IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ハイレックスコーポレーションの特許一覧

特開2024-104076駆動装置および駆動装置組み立て構造
<>
  • 特開-駆動装置および駆動装置組み立て構造 図1
  • 特開-駆動装置および駆動装置組み立て構造 図2
  • 特開-駆動装置および駆動装置組み立て構造 図3
  • 特開-駆動装置および駆動装置組み立て構造 図4
  • 特開-駆動装置および駆動装置組み立て構造 図5
  • 特開-駆動装置および駆動装置組み立て構造 図6
  • 特開-駆動装置および駆動装置組み立て構造 図7
  • 特開-駆動装置および駆動装置組み立て構造 図8
  • 特開-駆動装置および駆動装置組み立て構造 図9
  • 特開-駆動装置および駆動装置組み立て構造 図10
  • 特開-駆動装置および駆動装置組み立て構造 図11
  • 特開-駆動装置および駆動装置組み立て構造 図12
  • 特開-駆動装置および駆動装置組み立て構造 図13
  • 特開-駆動装置および駆動装置組み立て構造 図14
  • 特開-駆動装置および駆動装置組み立て構造 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104076
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】駆動装置および駆動装置組み立て構造
(51)【国際特許分類】
   F16H 19/04 20060101AFI20240726BHJP
【FI】
F16H19/04 Z
F16H19/04 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008099
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石原 博稔
(72)【発明者】
【氏名】中井 夏未
【テーマコード(参考)】
3J062
【Fターム(参考)】
3J062AB05
3J062AC07
3J062BA26
3J062CA15
(57)【要約】
【課題】本発明は、駆動部を駆動させた直後において、ケース内での異音の発生を抑制することができる駆動装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の駆動装置1は、ケーシング2と、駆動部と、ピニオンギヤ4と、ラック部51aを有する移動部材5とを備え、移動部材5が第1位置に位置するときに、ピニオンギヤ4は、ラック部51aと移動方向D1で他方の端部領域R2において係合するように構成され、移動部材5のラック形成面51は、移動方向D1で一方の端部領域R1において、ケーシング2の対向面21aに対向する位置に設けられた緩衝部材9を有している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
駆動部と、
前記駆動部の駆動力によって回転するピニオンギヤと、
前記ピニオンギヤと噛み合うラック部を有し、前記ラック部と噛み合う前記ピニオンギヤの回転によって、前記ケーシング内で所定の移動方向に移動する移動部材とを備えた駆動装置であって、
前記移動部材は、前記ケーシング内において、前記移動方向で一方に位置する第1位置と、前記移動方向で他方に位置する第2位置との間で移動可能であり、
前記移動部材は、前記ラック部が設けられたラック形成面と、前記ピニオンギヤと前記ラック形成面とが対向する方向で、前記ラック形成面の反対側に設けられた摺動部とを備え、
前記ケーシングは、前記ラック形成面に対向する対向面と、前記摺動部が摺動する摺動面とを有し、
前記ラック部は、前記ラック形成面において、前記移動方向で他方の端部から前記移動方向で所定の領域に亘って延び、
前記移動部材が前記第1位置に位置するときに、前記ピニオンギヤは、前記ラック部と前記移動方向で他方の端部領域において係合するように構成され、
前記ラック形成面は、前記移動方向で一方の端部領域において、前記対向面に対向する位置に設けられた緩衝部材を有している、
駆動装置。
【請求項2】
前記ケーシングが、前記移動部材が移動可能な移動部材収容部を備え、
前記移動部材収容部は、前記移動方向で一方側となる第1壁部と、前記移動方向で他方側となる第2壁部とを備え、
前記駆動装置がさらに、前記移動部材を前記移動方向の一方に付勢するばね部材を備えている、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記移動部材は、前記第1位置に位置するときに前記ばね部材の付勢力によって前記第1壁部に接触している、請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記緩衝部材は、前記移動部材の前記移動方向で一方の端部領域に設けられた凹部に収容されている、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記駆動装置がさらに、前記移動部材に接続される長尺部材を備え、
前記移動部材は、前記移動方向で一方の端部領域に、前記長尺部材の端部が係合する係合部を有し、前記係合部は、前記凹部に対して、前記ピニオンギヤと前記ラック形成面とが対向する方向で前記摺動部側に、前記凹部と連通して設けられ、前記凹部に前記緩衝部材が配置されることで、前記長尺部材の端部の前記係合部からの離脱が規制される、請求項4に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記緩衝部材は、前記ケーシングの前記対向面に接触するように構成されている、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記ラック形成面は、前記ラック形成面の、前記移動方向で一方の端部領域に、かつ、前記ラック部に対して前記移動方向で一方側に、前記ラック部を有していないラック非形成部を有し、
