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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104068
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】医療デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/34 20060101AFI20240726BHJP
   A61M 25/04 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
A61B17/34
A61M25/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008087
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南 英里奈
(72)【発明者】
【氏名】伏屋 友希弘
(72)【発明者】
【氏名】細見 椋
(72)【発明者】
【氏名】栗田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】白石 竜也
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160FF45
4C160MM43
4C267AA16
4C267BB02
4C267BB20
4C267BB32
4C267BB38
4C267BB40
4C267CC20
4C267CC22
4C267HH07
4C267HH08
(57)【要約】
【課題】体腔内を円滑に進退することができると共に、処置する部位を確実に拡径することが可能な医療デバイスの提供を目的とする。
【解決手段】医療デバイス1は、先端から基端に向かって拡径するテーパ部111と、テーパ部111に隣接しかつ長軸方向に沿って延設された外径一定のストレート部112と、を有するコアシャフト11と、テーパ部111、またはテーパ部111およびストレート部112の外周面上に設けられ、長軸方向に沿って隣り合う部分に隙間sを有する螺旋状の凸部21と、を備えている医療デバイスであって、螺旋状の凸部21の外周を覆うようにカバー部材31が設けられ、カバー部材31とコアシャフト11との間に、気体gが介在している。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端から基端に向かって拡径するテーパ部と、前記テーパ部に隣接しかつ長軸方向に沿って延設された外径一定のストレート部と、を有するコアシャフトと、
前記テーパ部、または前記テーパ部および前記ストレート部の外周面上に設けられ、前記長軸方向に沿って隣り合う部分に隙間を有する螺旋状の凸部と、を備えている医療デバイスであって、
前記螺旋状の凸部の外周を覆うようにカバー部材が設けられ、
前記カバー部材と前記コアシャフトとの間に、気体が介在していることを特徴とする医療デバイス。
【請求項2】
前記カバー部材は、前記コアシャフトに固定されている請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記長軸方向における前記カバー部材の両端部は、前記コアシャフトに固着されている請求項2に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記カバー部材は、伸縮性を有するフィルム状の部材で形成されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
胃や肝臓などの臓器等の壁に開けた孔や、胆管や膵管などの体腔内の狭窄部等を拡張するための医療デバイスとして、例えば、ダイレータが知られている。
【0003】
このような医療デバイスはコアシャフトにテーパ部が設けられており、このテーパ部を孔に押し込むことで孔の拡張が行われる。その際、組織からの抵抗に抗しながらテーパ部が孔の中を確実に推進できるように、例えば、テーパ部およびこれに隣接するストレート部の外周面上に螺旋状の凸部を設けた医療デバイスが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このような医療デバイスによれば、コアシャフトを回転することで螺旋状の凸部によるスクリュー作用が発生するため、テーパ部を孔の中に確実に押し込みながら孔を拡張することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2014-524807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような従来の医療デバイスにおいては、その表面に螺旋状の凸部が常に露出している。このため、医療デバイスを処置する部位まで導いたり引く抜くときのデリバリーの際、螺旋状の凸部が接する組織との大きな接触抵抗により、医療デバイスの円滑な進退を妨げたり、組織が傷つく虞がある。
