(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104066
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】ウエットティッシュ収納容器の蓋およびウエットティッシュ収納容器
(51)【国際特許分類】
B65D 43/08 20060101AFI20240726BHJP
B65D 83/08 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
B65D43/08 210
B65D83/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008082
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鍔 孝太郎
【テーマコード(参考)】
3E014
3E084
【Fターム(参考)】
3E014LA09
3E084AA02
3E084AA06
3E084AA12
3E084AA15
3E084AA24
3E084AB10
3E084BA01
3E084CA01
3E084CA02
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DA02
3E084DB13
3E084DC03
3E084FA03
3E084FC02
3E084FC07
3E084GA08
3E084GB12
3E084LA18
3E084LB02
3E084LC02
3E084LD30
(57)【要約】
【課題】本発明の解決しようとする課題は、使用時には、不用意に蓋が外れてしまうことがなく、内容物を補充する際には、容易に取り外すことができる蓋、およびこれを用いたウエットティッシュ収納容器を提案するものである。
【解決手段】容器本体11の開口部12を覆う蓋1であって、平面部2と平面部の周縁から下方に延設されたスカート部3を有し、平面部は、中央部に内容物を取り出すための取り出し口4を有するとともに、取り出し口から外周に向かう方向に向かって延びる溝状の薄肉部5を有し、スカート部は、その先端部付近の内周に、容器本体の開口部に設けられた係合突起13に嵌合する嵌合突起6を有することを特徴とする蓋である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の開口部を覆う蓋であって、平面部と平面部の周縁から下方に延設されたスカート部を有し、
平面部は、中央部に内容物を取り出すための取り出し口を有するとともに、取り出し口から外周に向かう方向に向かって延びる溝状の薄肉部を有し、
スカート部は、その先端部付近の内周に、容器本体の開口部に設けられた係合突起に嵌合する嵌合突起を有することを特徴とする蓋。
【請求項2】
前記スカート部の、前記薄肉部の延長線上に位置する部分に、下方から切り欠いた切り欠き部を有することを特徴とする請求項1に記載の蓋。
【請求項3】
前記薄肉部を複数有することを特徴とする請求項1に記載の蓋。
【請求項4】
紙製の容器本体と、請求項1~3のいずれか1項に記載の蓋とを有し、
前記容器本体は、底を有する筒状の本体部と、開口部と、開口部よりも下方に設けられる前記嵌合突起と嵌合する係合突起と、を有することを特徴とするウエットティッシュ収納容器。
【請求項5】
容器本体の断面形状が、円形、楕円形、および角部に曲線部を有する多角形のいずれかであることを特徴とする請求項4に記載のウエットティッシュ収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエットティッシュを収納する容器の蓋、およびこれを用いたウエットティッシュ収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエットティッシュは、水を主成分とする液体を含侵した紙製や布製の原反を、防水性の容器に収納し、1枚づつ取り出せるようにしたものである。ウエットティッシュには、ロール状に巻いた原反に一定間隔に切れ目を入れた形態のものと、枚葉の原反を互い違いに折り重ねた形態のものとがある。
【0003】
また、内容物を使い切った時点で、容器を廃棄する形態のものと、内容物を補充して、容器を継続して使用する形態のものとがある。
【0004】
特許文献1に記載されたウエットティッシュ収納容器は、合成樹脂製の容器本体と、この容器本体にねじによって螺合する同じく合成樹脂製の蓋とから成るウエットティッシュ用収納容器である。
【0005】
近年、各種容器の合成樹脂を、より環境負荷の小さい紙に置換しようとする動きがある。
【0006】
ウエットティッシュ収納容器であれば、容器本体を紙製にした場合であっても蓋体は合成樹脂製とするのがウエットティッシュを引き出す際に剛性を保てるために有利であるが、この場合、本体と蓋体との嵌合方法を、特許文献1に記載された収納容器のように、ねじによる螺合形式にすることには困難が伴う。
【0007】
紙製の容器本体と合成樹脂製の蓋体を嵌合する方法としては、打栓構造が適している。打栓構造としては、蓋体の基部の内側に設けた嵌合突起を、容器本体の開口部の外側に設けた窪みに、蓋体の弾力性を利用して嵌め込む構造が一般的である。
【0008】
