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特開2024-10406いじめ防止システム及びこれに用いるユーザ端末及びコンピュータプログラム
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  • 特開-いじめ防止システム及びこれに用いるユーザ端末及びコンピュータプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010406
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】いじめ防止システム及びこれに用いるユーザ端末及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/00 20240101AFI20240117BHJP
【FI】
G06Q50/00 300
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111728
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】508143465
【氏名又は名称】有限会社山屋商店
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】山下 隆浩
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC12
(57)【要約】
【課題】いじめにつながる投稿や送信を未然に防止する機能を簡単な構成により実現することが可能ないじめ防止システムを提供する。
【解決手段】いじめ防止システム1は、通信ネットワーク40を介してコミュニティサイト50に接続可能なユーザ端末10と、通信ネットワーク40を介してユーザ端末10に接続可能な管理サーバ20とを備えている。ユーザ端末10は、コミュニティサイト50にメッセージを投稿するアプリケーションプログラムと、アプリケーションプログラムから独立したバックグラウンド動作により文字入力を監視するいじめ防止アプリを含む。いじめ防止アプリは、アプリケーションプログラム上で入力されたメッセージにNGワードが含まれていることを検知したときにアラートを発出し、アラートに反してメッセージの投稿が実行された場合にNGワード投稿ログを管理サーバ20に送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを介してコミュニティサイトに接続可能なユーザ端末と、
前記通信ネットワークを介して前記ユーザ端末に接続可能な管理サーバとを備え、
前記ユーザ端末は、
前記コミュニティサイトにメッセージを投稿するアプリケーションプログラムと、
前記アプリケーションプログラムから独立したバックグラウンド動作により前記メッセージの入力文字を監視するいじめ防止アプリを含み、
前記いじめ防止アプリは、前記メッセージにNGワードが含まれていることを検知したときにアラートを発出し、前記アラートに反して前記メッセージの投稿が実行された場合にNGワード投稿ログを前記管理サーバに送信することを特徴とするいじめ防止システム。
【請求項2】
前記ユーザ端末は、前記メッセージのローマ字入力を監視し、文字変換前のローマ字の状態で前記NGワードを検知したとき、前記アラートを発出する、請求項1に記載のいじめ防止システム。
【請求項3】
前記ユーザ端末は、所定の期間内に前記NGワードを複数個検知したとき、前記アラートを発出する、請求項1又は2に記載のいじめ防止システム。
【請求項4】
前記ユーザ端末を使用するユーザに関連付けられた管理者が使用する管理者端末をさらに備え、
前記管理者端末は、前記管理サーバ内に記録された前記ユーザの前記NGワード投稿ログを閲覧可能に構成されている、請求項1又は2に記載のいじめ防止システム。
【請求項5】
通信ネットワークを介してコミュニティサイトに接続可能なユーザ端末であって、
前記コミュニティサイトにメッセージを投稿するアプリケーションプログラムと、
前記アプリケーションプログラムから独立したバックグラウンド動作により前記メッセージの入力文字を監視するいじめ防止アプリを含み、
前記いじめ防止アプリは、前記メッセージにNGワードが含まれていることを検知したときにアラートを発出し、前記アラートに反して前記メッセージの投稿が実行された場合にNGワード投稿ログを管理サーバに送信することを特徴とするユーザ端末。
【請求項6】
前記メッセージのローマ字入力を監視し、文字変換前のローマ字の状態で前記NGワードを検知したとき、前記アラートを発出する、請求項5に記載のユーザ端末。
【請求項7】
