(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010407
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】粉体用量計量システム
(51)【国際特許分類】
G01F 13/00 20060101AFI20240117BHJP
B65B 1/36 20060101ALI20240117BHJP
G01N 35/10 20060101ALI20240117BHJP
G01F 11/40 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
G01F13/00 341Z
B65B1/36
G01N35/10 Z
G01F11/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111729
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】392017705
【氏名又は名称】アラインテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】隅田 章
(72)【発明者】
【氏名】田中 克弘
(72)【発明者】
【氏名】毛利 隼人
【テーマコード(参考)】
2G058
3E118
【Fターム(参考)】
2G058EA16
2G058GB10
3E118AA01
3E118AB03
3E118BB13
3E118DA05
(57)【要約】
【課題】粉体用量の計量や排出に必要な駆動モジュールの駆動軸を水平方向に設けると共に、駆動モジュールと粉体計量モジュールの着脱を水平方向から行い、粉体計量モジュールの位置決めを駆動軸で行うことによって、粉体計量モジュールの駆動モジュールへの装着の精度と粉体計量モジュールの駆動軸との符合の精度を同時に向上させることができる粉体用量計量システムを提供する。
【解決手段】粉体用量計量システムは、粉体計量モジュール1と駆動モジュール2を備え、粉体計量モジュール1は水平に設けられた駆動モジュール2のドラム駆動軸16と、このドラム駆動軸16と水平かつ平行に備えられる凸型連結具7とによって接続され、ノッカー14及びシャッター10を駆動するシャッタープッシャー18もそれぞれ水平かつドラム駆動軸16と平行に設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体計量モジュールとこの粉体計量モジュールを駆動させる駆動モジュールとを備える粉体用量計量システムであって、
前記粉体計量モジュールは、粉体を収容する容器を支持する容器支持具と、前記粉体の用量を計量する用量計量装置と、計量された前記用量を供給する粉体供給案内管と、計量された前記用量の供給を制御する用量供給制御装置とを備え、
前記駆動モジュールは、第1の駆動軸を備えて前記用量計量装置を前記第1の駆動軸を介して駆動させる第1の駆動源と、第2の駆動軸を備えて前記用量供給制御装置を前記第2の駆動軸を介して駆動させる第2の駆動源とを備え、
前記粉体計量モジュールと前記駆動モジュールは凸型連結具又はこの凸型連結部に嵌合する凹型連結具をそれぞれ備えて着脱可能に構成され、前記第1の駆動軸と前記第2の駆動軸と前記凸型連結具は互いに平行かつ水平に形成されることを特徴とする粉体用量計量システム。
【請求項2】
前記粉体計量モジュールは、その内部での前記粉体の滞留を抑制する滞留抑制装置を備え、前記駆動モジュールは、第3の駆動軸を備えて前記滞留抑制装置を前記第3の駆動軸を介して駆動させる第3の駆動源を備えることを特徴とする請求項1記載の粉体用量計量システム。
【請求項3】
前記滞留抑制装置は、前記用量計量装置の上流側に配置される撹拌具と、この撹拌具を固定する前記容器支持具とを備え、前記容器支持具は、上方に向けて拡径するテーパー部を備え前記第3の駆動軸による打撃を前記テーパー部で受けて上下動することを特徴とする請求項2記載の粉体用量計量システム。
【請求項4】
前記用量計量装置は、所望に定めた容量の凹部を周面に配置する計量ドラムを備え、前記計量ドラムは、前記第1の駆動軸と結合して回動可能であり、前記容器から供給される前記粉体を前記凹部に収容し、収容された前記粉体を連続的に前記粉体供給案内管に排出して前記粉体の前記用量を計量することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の粉体用量計量システム。
【請求項5】
前記計量ドラムは、前記凹部から前記粉体が前記粉体計量モジュール内に漏洩しないように前記周面の端部にシールを備え、
前記第1の駆動軸は前記シールの端面に加圧気体を供給可能に中空の気体流路を備え、
前記シールは前記加圧気体によって押圧されることを特徴とする請求項4記載の粉体用量計量システム。
【請求項6】
前記用量計量装置は、所望に定めた間隔で螺旋状に形成されるスクリュー羽根を周面に配置するスクリュー計量ドラムを備え、前記スクリュー計量ドラムは、前記第1の駆動軸と結合して回動可能であり、前記容器から供給される前記粉体を前記スクリュー羽根間に収容し、収容された前記粉体を連続的に前記粉体供給案内管に排出して前記粉体の前記用量を計量することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の粉体用量計量システム。
【請求項7】
前記用量供給制御装置は、前記粉体供給案内管内で前記粉体の流路を塞ぐシャッターを備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の粉体用量計量システム。
【請求項8】
