(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104070
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】固体原料気化容器および固体原料気化供給システム
(51)【国際特許分類】
C23C 16/448 20060101AFI20240726BHJP
B65D 88/26 20060101ALI20240726BHJP
B01J 7/00 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
C23C16/448
B65D88/26 C
B01J7/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008090
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000143411
【氏名又は名称】株式会社高純度化学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100187506
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 優子
(72)【発明者】
【氏名】松本 浩
【テーマコード(参考)】
3E170
4G068
4K030
【Fターム(参考)】
3E170AA15
3E170AB11
3E170FA10
3E170VA13
3E170WC05
3E170WC06
4G068DA04
4G068DB03
4G068DB04
4G068DD11
4K030AA16
4K030AA24
4K030EA01
(57)【要約】
【課題】時間の経過に伴う気化量の減少を抑制することができる固体原料気化容器を提供する。
【解決手段】
本発明にかかる固体原料気化容器100は、固体原料を貯留し、気化させるための固体原料気化容器であって、熱源として固体原料と接触する側壁15および底部壁16を有する容器1と、キャリアガスを容器1内に供給するための貫通孔であるガス導入孔4および容器1内におけるキャリアガスと気化ガスとの混合ガスを放出するための貫通孔であるガス導出孔6が配設され、容器1に対して密着かつ着脱可能に設けられた蓋体2と、を備える。そして、容器1は、上端開口部よりも径小に形成された底部13と、底部13の周縁に向かって縮径する縮径部14と、を備える。また、側壁15は、縮径部14に沿って形成された所定の傾斜を有する形状とし、接触する固体原料の気化に伴う未接触の固体原料の落下により継続的に固体原料と接触する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体原料を貯留し、気化させるための固体原料気化容器であって、
熱源として固体原料と接触する側壁および底部壁を有する容器と、
キャリアガスを前記容器内に供給するための貫通孔であるガス導入孔および前記容器内におけるキャリアガスと気化ガスとの混合ガスを放出するための貫通孔であるガス導出孔が配設され、前記容器に対して密着かつ着脱可能に設けられた蓋体と、
を備え、
前記容器は、上端開口部よりも径小に形成された底部と、前記底部の周縁に向かって縮径する縮径部と、を備え、
前記側壁は、前記縮径部に沿って形成された所定の傾斜を有する形状とし、接触する固体原料の気化に伴う未接触の固体原料の落下により継続的に固体原料と接触する、
ことを特徴とする固体原料気化容器。
【請求項2】
前記側壁の傾斜角度は、充填する固体原料の物性を考慮して適宜設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の固体原料気化容器。
【請求項3】
一方の先端を前記ガス導入孔と接続し、他方の先端から前記容器内にキャリアガスを供給するキャリアガス導入管、
をさらに備え、
前記ガス導入孔と前記キャリアガス導入管との接続部分は、挿脱可能に挿嵌する構造、または溶接により一体に接合された構造、とする、
ことを特徴とする請求項2に記載の固体原料気化容器。
【請求項4】
固体原料を貯留し、気化させるための固体原料気化容器であって、
熱源として固体原料と接触する側壁および底部壁を有する筒状の容器と、
キャリアガスを前記容器内に供給するための貫通孔であるガス導入孔および前記容器内におけるキャリアガスと気化ガスとの混合ガスを放出するための貫通孔であるガス導出孔が配設され、前記容器に対して密着かつ着脱可能に設けられた蓋体と、
前記側壁に向かって斜め下に傾斜する傾斜部を有する少なくとも1つの傘型傾斜板と、
を備え、
前記側壁および前記傾斜部により固体原料を充填するためのスペースが形成され、
前記傾斜部の傾斜により、前記側壁に接触する固体原料の気化に伴う未接触の固体原料の転落が発生し、前記側壁と固体原料が継続的に接触する、
ことを特徴とする固体原料気化容器。
【請求項5】
前記傾斜部の傾斜角度は、充填する固体原料の物性を考慮して適宜設定する、
ことを特徴とする請求項4に記載の固体原料気化容器。
【請求項6】
一方の先端を前記ガス導入孔と接続し、他方の先端から前記容器内にキャリアガスを供給するキャリアガス導入管、
をさらに備え、
前記ガス導入孔と前記キャリアガス導入管との接続部分は、挿脱可能に挿嵌する構造とし、
前記傘型傾斜板は、中心部において前記キャリアガス導入管を挿脱可能に包囲する内径を有する短管と、前記傾斜部と前記短管とを接続する複数の橋部と、をさらに有し、
前記キャリアガス導入管を前記短管に挿通した状態で、前記傘型傾斜板を前記キャリアガス導入管の所定位置に固定する、
ことを特徴とする請求項5に記載の固体原料気化容器。
【請求項7】
前記側壁に、前記容器の中心に向かって階段状に形成された少なくとも1つの係止部を設け、
前記傘型傾斜板の下端を前記係止部で係止することにより、前記傘型傾斜板を所定位置で保持する、
ことを特徴とする請求項5に記載の固体原料気化容器。
【請求項8】
一方の先端を前記ガス導入孔と接続し、他方の先端から前記容器内にキャリアガスを供給するキャリアガス導入管、
をさらに備え、
前記ガス導入孔と前記キャリアガス導入管との接続部分は、挿脱可能に挿嵌する構造、または溶接により一体に接合された構造、とする、
ことを特徴とする請求項7に記載の固体原料気化容器。
【請求項9】
複数の単管を連設する構造を有するとともに、一方の先端を前記ガス導入孔と接続し、他方の先端から前記容器内にキャリアガスを供給するキャリアガス導入管、
をさらに備え、
前記ガス導入孔と前記キャリアガス導入管との接続部分、および単管どうしの接続部分は、挿脱可能に挿嵌する構造とし、
前記傘型傾斜板は、前記キャリアガス導入管を構成する両端の単管以外の単管と一体に形成される、
ことを特徴とする請求項5に記載の固体原料気化容器。
【請求項10】
前記傾斜部に、下部からのガスを上方に通過させるための流路を形成する、
ことを特徴とする請求項5に記載の固体原料気化容器。
【請求項11】
前記側壁に向かって斜め下に傾斜する傾斜部を有する少なくとも1つの傘型傾斜板、
をさらに備え、
前記側壁および前記傾斜部により固体原料を充填するためのスペースが形成され、
前記傾斜部の傾斜により、前記側壁に接触する固体原料の気化に伴う未接触の固体原料の転落が発生し、前記側壁と固体原料が継続的に接触する、
ことを特徴とする請求項1に記載の固体原料気化容器。
【請求項12】
前記側壁の傾斜角度および前記傾斜部の傾斜角度は、充填する固体原料の物性を考慮して適宜設定する、
ことを特徴とする請求項11に記載の固体原料気化容器。
【請求項13】
一方の先端を前記ガス導入孔と接続し、他方の先端から前記容器内にキャリアガスを供給するキャリアガス導入管、
をさらに備え、
前記ガス導入孔と前記キャリアガス導入管との接続部分は、挿脱可能に挿嵌する構造とし、
前記傘型傾斜板は、前記キャリアガス導入管の所定位置に固定する、
ことを特徴とする請求項12に記載の固体原料気化容器。
【請求項14】
前記傘型傾斜板は、
中心部において前記キャリアガス導入管を挿脱可能に包囲する内径を有する短管と、
前記傾斜部と前記短管とを接続する複数の橋部と、
をさらに有し、
前記キャリアガス導入管を前記短管に挿通した状態で、前記傘型傾斜板を前記キャリアガス導入管の所定位置に固定する、
ことを特徴とする請求項13に記載の固体原料気化容器。
【請求項15】
複数の単管を連設する構造を有するとともに、一方の先端を前記ガス導入孔と接続し、他方の先端から前記容器内にキャリアガスを供給するキャリアガス導入管、
をさらに備え、
前記ガス導入孔と前記キャリアガス導入管との接続部分、および単管どうしの接続部分は、挿脱可能に挿嵌する構造とし、
前記傘型傾斜板は、前記キャリアガス導入管を構成する両端の単管以外の単管と一体に形成される、
ことを特徴とする請求項12に記載の固体原料気化容器。
【請求項16】
前記傾斜部に、下部からのガスを上方に通過させるための流路を形成する、
ことを特徴とする請求項12に記載の固体原料気化容器。
【請求項17】
化学気相成長(CVD)法による成膜に用いられる固体原料、または原子層堆積(ALD)法による成膜に用いられる固体原料、を貯留する、
ことを特徴とする請求項1~16のいずれか1つに記載の固体原料気化容器。
【請求項18】
請求項1~16のいずれか1つに記載の固体原料気化容器と、
固体原料と、
を備える、
ことを特徴とする固体原料気化供給システム。
【請求項19】
請求項17に記載の固体原料気化容器と、
固体原料と、
を備える、
ことを特徴とする固体原料気化供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体原料を気化させるための固体原料気化容器、およびその固体原料気化容器を用いた固体原料気化供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
