(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104072
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】位置決め機構
(51)【国際特許分類】
B23Q 1/00 20060101AFI20240726BHJP
B25J 19/00 20060101ALI20240726BHJP
F16M 7/00 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
B23Q1/00 S
B25J19/00 C
F16M7/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008093
(22)【出願日】2023-01-23
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000223285
【氏名又は名称】ユアサ商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094536
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 隆二
(74)【代理人】
【識別番号】100129805
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100189315
【弁理士】
【氏名又は名称】杉原 誉胤
(72)【発明者】
【氏名】荒井 正明
【テーマコード(参考)】
3C048
3C707
【Fターム(参考)】
3C048AA03
3C707AS05
3C707BS09
3C707CS08
3C707KS18
3C707MT01
3C707WA16
(57)【要約】
【課題】工場設備機器に対して、低コストで且つ簡単な作業でロボットユニットを位置決めして着脱自在に設置できる位置決め機構を提供する。
【解決手段】工場設備機器に対してロボットユニットRUを位置決めして設置する位置決め機構であって、ロボットユニットRUは、下端部に移動用キャスター201が設けられ、ロボットユニットRUの下端部に固定して取り付けられた位置決め板PBと、工場設備機器の設置位置に隣接する床面GLに固定して設置される位置決めユニットPUとを有し、位置決め板PBは、基板100と、基板100から突出するプルボルト120と、プルボルトを挟んだ両側の位置から突出する凸130を有し、位置決めユニットPUには、位置決め板PBのプルボルト120を引き込み固定する引き込みクランプ20と、位置決め板の凸部130が挿入されて嵌合する、一対の凹部30とが設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工場設備機器に対してロボットアームを備えたロボットユニットを位置決めして着脱自在に設置する位置決め機構であって、
前記ロボットユニットは、下端部に移動用キャスターが設けられ任意の位置に移動可能になっており、
前記ロボットユニットの下端部に固定して取り付けられた位置決め板と、
前記工場設備機器の設置位置に隣接する床面に固定して設置される位置決めユニットとを有し、
前記位置決め板は、前記ロボットユニットの下端部に固定され取り付けられる平板状の基板と、該基板の一方面のから突出するプルボルトと、該基板の一方面において該プルボルトを挟んだ両側の位置であって且つ該プルボルトよりも下方の位置から突出する、1対の凸部とを有し、
前記位置決めユニットは、前記床面に載置される底板部と、該底板部の上面から立設する垂直片部と、該垂直片部の一方面に支持されている位置決め部とを有し、
前記位置決め部には、前記プルボルトを引き込み固定するとともに該固定された前記プルボルトの固定を解除して押し出す引き込みクランプと、前記位置決め板の一対の凸部が挿入されて嵌合する、一対の凹部とが設けられ、
前記引き込みクランプが前記プルボルトを引き込み固定すると、その際に、前記ロボットユニットに固定されている位置決め板が該プルボルトの引き込まれる方向に付勢され、該位置決め板の凸部が前記位置決めユニットの凹部に挿入して嵌合し、工場設備機器に対する所定位置に前記ロボットユニットが位置決めされ固定され、
前記引き込みクランプが固定された前記プルボルトの固定を解除して押し出すと、その際に、前記ロボットユニットに固定されている位置決め板が該プルボルトの押し出される方向に付勢され、該位置決め板の凸部が前記位置決めユニットの凹部から離間する方向に押し出されて、前記ロボットユニットの固定が解除されて任意の位置に移動できるようになることを特徴とする位置決め機構。
【請求項2】
工場設備機器に対してワークを収容するストッカーユニットを位置決めして着脱自在に設置する位置決め機構であって、
前記ストッカーユニットは、下端部に移動用キャスターが設けられ任意の位置に移動可能になっており、
前記ストッカーユニットの下端部に固定して取り付けられた位置決め板と、
前記工場設備機器の設置位置に隣接する床面に固定して設置される位置決めユニットとを有し、
前記位置決め板は、前記ストッカーユニットの下端部に固定され取り付けられる平板状の基板と、該基板の一方面のから突出するプルボルトと、該基板の一方面において該プルボルトを挟んだ両側の位置であって且つ該プルボルトよりも下方の位置から突出する、1対の凸部とを有し、
前記位置決めユニットは、前記床面に載置される底板部と、該底板部の上面から立設する垂直片部と、該垂直片部の一方面に支持されている位置決め部とを有し、
前記位置決め部には、前記位置決め板の前記プルボルトを引き込み固定するとともに該固定されたプルボルトの固定を解除して押し出す引き込みクランプと、前記位置決め板の一対の凸部が挿入されて嵌合する、一対の凹部とが設けられ、