把持ハンドを備えたロボットアームを有し、前記ロボットアームは予め前記駆動モジュールの前記第1の駆動軸の位置データを備え、前記把持ハンドで把持した前記粉体計量モジュールを前記位置データを基に前記駆動モジュールに水平に着脱することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の粉体用量計量システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体用量を計量する粉体計量モジュールを、これを装着する駆動モジュールとの間で容易に交換可能としながら、粉体用量の計量を正確にする粉体用量計量システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品や化学品の研究や事業分野では、様々な粉体試料の調合が必要となる場合が多く、その計量精度も高いことが要求されることから、人手によるよりも装置を用いて自動化することが一般的である。例えば、特許文献1では、「衝撃デバイスを備えた粉体計量装置」という名称で、操作アーム3に把持された計量デバイス4の下方から衝撃デバイス11を用いて衝撃を加え、計量デバイス4に突然の上向きの加速及び動きを引き起こし、それによって粉体内に下向きの慣性力を発生させ、計量デバイス4の内部で粉体を排出口の方へ押す下向きの力を働かせて粉体の自由な流れを促進することができる粉体計量装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2では、「叩打機構を備えた計量-分配装置」という名称で、計量分配ユニット110を収容装置130に装着し、振り子のように枢動可能に懸垂されている保持装置120を備えた計量-分配装置100が開示されている。供給源容器111を上部に備える計量-分配ヘッド112の下端の排出穴から粉末状分配物質が目標容器190内に排出される。また、駆動装置150からは垂直に駆動軸151が計量-分配ヘッド112に挿入され撹拌機構の軸に結合されている。
【0004】
さらに、特許文献3では、「計量-分配プロセスを最適化する方法及び計量-分配装置」という名称で、駆動装置150へ着脱可能な計量ユニット105を備えて、駆動装置150の駆動軸156を介して閉塞軸132を回転させて貯蔵容器110内の粉末又はペースト状の物質を計量分配する発明が開示されている。計量ユニット105は操作装置300の操作アーム301によって水平方向から駆動装置150に装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2010-518365号公報
【特許文献2】特開2008-197095号公報
【特許文献3】特開2008-175817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1-3に開示される発明ではいずれも着脱可能な計量デバイスは水平方向から駆動装置に装着されるものの、計量デバイス内の粉体やペースト状の物質の排出は鉛直方向に設けられた駆動軸の回転によるものであり、計量デバイスの装着の精度と物質の排出のための駆動軸との符合の精度の両方を高めなければ計量装置が機能せず、また、粉体やペースト状の物質の計量の精度にも悪影響を及ぼすという課題や試料が複数存在していて計量デバイスを複数種類着脱する必要がある場合等には交換が煩雑で要する時間が多大となるという課題があった。
また、衝撃デバイスや叩打機構によれば、確かに粉体等の自由な流れを形成させる効果はあるものの、衝撃や叩打だけでは計量デバイス内での粉体によるいわゆるブリッジ等の空洞の形成を完全に解消させることができないという課題もあった。
さらに、計量デバイスでの粉体等の計量においても、液体とは異なり粘性に欠けて分散しやすく、その漏洩によって計量自体の精度も向上させることが難しいという課題もあった。
【0007】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、粉体用量の計量や排出制御に必要な駆動モジュールの駆動軸を水平方向に設けると共に、駆動モジュールと粉体計量モジュールの着脱を水平方向から行い、粉体計量モジュールの位置決めを駆動軸で行うことによって、粉体計量モジュールの駆動モジュールへの装着の容易性と、粉体計量モジュールと駆動モジュールの駆動軸との符合の精度を同時に向上させることができる粉体用量計量システムを提供することを目的としている。
また、衝撃デバイスのみならず、撹拌具を備えることで粉体計量モジュール内での粉体のブリッジ破壊を効率的に行うことが可能な粉体用量計量システムを提供することも目的としている。
さらに、粉体計量モジュールにおける粉体の用量計量の精度を向上させることが可能な粉体用量計量システムを提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、第1の発明である粉体用量計量システムは、粉体計量モジュールとこの粉体計量モジュールを駆動させる駆動モジュールとを備える粉体用量計量システムであって、前記粉体計量モジュールは、粉体を収容する容器を支持する容器支持具と、前記粉体の用量を計量する用量計量装置と、計量された前記用量を供給する粉体供給案内管と、計量された前記用量の供給を制御する用量供給制御装置とを備え、前記駆動モジュールは、第1の駆動軸を備えて前記用量計量装置を前記第1の駆動軸を介して駆動させる第1の駆動源と、第2の駆動軸を備えて前記用量供給制御装置を前記第2の駆動軸を介して駆動させる第2の駆動源とを備え、前記粉体計量モジュールと前記駆動モジュールは凸型連結具又はこの凸型連結部に嵌合する凹型連結具をそれぞれ備えて着脱可能に構成され、前記第1の駆動軸と前記第2の駆動軸と前記凸型連結具は互いに平行かつ水平に形成されることを特徴とするものである。
上記構成の粉体用量計量システムでは、粉体計量モジュールと駆動モジュールに分けて、駆動源とそれに接続される駆動軸をすべて駆動モジュール内に備えるため、粉体計量モジュールは駆動源とそれに接続される駆動軸を備えることなく、粉体を計量するように作用する。また、駆動モジュールが1台あれば複数の粉体計量モジュールを交換することで、それぞれの粉体計量モジュールを用いて異なる粉体用量を計量することが可能である。
また、粉体計量モジュールと駆動モジュールを連結させる凸型連結具と用量計量装置を駆動させる第1の駆動軸が平行かつ水平に形成されるため、粉体計量モジュールと駆動モジュールの着脱と用量計量装置と駆動軸の符合を同時に行うように作用する。
また、第2の駆動軸は第1の駆動軸と平行かつ水平であることから、第1の駆動軸の位置決めがなされれば、第2の駆動軸の位置決めもなされるように作用する。
【0009】