化学気相成長(CVD)法や原子層堆積(ALD)法による成膜方法では、液体材料が原料(液体原料)であれば蒸発による気化方法を用いた供給システムが、一方で、高融点、低蒸気圧の固体材料が原料(固体原料)であれば昇華による気化方法を用いた供給システムが、それぞれ従来から用いられてきた。
【0003】
たとえば、液体原料の場合は、常圧、減圧を問わず液体原料が充填された原料気化容器を加熱する。これにより、原料気化容器の内部では、加熱による液体の対流現象によって充填された液体原料の温度が均一化され、原料全体への継続的な伝熱が行われる。
【0004】
一方、固体原料の場合は、外部加熱による原料の対流現象が発生しないことから、固体原料が充填された原料気化容器の外面(側面、底面)を加熱することによって原料気化容器の内面が熱源となり、容器内面に接触する固体原料から気化する。さらに、容器内面に接触する固体原料を媒体とする伝熱によって、容器内面に接触していない固体原料が気化する。
【0005】
また、固体原料に対して効率良く熱を伝えることが可能な容器として、下記特許文献1には、容器内の加熱表面積を増加させることによって、熱源となる内面と蒸発原料(固体原料に相当)との接触面積を増加させた蒸発器が開示されている。具体的にいうと、この蒸発器は、熱伝導性に優れたガスの導入管を容器内部に設けることによって、加熱された導入管に固体原料を接触させる構造や、蒸発器(外部容器)内に固体原料を充填した複数の内部容器(ホルダ)を積み重ねて配置することによって、固体原料の接触面積を増やす構造や、ホルダの底面にガス拡散用の貫通孔である管を設けることによって、加熱された管に固体原料を接触させる構造、等を有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載の蒸発器において、熱源であるホルダ(内部容器)の底面部分と固体原料との接触については、固体原料の気化に伴う自重による落下(自重落下)により継続するものの、もう一方の熱源であるホルダ内の側面部分、ガスの導入管およびガス拡散用の管と、固体原料との接触については、それらの壁面が垂直であるため、固体原料の気化が進むと壁面と固体原料との距離が徐々に離れていき、これにより、伝熱効率が低下し、徐々に気化量が減少する、という課題があった。
【0008】
すなわち、上記特許文献1に記載の蒸発器においては、ホルダ底面が固体原料への主な熱源となっており、時間の経過とともに、ホルダ内の側面部分、ガスの導入管およびガス拡散用の管からの熱が固体原料に伝わりづらい状態となるため、気化量が徐々に減少傾向となる。
【0009】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、時間の経過に伴う気化量の減少を抑制可能な固体原料気化容器および固体原料気化供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかる固体原料気化容器は、固体原料を貯留し、気化させるための固体原料気化容器であって、熱源として固体原料と接触する側壁および底部壁を有する容器と、キャリアガスを容器内に供給するための貫通孔であるガス導入孔および容器内におけるキャリアガスと気化ガスとの混合ガスを放出するための貫通孔であるガス導出孔が配設され、容器に対して密着かつ着脱可能に設けられた蓋体と、を備える。そして、この容器は、上端開口部よりも径小に形成された底部と、底部の周縁に向かって縮径する縮径部と、を備える。また、側壁は、縮径部に沿って形成された所定の傾斜を有する形状とし、接触する固体原料の気化に伴う未接触の固体原料の落下により継続的に固体原料と接触する。
【0011】
また、本発明にかかる固体原料気化容器において、側壁の傾斜角度は、充填する固体原料の物性を考慮して適宜設定することが望ましい。
【0012】
さらに、本発明にかかる固体原料気化容器は、一方の先端をガス導入孔と接続し、他方の先端から容器内にキャリアガスを供給するキャリアガス導入管、を備える。そして、ガス導入孔とキャリアガス導入管との接続部分は、挿脱可能に挿嵌する構造、または溶接により一体に接合された構造、とすることが望ましい。
【0013】
本発明にかかる固体原料気化容器によれば、固体原料の気化が進んでも固体原料が熱源である側壁から離れることがないため、伝熱効率が悪化することはなく、気化量を常時一定に保持することができる。
【0014】
つぎの発明にかかる固体原料気化容器は、固体原料を貯留し、気化させるための固体原料気化容器であって、熱源として固体原料と接触する側壁および底部壁を有する筒状の容器と、キャリアガスを容器内に供給するための貫通孔であるガス導入孔および容器内におけるキャリアガスと気化ガスとの混合ガスを放出するための貫通孔であるガス導出孔が配設され、容器に対して密着かつ着脱可能に設けられた蓋体と、側壁に向かって斜め下に傾斜する傾斜部を有する少なくとも1つの傘型傾斜板と、を備える。また、側壁および傾斜部により固体原料を充填するためのスペースが形成される。そして、傾斜部の傾斜により、側壁に接触する固体原料の気化に伴う未接触の固体原料の転落が発生し、側壁と固体原料が継続的に接触する。
【0015】
また、本発明にかかる固体原料気化容器において、傾斜部の傾斜角度は、充填する固体原料の物性を考慮して適宜設定することが望ましい。
【0016】
さらに、本発明にかかる固体原料気化容器は、一方の先端をガス導入孔と接続し、他方の先端から容器内にキャリアガスを供給するキャリアガス導入管、を備え、ガス導入孔とキャリアガス導入管との接続部分は、挿脱可能に挿嵌する構造とし、傘型傾斜板は、キャリアガス導入管の所定位置に固定する。そして、傘型傾斜板は、中心部においてキャリアガス導入管を挿脱可能に包囲する内径を有する短管と、傾斜部と短管とを接続する複数の橋部と、をさらに有し、キャリアガス導入管を短管に挿通した状態で、傘型傾斜板をキャリアガス導入管の所定位置に固定する。
【0017】
または、本発明にかかる固体原料気化容器は、側壁に、容器の中心に向かって階段状に形成された少なくとも1つの係止部を設け、傘型傾斜板の下端を係止部で係止することにより、傘型傾斜板を所定位置で保持する。さらに、一方の先端をガス導入孔と接続し、他方の先端から容器内にキャリアガスを供給するキャリアガス導入管、を備え、ガス導入孔とキャリアガス導入管との接続部分は、挿脱可能に挿嵌する構造、または溶接により一体に接合された構造、とする。
【0018】
または、本発明にかかる固体原料気化容器は、複数の単管を連設する構造を有するとともに、一方の先端をガス導入孔と接続し、他方の先端から容器内にキャリアガスを供給するキャリアガス導入管、をさらに備える。そして、ガス導入孔とキャリアガス導入管との接続部分、および単管どうしの接続部分は、挿脱可能に挿嵌する構造とし、傘型傾斜板は、キャリアガス導入管を構成する両端の単管以外の単管と一体に形成される。
【0019】
本発明にかかる固体原料気化容器によれば、固体原料の気化が進んでも固体原料が熱源である側壁から離れることがないため、伝熱効率が悪化することはなく、気化量を常時一定に保持することができる。
【0020】
また、つぎの発明にかかる固体原料気化容器は、固体原料を貯留し、気化させるための固体原料気化容器であって、熱源として固体原料と接触する側壁および底部壁を有する容器と、キャリアガスを容器内に供給するための貫通孔であるガス導入孔および容器内におけるキャリアガスと気化ガスとの混合ガスを放出するための貫通孔であるガス導出孔が配設され、容器に対して密着かつ着脱可能に設けられた蓋体と、側壁に向かって斜め下に傾斜する傾斜部を有する少なくとも1つの傘型傾斜板と、を備える。また、容器は、上端開口部よりも径小に形成された底部と、底部の周縁に向かって縮径する縮径部と、を備える。そして、側壁は、縮径部に沿って形成された所定の傾斜を有する形状とし、接触する固体原料の気化に伴う未接触の固体原料の落下により継続的に固体原料と接触し、さらに、傾斜部の傾斜により、側壁に接触する固体原料の気化に伴う未接触の固体原料の転落が発生し、側壁と固体原料が継続的に接触する。
【0021】
また、本発明にかかる固体原料気化容器において、側壁の傾斜角度および傾斜部の傾斜角度は、充填する固体原料の物性を考慮して適宜設定することが望ましい。
【0022】
さらに、本発明にかかる固体原料気化容器は、一方の先端をガス導入孔と接続し、他方の先端から容器内にキャリアガスを供給するキャリアガス導入管、を備え、ガス導入孔とキャリアガス導入管との接続部分は、挿脱可能に挿嵌する構造とし、傘型傾斜板は、キャリアガス導入管の所定位置に固定する。また、傘型傾斜板は、中心部においてキャリアガス導入管を挿脱可能に包囲する内径を有する短管と、傾斜部と短管とを接続する複数の橋部と、をさらに有し、キャリアガス導入管を短管に挿通した状態で、傘型傾斜板をキャリアガス導入管の所定位置に固定する。
【0023】
または、本発明にかかる固体原料気化容器は、複数の単管を連設する構造を有するとともに、一方の先端をガス導入孔と接続し、他方の先端から容器内にキャリアガスを供給するキャリアガス導入管、をさらに備え、ガス導入孔とキャリアガス導入管との接続部分、および単管どうしの接続部分は、挿脱可能に挿嵌する構造とし、傘型傾斜板は、キャリアガス導入管を構成する両端の単管以外の単管と一体に形成される。
【0024】
本発明にかかる固体原料気化容器によれば、固体原料の気化が進んでも固体原料が熱源である側壁から離れることがないため、伝熱効率が悪化することはなく、気化量を常時一定に保持することができる。
【0025】
