(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104059
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】生体測定システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20240726BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20240726BHJP
A61B 5/022 20060101ALI20240726BHJP
A61B 5/33 20210101ALI20240726BHJP
【FI】
A61B5/00 D
A61B5/02 D
A61B5/022 500Z
A61B5/33 200
A61B5/33 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008073
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】照山 裕太
(72)【発明者】
【氏名】松井 利紀
【テーマコード(参考)】
4C017
4C117
4C127
【Fターム(参考)】
4C017AA08
4C017AA19
4C017AB01
4C017AC05
4C017AC16
4C017AD01
4C117XB01
4C117XD13
4C117XD17
4C117XE14
4C117XE15
4C117XE17
4C117XH02
4C127AA02
4C127BB05
4C127CC01
(57)【要約】
【課題】所望の被測定者の生体情報をより短時間で取得することが可能な生体測定システムを提供する。
【解決手段】生体測定システムは、生体測定装置と端末装置とを備える。生体測定装置は、複数の第1ブロックを有する第1記憶領域と、複数の第1ブロックにそれぞれ対応する複数の第2ブロックを有する第2記憶領域とを含む記憶部と、被測定者の識別情報を含む第1情報を第1ブロックに記憶し、被測定者の生体情報を第2ブロックに記憶する記憶制御部とを含む。端末装置は、第1ブロックに格納された第1情報を取得する情報取得部と、第1被測定者の識別情報が記憶された第1ブロックを特定する特定部と、第2ブロックに記憶された第1被測定者の生体情報を取得する生体情報取得部とを含む。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者の生体情報を測定するための生体測定装置と、
前記生体測定装置と通信する端末装置とを備え、
前記生体測定装置は、
複数の第1ブロックを有する第1記憶領域と、前記複数の第1ブロックにそれぞれ対応する複数の第2ブロックを有する第2記憶領域とを含む記憶部と、
前記被測定者の生体情報の測定時に、前記被測定者の識別情報を含む第1情報を前記第1ブロックに記憶し、前記被測定者の生体情報を、前記第1情報が記憶された前記第1ブロックに対応する前記第2ブロックに記憶する記憶制御部とを含み、
前記端末装置は、
前記複数の第1ブロックの各々について、当該第1ブロックに格納された前記第1情報を取得する情報取得部と、
各前記第1情報に含まれる前記識別情報に基づいて、前記複数の第1ブロックのうち、第1被測定者の識別情報が記憶された1以上の第1ブロックを特定する特定部と、
前記第1ブロックと前記第2ブロックとの対応関係を示す対応関係情報に基づいて、前記1以上の第1ブロックにそれぞれ対応する1以上の第2ブロックの各々について、当該第2ブロックに記憶された前記第1被測定者の生体情報を取得する生体情報取得部とを含む、生体測定システム。
【請求項2】
前記生体測定装置は、前記複数の第2ブロックのうち前記端末装置によって取得された前記生体情報を含む前記第2ブロックを判定する判定部をさらに含み、
前記記憶制御部は、判定された前記第2ブロックに対応する前記第1ブロックに新たな前記第1情報を上書きする、請求項1に記載の生体測定システム。
【請求項3】
前記記憶制御部は、判定された前記第2ブロックに、新たな前記第1情報に対応する前記生体情報を上書きする、請求項2に記載の生体測定システム。
【請求項4】
前記第1情報は、前記被測定者の生体情報における測定シーケンス番号をさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の生体測定システム。
【請求項5】
前記生体測定装置は、血圧を測定するための血圧計を含み、
前記被測定者の前記生体情報は、前記被測定者の血圧値の1測定機会において取得される脈波信号を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の生体測定システム。
【請求項6】
前記記憶部は、前記被測定者の血圧値を含む血圧情報を記憶するための第3記憶領域をさらに含む、請求項5に記載の生体測定システム。
【請求項7】
前記生体測定装置は、心電図波形を測定するための心電図波形測定回路を含み、
前記被測定者の前記生体情報は、前記被測定者の心電図波形を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の生体測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生体測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の被測定者(ユーザ)で血圧計を使用する際に測定値の混在を防ぎつつ、測定されたデータを血圧計に記憶する技術が知られている。例えば、特許文献1(特開2007-44347号公報)に係る血圧計は、被測定者に対応した記憶領域を選択するための第1操作手段と、当該血圧計を動作させる操作を行なうための第2操作手段と、第1操作手段において当該選択がなされるまで、第2操作手段での操作を禁止する制御手段とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
