(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104056
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】駅務システム、サーバ、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20240726BHJP
G07B 1/00 20060101ALI20240726BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20240726BHJP
【FI】
G06Q50/30
G07B1/00 A
G07B15/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008070
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 尭登
【テーマコード(参考)】
3E026
3E127
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
3E026AA00
3E127AA03
3E127BA25
3E127CA02
3E127CA03
3E127CA36
3E127CA37
3E127DA02
3E127DA16
3E127DA17
3E127DA28
3E127DA29
3E127FA16
3E127FA24
5L049CC43
5L050CC43
(57)【要約】
【課題】駅務システムにおいて、乗車券の購入者と使用者が異なることによる不正行為を低減する。
【解決手段】実施形態の駅務システムは、券売機と、入場用改札機と、サーバと、を備える。サーバは、乗車券購入時の第1顔画像データに写っている人物と入場時の第2顔画像データに写っている人物が同じはないと判定したときに、購入日時情報を参照して、乗車券を購入してからの経過時間が、予め設定された閾値時間以上の場合は、入場可と判定して、入場用改札機に入場可情報を送信し、乗車券を購入してからの経過時間が、閾値時間未満の場合は、入場不可と判定して、入場用改札機に入場不可情報を送信する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
券売機で乗車券を購入しているときの利用者の顔を撮影したデータである第1顔画像データ、前記乗車券の識別情報である第1乗車券情報、および、前記乗車券の購入日時情報をサーバに送信する前記券売機と、
入場用改札機で前記乗車券を使用しているときの利用者の顔を撮影したデータである第2顔画像データ、および、前記乗車券を読み取った情報である第2乗車券情報を前記サーバに送信する前記入場用改札機と、
前記第1乗車券情報と前記第2乗車券情報が一致した場合に、前記第1顔画像データに写っている人物と前記第2顔画像データに写っている人物が同じであるか否かを判定する前記サーバと、を備え、
前記サーバは、前記第1顔画像データに写っている人物と前記第2顔画像データに写っている人物が同じはないと判定したときに、前記購入日時情報を参照して、
前記乗車券を購入してからの経過時間が、予め設定された閾値時間以上の場合は、入場可と判定して、前記入場用改札機に入場可情報を送信し、
前記乗車券を購入してからの経過時間が、前記閾値時間未満の場合は、入場不可と判定して、前記入場用改札機に入場不可情報を送信する、
駅務システム。
【請求項2】
出場用改札機で前記乗車券を使用しているときの利用者の顔を撮影したデータである第3顔画像データ、および、前記乗車券を読み取った情報である第3乗車券情報を前記サーバに送信する前記出場用改札機を、さらに備え、
前記サーバは、
前記第1乗車券情報と前記第2乗車券情報が一致した場合に、前記第1顔画像データに写っている人物と前記第2顔画像データに写っている人物が同じであると判定し、かつ、前記乗車券を購入してからの経過時間が前記閾値時間以上であるときに、
前記第1乗車券情報と前記第3乗車券情報が一致した場合に、前記第1顔画像データに写っている人物と前記第3顔画像データに写っている人物が同じであると判定したときは、出場可と判定して、前記出場用改札機に出場可情報を送信する、
請求項1に記載の駅務システム。
【請求項3】
前記サーバは、
前記第1乗車券情報と前記第3乗車券情報が一致した場合に、前記第2顔画像データに写っている人物と前記第3顔画像データに写っている人物が同じであると判定したときは、出場時要確認と判定して、前記出場用改札機に出場時要確認情報を送信する、