また、第2の発明である粉体用量計量システムは、第1の発明において、前記粉体計量モジュールは、その内部での前記粉体の滞留を抑制する滞留抑制装置を備え、前記駆動モジュールは、第3の駆動軸を備えて前記滞留抑制装置を前記第3の駆動軸を介して駆動させる第3の駆動源を備えることを特徴とするものである。
上記構成の粉体用量計量システムでは、滞留抑制装置が第3の駆動源によって駆動される第3の駆動軸を介して駆動され、粉体計量モジュール内部での粉体の滞留を抑制するように作用する。
【0010】
そして、第3の発明である粉体用量計量システムは、第2の発明において、前記滞留抑制装置は、前記用量計量装置の上流側に配置される撹拌具と、この撹拌具を固定する前記容器支持具とを備え、前記容器支持具は、上方に向けて拡径するテーパー部を備え前記第3の駆動軸による打撃を前記テーパー部で受けて上下動することを特徴とすることを特徴とするものである。
上記構成の粉体用量計量システムでは、容器支持具に固定された撹拌具が第3の駆動軸によってテーパー部に打撃を受けた容器支持具の上下動によって動き、ブリッジ等の空洞を破壊して粉体の滞留を抑制するように作用する。
【0011】
さらに、第4の発明である粉体用量計量システムは、第1又は第2の発明において、前記用量計量装置は、所望に定めた容量の凹部を周面に配置する計量ドラムを備え、前記計量ドラムは、前記第1の駆動軸と結合して回動可能であり、前記容器から供給される前記粉体を前記凹部に収容し、収容された前記粉体を連続的に前記粉体供給案内管に排出して前記粉体の前記用量を計量することを特徴とするものである。
上記構成の粉体用量計量システムでは、容量が明らかな計量ドラムの凹部に粉体を収容し、回動しながら連続的に収容された粉体を粉体供給案内管に排出することで、粉体用量を計量するように作用する。
【0012】
第5の発明である粉体用量計量システムは、第4の発明において、前記計量ドラムは、前記凹部から前記粉体が前記粉体計量モジュール内に漏洩しないように前記周面の端部にシールを備え、前記第1の駆動軸は前記シールの端面に加圧気体を供給可能に中空の気体流路を備え、前記シールは前記加圧気体によって押圧されることを特徴とするものである。
上記構成の粉体用量計量システムでは、シールを計量ドラムの周面の端部に備え、さらに、そのシールの端面に加圧気体を供給してシールを押圧するように作用させる。したがって、シールは計量ドラムの周面に形成された凹部から粉体が粉体計量モジュール内での漏洩を抑制するように作用する。
【0013】
第6の発明である粉体用量計量システムは、第1又は第2の発明において、前記用量計量装置は、所望に定めた間隔で螺旋状に形成されるスクリュー羽根を周面に配置するスクリュー計量ドラムを備え、前記スクリュー計量ドラムは、前記第1の駆動軸と結合して回動可能であり、前記容器から供給される前記粉体を前記スクリュー羽根間に収容し、収容された前記粉体を連続的に前記粉体供給案内管に排出して前記粉体の前記用量を計量することを特徴とするものである。
上記構成の粉体用量計量システムでは、容量が明らかなスクリュー計量ドラムのスクリュー羽根間に粉体を収容し、回動しながら連続的に収容された粉体を粉体供給案内管に排出することで、粉体用量を計量するように作用する。
【0014】
また、第7の発明である粉体用量計量システムは、第1又は第2の発明において、前記用量供給制御装置は、前記粉体供給案内管内で前記粉体の流路を塞ぐシャッターを備えることを特徴とするものである。
上記構成の粉体用量計量システムでは、用量供給制御装置が粉体供給案内管内で粉体の流路を塞ぐシャッターを備えることで、粉体の粉体供給案内管からの供給を短時間で遮断するように作用する。
【0015】
第8の発明である粉体用量計量システムは、第1又は第2の発明において、把持ハンドを備えたロボットアームを有し、前記ロボットアームは予め前記駆動モジュールの前記第1の駆動軸の位置データを備え、前記把持ハンドで把持した前記粉体計量モジュールを前記位置データに基に前記駆動モジュールに水平に着脱することを特徴とするものである。
上記構成の粉体用量計量システムでは、ロボットアームが駆動モジュールの第1の駆動軸の位置データを備えることで、粉体計量モジュールを駆動モジュールに装着する際の位置決めを行うように作用する。
把持ハンドが粉体計量モジュールを把持することで人手によることなく粉体計量モジュールを効率的に駆動モジュールに対して着脱するように作用する。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明に係る粉体用量計量システムでは、粉体計量モジュール内に駆動源やそれに接続される駆動軸を備えることなく、駆動モジュール内にすべて備えているので、粉体計量モジュールの構造を簡略化することが可能であり、また、小型軽量化することも可能である。1台の駆動モジュールに対して複数(多数)の粉体計量モジュールを備える粉体用量計量システムとすることができ、粉体用量の計量効率を高めることが可能である。
また、粉体計量モジュールと駆動モジュールを連結させる凸型連結具と用量計量装置を駆動させる第1の駆動軸が平行かつ水平に形成されるため、粉体計量モジュールと駆動モジュールの着脱と用量計量装置と駆動軸の符合を同時に行うことが可能であり、煩雑化しがちな着脱と符合を個別で行うよりも精度を高めることが可能であり、また、短時間で粉体計量モジュールと駆動モジュールの着脱と用量計量装置と駆動軸の符合を行うことが可能である。
また、第2の駆動軸は第1の駆動軸と平行かつ水平であることから、第1の駆動軸の位置決めができれば第2の駆動軸の位置決めもできるので、粉体計量モジュールを駆動モジュールに装着する際の位置決めに関する煩雑さがなく、複数の粉体計量モジュールを交換しながら粉体用量を計量する場合でも省力かつ短時間に効率的に実行することが可能である。
【0017】
第2の発明に係る粉体用量計量システムでは、第1の発明の効果に加えて、滞留抑制装置が駆動モジュールから供給される第3の駆動源によって第3の駆動軸を介して駆動されるので、粉体計量モジュール内部での粉体の滞留を抑制させることが可能である。
【0018】