血圧計を用いて測定される測定結果には、血圧値、脈拍、脈波信号等の様々な生体情報が含まれており、これらは血圧計のメモリに記憶される。例えば、特許文献1では、血圧計のメモリに、最高血圧、最低血圧、脈拍等の生体情報と、被測定者であるユーザを識別する識別データとが対応付けられて格納される。
【0005】
このように、生体情報自体に識別データが対応付けられて格納される構成によると、所望のユーザの生体情報のみを取得したい場合であっても、一旦、すべての識別データ付きの生体情報を取得した後、当該識別データを用いて所望のユーザの生体情報を選択する必要がある。そのため、特に、生体情報のデータ量が大きい場合には、所望のユーザの生体情報を短時間で取得することができない。
【0006】
本開示は、ある局面では、所望の被測定者の生体情報をより短時間で取得することが可能な生体測定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一例では、生体測定システムは、被測定者の生体情報を測定するための生体測定装置と、生体測定装置と通信する端末装置とを備える。生体測定装置は、複数の第1ブロックを有する第1記憶領域と、複数の第1ブロックにそれぞれ対応する複数の第2ブロックを有する第2記憶領域とを含む記憶部と、被測定者の生体情報の測定時に、被測定者の識別情報を含む第1情報を第1ブロックに記憶し、被測定者の生体情報を、第1情報が記憶された第1ブロックに対応する第2ブロックに記憶する記憶制御部とを含む。端末装置は、複数の第1ブロックの各々について、当該第1ブロックに格納された第1情報を取得する情報取得部と、各第1情報に含まれる識別情報に基づいて、複数の第1ブロックのうち、第1被測定者の識別情報が記憶された1以上の第1ブロックを特定する特定部と、第1ブロックと第2ブロックとの対応関係を示す対応関係情報に基づいて、1以上の第1ブロックにそれぞれ対応する1以上の第2ブロックの各々について、当該第2ブロックに記憶された第1被測定者の生体情報を取得する生体情報取得部とを含む。
【0008】
上記構成によれば、所望の被測定者の生体情報をより短時間で取得することが可能となる。
【0009】
本開示の他の例では、生体測定装置は、複数の第2ブロックのうち端末装置によって取得された生体情報を含む第2ブロックを判定する判定部をさらに含む。記憶制御部は、判定された第2ブロックに対応する第1ブロックに新たな第1情報を上書きする。
【0010】
上記構成によれば、端末装置へ送信済の生体情報に対応する基本情報を含む第1ブロックに新たな基本情報が上書きされるため、送信前の生体情報に対応する基本情報が削除されることがない。
【0011】
本開示の他の例では、記憶制御部は、判定された第2ブロックに、新たな第1情報に対応する生体情報を上書きする。
【0012】
上記構成によれば、端末装置へ送信済の生体情報を含む第2ブロックに新たな生体情報が上書きされるため、送信前の生体情報が削除されることがない。
【0013】
本開示の他の例では、第1情報は、被測定者の生体情報における測定シーケンス番号をさらに含む。
【0014】
上記構成によれば、生体情報を測定機会ごとに管理することができる。
【0015】
本開示の他の例では、生体測定装置は、血圧を測定するための血圧計を含む。被測定者の生体情報は、被測定者の血圧値の1測定機会において取得される脈波信号を含む。
【0016】
上記構成によれば、データ量の大きい所望の脈波信号をより短時間で取得することができる。
【0017】
本開示の他の例では、記憶部は、被測定者の血圧値を含む血圧情報を記憶するための第3記憶領域をさらに含む。
【0018】
上記構成によれば、基本情報および生体情報とは別の記憶領域で血圧情報を管理することができる。
【0019】
本開示の他の例では、生体測定装置は、心電図波形を測定するための心電図波形測定回路を含む。被測定者の生体情報は、被測定者の心電図波形を含む。
【0020】
上記構成によれば、データ量の大きい所望の心電図波形をより短時間で取得することができる。
【発明の効果】
【0021】
本開示によると、所望の被測定者の生体情報をより短時間で取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施の形態に従う生体測定システムを示す図である。
【
図2】血圧計に設けられるメモリのデータ構造の一例を示す図である。
【
図3】基本情報を取得する場面を模式的に示す図である。
【
図4】脈波信号を取得する場面を模式的に示す図である。
【
図5】実施の形態1に従う血圧計のハードウェア構成の一例を表わすブロック図である。
【
図6】端末装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】血圧計および端末装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図8】血圧情報が記憶される記憶領域を説明するための図である。
【
図9】基本情報の上書き方式を説明するための図である。
【
図11】血圧計および端末装置の処理手順の一例を示す図である。
【
図12】実施の形態2に従う血圧計のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0024】