請求項2に記載の駅務システム。
【請求項4】
前記サーバは、
前記第1乗車券情報と前記第3乗車券情報が一致した場合に、前記第3顔画像データに写っている人物が、前記第1顔画像データに写っている人物、および、前記第2顔画像データに写っている人物のいずれとも同じでないと判定したときは、出場不可と判定して、前記出場用改札機に出場不可情報を送信する、
請求項2に記載の駅務システム。
【請求項5】
券売機と、入場用改札機と、通信接続されているサーバであって、
前記券売機は、前記券売機で乗車券を購入しているときの利用者の顔を撮影したデータである第1顔画像データ、前記乗車券の識別情報である第1乗車券情報、および、前記乗車券の購入日時情報を前記サーバに送信し、
前記入場用改札機は、前記入場用改札機で前記乗車券を使用しているときの利用者の顔を撮影したデータである第2顔画像データ、および、前記乗車券を読み取った情報である第2乗車券情報を前記サーバに送信し、
前記サーバは、
前記第1乗車券情報と前記第2乗車券情報が一致した場合に、前記第1顔画像データに写っている人物と前記第2顔画像データに写っている人物が同じであるか否かを判定し、同じ人物ではないと判定したときに、前記購入日時情報を参照して、
前記乗車券を購入してからの経過時間が、予め設定された閾値時間以上の場合は、入場可と判定して、前記入場用改札機に入場可情報を送信し、
前記乗車券を購入してからの経過時間が、前記閾値時間未満の場合は、入場不可と判定して、前記入場用改札機に入場不可情報を送信する、
サーバ。
【請求項6】
券売機で乗車券を購入しているときの利用者の顔を撮影したデータである第1顔画像データ、前記乗車券の識別情報である第1乗車券情報、および、前記乗車券の購入日時情報をサーバに送信する前記券売機と、
入場用改札機で前記乗車券を使用しているときの利用者の顔を撮影したデータである第2顔画像データ、および、前記乗車券を読み取った情報である第2乗車券情報を前記サーバに送信する前記入場用改札機と、
通信接続されている前記サーバであるコンピュータに、
前記第1乗車券情報と前記第2乗車券情報が一致した場合に、前記第1顔画像データに写っている人物と前記第2顔画像データに写っている人物が同じであるか否かを判定し、同じ人物ではないと判定したときに、前記購入日時情報を参照して、
前記乗車券を購入してからの経過時間が、予め設定された閾値時間以上の場合は、入場可と判定して、前記入場用改札機に入場可情報を送信し、
前記乗車券を購入してからの経過時間が、前記閾値時間未満の場合は、入場不可と判定して、前記入場用改札機に入場不可情報を送信する、
機能を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、駅務システム、サーバ、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、鉄道機関や空港機関などにおいて、磁気券やIC(Integrated Circuit)カード(PASMO(登録商標)など)などの乗車券に関する改札処理を行う駅務システムが稼動している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-059168号公報
【特許文献2】特開2012-079157号公報
【特許文献3】特開2013-191173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、例えば、乗車券の購入者と使用者が一致するか否かを確認しないので、購入者と異なる人物でも乗車券を使用することができた。したがって、定期券の貸し借りや、駅構内での乗車券の交換等の不正行為が行われることがあった。
【0005】
そこで、本発明の実施形態の課題は、乗車券の購入者と使用者が異なることによる不正行為を低減することができる駅務システム、サーバ、および、プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の駅務システムは、券売機で乗車券を購入しているときの利用者の顔を撮影したデータである第1顔画像データ、前記乗車券の識別情報である第1乗車券情報、および、前記乗車券の購入日時情報をサーバに送信する前記券売機と、入場用改札機で前記乗車券を使用しているときの利用者の顔を撮影したデータである第2顔画像データ、および、前記乗車券を読み取った情報である第2乗車券情報を前記サーバに送信する前記入場用改札機と、前記第1乗車券情報と前記第2乗車券情報が一致した場合に、前記第1顔画像データに写っている人物と前記第2顔画像データに写っている人物が同じであるか否かを判定する前記サーバと、を備える。