なお、上述した固体原料気化容器において、傾斜部の下端部は、その周縁全体が容器の側壁に当接する形状とすることが望ましい。または、上記固体原料気化容器は、傾斜部の下端部に複数の突起を設け、突起部が容器の側壁に当接することが望ましい。
【0026】
また、上述した固体原料気化容器は、傾斜部に、下部からのガスを上方に通過させるための流路を形成することが望ましい。
【0027】
また、上述した固体原料気化容器は、化学気相成長法による成膜に用いられる固体原料を貯留すること、または、原子層堆積法による成膜に用いられる固体原料を貯留すること、が望ましい。
【0028】
本発明にかかる固体原料気化供給システムは、上述した固体原料気化容器と、固体原料と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明にかかる固体原料気化容器および固体原料気化供給システムによれば、時間の経過に伴う気化量の減少を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、本発明にかかる固体原料気化容器の第1の実施形態を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、キャリアガス導入管に設けられたガス流路の拡大図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態の固体原料気化容器を用いた固体原料気化供給システムを模式的に示す断面図である。
【
図4-1】
図4-1は、本発明にかかる固体原料気化容器の第2の実施形態を模式的に示す断面図である。
【
図4-2】
図4-2は、第2の実施形態の固体原料気化容器の分解構成図である。
【
図5】
図5は、傘型傾斜板の固定方法の一例を示す拡大図である。
【
図6】
図6は、傘型傾斜板の固定方法の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、傘型傾斜板の形状の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、傘型傾斜板の形状の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、傘型傾斜板の傾斜部の形態の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、傘型傾斜板の傾斜部の形態の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、傘型傾斜板の傾斜部の形態の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、第2の実施形態の固体原料気化容器を用いた固体原料気化供給システムを模式的に示す断面図である。
【
図13-1】
図13-1は、本発明にかかる固体原料気化容器の第3の実施形態を模式的に示す断面図である。
【
図13-2】
図13-2は、第3の実施形態の固体原料気化容器の分解構成図である。
【
図14】
図14は、第3の実施形態の固体原料気化容器を用いた固体原料気化供給システムを模式的に示す断面図である。
【
図15-1】
図15-1は、本発明にかかる固体原料気化容器の第4の実施形態を模式的に示す断面図である。
【
図15-2】
図15-2は、第4の実施形態の固体原料気化容器の分解構成図である。
【
図16】
図16は、第4の実施形態の固体原料気化容器を用いた固体原料気化供給システムを模式的に示す断面図である。
【
図17】
図17は、本発明にかかる固体原料気化容器の第5の実施形態を模式的に示す断面図である。
【
図18】
図18は、第5の実施形態の固体原料気化容器を用いた固体原料気化供給システムを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明にかかる固体原料気化容器および固体原料気化供給システムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、本願の明細書および図面において、同様に説明することが可能な要素については、同一の符号を付すことにより重複説明を省略する場合がある。
【0032】
<第1の実施形態>
本発明にかかる固体原料気化容器および固体原料気化供給システムの第1の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0033】
<全体構成>
図1は、本発明にかかる固体原料気化容器の第1の実施形態を模式的に示す断面図である。
【0034】
図1に示す固体原料気化容器100は、化学気相成長(CVD)法や原子層堆積(ALD)法による成膜方法において、固体原料を貯留し、昇華させるためのものであり、たとえば、容器本体(容器)1と、蓋体2と、容器1内にキャリアガスを供給するためのキャリアガス導入管3と、ガス導入口4から供給されたキャリアガスをキャリアガス導入管3側へ放出するための開閉弁として機能するガス導入バルブ5と、容器1内の気化ガス(混合ガス)をガス導出口6に向けて(半導体処理設備(図示せず)側へ)放出するための開閉弁として機能するガス導出バルブ7と、を備える。
【0035】
本実施形態では、容器1を外部から加熱することによって容器1内に充填された固体原料を加熱するとともに、ガス導入口4からキャリアガスを容器1内に供給する。これにより、固体原料気化容器100は、キャリアガスと外部からの加熱によって容器1内で昇華した気化ガスとを混合させた混合ガスを、ガス導出口6から放出する。
【0036】
<固体原料気化容器の詳細>
以下、本実施形態の固体原料気化容器100をさらに詳細に説明する。
【0037】
容器1は、たとえば、その上端開口部に蓋体2と密着可能に形成された環状の鍔部11と、鍔部11の内周に沿って鉛直下向きに形成された円筒部12と、容器1の上端開口部よりも径小に形成された円形状の底部13と、円筒部12の下端から底部13の周縁に向かって縮径する円錐台形状の縮径部14と、を備え、その内部には固体原料と接触する側壁15および底部壁16を有する構造とした。すなわち、本実施形態において、側壁15は、縮径部14に沿って形成された傾斜を有する。なお、
図1では、一例として、底部壁16を平面とした。
【0038】
また、本実施形態において、側壁15(縮径部14)の傾斜角度Aは、容器1の底部壁16(底部13)に対して75゜とした(
図1参照)。なお、側壁15の傾斜角度Aは、これに限るものではなく、充填する固体原料の物性、たとえば、安息角や流動性等を考慮して適宜設定することとしてもよいが、粉体がホッパーでブリッジ現象を発生させるとされている40°より急峻な傾斜角度であることが好ましく、45゜~85゜の範囲であることがより好ましく、70゜~80゜の範囲であることが最も好ましい。また、容器1の形状については、円錐台形状に限定するものではなく、側面が底に向かって上記傾斜角度Aの範囲で縮径する形状を有していれば、たとえば、多角錐形状であってもよい。
【0039】
容器1を上記のように構成することにより、固体材料を充填した容器1を外部から加熱すると、容器1内部では、熱源として機能する側壁15および底部壁16に接触する固体材料から気化が始まる。そして、熱源である底部壁16と固体原料との接触については、底部壁16に接触する固体原料の気化に伴う未接触の固体原料の自重落下によりその後も継続する。また、容器1に縮径部14(傾斜)を設けることによって、側壁15側においても固体原料の気化に伴う未接触の固体原料の自重落下が発生し(
図1矢印参照)、熱源である側壁15と固体原料が継続的に接触する。すなわち、本実施形態の固体原料気化容器100においては、固体原料の気化が進んでも固体原料が熱源である側壁15から離れることがないため、伝熱効率が悪化することはなく、気化量を常時一定に保持することができる。
【0040】
また、固体原料気化容器100において、蓋体2は、容器1の上端開口部に形成された鍔部11に密着かつ着脱可能に設けられている。そして、この蓋体2には、ガス導入口4から流入するキャリアガスを容器1内に供給するための貫通孔であるガス導入孔21、および容器1内の気化ガス(混合ガス)を放出するための貫通孔であるガス導出孔22、が溶接により配設されている。本実施形態では、一例として、ガス導入孔21を、キャリアガス拡散の観点から、円盤状に形成された蓋体2の中心部に設けることとし、さらに、ガス導出孔22を、蓋体2の中心部以外の場所に設けることとした。
【0041】
また、蓋体2と容器1の上端開口部に形成された鍔部11との接触部分は、リークを防止するためにO-リング型シールパッキン等でシールする。シールパッキンの材質は、充填する固体原料の気化可能温度に対して十分な耐熱性が保たれているものであって、容器1内に充填した固体原料によって侵されないもの(腐食、溶解、変質、偏析、組織破壊、崩壊等が発生しないもの)であればよい。また、シールパッキンの形状は、漏れがなく減圧真空度を保つことができればよく、O-リング型、平型、角型等、どのような形状であってもよい。
【0042】
また、蓋体2と容器1の上端開口部に形成された鍔部11との接触部分を密閉するためのシール方法については、リークを防止することができればよく、たとえば、O-リング型シールパッキン等を用いるシール方法の他、平ガスケットをナイフエッジでシールする方法等、一般的なシール方法が採用可能であり、特に限定するものではない。
【0043】
また、容器1(鍔部11)と蓋体2は、たとえば、双方に設けられたボルト挿入孔に挿入されたボルト部材(図示せず)と、このボルト部材に螺合して締結可能なナット部材(図示せず)、により固定される。
【0044】
