができる。
【0049】
また、本実施形態の情報処理装置1では、バッテリ劣化抑制制御の提案として、バッテリの温度を調整するバッテリ温調制御の提案が行われている。これにより、バッテリ34の高温時または低温時に生じる劣化を確実に抑制可能な制御の提案を行うことができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
例えば、上述した実施形態では、情報処理装置1が通信ネットワーク5を介して車両3の通信装置35と通信する一例を説明したが、車両3に情報処理装置1を搭載して制御装置37との間で情報を直接伝達するようにしてもよい。
【0051】
また、上述した実施形態では、情報処理装置1の判定部14が、運転方法、空調使用方法およびバッテリ充電方法のそれぞれに関するユーザの志向のうちの少なくとも1つについて、エコ志向であることが推定された場合に、車両3でエコ運転が行われていることを判定する一例について説明した。しかし、これら全ての方法に関してユーザのエコ志向が推定されることを条件にして車両3でエコ運転が行われていることを判定するようにしてもよい。或いは、運転方法、空調使用方法およびバッテリ充電方法に優先順位を設けてユーザのエコ志向を推定して車両3でのエコ運転を判定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…情報処理装置、2…サーバ、3…車両、4…携帯機器、5…通信ネットワーク、11…通信部、12…取得部、13…記憶部、14…判定部、15…提案部、31…駆動装置、32…制動装置、33…空調装置、34…バッテリ、34A…温調ユニット、35…通信装置、36…表示装置、37…制御装置、100…情報処理システム、371…駆動制御部、372…制動制御部、373…空調制御部、374…バッテリ制御部、375…データ生成部、376…表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5