前記引き込みクランプが前記プルボルトを引き込み固定すると、その際に、前記ストッカーユニットに固定されている位置決め板が該プルボルトの引き込まれる方向に付勢され、該位置決め板の凸部が前記位置決めユニットの凹部に挿入して嵌合し、工場設備機器に対する所定位置に前記ストッカーユニットが位置決めされ固定され、
前記引き込みクランプが固定された前記プルボルトの固定を解除して押し出すと、その際に、前記ストッカーユニットに固定されている位置決め板が該プルボルトの押し出される方向に付勢され、該位置決め板の凸部が前記位置決めユニットの凹部から離間する方向に押し出されて、前記ストッカーユニットの固定が解除されて任意の位置に移動できるようになることを特徴とする位置決め機構。
【請求項3】
前記位置決め部は、平板状の基部を有し、該基部が前記垂直片部の一方面に支持されており、
前記基部の一方面には、前記引き込みクランプと1対の前記凹部とが設けられており、
前記引き込みクランプは、前記プルボルトが挿嵌される孔部と、該孔部に該プルボルトを引き込み固定したり、該孔部に引き込まれて固定された該プルボルトの固定を解除して押し出したりするレバーとを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の位置決め機構。
【請求項4】
前記位置決めユニットは、前記位置決め部の上下方向の位置を調節する位置調節機構が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の位置決め機構。
【請求項5】
前記工場設備機器には、工作機械、三次元測定器、コンベア及び成形機のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の位置決め機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置決め機構に関し、例えば、工作機械やコンベア等の工場設備機器にロボットユニット或いはストッカーユニットを位置決めして着脱自在に設置する位置決め機構に関する。
【背景技術】
【0002】
工場において、ワークを加工する工作機械から、加工されたワークを取り出してストッカーに収納する工程を行わせる場合、工作機械の横に、常設で、ロボットシステムを設置することが行われている。このロボットシステムは、工作機械の横の床面に基礎工事をして設置された強固な架台と、架台の上に固定されたロボットアームと、架台の上に固定されたストッカーとを備えている。そして、ロボットアームが工作機械から加工されたワークを取り出し、ストッカーにワークを収納していくことが行われている。
【0003】
上記のような、工作機械の横に、常設でロボットシステムを設置する方法は、工作機械を調整する際に、ロボットシステムが邪魔になり、十分な作業エリアが確保されず、作業者に大きな労力負担をかけるという課題が生じている。また、上記の方法は、工作機械の横に、常設でロボッットシステムが設置されているため、ロボットシステムを使用しないで、作業者が工作機械に対して、細かい操作をしてワークを加工し、作業者自身が工作機械からワークを取り出すような作業に対応することができない。
さらに、上記の方法は、工作機械の横の床面に基礎工事をして強固な架台を作る作業が必要であるため、設置労力も設置コストもかかるという課題も有している。
【0004】
そして、上記のような、工作機械の横にロボットシステムを固定して設置することによる不具合を解消するための技術として、例えば、特許文献1には、工作機械に対して移動可能に設置した工作機械用ロボットユニットが開示されている。
【0005】
この工作機械用ロボットユニットは、工作機械が設置された床面に工作機械と平行に敷設されたガイドレールと、ガイドレールに沿ってスライド可能なブロックと、下面部がブロックに固定された架台とを備え、架台の上面に、ロボットアームと、交換爪ストック部と、ハンドストック部と、被加工物ストック部とが設置されている。
また、上記の工作機械は、加工空間を有し、ドアを開くと加工空間が開口するようになっている。また、加工空間内には、被加工物を固定及び固定解除するためのチャッックと、被加工物を把持するためにチャックに取り付けられるチャック爪とが設けられている。
【0006】
また、ガイドレールは、工作機械の横方向の長さ寸法と略同じ長さ寸法で、工作機械の横方向の一端部から所定長さ寸法だけ横方向にずらして設置されている(引用文献1の
図1参照)。
上記の工作機械用ロボットユニットは、ガイドレールに沿って、工作機械の加工空間と相対向する開口位置(引用文献1の
図1(a))と、開口位置から離れた退避位置(引用文献1の
図1(b))との間で移動可能になっている。
そして、特許文献1に記載の工作機械用ロボットは、例えば、工作機械を調整したい場合等には、ロボットユニットを退避位置に移動させることで、工作機械の加工空間の開口位置の前の空間を空けることができ、作業者が工作機械に接近して段取り作業等を行うことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載の工作機械用ロボットユニットは、工作機械に対して横方向に平行に移動させて、工作機械の加工空間の開口位置の前を空けることをできるようにしたものであり、工作機械の前方や周囲を全面的に空けることはできない。
そのため、特許文献1に記載の発明は、工作機械用ロボットユニットを使用しないで、作業者が工作機械に対して、細かい操作をしてワークを加工し、作業者自身が工作機械からワークを取り出すような作業をする際に、必ずしも、十分に作業エリアを確保できるものではない。