通信ネットワークを介してコミュニティサイトに接続可能なユーザ端末にインストールされ、当該ユーザ端末に、
前記コミュニティサイトにメッセージを投稿するアプリケーションプログラムから独立したバックグラウンド動作により前記メッセージの入力文字を監視するステップと、
前記メッセージにNGワードが含まれていることを検知したときにアラートを発出するステップと、
前記アラートに反して前記メッセージの投稿が実行された場合にNGワード投稿ログを管理サーバに送信するステップを順に実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記メッセージのローマ字入力を監視し、文字変換前のローマ字の状態で前記NGワードを検知したとき、前記アラートを発出する、請求項7に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SNS等のコミュニティサイトを使用したいじめ行為を防止するいじめ防止システム及びこれに用いるユーザ端末及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやタブレット端末は小中学生にも身近なデバイスとなってきている。また学校でもノートPCやタブレット端末が生徒に配給され、デジタルデバイスを活用した授業が行われるようになってきている。一方で、最近はSNS(Social Networking Service)やメッセージアプリを使用したインターネット上のいじめ行為が深刻化している。口頭や身体に受けるいじめはその場限りであるのに対して、インターネット上のいじめは活字として視覚に訴え続け、精神的な苦痛が継続するため、被害者に絶望感を与える。
【0003】
このようないじめ行為を防止する方法として、例えば特許文献1には、単語とその属性とを対応付けて記憶する単語記憶手段と、テキストを形態素に分割する分割手段と、前記単語記憶手段の記憶内容に基づいて、前記テキストを構成する形態素に、使用することが不適切である特定の属性の形態素が含まれているか否かを判別し、含まれていると判別した場合に、該テキストの使用が不適切である旨のアラートを表示する警告表示手段とを備えた入力支援装置、入力支援方法並びにプログラムが記載されている。
【0004】
また特許文献2には、ユーザがコメント情報の作成又は編集を完了した後、前記コメント情報の仮投稿の命令を受け付けるステップと、前記仮投稿の命令を受け付けてから所定時間の経過後又は設定時間の到来時に、前記コメント情報の読み直しをユーザに促すステップと、前記コメント情報を読み直したユーザがコメント情報の内容に問題無いと判断した場合に、コメント情報の投稿確定の命令を受け付けるステップと、前記コメント情報の投稿確定の命令を受け付けた後、コメント情報の掲載を担うサーバ装置が、インターネットを介して前記コメント情報を閲覧できるように掲載するステップと、前記コメント情報を読み直したユーザがコメント情報の内容に編集の必要性が有ると判断した場合に、コメント情報の編集再開の命令を受け付けるステップと、前記コメント情報の編集再開の命令を受け付けた後、コメント情報の編集モードにセットするステップと、前記コメント情報を読み直したユーザがコメント情報を削除すべきと判断した場合に、コメント情報の投稿取り消しの命令を受け付けるステップを有するコメント投稿方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-194864号公報
【特許文献2】特開2021-043808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の入力支援装置は、入力した文字を変換して単語が完成した後にデータベースと照合するため、内容をよく確認せずすぐにメッセージが投稿・送信されるような場合、アラートの発出が間に合わないおそれがある。また特許文献2に記載された従来のコメント投稿方法は、サーバ装置側でコメントの投稿を管理するものであり、サーバ側で当該機能を導入していない場合には不適切な投稿を阻止することができない。
【0007】
したがって、本発明の目的は、いじめにつながるNGワードの投稿や送信を未然に防止する機能を簡単な構成により実現することが可能ないじめ防止システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明によるいじめ防止システムは、通信ネットワークを介してコミュニティサイトに接続可能なユーザ端末と、前記通信ネットワークを介して前記ユーザ端末に接続可能な管理サーバとを備え、前記ユーザ端末は、前記コミュニティサイトにメッセージを投稿するアプリケーションプログラムと、前記アプリケーションプログラムから独立したバックグラウンド動作により前記メッセージの入力文字を監視するいじめ防止アプリを含み、前記いじめ防止アプリは、前記メッセージにNGワードが含まれていることを検知したときにアラートを発出し、前記アラートに反して前記メッセージの投稿が実行された場合にNGワード投稿ログを前記管理サーバに送信することを特徴とする。