前記緩衝部材は、前記ラック非形成部から、前記ラック非形成部と前記対向面との間の隙間の大きさの80~100%の突出量で突出している、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記ばね部材が、前記移動方向に延びるコイルばねであり、
前記駆動装置がさらに、前記ばね部材をガイドするように、前記移動方向に延びるガイド部材を備え、
前記ばね部材は、前記移動部材が前記第1位置に位置するときに、前記ばね部材のうち前記移動方向で一方側に、前記ガイド部材にガイドされていない非ガイド領域を有している、請求項2に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記ガイド部材は、
前記移動方向で一方に位置する自由端と、前記移動方向で他方に位置する、ばね座を有する係合端と、前記自由端と前記係合端との間に延びるガイド部とを備え、
前記ばね部材は、前記移動方向で一方の端部が前記移動部材に係合し、前記移動方向で他方の端部が、前記ガイド部材のばね座に係合するように設けられ、
前記ガイド部材の前記係合端は、前記ケーシングの内面と前記移動方向で係合するように構成されている、請求項8に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記緩衝部材は、前記移動部材の前記移動方向で一方の端部領域に設けられた凹部に収容されており、
前記ガイド部材の前記係合端は、前記係合端のうち、前記第2壁部との接触面よりも前記移動方向で一方側に、治具係合部を有し、
前記治具係合部および前記凹部は、前記移動部材および前記ガイド部材の前記移動方向の長さが、前記第1壁部と前記第2壁部との間の長さよりも短くなるように、前記移動部材および前記ガイド部材を保持可能な治具と係合可能に構成されている、
請求項9に記載の駆動装置。
【請求項11】
請求項10に記載の駆動装置と、
前記移動部材および前記ガイド部材の前記移動方向の長さが、前記第1壁部と前記第2壁部との間の長さよりも短くなるように、前記移動部材および前記ガイド部材を保持可能な治具とを備えた、駆動装置組み立て構造であって、
前記治具は、前記凹部内の空間に対して差し込み可能な第1フック部と、前記治具係合部内の空間に対して差し込み可能な第2フック部と、前記第1フック部と前記第2フック部との間に延びる延在部とを備え、
前記第1フック部と前記第2フック部とは、前記移動部材および前記ガイド部材の前記移動方向の長さが、前記第1壁部と前記第2壁部との間の長さよりも短くなった状態で、前記移動部材および前記ガイド部材を保持できるように構成されている、駆動装置組み立て構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置および駆動装置組み立て構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブル等の長尺部材を操作する駆動装置として、特許文献1に示されるように、ラックアンドピニオン機構を有する駆動装置が開示されている。このような駆動装置は、ケースと、モータ等の駆動部と、駆動部の駆動力が伝達されるピニオンギヤと、ピニオンギヤと噛み合うラック部を有し、ラック部と噛み合うピニオンギヤの回転によって、ケース内において所定の移動方向に移動する移動部材とを備えている。移動部材には、長尺部材が接続され、移動方向で一方の方向に移動した第1位置と、移動方向で他方の方向に移動した第2位置との間で移動することで、長尺部材が操作される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-187159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなラックアンドピニオン機構を有する駆動装置において、長尺部材を操作する際に駆動部を駆動させた直後に、ケース内で異音が生じる場合があった。
【0005】
本発明は、駆動部を駆動させた直後において、ケース内での異音の発生を抑制することができる、駆動装置および駆動装置組み立て構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の駆動装置は、ケーシングと、駆動部と、前記駆動部の駆動力によって回転するピニオンギヤと、前記ピニオンギヤと噛み合うラック部を有し、前記ラック部と噛み合う前記ピニオンギヤの回転によって、前記ケーシング内で所定の移動方向に移動する移動部材とを備えた駆動装置であって、前記移動部材は、前記ケーシング内において、前記移動方向で一方に位置する第1位置と、前記移動方向で他方に位置する第2位置との間で移動可能であり、前記移動部材は、前記ラック部が設けられたラック形成面と、前記ピニオンギヤと前記ラック形成面とが対向する方向で、前記ラック形成面の反対側に設けられた摺動部とを備え、前記ケーシングは、前記ラック形成面に対向する対向面と、前記摺動部が摺動する摺動面とを有し、前記ラック部は、前記ラック形成面において、前記移動方向で他方の端部から前記移動方向で所定の領域に亘って延び、前記移動部材が前記第1位置に位置するときに、前記ピニオンギヤは、前記ラック部と前記移動方向で他方の端部領域において係合するように構成され、前記ラック形成面は、前記移動方向で一方の端部領域において、前記対向面に対向する位置に設けられた緩衝部材を有している。
【0007】