【0007】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、体腔内を円滑に進退することができると共に、処置する部位を確実に拡径することが可能な医療デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のいくつかの態様は、
(1)先端から基端に向かって拡径するテーパ部と、前記テーパ部に隣接しかつ長軸方向に沿って延設された外径一定のストレート部と、を有するコアシャフトと、
前記テーパ部、または前記テーパ部および前記ストレート部の外周面上に設けられ、前記長軸方向に沿って隣り合う部分に隙間を有する螺旋状の凸部と、を備えている医療デバイスであって、
前記螺旋状の凸部の外周を覆うようにカバー部材が設けられ、前記カバー部材と前記コアシャフトとの間に、気体が介在していることを特徴とする医療デバイス、
(2)前記カバー部材は、前記コアシャフトに固定されている前記(1)に記載の医療デバイス、
(3)前記長軸方向における前記カバー部材の両端部は、前記コアシャフトに固着されている前記(2)に記載の医療デバイス、並びに
(4)前記カバー部材は、伸縮性を有するフィルム状の部材で形成されている前記(1)から(3)のいずれか1項に記載の医療デバイス、である。
【0009】
なお、本明細書において、「長軸方向」とは、特に記載がない限り、医療デバイスの長軸方向を指す。また、「先端」とは、任意の部材または部位における先端側の端部、「基端」とは、任意の部材または部位における基端側の端部をそれぞれ示す。ただし、「先端側」とは、医療デバイスの長軸方向に沿う方向であって、医療デバイスが処置する部位(被拡径部)に向って進行する方向(遠位方向)を意味する。「基端側」とは、医療デバイスの長軸方向に沿う方向であって、先端側と反対の方向を意味する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、体腔内を円滑に進退することができると共に、処置する部位を確実に拡径することが可能な医療デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態を示す概略的側面図である。
図2図1のII-II線で切断した概略的断面図である。
図3A】第1の実施形態の使用時の一部を拡大して示す概略的断面図であって、医療デバイスをデリバリーする際の状態を示す図ある。
図3B】第1の実施形態の使用時の一部を拡大して示す概略的断面図であって、医療デバイスを回転して被拡張部を拡張する際の状態を示す図ある。
図4】第2の実施形態を示す概略的側面図である。
図5】第3の実施形態を示す概略的側面図である。
図6】変形例を示す概略的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、第1~第3の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、当該図面に記載の実施形態にのみ限定されるものではない。また、図面に示した各部の寸法は、実施内容の理解を容易にするために示した寸法であり、必ずしも実際の寸法に対応するものではない。
【0013】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態を示す概略的側面図である。図1に示すように、医療デバイス1は、概略的に、コアシャフト11と、螺旋状の凸部21と、カバー部材31と、把持部41とにより構成されている。医療デバイス1は、ダイレータである。
【0014】
コアシャフト11は、テーパ部とストレート部とを有する部材である。コアシャフト11は、具体的には、例えば、一体的に形成された中空形状のシャフトで構成することができる。テーパ部は、先端から基端に向かって拡径している。ストレート部は、テーパ部に隣接しかつ長軸方向に沿って延設され、一定の外径を有している。