また、本実施形態の固体原料気化容器100においては、ガス導入バルブ5およびガス導出バルブ7を開閉することにより、容器1内へのキャリアガスの供給、および容器1からの混合ガスの放出、を制御する。
【0045】
また、本実施形態の固体原料気化容器100においては、
図1に示すように、蓋体2の中心部に設けられたガス導入孔21に接続されたキャリアガス導入管3の先端が、容器1の底部壁16に当接する位置まで延伸する構造を有する。そして、本実施形態の固体原料気化容器100においては、キャリアガス導入管3の先端の閉塞を防止する目的で、その先端に切り込み加工を施し、少なくとも1つのガス流路23を設けることとした。
図2は、キャリアガス導入管3に設けられたガス流路23の拡大図である。なお、切り込みの代わりに、キャリアガス導入管3の先端部分に孔を設けることとしてもよい。
【0046】
これにより、ガス導入口4から、ガス導入バルブ5およびガス導入孔21を介して供給されたキャリアガスが、キャリアガス導入管3内を流れ、その先端のガス流路23から放出され、容器1内において拡散される。そして、容器1内で気化した固体原料(気化ガス)と容器1内で拡散したキャリアガスとを混合させた混合ガスが、ガス導出孔22およびガス導出バルブ7を介してガス導出口6から放出される。
【0047】
なお、本実施形態においては、ガス導入孔21に接続されたキャリアガス導入管3を介して容器1内部にキャリアガスを供給する構造としたが、これに限るものではない。たとえば、キャリアガス導入管3を設けることなく、ガス導入孔21から直接容器1内部にキャリアガスを供給することとしてもよい。
【0048】
また、ガス導入孔21とキャリアガス導入管3との接続方法は任意であるが、たとえば、挿脱可能に挿嵌する構造であってもよく、また、溶接により一体に接合された構造であってもよい。なお、ガス導入孔21とキャリアガス導入管3とを挿脱可能に挿嵌する構造を採用する場合は、リーク防止のために樹脂製O-リングやシールテープ等で接続部分をシールすることとしてもよいが、この構造によるリークは容器1内部でのリークであって充填した原料には影響がないことから、本実施形態ではシール加工をしないこととしてもよい。
【0049】
また、本実施形態においては、容器1の底部13(底部壁16)を平面として説明したが、これに限るものではなく、容器1の底部13(底部壁16)の形状は、固体原料が自重によって接触する構造であればよく、たとえば、平面、半球状、半楕円のような曲面であってもよい(凹面でも凸面でもよい)。また、円錐形状のように頂点を持つ形状であってもよい。
【0050】
<固体原料気化容器の使用方法>
本実施形態においては、まず、固体原料気化容器100のガス導入口4を、継手部材などを介してキャリアガスタンク(図示せず)と連結し、さらに、ガス導出口6を、継手部材などを介して半導体処理設備(図示せず)に連結する。
【0051】
つぎに、固体原料気化容器100の容器1に、固体原料を投入し、その後、容器1の鍔部11と蓋体2とを締結部材(ボルト部材、ナット部材)により固定し、蓋体2で容器1を密閉する。
【0052】
つぎに、キャリアガスタンク(図示せず)からキャリアガスを容器1内に供給するとともに、容器1を熱風恒温槽内で加熱することによって、熱源である側壁15側および底部壁16側から固体原料の気化が始まる。そして、気化に伴う未接触の固体原料の自重落下により側壁15および底部壁16に接触する固体原料が継続的に気化し、容器1内で気化した固体原料(気化ガス)とキャリアガスとを混合させた混合ガスが、ガス導出口6から放出される。
【0053】
その後、半導体処理設備(図示せず)において、CVD法またはALD法による成膜が行われる。この半導体処理設備は、成膜対象である基板が配置される設備(たとえば、CVD装置の反応室)であり、この半導体処理設備内に配置された基板上に所望の薄膜を形成する。
【0054】
このように、本実施形態の固体原料気化容器100は、常時一定量の気化ガス(原料ガス)を半導体処理設備(図示せず)に供給する。
【0055】
<固体原料気化供給システム>
つづいて、本実施形態の固体原料気化容器100を用いた固体原料気化供給システム101について説明する。
図3は、本実施形態の固体原料気化容器100を用いた固体原料気化供給システム101を模式的に示す断面図である。
【0056】
本実施形態の固体原料気化供給システム101は、上述した固体原料気化容器100と、容器1内に貯留された固体原料111と、を備えたものである。なお、この固体原料気化供給システム101は、容器1内にキャリアガスを供給するためのキャリアガス供給手段(図示せず)をさらに備えていてもよい。また、本実施形態の固体原料気化供給システム101は、固体原料気化容器100におけるガス導出口6よりも下流側に、混合ガスを貯留するためのバッファタンク(図示せず)をさらに備えていてもよい。ただし、このバッファタンクは任意の構成要素である。バッファタンクを備えている場合には、たとえば、固体原料気化容器100で生成された混合ガスが、バッファタンクから半導体処理設備(図示せず)に供給される。
【0057】
本実施形態の固体原料気化供給システム101では、ガス導入口4から供給されたキャリアガスが固体原料気化容器100内に流入し、このキャリアガスと外部からの加熱により固体原料気化容器100内で気化した固体原料111(気化ガス)とを混合させた混合ガスを、ガス導出口6から放出する。これにより、本実施形態の固体原料気化供給システム101においては、常時一定量の気化ガス(原料ガス)を半導体処理設備(図示せず)に供給することができる。
【0058】
<第2の実施形態>
つづいて、本発明にかかる固体原料気化容器および固体原料気化供給システムの第2の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、前述した第1の実施形態と同様に説明することが可能な要素については、同一の符号を付すことにより重複説明を省略する。
【0059】
<全体構成>
図4-1は、本発明にかかる固体原料気化容器の第2の実施形態を模式的に示す断面図であり、
図4-2は、第2の実施形態の固体原料気化容器の分解構成図である。
【0060】
図4-1および
図4-2において、固体原料気化容器200は、CVD法やALD法による成膜方法において、固体原料を貯留し、昇華させるためのものであり、たとえば、円筒形状の容器本体(容器)31と、蓋体2と、容器31内にキャリアガスを供給するためのキャリアガス導入管3と、ガス導入口4から供給されたキャリアガスをキャリアガス導入管3側へ放出するための開閉弁として機能するガス導入バルブ5と、容器31内の気化ガス(混合ガス)をガス導出口6に向けて(半導体処理設備(図示せず)側へ)放出するための開閉弁として機能するガス導出バルブ7と、容器31内部の側壁15に向かって斜め下に傾斜する傾斜部32aを有する少なくとも1つの円錐台形状(傘状)の傘型傾斜板32と、を備える。傘型傾斜板32を備えることによって、側壁15および傾斜部32aによるスペースが形成され、このスペースに固体原料を充填することが可能となる。本実施形態の固体原料気化容器200は、容器の形状および容器内部の構造が、第1の実施形態の固体原料気化容器100と異なる。
【0061】
本実施形態では、容器31内の底部壁16上および傘型傾斜板32の傾斜部32a上(上記スペースに相当)に固体原料を充填する。そして、容器31を外部から加熱することによって容器31内に充填された固体原料を加熱するとともに、ガス導入口4からキャリアガスを容器31内に供給する。これにより、本実施形態の固体原料気化容器200は、キャリアガスと外部からの加熱によって容器31内で昇華した気化ガスとを混合させた混合ガスを、ガス導出口6から放出する。
【0062】
<固体原料気化容器の詳細>
以下、本実施形態の固体原料気化容器200をさらに詳細に説明する。
【0063】
容器31は、たとえば、その上端開口部に蓋体2と密着可能に形成された環状の鍔部11と、鍔部11の内周に沿って鉛直下向き(容器31の底部壁16に対して90゜)に形成された円筒部33と、円筒部33の下端に形成された円形状の底部34と、を備え、その内部には固体原料と接触する側壁15および底部壁16を有する構造とした。
【0064】
また、本実施形態の固体原料気化容器200において、傘型傾斜板32には、円錐台の中心部に、溶接により一体に形成された短管35が設けられ、その短管35はキャリアガス導入管3を挿脱可能に包囲する内径を有する。また、短管35には管の側面を貫通するねじ溝36が形成されており、このねじ溝36を介してタップねじ37の先端でキャリアガス導入管3を短管35に押し付けることにより、傘型傾斜板32を、キャリアガス導入管3の所定位置、すなわち、容器31内部の所望の位置に固定する(
図5に示す拡大図参照)。
【0065】
なお、上記では、ねじ止めにより傘型傾斜板32をキャリアガス導入管3の所定位置に固定する場合について記載したが、これに限るものではない。たとえば、傘型傾斜板32は、
図6に示すように、ホースバンドに類似する形状のクリップ(
図6(b)参照)やねじ締めバンド(
図6(c)参照)等の落下防止治具をキャリアガス導入管3の所定位置に取り付けて傘型傾斜板32の落下を防止することによって(
図6(a)参照)、容器31内部の所望の位置に固定することとしてもよい。すなわち、傘型傾斜板32の固定方法は、傘型傾斜板32を容器31内部の所望の位置に固定することができる方法であればよく、任意である。また、
図6の固定方法を採用する場合には、短管35のねじ溝36は不要である。また、単管35の長さについては特に限定はしないが、用途に応じて適宜調整可能である。
【0066】
また、傘型傾斜板32において、円錐台の斜辺である傾斜部32aの傾斜角度Bは、前述した第1の実施形態の縮径部14の傾斜角度Aと同様に、容器31の底部13(底部壁16)に対して75゜とした(