また、本発明の駆動装置組み立て構造は、上記駆動装置を備え、前記緩衝部材は、前記移動部材の前記移動方向で一方の端部領域に設けられた凹部に収容されており、前記ガイド部材の前記係合端は、前記係合端のうち、前記第2壁部との接触面よりも前記移動方向で一方側に、治具係合部を有し、前記治具係合部および前記凹部は、前記移動部材および前記ガイド部材の前記移動方向の長さが、前記第1壁部と前記第2壁部との間の長さよりも短くなるように、前記移動部材および前記ガイド部材を保持可能な治具と係合可能に構成されており、駆動装置組み立て構造は、前記移動部材および前記ガイド部材の前記移動方向の長さが、前記第1壁部と前記第2壁部との間の長さよりも短くなるように、前記移動部材および前記ガイド部材を保持可能な治具を備え、前記治具は、前記凹部内の空間に対して差し込み可能な第1フック部と、前記治具係合部内の空間に対して差し込み可能な第2フック部と、前記第1フック部と前記第2フック部との間に延びる延在部とを備え、前記第1フック部と前記第2フック部とは、前記移動部材および前記ガイド部材の前記移動方向の長さが、前記第1壁部と前記第2壁部との間の長さよりも短くなった状態で、前記移動部材および前記ガイド部材を保持できるように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の駆動装置および駆動装置組み立て構造によれば、駆動部を駆動させた直後において、ケース内での異音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】移動部材が第1位置に位置する、本発明の一実施形態の駆動装置を示す全体図である。
図2】移動部材が第2位置に位置する、本発明の一実施形態の駆動装置を示す全体図である。
図3図1に示される駆動装置において、ケーシングを部分的に切断した側面図である。
図4図1のVI-VI線断面図である。
図5図1に示される駆動装置から、ケーシングおよび駆動機構を取り除いた、移動部材、ばね部材およびガイド部材において、移動部材のラック形成面を部分的に取り除いた部分断面図である。
図6図1に示される駆動装置から、ケーシングおよび駆動機構を取り除いた、移動部材、ばね部材およびガイド部材の側面図である。
図7】移動部材の斜視図である。
図8】ガイド部材の斜視図である。
図9】移動部材に緩衝部材が設けられていない参考例を示す図である。
図10図9の参考例において、移動部材が第1位置から第2位置に向かって移動したときに、移動部材が傾斜した状態を示す参考図である。
図11】移動部材が第1位置に位置するときに、移動部材の一方の端部がケーシングの第1壁部に接触した状態を示す概略図である。
図12】移動部材が第1位置から第2位置に向かって移動して、移動部材の一方の端部がケーシングの第1壁部から離間した状態を示す概略図である。
図13】駆動装置組み立て構造に用いられる治具の一例を示す図である。
図14図13のXIV-XIV線断面図である。
図15図13に示される状態から、治具によって、移動部材およびガイド部材の移動方向の長さが第1壁部と第2壁部との間の長さよりも短くされた状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態の駆動装置および駆動装置組み立て構造を説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまで一例であり、本発明の駆動装置および駆動装置組み立て構造は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
なお、本明細書において、「Aに垂直」およびこれに類する表現は、Aに対して完全に垂直な方向のみを指すのではなく、Aに対して略垂直であることを含んで指すものとする。また、本明細書において、「Bに平行」およびこれに類する表現は、Bに対して完全に平行な方向のみを指すのではなく、Bに対して略平行であることを含んで指すものとする。また、本明細書において、「C形状」およびこれに類する表現は、完全なC形状のみを指すのではなく、見た目にC形状を連想させる形状(略C形状)を含んで指すものとする。
【0012】
図1に示されるように、本実施形態の駆動装置1は、ケーシング2と、駆動部3と、駆動部3の駆動力によって回転するピニオンギヤ4と、ピニオンギヤ4と噛み合うラック部51aを有し、ラック部51aと噛み合うピニオンギヤ4の回転によって、ケーシング2内で所定の移動方向D1に移動する移動部材5とを備えている。本実施形態では、駆動装置1は、移動部材5に接続される長尺部材6を備えている。また、本実施形態では、駆動装置1は、移動部材5を移動方向D1の一方(以下、第1移動方向D11と呼ぶ)に付勢するばね部材7を備えている。駆動装置1はさらに、ばね部材7をガイドするように、移動方向D1に延びるガイド部材8を備えている。
【0013】
駆動装置1は、駆動部3の駆動力によって移動部材5を移動方向D1に移動させる。本実施形態では、駆動装置1は、駆動部3の駆動力によって移動部材5を移動方向D1に移動させることで、移動部材5に接続された長尺部材6を移動させる。本実施形態では、駆動装置1は、図1および図2に示されるように、長尺部材6に接続された作動対象OPを作動させるように構成されている。より具体的には、駆動部3の駆動力によって、移動部材5が、第1移動方向D11に加わるばね部材7の付勢力に抗して、第1移動方向D11とは反対方向となる、移動方向D1で他方(以下、第2移動方向D12という)に移動する(図2参照)。これにより、長尺部材6が第2移動方向D12に引き操作されることで、長尺部材6によって作動対象OPが操作される(図2参照)。一方、駆動部3の駆動力が解除されると、移動部材5は、ばね部材7の付勢力によって、第1移動方向D11に移動して、移動部材5が図1に示される初期位置(第1位置)に戻される。
【0014】
駆動装置1の用途は、駆動部3の駆動力によって移動部材5を移動方向D1に移動させることで所定の作動対象を作動させることができれば、特に限定されない。具体的には、駆動装置1は、例えば、作動対象OPが車両のシートのリクライニング機構のロック装置や、フューエルリッドのロック装置である場合など、ロック装置のロックを解除するロック解除用の駆動装置とすることができる。
【0015】
なお、本明細書において、移動部材5が移動する方向を移動方向D1と呼び、移動方向D1に垂直な一の方向、特に、移動部材5が摺動するケーシング2の底面(摺動面21b)(図3および図4参照)に対して垂直な方向を高さ方向D2と呼び、移動方向D1および高さ方向D2の両方に垂直な方向を幅方向D3と呼ぶ。
【0016】