【0015】
テーパ部とストレート部との長軸方向における位置関係(前後関係)は特に限定されない。例えば、医療デバイスの先端から、テーパ部、ストレート部の順で配置されていてもよく、ストレート部、テーパ部の順で配置されていてもよく、ストレート部、テーパ部、ストレート部の順で配置されていてもよい。
【0016】
本実施形態の医療デバイス1は、テーパ部111、ストレート部112の順で配置されたコアシャフト11が例示されている。テーパ部111は、先端から基端に向かって拡径している。ストレート部112は、テーパ部111の基端から基端側に向かって延設され。一定の外径を有している。ストレート部112の外径は、テーパ部111の基端の外径と同じ外径であり、テーパ部111の基端とストレート部112の先端とが連続するように形成されている。
【0017】
コアシャフト11は、中空形状の内腔11hを有していてもよい。内腔11hは、例えば、コアシャフト11の先端と基端との間を結ぶ連続した空間で構成することができる。内腔11hには、例えば、ガイドワイヤ(不図示)等を挿通することができる。
【0018】
螺旋状の凸部21は、テーパ部、またはテーパ部およびストレート部の外周面上に設けられた部位である。螺旋状の凸部21は、長軸方向に沿って隣り合う部分に隙間sを有している。螺旋状の凸部21は、具体的には、例えば、テーパ部やストレート部の外周面から半径方向外側に突出し、かつ長軸方向に連続または断続した一条または多条の突起部で構成することができる。本実施形態では、螺旋状の凸部21とコアシャフト11とが一体的に形成され、コアシャフト11のテーパ部111およびストレート112部上に螺旋状の凸部21が設けられている。
【0019】
コアシャフト11および螺旋状の凸部21を構成する材料は、体腔内に挿通されることから、抗血栓性、可撓性および生体適合性を有していることが好ましい。このような材料としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などの樹脂材料;ステンレス鋼、超弾性合金(ニッケル-チタン合金)などの金属材料等が挙げられる。
【0020】
カバー部材31は、螺旋状の凸部21の外周を覆うように設けられた部材である。カバー部材31は、具体的には、例えば、内部に螺旋状の凸部21の最外周が収まる程度の空間を有するチューブ状の部材で構成することができる。
【0021】
カバー部材31を形成する材料は、伸縮性(凹み易さ)があり、かつ抗血栓性および生体適合性を有していることが好ましい。このような材料としては、例えば、ポリウレタン樹脂,ポリエステル樹脂,フッ素樹脂等が挙げられる。
【0022】
また、カバー部材31は、伸縮性を有するフィルム状の部材で形成されてもよい。カバー部材31の伸縮性により、組織へ与える刺激をより緩和することができると共に、処置する部位を拡径する際は、螺旋状の凸部21の形状に沿って、カバー部材31の外周面31bに螺旋形状がより顕在化し、スクリュー作用により、処置する部位をより確実に拡径することができる。
【0023】
カバー部材31は、螺旋状の凸部21の外周を覆うように設けられていればよく、必ずしもコアシャフト11に固定されている必要はない。しかしながら、カバー部材31が螺旋状の凸部21の外周を安定的に覆うことができるように、カバー部材31は、コアシャフト11に固定されていてもよい。これにより、例えば医療デバイス1をデリバリーする際、カバー部材31がコアシャフト11に対して長軸方向にズレるのを防止することができる。
【0024】
本開示の医療デバイス1は、カバー部材31とコアシャフト11との間に、気体gが介在するように構成されている。このような態様としては、図2に示すように、例えば、半径方向における螺旋状の凸部21の先端(外周側の端部)とカバー部材31の内周面31aとが当接し、コアシャフト11と螺旋状の凸部21とカバー部材31とによって囲まれた空間(長軸方向に沿って隣り合う螺旋状の凸部21の隙間sの部位)に気体gが充填されている態様等が挙げられる。なお、カバー部材31とコアシャフト11との間に気体gが介在する限り、必ずしも螺旋状の凸部21の先端とカバー部材31の内周面31aとは当接していなくてもよい。
【0025】
