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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104069
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】転圧装置及び転圧方法
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/26 20060101AFI20240726BHJP
【FI】
E01C19/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008089
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】590002482
【氏名又は名称】株式会社NIPPO
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 雅嘉
(72)【発明者】
【氏名】丑久保 吾郎
【テーマコード(参考)】
2D052
【Fターム(参考)】
2D052AA03
2D052BB01
2D052BB05
(57)【要約】
【課題】湾曲面に舗設されたアスファルト混合物の締め固め精度を向上させる。
【解決手段】タイヤローラ100の前輪支持装置500は、車体200に中間部が搖動可能に固定されるとともに、搖動中心から第1の距離L1を隔てた位置に前輪300が支持された第1のリンク部材520と、搖動中心から第1の距離L1の半分である第2の距離L2を隔てた位置に中間部が固定されるとともに、搖動中心から第2の距離L2を隔てた位置に前輪300が夫々支持された第2のリンク部材540と、を有している。また、タイヤローラ100の後輪支持装置600は、車体200に中間部が固定された第3のリンク部材620と、車体200に対する第3のリンク部材620の固定点FPから第3の距離L3を隔てた位置に固定されるとともに、搖動中心から第4の距離L4を隔てた位置に後輪400が夫々支持された2つの第4のリンク部材640と、を有している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体の前部において左右方向に配置された3つの前輪と、
前記車体の後部において左右方向に配置された4つの後輪と、
前記車体に対して前記3つの前輪を支持する前輪支持装置と、
前記車体に対して前記4つの後輪を支持する後輪支持装置と、
を有する転圧装置であって、
前記前輪支持装置は、前後方向に延びる第1の搖動軸の周りに搖動可能なように前記車体に中間部が固定されるとともに、前記第1の搖動軸から左右方向の一方に第1の距離を隔てた位置に前記前輪が支持された第1のリンク部材と、前後方向に延びる第2の搖動軸の周りに揺動可能なように前記第1のリンク部材の前記第1の搖動軸から左右方向の他方に前記第1の距離の半分である第2の距離を隔てた位置に中間部が固定されるとともに、前記第2の搖動軸から左右方向の両側に前記第2の距離を隔てた位置に前記前輪が夫々支持された第2のリンク部材と、を有し、
前記後輪支持装置は、前記車体に中間部が固定された第3のリンク部材と、前後方向に延びる第3の搖動軸の周りに揺動可能なように前記車体に対する前記第3のリンク部材の固定点から左右方向の両側に第3の距離を隔てた位置に中間部が固定されるとともに、前記第3の搖動軸から左右方向の両側に第4の距離を隔てた位置に前記後輪が夫々支持された2つの第4のリンク部材と、を有する、
転圧装置。
【請求項2】
前記第1の搖動軸及び前記車体に対する前記第3のリンク部材の固定点は、前記車体の左右方向の中央に位置する、
請求項1に記載の転圧装置。
【請求項3】
前記3つの前輪が等間隔で配置され、
前記第1のリンク部材の前記第1の距離が前記前輪の配置間隔、前記第1のリンク部材及び前記第2のリンク部材の前記第2の距離が前記前輪の配置間隔の1/2である、
請求項1に記載の転圧装置。
【請求項4】
前記4つの後輪が等間隔で配置され、
前記第3のリンク部材の前記第3の距離が前記後輪の配置間隔であり、
前記第4のリンク部材の前記第4の距離が前記後輪の配置間隔の1/2である、