【0009】
また本発明は、通信ネットワークを介してコミュニティサイトに接続可能なユーザ端末であって、前記コミュニティサイトにメッセージを投稿するアプリケーションプログラムと、前記アプリケーションプログラムから独立したバックグラウンド動作により前記メッセージの入力文字を監視するいじめ防止アプリを含み、前記いじめ防止アプリは、前記メッセージにNGワードが含まれていることを検知したときにアラートを発出し、前記アラートに反して前記メッセージの投稿が実行された場合にNGワード投稿ログを管理サーバに送信することを特徴とする。
【0010】
さらにまた、本発明は、通信ネットワークを介してコミュニティサイトに接続可能なユーザ端末にインストールされるコンピュータプログラムであって、当該ユーザ端末に、前記コミュニティサイトにメッセージを投稿するアプリケーションプログラムから独立したバックグラウンド動作により前記メッセージの入力文字を監視するステップと、前記メッセージにNGワードが含まれていることを検知したときにアラートを発出するステップと、前記アラートに反して前記メッセージの投稿が実行された場合にNGワード投稿ログを管理サーバに送信するステップを順に実行させることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、ユーザ端末にインストールされた、いわゆるキーロガーの技術を応用したキー入力モニタリングプログラムを用いてNGワードをバックグラウンドで監視するので、SNS等のコミュニティサイトの形態に依存せず、様々なサービスに対する不適切投稿の監視に適用することができる。
【0012】
本発明において前記ユーザ端末は、前記メッセージのローマ字入力を監視し、文字変換前のローマ字の状態で前記NGワードを検知したとき、前記アラートを発出することが好ましい。NGワードの単語(「バカ」、「死ね」など)が出来上がった段階ではなく、ローマ字(「baka」、「sine」など)で入力された時点でNGワードか否かをチェックしてアラートを発出するので、アラートを迅速に発出して不適切用語の投稿を未然に防止することができる。
【0013】
前記ユーザ端末は、所定の期間内に前記NGワードを複数個検知したとき、前記アラートを発出することが好ましい。これにより、アラートの過剰な発出を避けることができる。
【0014】
本発明によるいじめ防止システムは、前記ユーザ端末を使用するユーザに関連付けられた管理者が使用する管理者端末をさらに備え、前記管理者端末は、前記管理サーバ内に記録された前記ユーザの前記NGワード投稿ログを閲覧可能に構成されていることが好ましい。この構成によれば、いじめの実態を把握して防止対策につなげることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、いじめにつながるNGワードの投稿や送信を未然に防止する機能を簡単な構成により実現することが可能ないじめ防止システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の一実施形態によるいじめ防止システムの構成を示す模式図である。
図2図2は、ユーザ端末の構成を示すブロック図である。
図3図3は、管理サーバの構成を示すブロック図である。
図4図4は、いじめ防止アプリの動作を説明するフローチャートである。
図5図5は、いじめ防止アプリの動作の概略的な説明図である。
図6図6は、本実施形態によるいじめ防止システムの使用例を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態によるいじめ防止システムの構成を示す模式図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態によるいじめ防止システム1は、例えば学校の生徒等の一般ユーザに割り当てられるタブレット端末等のユーザ端末10と、ユーザ端末10から送られてくるNGワード投稿ログを記録し管理する管理サーバ20と、学校の先生等の管理者ユーザに割り当てられるノートPC等の管理者端末30とを備えている。ユーザ端末10、管理サーバ20及び管理者端末30はインターネット40に接続可能であり、ユーザ端末10及び管理者端末30はインターネット40を通じて管理サーバ20にアクセス可能に構成されている。またユーザ端末10及び管理者端末30はインターネット40を通じてSNS、ブログ、電子掲示板、チャット等のコミュニティサイト50にアクセス可能に構成されている。