また、特許文献1に記載の工作機械用ロボットユニットは、特定の工作機械に隣接して敷設されたガイドレールに沿って、開口位置と、退避位置との間を移動できる構成が採用され、特定の工作機械に対して専用で用いることを想定している。すなわち、特許文献1に記載の工作機械用ロボットは、任意の位置に移動できる構成ではないため、工場の別の場所に設置されている「他の工作機械」や「他の工場設備機器(三次元測定機、コンベア等)に汎用的に利用することを考慮していない。
【0009】
また、特許文献1に記載の工作機械用ロボットは、床面にガイドレールを敷設する工事が必要であり、設置コストが嵩むという課題も有している。なお、特許文献1に記載の工作機械用ロボットにおいて、工作機械の前方や周囲を全面的に開放させるために、床面に長い距離寸法のガイドレールを敷設する方法も考えられるが、この方法では、さらに、設備コストが嵩むとともに、長い距離寸法のガイドレールが工場内の他の作業の邪魔になるという別の課題も生じる。
なお、特許文献1に記載工作機械用ロボットは、工作機械の加工空間の開口位置に配置した際に、工作機械との位置調整が必要になると思われるが、それについての具体的な構成の開示はなされていない。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、工作機械やコンベア等の工場設備機器に対して、低コストで且つ簡単な作業でロボットユニット或いはストッカーユニットを位置決めして着脱自在に設置できる位置決め機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためになされた本発明は、工場設備機器に対してロボットアームを備えたロボットユニットを位置決めして着脱自在に設置する位置決め機構であって、前記ロボットユニットは、下端部に移動用キャスターが設けられ任意の位置に移動可能になっており、前記ロボットユニットの下端部に固定して取り付けられた位置決め板と、前記工場設備機器の設置位置に隣接する床面に固定して設置される位置決めユニットとを有し、前記位置決め板は、前記ロボットユニットの下端部に固定され取り付けられる平板状の基板と、該基板の一方面のから突出するプルボルトと、該基板の一方面において該プルボルトを挟んだ両側の位置であって且つ該プルボルトよりも下方の位置から突出する、1対の凸部とを有し、前記位置決めユニットは、前記床面に載置される底板部と、該底板部の上面から立設する垂直片部と、該垂直片部の一方面に支持されている位置決め部とを有し、前記位置決め部には、前記プルボルトを引き込み固定するとともに該固定された前記プルボルトの固定を解除して押し出す引き込みクランプと、前記位置決め板の一対の凸部が挿入されて嵌合する、一対の凹部とが設けられ、前記引き込みクランプが前記プルボルトを引き込み固定すると、その際に、前記ロボットユニットに固定されている位置決め板が該プルボルトの引き込まれる方向に付勢され、該位置決め板の凸部が前記位置決めユニットの凹部に挿入して嵌合し、工場設備機器に対する所定位置に前記ロボットユニットが位置決めされ固定され、前記引き込みクランプが固定された前記プルボルトの固定を解除して押し出すと、その際に、前記ロボットユニットに固定されている位置決め板が該プルボルトの押し出される方向に付勢され、該位置決め板の凸部が前記位置決めユニットの凹部から離間する方向に押し出されて、前記ロボットユニットの固定が解除されて任意の位置に移動できるようになることを特徴とする。
【0012】
このように、本発明によれば、位置決めユニットに設けられた引き込みクランプがプルボルトを引き込み固定すると、その際に、ロボットユニットに固定されている位置決め板がプルボルトの引き込まれる方向に付勢され、位置決め板の凸部が位置決めユニットの凹部に挿入して嵌合し、工場設備機器に対する所定位置に前記ロボットユニットが位置決めされ固定される。すなわち、本発明によれば、工場設備機器の設置位置に隣接する床面に固定して設置される位置決めユニットの引き込みクランプを操作することで、簡単に、工場設備機器に対する所定位置に、ロボットユニットを位置決めして固定することができる。
また、本発明によれば、位置決めユニットに設けられた引き込みクランプが固定されたプルボルトの固定を解除して押し出すと、その際に、ロボットユニットに固定されている位置決め板がプルボルトの押し出される方向に付勢され、位置決め板の凸部が位置決めユニットの凹部から離間する方向に押し出されて、ロボットユニットの固定が解除されて任意の位置に移動できるようになる。すなわち、本発明によれば、工場設備機器の設置位置に隣接する床面に固定して設置される位置決めユニットの引き込みクランプを操作することで、簡単に、工場設備機器に対する所定位置に位置決めされて固定されているロボットユニットの固定を解除することができる。
【0013】
また、位置決めユニットとの固定が解除されたロボットユニットは、任意の位置に移動させることができるので、例えば、工場設備機器から大きく離れた位置にロボットユニットを移動させて、工場設備機器の周囲のエリアを全面的に空けることができる。そのため、ロボットユニットを使用しないで、作業者が工場設備機器に対して、細かい操作をしてワークを加工し、作業者自身が工場設備機器からワークを取り出すような作業をしようとした場合に、十分な作業エリアが確保できる。
また、位置決めユニットとの固定が解除されたロボットユニッは、任意の位置に移動させることができるので、ロボットユニットを「他の工場設備機器」に利用することも可能になる。
また、本発明の位置決め機構は、工場設備機器の横の床面GLに、ロボットアームを設置するための強固な架台を設けたり、或いは、上述した特許文献1に記載の発明のように、工作機械の横の床面GLにガイドレールを敷設する必要もなく、コストを抑えることができる。
【0014】