[適用例]
図1を参照して、本発明の適用例について説明する。
図1は、本実施の形態に従う生体測定システム1000を示す図である。
【0025】
図1を参照して、生体測定システム1000は、被測定者の生体情報を測定する生体測定装置として機能する血圧計100と、血圧計100と通信する端末装置200とを含む。具体的には、血圧計100は、被測定者であるユーザの血圧を測定する上腕式血圧計である。血圧計100は、主要な構成部品として、本体およびカフ(腕帯)を有する。なお、血圧計100は、本体とカフ(腕帯)とが一体となった手首式血圧計であってもよい。
【0026】
図1においては、ユーザが血圧計100を用いて自身の血圧を測定する場面を想定する。血圧計100は、測定対象のユーザを選択する選択入力および血圧測定指示を受け付けると、血圧測定を開始する(
図1の(1)に対応)。例えば、血圧計100は、ユーザの被測定部位(例えば、腕)に装着されたカフの内圧を示すカフ圧に重畳されている脈波信号(変動成分)を抽出し、当該脈波信号に基づいて、オシロメトリック法により血圧値を算出する。
【0027】
血圧計100は、血圧測定時に、ユーザの識別情報(例えば、ユーザID)および測定シーケンス番号を含む基本情報と、ユーザの生体情報としての脈波信号と、血圧値等の血圧情報とを内部のメモリに記憶する(
図1の(2)に対応)。ユーザIDは、選択されたユーザに応じて設定される。例えば、ユーザU1が選択された場合、ユーザIDは“User1”である。
【0028】
図2は、血圧計100に設けられるメモリのデータ構造の一例を示す図である。
図2を参照して、メモリは、記憶領域RXおよび記憶領域RYを有している。例えば、記憶領域RXは、複数のブロックX1~X12(以下、「ブロックX」とも総称する。)で区画されており、記憶領域RYは、複数のブロックY1~Y12(以下、「ブロックY」とも総称する。)で区画されている。複数のブロックX1~X12は、それぞれ複数のブロックY1~Y12と1対1で対応付けられている。なお、ブロック数は2以上であればよい。
【0029】
血圧計100は、メモリの記憶領域RXのブロックXn(ただし、n=1~12)に基本情報を記憶し、記憶領域RYのブロックYnに脈波信号を記憶する。ブロックXnに記憶される基本情報は、ブロックYnに記憶される脈波信号と対応付けられる。
【0030】
例えば、ブロックX1に記憶された基本情報は、ユーザID“User1”(図中の「User1」に対応)と、測定シーケンス番号“1”(図中の「Seq1」に対応)とを含む。ブロックX3に記憶された基本情報は、ユーザID“User2”と、測定シーケンス番号“2”とを含む。生体情報における測定シーケンス番号は、同一ユーザが生体情報の測定を行なうごとに1つずつ増加していく。
図2の例では、ユーザID“User1”を含む基本情報は、ブロックX1,X4,X5,X7,X9,X12に記憶され、ユーザID“User2”を含む基本情報は、ブロックX2,X3,X6,X8,X10,X11に記憶されている。
【0031】
上記のように、ブロックXnに記憶される基本情報は、ブロックYnに記憶される脈波信号と対応付けられるため、ユーザID“User1”のユーザ(被測定者)の脈波信号のデータは、ブロックY1,Y4,Y5,Y7,Y9,Y12に記憶される。同様に、ユーザID“User2”のユーザの脈波信号のデータは、ブロックY2,Y3,Y6,Y8,Y10,Y11に記憶される。
【0032】
再び、
図1を参照して、端末装置200は、各ブロックX1~X12に記憶されている基本情報を取得する(
図1の(3)に対応)。
【0033】
図3は、基本情報を取得する場面を模式的に示す図である。
図3を参照して、端末装置200は、血圧計100にアクセスして、記憶領域RXの各ブロックX1~X12に記憶されている基本情報を取得する。ここで、端末装置200のメモリには、
図2に示す記憶領域RXの各ブロックXと記憶領域RYの各ブロックYとの対応関係を示す情報(例えば、メモリのデータ構造を示す情報)が含まれている。これにより、端末装置200は、各ブロックXのアドレスおよびサイズと、各ブロックYのアドレスおよびサイズを把握できる。ブロックYのサイズは、ブロックXのサイズよりもかなり大きい。例えば、ブロックXのサイズは数バイトであり、ブロックYのサイズは数万バイトである。
【0034】
再び、
図1を参照して、端末装置200は、取得した各基本情報のブロックのうち、所望のユーザIDを含む基本情報のブロックを特定する(
図1の(4)に対応)。例えば、所望のユーザIDが“User1”であるとする。この場合、端末装置200は、ユーザID“User1”を含む基本情報のブロックが、ブロックX1,X4,X5,X7,X9,X12であると特定する。
【0035】
そして、端末装置200は、特定したブロックに基づいて、記憶領域RYに記憶された脈波信号を取得する(
図1の(5)に対応)。
【0036】
図4は、脈波信号を取得する場面を模式的に示す図である。
図4を参照して、端末装置200は、血圧計100の記憶領域RYにアクセスして、特定した複数のブロックXにそれぞれ対応する複数のブロックYに記憶された脈波信号を取得する。具体的には、端末装置200は、特定したブロックX1,X4,X5,X7,X9,X12にそれぞれ対応するブロックY1,Y4,Y5,Y7,Y9,Y12に記憶された脈波信号を取得する。
【0037】