前記サーバは、前記第1顔画像データに写っている人物と前記第2顔画像データに写っている人物が同じはないと判定したときに、前記購入日時情報を参照して、前記乗車券を購入してからの経過時間が、予め設定された閾値時間以上の場合は、入場可と判定して、前記入場用改札機に入場可情報を送信し、前記乗車券を購入してからの経過時間が、前記閾値時間未満の場合は、入場不可と判定して、前記入場用改札機に入場不可情報を送信する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態の駅務システムの概略を示す全体構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態の券売機の機能構成図である。
【
図3】
図3は、実施形態の入場用改札機の機能構成図である。
【
図4】
図4は、実施形態の出場用改札機の機能構成図である。
【
図5】
図5は、実施形態のサーバの機能構成図である。
【
図6】
図6は、実施形態の第1の例を示す表である。
【
図7】
図7は、実施形態の第2の例を示す表である。
【
図8】
図8は、実施形態の第3の例を示す表である。
【
図9】
図9は、実施形態のサーバによる入場時処理を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施形態のサーバによる出場時処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を用いて、本発明の駅務システム、サーバ、および、プログラムの実施形態について説明する。
【0009】
図1は、実施形態の駅務システムSの概略を示す全体構成図である。駅務システムSは、ホスト装置であるサーバ6と、A駅に設けられている駅務機器としての券売機1、入場用改札機2、監視盤4と、B駅に設けられている駅務機器としての出場用改札機3、監視盤5と、を備える。また、各駅務機器は、専用回線や公衆回線などの通信回線を利用して相互に接続され、通信ネットワークを構築している。
【0010】
本実施形態では、利用者M(以下、符号を省略して「利用者」とも称する。)が、A駅において券売機1で乗車券を購入して入場用改札機2から入場し、B駅において出場用改札機3から出場する場合を想定する。
【0011】
図2も併せて参照して、券売機1について説明する。
図2は、実施形態の券売機1の機能構成図である。券売機1は、処理部11と、記憶部12と、設定部13と、撮影部14と、収受部15と、発行部16と、通信部17と、を備える。
【0012】
処理部11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)で構成され、記憶部12に記憶されたプログラムやデータに基づいて、各種処理を実行する(詳細は後述)。
【0013】
記憶部12は、例えば、処理部11が実行するプログラムなどを記憶するROM(Read Only Memory)や、各種データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)などで構成され、各種情報を記憶する。
【0014】
設定部13は、例えば、タッチパネルを備えた表示部や各種ボタンからなる入力部などで構成され、利用者による乗車券購入時の操作を受け付ける。表示部は、案内画面、利用者が出場可能な駅名ボタン、利用者によって投入された現金(紙幣及び硬貨)の合計投入金額、投入されたプリペイドカードの残額、運賃、釣銭の金額、動作状態などの各種情報を表示する。
【0015】
撮影部14は、例えば、カメラで構成され、利用者の顔を撮影したデータである第1顔画像データを出力する。
【0016】
収受部15は、処理部11により算出された料金を収受する機能を有している。
【0017】
発行部16は、磁気券やICカードなどの乗車券を発行する機能を有している。
【0018】
通信部17は、他の駅務機器と通信するための通信インタフェースである。
【0019】
処理部11は、券売機1で乗車券を購入しているときの利用者の顔を撮影したデータである第1顔画像データ、乗車券の識別情報である第1乗車券情報、および、乗車券の購入日時情報などをサーバ6に送信する。
【0020】
次に、
図3も併せて参照して、入場用改札機2について説明する。
図3は、実施形態の入場用改札機2の機能構成図である。入場用改札機2は、処理部21と、記憶部22と、人物検知部23と、撮影部24と、読取部25と、ドア機構26と、通信部27と、を備える。
【0021】