【0020】
ユーザ端末10及び管理者端末30は、教育現場で生徒に支給されるものに限定されず、個人の端末であってもよい。すなわち、生徒が家庭で使用するスマートフォンやパソコンをユーザ端末10とすることもできる。ユーザ端末10及び管理者端末30のデバイスの形態は特に限定されず、スマートフォン、ノートPC、デスクトップPC等であってもよい。管理サーバ20はいわゆるデータベースサーバであり、サーバ機能を有する一又は複数のコンピュータで構成されるものである。
【0021】
図2は、ユーザ端末10の構成を示すブロック図である。
【0022】
図2に示すように、ユーザ端末10は、CPU(Central Processing Unit)101、GPU(Graphics Processing Unit)102、ROM、RAM等の記憶部103、ディスプレイ104、キーボード等の文字入力部105、スピーカー106、マイク107、GPSユニット108等のハードウェア構成を有している。スマートフォンやタブレット端末の場合、タッチパネルディスプレイによってディスプレイ104及び文字入力部105が構成される。
【0023】
またユーザ端末10には、OS(Operating System)111やデバイスドライバ112などの基本プログラムのほか、様々なアプリケーションプログラム113がインストールされている。アプリケーションプログラム113としては、ウェブブラウザ11、メールソフト12などの標準的なプログラムのほか、例えばSNSサービスが提供するクライアントプログラムであるSNSアプリ13、学校の授業で使用する教育支援アプリ14、先生から生徒へ様々なお知らせを通知するグループウェア15などを挙げることができる。SNSサービスとしては、例えば、LINE(登録商標)、Facebook(登録商標)、Twitter(登録商標)等を挙げることができる。またメールソフト12としては、Outlook(登録商標)、Gmail(登録商標)等を挙げることができる。また教育現場で使用されるClassroom(Google Workspace for Education)などのグループウェア15も対象とすることができる。
【0024】
上記の種々のアプリケーションプログラム113に加えて、ユーザ端末10には、いじめにつながる不適切な言葉(NGワード)のメッセージ送信やSNSへの投稿を監視するいじめ防止アプリ16がインストールされている。このいじめ防止アプリ16は、いわゆるキー入力モニタリング機能としてバックグラウンド動作する常駐プログラムであり、キー入力に所定のNGワードが含まれているか否かを常時監視し、NGワードが含まれている場合にはアラートダイアログをポップアップ表示して、ユーザに注意を喚起する。本実施形態によるいじめ防止アプリ16は、キー入力モニタリングプログラムの形態をとるので、SNSの利用が専用アプリ経由かウェブ経由かによらず、すなわちSNSサービスの形態に依存せず、NGワードの入力及び投稿を監視することができる。
【0025】
SNSに投稿されるNGワードをチェックする場合、SNSアプリ13上のメッセージ入力欄か、或いはSNSのウェブサイト上のメッセージ入力欄に入力される文字を監視する必要がある。その際、SNSアプリ13を提供している会社が提供しているAPI(Application Programming Interface)を利用していじめ防止アプリ16をSNSアプリ13に連携させてもよい。またウェブサイトから入力する場合にはウェブブラウザ11のアドオンプログラムを利用してSNSサイトのコントロールを行ってもよい。
【0026】
NGワードを常時監視するため、いじめ防止アプリ16はNGワードリスト16aを保有している。NGワードリスト16aは、管理サーバ20側で同期管理しており、管理サーバ20側からNGワードリスト16aのアップデートが可能である。管理者がデータベースに随時NGワードを追加・制限できるようにすることで独特の方言や用語への対応を行うことができる。NGワードは、文字変換後の文字(例えば「ばか」、「バカ」、「馬鹿」等)のほか、文字変換前のローマ字入力の状態でのNGワード(例えば「uzai」、「UZAI」等)も含まれる。
【0027】
いじめ防止アプリ16は、所定のダウンロードサイトからダウンロードしてユーザ端末10にインストールすることができる。そしていじめ防止アプリ16のインストール後、ユーザ登録を行うことにより、その利用を開始することができる。ユーザ登録の際、予め管理者が設定したグループIDを登録することにより、ユーザとグループ(管理者)との紐づけが行われる。利用開始以降、ユーザ端末10上の任意の文字入力モードにおいてNGワードの入力が検知された場合、アラート画面がポップアップして、NGワードの投稿に対する注意が喚起されるようになる。