また、本発明は、工場設備機器に対してワークを収容するストッカーユニットを位置決めして着脱自在に設置する位置決め機構であって、前記ストッカーユニットは、下端部に移動用キャスターが設けられ任意の位置に移動可能になっており、前記ストッカーユニットの下端部に固定して取り付けられた位置決め板と、前記工場設備機器の設置位置に隣接する床面に固定して設置される位置決めユニットとを有し、前記位置決め板は、前記ストッカーユニットの下端部に固定され取り付けられる平板状の基板と、該基板の一方面のから突出するプルボルトと、該基板の一方面において該プルボルトを挟んだ両側の位置であって且つ該プルボルトよりも下方の位置から突出する、1対の凸部とを有し、前記位置決めユニットは、前記床面に載置される底板部と、該底板部の上面から立設する垂直片部と、該垂直片部の一方面に支持されている位置決め部とを有し、前記位置決め部には、前記位置決め板の前記プルボルトを引き込み固定するとともに該固定されたプルボルトの固定を解除して押し出す引き込みクランプと、前記位置決め板の一対の凸部が挿入されて嵌合する、一対の凹部とが設けられ、前記引き込みクランプが前記プルボルトを引き込み固定すると、その際に、前記ストッカーユニットに固定されている位置決め板が該プルボルトの引き込まれる方向に付勢され、該位置決め板の凸部が前記位置決めユニットの凹部に挿入して嵌合し、工場設備機器に対する所定位置に前記ストッカーユニットが位置決めされ固定され、前記引き込みクランプが固定された前記プルボルトの固定を解除して押し出すと、その際に、前記ストッカーユニットに固定されている位置決め板が該プルボルトの押し出される方向に付勢され、該位置決め板の凸部が前記位置決めユニットの凹部から離間する方向に押し出されて、前記ストッカーユニットの固定が解除されて任意の位置に移動できるようになることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、工場設備機器の設置位置に隣接する床面に固定して設置される位置決めユニットの引き込みクランプを操作することで、簡単に、工場設備機器に対する所定位置にストッカーユニットを位置決めして固定することができる。
また、本発明によれば、工場設備機器の設置位置に隣接する床面に固定して設置される位置決めユニットの引き込みクランプを操作することで、簡単に、工場設備機器に対する処理位置に位置決めされて固定されているストッカーユニットの固定を解除することができる。
また、位置決めユニットとの固定が解除されたストッカーユニットは、任意の位置に移動させることができるので、例えば、工場設備機器から大きく離れた位置にストッカーユニットを移動させて、工場設備機器の周囲のエリアを全面的に空けることができる。
また、位置決めユニットとの固定が解除されたストッカーユニッは、任意の位置に移動させることができるので、ストッカーユニットを「他の工場設備機器に利用することが可能になる。
また、本発明の位置決め機構は、工場設備機器の横の床面に、ストッカーユニットを設置するための強固な架台を設けたり、或いは、上述した特許文献1に記載の発明のように、工作機械の横の床面にガイドレールを敷設する必要もなく、コストを抑えることができる。
【0016】
前記位置決め部は、平板状の基部を有し、該基部が前記垂直片部の一方面に支持されており、前記基部の一方面には、前記引き込みクランプと1対の前記凹部とが設けられており、前記引き込みクランプは、前記プルボルトが挿嵌される孔部と、該孔部に該プルボルトを引き込み固定したり、該孔部に引き込まれて固定された該プルボルトの固定を解除して押し出したりするレバーとを有していることが望ましい。
このように、本発明によれば、引き込みクランプのレバーを操作するという簡単な作業で、工場設備機器に対する所定位置に、ロボットユニット(或いはストッカーユニット)を位置決めして固定したり、固定されているロボットユニット(或いはストッカーユニット)の固定を解除して任意の位置に移動できる状態にすることができる。
【0017】
また、前記位置決めユニットは、前記位置決め部の上下方向の位置を調節する位置調節機構が設けられていることが望ましい。
このように、位置決めユニットの上下方向の位置を調節できる機能により、位置決めユニットの設置環境により、位置決めユニットの引き込みクランプと、ロボットユニット(或いはストッカーユニット)に取り付けた位置決め板のプルボルトの位置が合わない場合に対応することができる。
【0018】
前記工場設備機器には、工作機械、三次元測定器、コンベア及び成形機のいずれかであることが望ましい。
本発明は、工場設備機器の設置位置の床面に、工場設備機器とは別体の位置決めユニットを固定する構成を採用しているので、様々な工場設備機器に、後付けで対応することが可能になる。
【0019】
本発明によれば、工作機械やコンベア等の工場設備機器に対して、低コストで且つ簡単な作業でロボットユニット或いはストッカーユニットを位置決めして着脱自在に設置できる位置決め機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態の位置決め機構の構成を示した模式図であり、工作機械に隣接する床面に設置され位置決めユニットと、ロボットユニットに取り付けられた位置決めボードとが離間している状態を示して模式図である。
【
図2】本発明の実施形態の位置決め機構の構成を示した模式図であり、工作機械に隣接する床面に設置され位置決めユニットと、ロボットユニットに取り付けられた位置決めボードとが位置決めされて連結している状態を示した模式図である。
【
図3】本発明の実施形態の位置決め機構を構成する位置決めボードが取り付けられるロボットユニット及びストッカーユニットを斜め上方から視た模式図である。
【
図4】本発明の実施形態の位置決め機構を構成する位置決めボードが取り付けられ且つ位置決めユニットに連結されたロボットユニット及びストッカーユニットの内部の構成を示した模式図である。
【