図4-1参照)。なお、この傾斜角度Bは、傾斜角度A同様、充填する固体原料の物性を考慮して適宜設定することとしてもよいが、粉体がホッパーでブリッジ現象を発生させるとされている40°より急峻な傾斜角度であることが好ましく、45゜~85゜の範囲であることがより好ましく、70゜~80゜の範囲であることが最も好ましい。
【0067】
容器31の内部を上記のように構成することにより、固体材料を充填した容器31を外部から加熱すると、容器31内部では、熱源として機能する側壁15および底部壁16に接触する固体材料から気化が始まる。そして、熱源である底部壁16と固体原料との接触については、底部壁16に接触する固体原料の気化に伴う未接触の固体原料の自重落下によりその後も継続する。また、傘型傾斜板32を設けることによって、その傾斜により傾斜部32aでも、側壁15に接触する固体原料の気化に伴う未接触の固体原料の自重落下(転落)が発生し(
図4-1矢印参照)、熱源である側壁15と固体原料が継続的に接触する。すなわち、本実施形態の固体原料気化容器200においては、固体原料の気化が進んでも固体原料が熱源である側壁15から離れることがないため、伝熱効率が悪化することはなく、気化量を常時一定に保持することができる。
【0068】
また、本実施形態の固体原料気化容器200において、キャリアガス導入管3は、容器31内にキャリアガスを供給する機能の他、上述したように、傘型傾斜板32を所望の位置に固定するための軸として機能することから、第1の実施形態とは異なり必須の構成となる。
【0069】
また、本実施形態の固体原料気化容器200において、ガス導入孔21とキャリアガス導入管3との接続は、挿脱可能に挿嵌する構造によって実現することが好ましい。これにより、本実施形態の固体原料気化容器200では、キャリアガス導入管3の下方に固定された傘型傾斜板32から順に固体原料を充填することができる。具体的には、キャリアガス導入管3を1つの傘型傾斜板32の短管35に挿通し、容器31内においてこの傘型傾斜板32をキャリアガス導入管3に固定した状態で固体原料を充填し、その後、この充填作業をすべての傘型傾斜板32に対し繰り返し行い、最後に、キャリアガス導入管3の上端を蓋体2のガス導入孔21に挿嵌し密閉する(
図4-2参照)。
【0070】
なお、その他の固体原料気化容器200の構成については、前述した第1の実施形態の固体原料気化容器100と同様である。
【0071】
<傘型傾斜板の詳細>
つづいて、上述した傘型傾斜板32について詳細に説明する。
【0072】
図7および
図8は、傘型傾斜板32の形状の一例を示す図である。
図7および
図8において、本実施形態の傘型傾斜板32は、上述した傾斜部32aおよび短管35と、傾斜部32aと短管35とを接続する複数の橋部32bと、を備える。本実施形態においては、傾斜部32aと短管35との間の隙間(橋部32b間の隙間)が、気化した固体原料(気化ガス)とキャリアガスとを混合した混合ガスの流路となる。なお、
図7および
図8においては、橋部32bの本数を4本としているが、これに限るものではなく、傾斜部32aに載せる固体原料の量や重さ等に応じて適宜増減可能とする。
【0073】
また、
図7および
図8に示す傘型傾斜板32は、下方に向かって徐々に拡径する傾斜部32aの下端部の形状が、それぞれ異なっている。たとえば、
図4-1は、
図8に示す傘型傾斜板32が記載されている。
図7において、傾斜部32aの下端部は、円形状に形成され、たとえば、固体原料が下部に落下することなく1つの傘型傾斜板32で気化が完結するように、その周縁全体が容器31の側壁15に当接する。一方、
図8に示す傾斜部32aの下端部には、固体原料が傾斜部32aの傾斜に沿って下部に落下しやすいように、たとえば、等間隔に8つの突起32cを設けた。これにより、突起部32cのみが容器31の側壁15に当接するため、それぞれの突起32c間に隙間を形成することができ、この隙間から固体原料が自重落下することによって、固体原料と側壁15との接触面積が増大し、気化を促進させることができる。なお、
図8に示す突起32cの数および大きさは、これに限るものではなく任意である。また、上記では、傾斜部32aの下端部の全部または一部が側壁15に当接する例について記載したが、これらに限るものではなく、たとえば、傘型傾斜板32がキャリアガス導入管等に固定または一体化されている場合には、傾斜部32aの下端部が側壁15に当接しないこととしてもよい。
【0074】
また、
図9、
図10および
図11は、傘型傾斜板32の傾斜部32aの形態の一例を示す図である。詳細には、
図9には、傾斜部32aの表面に対し放射状に貫通する複数のスリット32dが形成された形態が示されており、
図10には、傾斜部32aの表面に対し一様に複数の貫通孔32eが形成された形態が示されており、
図11には、傾斜部32aの表面に対し網目状(篩状)の多数の隙間32fが形成された形態が示されている。これらの形態は、下部からのキャリアガスや混合ガスを上方に通過させるための流路が例示されたものであるが、傾斜部32aに形成される流路は、これらの形態に限るものではない。たとえば、ガス流路としての機能を有し、気化に伴う固体原料の流動性(自重による落下および転落)を妨げない構造であれば、傾斜部32aは、どのような形態で実現することとしてもよい。また、
図9、
図10および
図11において、傘型傾斜板32の形状は、
図7および
図8のいずれの形状であってもよい。
【0075】
<固体原料気化容器の使用方法>
本実施形態においては、まず、固体原料気化容器200のガス導入口4を、継手部材などを介してキャリアガスタンク(図示せず)と連結し、さらに、ガス導出口6を、継手部材などを介して半導体処理設備(図示せず)に連結する。
【0076】
つぎに、固体原料気化容器200の容器31に、固体原料を投入する。その際、本実施形態においては、まず、容器31の底部壁16に固体原料を充填し、その後、容器31内において、キャリアガス導入管3に下方から傘型傾斜板32を固定する毎に、傾斜部32a上(側壁15および傾斜部32aにより形成されるスペース)に固体原料を充填する作業を繰り返し行い、最後に、蓋体2のガス導入孔21とキャリアガス導入管3の上端とを接続する。その後、容器31の鍔部11と蓋体2とを締結部材(ボルト部材、ナット部材)により固定し、蓋体2で容器31を密閉する。
【0077】
つぎに、キャリアガスタンク(図示せず)からキャリアガスを容器31内に供給するとともに、容器31を熱風恒温槽内で加熱することによって、熱源である側壁15側および底部壁16側から固体原料の気化が始まる。そして、気化に伴う固体原料の自重落下(傾斜部32a上の転落を含む)により側壁15および底部壁16に接触する固体原料が継続的に気化し、容器31内で気化した固体原料(気化ガス)とキャリアガスとを混合させた混合ガスが、ガス導出口6から放出される。
【0078】
このように、本実施形態の固体原料気化容器200は、常時一定量の気化ガス(原料ガス)を半導体処理設備(図示せず)に供給する。
【0079】
<固体原料気化供給システム>
つづいて、本実施形態の固体原料気化容器200を用いた固体原料気化供給システム201について説明する。
図12は、本実施形態の固体原料気化容器200を用いた固体原料気化供給システム201を模式的に示す断面図である。
【0080】
本実施形態の固体原料気化供給システム201は、上述した固体原料気化容器200と、容器31内に貯留された固体原料111と、を備えたものである。なお、この固体原料気化供給システム201は、容器31内にキャリアガスを供給するためのキャリアガス供給手段(図示せず)をさらに備えていてもよい。また、本実施形態の固体原料気化供給システム201は、固体原料気化容器200におけるガス導出口6よりも下流側に、混合ガスを貯留するためのバッファタンク(図示せず)をさらに備えていてもよい。なお、このバッファタンクは任意の構成要素である。バッファタンクを備えている場合には、たとえば、固体原料気化容器200から放出された混合ガスが、バッファタンクから半導体処理設備(図示せず)に供給される。
【0081】
本実施形態の固体原料気化供給システム201では、ガス導入口4から供給されたキャリアガスが固体原料気化容器200内に流入し、このキャリアガスと外部からの加熱により固体原料気化容器200内で気化した固体原料111(気化ガス)とを混合させた混合ガスを、ガス導出口6から放出する。これにより、本実施形態の固体原料気化供給システム201においては、常時一定量の気化ガス(原料ガス)を半導体処理設備(図示せず)に供給することができる。
【0082】
<第3の実施形態>
つづいて、本発明にかかる固体原料気化容器および固体原料気化供給システムの第3の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、前述した第1および第2の実施形態と同様に説明することが可能な要素については、同一の符号を付すことにより重複説明を省略する。以下、第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0083】
<全体構成>
図13-1は、本発明にかかる固体原料気化容器の第3の実施形態を模式的に示す断面図であり、
図13-2は、第3の実施形態の固体原料気化容器の分解構成図である。
【0084】
図13-1および