上記の適用例によると、端末装置200は、まず、記憶領域RXの各ブロックXに記憶された、データ量の小さい各基本情報を受信し、所望のユーザIDを含むブロックXを特定する。次に、端末装置200は、特定したブロックXに対応するブロックYから所望の脈波信号を受信する。このように、端末装置200は、各基本情報を短時間で受信し、受信した各基本情報を用いて所望の脈波信号を直接受信できる。そのため、データ量の大きい脈波信号をすべて受信する必要がないため、結果として、所望の脈波信号を短時間で取得することができる。
【0038】
このように、本実施の形態に係る生体測定システムによると、所望の被測定者の生体情報をより短時間で取得することができる。
【0039】
[構成例]
<実施の形態1>
(ハードウェア構成)
図5は、実施の形態1に従う血圧計100のハードウェア構成の一例を表わすブロック図である。
図5を参照して、血圧計100は、主たる構成要素として、本体10と、カフ20とを含む。カフ20には、流体袋22が内包されている。本体10は、プロセッサ110と、血圧測定用のエア系コンポーネント30と、A/D変換回路310と、ポンプ駆動回路320と、弁駆動回路330と、ディスプレイ50と、メモリ51と、操作部52と、通信インターフェイス53と、電源部54とを含む。
【0040】
プロセッサ110は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Multi Processing Unit)といった演算処理部である。プロセッサ110は、メモリ51に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、後述する血圧計100の処理(ステップ)の各々を実現する。例えば、プロセッサ110は、操作部52からの操作信号に応じて、ポンプ32および弁33を駆動する制御を行なう。また、プロセッサ110は、オシロメトリック法による血圧算出のためのアルゴリズムを使用して血圧値を算出し、ディスプレイ50に表示する。
【0041】
メモリ51は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、フラッシュメモリなどによって実現される。メモリ51は、血圧計100を制御するためのプログラム、血圧計100を制御するために用いられるデータ、血圧計100の各種機能を設定するための設定データ、血圧値の測定結果のデータ、脈拍、脈波信号等を記憶する。メモリ51は、プログラムが実行されるときのワークメモリ等としても用いられる。
【0042】
エア系コンポーネント30は、カフ20に内包された流体袋22にエア配管を通じて空気を供給または排出する。エア系コンポーネント30は、流体袋22内の圧力を検出するための圧力センサ31と、流体袋22を膨縮させるための膨縮機構部としてのポンプ32および弁33とを含む。
【0043】
圧力センサ31は、流体袋22内の圧力(カフ圧)を検出し、検出した圧力に応じた信号(カフ圧信号)をA/D変換回路310に出力する。圧力センサ31は、例えば、ピエゾ抵抗式圧力センサであり、エア配管を介して、ポンプ32、弁33およびカフ20に内包されている流体袋22に接続されている。ポンプ32は、カフ圧を加圧するために、エア配管を通じて流体袋22に流体としての空気を供給する。弁33は、エア配管を通して流体袋22内の空気を排出し、または流体袋22に空気を封入して、カフ圧を制御するために開閉される。
【0044】
A/D変換回路310は、圧力センサ31の出力値(例えば、ピエゾ抵抗効果による電気抵抗の変化に応じた電圧値)をアナログ信号からデジタル信号へ変換してプロセッサ110に出力する。プロセッサ110は、A/D変換回路310の出力値に応じて、カフ圧を表わす信号を取得する。ポンプ駆動回路320は、プロセッサ110から与えられる制御信号に基づいて、ポンプ32の駆動を制御する。弁駆動回路330は、プロセッサ110から与えられる制御信号に基づいて、弁33の開閉を制御する。
【0045】
ディスプレイ50は、プロセッサ110からの制御信号に基づいて、血圧測定結果等を含む各種情報を表示する。通信インターフェイス53は、外部装置(例えば、端末装置200)と各種情報をやり取りする。通信方式としては、例えば、BLE(Bluetooth(登録商標) low energy)、無線LAN(Local Area Network)等の無線通信方式が採用される。電源部54は、プロセッサ110および各ハードウェアに電力を供給する。
【0046】
操作部52は、被測定者による指示に応じた操作信号をプロセッサ110に入力する。例えば、操作部52は、ユーザを選択するための選択スイッチ52Aと、血圧測定指示を受け付けるための測定スイッチ52Bとを含む。典型的には、被測定者は、選択スイッチ52Aを介して、ユーザU1またはユーザU2を選択する。ユーザU1はユーザID“User1”と関連付けられ、ユーザU2はユーザID“User2”と関連付けられる。例えば、被測定者が選択スイッチ52Aを用いて、ユーザU1を選択した場合、被測定者のユーザIDは“User1”である。
【0047】
図6は、端末装置200のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図6を参照して、端末装置200は、主たる構成要素として、プロセッサ202と、メモリ204と、入力装置206と、ディスプレイ208と、通信インターフェイス210とを含む。
【0048】
プロセッサ202は、メモリ204に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、後述する端末装置200の処理(ステップ)の各々を実現する。メモリ204は、RAM、ROM、フラッシュメモリ等によって実現される。入力装置206は、端末装置200に対する操作入力を受け付ける。典型的には、入力装置206は、ボタン、ディスプレイ208上に設けられるタッチパネル等によって実現される。通信インターフェイス210は、端末装置200と血圧計100との間で各種データをやり取りするための通信インターフェイスである。