長軸方向におけるカバー部材31の両端部は、気体gが外部に漏出しないように、コアシャフト11に固着されてもよい。この固着は、収縮力のみによってコアシャフト11に固定される形態でもよいし、接着剤を用いてもよいし、その他の形態でもよい。カバー部材31が固着されるコアシャフト11の部位は特に限定されない。本実施形態では、カバー部材31の先端部と、螺旋状の凸部21よりも先端側に位置するコアシャフト11のテーパ部111の外周とが固着部f11で固着されていると共に、カバー部材31の基端部と、螺旋状の凸部21よりも基端側に位置するコアシャフト11のストレート部112の外周とが固着部f12で固着されている。
【0026】
このように、カバー部材31の両端部がコアシャフト11に固着されていることで、充填されている気体gが圧縮する際の弾力性により、組織へ与える刺激を緩和することができる。
【0027】
上述した気体gは、組織に悪影響を及ぼさない限り特に限定されない。気体gとしては、例えば、窒素,アルゴンなどの不活性ガス等、及び空気が挙げられる。
【0028】
また、気体gの圧力は、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。気体gの圧力は、例えば、医療デバイス1をデリバリーする際、カバー部材31の外周面31bが平坦(螺旋状の凸部21の形状がカバー部材31の外周面31bに現れない程度の平坦性)となるような圧力であってもよい。
【0029】
把持部41は、手技者が医療デバイス1を体内に押し込んだり、回転操作を行ったりする部位である。この把持部41は、先端がコアシャフト11の基端に接続されており、コアシャフト11の内腔11hに連通する内腔41hを有している。把持部41の形状は、例えば、手技者が医療デバイス1を操作しやすい形状に形成することができる。
【0030】
上述した内腔11hおよび内腔41hによりルーメンLが形成される。ルーメンLには、例えば、ガイドワイヤなどが挿通される。
【0031】
次に、医療デバイス1の使用態様について説明する。ここでは、導入針(不図示)を用いて処置する部位(例えば、胃や肝臓等の臓器の壁など、以下、「被拡径部」ともいう)に孔を開けた後、この孔を医療デバイス1を用いて拡張する手技について例示する。
【0032】
まず、導入針を用いて被拡径部を穿刺して孔を開ける。次いで、導入針の内腔にガイドワイヤ(不図示)を挿入した後、導入針を抜き取る。
【0033】
次に、医療デバイス1を身体に挿入する。具体的には、ガイドワイヤの基端を医療デバイス1のルーメンLに差し入れる。次いで、把持部41を操作しながらガイドワイヤに沿って直線的に医療デバイス1の先端部を被拡径部の直前までデリバリーする。医療デバイス1がデリバリーされる際、コアシャフト11は回転してもよいし、回転しなくてもよい。回転する場合は、回転の方向は何れでもよい。この際、コアシャフト11は未だ孔に挿入されておらず、カバー部材31は孔の内壁から螺旋状の凸部21に向かって圧力を受けることがない。このため、図3Aに示すように、カバー部材31とコアシャフト11との間に介在している気体gの圧力により、カバー部材31は螺旋状の凸部21に押し付けられることはない。これにより、カバー部31材の外周面31bは略平坦な状態に維持され、医療デバイス1は組織からの抗力を抑制しながら直線的にデリバリーされる。
【0034】
次に、孔の拡張を行う。具体的には、コアシャフト11をその先端から被拡径部の孔に挿入する。次いで、把持部41を操作しながらコアシャフト11を回転させて医療デバイス1を押し進める。この際、カバー部材31は孔の内壁から螺旋状の凸部21に向かって圧力を受ける。このため、図3Bに示すように、カバー部材31とコアシャフト11との間に介在している気体gが圧縮されることで、カバー部材31の内周面31aが螺旋状の凸部21に押し付けられる。これにより、カバー部材31の外周面31bには螺旋状の凸部21による螺旋形状が顕在化し、この螺旋形状によるスクリュー作用によりテーパ部111が前進し、そのテーパ形状により孔の拡張が行われる。
【0035】
次に、孔を拡張した後、医療デバイス1を身体から抜去する。具体的には、把持部41を操作しながらコアシャフト11をガイドワイヤに沿って直線的に医療デバイス1を身体から引き抜く。この際、孔は既に拡張されているため、カバー部材31は組織の内壁から螺旋状の凸部21に向かって圧力を受けることがない。このため、図3Aに示すように、カバー部材31とコアシャフト11との間に介在している気体gの圧力によりカバー部材31の外周面31bは略平坦な状態に戻り、医療デバイス1は組織から大きな抗力を受けることなく抜去される。
【0036】