【0028】
図3は、管理サーバ20の構成を示すブロック図である。
【0029】
図3に示すように、管理サーバ20は、ユーザ端末10のいじめ防止アプリ16から送られてくるNGワード投稿ログを記録管理するためのデータベースを有している。データベースは、ユーザデータベース21及びNGワードログデータベース22を含む。
【0030】
ユーザデータベース21は、ユーザID211,パスワード212,ユーザ名213、一般ユーザか管理者ユーザかを区別するユーザ種別214、ユーザが属するグループを示すグループID215を含む。NGワードログデータベース22は、ユーザID221、NGワードの送信日時222、NGワードの送信先223、NGワードテキスト224、NGワードを送信したときのユーザ端末10のGPS位置情報225等を含む。またNGワードログデータベース22は、クライアント側のNGワードリスト16aと同期したNGワードマスターテーブル226を含む。NGワードログデータベース22は、ユーザ全体或いは個々のユーザのNGワードログの解析結果を統計情報として保有していてもよい。
【0031】
管理サーバ20は、ユーザ端末10からNGワードの投稿ログを受け取ったとき、当該ユーザと関連付けられた管理者端末30にその旨のレポートを通知することができる。このレポートはNGワードが発生するたびにリアルタイムで行ってもよく、或いは定期的にバッチ処理で行ってもよい。定期的に行う場合、例えば1回/日でもよく、1回/週でもよく、1回/月でもよい。
【0032】
管理者端末30は、上記のように、管理サーバ20から送られてくるNGワード投稿ログのレポートを受信する。また管理者端末30は、任意のタイミングで管理サーバ20にアクセスして特定のユーザのNGワード投稿ログを閲覧することができる。管理サーバ20にログインした管理者端末30のディスプレイは管理画面(ダッシュボード)が表示され、NGワード投稿ログを管理画面上で簡単に閲覧することができる。NGワード投稿ログは、管理者端末30の管理者ユーザに割り当てられた閲覧権限の範囲内で閲覧することができる。したがって、例えば、管理者端末30のユーザが学校の先生である場合には、担任する生徒すべてのNGワード投稿ログを閲覧することができる。また、管理者端末30のユーザが例えばある生徒の親である場合には、子供である特定の生徒のNGワード投稿ログだけを閲覧することができる。
【0033】
図4は、いじめ防止アプリ16の動作を説明するフローチャートである。また、図5は、いじめ防止アプリ16の動作の概略的な説明図である。
【0034】
図4及び図5に示すように、ユーザ端末10内のいじめ防止アプリ16は、ユーザ端末10のキー入力を常時スキャンしており、入力された文字をデータベース中のNGワードリスト16aと照合してNGワードの入力の有無を監視する(ステップS1、S2N)。特に、いじめ防止アプリ16は、キーボード入力時のローマ字の段階でNGワードリスト16aと照合してNGワードの入力の有無を監視する。
【0035】
いじめ防止アプリ16は、文字入力部105から文字(すなわち文字コード)が一文字ずつ入力される度に、直近のn文字の入力文字列を同じ文字数(n文字)のNGワードと照合する。NGワードの構成文字数はさまざまであり、構成文字数ごとに照合が行われる。例えば入力文字数が3文字に達すると、3文字構成のNGワード群との照合が行われ、4文字目が入力されると、3文字及び4文字構成のNGワード群との照合が行われる。さらに5文字目が入力されると、3文字、4文字及び5文字構成のNGワード群との照合が行われる。
【0036】
迅速にアラートを出してSNS等へのNGワードの投稿を防ぐため、本実施形態においては、単語が出来上がった段階でNGワードか否かをチェックするのではなく、キーボードにローマ字入力した時点でローマ字から日本語への文字変換後に予測される言葉をNGワードか否かをチェックしてアラートを発出する。ユーザは日本語に変換された段階で文字として目視で認識するためローマ字段階で変換後の文字を予測してNGワードとしてアラートを出せば変換後の文字を見るタイミングと同時にアラートを表示できる。これは、NGワードを投稿するようなユーザの多くは入力後に文面をよく確認せずすぐに投稿する傾向があるため、NGワードを単語として認識してからアラートを出す形式をとると、アラートの発出が間に合わないためである。
【0037】