第3の発明に係る粉体用量計量システムでは、第2の発明の効果に加えて、容器支持具に固定された撹拌具が、第3の駆動軸によってテーパー部に打撃を受けた容器支持具の上下動によって動き、周囲の粉体を撹拌し、いわゆるブリッジ等の空洞を破壊し、円滑な粉体の流れを生じさせることが可能である。
【0019】
第4の発明に係る粉体用量計量システムでは、第1又は第2の発明の効果に加えて、容量が明らかな計量ドラムの凹部に粉体を収容し、回動しながら連続的に収容された粉体を粉体供給案内管に排出することで、粉体用量を容量として計量することができる。
【0020】
第5の発明に係る粉体用量計量システムでは、第4の発明の効果に加えて、計量ドラムの周面の端部に備えたシールによって粉体計量モジュール内での粉体の漏洩、汚染(コンタミネーション)を防止することが可能である。また、漏洩を防止することで粉体用量の計量の精度を向上させることが可能である。
【0021】
第6の発明に係る粉体用量計量システムでは、第1又は第2の発明の効果に加えて、容量が明らかなスクリュー計量ドラムのスクリュー羽根間に粉体を収容し、回動しながら連続的に収容された粉体を粉体供給案内管に排出することで、粉体用量を容量として計量することができる。
【0022】
第7の発明に係る粉体用量計量システムでは、第1又は第2の発明の効果に加えて、シャッターを備えて粉体の粉体供給案内管からの供給を短時間で遮断することで、粉体用量の計量の精度を向上させることが可能である。また、シャッターを閉じることにより粉体計量モジュールの着脱や移動に際して、粉体が周囲に飛散することを防止することが可能である。
【0023】
第8の発明に係る粉体用量計量システムでは、第1又は第2の発明の効果に加えて、ロボットアームによって粉体計量モジュールと駆動モジュールの着脱が可能であり、自動で粉体計量モジュールの交換が可能となり、効率的かつ正確に着脱が可能となり、迅速かつ正確に粉体用量の計量を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る粉体用量計量システムにおいて粉体計量モジュールを駆動モジュールに装着する前の概念図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態に係る粉体用量計量システムにおいて粉体計量モジュールを駆動モジュールに装着した後の概念図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態に係る粉体用量計量システムにおいて駆動モジュールのシャッタープッシャーが作動した状態の概念図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態に係る粉体用量計量システムの粉体計量モジュールの内部構造を示す断面図である。
【
図5】
図4に示される粉体計量モジュールを左側面視した場合の一部断面図である。
【
図6】本発明の第1の実施の形態に係る粉体用量計量システムにおいてノッカーで粉体計量モジュールの容器支持具のテーパー部を打撃した状態を示す概念図である。
【
図7】(a)は本発明の第1の実施の形態に係る粉体用量計量システムの粉体計量モジュールの変形例に係る容器支持具と撹拌具の配置を示すための正面図であり、(b)は(a)の側面図であり、(c)は(b)のA-A線矢視断面図であり、(d)は容器支持具の底面図である。
【
図8】粉体計量モジュールの変形例に係る容器支持具とノッカーの位置関係を示す概念図である。
【
図9】粉体計量モジュールの変形例に係る計量ドラムのシール機構を説明するための構造図である。
【
図10】
図9において符号Bで示す破線で囲んだ箇所を示す拡大図である。
【
図11】本発明の第2の実施の形態に係る粉体計量モジュールの計量スクリュードラムを示す概念図である。
【
図12】本発明の第3の実施の形態に係る粉体用量計量システムのロボットアームの把持ハンドで粉体計量モジュールを把持した状態を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の第1の実施の形態に係る粉体用量計量システムについて
図1-
図10を参照しながら説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る粉体用量計量システムにおいて粉体計量モジュールを駆動モジュールに装着する前の概念図であり、
図2は本発明の第1の実施の形態に係る粉体用量計量システムにおいて粉体計量モジュールを駆動モジュールに装着した後の概念図であり、
図3は本発明の第1の実施の形態に係る粉体用量計量システムにおいて駆動モジュールのシャッタープッシャーが作動した状態の概念図である。
これらの図において、粉体用量計量システムは粉体計量モジュール1と駆動モジュール2を備えている。粉体計量モジュール1は、上部に化学品あるいは薬品等の粉体を収容する容器4をそのまま上下逆にして支える容器支持具5を備え、この容器支持具5を下方で支える容器支持具受け具8を備え、さらに、粉体用量を計量する機構を備えた計量器本体3を備え、その下方には計量された粉体を他の容器に注いで移し替えるための粉体供給案内管としてのノズル6を備えている。このノズル6の下方に粉体試料を調合するためのバイアル瓶等の容器を置く。
粉体計量モジュール1の計量器本体3には凸型連結具7が設けられており、これを駆動モジュール2の着脱部15に穿設された連結孔17に挿通し、図示しない凹型連結具と連結させロック機構でロックして駆動モジュール2に装着することができる。
その際には、予め駆動モジュール2のドラム駆動軸16で位置決めを行うことで、水平かつドラム駆動軸16と平行に設けられている凸型連結具7と連結孔17が符合し、ドラム駆動軸16を計量器本体3に挿入させながら、凸型連結具7を連結孔17に挿通させる。
また、ノズル6の上側には
図4を用いて詳述するシャッター10(
図1-3には内部構造は図示せず)を備えており、粉体用量の計量時以外はバネ11が伸びた状態で紙面を正面視して左側に移動した状態となっている。このシャッター10は駆動モジュール2のシャッタープッシャー18によって粉体用量の計量時にはバネ11を圧縮するように押され(
図3参照)、計量が終了するとシャッタープッシャー18が戻り、バネ11の伸長力でストッパー9が機能するまでシャッター10が戻り(