長尺部材6は、移動部材5に直接または間接的に接続されて、移動部材5の移動によって操作される長尺の部材である。本実施形態では、長尺部材6は、作動対象OPに直接または間接的に接続され、作動対象OPを操作できるように構成されている。具体的には、図1および図2に示されるように、長尺部材6の一端6aは移動部材5に接続され、長尺部材6の他端6bは作動対象OPに接続されている。本実施形態では、長尺部材6は、コントロールケーブルのインナーケーブルである。インナーケーブルである長尺部材6は、コントロールケーブルのアウターケーシングOCに挿通されている。長尺部材6は、アウターケーシングOCによって、車体等の取付対象において、所定の配索経路で配索される。なお、長尺部材6の形状および構造は、移動部材5に直接または間接的に接続されて、移動部材5の移動によって操作されるように構成されていれば、特に限定されない。本実施形態では、長尺部材6はインナーケーブルであるが、ロッド等、他の長尺部材によって構成されていてもよい。本実施形態では、1つのみの長尺部材6が移動部材5に接続されている。しかし、駆動装置1の構造によっては、長尺部材は設けられていなくてもよいし、複数の長尺部材が設けられていてもよい(例えば、1または複数の長尺部材が、移動部材5に対して移動方向D1で一方のみに延びるように設けられていてもよいし、移動部材5に対して第1移動方向D11および第2移動方向D12の両方に延びるように設けられていてもよい)。
【0017】
ケーシング2は、駆動装置1の構成部品の少なくとも一部を収容する。具体的には、ケーシング2は、図1に示されるように、駆動部3、ピニオンギヤ4および移動部材5を収容している。本実施形態では、ケーシング2はさらに、ばね部材7およびガイド部材8を収容している。ケーシング2は、本実施形態では、図1に示されるように、移動部材5が移動可能な移動部材収容部21を備えている。また、ケーシング2は、図1に示されるように、駆動部3を収容する駆動部収容部22を備えている。また、ケーシング2は、移動方向D1で移動部材収容部21の一方側(第1移動方向D11側)に、長尺部材6をケーシング2の内部へと導入する長尺部材導入部23を備えている。なお、本実施形態では、ケーシング2は、互いに対して開閉可能な第1ケーシング部材2Aと第2ケーシング部材2B(図3参照)とを有している。ケーシング2は、第1ケーシング部材2Aを第2ケーシング部材2Bで閉鎖することによって、各部材を内部に収容するように構成されている。しかし、ケーシング2の全体形状や構造は特に限定されず、ケーシングは1部材によって構成されていてもよいし、3部材以上によって構成されていてもよい。
【0018】
ケーシング2は、図3に示されるように、後述するラック形成面51に対向する対向面21aと、移動部材5の後述する摺動部52(図3および図4参照)が摺動する摺動面21bとを有している。本実施形態では、対向面21aおよび摺動面21bは、移動部材収容部21に設けられている。なお、本実施形態では、対向面21aは、摺動面21bに対向するケーシング2の上面21c(図3参照)のうち、ラック形成面51に対向する一部分である。
【0019】
本実施形態では、移動部材収容部21は、図1図3に示されるように、移動方向D1で一方側(第1移動方向D11側)となる第1壁部21dと、移動方向D1で他方側(第2移動方向D12側)となる第2壁部21eとを備えている。また、移動部材収容部21は、移動部材5の幅方向D3で両側に設けられた側壁21f、21gを備えている(図1参照)。移動部材収容部21は、移動部材5が移動方向D1に所定のストロークで摺動可能となる内部空間を有し、この内部空間は、摺動面(底面)21b、上面21c、第1壁部21d、第2壁部21e、側壁21f、21gによって画定されている。
【0020】
ケーシング2の摺動面21bは、移動部材5の摺動部52が摺動する部分である(図4参照)。摺動面21bは、移動部材5の摺動部52が摺動可能であれば、平坦である必要はない。本実施形態では、摺動面21bは、図4に示されるように、ケーシング2(第1ケーシング部材2A)の底面に設けられ、摺動面21bは、ばね部材7の外周に対応して湾曲した凹部を有している(図4参照)。
【0021】
ケーシング2の上面21cは、ケーシング2内に各部材を収容できるように、高さ方向D2で所定の距離、ケーシング2の底面から離間して設けられている。本実施形態では、ケーシング2の上面21cは、図3および図4に示されるように、第2ケーシング部材2Bによって構成され、第1ケーシング部材2Aの蓋として機能している。本実施形態では、ケーシング2の上面21cのうちの一部である、対向面21aは、移動部材5のラック形成面51に高さ方向D2で近接した位置に延びている。近接した位置は、後述する緩衝部材9を有しない移動部材5が、移動部材5が摺動面21bに対して傾斜していない非傾斜状態(図9参照)に対して、移動部材5の移動方向D1で一方側(第1移動方向D11側)が摺動面21bから離れるように傾斜したときに(図10参照)、移動部材5と当接可能な程度に近接した位置である。対向面21aとラック形成面51との間の離間距離(非傾斜状態において、対向面21aとラック形成面51との間の高さ方向D2で最も近い部分の距離)は、特に限定されないが、例えば、5mm以下、好ましくは3mm以下とすることができる。
【0022】
対向面21aの形状は特に限定されず、平坦面によって構成されていてもよいし、曲面によって構成されていてもよいし、平坦面と曲面との組み合わせによって構成されていてもよいし、部分的に凹凸を有していてもよい。後述するように、対向面21aは、移動部材5に設けられた緩衝部材9と対向する。本実施形態では、対向面21aは、図3および図4に示されるように、移動部材5の非傾斜状態において、緩衝部材9に接触するように構成されている。対向面21aは、図4に示されるように、幅方向D3の一部のみが緩衝部材9と接触するように構成されている。これにより、対向面21aと緩衝部材9が接触した状態であっても、移動部材5の移動方向D1の移動時に、摺動抵抗が増加することを抑制することができる。本実施形態では、対向面21aは、図4に示されるように、ハウジング2の上面21cから摺動面21bに向かう方向に突出する複数の(本実施形態では2つの)突条部の表面によって構成されている。