請求項1に記載の転圧装置。
【請求項5】
前記3つの前輪のうち左右方向の最外方に配置された2つの前輪は、前後方向に延びる第4の搖動軸の周りに揺動可能なように前記第1のリンク部材及び前記第2のリンク部材に夫々支持された、
請求項1に記載の転圧装置。
【請求項6】
前記4つの後輪は、前後方向に延びる第5の搖動軸の周りに搖動可能なように前記第4のリンク部材に夫々支持された、
請求項1に記載の転圧装置。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1つに記載の転圧装置を使用し、前記車体をウェイトとして機能させて前記前輪支持装置の前記第1のリンク部材及び前記第2のリンク部材、並びに前記後輪支持装置の前記第4のリンク部材を夫々搖動させ、前記前輪及び前記後輪を湾曲する法面に倣って変位させた状態で、前記湾曲する法面に舗設されたアスファルト混合物を締め固める、転圧方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルト混合物を締め固める転圧装置及び転圧方法に関する。
【背景技術】
【0002】
路盤上に舗設されたアスファルト混合物を締め固めるタイヤローラは、一般的に、特開2022-76577号公報(特許文献1)に記載されているように、左右方向に配置された3つの前輪と、左右方向に配置された4つの後輪を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-76577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動車テストコースなどの傾斜面は、その下部から上部に向かうにつれて徐々に斜度が大きくなる、湾曲した法面(湾曲面)となることが多い。一般的なタイヤローラを使用して湾曲面に舗設されたアスファルト混合物を締め固めると、前輪及び後輪の下面と湾曲面とが一致しないことから、アスファルト混合物の締め固め精度が低下するおそれがある。このため、タイヤローラの前輪及び後輪を傾斜させて湾曲面に一致させることが考えられるが、特に、3つの前輪のそれぞれに作用する転圧荷重が必ずしも均等にならないことから、湾曲面に舗設されたアスファルト混合物の締め固め精度の更なる向上が困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、複数の前輪及び後輪に作用する転圧荷重を均等化して、湾曲面に舗設されたアスファルト混合物の締め固め精度を向上させることができる、転圧装置及び転圧方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
転圧装置は、車体と、車体の前部において左右方向に配置された3つの前輪と、車体の後部において左右方向に配置された4つの後輪と、車体に対して3つの前輪を支持する前輪支持装置と、車体に対して4つの後輪を支持する後輪支持装置と、を有している。前輪支持装置は、前後方向に延びる第1の搖動軸の周りに搖動可能なように車体に中間部が固定されるとともに、第1の搖動軸から左右方向の一方に第1の距離を隔てた位置に前輪が支持された第1のリンク部材と、前後方向に延びる第2の搖動軸の周りに揺動可能なように第1のリンク部材の第1の搖動軸から左右方向の他方に第1の距離の半分である第2の距離を隔てた位置に中間部が固定されるとともに、第2の搖動軸から左右方向の両側に第2の距離を隔てた位置に前輪が夫々支持された第2のリンク部材と、を有している。また、後輪支持装置は、車体に中間部が固定された第3のリンク部材と、前後方向に延びる第3の搖動軸の周りに揺動可能なように車体に対する第3のリンク部材の固定点から左右方向の両側に第3の距離を隔てた位置に中間部が固定されるとともに、第3の搖動軸から左右方向の両側に第4の距離を隔てた位置に後輪が夫々支持された2つの第4のリンク部材と、を有している。
【0007】
また、転圧方法では、このような転圧装置を使用し、車体をウェイトとして機能させて前輪支持装置の第1のリンク部材及び第2のリンク部材、並びに後輪支持装置の第4のリンク部材を夫々搖動させ、前輪及び後輪を湾曲する法面に倣って変位させた状態で、湾曲する法面に舗設されたアスファルト混合物を締め固める。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、転圧装置の複数の前輪及び後輪に作用する転圧荷重を均等化して、湾曲面に舗設されたアスファルト混合物の締め固め精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】タイヤローラの一例を示す側面図である。