図2参照)、計量器本体3の内部ではシャッター10が閉じるように作用する。
【0026】
駆動モジュール2は、駆動部本体20と着脱部15を有しており、駆動部本体20の上部には偏心錘からなる振動子13を備え、これをモーター12で回転させることで駆動部本体20に振動を与え、駆動モジュール2に装着された粉体計量モジュール1に対して振動を伝播させて容器4内に収容される粉体を円滑に計量器本体3に導くように作用している。すなわち、モーター12と振動子13は滞留抑制装置として機能している。
駆動部本体20には第1の駆動軸として前述のドラム駆動軸16が設けられており、これを粉体計量モジュール1内に挿入して計量器本体3内に収容されている計量ドラム(
図1-3には図示せず。
図4,5参照。)を回転させて粉体用量を計量している。
また、着脱部15の下方には第2の駆動軸として前述のシャッタープッシャー18が設けられており、これを用いてシャッター10を押すことで計量後の粉体供給を可能とし、シャッタープッシャー18を戻すと、シャッター10もバネ11の力で戻り、計量後の粉体供給が停止される。すなわち、シャッター10は用量供給制御装置として機能するものである。
さらに、駆動部本体20には上部に第3の駆動軸としてノッカー14が設けられており、これを用いて粉体計量モジュール1の容器支持具5のテーパー部5aを殴打することができる。この殴打によって容器4を支持する容器支持具5に打撃を加えることで容器4を含めて計量器本体3が振動し、粉体が容器4内や計量器本体3内等の粉体流路で形成するいわゆるブリッジ等の空洞によって粉体用量の計量が難しくなる現象を、その空洞を破壊することで解消させることができる。すなわち、ノッカー14はモーター12と振動子13に加えて滞留抑制装置として機能している。
【0027】
駆動部本体20の下方にはエアクッション19を備えており、これによって駆動部本体20全体がある程度前後方向、すなわち、粉体計量モジュール1を装着させる方向への移動を可能としている。粉体計量モジュール1を駆動モジュール2へ装着する際の位置決めについては、手動で行う際には粉体計量モジュール1内部の計量ドラムに接続するためにドラム駆動軸16を押し当てるようにするが、その際、ドラム駆動軸16は断面が六角形状であるため、計量ドラムと嵌合させるためには軸の周方向で符合させる必要があるので、ドラム駆動軸16を低速で回転させながら嵌合させる。これを第3の実施の形態として後述するロボットアームを用いた自動装着を行う際には、粉体計量モジュール1を把持したロボットアームによって粉体計量モジュール1をドラム駆動軸16に押し当てることになるが、その際にエアクッション19が機能して、駆動部本体20が少し後退し、ドラム駆動軸16の周方向で符合すると駆動部本体20が前に移動してドラム駆動軸16と計量ドラムが接続されるという作用を発揮するのである。
なお、本実施の形態においてはドラム駆動軸16の断面が六角形状であるが、この形状には特に限定するものではなく、他の多角形形状でも楕円でもよいし、キー溝を備えて計量ドラム側のキーと符合して接続されるような構造でもよい。すなわち、計量ドラムとドラム駆動軸16が空回りしないような構造であればよい。
また、エアクッション19は内部に気体を収容してその圧縮と膨張を利用して駆動モジュール2の前後左右方向の移動に対する緩衝材として機能するものであるが、緩衝を生じさせるメカニズムとしては気体に限らず、油等の液体を用いてもよい。
【0028】
以上説明したとおり、本実施の形態に係る粉体用量計量システムでは、粉体計量モジュール1と駆動モジュール2の着脱には駆動モジュール2のドラム駆動軸16を周方向で符合するように粉体計量モジュール1に対して水平に挿入することで位置決めを完了させることが可能であり、さらに、粉体計量モジュール1の凸型連結具7を水平かつこのドラム駆動軸16と平行に設けることで、ドラム駆動軸16による位置決めと同時に、容易に粉体計量モジュール1の凸型連結具7を駆動モジュール2の連結孔17へ挿通させて粉体計量モジュール1と駆動モジュール2を接続することが可能である。
また、同様にシャッタープッシャー18を水平かつドラム駆動軸16と平行に設けることで、ドラム駆動軸16によって位置決めされると同時に、シャッタープッシャー18と粉体計量モジュール1のシャッター10との位置決めも完了していることになるという効果も発揮することができる。
さらに、ノッカー14も水平かつドラム駆動軸16と平行に設けることで、ドラム駆動軸16によって位置決めされると同時に、ノッカー14と容器支持具5のテーパー部5aとの位置決めも完了するという効果も発揮することができる。
すなわち、駆動モジュール2側に駆動源に接続されるすべての駆動軸が水平かつドラム駆動軸16と平行に設けられていることから、粉体計量モジュール1と駆動モジュール2の装着の位置決めをドラム駆動軸16によって行うことで、他の駆動軸の粉体計量モジュール1に対する位置決めが完了し、短時間で容易かつ高精度で粉体計量モジュール1を駆動モジュール2に装着することが可能である。
従来、装着の方向と粉体計量モジュール1を駆動するための駆動軸の方向が直交しており、装着のための位置決めと粉体用量の計量のための駆動軸の位置決めを個別に行う必要があったが、本実施の形態においては、その手間を省き、省力で精度の高い粉体計量モジュール1と駆動モジュール2の着脱を可能し、もって、粉体用量の計量精度の向上をも図っている。
【0029】
駆動部本体20内部にはドラム駆動軸16を駆動させるための第1の駆動源としてのステップモーター、シャッタープッシャー18を駆動させるための空気等の気体を供給する第2の駆動源としてのエアシリンダー、そして、ノッカー14を駆動させるための第3の駆動源としてのエアシリンダーが設けられている。
そして、駆動部本体20にはステップモーターに電気を供給する電気ケーブル21やエアシリンダーにエア(空気)を供給するエア供給配管22が接続されている。
【0030】
次に、
図4は本発明の第1の実施の形態に係る粉体用量計量システムの粉体計量モジュールの内部構造を示す断面図であり、
図5は
図4に示される粉体計量モジュールを左側面視した場合の一部断面図である。そして、