【0049】
(機能構成)
図7は、血圧計100および端末装置200の機能構成を示すブロック図である。
図7を参照して、血圧計100は、主な機能構成として、測定部150と、記憶制御部152と、判定部156と、通信制御部158とを含む。これらの各機能は、例えば、血圧計100のプロセッサ110がメモリ51に格納されたプログラムを実行することによって実現される。これらの機能の一部または全部はハードウェアで実現されるように構成されていてもよい。血圧計100は、メモリ51により実現される記憶部154をさらに含む。記憶部154は、記憶領域RX,RY,RZを含む。
【0050】
端末装置200は、主な機能構成として、基本情報取得部250と、特定部252と、生体情報取得部254と、血圧情報取得部256とを含む。これらの各機能は、例えば、端末装置200のプロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって実現される。これらの機能の一部または全部はハードウェアで実現されるように構成されていてもよい。
【0051】
血圧計100の測定部150は、被測定者から選択スイッチ52Aを介してユーザの選択入力を受け付ける。被測定者によりユーザU1あるいはユーザU2が選択される。続いて、測定部150は、被測定者による測定スイッチ52Bを介した測定開始指示に従って、カフ圧を制御する。具体的には、測定部150は、ポンプ駆動回路320を介してポンプ32を駆動するとともに、弁駆動回路330を介して弁33を駆動する制御を行なう。弁33は、流体袋22の空気を排出し、または封入してカフ圧を制御するために開閉される。
【0052】
測定部150は、圧力センサ31によって検出されたカフ圧信号を受けて、カフ圧信号に重畳された被測定部位の脈波を表す脈波信号を測定する。すなわち、測定部150は、カフ圧信号から、ユーザの心臓の拍動に同期してカフ圧信号に重畳される圧力成分である脈波を検出する。
【0053】
測定部150は、オシロメトリック法に従って、カフ圧を加圧または減圧する過程において検出されたカフ圧信号に重畳される脈波信号に基づいて、被測定者の血圧を測定する。具体的には、測定部150は、カフ圧を加圧する加圧過程における脈波信号に基づいて被測定者の血圧を測定する加圧測定方式、または、カフ圧を推定収縮期血圧よりも大きい圧力まで加圧する加圧過程の後、カフ圧を減圧する減圧過程における脈波信号に基づいて被測定者の血圧を測定する減圧測定方式により血圧測定を実行する。典型的には、測定部150は、例えば、収縮期血圧、拡張期血圧および脈拍を算出する。
【0054】
測定部150は、測定日時、選択されたユーザ(例えば、ユーザU1あるいはユーザU2)のユーザID、測定シーケンス番号、生体情報(例えば、脈波信号)、上記算出結果(例えば、収縮期血圧、拡張期血圧および脈拍)を含む測定情報を記憶制御部152に出力する。
【0055】
記憶制御部152は、被測定者の生体情報の測定時に、被測定者の識別情報(ユーザID)と測定シーケンス番号とを含む基本情報を記憶領域RXのブロックXに記憶し、生体情報を当該ブロックXに対応する記憶領域RYのブロックYに記憶する。典型的には、生体情報は、被測定者の血圧値の1測定機会において取得される脈波信号である。より詳細には、加圧測定方式により血圧測定が行われる場合、生体情報は、カフ圧の加圧過程において測定(抽出)される脈波信号である。減圧測定方式により血圧測定が行われる場合、生体情報は、カフ圧の減圧過程において測定される脈波信号である。
【0056】
また、記憶制御部152は、測定日時、測定シーケンス番号および上記算出結果(例えば、収縮期血圧、拡張期血圧および脈拍)を含む血圧情報を記憶領域RZに記憶する。
【0057】
図8は、血圧情報が記憶される記憶領域を説明するための図である。
図8を参照して、記憶領域RZは、記憶領域RZAおよび記憶領域RZBを含む。記憶領域RZAには、ユーザID“User1”に関連付けられた血圧情報が記憶される。記憶領域RZBには、ユーザID“User2”に関連付けられた血圧情報が記憶される。
【0058】
記憶領域RZAは、複数のブロックZA1~ZA100(以下、「ブロックZA」とも総称する。)で区画されており、記憶領域RZBは、複数のブロックZB1~ZB100(以下、「ブロックZB」とも総称する。)で区画されている。例えば、ブロックZA1には、測定シーケンス番号“1”を含む血圧情報が記憶されており、ブロックZB1には、測定シーケンス番号“31”を含む血圧情報が記憶されている。
【0059】
再び、
図7を参照して、通信制御部158は、端末装置200からの要求に応答して、基本情報、生体情報および血圧情報を記憶部154から読み出し、当該読み出した基本情報、生体情報および血圧情報を端末装置200に送信する。
【0060】
端末装置200の基本情報取得部250は、複数のブロックXの各々について、当該ブロックXに記憶された基本情報を取得する。例えば、基本情報取得部250は、記憶領域RXに記憶された各基本情報の取得要求を端末装置200へ送信し、その応答として、端末装置200から送信される各基本情報を取得(受信)する。
【0061】
特定部252は、各基本情報に含まれるユーザIDに基づいて、複数のブロックXのうち、所望の被測定者のユーザIDが記憶された1以上のブロックXを特定する。例えば、