処理部21は、例えば、CPUで構成され、記憶部22に記憶されたプログラムやデータに基づいて、各種処理を実行する(詳細は後述)。
【0022】
記憶部22は、例えば、処理部21が実行するプログラムなどを記憶するROMや、各種データを一時的に記憶するRAMなどで構成され、各種情報を記憶する。
【0023】
人物検知部23は、改札通路を通過する利用者を検知する機能を有している。
【0024】
撮影部24は、例えば、カメラで構成され、利用者の顔を撮影したデータである第2顔画像データを出力する。
【0025】
読取部25は、利用者が入場用改札機2で使用した乗車券の情報を読み取る。
【0026】
ドア機構26は、処理部21からの指示に基づいてドアを開閉し、利用者による改札通路の通行を許可、阻止する機能を有している。
【0027】
通信部27は、他の駅務機器と通信するための通信インタフェースである。
【0028】
処理部21は、入場用改札機2で乗車券を使用しているときの利用者の顔を撮影したデータである第2顔画像データ、および、読取部25で乗車券を読み取った情報である第2乗車券情報などをサーバ6に送信する。
【0029】
また、利用者による入場用改札機2での乗車券使用時の処理部21での判定結果は、入場可、入場不可、再使用要求のいずれかである。
【0030】
処理部21は、入場可と判定した場合、ドア機構26を開放状態とする。これにより、利用者は入場用改札機2を通過する。
【0031】
処理部21は、入場不可と判定した場合、ドア機構26を閉鎖状態とし、駅構内の係員窓口に設置されている監視盤4に入場不可の旨の情報を表示する。係員は、監視盤4を見て、利用者の確認、入場可否の判断、不正行為の確認等の対応を行う。
【0032】
処理部21は、再使用要求と判定した場合、ドア機構26を閉鎖状態とし、表示や音声によって利用者に乗車券の再使用を促す。
【0033】
次に、
図4も併せて参照して、出場用改札機3について説明する。
図4は、実施形態の出場用改札機3の機能構成図である。出場用改札機3は、処理部31と、記憶部32と、人物検知部33と、撮影部34と、読取部35と、ドア機構36と、通信部37と、を備える。
【0034】
処理部31は、例えば、CPUで構成され、記憶部32に記憶されたプログラムやデータに基づいて、各種処理を実行する(詳細は後述)。
【0035】
記憶部32は、例えば、処理部31が実行するプログラムなどを記憶するROMや、各種データを一時的に記憶するRAMなどで構成され、各種情報を記憶する。
【0036】
人物検知部33は、改札通路を通過する利用者を検知する機能を有している。
【0037】
撮影部34は、例えば、カメラで構成され、利用者の顔を撮影したデータである第3顔画像データを出力する。
【0038】
読取部35は、利用者が出場用改札機3で使用した乗車券の情報を読み取る。
【0039】
ドア機構36は、処理部31からの指示に基づいてドアを開閉し、利用者による改札通路の通行を許可、阻止する機能を有している。
【0040】
通信部37は、他の駅務機器と通信するための通信インタフェースである。
【0041】
処理部31は、出場用改札機3で乗車券を使用しているときの利用者の顔を撮影したデータである第3顔画像データ、および、乗車券を読み取った情報である第3乗車券情報などをサーバ6に送信する。
【0042】
また、利用者による出場用改札機3での乗車券使用時の処理部31での判定結果は、出場可、窓口案内(出場時要確認)、出場不可のいずれかである。なお、入場用改札機2と同様に判定結果に再使用要求を加えてもよい。
【0043】
処理部31は、出場可と判定した場合、ドア機構36を開放状態とする。これにより、利用者は出場用改札機3を通過する。
【0044】
処理部31は、窓口案内と判定した場合、ドア機構36を閉鎖状態とし、駅構内の係員窓口に設置されている監視盤5に窓口案内の旨の情報を表示する。係員は、監視盤5を見て、利用者の確認、出場可否の判断等の対応を行う。
【0045】
処理部31は、出場不可と判定した場合、ドア機構36を閉鎖状態とし、監視盤5に出場不可の旨の情報を表示する。係員は、監視盤5を見て、利用者の確認、出場可否の判断、不正行為の確認等の対応を行う。
【0046】
次に、
図5も併せて参照して、サーバ6について説明する。
図5は、実施形態のサーバ6の機能構成図である。サーバ6は、処理部61と、記憶部62と、入力部63と、出力部64と、通信部65と、を備える。
【0047】
処理部61は、例えば、CPUで構成され、記憶部62に記憶されたプログラムやデータに基づいて、各種処理を実行する(詳細は後述)。