図6は第1の実施の形態に係る粉体用量計量システムにおいてノッカーで粉体計量モジュールの容器支持具のテーパー部を打撃した状態を示す概念図である。
図1-3において既に説明した構成についてはその説明を省略する。
図4及び
図5において、容器4内に収容された粉体は容器支持具5及び容器支持具受け具8内を通過して、計量器本体3内の円筒状の計量ドラム26に設けられた粉体計量凹部30に落下する。計量ドラム26にはその周面の中央に粉体計量凹部30が粉体計量帯29として周設されており、計量ドラム26の中空部分に接続されるドラム駆動軸16の回転によって単位時間当たりに粉体計量凹部30内に収容され半周回転して落下する粉体用量が定まり、粉体用量を計量することが可能である。計量された粉体は連続的にノズル6に供給されている。すなわち、計量ドラム26は用量計量装置として機能している。
粉体計量凹部30の容量は粉体や用途に応じて所望に予め定めて形成することができ、粉体計量帯29における粉体計量凹部30同士の間隔も同様に所望に予め定められてよい。
計量ドラム26は円筒状の2つの端部にそれぞれ周設されるシール27を備えており、粉体計量凹部30内に落下する粉体が計量ドラム26から周囲に漏洩しないように機能している。粉体の漏洩は粉体用量の計量の誤差にも繋がると同時に計量ドラム26の回転上の不具合や粉体による汚染にも影響を与えるため、シール27の機能は特に重要である。
【0031】
容器支持具5において、容器4が装着されている部分にはアルファベット文字のT字様の撹拌具25が固定され、計量器本体3内の粉体の流路に向けて垂下している。撹拌具25は
図4,5に示されるとおり板状である。
この撹拌具25は、既に説明したノッカー14によるテーパー部5aの殴打の際に、容器支持具5と共に上下動し、その上下動によって容器支持具受け具8や計量器本体3内の粉体流路23で形成されるブリッジ等の空洞を破壊するように作用する。
図6に示すとおり、ノッカー14は駆動モジュール2において、容器支持具5のテーパー部5aに当たる位置に設けられており、ノッカー14がテーパー部5aを押すように断続的に打撃することで容器支持具5とそれによって支持されている容器4が上下動することになる。
【0032】
また、既に説明したシャッター10について
図4を参照しながら説明を追加する。シャッター10は粉体用量の計量時には駆動モジュール2のシャッタープッシャー18によって押された状態となっており、
図4に示されるように、シャッター孔28がノズル6の流路と符合して粉体を通過可能としている。
しかし、粉体用量の計量が終了した際にはシャッタープッシャー18が戻ることで、シャッター10のバネ11(
図2参照)が伸長してシャッター10が
図4では右方向へ移動し、シャッター孔28がノズル6の流路からずれることで計量後の粉体の供給を即座に停止することが可能である。このバネ11によって不要な粉体の供給を行うことなく粉体計量の精度を向上させることが可能である。また、シャッター10は粉体計量モジュール1の着脱時や移動時にはバネ11によって閉止されているので、粉体の飛散を防止することができ、また、粉体による試料汚染(コンタミネーション)の発生も防止することができる。
なお、計量ドラム26による粉体用量の計量の精度を向上させるために、予め計量ドラム26から落下した粉体がシャッター10を閉止した以降、どの程度の量がノズル6から供給されるかという数値を粉体の種類別に予め測定して駆動モジュール2側の記憶領域に格納しておき、計量ドラム26による計量が、目的とする粉体用量からその数値を差し引いた粉体用量となった際にシャッター10を閉止するという制御を行うことによれば、より粉体計量の精度を向上させることが可能である。このような制御は後述する第2の実施の形態に係る計量スクリュードラム26aを採用した場合も同様である。
【0033】
次に、
図7,8を参照しながら第1の実施の形態に係る粉体計量モジュールの容器支持具の変形例について説明する。
図7(a)は本発明の第1の実施の形態に係る粉体用量計量システムの粉体計量モジュールの変形例に係る容器支持具と撹拌具の配置を示すための正面図であり、(b)は(a)の側面図であり、(c)は(b)のA-A線矢視断面図であり、(d)は容器支持具の底面図である。また、
図8は粉体計量モジュールの変形例に係る容器支持具とノッカーの位置関係を示す概念図である。
図7(a),(b)において、容器支持具の変形例では、容器支持具の側面から突出したテーパー部を備えていないものの、容器支持具5bの底面をテーパー部5cとしている。そして、
図7(c)に示す通り、撹拌具25を容器支持具5bの容器4との接続端面(流路のど部の上端面)に溝を設けてはめ込むようにしてT字様の上端部を固定している。この点は既に説明した第1の実施の形態における撹拌具25と同様である。そして、
図7(d)に示すとおり、容器支持具5bの底面にテーパー部5cと同時に溝5dを設けていることを特徴としている。
このような構成の変形例に係る容器支持具5bでは
図8に示すとおり、空気等の気体の供給によって駆動するエアシリンダー31によってノッカー14が駆動され、容器支持具5bのテーパー部5cを打撃すると溝5dが抵抗となって、より打撃力が容器支持具5bに伝達し易くなるという効果を発揮することができる。したがって、容器4及び容器支持具5bの上下動もより強い振動と広い振幅で実施することが可能である。
【0034】
さらに、ノッカー14による打撃は
図8に示されるとおり、容器支持具5bのテーパー部5cを中心から偏心して打撃することで容器支持具5bに対して回転力を加えることが可能であり、上下動と同時に回転させ、これを複数回繰り返すとで容器支持具5bの全周を網羅して振動を印加することが可能である。すなわち、周方向の全範囲に対して振動を印加することが可能であるので、容器4の一部分に生じた空洞も破壊することが可能である。しかも、印加される力も上下方向と周方向に分力を備えているので、粉体に対してより効果的な振動を与えることができる。このような効果は同様にノッカー14による偏心打撃によって容器支持具5のテーパー部5aにおいても発揮することができる。