図2のように各基本情報が記憶領域RXに記憶されており、所望の被測定者のユーザIDが“User2”であるとする。この場合、特定部252は、ユーザID“User2”が記憶された1以上のブロックXが、ブロックX2,X3,X6,X8,X10,X11であると特定する。特定部252は、特定した各ブロックXを示すブロック情報を生体情報取得部254に出力する。
【0062】
生体情報取得部254は、ブロックXとブロックYとの対応関係を示す対応関係情報に基づいて、特定した1以上のブロックXにそれぞれ対応する1以上のブロックYの各々について、当該ブロックYに記憶された被測定者の生体情報を取得する。特定した1以上のブロックXにそれぞれ対応する1以上のブロックYは、ブロックY2,Y3,Y6,Y8,Y10,Y11である。そのため、生体情報取得部254は、これらの各ブロックYに記憶された生体情報の取得要求を端末装置200(例えば、通信制御部158)へ送信し、その応答として、端末装置200(例えば、通信制御部158)から送信される各生体情報を取得(受信)する。
【0063】
血圧情報取得部256は、記憶領域RZに記憶された血圧情報を取得する。端末装置200のメモリには、
図8に示す記憶領域RZAの各ブロックZA1~ZA100と記憶領域RZBの各ブロックZB1~ZB100との対応関係を示す情報(すなわち、メモリのデータ構造を示す情報)が含まれている。これにより、血圧情報取得部256は、各ブロックZAのアドレスおよびサイズと、各ブロックZBのアドレスおよびサイズを把握できる。例えば、ユーザID“User1”に関連付けられた血圧情報を取得したい場合には、血圧情報取得部256は、記憶領域RZAの各ブロックZAに記憶された血圧情報の取得要求を端末装置200へ送信し、その応答として、端末装置200から送信される各血圧情報を取得(受信)する。
【0064】
血圧計100の判定部156は、複数のブロックYのうち端末装置200によって取得された生体情報を含むブロックYを判定する。例えば、通信制御部158は、端末装置200へ送信した生体情報を含むブロックYを示す送信済ブロック情報を生成して記憶部154に格納する。判定部156は、記憶部154に格納された送信済ブロック情報を参照して、端末装置200へ送信済の生体情報を含むブロックYを判定する。判定部156は、当該判定結果を記憶制御部152に出力する。
【0065】
記憶制御部152は、当該判定結果に基づいて、判定されたブロックYに対応するブロックXに新たな基本情報を上書き(保存)する。また、記憶制御部152は、判定されたブロックYに、新たな基本情報に対応する生体情報を上書きする。
図9を用いて、当該上書き方式について具体的に説明する。
【0066】
図9は、基本情報の上書き方式を説明するための図である。
図9を参照して、初期状態において、記憶制御部152は、判定部156の判定結果に基づいて、ブロックX2,X3,X6,X8にそれぞれ対応するブロックY2,Y3,Y6,Y8に記憶された生体情報が送信済であることを認識している(
図9の(1)に対応)。
【0067】
次に、被測定者によってユーザU2が選択され、血圧測定が実行されたとする。この場合、測定部150は、新たな測定情報を記憶制御部152に出力する。記憶制御部152は、当該測定情報に含まれる新たな基本情報(例えば、ユーザID“User2”および測定シーケンス番号“7”)をブロックX2に上書きする(
図9の(2)に対応)。すなわち、古い基本情報(ユーザID“User2”および測定シーケンス番号“1”)が新たな基本情報で上書きされる。同様に、記憶制御部152は、当該測定情報に含まれる生体情報をブロックY2に上書きする。
【0068】
典型的には、記憶制御部152は、送信済の生体情報を含む複数のブロックYkにそれぞれ対応する複数のブロックXk(例えば、X2,X3,X6,X8)のうち、最も小さいk(例えば、2)を有するブロックXk(例えば、ブロックX2)に新たな基本情報を上書きする。ただし、記憶制御部152は、複数のブロックXkのうちのいずれかに新たな基本情報を上書きしてもよい。
【0069】
次に、端末装置200からの要求に応じて、血圧計100が、ブロックX1,X4,X5,X7,X9,X12にそれぞれ対応するブロックY1,Y4,Y5,Y7,Y9,Y12に記憶された生体情報を端末装置200へ送信したとする。この場合、記憶制御部152は、判定部156の判定結果に基づいて、ブロックX1,X3~X9,X12にそれぞれ対応するブロックY1,Y3~Y9,Y12に記憶された生体情報が送信済であることを認識している(
図9の(3)に対応)。
【0070】
次に、被測定者によってユーザU2が選択され、血圧測定が実行されたとする。この場合、測定部150は、新たな測定情報を記憶制御部152に出力する。記憶制御部152は、当該測定情報に含まれる新たな基本情報(例えば、ユーザID“User2”および測定シーケンス番号“8”)をブロックX1に上書きする(
図9の(4)に対応)。また、記憶制御部152は、当該測定情報に含まれる生体情報をブロックY1に上書きする。
【0071】
次に、被測定者によってユーザU1が選択され、血圧測定が実行されたとする。この場合、測定部150は、新たな測定情報を記憶制御部152に出力する。記憶制御部152は、当該測定情報に含まれる新たな基本情報(例えば、ユーザID“User1”および測定シーケンス番号“7”)をブロックX3に上書きする(
図9の(5)に対応)。また、記憶制御部152は、当該測定情報に含まれる生体情報をブロックY3に上書きする。
【0072】