図5】本発明の実施形態の位置決め機構を構成する位置決めユニットを説明するための模式図であり、(a)が位置決めユニットを斜め上方から視た模式図であり、(b)が位置決めユニットを上面から視た模式図である。
【
図6】本発明の実施形態の位置決め機構を構成する位置決めユニットを説明するための模式図であり、(a)が位置決めユニットを正面から視た模式図であり、(b)が位置決めユニットを側面から視た模式図である。
【
図7】本発明の実施形態の位置決め機構を構成する位置決めボードを説明するための模式図であり、(a)がロボットユニットに取り付けられた位置決めボードを正面から視た模式図であり、(b)がロボットユニットに取り付けられた位置決めボードを側面から視た模式図である。
【
図8】本発明の実施形態の位置決め機構を構成する位置決めボードを説明するための模式図であり、ロボットユニットに取り付けられた位置決めボードを上方から視た模式図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態の位置決め機構について図面を用いて説明する。
【0022】
《位置決め機構の概略構成》
先ず、本発明の実施形態の位置決め機構の概略構成について
図1~
図4を参照しながら説明する。
なお、本実施形態の位置決め機構は、工場等の施設の床面GLに固定して設置されている工作機械MT等の工場設備機器に対して、床面GL上を移動自在の「ロボットユニットRU、及び、ストッカーユニットSU」を、それぞれ、ワンタッチ操作で位置決めして設置するものである。
また、本実施形態の位置決め機構は、工場設備機器として工作機械MT以外にも、三次元測定器、コンベア、成形機等にも用いることができるが、以下の説明では、工作機械MTに対する所定位置に「ロボットユニットRU、及び、ストッカーユニットSU」を位置決めして固定する場合の例で説明する。
【0023】
ここで、
図1は、本実施形態の位置決め機構の構成を示した模式図であり、工作機械に隣接する床面に設置され位置決めユニットと、ロボットユニットに取り付けられた位置決めボードとが離間している状態を示して模式図である。
図2は、本実施形態の位置決め機構の構成を示した模式図であり、工作機械に隣接する床面に設置され位置決めユニットと、ロボットユニットに取り付けられた位置決めボードとが位置決めされて連結している状態を示した模式図である。また、
図3は、本実施形態の位置決め機構を構成する位置決めボードが取り付けられるロボットユニット及びストッカーユニットを斜め上方から視た模式図である。
図4は、本実施形態の位置決め機構を構成する位置決めボードが取り付けられ且つ位置決めユニットに連結されたロボットユニット及びストッカーユニットの内部の構成を示した模式図である。
【0024】
具体的には、
図1、2に示すように、本実施形態の位置決め機構は、工作機械MTの設置位置に隣接する床面GLに固定して設置される位置決めユニットPUと、ロボットユニットRUの一側面の下端側に固定して設置される位置決め板PBとを有している。
また、ロボットユニットRUは、下端部に移動用キャスター201が設けられており、床面GLに対して自由軌道で任意の位置に移動できるようになっている。
【0025】
そして、
図1に示すように、ロボットユニットRUを移動させて、ロボットユニットRUの下端側に固定された位置決め板PBを、工作機械MTに隣接する床面GLに設置された位置決めユニットPUに近付けて、位置決めユニットPUに位置決め板を着脱自在に取り付けると、工作機械MTに対する所定位置に、ロボットユニットRUが位置決めされて設置できるようになっている。
【0026】
また、
図3、4に示すように、本実施形態の位置決め機構は、工作機械MTに隣接する床面GLに設置される位置決めユニットPU(ロボットユニットRUに対応するものとは別の位置決めユニットPU)と、ロボットユニットRUが工作機械MTから取り出したワークWを収納するためのストッカーユニットSUの一側面の下端側に固定して設置される位置決め板PBとを有している。
また、ストッカーユニットSUは、ロボットユニットRUと同様、下端部に移動用キャスター301が設けられており、床面GLに対して自由軌道で任意の位置に移動できるようになっている。
【0027】
そして、ストッカーユニットSUを移動させて、ストッカーユニットSUの下端側に固定された位置決め板PBを、工作機械MTに隣接する床面GLに設置された位置決めユニットPU(ロボットユニットRUに対応するものとは別の位置決めユニットPU)に近付けて、位置決めユニットPUに位置決め板を着脱自在に取り付けると、工作機械MTに対して、ストッカーユニットRUが位置決めされて設置できるようになっている。
【0028】
すなわち、本実施形態の位置決め機構は、工作機械MTに隣接する床面GLに設置された、2つの位置決めユニットPUと、ロボットユニットRUの下端側に固定された位置決め板PBと、ストッカーユニットSUの下端側に固定された位置決め板PBとにより構成されている。そして、本実施形態の位置決め機構は、工作機械MTに対して、ロボットユニットRUを着脱自在に位置決めして設置できるとともに、工作機械MTに対して、ストッカーユニットSUを着脱自在に位置決めして設置できるようになっている。
なお、本実施形態の位置決め機構は、ロボットユニットRU及びストッカーユニットSUのうちのいずれか一方だけを、工作機械MTの横の所定位置に位置決めして固定する構成であっても良い。
以下、本実施形態の位置決め機構の構成について、順番に説明していく。
【0029】
《ロボットユニットRU》
先ず、本実施形態の位置決め機構の位置決め板PBが取り付けられるロボットユニットRUについて説明する。
図3、4に示すように、ロボットユニットRUは、略中空箱状のハウジング200と、ハウジング200の下端部に取り付けられた4つの移動用キャスター201と、ハウジング200の内部を上下の領域に仕切る仕切板210(