従来技術における打撃は単なる一方向への打撃であったため、その打撃箇所における空洞は破壊されるものの、周方向で反対側の空洞が残ってしまうという不具合もあった。そこで、本願では、打撃方向として上下動のみならず、回転を加えることで印加力に上下方向と周方向の分力を備えつつ、回転によって全周囲を網羅して打撃することが可能となったためブリッジ等の空洞をより広範囲で効果的に破壊することが可能となった。
【0035】
次に、
図9と
図10を参照しながら、第1の実施の形態に係る粉体計量モジュールの計量ドラムのシール機構の変形例について説明する。
図9は粉体計量モジュールの変形例に係る計量ドラムのシール機構を説明するための構造図であり、
図10は
図9において符号Bで示す破線で囲んだ箇所を示す拡大図である。既にこれまでの図で説明した構成についてはその説明を省略する。
図9において、粉体計量モジュール1は凸型連結具7と駆動モジュール2側の凹型連結具7aとの連結及びロックによって装着された状態にあり、粉体用量の計量を行っている状態にもある。本図では凸型連結具7が2個備えられており、凹型連結具7aも2個備えられているが、2個に限定するものではなく1個あるいは3個以上であってもよい。但し、前述のとおり凸型連結具7は計量器本体3において水平かつドラム駆動軸16に対して平行に設けられている。また、本実施の形態においては凸型連結具7が粉体計量モジュール1に、凹型連結具7aが駆動モジュール2に設置されているが、連結可能でロック機構を備えている限りそれぞれ逆に設置されていてもよい。
このような状態において、計量ドラム26は挿入されたドラム駆動軸16によって回動している。ステップモーター32はその駆動軸に設けられた駆動ギア34を回転させるが、ドラム駆動軸16の周囲に設けられて駆動ギア34と噛合する従動ギア35を回転させ、その従動ギア35の回転によってドラム駆動軸16が駆動している。さらに、本変形例では、ドラム駆動軸16が中空に形成され、その中空の部分にエア供給路36が設けられており、エア供給ノズル33によってエア(空気)等の加圧気体が供給されている。
供給される空気は計量ドラム26内のシール27a,27cに供給されて、シール27a,27cを押圧し、そのシール機能を高めている。
【0036】
この変形例に係るシール機構について
図10を参照しながら説明する。
図10において、ドラム駆動軸16の中空部分に設けられたエア供給路36内にエア供給ノズル33によって供給されるエアは矢印で示されるようなエア流れ37を生じている。計量ドラム26の周囲に供給されたエアのうち、入口側で分流して入口側のシール27aの端面27bを押圧するエア流れ37と、計量ドラム26の内部を通って奥側のシール27cの端面27dを押圧するエア流れ37を生じる。
このようにして計量ドラム26の円筒形状の両端に周設されるシール27a,27cを加圧空気のエア流れ37によって加圧することで、計量ドラム26の粉体計量凹部30内に収容されて計量される粉体が計量ドラム26の周囲に漏洩して計量ドラム26の精度を低下させたり、計量器本体3内部の不具合の原因となるのを防止するように、シール27a,27cのシール機能を高めることが可能である。
【0037】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る粉体計量モジュールの計量スクリュードラムについて
図11を参照しながら説明する。
図11は第2の実施の形態に係る粉体計量モジュールの計量スクリュードラムを示す概念図である。
図11において、第2の実施の形態に係る粉体計量モジュール1aは、計量器本体3a内に用量計量装置として計量スクリュードラム26aを採用するものである。計量スクリュードラム26aは、第1の実施の形態と同様に着脱部15を貫通するドラム駆動軸16によって駆動され、その周面には粉体計量凹部30に代えて所望に予め定めた間隔と高さのスクリュー羽根26bが螺設されている。
ドラム駆動軸16によって計量スクリュードラム26aを駆動させると、容器4内から供給される粉体がスクリュー羽根26b間に収容され、このスクリュー羽根26bが回動することで粉体がノズル6へ運搬される。予め、粉体の種類や計量の用途等によって定められるスクリュー羽根26b間距離とスクリュー羽根26b高さによって、単位時間当たり運搬される粉体用量は定まり、粉体用量を計量することが可能である。
【0038】
この第2の実施の形態に係る計量スクリュードラム26aを採用すると、粉体計量モジュール1aを駆動モジュール2に装着した際には第1の実施の形態に係る粉体計量モジュール1よりもノズル6の位置が駆動モジュール2から離れるので、シャッタープッシャー18のストロークを長めに設けておく必要がある。
粉体計量モジュール1aでは容器支持具5としてテーパー部を備えていないが、ノッカー14を設けて容器支持具5に打撃を加えてもよいし、テーパー部を備えた容器支持具5を設けてテーパー部に打撃を加えてもよい。
さらに、
図11に示すように計量スクリュードラム26aは円筒状の両端面をシール27a,27cで封止されており、
図9,10を参照して説明したようにエア供給路36から供給される加圧エアによってそのシール機能を増強している。もちろん、粉体によってはその漏洩が少ない場合にはエアで加圧することなく単なるシール27を設けるだけでもよい。
【0039】
最後に本発明の第3の実施の形態に係る粉体用量計量システムについて
図12を参照しながら説明する。
図12は第3の実施の形態に係る粉体用量計量システムのロボットアームの把持ハンドで粉体計量モジュールを把持した状態を示す概念図である。
図12においては、粉体計量モジュール1の側面を把持ハンド38で掴んだ状態が示されているが、この把持ハンド38はハンド開閉機構39によって水平方向に開閉することが可能であり、粉体計量モジュール1を側面から把持したり、離したりすることが可能である。
さらに、ロボットアーム40は
図12の座標軸で示すとおり、紙面に垂直なxy平面で自由に移動可能であると共に、
図12の紙面上での左右方向であるz方向へも自由に移動することが可能である。
このようなロボットアーム40を第3の実施の形態に係る粉体用量計量システムが備えることで、粉体計量モジュール1,1aを自動で駆動モジュール2に対して着脱することが可能となる。
【0040】