【0048】
記憶部62は、例えば、処理部61が実行するプログラムなどを記憶するROMや、各種データを一時的に記憶するRAMなどで構成され、各種情報を記憶する。記憶部62は、例えば、サーバ6自身や下位の駅務機器を制御するための制御データなどの各種データを記憶する。
【0049】
入力部63は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネルなどで構成される情報入力手段である。
【0050】
出力部64は、例えば、表示部などによって構成され、各種情報を出力(表示等)する。出力部64は、例えば、サーバ6の動作状態や、下位の駅務機器の動作状態などを表示する。
【0051】
通信部65は、下位の駅務機器と通信するための通信インタフェースである。
【0052】
処理部61は、利用者の入場時の処理として、第1乗車券情報と第2乗車券情報が一致した場合に、第1顔画像データに写っている人物と第2顔画像データに写っている人物が同じであるか否かを判定する。この顔画像データを用いた判定(照合)では、パターンマッチングや機械学習などの公知技術を用いることができる。
【0053】
以下の説明では、
図6~
図8を適宜参照する。
図6~
図8は、それぞれ、第1の例~第3の例を示す表である。第1の例では、券購入時と入場時の人物が一致している。第2の例では、券購入時と入場時の人物が一致していない。第3の例では、入場時に顔画像データによる照合が不可(失敗)となっている。また、
図6~
図8において、背景が斜線になっている部分は、判定タイミングであることを示す。
【0054】
(
図6の1行目)
処理部61は、入場用改札機2での利用者の入場時に、第1顔画像データに写っている人物と第2顔画像データに写っている人物が同じであると判定したときに、入場可と判定して、入場用改札機2に入場可情報を送信する。入場可情報を受信した入場用改札機2の処理部21は、入場可と判定し、ドア機構26を開放状態とする。これにより、利用者は入場用改札機2を通過する。
【0055】
(
図7の1行目の経過時間(大))
処理部61は、入場用改札機2での利用者の入場時に、第1顔画像データに写っている人物と第2顔画像データに写っている人物が同じはないと判定したときに、購入日時情報を参照して、乗車券を購入してからの経過時間が、予め設定された閾値時間(例えば、数時間程度)以上の場合は、入場可と判定して、入場用改札機2に入場可情報を送信する。入場可と判定する理由は、乗車券を購入してからの経過時間が長い場合(例えば、前日以前に乗車券を購入していた場合)、同じ利用者であっても顔を含む容姿が変わっている可能性があり、また、一般に顔認証の照合精度が充分に高いとは言えないこともあって、同じ人物だと判定できない可能性があるためである。したがって、ここでは利用者を入場させ、出場時の判定とその対応に委ねることとする。入場可情報を受信した入場用改札機2の処理部21は、入場可と判定し、ドア機構26を開放状態とする。これにより、利用者は入場用改札機2を通過する。
【0056】
(
図7の1行目の経過時間(小))
処理部61は、上述の場合で、乗車券を購入してからの経過時間が、閾値時間未満の場合は、入場不可と判定して、入場用改札機2に入場不可情報を送信する。入場不可と判定する理由は、乗車券を購入してからの経過時間が短い場合、同じ利用者であれば顔を含む容姿が変わっている可能性は低く、よって、同じ人物だと判定できない可能性も低いためである。したがって、ここでは利用者の入場を阻止する。入場不可情報を受信した入場用改札機2の処理部21は、入場不可と判定し、ドア機構26を閉鎖状態とし、監視盤4に入場不可の旨の情報を表示する。
【0057】
(
図8の1行目)
処理部61は、入場時に第1顔画像データと第2顔画像データに基づく照合ができなかったときは、照合不可による再使用要求と判定して、入場用改札機2に再使用要求情報を送信する。再使用要求情報を受信した入場用改札機2の処理部21は、再使用要求と判定し、ドア機構36を閉鎖状態とし、表示や音声によって利用者に乗車券の再使用を促す。
【0058】
以下では、利用者が、入場用改札機2から入場し、その後に、出場用改札機3で乗車券を使用して出場しようとしていることを前提とする。
【0059】
(
図6の2行目)
処理部61は、第1乗車券情報と第3乗車券情報が一致した場合に、第1顔画像データに写っている人物と第2顔画像データに写っている人物と第3顔画像データに写っている人物がすべて同じであると判定したときは、出場可と判定して、出場用改札機3に出場可情報を送信する。出場可情報を受信した出場用改札機3の処理部31は、出場可と判定し、ドア機構36を開放状態とする。これにより、利用者は出場用改札機3を通過する。