図4参照)と、仕切版210の上面に設置されているロボットアーム250とを有している。また、ロボットユニットRUは、仕切板210により仕切られたハウジング200の下側領域に、ロボットアーム250の動作を制御するための制御装置260や電源(図示せず)等が設置されている。
【0030】
また、ロボットユニットRUは、仕切板210により仕切られた上側のハウジング200の一方面に、開閉扉が設けられており、一方面を開放できるようになっている。
また、4つの移動用キャスター201は、ハウジング200の下端部の4角に、それぞれ、取り付けられている。
【0031】
そして、ロボットユニットRUのハウジング200の一方面の下端部の枠部に、位置決め機構を構成する位置決め板PBが取り付けられるようになっている(
図3参照)。
なお、ロボットユニットRUを構成するロボットアーム250、制御装置260、電源(図示せず)は周知技術であり、本実施形態の位置決め機構の特徴と直接関係ないため詳細な説明を省略する。
【0032】
《ストッカーユニットSU》
次に、本実施形態の位置決め機構の位置決め板PBが取り付けられるストッカーユニットSUについて説明する。
図3、4に示すように、ストッカーユニットSUは、略中空箱状のハウジング300と、ハウジング300の下端部に取り付けられた4つの移動用キャスター301と、ハウジング300の内部を上下の領域に仕切る仕切板310(
図4参照)とを有している。
【0033】
また、ストッカーユニットSUは、仕切板310により仕切られたハウジング300の上側領域に、ロボットアーム250が運んだワークWを収納するための収納部(収納棚)350が設置されている。
また、ストッカーユニットSUは、仕切板310により仕切られた上側のハウジング300の一方面に、開閉扉が設けられており、一方面を開放できるようになっている。
また、4つの移動用キャスター301は、ハウジング300の下端部の4角に、それぞれ、取り付けられている。
【0034】
そして、ストッカーユニットSUのハウジング300の一方面と直交する他方面の下端部の枠部に、位置決め機構を構成する位置決め板PBが取り付けられるようになっている。
なお、ストッカーユニットSUを構成は、周知技術であり、本実施形態の位置決め機構の特徴と直接関係ないため、詳細な説明を省略する。
【0035】
《位置決め機構を構成する位置決めユニットPU》
次に、本実施形態の位置決め機構を構成する位置決めユニットPUの具体的な構成について、上述した
図1、2と、
図5、6を参照しながら説明する。
ここで、
図5は、本実施形態の位置決め機構を構成する位置決めユニットを説明するための模式図であり、(a)が位置決めユニットを斜め上方から視た模式図であり、(b)が位置決めユニットを上面から視た模式図である。
図6は、本実施形態の位置決め機構を構成する位置決めユニットを説明するための模式図であり、(a)が位置決めユニットを正面から視た模式図であり、(b)が位置決めユニットを側面から視た模式図である。
【0036】
図5、6に示すように、位置決めユニットPUは、床面GLに載置される矩形・平板状の底板部1と、底板部1の上面・中央部から上方側に垂直に立設する矩形・平板状の垂直片部3と、垂直片部3の一方面に支持されている位置決め部5と、位置決め部5の上下方向の位置を調節する位置調節機構7と、底板部1の上面に取り付けられ且つ垂直片部3の他方面を支持する一対の支持片部9(
図5(b)、
図6(b)参照)とを有している。
【0037】
また、位置決め部5には、後述する「位置決め板PBに設けられたプルボルト120」を引き込み固定するとともに固定されたプルボルト120の固定を解除して押し出す「引き込みクランプ20」と、「位置決め板PBに設けられた1対の凸部130」が挿嵌される「1対の凹部30」とが設けられている。
【0038】
また、上記の底板部1には、アンカーボルト(図示せず)が挿通される孔部1aが形成されている(
図5参照)。そして、工作機械MTの設置位置と隣接する床面GLに位置決めユニットPUを固定する場合に、例えば、この挿通孔1aにアンカーボルトを挿入し、床面GLにアンカーボルトを打ちこむことで、床面GLに位置決めユニットPUを固定することができる。
なお、アンカーボルトを用いて、床面GLに位置決めユニットPUを固定する方法は、あくまでも一例であり、特に限定されるものではない。
【0039】
また、上記の垂直片部3には、位置決め部5を固定するためのボルト40が挿通されるボルト孔(図示せず)が設けられている(図示する例では、4つのボルト孔が設けられている。また、垂直片部3には、位置調整機構7を固定するためのボルト70が挿通されるボルト孔(図示せず)が設けられている(図示する例では、4つのボルト孔が設けられている)。
【0040】
また、上記の位置決め部5は、垂直片部3と同じ横幅寸法に形成された矩形・平板状の基部10を有し、この基部10が垂直片部3の一方面に、上下方向の位置が調節可能な状態で支持されている。
【0041】
また、基部10は、一方面の中央部(横方向の中央部)の上方側の位置に、引き込みクランプ20が設けられている。
引き込みクランプ20は、「位置決め板PBに設けられたプルボルト120」が挿嵌される孔部20a(
図6(a)参照)と、孔部20aにプルボルト120を引き込み固定したり、孔部20aに引き込まれて固定されたプルボルト120の固定を解除して押し出したりするレバー21とを有している。
【0042】
具体的には、引き込みクランプ20は、孔部20aにプルボルト120の先端側が挿入されている状態で、レバー21を所定方向(
図6(a)の矢印方向)に回転させると、孔部20aにプルボルト120を引き込み固定する。