ユーザ端末10の文字入力方式がローマ字入力の場合には上記のようにローマ字が入力された段階でNGワードをチェックするが、フリック入力方式等の仮名文字が直接入力される方式の場合には、ローマ字ではなく仮名文字が入力された段階、つまり漢字に変換される前にNGワードが否かをチェックしてアラートを発出する。いずれにしても、NGワードをできるだけ早期に検知してアラートを発出することにより、SNS等へのNGワードの投稿を防ぐことができる。
【0038】
キー入力モニタリングタイプの監視プログラムを用いてNGワードを監視する場合、アプリケーションプログラムから独立して動作するため、SNS用アプリケーションへの個別対応を行うプロセスが不要になり、様々なアプリケーションプログラムに対応可能である。しかし、NGワードを単語の状態で認識してからアラートを出す形式をとると、ユーザが文字入力後すぐに投稿ボタンを押してしまうような場合には、アラートが発出される前にメッセージが投稿されてしまう場合がある。しかし、本実施形態においては、ローマ字入力の時点でNGワードを認識するので、NGワードを早期に検知してユーザに注意を喚起することができ、NGワードの投稿や送信を未然に防止することができる。
【0039】
NGワードが検知されると、現在アクティブなアプリケーションプログラムに割り込む形でユーザ端末10のディスプレイはアラートダイアログが表示される(ステップS2Y、S3)。ここで、アラートダイアログには、例えば、「相手を傷つけるなどの問題となるキーワードが含まれています。それでも送りかすか?」といった警告メッセージが表示され、不適切な投稿に対する注意を喚起する。
【0040】
アラートの発出はNGワードを一語ではなく二語以上検知した時点でしてもよい。人を罵る場合、一語で完結する事は少なく、複数のNGワードで罵る傾向がある。親しい人同士のくだけた会話の中でNGワードが使用されることも珍しくない。このような事情を考慮して、最初のNGワードの検知から一定期間内に再び所定数のNGワードが検知された場合にのみアラートを発出する。このような動作により、アラートの過剰な発出を避けることができる。
【0041】
その後、ユーザが思い止まり、NGワード含むメッセージを「送信しない」ことを選択した場合には、アラートダイアログの表示が終了し、元のアプリケーションプログラムの動作状態に戻り、入力のやり直しが行われる(ステップS4Y、S6)。
【0042】
一方、ユーザがNGワードを「送信する」ことを選択した場合には、アラートダイアログの表示が終了し、元のアプリケーションプログラムの動作状態に戻り、メッセージの送信が実行(許可)される(ステップS4Y、S5、S6)。このとき、いじめ防止アプリ16は、NGワードの送信が行われたことを示すNGワード投稿ログを管理サーバ20に送信する(ステップS5)。NGワード投稿ログは、ユーザID221、送信日時222、送信先223、NGワードテキスト224、GPS位置情報225等のデータを含む。
【0043】
ユーザがNGワードを「送信する」ことを選択した場合に、同様のアラートをもう一度発出するようにしてもよい(ステップS3~S5)。アラートダイアログは同じ文面であってもよく、違う文面であってもよい。さらに再アラートの回数は、1回に限らず、複数回行ってもよい。これにより、NGワードの投稿を抑止する効果を高めることができる。
【0044】
アラートの回数や文面は、管理サーバ20に記録されている各ユーザのNGワード投稿ログに基づいてユーザごとに変更してもよい。すなわち、NGワードの投稿回数(総数)や投稿頻度(一定期間内の回数)が高いユーザに対しては、再アラートの回数を増やしたり、あるいはより強い文面で注意を喚起したりする。逆に、NGワードの投稿が一度もないユーザに対しては、アラート回数を1回だけとし、またアラートダイアログの文面もあまり強くない表現とする。このようにすることで、管理サーバ20内の蓄積データを生かした効率的な注意喚起を実施することができる。
【0045】
NGワード投稿ログを受信した管理サーバ20は、当該NGワード投稿ログをデータベースに記録する。その後、ユーザと関連付けられた特定のユーザに対してNGワードの送信が行われた旨のフラグを通知する。このフラグ通知は、様々な方法で行うことができる。例えば、予め登録された保護者や管理者のEメールアドレスに対してEメールで送信することができる。また、管理者端末30にインストールされた管理アプリに直接通知を行うことができる。すなわち、管理アプリのメッセージ機能を使用して通知することができる。
【0046】
管理者端末30を使用する管理者ユーザや保護者ユーザは、管理サーバ20にアクセスしてNGワード投稿ログを閲覧することができる。NGワード投稿ログの閲覧方法は特に限定されず、WebサイトからユーザIDとパスワードでログインして、NGワード投稿ログを閲覧できるようにしてもよく、或いは、管理アプリを通じて管理者モード又は保護者モードで管理サーバ20にアクセスして、NGワード投稿ログを閲覧できるようにしてもよい。