以上のように、医療デバイス1は、上述した構成であるので、医療デバイス1を処置する部位までデリバリーしたり引き抜いたりする際、接する組織からの抗力を小さくすることができ、体腔内を円滑に進退することができると共に、処置する部位を拡径する際は、カバー部材31が螺旋状の凸部21に押し付けられることでカバー部材31の外周面31bに顕在化した螺旋形状に伴うスクリュー作用により、処置する部位を確実に拡径することができる。
【0037】
[第2の実施形態]
図4は、第2の実施形態を示す概略的側面図である。図4に示すように、医療デバイス2は、概略的に、コアシャフト12と、螺旋状の凸部22と、カバー部材32と、把持部41とにより構成されている。医療デバイス2は、コアシャフト12、螺旋状の凸部22、およびカバー部材32の構成が第1の実施形態と異なっている。なお、把持部41の構成は、第1に実施形態と同様であるので、同一部位には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に示すコアシャフト12、螺旋状の凸部22、およびカバー部材32の構成以外の構成、並びに医療デバイス2の使用態様は、第1の実施形態と同様である。
【0038】
コアシャフト12は、テーパ部とストレート部とを有する部材である。テーパ部は、先端から基端に向かって拡径している。ストレート部は、テーパ部に隣接しかつ長軸方向に沿って延設され、一定の外径を有している。
【0039】
本実施形態の医療デバイス2は、先端から、ストレート部121、テーパ部122、ストレート部123の順で配置されたコアシャフト12が例示されている。
【0040】
ストレート部121は、テーパ部122の先端から先端側に向かって延設され、一定の外径を有している。ストレート部121の外径は、テーパ部122の先端の外径と同じ外径であり、ストレート部121の基端とテーパ部122の先端とが連続するように形成されている。テーパ部121は、先端から基端に向かって拡径している。ストレート部123は、テーパ部122の基端から基端側に向かって延設され、一定の外径を有している。ストレート部123の外径は、テーパ部122の基端の外径と同じ外径であり、テーパ部122の基端とストレート部123の先端とが連続するように形成されている。
【0041】
螺旋状の凸部22は、テーパ部、またはテーパ部およびストレート部の外周面上に設けられた部位である。螺旋状の凸部は、長軸方向に沿って隣り合う部分に隙間sを有している。本実施形態の螺旋状の凸部22は、ストレート部121、テーパ部122、およびストレート部123の外周面上に設けられている。
【0042】
カバー部材32は、螺旋状の凸部の外周を覆うように設けられた部材である。本実施形態では、ストレート部121、テーパ部122、およびストレート部123の外周面上に設けられた螺旋状の凸部22の外周を覆うように配置されている。また、長軸方向におけるカバー部材32の両端部が、それぞれ固着部f21,f22にてコアシャフト12の外周面に気密状態で固着され、カバー部材32とコアシャフト12との間に気体gが密封されている。
【0043】
以上のように、医療デバイス2は、上述した構成であるので、体腔内を円滑に進退することができると共に、処置する部位を確実に拡径することができる。また、本実施形態の医療デバイス2は、コアシャフト12がストレート部121を有しているので、テーパ部122により孔の拡張を行う前に、あらかじめストレート部121を孔に挿入することができ、テーパ部122による孔の拡張をより円滑に開始することができる。
【0044】
[第3の実施形態]
図5は、第3の実施形態を示す概略的側面図である。図5に示すように、医療デバイス3は、概略的に、コアシャフト13と、螺旋状の凸部23と、カバー部材31と、把持部41とにより構成されている。医療デバイス3は、コアシャフト13および螺旋状の凸部23の構成が第1の実施形態と異なっている。なお、カバー部材31および把持部41の構成は、第1に実施形態と同様であるので、同一部位には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に示すコアシャフト13および螺旋状の凸部23の構成以外の構成、並びに医療デバイス3の使用態様は、第1の実施形態と同様である。
【0045】
コアシャフト13は、テーパ部とストレート部とを有する部材である。テーパ部は、先端から基端に向かって拡径している。ストレート部は、テーパ部に隣接しかつ長軸方向に沿って延設され、一定の外径を有している。