一方、引き込みクランプ20は、孔部20aにプルボルト120が引き込まれて固定されている状態で、レバー21を、所定方向と反対方向に回転させると、孔部20aに引き込まれて固定されたプルボルト120の固定を解除してプルボルト120を押し出す方向に付勢する。
【0043】
また、基部10の一方面には、引き込みクランプ20を挟んだ両側の位置であり且つ引き込みクランプ20よりも下方の位置に、それぞれ、「位置決め板PBの1対の凸部130」が挿嵌される「1対の凹部30」が設けられている。
また、基部10の一方面には、引き込みクランプ20と、凹部30との間の位置に、1対の長孔10aが設けられているとともに、凹部30よりも外側の位置に一対の長孔10bが設けられている。
長孔10a、10bは、上下方向が長軸になっている楕円状に形成されている。
【0044】
そして、基部10の長孔10a、10bにボルト(頭付ボルト)40が挿通され、ボルト40の軸部が「基部10及び垂直片部3のボルト孔」を貫通した状態で、当該軸部にナットを締結することで、基部10が垂直片部3に固定されるようになっている。
【0045】
また、上記の位置調節機構7は、垂直片部3の一方面の上下方向・中心部よりも僅かに下側の位置に取り付けられた矩形・柱状の支持部50と、支持部50を貫通する位置決め調節部材55とを有している。
支持部50は、、垂直片部3の一方面に対して略直角に突設するように、垂直片部3に、ボルト70及びナットにより固定されている。
【0046】
また、
図6に示すように、位置決め調節部材55は、垂直片部3の一方面と平行方向に配置され、且つ支持部50を貫通し且つ支持部50から突出する全ネジ55aと、支持部50の下側に配置され且つ全ネジ55aの下端側から全ネジ55aに螺合されたナット55bとを有し、全ネジ55aの上端部が位置決め部5の基部10の下端部に当接し、基部10を支持している。
また、位置決め調節部材55は、ナット55bを第1方向に回すと、全ネジ55aが上方側に移動して、支持部50から上方に突出する全ネジ55aの長さ寸法が大きくなる。一方、ナット55bを第1方向と反対の第2方向に回すと、全ネジ55aが下方側に移動して、支持部50から上方に突出する全ネジ55aの長さ寸法が小さくなる。
【0047】
そして、位置決め部5の長孔10a、10bに挿入されたボルト40に螺合しているナットを緩めた状態にして、位置決め調節部材55のナット55bを回転させて支持部50から上方に突出する全ネジ55aの長さ寸法を変更することで、位置決め部5の上下方向の位置を調節することができるようになっている。
【0048】
《位置決め機構を構成する位置決め板PB》
次に、本実施形態の位置決め機構を構成する位置決め板PBの具体的な構成について、上述した
図1、2と、
図7、8を参照しながら説明する。
ここで、
図7は、本実施形態の位置決め機構を構成する位置決めボードを説明するための模式図であり、(a)がロボットユニットに取り付けられた位置決めボードを正面から視た模式図であり、(b)がロボットユニットに取り付けられた位置決めボードを側面から視た模式図である。
図8は、本実施形態の位置決め機構を構成する位置決めボードを説明するための模式図であり、ロボットユニットに取り付けられた位置決めボードを上方から視た模式図である。
【0049】
図7、8に示すように、位置決め板PBは、ロボットユニットRU(或いはストッカーユニットSU)のハウジング200(或いはハウジング300)の下端部に固定され取り付けられる略矩形・平板状の基板100と、基板100の一方面の略中央部から突出するプルボルト120と、基板100の一方面においてプルボルト120を挟んだ両側の位置であって且つプルボルト120よりも下方の位置から突出する、1対の凸部130とを備えている。
【0050】
プルボルト120は、基板100の一方面の略中央部から、一方面に対して略直角に突出している。
また、凸部130は、基板100の一方面において、プルボルト120よりも下方側の位置から、一方面に対して略直角に突出している。また、凸部130は、基板100の一方面から突出する円柱部130aと、円柱部130aの先端面から突出する、円柱部130aと同軸の円錐台部130bとにより構成されている(
図8参照)。なお、円錐台部130bの底面の直径の寸法は、円柱部130aの直径の寸法より小さくなっている。
【0051】
《位置決め機構を用いた位置決め作業の手順》
次に、本実施形態の位置決め機構を用いた位置決め作業の手順について、工作機械MTの横の所定位置にロボットユニットRUを位置決めして設置する場合を例にして説明する。
【0052】
先ず、作業者は、ロボットユニットRUのハウジング200の一方面の下端部の枠部に、位置決め板PBを固定して取り付ける。
また、作業者は、工作機械MTの設置位置と隣接する床面GLに位置決めユニットPUを固定する。例えば、上述したように、位置決めユニットPUの底板部1の挿通孔1aにアンカーボルトを挿入し、床面GLにアンカーボルトを打ちこむことで、床面GLに位置決めユニットPUを固定する。
【0053】
次に、
図1に示すように、作業者が、位置決め板PBが取り付けられたロボットユニットRUを押して移動させ、工作機械MTの設置位置と隣接する床面GLに固定した位置決めユニットPUに、ロボットユニットRUに固定された位置決め板PBを近付けていく。
【0054】
なお、位置決めユニットPUに、ロボットユニットRUに固定された位置決め板PBを近付けていくときに、位置決めユニットPUの引き込みクランプ20の孔部20aと、位置決め板PBのプルボルト120の位置が合わなかったり、位置決めユニットPUの凹部30と、位置決め板PBの凸部130の位置が合わなかったりするときには、位置調節機構7により、位置決めユニットPUの位置決め部5の上下方向の位置を調節する。