具体的には、まず、粉体用量の計量が必要な粉体計量モジュール1をロボットアーム40を移動させ、ハンド開閉機構39を開いて把持ハンド38を粉体計量モジュール1の側面から離れた位置に移動させ、その後、ハンド開閉機構39を閉じて把持ハンド38で粉体計量モジュール1の側面を把持する。
その際、粉体計量モジュール1は容器4に収容されている粉体の種類によってその3次元空間での位置座標をロボットアーム40の記憶領域に予め格納しておくことで、ロボットアーム40は目的の粉体を収容する容器4を備えた粉体計量モジュール1の位置座標に向かって移動するものである。
粉体計量モジュール1の側面を把持したロボットアーム40は、次に駆動モジュール2のドラム駆動軸16に向かって移動するが、ドラム駆動軸16の3次元空間での位置座標がロボットアーム40の記憶領域に予め格納されているためである。すなわち、ロボットアーム40は、粉体計量モジュール1と駆動モジュール2の位置決めとして、駆動モジュール2のドラム駆動軸16の位置座標を基準として、粉体計量モジュール1の計量ドラム26にそのドラム駆動軸16が挿入されるように粉体計量モジュール1を水平を維持しながら移動させるのである。
【0041】
その後、ロボットアーム40は把持ハンド38で把持している粉体計量モジュール1の計量ドラム26を駆動モジュール2のドラム駆動軸16に挿入するように把持ハンド38を伸ばすが、その際、ドラム駆動軸16が六角形断面であることから計量ドラム26側の孔(ドラム駆動軸16と嵌合する六角形孔)の形状と周方向でずれている可能性がある。そこで、ロボットアーム40は駆動モジュール2のドラム駆動軸16を低速で回転させるべくステップモーター32のスイッチを入れながら、粉体計量モジュール1を駆動モジュール2に押し付ける。粉体計量モジュール1を押し付けられた駆動モジュール2はエアクッション19の機能によって少し後退し、低速で回転するドラム駆動軸16の六角形断面と計量ドラム26の孔形状が符合するとドラム駆動軸16が計量ドラム26に嵌合して駆動モジュール2のエアクッション19による後退が解消される。
その際には粉体計量モジュール1の凸型連結具7も駆動モジュール2の連結孔17に挿通され、着脱部15の内部で凹型連結具7aと連結してロックされ、脱落や引抜きを防止される。
そして、把持ハンド38はハンド開閉機構39によって左右に開いて把持を解き、ロボットアーム40は粉体計量モジュール1から離脱する。
このようにして粉体計量モジュール1と駆動モジュール2の装着時の位置決めと装着・固定がなされる。
【0042】
一方、その粉体計量モジュール1による粉体用量の計量が終了した後、粉体計量モジュール1の取外しの場合は、駆動モジュール2で凹型連結具7aのロックを解いた上で、ロボットアーム40はハンド開閉機構39を用いて把持ハンド38を拡げ、駆動モジュール2に装着された粉体計量モジュール1に近づき、ハンド開閉機構39で把持ハンド38を閉じて粉体計量モジュール1の側面を把持する。
その後、ロボットアーム40は把持ハンド38で粉体計量モジュール1を把持しながら、駆動モジュール2から引抜き、ロボットアーム40の記憶領域に予め格納されている把持している粉体計量モジュール1の位置座標の位置まで粉体計量モジュール1を輸送し、所定の場所で把持ハンド38の把持を解いて保管する。
そして次に粉体用量を計量する必要がある粉体計量モジュール1を駆動モジュール2に装着すべく、ロボットアーム40はその粉体計量モジュール1の位置座標へ向かい、同様に位置決めしながら駆動モジュール2に装着し、粉体用量の計量が終了したら、粉体計量モジュール1を駆動モジュール2から離脱させて、所定の位置まで粉体計量モジュール1を運搬するという動作を繰り返す。
【0043】
本実施の形態に係るロボットアーム40を備えた粉体用量計量システムであれば、複数の粉体計量モジュール1を1つの駆動モジュール2に効率的かつ安定・安全に着脱することが可能であり、多数の粉体用量を計量しながら調合させる必要がある場合には高精度で省力化を図ることも可能である。
本実施の形態に係る粉体用量計量システムでは、特にドラム駆動軸16、凸型連結具7、シャッタープッシャー18及びノッカー14等いずれも水平かつ平行に設けられており、ドラム駆動軸16による位置決めを行うことで他の駆動軸や部材に関する位置決めが同時に完了するため、ロボットアーム40の着脱時の制御も簡素化かつ高精度化することが可能である。また、ドラム駆動軸16のみならず、上記のいずれかの駆動軸や部材の位置座標を用いても同様の制御が可能である。
なお、本実施の形態においては、第1の実施の形態に係る粉体計量モジュール1を用いて自動で脱着・交換する手順を説明したが、第1の実施の形態に係る変形例や第2の実施の形態に係る粉体計量モジュール1aを用いる場合も同様である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上説明したように、本発明の請求項1-8に記載された発明は、化学や医薬品事業における複数の試薬の調合を行う場合の粉体用量計量システムとして広く利用が可能であり、特にロボットアームによる高精度化と省力化を実現する粉体用量計量システムとして利用が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1,1a…粉体計量モジュール 2…駆動モジュール 3,3a…計量器本体 4…容器 5,5b…容器支持具 5a,5c…テーパー部 5d…溝 6…ノズル 7…凸型連結具 7a…凹型連結具 8…容器支持具受け具 9…ストッパー 10…シャッター 11…バネ 12…モーター 13…振動子 14…ノッカー 15…着脱部 16…ドラム駆動軸 17…連結孔 18…シャッタープッシャー 19…エアクッション 20…駆動部本体 21…電気ケーブル 22…エア供給配管 23…粉体流路 25…撹拌具 26…計量ドラム 26a…計量スクリュードラム 26b…スクリュー羽根 27,27a,27c…シール 27b,27d…端面 28…シャッター孔 29…粉体計量帯 30…粉体計量凹部 31…エアシリンダー 32…ステップモーター 33…エア供給ノズル 34…駆動ギア 35…従動ギア 36…エア供給路 37…エア流れ 38…把持ハンド 39…ハンド開閉機構 40…ロボットアーム