図2】タイヤローラの一例を示す正面図である。
図3】タイヤローラの一例を示す背面図である。
図4】前輪支持装置の一例を示す平面図である。
図5】前輪支持装置の一例を示す正面図である。
図6】前輪支持装置により構成されるリンク機構の説明図である。
図7】前輪支持装置による作用の説明図である。
図8】後輪支持装置の一例を示す平面図である。
図9】後輪支持装置の一例を示す背面図である。
図10】後輪支持装置により構成されたリンク機構の説明図である。
図11】後輪支持装置による作用の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付された図面を参照し、本発明を実施するための実施形態について詳述する。
図1図3は、本実施形態で利用可能な転圧装置の一例として挙げることができる、アスファルト混合物を締め固めるタイヤローラ100の一例を示している。
【0011】
タイヤローラ100は、ディーゼルエンジンや電動モータなどの駆動装置が搭載されてウェイトとして機能可能な車体200と、車体200の前部において左右方向に等間隔で配置された3つの前輪300と、車体200の後部において左右方向に等間隔で配置された4つの後輪400と、車体200に対して3つの前輪300を操舵可能に支持する前輪支持装置500と、車体200に対して4つの後輪400を駆動可能に支持する後輪支持装置600と、を有している。ここで、前輪300及び後輪400としては、転圧作業により発生する騒音を抑制するために、例えば、空気入りのゴムタイヤを使用することができる。
【0012】
車体200に搭載された駆動装置は、油圧ポンプを駆動して作動流体となる油圧を発生させ、前輪300を操舵するための油圧アクチュエータ(図示せず)、及び後輪400を回転駆動させる油圧モータ(図示せず)に油圧を夫々供給する。車体200の上部の所定箇所には、タイヤローラ100を操作するための運転席220が取り付けられている。運転席220には、オペレータが着座するシート220Aと、操舵を行うためのステアリングホイール220Bと、ペダル、レバー、スイッチ及び計器などが取り付けられた操作盤220Cと、キャノピー220Dと、が配置されている。なお、図1図3に示すタイヤローラ100では、車体200の右側にのみ運転席220が取り付けられているが、車体200の左右両側に運転席220が取り付けられていてもよい。
【0013】
前輪支持装置500は、図4及び図5に示すように、前後方向に延びる第1の搖動軸SS1の周りに搖動可能なように車体200に中間部が固定された第1のリンク部材520と、前後方向に延びる第2の搖動軸SS2の周りに揺動可能なように中間部が固定された第2のリンク部材540と、を有している。第1のリンク部材520は、第1の搖動軸SS1から左右方向の一方に第1の距離L1を隔てた位置で前輪300を支持している。第2のリンク部材540は、第1のリンク部材520の第1の搖動軸SS1から左右方向の他方に第1の距離L1の半分である第2の距離L2を隔てた位置に中間部が搖動可能に固定されている。また、第2のリンク部材540は、第2の搖動軸SS2から左右方向の両側に第2の距離L2を隔てた位置で前輪300を夫々支持している。ここで、第1の搖動軸SS1は、車体200の左右方向の中央に位置していることが望ましい。
【0014】
具体的には、第1のリンク部材520は、車体200の一側方(図示の一例では右側方)において前輪300の直径を超えて前後方向に延びる縦部材522と、縦部材522の両端部から車体200の他側方(図示の一例では左側方)に向かって垂直かつ平行に延びるように配置された2つの横部材524と、が溶接などで一体化された平面視で略コ字状のフレームを有している。2つの横部材524の中間部は、第1の搖動軸SS1を介して、車体200のステアリングアーム240の先端部に対して所定角度範囲内で搖動可能に固定されている。
【0015】