【0023】
側壁21f、21gは、幅方向D3に離間して配置された一対の壁部である。側壁21f、21gは、移動部材5の幅方向D3の長さに対応した距離で離間し、移動部材5を移動方向D1に沿って案内する。
【0024】
第1壁部21dは、移動部材収容部21の移動方向D1で一方(第1移動方向D11側)の壁部である。本実施形態では、図1および図3に示されるように、第1壁部21dは、移動部材5が第1移動方向D11に移動したときに、移動部材5の第1移動方向D11側の端部5aに当接する。第1壁部21dの形状は特に限定されないが、本実施形態では、第1壁部21dは平坦面によって構成されており、同様に平坦面によって構成された移動部材5の第1移動方向D11側の端部5aと面接触する。なお、第1壁部21dは、摺動面21bや側壁21f、21gと一体に設けられていてもよいし、摺動面21bや側壁21f、21gとは別体として設けられていてもよい。
【0025】
第2壁部21eは、移動部材収容部21の移動方向D1で他方(第2移動方向D12側)の壁部である。第2壁部21eは、ばね部材7の第2移動方向D12側の端部(ガイド部材8を有しない場合)またはガイド部材8の第2移動方向D12側の端部と当接する。本実施形態では、図1に示されるように、第2壁部21eは、ガイド部材8の第2移動方向D12側の後述する係合端8bと当接する。なお、第2壁部21eは、摺動面21bや側壁21f、21gと一体に設けられていてもよいし、摺動面21bや側壁21f、21gとは別体として設けられていてもよい。
【0026】
駆動部収容部22は、図1に示されるように、駆動部3を収容する。具体的には、駆動部収容部22は、移動部材収容部21に幅方向D3で隣接した位置に設けられ、移動部材収容部21と連通している。本実施形態では、駆動部収容部22は、後述するように、駆動部3のモータ31と複数の伝動部材32a、32b、32cを収容できるように構成されている。
【0027】
長尺部材導入部23は、長尺部材6の一端6aを移動部材5に接続できるように、長尺部材6をケーシング2の外部からケーシング2の内部へと導入する部位である。具体的には、長尺部材導入部23は、移動方向D1で移動部材収容部21の一方側(第1移動方向D11側)に設けられている。長尺部材導入部23は、ケーシング2の外部と、移動部材収容部21の内部空間とを連通させる導入開口23aを有している。長尺部材導入部23の導入開口23aから、長尺部材6が移動部材収容部21内に導入される。本実施形態では、長尺部材導入部23は、アウターケーシングOCの一端と係合して、アウターケーシングOCを取り付け可能に構成されている(図1および図2参照)。
【0028】
駆動部3は、移動部材5を移動させる駆動力を発生させる。本実施形態では、駆動部3は、図1に示されるように、モータ31と、1または複数の伝動部材32a、32b、32cとを有している。モータ31は、モータ31の回転力によって、伝動部材32a、32b、32cを介して、ピニオンギヤ4を回転させる駆動力を発生させる。モータ31の駆動力によって、ピニオンギヤ4が回転し、ピニオンギヤ4と噛み合う移動部材5は移動方向D1に移動する。本実施形態では、モータ31は一方向のみに回転するように構成されているが、正逆回転するように構成されていてもよい。
【0029】
伝動部材32a、32b、32cは、本実施形態では、モータ31により生じる回転力をピニオンギヤ4および移動部材5へ向かって伝達可能に構成されたギヤである。より具体的には、モータ31の出力軸および各伝動部材32a、32b、32cは、幅方向D3に延びる回転軸を中心に回転するように構成されており、伝動部材32cと噛み合うピニオンギヤ4が移動部材5のラック部51aに係合して、移動部材5を移動させるように構成されている。なお、駆動部3の構造は、移動部材5を移動させる駆動力を発生させることができれば、図示する構造に限定されない。
【0030】
ピニオンギヤ4は、駆動部3から伝達された駆動力によって回転する。これにより、ピニオンギヤ4は、ピニオンギヤ4と係合する移動部材5のラック部51aを介して、移動部材5を移動方向D1に移動させる。ピニオンギヤ4の形状および構造は、駆動部3から伝達された駆動力によって回転し、移動部材5を移動方向D1に移動させることができれば、特に限定されない。本実施形態では、ピニオンギヤ4は、ラック部51aと噛み合う第1ギヤ部41と、伝動部材32cと噛み合う第2ギヤ部42とを備えている。
【0031】
移動部材5は、ケーシング2内において、移動方向Dで一方(第1移動方向D11側)に位置する第1位置(図1参照)と、移動方向D1で他方(第2移動方向D12側)に位置する第2位置(図2参照)との間で移動可能に構成されている。本実施形態では、移動部材5は、第1位置と第2位置との間で移動することにより、作動対象OPを操作する。より具体的には、移動部材5は、第1位置と第2位置との間で移動することにより、長尺部材6を操作し、これにより、長尺部材6を介して作動対象OPを操作する。
【0032】
本実施形態において、第1位置は、移動部材5が第1移動方向D11の移動限度まで移動したときの位置である。本実施形態では、移動部材5の第1位置は、移動部材5の第1移動方向D11側の端部(端面)5aが、第1壁部21dに接触しているときの位置である。なお、移動部材5は、第1位置に位置するときに、移動部材5の端部5aが第1壁部21d以外の部位と当接して停止していてもよいし、移動部材5の端部5a以外の部分(例えば、側壁21f、21gに対向する移動部材5の側壁5c、5d)が、ケーシング2の一部と当接することで、第1位置で停止しても構わない。
【0033】