具体的には、作業者は、位置決め部5の長孔10a、10bに挿入されたボルト40に螺合しているナットを緩めた状態にして、位置決め調節部材55のナット55bを回転させて支持部50から上方に突出する全ネジ55aの長さ寸法を変更することで、位置決め部5の上下方向の位置を調節する。その後、作業者は、位置決め部5の長孔10a、10bに挿入されたボルト40に螺合しているナットを締めて、位置決め部5を固定する。
【0055】
そして、位置決めユニットPUの引き込みクランプ20の孔部20aに、位置決め板PBのプルボルト120の先端側を挿入するとともに、位置決めユニットPUの凹部30に、位置決め板PBの凸部130の先端側を挿入する。
【0056】
次に、作業者は、位置決めユニットPUの引き込みクランプ20のレバー21を所定方向(
図6(a)の矢印方向)に回転させると、引き込みクランプ20の孔部20aにプルボルト120が引き込まれる方向に付勢されて、プルボルト120が引き込みクランプ20に固定される。
このとき、ロボットユニットRUに固定されている位置決め板PBもプルボルト120と共に付勢されるため(プルボルト120が引き込まれる方向に付勢されるため)、位置決めユニットPUの凹部30に位置決め板PBの凸部130が引き込まれて嵌合し固定される(
図2参照)。これにより、工作機械MTの横の所定位置にロボットユニットRUが位置決めされ固定された状態になる。
【0057】
このように、本実施形態によれば、位置決めユニットPUの引き込みクランプ20の孔部20aに、位置決め板PBのプルボルト120の先端側を挿入するとともに、位置決めユニットPUの凹部30に、位置決め板PBの凸部130の先端側を挿入した後は、引き込みクランプ20のレバー21を回転させるという簡単な操作により(ワンタッチ操作により)、工作機械MTの横の所定位置に、ロボットユニットRUを位置決めして固定することができる。
【0058】
また、工作機械MTの横の所定位置に、ロボットユニットRUを位置決めされて固定されている状態において、作業者が、位置決めユニットPUに設けられた引き込みクランプ20のレバー21を、所定方向と反対方向に回転させると、孔部20aに引き込まれて固定されたプルボルト120の固定が解除されてプルボルト120が押し出す方向に付勢される。
このとき、ロボットユニットRUに固定されている位置決め板PBもプルボルト120と共に付勢されるため(プルボルト120が押し出される方向に付勢されるため)、位置決めユニットPUの凹部30に嵌合され固定されていた位置決め板PBの凸部130の固定が解除され、押し出される。これにより、ロボットユニットRUの固定が解除されて任意の位置に移動できるようになる。
【0059】
その後、作業者は、必要に応じて、位置決めユニットPUとの固定が解除された位置決め板PBが取り付けられたロボットユニットRUを押して、自由軌道で任意の場所に移動させることができる。
【0060】
このように、本実施形態によれば、工作機械MTの横の所定位置に、ロボットユニットRUが位置決めされて固定されている状態において、作業者が、位置決めユニットPUに設けられた引き込みクランプ20のレバー21を、所定方向と反対方向に回転させるという簡単な操作により、ロボットユニットRUの固定を解除することができる。
【0061】
また、位置決めユニットPUとの固定が解除されたロボットユニットRUは、自由軌道で任意の位置に移動させることができるので、工作機械MTから大きく離れた位置にロボットユニットRUを移動させて、工作機械MTの周囲のエリアを全面的に空けることができる。
そのため、ロボットユニットRUを使用しないで、作業者が工作機械MTに対して、細かい操作をしてワークWを加工し、作業者自身が工作機械MTからワークWを取り出すような作業をする際に、十分な作業エリアが確保できる。
【0062】
また、位置決めユニットPUとの固定が解除されたロボットユニットRUは、自由軌道で任意の位置に移動させることができるので、ロボットユニットRUを工作機械MT以外の「他の工作機械」や「他の工場設備機器(三次元測定機、コンベア等)」にも利用することが可能になる。
【0063】
また、本実施形態の位置決め機構は、工作機械MT等の工場設備機器の横の床面GLに、ロボットアームを設置するための強固な架台を設けたり、或いは、上述した特許文献1に記載の発明のように、工作機械MT等の工場設備機器の横の床面GLにガイドレールを敷設する必要もなく、コストを抑えることができる。
【0064】
なお、ここでは、説明の便宜上、工作機械MTの横の所定位置にロボットユニットRUを位置決めして設置する場合を例にしたが、工作機械MTの横の所定位置にストッカーユニットSUを位置決めして設置する場合も同様の手順であり、同様の作用効果が得られる。
【0065】
以上、説明したように、本実施形態によれば、工作機械MTやコンベア等の工場設備機器に対して、低コストで且つ簡単な作業でロボットユニットRU或いはストッカーユニットSUを位置決めして着脱自在に設置できる位置決め機構を提供することができる。
【0066】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0067】
GL…床面
MT…工作機械
RU…ロボットユニット
200…ハウジング
201…移動用キャスター
210…仕切板
250…ロボットアーム
260…制御装置
SU…ストッカーユニット
300…ハウジング
301…移動用キャスター
310…仕切板
350…収納部
PU…位置決めユニット
1…底板部
1a…孔部
3…垂直片部
5…位置決め部
7…位置調節機構
9…支持片部
10…基部
10a、10b…長孔
20…引き込みクランプ
20a…孔部20
21…レバー
30…凹部
40…ボルト
50…支持部
55…位置決め調節部材
55a…全ネジ
55b…ナット
70…ボルト
PB…位置決め板
100…基板
120…プルボルト
130…凸部
130a…円柱部
130b…円錐台部