【0047】
上記のように、NGワード監視プログラムとしてのいじめ防止アプリ16は、他のアプリケーションプログラムの動作とは無関係にバックグラウンドで動作しており、NGワードが検知されて初めて他のアプリケーションプログラムの動作に割り込んで一時停止させるので、文字が入力されてから短時間のうちにNGワードを検知してアラートが発出されないと、アプリケーションプログラムを通じてNGワードを含むメッセージや投稿が送信されてしまうおそがある。しかし、本実施形態においては、ローマ字が入力された時点で変換後のNGワードを予測し、入力文字がNGワードか否かを短時間で判断してアラートを発出するので、アラートの発出が間に合わない事態を回避することができる。
【0048】
また、本実施形態によるいじめ防止アプリ16は、SNSサイトやブログサイトなど、自社でユーザの投稿を受け入れるサービスを提供している会社のシステムに組み込む形式のソフトウェアではなく、クライアント側で不適切投稿を防止する仕組みとなっており、コミュニティサイト50の種類や形式に依存せず、非常に汎用性の高いクライアントプログラムを実現できる。
【0049】
図6は、本実施形態によるいじめ防止システム1の使用例を説明する模式図である。
【0050】
図6に示すように、例えばある学生ユーザのプライベートでは、当該ユーザが家庭で使用するPC、タブレット端末、スマートフォン等のユーザ端末10にいじめ防止アプリ16がインストールされ、不適切な投稿の管理が行われる。ユーザ端末10にNGワードの入力があった場合にはアラートダイアログによる注意喚起が行われ、それでもSNS上に不適切な投稿が強行された場合には、NGワード投稿ログが管理サーバ20にアップロードされる。またユーザの保護者(父親・母親)のスマートフォン等の管理者端末30には、NGワード投稿ログが通知される。さらに、ユーザの保護者は、管理者端末30から管理サーバ20にアクセスしてNGワード投稿ログを確認することができる。
【0051】
また、学生ユーザが学校にいるときには、学校から提供されるノートPCやタブレット端末がユーザ端末10となり、当該ユーザ端末10内のいじめ防止アプリ16によって不適切な投稿の監視が行われる。ユーザ端末10にNGワードの入力があった場合にはアラートダイアログによる注意喚起が行われ、それでもグループウェアやSNS上に不適切な投稿が強行された場合には、NGワード投稿ログが管理サーバ20にアップロードされる。またユーザの管理者(教員)のノートPC等の管理者端末30には、NGワード投稿ログが通知される。さらに、ユーザの管理者は、管理者端末30から管理サーバ20にアクセスしてNGワード投稿ログを確認することができる。
【0052】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0053】
例えば、上記実施形態においては、ユーザ端末10、管理サーバ20及び管理者端末30がインターネット40を通じて相互に接続された構成を例に挙げたが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、例えば、LANやWANなどの限定された通信ネットワークを通じて相互に接続された構成でもよい。
【0054】
また、上記実施形態においては、未成年の学生を対象とした学校や家庭での用途を例に挙げたが、本発明はこれに限定されず、企業における営業活動やメール・チャットによるサポート対応において採用することも可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 いじめ防止システム
10 ユーザ端末
11 ウェブブラウザ
12 メールソフト
13 SNSアプリ
14 教育支援アプリ
15 グループウェア
16 いじめ防止アプリ
16a NGワードリスト
20 管理サーバ
21 ユーザデータベース
22 NGワードログデータベース
30 管理者端末
40 インターネット(通信ネットワーク)
50 コミュニティサイト
101 CPU
102 GPU
103 記憶部
104 ディスプレイ
105 文字入力部
106 スピーカー
107 マイク
108 GPSユニット
111 OS
112 デバイスドライバ
113 アプリケーションプログラム
211 ユーザID
212 パスワード
213 ユーザ名
214 ユーザ種別
215 グループID
221 ユーザID
222 送信日時
223 送信先
224 NGワードテキスト
225 GPS位置情報
226 NGワードマスターテーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6