第2のリンク部材540は、車体200の他側方、及び車体200の左右方向の中央に配置された前輪300の外方において前輪300の直径を超えて夫々前後方向に延びる2つの縦部材542と、2つの縦部材542の両端部を連結すべく左右方向に垂直かつ平行に延びる2つの横部材544と、が溶接などで一体化された平面視で略矩形状のフレームを有している。2つの横部材544の中間部は、第2の搖動軸SS2を介して、第1のリンク部材520の2つの横部材524に対して所定角度範囲内で搖動可能に固定されている。
【0016】
第1のリンク部材520において、第1の搖動軸SS1と縦部材522との間に位置する2つの横部材524であって、第1の搖動軸SS1から左右方向の一方に第1の距離L1を隔てた位置には、前後方向に延びる搖動軸SS(第4の搖動軸)の周りに所定角度範囲内で搖動可能なように、車体200の一側方に配置された前輪300が支持されている。即ち、この前輪300は、平面視で矩形形状の枠部材526に対して左右方向に延びる回転軸RSの周りに回転可能に取り付けられるとともに、枠部材526の前方及び後方に位置する部位は、搖動軸SSを介して第1のリンク部材520の2つの横部材524に夫々取り付けられている。従って、車体200の一側方に配置された前輪300は、第1のリンク部材520に対して、前後方向に延びる搖動軸SSの周りに更に揺動可能となっている。
【0017】
第2のリンク部材540において、2つの横部材544の第2の搖動軸SS2から左右方向の両側に第2の距離L2を隔てた2位置には、車体200の他側方及び中央に配置された2つの前輪300が支持されている。この2つの前輪300のうち、車体200の他側方に配置された前輪300は、車体200の一側方に配置された前輪300と同様に、平面視で矩形形状の枠部材546に対して左右方向に延びる回転軸RSの周りに回転可能に取り付けられるとともに、枠部材546の前方及び後方に位置する部位は、搖動軸SS(第4の搖動軸)を介して第2のリンク部材540の2つの横部材544に夫々取り付けられている。従って、車体200の他側方に配置された前輪300は、第2のリンク部材540に対して、前後方向に延びる搖動軸SSの周りに更に揺動可能となっている。
【0018】
ここで、3つの前輪300が等間隔で配置されているので、第1のリンク部材520の第1の距離L1が前輪300の配置間隔、第1のリンク部材520及び第2のリンク部材540の第2の距離L2が前輪300の配置間隔の1/2となる。
【0019】
従って、前輪支持装置500は、図6に示すように、車体200の左右方向の中央に対して前後方向に延びる第1の搖動軸SS1の周りに揺動可能な第1のリンク部材520と、第1のリンク部材520に対して前後方向に延びる第2の搖動軸SS2の周りに揺動可能な第2のリンク部材540と、を有するリンク機構としても表すことができる。この場合、第1のリンク部材520において第1の搖動軸SS1から右方へと第1の距離L1を隔てた位置、第2のリンク部材540において第2の搖動軸SS2から左右方向の両側へと第2の距離L2を隔てた2位置には、前輪300が夫々支持されている。
【0020】
そして、車体200から前輪支持装置500に荷重Wが作用すると、第1のリンク部材520において第1の距離L1と第2の距離L2との比が2:1であるため、モーメントの釣り合いから、右方に配置された前輪300には荷重1/3Wが作用し、第2のリンク部材540の第2の搖動軸SS2には荷重2/3Wが作用する。第2のリンク部材540の第2の搖動軸SS2に作用した荷重2/3Wは、第2のリンク部材540において第2の搖動軸SS2から等距離である第2の距離L2を隔てた位置で2つの前輪300を支持しているため、モーメントの釣り合いから、この2つの前輪300には荷重1/3Wが夫々作用する。このような理由から、3つの前輪300には均等な転圧荷重1/3Wが作用し、特定の前輪300に大きな荷重が作用することを回避することができる。そして、それぞれの前輪300に作用する転圧荷重の均等化によって、湾曲面に舗設されたアスファルト混合物の締め固め精度を向上させることができる。
【0021】