打栓構造としては、ガラス製のびんの口にプラスチック製の口栓を取り付けたものを多く見かけるが、びんの口に取り付けた口栓は、多くの場合口栓を破壊しない限り取り外すことができないものが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ウエットティッシュに代表的なように、内容物を補充して容器を再使用する場合には、蓋の着脱を容易にする必要があるが、通常の使用時には、不用意に蓋が外れてしまうことがなく、内容物を補充する際には、蓋を容易に取り外すことができるという、相反する特性が必要とされる。
【0011】
打栓構造において、しかも容器本体がガラスびんのように固いものではなく、紙製である場合には、この相反する性質を備えた蓋体を設計することは容易ではない。
本発明の解決しようとする課題は、使用時には、不用意に蓋が外れてしまうことがなく
、内容物を補充する際には、容易に取り外すことができる蓋、およびこれを用いたウエットティッシュ収納容器を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、容器本体の開口部を覆う蓋であって、平面部と平面部の周縁から下方に延設されたスカート部を有し、平面部は、中央部に内容物を取り出すための取り出し口を有するとともに、取り出し口から外周に向かう方向に向かって延びる溝状の薄肉部を有し、スカート部は、その先端部の内周に、容器本体の開口部に嵌合する嵌合突起を有することを特徴とする蓋である。
【0013】
本発明に係る蓋は、平面部に、取り出し口から放射状に延びる溝状の薄肉部を設けたことにより、平面部が取り出し口を中心にして上方に変形し易くなる。平面部が上方に変形すると、これに伴ってスカート部の嵌合突起が内側に向かって、すなわち蓋を外れ難くする方向に動くので、内容物を取り出す際には、自動的に蓋が外れ難くなる。
【0014】
また、本発明に係る蓋は、前記スカート部の、前記薄肉部の延長線上に位置する部分に、下方から切り欠いた切り欠き部を有していても良い。
【0015】
また、本発明に係る蓋は、前記薄肉部を複数有していても良い。
【0016】
また、本発明の他の側面は、紙製の容器本体と、上述の蓋とを有し、前記容器本体は、底を有する筒状の本体部と、開口部と、開口部よりも下方に設けられる前記嵌合突起と嵌合する係合突起と、を有するウエットティッシュ収納容器である。
【0017】
また、本発明に係るウエットティッシュ収納容器は、容器本体の断面形状が、円形、楕円形、および角部に曲線部を有する多角形のいずれかであっても良い。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る蓋は、平面部に、取り出し口から放射状に延びる溝状の薄肉部を設けたことにより、平面部が取り出し口を中心にして上方に変形し易くなった。平面部が上方に変形すると、これに伴ってスカート部の嵌合突起が蓋を外れ難くする方向に動くため、内容物を取り出す際に、蓋が不用意に外れることがない。
【0019】
この結果、蓋の嵌合突起と、容器本体の係合突起との係り代(
図3参照)を小さくすることができるため、内容物を補充する際などに蓋を容器本体から取り外す必要がある場合には、蓋を取り外し易くなった。
【0020】
蓋の、前記スカート部の、前記薄肉部の延長線上に位置する部分に、下方から切り欠いた切り欠き部を有する場合には、平面部の変形およびこれに伴うスカート部の変形がより円滑に生じ易くなる。
【0021】
蓋が、前記薄肉部を複数有する場合には、平面部の変形およびこれに伴うスカート部の変形がより生じ易くなる効果が期待できる。
【0022】
本発明に係る蓋は、打栓構造でありながら、蓋を取り外すことが容易に可能であるため、ねじ蓋を用いることができない紙製の容器本体に組み合わせて使用することができる。これにより、本体が紙製であって使い捨てでないウエットティッシュ収納容器を実現することができる。
【0023】
紙製の容器本体は、製函工程によって製造することが可能であるため、さまざまな断面
形状の製品を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明に係るウエットティッシュ収納容器の蓋の一実施態様を示した斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した蓋を用いたウエットティッシュ収納容器の斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る蓋の嵌合突起と容器本体の係合突起との係り代の断面斜視説明図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る蓋の動きを示した断面説明図である。
【
図5】
図5は、本発明に係る蓋の他の実施態様を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下図面を参照しながら、本発明に係るウエットティッシュ収納容器の蓋、およびウエットティッシュ収納容器について、詳細に説明する。
図1は、本発明に係るウエットティッシュ収納容器の蓋1の一実施態様を示した斜視図であり、蓋1を容器内面側から見た状態を示した図である。
図2は、
図1に示した蓋1を用いたウエットティッシュ収納容器10の斜視図である。
【0026】