ここで、記憶制御部152が、判定部156の判定結果に基づいて、送信済の生体情報を含むブロックYが存在しない(すなわち、各ブロックY1~Y12の生体情報のいずれも端末装置200に送信されていない)と判断したとする。この場合、記憶制御部152は、最も小さいkを有するブロックX1に新たな基本情報を記憶し、ブロックY1に新たな基本情報に対応する生体情報を記憶する。
【0073】
(処理手順)
図10は、血圧計100の処理手順の一例を示す図である。
図10に示す処理は、加圧測定方式により血圧を測定する処理である。処理のスタート時点において、ユーザは血圧計100のカフ20を装着した状態であるとする。
【0074】
図10を参照して、血圧計100のプロセッサ110は、選択スイッチ52Aを介して、被測定者からユーザの選択入力を受け付け(ステップS10)、測定スイッチ52Bを介して、血圧測定の開始指示を受け付ける(ステップS12)。プロセッサ110は、圧力センサ31を初期化する(ステップS14)。具体的には、プロセッサ110は、処理用メモリ領域を初期化するとともに、ポンプ32をオフ(停止)し、弁33を開いた状態で、圧力センサ31の0mmHg調整(大気圧を0mmHgに設定)を行なう。
【0075】
次に、プロセッサ110は、弁駆動回路330を介して弁33を閉じ(ステップS16)、ポンプ駆動回路320を介してポンプ32をオン(駆動)して、カフ20(流体袋22)の加圧を開始する(ステップS18)。このとき、プロセッサ110は、ポンプ32からエア配管を通して流体袋22に空気を供給しながら、圧力センサ31の出力に基づいて、流体袋22内の圧力であるカフ圧の加圧速度を制御する。
【0076】
次に、プロセッサ110は、圧力センサ31によって検出されたカフ圧信号から脈波信号を抽出し、当該脈波信号に基づいて、最高血圧(収縮期血圧)および最低血圧(拡張期血圧)の算出を試みて、血圧算出が完了したか否かを判断する(ステップS20)。
【0077】
データ不足のために未だ血圧算出を完了できない場合(ステップS20においてNO)、プロセッサ110は、カフ圧が予め定められた上限圧力(例えば、300mmHg)に達していない限り、ステップS18,S20の処理を繰り返す。血圧算出が完了した場合(ステップS20においてYES)、プロセッサ110は、ポンプ32を停止し(ステップS22)、弁33を開いて(ステップS24)、カフ20内の空気を排気する制御を行なう。
【0078】
プロセッサ110は、基本情報を記憶領域RXのブロックXに記憶し(ステップS26)、脈波信号を記憶領域RYのブロックYに記憶し(ステップS28)、血圧情報を記憶領域RZのブロックZA(またはブロックZB)に記憶する(ステップS30)。プロセッサ110は、測定された血圧値等をディスプレイ50に表示する(ステップS32)。
【0079】
図11は、血圧計100および端末装置200の処理手順の一例を示す図である。
図11を参照して、端末装置200のプロセッサ202は、通信インターフェイス210を介して、基本情報の取得要求を血圧計100に送信する(ステップS50)。
【0080】
血圧計100のプロセッサ110は、通信インターフェイス53を介して当該取得要求を受信し、記憶領域RXに記憶された各基本情報を端末装置200へ送信する(ステップS52)。
【0081】
プロセッサ202は、各基本情報に含まれるユーザIDに基づいて、複数のブロックXのうち、所望のユーザIDが記憶されたブロックXを特定する(ステップS54)。プロセッサ202は、通信インターフェイス210を介して、特定したブロックXに対応するブロックYに記憶された生体情報の取得要求を血圧計100に送信する(ステップS56)。
【0082】
プロセッサ110は、通信インターフェイス53を介して当該取得要求を受信し、記憶領域RYに記憶された当該ブロックYに記憶された生体情報を端末装置200へ送信する(ステップS58)。プロセッサ202は、取得した生体情報をメモリ51に記憶する(ステップS60)。
【0083】
<実施の形態2>
実施の形態1では、被測定者の生体情報が脈波信号である構成について説明したが、実施の形態2では、生体情報が心電図波形である構成について説明する。
【0084】
(ハードウェア構成)
図12は、実施の形態2に従う血圧計100Aのハードウェア構成を示す図である。
図12を参照して、血圧計100Aは、本体10Aと、カフ20と、基準電極35と、測定電極36とを含む。本体10Aは、実施の形態1の本体10に、心電図波形測定回路340を追加した構成に相当する。
【0085】
基準電極35は、少なくともその表面が導電性材料で形成されており、心電図波形に含まれる可能性のあるノイズを除去するために、心電図波形測定時にユーザがその体の一部(例えば、少なくとも左右のいずれかの親指)を接触させる箇所である。
【0086】
測定電極36は、少なくともその表面が導電性材料で形成されており、心電図波形測定時にユーザがその体の一部(例えば、親指以外の人差指、中指、小指等)を接触させる箇所である。
【0087】
ユーザは、左右の親指以外の指(人指し指、中指、薬指)を左右側面の測定電極36に接触させる。ユーザは、左右の親指の一方または両方を基準電極35に接触させる。ユーザがその両手の指を測定電極36に接触させると、心電図波形測定回路340は、測定電極36がユーザを通じて互いに電気的に接続されたことを検知し、この検知信号をトリガとして心電図波形の測定を開始する。このとき、ユーザの左手または右手もしくは両手の親指が基準電極35に接触している。
【0088】