また、前輪支持装置500によって支持される3つの前輪300のうち、左右方向の最外方に配置された2つの前輪300は、枠部材526及び546を介して前後方向に延びる搖動軸SSの周りに揺動可能となっている。このため、図7に示すように、湾曲面CSに舗設されたアスファルト混合物を締め固めるとき、2つの前輪300が湾曲面CSから受ける垂直力によって更に搖動し、湾曲面CSと垂直になろうとする。従って、3つの前輪300の下面が湾曲面CSの形状に倣ったものとなり、ここに舗設されたアスファルト混合物の締め固め精度を更に向上させることができる。
【0022】
後輪支持装置600は、図8及び図9に示すように、車体200に中間部が固定された第3のリンク部材620と、前後方向に延びる第3の搖動軸SS3の周りに揺動可能なように中間部が固定された2つの第4のリンク部材640と、を有している。2つの第4のリンク部材640は、車体200に対する第3のリンク部材620の固定点FPから左右方向の両側に第3の距離L3を隔てた位置に中間部が搖動可能に夫々固定されている。また、それぞれの第4のリンク部材640は、第3の搖動軸SS3から左右方向の両側に第4の距離L4を隔てた位置で後輪400を夫々支持している。ここで、車体200に対する第3のリンク部材620の固定点FPは、車体200の左右方向の中央に位置していることが望ましい。
【0023】
具体的には、第3のリンク部材620は、4つの後輪400のうち左右方向の最外方に配置された2つの後輪400の外方において後輪400の直径を超えて前後方向かつ平行に延びる2つの縦部材622と、2つの縦部材622の両端部を左右方向かつ平行に延びて連結する2つの横部材624と、が溶接などで一体化された平面視で矩形状のフレームを有している。2つの横部材624の中間部、望ましくは、中央部は、車体200の後部の所定箇所から垂下するブラケットBK1に対して一体的に固定されている。
【0024】
それぞれの第4のリンク部材640は、車体200の右側又は左側に配置された2つの後輪400のうち左右方向の最外方に配置された後輪400の外方において後輪400の直径を超えて前後方向に延びる縦部材642と、縦部材642の両端部から反対側に向かって垂直かつ平行に延びる部位を持つ2つの横部材644と、が溶接などで一体化された平面視で略コ字状のフレームを有している。それぞれの横部材644の中間部は、第3の搖動軸SS3を介して、第3のリンク部材620の2つの横部材644の所定箇所から垂下するブラケットBK2に対して所定角度範囲内で搖動可能に固定されている。
【0025】
第4のリンク部材640の2つの横部材644の中間部は、第3の搖動軸SS3を介して、車体200に対する第3のリンク部材620の固定点FPから左右方向の両側に第3の距離L3を隔てた2位置に揺動可能に夫々固定されている。また、それぞれの第4のリンク部材640において、第3の搖動軸SS3から左右方向の両側に第4の距離L4を隔てた2位置には、前後後方に延びる搖動軸SS(第5の搖動軸)の周りに所定角度範囲内で搖動可能なように、車体200の右側又は左側に配置された2つの後輪400が支持されている。即ち、これらの後輪400は、平面視で矩形状の枠部材646に対して左右方向に延びる回転軸RSの周りに回転可能に取り付けられるとともに、枠部材646の前方及び後方に位置する部位は、搖動軸SSを介して第4のリンク部材640の2つの横部材644に夫々取り付けられている。従って、4つの後輪400は、第4のリンク部材640に対して、前後方向に延びる搖動軸SSの周りに更に搖動可能となっている。
【0026】
ここで、4つの後輪400が等間隔で配置されているので、第3のリンク部材620の第3の距離L3が後輪400の配置間隔、第4のリンク部材640の第4の距離L4が後輪400の配置間隔の1/2となる。
【0027】
従って、後輪支持装置600は、図10に示すように、車体200の左右方向の中央に対して一体的に固定された第3のリンク部材620と、第3のリンク部材620に対して前後方向に延びる第3の搖動軸SS3の周りに揺動可能な2つの第4のリンク部材640と、を有するリンク機構としても表すことができる。この場合、2つの第4のリンク部材640は、第3のリンク部材620に対する搖動点である第3の搖動軸SS3から左右方向に第4の距離L4を隔てた2位置で後輪400を夫々支持している。
【0028】