本発明に係るウエットティッシュ収納容器の蓋1は、容器本体11の開口部12を覆う蓋であって、平面部2と平面部2の周縁から下方に延設されたスカート部3を有し、平面部2は、中央部に内容物20を取り出すための取り出し口4を有するとともに、取り出し口4から外周に向かう方向に向かって延びる溝状の薄肉部5を有し、スカート部3は、その先端部付近の内周に、容器本体11の開口部12に設けられた係合突起13に嵌合する嵌合突起6を有することを特徴とする。容器本体11は底を有する筒状の形状である。
【0027】
図1に示した例では、薄肉部5が2本設けられており、スカート部3の薄肉部5の延長線上に位置する部分の2箇所に、下方から切り欠いた切り欠き部7を有する。
【0028】
薄肉部5は、この例では蓋1の内面側の平面部2に溝状に設けられているが、外面側に設けても良い。
【0029】
薄肉部5は、取り出し口4から外周に向かって複数本設けても良い。
図5に示した例では、4本の薄肉部が設けられており、それぞれの延長線上のスカート部4箇所に切り欠き部7が設けられている。
【0030】
図6は、
図5に示した蓋1の側面模式図である。
図1、2に示された蓋と同様に、内容物であるウエットティッシュの乾燥を防ぐための外蓋が設けられている。
【0031】
図3は、本発明に係る蓋1の嵌合突起6と容器本体11の係合突起13との係り代8の断面斜視説明図である。また
図4は、本発明に係る蓋1の作用を示した断面説明図である。
【0032】
蓋1の嵌合突起6と容器本体11の係合突起13との係り代8は、通常の容器において
は、ぴったりと嵌合するように設計されるが、本発明に係るウエットティッシュ収納容器の蓋1においては、
図3に示したように、係り代8を少なく設定することができる。
【0033】
係り代8が少ないと、蓋1を容器本体11の開口部12から容易に外すことができる。しかし、一方で係り代8が少ないと、通常の場合、内容物を取り出す際に蓋が不用意に外れてしまう危険性がある。
【0034】
しかし本発明に係る蓋1においては、
図4に示したように、内容物であるウエットティッシュ20が引き出される際に、蓋1の平面部2が取り出し口4を中心に上方に引っ張られることにより変形し、この変形に伴ってスカート部3の嵌合突起6が内側に押し付けられる。
【0035】
スカート部3の嵌合突起6が内側に押し付けられるということは、すなわち蓋1が容器本体11から外れ難くなるということを意味している。
【0036】
以上の結果、本発明に係る蓋1は、ウエットティッシュを引き出す時には、蓋1は外れ難く、内容物を補充するために蓋を外す時には、蓋1が外し易いという相反する特性を発揮するのである。
【0037】
図1に示した例では、蓋1の平面部2には溝状の薄肉部5が2本設けられている。
図5に示した例では、溝状の薄肉部5が4本設けられている。このように薄肉部5は、複数本設けることができる。薄肉部5を複数本設けることにより、蓋1の平面部2の変形は、円滑に行われる。
【0038】
図1に示した例でも、
図5に示した例でも、蓋1のスカート部3の、薄肉部5の延長線上に位置する部分に、下方から切り欠いた切り欠き部7が設けられている。切り欠き部7が存在することにより、蓋1の平面部2の変形は、より円滑に行われる。
【0039】
図2に示した例では、容器本体11の断面形状は、角部に曲線部を有する多角形である。容器本体11の断面形状には、特に制約はなく、円形、楕円形等任意である。容器本体11が紙製であって、紙缶を作る方法によって製造される場合には、マンドレルに巻き付けて端部を接着する工程を伴うので、断面形状としては円形、楕円形、角部に曲線部を有する多角形が適している。
【0040】
容器本体11は、紙製である必要は必ずしもないが、紙製とすることで本発明の特徴を最大限に発揮させることができる。
【0041】
蓋1のスカート部先端付近の内側に設ける嵌合突起6に係合させるために、容器本体11の開口部外側に係合突起13が設けられている。係合突起13は、容器本体11の側面に凸条を形成しても良いし、容器本体11の上端を外側に巻締めて突起を形成しても良いし、開口部に別のプラスチック部品を嵌め込んで形成しても良い。外側に巻締められた上端の突起は、巻締められた後に上下方向に押しつぶされてフランジ状となっていても良い。
【0042】
蓋1に用いるプラスチック材料としては、各種合成樹脂を使用することができる。例を挙げれば、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリオレフィン系エラストマー等のポリオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂(PMMA)、エチレン-酢酸ビニル系共重合樹脂(EVA)、アイオノマー樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ナイロン-6、ナイロン-66等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂(PS)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリカーボネート樹脂(PC)等である。
【符号の説明】
【0043】
1・・・蓋
2・・・平面部
3・・・スカート部
4・・・取り出し口
5・・・薄肉部
6・・・嵌合突起
7・・・切り欠き部
8・・・係り代
10・・・ウエットティッシュ収納容器
11・・・容器本体
12・・・開口部
13・・・係合突起
20・・・内容物(ウエットティッシュ)