図13-2において、固体原料気化容器300は、CVD法やALD法による成膜方法において、固体原料を貯留し、昇華させるためのものであり、たとえば、円筒形状の容器本体(容器)41と、蓋体2と、容器41内にキャリアガスを供給するためのキャリアガス導入管3と、ガス導入口4から供給されたキャリアガスをキャリアガス導入管3側へ放出するための開閉弁として機能するガス導入バルブ5と、容器41内の気化ガス(混合ガス)をガス導出口6に向けて(半導体処理設備(図示せず)側へ)放出するための開閉弁として機能するガス導出バルブ7と、容器41内部の側壁15に向かって斜め下に傾斜する傾斜部32aを有する少なくとも1つの円錐台形状(傘状)の傘型傾斜板32と、を備える。傘型傾斜板32を備えることによって、側壁15および傾斜部32aによるスペースが形成され、このスペースに固体原料を充填することが可能となる。本実施形態の固体原料気化容器300は、容器内部の構造が、第2の実施形態の固体原料気化容器200と異なる。
【0085】
本実施形態では、容器41内の底部壁16上および傘型傾斜板32の傾斜部32a上(上記スペースに相当)に固体原料を充填する。そして、容器41を外部から加熱することによって容器41内に充填された固体原料を加熱するとともに、ガス導入口4からキャリアガスを容器41内に供給する。これにより、本実施形態の固体原料気化容器300は、キャリアガスと外部からの加熱によって容器41内で昇華した気化ガスとを混合させた混合ガスを、ガス導出口6から放出する。
【0086】
<固体原料気化容器の詳細>
以下、本実施形態の固体原料気化容器300をさらに詳細に説明する。
【0087】
容器41は、たとえば、その上端開口部に蓋体2と密着可能に形成された環状の鍔部11と、鍔部11の内周に沿って鉛直下向き(容器41の底部壁16に対して90゜)に形成された円筒部33と、円筒部33の下端に形成された円形状の底部34と、を備え、その内部には固体原料と接触する側壁15および底部壁16を有する構造とした。そして、本実施形態において、側壁15には、少なくとも1つの傘型傾斜板32を配設するため、容器41の中心に向かって階段状に形成された少なくとも1つの環状の係止部42を設けることとした。傘型傾斜板32の下端を環状の係止部42で係止することにより、前述した第2の実施形態のようにキャリアガス導入管3に固定することなく、傘型傾斜板32を安定的に保持することができる。なお、係止部42が容器41の中心に向かって階段状に形成されていることから、下方に行くほど係止部42の直径が小さくなる。そのため、本実施形態においては、係止部42の直径の収縮に応じて、傘型傾斜板32の下端部周縁の径が下方に行くほど小さくなる。
【0088】
また、ガス導入孔21とキャリアガス導入管3との接続方法は、前述した第1の実施形態同様、任意であるが、たとえば、挿脱可能に挿嵌する構造であってもよく、また、溶接により一体に接合された構造であってもよい。また、
図13-1および
図13-2においては、第2の実施形態と同形状の傘型傾斜板32を使用しているが、これに限るものではない。たとえば、キャリアガス導入管3に固定することなく傘型傾斜板32を安定的に保持することができることから、
図7および
図8に示す短管35と橋部32bを不要とすることが可能である。また、これに伴い、キャリアガス導入管3自体を不要とすることも可能である。
【0089】
なお、その他の固体原料気化容器300の構成については、前述した第2の実施形態の固体原料気化容器200と同様である。
【0090】
<固体原料気化容器の使用方法>
本実施形態においては、まず、固体原料気化容器300のガス導入口4を、継手部材などを介してキャリアガスタンク(図示せず)と連結し、さらに、ガス導出口6を、継手部材などを介して半導体処理設備(図示せず)に連結する。
【0091】
つぎに、固体原料気化容器300の容器41に、固体原料を投入する。その際、本実施形態においては、まず、容器41の底部壁16に固体原料を充填し、その後、容器41内において、係止部42に下方から傘型傾斜板32を載置する毎に、傾斜部32a上(側壁15および傾斜部32aにより形成されるスペース)に固体原料を充填する作業を繰り返し行う。その後、容器41の鍔部11と蓋体2とを締結部材(ボルト部材、ナット部材)により固定し、蓋体2で容器41を密閉する。
【0092】
つぎに、キャリアガスタンク(図示せず)からキャリアガスを容器41内に供給するとともに、容器41を熱風恒温槽内で加熱することによって、熱源である側壁15側および底部壁16側から固体原料の気化が始まる。そして、気化に伴う固体原料の自重落下(傾斜部32aの転落を含む)により側壁15および底部壁16に接触する固体原料が継続的に気化し、容器41内で気化した固体原料(気化ガス)とキャリアガスとを混合させた混合ガスが、ガス導出口6から放出される。
【0093】
このように、本実施形態の固体原料気化容器300は、常時一定量の気化ガス(原料ガス)を半導体処理設備(図示せず)に供給する。
【0094】
<固体原料気化供給システム>
つづいて、本実施形態の固体原料気化容器300を用いた固体原料気化供給システム301について説明する。
図14は、本実施形態の固体原料気化容器300を用いた固体原料気化供給システム301を模式的に示す断面図である。
【0095】
本実施形態の固体原料気化供給システム301は、上述した固体原料気化容器300と、容器41内に貯留された固体原料111と、を備えたものである。なお、その他のシステム構成については、前述した第2の実施形態と同様であり、固体原料気化供給システム201および固体原料気化容器200を固体原料気化供給システム301および固体原料気化容器300に読み替えて説明可能であるため、重複説明を省略する。
【0096】
<第4の実施形態>
つづいて、本発明にかかる固体原料気化容器および固体原料気化供給システムの第4の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、前述した第1~第3の実施形態と同様に説明することが可能な要素については、同一の符号を付すことにより重複説明を省略する。以下、第2および第3の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0097】
<全体構成>
図15-1は、本発明にかかる固体原料気化容器の第4の実施形態を模式的に示す断面図であり、
図15-2は、第4の実施形態の固体原料気化容器の分解構成図である。
【0098】
図15-1および
図15-2において、固体原料気化容器400は、CVD法やALD法による成膜方法において、固体原料を貯留し、昇華させるためのものであり、たとえば、円筒形状の容器本体(容器)31と、蓋体2と、容器31内にキャリアガスを供給するためのキャリアガス導入管51と、ガス導入口4から供給されたキャリアガスをキャリアガス導入管51側へ放出するための開閉弁として機能するガス導入バルブ5と、容器31内の気化ガス(混合ガス)をガス導出口6に向けて(半導体処理設備(図示せず)側へ)放出するための開閉弁として機能するガス導出バルブ7と、容器31内部の側壁15に向かって斜め下に傾斜する傾斜部32aを有する少なくとも1つの円錐台形状(傘状)の傘型傾斜板32と、を備える。傘型傾斜板32を備えることによって、側壁15および傾斜部32aによるスペースが形成され、このスペースに固体原料を充填することが可能となる。本実施形態の固体原料気化容器400は、容器内部の構造、特に、キャリアガス導入管の構造が、第2および第3の実施形態の固体原料気化容器(200,300)と異なる。
【0099】
本実施形態では、容器31内の底部壁16上および傘型傾斜板32の傾斜部32a上(上記スペースに相当)に固体原料を充填する。そして、容器31を外部から加熱することによって容器31内に充填された固体原料を加熱するとともに、ガス導入口4からキャリアガスを容器31内に供給する。これにより、本実施形態の固体原料気化容器400は、キャリアガスと外部からの加熱によって容器31内で昇華した気化ガスとを混合させた混合ガスを、ガス導出口6から放出する。
【0100】
<固体原料気化容器の詳細>
以下、本実施形態の固体原料気化容器400をさらに詳細に説明する。
【0101】
本実施形態において、キャリアガス導入管51は、前述した各実施形態のキャリアガス導入管3と異なり、複数の単管を連設する構造とした。具体的にいうと、キャリアガス導入管51は、蓋体2のガス導入孔21と接続する最上部の単管35aと、キャリアガス導入管3としての機能を有する最下部の単管35bと、単管35aと単管35bの間に位置する少なくとも1つの単管35(傘型傾斜板32に設けられた単管35)と、を連設したものである。すなわち、単管35は、キャリアガス導入管51および傘型傾斜板32において共有の構成として機能する。
【0102】
また、本実施形態の固体原料気化容器400において、上下に接続される単管は、挿脱可能に挿嵌する構造を有することが望ましい。複数の単管(35a,35,35b)を連設してキャリアガス導入管51を形成することにより、キャリアガス導入管51は、前述した各実施形態のキャリアガス導入管3と同様の機能を有するとともに、さらに、短管に挿通されたキャリアガス導入管3に固定することなく傘型傾斜板32を安定的に保持することができる。
【0103】
また、
図15-1および
図15-2において、本実施形態の固体原料気化容器400は、ねじ止めにより固定することなく傘型傾斜板32を安定的に保持することができることから、
図5に示す短管35のねじ溝36は不要である。また、連設する各単管の長さについては、前述したように適宜調整する。また、単管35aは、溶接によりガス導入孔21と一体に接合された構造とすることとしてもよい。
【0104】
なお、その他の固体原料気化容器400の構成については、前述した第2の実施形態の固体原料気化容器200と同様である。
【0105】
<固体原料気化容器の使用方法>