【0060】
(
図6の3行目)
処理部61は、第1乗車券情報と第3乗車券情報が一致した場合に、第1顔画像データに写っている人物と第2顔画像データに写っている人物が同じで、第3顔画像データに写っている人物がそれと同じでないと判定したときは、出場不可と判定して、出場用改札機3に出場不可情報を送信する。出場不可情報を受信した出場用改札機3の処理部31は、出場不可と判定し、ドア機構36を閉鎖状態とし、監視盤5に出場不可の旨の情報を表示する。
【0061】
(
図7の2行目)
処理部61は、第1乗車券情報と第3乗車券情報が一致した場合に、第1顔画像データに写っている人物と第3顔画像データに写っている人物が同じで、第2顔画像データに写っている人物がそれと同じでないと判定したときは、出場可と判定して、出場用改札機3に出場可情報を送信する。出場可と判定する理由は、入場時に券購入時の人物と入場時の人物が異なると判定したことが誤りであった可能性があるためである。出場可情報を受信した出場用改札機3の処理部31は、出場可と判定し、ドア機構36を開放状態とする。これにより、利用者は出場用改札機3を通過する。
【0062】
(
図7の3行目)
処理部61は、第1乗車券情報と第3乗車券情報が一致した場合に、第2顔画像データに写っている人物と第3顔画像データに写っている人物が同じで、第1顔画像データに写っている人物がそれと同じでないと判定したときは、窓口案内(出場時要確認)と判定して、出場用改札機3に出場時要確認情報を送信する。窓口案内と判定する理由は、入場時の人物と出場時の人物が同じと判定していることで、例えば、購入時と入場時で利用者の顔を含めた容姿が変わっただけで、不正行為は行われていない可能性があるため、利用者を確認するのが妥当と考えられるためである。出場時要確認情報を受信した出場用改札機3の処理部31は、窓口案内(出場時要確認)と判定し、ドア機構36を閉鎖状態とし、監視盤5に窓口案内の旨の情報を表示する。
【0063】
(
図7の4行目)
処理部61は、第1乗車券情報と第3乗車券情報が一致した場合に、第3顔画像データに写っている人物が、第1顔画像データに写っている人物、および、第2顔画像データに写っている人物のいずれとも同じでないと判定したときは、出場不可と判定して、出場用改札機3に出場不可情報を送信する。出場不可と判定する理由は、駅構内外で乗車券を交換したという不正行為の可能性が高いためである。出場不可情報を受信した出場用改札機3の処理部31は、出場不可と判定し、ドア機構36を閉鎖状態とし、監視盤5に出場不可の旨の情報を表示する。
【0064】
図9は、実施形態のサーバ6による入場時処理を示すフローチャートである。
ステップS11において、処理部61は、券売機1から、券売機1で乗車券を購入しているときの利用者の顔を撮影したデータである第1顔画像データ、乗車券の識別情報である第1乗車券情報、および、乗車券の購入日時情報などの情報を取得する。
【0065】
次に、ステップS12において、処理部61は、入場用改札機2から、入場用改札機2で乗車券を使用しているときの利用者の顔を撮影したデータである第2顔画像データ、および、読取部25で乗車券を読み取った情報である第2乗車券情報などを取得する。
【0066】
次に、ステップS13において、処理部61は、第1乗車券情報と第2乗車券情報が一致するか否かを判定し、ここでは、一致したものとする。
【0067】
次に、ステップS14において、処理部61は、第1顔画像データに写っている人物と第2顔画像データに写っている人物が同じであるか否かを判定し、Yesの場合はステップS15に進み、Noの場合はステップS16に進む。
【0068】
ステップS15において、処理部61は、入場用改札機2に入場可情報を送信する。入場可情報を受信した入場用改札機2の処理部21は、入場可と判定し、ドア機構26を開放状態とする。これにより、利用者は入場用改札機2を通過する。
【0069】
ステップS16において、処理部61は、購入日時情報を参照して、乗車券を購入してからの経過時間が閾値時間以上か否かを判定し、Yesの場合はステップS15に進み、Noの場合はステップS17に進む。
【0070】
ステップS17において、処理部61は、入場用改札機2に入場不可情報を送信する。入場不可情報を受信した入場用改札機2の処理部21は、入場不可と判定し、ドア機構26を閉鎖状態とし、監視盤4に入場不可の旨の情報を表示する。係員は、監視盤4を見て、利用者の確認、入場可否の判断、不正行為の確認等の対応を行う。