本実施形態では、移動部材5が、後述する第1位置(図1参照)に位置するときに、ピニオンギヤ4は、ラック部51aと移動方向D1で他方(第2移動方向D12側)の端部領域R2において係合するように構成されている。ここで、ラック部51aの他方(第2移動方向D12側)の端部領域R2は、ラック部51aの第2移動方向D12側の端部から所定の領域を意味する。本実施形態では、ラック部51aの端部領域R2は、特に限定されないが、例えば、移動部材5の端部5bから、移動部材5の移動方向D1の全長の30%以内、好ましくは20%以内、より好ましくは10%以内の領域とすることができる。なお、本実施形態においては、ラック部51aの端部領域R2は、移動部材5の他方の端部領域でもある。
【0034】
本実施形態において、第2位置は、移動部材5が第2移動方向D12の最終作動位置まで移動したときの位置である。本実施形態では、移動部材5の第2位置は、作動対象OPまたは長尺部材6をそれ以上操作できなくなるまで、移動部材5が駆動部3の駆動力によって第2移動方向D12に所定量移動した位置である。なお、移動部材5の第2位置は、ばね部材7がそれ以上縮まない状態となり、移動部材5が停止したときの位置や、移動部材5が第2壁部21eに当接して停止したときの位置であってもよい。
【0035】
本実施形態では、移動部材5は、図3に示されるように、ラック部51aが設けられたラック形成面51と、ピニオンギヤ4とラック形成面51とが対向する方向(高さ方向D2)で、ラック形成面51の反対側に設けられた摺動部52とを備えている。本実施形態では、移動部材5は、ばね部材7を部分的に収容するばね部材収容部53(図3および図5参照)を有している。移動部材5の形状は、移動部材5が第1位置と第2位置との間で移動できるように構成されていれば、特に限定されない。本実施形態では、移動部材5は、ラック形成面51および摺動部52の他に、図1および図2に示されるように、第1壁部21dに当接可能な第1移動方向D11側の端部(端面)5aと、第2移動方向D12側の端部5bと、端部5aと端部5bとを移動方向D1に繋ぎ、ラック形成面51と摺動部52とを高さ方向D2に繋ぐ側壁5c、5dとを備えている。また、移動部材5は、図3図7に示されるように、移動方向D1で一方(第1移動方向D11側)の端部領域R1に、長尺部材6の端部(一端)6aが係合する係合部54を有している。また、移動部材5は、図3図7に示されるように、移動部材5の移動方向D1で一方(第1移動方向D11側)の端部領域R1に、後述する緩衝部材9が収容される凹部55を有している。本実施形態では、移動部材5は、係合部54に取り付けられた長尺部材6が通る挿通部56(図7参照)を有している。また、移動部材5の第2移動方向D12側の端部5bは、図5に示されるように、ばね部材7を移動部材5のばね部材収容部53へと移動方向D1に挿入できるように開口している。なお、ばね部材収容部53は、係合部54および凹部55に対して、ラック形成面51に対して略垂直に延びる仕切壁53aによって仕切られている。仕切壁53aは、ばね部材7の第1移動方向D11側の端部が当接するように構成されている。なお、移動部材5の一方(第1移動方向D11側)の端部領域R1は、移動部材5の第1移動方向D11側の端部5aから所定の領域を意味する。本実施形態では、移動部材5の端部領域R1は、特に限定されないが、例えば、移動部材5の一方の端部5aから、移動部材5の移動方向D1の全長の30%以内、好ましくは20%以内、より好ましくは10%以内の領域とすることができる。
【0036】
ラック形成面51は、ピニオンギヤ4と噛み合うラック部51aを有する面である。上述したように、ラック形成面51は、ケーシング2の対向面21aに高さ方向D2で対向している。ラック形成面51は、図7に示されるように、ラック部51aに加えて、ラックが形成されていないラック非形成部51bを有している。具体的には、ラック形成面51は、ラック形成面51の、移動方向D1で一方(第1移動方向D11側)の端部領域R1に、かつ、ラック部51aに対して移動方向D1で一方側(第1移動方向D11側)に、ラック部51aを有していないラック非形成部51bを有している。
【0037】
ラック部51aは、ピニオンギヤ4と噛み合って、ピニオンギヤ4に伝達された駆動力を、移動部材5を移動方向D1に移動させる力に変換する。ラック部51aは、図7に示されるように、ラック形成面51において、移動方向D1で他方(第2移動方向D12側)の端部5bから移動方向D1で所定の領域に亘って延びている。ラック部51aは、高さ方向D2に凹凸を形成する歯と溝とが、移動方向D1に交互に形成された歯列を有している。
【0038】
係合部54は、長尺部材6の一端6aが直接または間接的に取り付けられる部位である。係合部54が設けられる位置は特に限定されないが、本実施形態では、係合部54は、移動部材5の移動方向D1で一方(第1移動方向D11側)の端部領域R1に設けられている。係合部54に長尺部材6の一端6aが取り付けられる場合、移動部材5のラック形成面51側から高さ方向D2で摺動面21bに向かう方向に長尺部材6を取り付けることができるように、係合部54は、高さ方向D2でラック形成面51側が開放している。また、移動部材5の端部5aには、係合部54の内部空間に連通する挿通部56が設けられている。挿通部56は、高さ方向D2で係合部54が設けられた位置からラック形成面51まで延びるスリット状に形成されている。
【0039】
なお、本実施形態では、係合部54は移動部材5の第1移動方向D11側の端部領域R1のみに設けられているが、長尺部材が移動部材5の第2移動方向D12側にも設けられる場合には、係合部は、移動部材5の第2移動方向D12側の端部領域R2にも設けられてもよい。
【0040】
凹部55は、後述する緩衝部材9が収容される部分である。凹部55は、図7に示されるように、移動部材5の移動方向D1で一方(第1移動方向D11側)の端部領域R1に設けられている。
【0041】