本実施形態においては、まず、固体原料気化容器400のガス導入口4を、継手部材などを介してキャリアガスタンク(図示せず)と連結し、さらに、ガス導出口6を、継手部材などを介して半導体処理設備(図示せず)に連結する。
【0106】
つぎに、固体原料気化容器400の容器31に、固体原料を投入する。その際、本実施形態においては、まず、容器31の底部壁16に固体原料を充填し、その後、単管35bが所定位置に配置された容器31内において、下方から傘型傾斜板32を連接する毎に、傾斜部32a上(側壁15および傾斜部32aにより形成されるスペース)に固体原料を充填する作業を繰り返し行い、最上段の傘型傾斜板32に単管35aを接続した状態で、最後に、蓋体2のガス導入孔21と単管35aとを接続する。その後、容器31の鍔部11と蓋体2とを締結部材(ボルト部材、ナット部材)により固定し、蓋体2で容器31を密閉する。
【0107】
なお、その他の固体原料気化容器400の使用方法については、前述した第2の実施形態の固体原料気化容器200と同様である。
【0108】
<固体原料気化供給システム>
つづいて、本実施形態の固体原料気化容器400を用いた固体原料気化供給システム401について説明する。
図16は、本実施形態の固体原料気化容器400を用いた固体原料気化供給システム401を模式的に示す断面図である。
【0109】
本実施形態の固体原料気化供給システム401は、上述した固体原料気化容器400と、容器31内に貯留された固体原料111と、を備えたものである。なお、その他のシステム構成については、前述した第2の実施形態と同様であり、固体原料気化供給システム201および固体原料気化容器200を固体原料気化供給システム401および固体原料気化容器400に読み替えて説明可能であるため、重複説明を省略する。
【0110】
<第5の実施形態>
つづいて、本発明にかかる固体原料気化容器および固体原料気化供給システムの第5の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、前述した第1~第4の実施形態と同様に説明することが可能な要素については、同一の符号を付すことにより重複説明を省略する。
【0111】
<全体構成>
図17は、本発明にかかる固体原料気化容器の第5の実施形態を模式的に示す断面図である。
【0112】
図17において、固体原料気化容器500は、CVD法やALD法による成膜方法において、固体原料を貯留し、昇華させるためのものであり、たとえば、円筒形状の容器本体(容器)1と、蓋体2と、容器1内にキャリアガスを供給するためのキャリアガス導入管3と、ガス導入口4から供給されたキャリアガスをキャリアガス導入管3側へ放出するための開閉弁として機能するガス導入バルブ5と、容器31内の気化ガス(混合ガス)をガス導出口6に向けて(半導体処理設備(図示せず)側へ)放出するための開閉弁として機能するガス導出バルブ7と、容器1内部の側壁15に向かって斜め下に傾斜する傾斜部32aを有する少なくとも1つの円錐台形状(傘状)の傘型傾斜板32と、を備える。傘型傾斜板32を備えることによって、側壁15および傾斜部32aによるスペースが形成され、このスペースに固体原料を充填することが可能となる。本実施形態の固体原料気化容器500は、第1の実施形態の固体原料気化容器100と、第2の実施形態の固体原料気化容器200の容器31の内部構造と、を組み合わせたものである。
【0113】
本実施形態では、容器1内の底部壁16上および傘型傾斜板32の傾斜部32a上(上記スペースに相当)に固体原料を充填する。そして、容器1を外部から加熱することによって容器1内に充填された固体原料を加熱するとともに、ガス導入口4からキャリアガスを容器1内に供給する。これにより、本実施形態の固体原料気化容器500は、キャリアガスと外部からの加熱によって容器1内で昇華した気化ガスとを混合させた混合ガスを、ガス導出口6から放出する。
【0114】
なお、上記では、固体原料気化容器500を、固体原料気化容器100と固体原料気化容器200の容器31の内部構造とを組み合わせたものとして説明したが、これに限るものではなく、固体原料気化容器500は、たとえば、固体原料気化容器100と第4の実施形態の固体原料気化容器400の容器31の内部構造とを組み合わせたもの(図示せず)であってもよい。
【0115】
<固体原料気化容器の詳細>
以下、本実施形態の固体原料気化容器500をさらに詳細に説明する。
【0116】
図17において、本実施形態の固体原料気化容器500は、上述したとおり、第1の実施形態の固体原料気化容器100と、第2の実施形態の固体原料気化容器200の容器31の内部構造と、を組み合わせたものであるが、容器1は、底部13(底部壁16)の周縁に向かって縮径する円錐台形状の縮径部14を有することから、本実施形態においては、徐々に縮径する縮径部14の直径に対応する複数の傘型傾斜板32を用意する。そして、径の小さい傘型傾斜板32から順に下端部を側壁15に当接させることによって、傘型傾斜板32の位置を保持する。
【0117】
また、上述したように、縮径部14を有することにより傘型傾斜板32の位置を保持することはできる(落下はしない)が、本実施形態においては、傾斜部32aにおける固体原料の落下流動性(自重による落下、転落)の均一化の観点から、傘型傾斜板32の傾きを防止する目的のために、第2の実施形態に示す固定方法(タップねじ、クリップ、ねじ締めバンド等)を用いて傘型傾斜板32をキャリアガス導入管3に固定する。なお、傘型傾斜板32の傾きが発生しない条件で固体原料気化容器500を使用する場合には、キャリアガス導入管3を不要とすることとしてもよい。
【0118】
また、第4の実施形態の固体原料気化容器400の容器31の内部構造(短管連設構造)を採用した場合においても、上記同様、徐々に縮径する縮径部14の直径に対応する複数の傘型傾斜板32を用意する。
【0119】
容器1の内部を上記のように構成することにより、固体材料を充填した容器1を外部から加熱すると、容器1内部では、熱源として機能する側壁15および底部壁16に接触する固体材料から気化が始まる。そして、熱源である底部壁16と固体原料との接触については、底部壁16に接触する固体原料の気化に伴う未接触の固体原料の自重落下によりその後も継続する。また、容器1に縮径部13(傾斜)を設けることによって、側壁15側においても固体原料の気化に伴う未接触の固体原料の自重落下が発生し(
図17矢印C参照)、熱源である側壁15と固体原料が継続的に接触する。さらに、傘型傾斜板32を設けることによって、その傾斜により傾斜部32aでも、側壁15と接触する固体原料の気化に伴う未接触の固体原料の自重落下(転落)が発生し(
図17矢印D参照)、固体原料の固体流動性がさらに促進される(熱源である側壁15と固体原料が継続的に接触する)。すなわち、本実施形態の固体原料気化容器500においては、固体原料の気化が進んでも固体原料が熱源である側壁15から離れることがないため、伝熱効率が悪化することはなく、気化量を常時一定に保持することができる。
【0120】
なお、その他の固体原料気化容器500の構成については、前述した各実施形態の固体原料気化容器と同様である。
【0121】
<固体原料気化容器の使用方法>
本実施形態においては、まず、固体原料気化容器500のガス導入口4を、継手部材などを介してキャリアガスタンク(図示せず)と連結し、さらに、ガス導出口6を、継手部材などを介して半導体処理設備(図示せず)に連結する。
【0122】
つぎに、固体原料気化容器500の容器1に、固体原料を投入する。その際、本実施形態においては、まず、容器1の底部壁16に固体原料を充填し、その後、容器1内において、キャリアガス導入管3に下方から傘型傾斜板32を固定する毎に、傾斜部32a上(側壁15および傾斜部32aにより形成されるスペース)に固体原料を充填する作業を繰り返し行い、最後に、蓋体2のガス導入孔21とキャリアガス導入管3とを接続する。その後、容器1の鍔部11と蓋体2とを締結部材(ボルト部材、ナット部材)により固定し、蓋体2で容器1を密閉する。
【0123】
なお、その他の固体原料気化容器500の使用方法については、前述した第1の実施形態の固体原料気化容器100と同様である。
【0124】
<固体原料気化供給システム>
つづいて、本実施形態の固体原料気化容器500を用いた固体原料気化供給システム501について説明する。
図18は、本実施形態の固体原料気化容器500を用いた固体原料気化供給システム501を模式的に示す断面図である。
【0125】
本実施形態の固体原料気化供給システム501は、上述した固体原料気化容器500と、容器1内に貯留された固体原料111と、を備えたものである。なお、その他のシステム構成については、前述した第1の実施形態と同様であり、固体原料気化供給システム101および固体原料気化容器100を固体原料気化供給システム501および固体原料気化容器500に読み替えて説明可能であるため、重複説明を省略する。
【符号の説明】
【0126】
100,200,300,400,500 固体原料気化容器
101,201,301,401,501 固体原料気化供給システム
111 固体原料
1,31,41 容器(容器本体)
2 蓋体
3 キャリアガス導入管
4 ガス導入口
5 ガス導入バルブ
6 ガス導出口
7 ガス導出バルブ
11 鍔部
12 円筒部
13 底部
14 縮径部
15 側壁
16 底部壁
21 ガス導入孔
22 ガス導出孔
23 ガス流路
32 傘型傾斜板
32a 傾斜部
32b 橋部
32c 突起
32d スリット
32e 貫通孔
32f 隙間
33 円筒部
34 底部
35,35a,35b 短管
36 ねじ溝
37 タップねじ
42 係止部
51 キャリアガス導入管
【手続補正書】