【0071】
図10は、実施形態のサーバ6による出場時処理を示すフローチャートである。ここでは、サーバ6は、
図9の処理で取得した情報をすでに保持していることを前提とする。また、
図7に示すように、券購入時の人物と入場時の人物が異なっていると判定されていることを前提とする。
【0072】
ステップS21において、処理部61は、出場用改札機3から、出場用改札機3で乗車券を使用しているときの利用者の顔を撮影したデータである第3顔画像データ、および、乗車券を読み取った情報である第3乗車券情報などを取得する。
【0073】
次に、ステップS22において、処理部61は、第1乗車券情報、第2乗車券情報、第3乗車券情報が一致するか否かを判定し、ここでは、一致したものとする。
【0074】
次に、ステップS23において、処理部61は、出場時の人物について判定する。
【0075】
処理部61は、第1顔画像データに写っている人物と第3顔画像データに写っている人物が同じで、第2顔画像データに写っている人物がそれと同じでないと判定したときは(ステップS23で「券購入時の人物と同じ」:
図7の2行目)、ステップS24において、出場可と判定して、出場用改札機3に出場可情報を送信する。出場可情報を受信した出場用改札機3の処理部31は、出場可と判定し、ドア機構36を開放状態とする。これにより、利用者は出場用改札機3を通過する。
【0076】
処理部61は、第2顔画像データに写っている人物と第3顔画像データに写っている人物が同じで、第1顔画像データに写っている人物がそれと同じでないと判定したときは(ステップS23で「入場時の人物と同じ」:
図7の3行目)、ステップS25において、窓口案内(出場時要確認)と判定して、出場用改札機3に出場時要確認情報を送信する。出場時要確認情報を受信した出場用改札機3の処理部31は、窓口案内(出場時要確認)と判定し、ドア機構36を閉鎖状態とし、監視盤5に窓口案内の旨の情報を表示する。係員は、監視盤5を見て、利用者の確認、出場可否の判断等の対応を行う。
【0077】
処理部61は、第3顔画像データに写っている人物が、第1顔画像データに写っている人物、および、第2顔画像データに写っている人物のいずれとも同じでないと判定したときは(ステップS23で「いずれも同じでない」:
図7の4行目)、ステップS26において、出場不可と判定して、出場用改札機3に出場不可情報を送信する。出場不可情報を受信した出場用改札機3の処理部31は、出場不可と判定し、ドア機構36を閉鎖状態とし、監視盤5に出場不可の旨の情報を表示する。係員は、監視盤5を見て、利用者の確認、出場可否の判断、不正行為の確認等の対応を行う。
【0078】
このように、本実施形態の駅務システムSによれば、利用者の入場時に顔画像による照合を行うとともに、券購入からの経過時間によって判定結果を分けることで、乗車券の購入者と使用者が異なることによる不正行為を低減しつつ、利用者の入場を不要に阻止する可能性を低減できる。
【0079】
また、券購入時、入場時、出場時の3回の顔画像データを用いて照合することで、どの時点で人物が変わったかを特定することができ、係員が柔軟に対応することができる。
【0080】
また、出場時には、
図6,
図7に示すように、顔画像データによる照合結果によって、出場可、窓口案内、出場不可という3つの判定結果を出すことによって、状況に応じて係員が柔軟に対応することができる。
【0081】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0082】
また、本実施形態のサーバ6などで実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータ装置で読み取り可能な記録媒体に記録して提供することができる。また、当該プログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1…券売機、2…入場用改札機、3…出場用改札機、4…監視盤、5…監視盤、6…サーバ、11…処理部、12…記憶部、13…設定部、14…撮影部、15…収受部、16…発行部、17…通信部、21…処理部、22…記憶部、23…人物検知部、24…撮影部、25…読取部、26…ドア機構、27…通信部、31…処理部、32…記憶部、33…人物検知部、34…撮影部、35…読取部、36…ドア機構、37…通信部、61…処理部、62…記憶部、63…入力部、64…出力部、65…通信部、S…駅務システム