この状態で、基準電極35に入力される信号と測定電極36に入力される信号との間には電位差がある。この電位差は、親指とそれ以外の指までの経路長の差に起因する。一方、基準電極35に入力される信号と測定電極36に入力される信号にはほぼ同じレベルのノイズが含まれている。したがって、心電図波形測定回路340は、親指を通じて基準電極35に入力される信号とそれ以外の指を通じて測定電極36に入力される信号の電位差を測定する。心電図波形測定回路340は、その電位差を増幅することによって、ノイズの影響の少ない心電図波形を取得してもよい。
【0089】
(機能構成)
図7を参照して、実施の形態2に従う測定部150は、心電図波形測定回路340としての機能をさらに有する。測定部150は、被測定者から選択スイッチ52Aを介してユーザの選択入力を受け付け、心電図波形の測定開始指示を受け付ける。測定部150は、心電図波形の測定を実行し、測定日時、選択されたユーザのユーザID、測定シーケンス番号、生体情報としての心電図波形データを含む測定情報を記憶制御部152に出力する。測定情報は、血圧情報を含んでいてもよい。記憶制御部152は、被測定者の心電図波形の1測定機会において取得される心電図波形である。
【0090】
<その他の実施の形態>
(1)上述した実施の形態において、コンピュータを機能させて、上述のフローチャートで説明したような制御を実行させるプログラムを提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、二次記憶装置、主記憶装置およびメモリカードなどの一時的でないコンピュータ読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0091】
(2)上述の実施の形態として例示した構成は、本発明の構成の一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能である。また、上述した実施の形態において、その他の実施の形態で説明した処理や構成を適宜採用して実施する場合であってもよい。
【0092】
[付記]
以上のように、本実施形態は以下のような開示を含む。
【0093】
[構成1]
被測定者の生体情報を測定するための生体測定装置(100)と、前記生体測定装置と通信する端末装置(200)とを備え、前記生体測定装置は、複数の第1ブロック(X1~X12)を有する第1記憶領域(RX)と、前記複数の第1ブロックにそれぞれ対応する複数の第2ブロック(Y1~Y12)を有する第2記憶領域(RY)とを含む記憶部(154)と、前記被測定者の生体情報の測定時に、前記被測定者の識別情報を含む第1情報を前記第1ブロックに記憶し、前記被測定者の生体情報を、前記第1情報が記憶された前記第1ブロックに対応する前記第2ブロックに記憶する記憶制御部(156)とを含み、前記端末装置は、前記複数の第1ブロックの各々について、当該第1ブロックに格納された前記第1情報を取得する情報取得部(250)と、各前記第1情報に含まれる前記識別情報に基づいて、前記複数の第1ブロックのうち、第1被測定者の識別情報が記憶された1以上の第1ブロックを特定する特定部(252)と、前記第1ブロックと前記第2ブロックとの対応関係を示す対応関係情報に基づいて、前記1以上の第1ブロックにそれぞれ対応する1以上の第2ブロックの各々について、当該第2ブロックに記憶された前記第1被測定者の生体情報を取得する生体情報取得部(254)とを含む、生体測定システム(1000)。
【0094】
[構成2]
前記生体測定装置は、前記複数の第2ブロックのうち前記端末装置によって取得された前記生体情報を含む前記第2ブロックを判定する判定部(156)をさらに含み、前記記憶制御部は、判定された前記第2ブロックに対応する前記第1ブロックに新たな前記第1情報を上書きする、構成1に記載の生体測定システム。
【0095】
[構成3]
前記記憶制御部は、判定された前記第2ブロックに、新たな前記第1情報に対応する前記生体情報を上書きする、構成2に記載の生体測定システム。
【0096】
[構成4]
前記第1情報は、前記被測定者の生体情報における測定シーケンス番号をさらに含む、構成1~3のいずれかに記載の生体測定システム。
【0097】
[構成5]
前記生体測定装置は、血圧を測定するための血圧計(100)を含み、前記被測定者の前記生体情報は、前記被測定者の血圧値の1測定機会において取得される脈波信号を含む、構成1~4のいずれかに記載の生体測定システム。
【0098】
[構成6]
前記記憶部は、前記被測定者の血圧値を含む血圧情報を記憶するための第3記憶領域をさらに含む、構成5に記載の生体測定システム。
【0099】
[構成7]
前記生体測定装置は、心電図波形を測定するための心電図波形測定回路(340)を含み、前記被測定者の前記生体情報は、前記被測定者の心電図波形を含む、構成1~4のいずれかに記載の生体測定システム。
【0100】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0101】
10,10A 本体、20 カフ、22 流体袋、30 エア系コンポーネント、31 圧力センサ、32 ポンプ、33 弁、35 基準電極、36 測定電極、50,208 ディスプレイ、51,204 メモリ、52 操作部、52A 選択スイッチ、52B 測定スイッチ、53,210 通信インターフェイス、54 電源部、100,100A 血圧計、110,202 プロセッサ、150 測定部、152 記憶制御部、154 記憶部、156 判定部、158 通信制御部、200 端末装置、206 入力装置、250 基本情報取得部、252 特定部、254 生体情報取得部、256 血圧情報取得部、310 A/D変換回路、320 ポンプ駆動回路、330 弁駆動回路、340 心電図波形測定回路、1000 生体測定システム。