凹部55の形状は、後述する緩衝部材9を収容できるように構成されていれば、特に限定されない。本実施形態では、凹部55は、緩衝部材9が載置される載置面55aを有しており、緩衝部材9が凹部55の載置面55aに載置されたときに、緩衝部材9の一部がラック形成面51(ラック非形成部51b)から高さ方向D2に突出する。また、移動部材5は、凹部55内の空間と連通するように、凹部55の幅方向D3で両側に一対の開口部55b、55bを有している。図4に示されるように、開口部55b、55bに緩衝部材9の係合凸部92が入り込んで、係合凸部92が、係合凸部92に対して高さ方向D2でラック形成面51側に位置する係合壁55c、55cに係合する。これにより、緩衝部材9の凹部55からの離脱が抑制される。
【0042】
また、本実施形態では、図4および図7に示されるように、係合部54は、凹部55に対して、ピニオンギヤ4とラック形成面51とが対向する方向(高さ方向D2)で摺動部52側(図4における下方向)に、凹部55と連通して設けられている。この場合、凹部55に緩衝部材9が配置されることで、長尺部材6の端部(一端6a)の係合部54からの離脱が規制される。具体的には、図4に示されるように、係合部54に長尺部材6の一端6aが取り付けられ、凹部55に緩衝部材9が配置されると、長尺部材6の一端6aが離脱する経路が緩衝部材9によって塞がれる。これにより、長尺部材6の一端6aの係合部54からの離脱が規制される。
【0043】
摺動部52は、移動部材5が移動方向D1に移動する際に、ケーシング2の摺動面21bに対して摺動する。摺動部52は、移動部材5が移動方向D1に円滑に移動することができれば、平坦面であってもよいし、摺動面21bに設けられたガイド突起やガイド溝に係合して移動方向D1に案内されるように構成されていてもよい。
【0044】
ばね部材収容部53は、ばね部材7の一部を収容可能な内部空間を有する移動部材5の部位である。ばね部材収容部53は、移動部材5において移動方向D1に沿って延びている。ばね部材収容部53の形状は、移動方向D1に沿って延び、ばね部材7の一部を収容可能であれば、特に限定されない。本実施形態では、ばね部材収容部53は、移動部材5の側壁5c、5dおよびラック形成面51によってばね部材収容部53の内部空間が画定されている。本実施形態では、図5に示されるように、ばね部材収容部53は2つのばね部材7を収容するように構成され、ばね部材収容部53の2つの内部空間は、隔壁5eによって幅方向D3に分離されている。ばね部材収容部53は、ばね部材7をばね部材収容部53の内部空間に入れることができるように、第2移動方向D12側の端部が開放している。また、ばね部材収容部53の第1移動方向D11側の端部に、仕切壁53aが設けられており、ばね部材7の第1移動方向D11側の端部が当接するように構成されている。仕切壁53aが設けられる位置は特に限定されないが、本実施形態では、仕切壁53aは、移動部材5の移動方向D1の中心部分から第1移動方向D11側に、より具体的には、移動方向D1で一方(第1移動方向D11側)の端部領域R1に設けられている。
【0045】
ばね部材7は、駆動部3によって移動部材5が所定のストロークで移動した後、移動部材5を初期位置(図1参照)に戻すように付勢する。なお、移動部材5の初期位置は、移動部材5に駆動部3からの駆動力が加わっていないときに移動部材5が位置する位置である。本実施形態では、移動部材5の初期位置は、第1位置であり、図1に示されるように、移動部材5は、第1位置に位置するときにばね部材7の付勢力によって第1壁部21dに接触している。ばね部材7の種類は、移動部材5を付勢することができれば、特に限定されないが、本実施形態では、ばね部材7は、移動方向D1に延びるコイルばねである。本実施形態では、互いに略平行に配置された2つのコイルばねが設けられているが、ばね部材の個数は特に限定されず、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。なお、本実施形態では、図3に示されるように、ばね部材7の移動方向D1で一方側の端部は移動部材5(仕切壁53a)に係合し、ばね部材7の他方側の端部は、ガイド部材8のばね座Sに移動方向D1で係合している。
【0046】
ガイド部材8は、ばね部材7が移動方向D1に沿って伸縮できるようにばね部材7をガイドする。ガイド部材8の形状および構造は、ばね部材7が移動方向D1に沿って伸縮できるようにばね部材7をガイドすることができれば、特に限定されない。本実施形態では、ガイド部材8は、図5および図6に示されるように、コイルばねであるばね部材7の内側に挿入される棒状部材によって構成されている。しかし、ガイド部材は、ばね部材7をガイドすることができれば、例えば、ばね部材7の外側に設けられた、ばね部材7の一部を収容する筒状体によって構成されていてもよい。
【0047】
本実施形態では、ガイド部材8は、図5図6および図8に示されるように、移動方向D1で一方(第1移動方向D11側)に位置する自由端8aと、移動方向D1で他方(第2移動方向D12側)に位置する、ばね座Sを有する係合端8bと、自由端8aと係合端8bとの間に延びるガイド部8cとを備えている。
【0048】
ガイド部8cは、ばね部材7が移動方向D1(ばね部材7の軸方向)に安定して伸縮できるように、ばね部材7をガイドする。ガイド部8cは、図8に示されるように直線状に延びる棒状または筒状部材によって構成される。図1および図2に示されるように、ガイド部8cの移動方向D1の長さは、移動部材5が第1位置に位置するときのばね部材7の移動方向D1の長さよりも短くなっている。そのため、ばね部材7は、移動部材5が第1位置に位置するときに、ばね部材7のうち移動方向D1で一方側(第1移動方向D11側)に、ガイド部材8にガイドされていない非ガイド領域UG(図5および図6参照)を有している。
【0049】