【0046】
本実施形態のコアシャフト13は、テーパ部131とストレート部132とを有している。コアシャフト13は、一体的に形成された中空形状のシャフトで構成されている。
【0047】
螺旋状の凸部23は、テーパ部、またはテーパ部およびストレート部の外周面上に設けられた部位である。螺旋状の凸部23は、長軸方向に沿って隣り合う部分に隙間sを有している。
【0048】
本実施形態の螺旋状の凸部23は、素線23wをコアシャフト13の外周面に巻回したコイル体23Cで構成されている。コイル体23Cは、具体的には、例えば、1本または複数本の素線23wを用い、隣り合う素線23wどうしが離間するように螺旋状に巻回することで形成してもよい。
【0049】
コイル体23Cを構成する素線23wの材料としては、例えば、第1の実施形態において螺旋状の凸部21を構成する材料として例示した材料と同様の材料等が挙げられる。
【0050】
コイル体23Cとコアシャフト13との接合方法としては、例えば、コイル体23Cとコアシャフト13とを、ロウ材により蝋付けしたり、接着剤により接着したり、溶接する方法等が挙げられる。上記ロウ材としては、例えば、Sn-Pb合金、Pb-Ag合金、Sn-Ag合金、Au-Sn合金などの金属ロウ等が挙げられる。上記接着剤としては、例えば、エポキシ系接着剤、シアノアクリレート系接着剤等が挙げられる。
【0051】
本実施形態では、長軸方向におけるカバー部材31の両端部が、それぞれ固着部f31,f32にてコアシャフト13の外周面に固着されている。
【0052】
以上のように、医療デバイス3は、上述した構成であるので、体腔内を円滑に進退することができると共に、処置する部位を確実に拡径することができる。また、本実施形態の医療デバイス3は、螺旋状の凸部23がコイル体23Cで形成されている。このため、螺旋状の凸部23の柔軟性、ひいては医療デバイス3の柔軟性を高めることができると共に、トルク伝達性を向上することができる。また、螺旋状の凸部23がコイル体23Cで構成されているので、素線23wを用いて螺旋状の凸部23を容易に形成することができる。
【0053】
なお、本開示は、上述した実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。上述した実施形態の構成のうちの一部を削除したり、他の構成に置換したりしてもよく、上述した実施形態の構成に他の構成を追加等してもよい。
【0054】
例えば、上述した実施形態では、カバー部材31,32がコアシャフト11,12,13に固定されている医療デバイス1,2,3について説明した。しかしながら、カバー部材が螺旋状の凸部の外周を安定的に覆うことができれば、カバー部材はコアシャフトに固定されていなくてもよい。
【0055】
また、上述した実施形態では、カバー部材31,32の長軸方向における両端部が、それぞれコアシャフト11,12,13に固定されている医療デバイス1,2,3について説明した。しかしながら、カバー部材は、本発明の効果を損なわない限り、コアシャフトおよび/または螺旋状の凸部のいずれの部位に固定されていてもよい。
【0056】
また、上述した実施形態では、コアシャフト11,12,13が一体的に形成された医療デバイス1,2,3について説明した。しかしながら、図6に示すように、コアシャフト14は、素線14wをコアシャフト14の長軸周りへ螺旋状に巻回したコイル体14Cで構成されていてもよい。かかる場合、例えば、1本または複数本の素線14wを用い、隣り合う素線14wどうしの間から気体gが漏出しないように、コアシャフトのコイル体を樹脂層で覆うことが望ましい。コイル体14Cの外周面の形状を調整することでテーパ部141およびストレート部142を形成することができる。また、コイル体14Cの共通内接線(図6中、破線で図示)で囲まれた領域がコアシャフト14の内腔14hとなる。なお、コアシャフト14をコイル体14Cで形成する場合、第3の実施形態と同様に、螺旋状の凸部もコイル体で形成することができる。
【符号の説明】
【0057】
1,2,3 医療デバイス
11,12,13,14 コアシャフト
111,122,131,141 テーパ部
112,121,123,132,142 ストレート部
21,22,23、24 螺旋状の凸部
s 隙間
31,32 カバー部材
g 気体
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6