【提出日】2024-05-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体原料を貯留し、気化させるための固体原料気化容器であって、
熱源として固体原料と接触する側壁および底部壁を有する筒状の容器と、
キャリアガスを前記容器内に供給するための貫通孔であるガス導入孔および前記容器内におけるキャリアガスと気化ガスとの混合ガスを放出するための貫通孔であるガス導出孔が配設され、前記容器に対して密着かつ着脱可能に設けられた蓋体と、
前記側壁に向かって斜め下に傾斜する傾斜部を有する少なくとも1つの傘型傾斜板と、
を備え、
前記側壁および前記傾斜部により固体原料を充填するためのスペースが形成され、
前記傾斜部の傾斜により、前記側壁に接触する固体原料の気化に伴う未接触の固体原料の転落が発生し、前記側壁と固体原料が継続的に接触し、
一方の先端を前記ガス導入孔と接続し、前記ガス導入孔を介して供給されたキャリアガスを他方の先端から前記容器内に放出するキャリアガス導入管、
をさらに備え、
前記ガス導入孔と前記キャリアガス導入管との接続部分は、挿脱可能に挿嵌する構造とし、
前記傘型傾斜板は、中心部において前記キャリアガス導入管を挿脱可能に包囲する内径を有する短管と、前記傾斜部と前記短管とを接続する複数の橋部と、をさらに有し、
前記キャリアガス導入管を前記短管に挿通した状態で、前記傘型傾斜板を前記キャリアガス導入管の所定位置に固定する、
ことを特徴とする固体原料気化容器。
【請求項2】
前記傾斜部の傾斜角度は、充填する固体原料の物性を考慮して適宜設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の固体原料気化容器。
【請求項3】
前記傾斜部に、下部からのガスを上方に通過させるための流路を形成する、
ことを特徴とする請求項2に記載の固体原料気化容器。
【請求項4】
固体原料を貯留し、気化させるための固体原料気化容器であって、
熱源として固体原料と接触する側壁および底部壁を有する筒状の容器と、
キャリアガスを前記容器内に供給するための貫通孔であるガス導入孔および前記容器内におけるキャリアガスと気化ガスとの混合ガスを放出するための貫通孔であるガス導出孔が配設され、前記容器に対して密着かつ着脱可能に設けられた蓋体と、
前記側壁に向かって斜め下に傾斜する傾斜部を有する少なくとも1つの傘型傾斜板と、
を備え、
前記側壁および前記傾斜部により固体原料を充填するためのスペースが形成され、
前記傾斜部の傾斜により、前記側壁に接触する固体原料の気化に伴う未接触の固体原料の転落が発生し、前記側壁と固体原料が継続的に接触し、
前記側壁に、前記容器の中心に向かって階段状に形成された少なくとも1つの係止部を設け、
前記傘型傾斜板の下端を前記係止部で係止することにより、前記傘型傾斜板を所定位置で保持する、
ことを特徴とする固体原料気化容器。
【請求項5】
一方の先端を前記ガス導入孔と接続し、前記ガス導入孔を介して供給されたキャリアガスを他方の先端から前記容器内に放出するキャリアガス導入管、
をさらに備え、
前記ガス導入孔と前記キャリアガス導入管との接続部分は、挿脱可能に挿嵌する構造、または溶接により一体に接合された構造、とする、
ことを特徴とする請求項4に記載の固体原料気化容器。
【請求項6】
前記傾斜部の傾斜角度は、充填する固体原料の物性を考慮して適宜設定する、
ことを特徴とする請求項5に記載の固体原料気化容器。
【請求項7】
前記傾斜部に、下部からのガスを上方に通過させるための流路を形成する、
ことを特徴とする請求項6に記載の固体原料気化容器。
【請求項8】
固体原料を貯留し、気化させるための固体原料気化容器であって、
熱源として固体原料と接触する側壁および底部壁を有する筒状の容器と、
キャリアガスを前記容器内に供給するための貫通孔であるガス導入孔および前記容器内におけるキャリアガスと気化ガスとの混合ガスを放出するための貫通孔であるガス導出孔が配設され、前記容器に対して密着かつ着脱可能に設けられた蓋体と、
前記側壁に向かって斜め下に傾斜する傾斜部を有する少なくとも1つの傘型傾斜板と、
を備え、
前記側壁および前記傾斜部により固体原料を充填するためのスペースが形成され、
前記傾斜部の傾斜により、前記側壁に接触する固体原料の気化に伴う未接触の固体原料の転落が発生し、前記側壁と固体原料が継続的に接触し、
複数の単管を連設する構造を有するとともに、一方の先端を前記ガス導入孔と接続し、前記ガス導入孔を介して供給されたキャリアガスを他方の先端から前記容器内に放出するキャリアガス導入管、
をさらに備え、
前記ガス導入孔と前記キャリアガス導入管との接続部分、および単管どうしの接続部分は、挿脱可能に挿嵌する構造とし、
前記傘型傾斜板は、前記キャリアガス導入管を構成する両端の単管以外の単管と一体に形成される、
ことを特徴とする固体原料気化容器。
【請求項9】
前記傾斜部の傾斜角度は、充填する固体原料の物性を考慮して適宜設定する、
ことを特徴とする請求項8に記載の固体原料気化容器。
【請求項10】
前記傾斜部に、下部からのガスを上方に通過させるための流路を形成する、
ことを特徴とする請求項9に記載の固体原料気化容器。
【請求項11】
固体原料を貯留し、気化させるための固体原料気化容器であって、
熱源として固体原料と接触する側壁および底部壁を有する容器と、
キャリアガスを前記容器内に供給するための貫通孔であるガス導入孔および前記容器内におけるキャリアガスと気化ガスとの混合ガスを放出するための貫通孔であるガス導出孔が配設され、前記容器に対して密着かつ着脱可能に設けられた蓋体と、
を備え、
前記容器は、上端開口部よりも径小に形成された底部と、前記底部の周縁に向かって縮径する縮径部と、を備え、
前記側壁は、前記縮径部に沿って形成された所定の傾斜を有する形状とし、接触する固体原料の気化に伴う未接触の固体原料の落下により継続的に固体原料と接触し、
前記側壁に向かって斜め下に傾斜する傾斜部を有する少なくとも1つの傘型傾斜板、
をさらに備え、
前記側壁および前記傾斜部により固体原料を充填するためのスペースが形成され、
前記傾斜部の傾斜により、前記側壁に接触する固体原料の気化に伴う未接触の固体原料の転落が発生し、前記側壁と固体原料が継続的に接触し、
一方の先端を前記ガス導入孔と接続し、前記ガス導入孔を介して供給されたキャリアガスを他方の先端から前記容器内に放出するキャリアガス導入管、
をさらに備え、
前記ガス導入孔と前記キャリアガス導入管との接続部分は、挿脱可能に挿嵌する構造とし、
前記傘型傾斜板は、前記キャリアガス導入管の所定位置に固定する、
ことを特徴とする固体原料気化容器。
【請求項12】
前記傘型傾斜板は、
中心部において前記キャリアガス導入管を挿脱可能に包囲する内径を有する短管と、
前記傾斜部と前記短管とを接続する複数の橋部と、
をさらに有し、
前記キャリアガス導入管を前記短管に挿通した状態で、前記傘型傾斜板を前記キャリアガス導入管の所定位置に固定する、
ことを特徴とする請求項11に記載の固体原料気化容器。
【請求項13】
前記側壁の傾斜角度および前記傾斜部の傾斜角度は、充填する固体原料の物性を考慮して適宜設定する、
ことを特徴とする請求項12に記載の固体原料気化容器。
【請求項14】
前記傾斜部に、下部からのガスを上方に通過させるための流路を形成する、
ことを特徴とする請求項13に記載の固体原料気化容器。
【請求項15】
固体原料を貯留し、気化させるための固体原料気化容器であって、
熱源として固体原料と接触する側壁および底部壁を有する容器と、
キャリアガスを前記容器内に供給するための貫通孔であるガス導入孔および前記容器内におけるキャリアガスと気化ガスとの混合ガスを放出するための貫通孔であるガス導出孔が配設され、前記容器に対して密着かつ着脱可能に設けられた蓋体と、
を備え、
前記容器は、上端開口部よりも径小に形成された底部と、前記底部の周縁に向かって縮径する縮径部と、を備え、
前記側壁は、前記縮径部に沿って形成された所定の傾斜を有する形状とし、接触する固体原料の気化に伴う未接触の固体原料の落下により継続的に固体原料と接触し、
前記側壁に向かって斜め下に傾斜する傾斜部を有する少なくとも1つの傘型傾斜板、
をさらに備え、
前記側壁および前記傾斜部により固体原料を充填するためのスペースが形成され、
前記傾斜部の傾斜により、前記側壁に接触する固体原料の気化に伴う未接触の固体原料の転落が発生し、前記側壁と固体原料が継続的に接触し、
複数の単管を連設する構造を有するとともに、一方の先端を前記ガス導入孔と接続し、前記ガス導入孔を介して供給されたキャリアガスを他方の先端から前記容器内に放出するキャリアガス導入管、
をさらに備え、
前記ガス導入孔と前記キャリアガス導入管との接続部分、および単管どうしの接続部分は、挿脱可能に挿嵌する構造とし、
前記傘型傾斜板は、前記キャリアガス導入管を構成する両端の単管以外の単管と一体に形成される、
ことを特徴とする固体原料気化容器。
【請求項16】
前記側壁の傾斜角度および前記傾斜部の傾斜角度は、充填する固体原料の物性を考慮して適宜設定する、
ことを特徴とする請求項15に記載の固体原料気化容器。
【請求項17】
前記傾斜部に、下部からのガスを上方に通過させるための流路を形成する、
ことを特徴とする請求項16に記載の固体原料気化容器。
【請求項18】
化学気相成長(CVD)法による成膜に用いられる固体原料、または原子層堆積(ALD)法による成膜に用いられる固体原料、を貯留する、
ことを特徴とする請求項1~17のいずれか1つに記載の固体原料気化容器。
【請求項19】
請求項1~17のいずれか1つに記載の固体原料気化容器と、
固体原料と、
を備える、
ことを特徴とする固体原料気化供給システム。
【請求項20】
請求項18に記載の固体原料気化容器と、
固体原料と、
を備える、
ことを特徴とする固体原料気化供給システム。