そして、車体200から後輪支持装置600に荷重Wが作用すると、第3のリンク部材620において車体200に対する第3のリンク部材620の固定点FPから等距離である第3の距離L3を隔てた2位置で2つの第4のリンク部材640を支持しているため、この2つの第4のリンク部材640には荷重1/2Wが夫々作用する。また、第4のリンク部材640に荷重1/2Wが作用すると、第4のリンク部材640において第3の搖動軸SS3から等距離である第4の距離L4を隔てた2位置で後輪400を支持しているため、モーメントの釣り合いから、それぞれの後輪400には荷重1/4Wが夫々作用する。このような理由から、4つの後輪400には均等な転圧荷重1/4Wが作用し、特定の後輪400に大きな荷重が作用することを回避することができる。そして、それぞれの後輪400に作用する転圧荷重の均等化によって、湾曲面に舗設されたアスファルト混合物の締め固め精度を向上させることができる。
【0029】
また、後輪支持装置600によって支持される4つの後輪400は、枠部材646を介して前後方向に延びる搖動軸SSの周りに揺動可能となっている。このため、図11に示すように、湾曲面CSに舗設されたアスファルト混合物を締め固めるとき、4つの後輪400が湾曲面CSから受ける垂直力によって更に搖動し、湾曲面CSと垂直になろうとする。従って、4つの後輪400の下面が湾曲面CSの形状に倣ったものとなり、ここに舗設されたアスファルト混合物の締め固め精度を更に向上させることができる。
【0030】
次に、このようなタイヤローラ100を使用して、湾曲面CSに舗設されたアスファルト混合物を締め固める転圧方法について説明する。なお、湾曲面CSの上を走行するタイヤローラ100は、重力によって下方へとずり落ちる可能性があるため、安全性を確保すべく従来技術と同様に、湾曲面CSの上部に配置された支持台車から延びるワイヤロープで支持される。このようにすれば、ワイヤロープによって湾曲面CSに沿った力が支持されるため、タイヤローラ100は、湾曲面CSに垂直な方向にのみ均等な荷重を作用させることができる。
【0031】
そして、タイヤローラ100は、オペレータの操作に応じて、例えば、自動車テストコースなどの湾曲面CSに舗設されたアスファルト混合物の上を走行する。このとき、車体200をウェイトとして機能させて、前輪支持装置500の第1のリンク部材520及び第2のリンク部材540、並びに後輪支持装置600の第4のリンク部材640を夫々搖動させる。すると、図7及び図11に示すように、前輪300及び後輪400が湾曲面CSに倣って変位し、これらの下面が湾曲面CSに倣った姿勢となる。このような状態でタイヤローラ100を走行させると、前輪300及び後輪400の下面が湾曲面CSに倣った姿勢となっていることから、例えば、特定の前輪300又は後輪400の下面が湾曲面CSの断面形状から乖離したものとならず、アスファルト混合物の締め固め精度を向上させることができる。
【0032】
以上説明したタイヤローラ100は、あくまで本発明を実施するための一実施形態にすぎず、本発明はこのタイヤローラ100に限定されると解釈すべきではない。従って、上記の実施形態から容易に想起されるタイヤローラなどの転圧装置は、本発明に含まれることが容易に理解できるであろう。
【0033】
なお、当業者であれば、様々な上記実施形態の技術的思想について、その一部を省略したり、その一部を適宜組み合わせたり、その一部を周知技術に置き換えたりすることで、新たな実施形態を生み出せることを容易に理解できるであろう。
【符号の説明】
【0034】
100 タイヤローラ(転圧装置)
200 車体
300 前輪
400 後輪
500 前輪支持装置
520 第1のリンク部材
526 枠部材
540 第2のリンク部材
546 枠部材
600 後輪支持装置
620 第3のリンク部材
640 第4のリンク部材
646 枠部材
CS 湾曲面(湾曲する法面)
FP 固定点
L1 第1の距離
L2 第2の距離
L3 第3の距離
L4 第4の距離
SS 搖動軸(第4の搖動軸、第5の搖動軸)
SS1 第1の搖動軸
SS2 第2の搖動軸
SS3 第3の搖動軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11