ガイド部材8の係合端8bは、ケーシング2の内面と移動方向D1で係合するように構成されている。具体的には、係合端8bは、図1および図2に示されるように、ケーシング2の第2壁部21eに移動方向D1で係合する。本実施形態では、ガイド部材8の係合端8bの第2移動方向D12側の端面が、ばね部材7からガイド部材8に対して加わる、第2壁部21eに向かう反力によって、第2壁部21eに押圧されることで、ガイド部材8がケーシング2に取り付けられる。また、詳細は後述するが、ガイド部材8は、ばね部材7、ガイド部材8および移動部材5をケーシング2に取り付ける際に用いられる治具J(図13図15参照)が係合される治具係合部E(図5および図8参照)を備えている。治具係合部Eについては後述する。本実施形態では、ばね部材7はガイド部材8にガイドされているが、ガイド部材8は必ずしも設けられる必要はない。
【0050】
本実施形態では、図3および図4に示されるように、ラック形成面51は、移動方向D1で一方(第1移動方向D11側)の端部領域R1において、対向面21aに対向する位置に設けられた緩衝部材9を有している。上述したように、移動部材5が第1位置に位置するときに、ピニオンギヤ4は、ラック部51aと移動方向D1で他方(第2移動方向D12側)の端部領域R2において係合するように構成されている。そのため、移動部材5のうち、移動方向D1で他方(第2移動方向D12側)の端部領域R2は、ピニオンギヤ4によって、高さ方向D2で対向面21a側に向かう方向の移動は規制されている。これに対して、移動部材5のうち、移動方向D1で一方(第1移動方向D11側)の端部領域R1は、高さ方向D2で対向面21a側に向かう方向の移動が規制されていない。したがって、移動部材5に緩衝部材9が無い場合、図9および図10に示されるように、移動部材5は、ピニオンギヤ4との係合部分を支点にして一方の端部領域R1側が対向面21aに近付くように傾斜すると(図10参照)、移動部材5とケーシング2の対向面21aとが当接した際に異音が生じる。本実施形態では、移動部材5が一方の端部領域R1において緩衝部材9を有していることによって、移動部材5に対して、ピニオンギヤ4との係合部分を支点にして一方の端部領域R1側が対向面21aに近付くように傾斜する力が加わった場合であっても、移動部材5とケーシング2の対向面21aとが当接することによる異音の発生を抑制することができる。
【0051】
上述した緩衝部材9による効果を、緩衝部材9が設けられていない参考例を示す図9および図10を用いて、より詳細に説明する。図9および図10に示される参考例においては、本実施形態の駆動装置1と同様に、移動部材5は、ばね部材7によって移動方向D1の一方(第1移動方向D11側)に付勢されている。ピニオンギヤ4は、移動部材5が第1位置にあるときに(図9参照)、ラック部51aと移動方向D1で他方(第2移動方向D12側)の端部領域R2において係合している。移動部材5は、第1位置において、ばね部材7によって付勢されて第1壁部21dに押し付けられた状態であり、ピニオンギヤ4によって第2位置に向かって駆動される。このような構造を有する(緩衝部材9を有していない)駆動装置において、本発明者らは、以下のような事象が生じていることを見出した。
【0052】
移動部材5が第1位置から第2位置に向かって移動すると、移動部材5の移動に伴ってばね部材7が圧縮される。ばね部材7が圧縮される際に、ばね部材7が径方向外側へ変形してしまう場合がある(図10参照)。この場合、移動部材5には、ばね部材7から、移動部材5をケーシング2の対向面21aに向かって押し上げるような力が加わる。このばね部材7から加わる力によって、移動部材5は、ピニオンギヤ4とラック部51aとの係合箇所を支点として、移動部材5の一方の端部領域R1が対向面21aに向かって近付くように傾斜してしまう(図10参照)。移動部材5が傾斜すると、移動部材5の一方の端部領域R1の一部と、対向面21aとが接触することで、異音(接触音)が生じてしまう。本発明者らは、このように、所定の構造において、ピニオンギヤ4とラック部51aとの係合箇所を支点として、移動部材5の一方の端部領域R1が対向面21aに向かって近付くように傾斜して、移動部材5とケーシング2とが接触することによる異音が生じることを見出した。そして、その接触および異音が生じる箇所において、局所的に緩衝部材9を設けることで、簡単な構成で効率良く駆動装置1の異音を抑制することを可能にし、必要となる緩衝部材9の大きさを小さくすることを可能にした。
【0053】
なお、上記移動部材5の傾斜は、移動部材5の一方(第1移動方向D11側)の端部(端面)5aと、第1壁部21dとが接触している際には、移動部材5の一方の端部5aと第1壁部21dとの間の摩擦によって抑制されている(図9参照)。一方、移動部材5が第1位置から第2位置に向かって移動し、移動部材5が第1壁部21dから離れると(図10参照)、ばね部材7の変形によって移動部材5の一方の端部領域R1側が持ち上がりやすくなる。また、ばね部材7が、移動方向D1で一方側(第1移動方向D11側)に、非ガイド領域UGを有している場合、ばね部材7は、非ガイド領域UGにおいてガイド部材8によって案内されていない。そのため、非ガイド領域UGでは、ばね部材7が圧縮された際にいびつな変形を生じやすくなる。このように、ばね部材7が非ガイド領域UGを有する構造において、緩衝部材9が移動方向D1で一方の端部領域R1(のみ)において、対向面21aに対向する位置に設けられることで、図11および図12に示されるように、移動部材5が第1壁部21dから離れても、ばね部材7のいびつな変形や移動部材5の傾斜が抑制される。したがって、移動部材5と対向面21aとの間の衝突音(異音)を効果的に抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態では、図4に示されるように、ケーシング2の摺動面21bは、ばね部材7の外周形状(図4の二点鎖線参照)に沿って湾曲した湾曲面CSを有している。湾曲面CSは、ばね部材7の高さ方向D2で摺動面21bに向かう方向の変形を規制できるように、ばね部材7の外周に近接した位置に設けられている。また、ばね部材7の幅方向D3で両側は、図5に示されるように、移動部材5の側壁5c、5dおよび隔壁5eによってばね部材7の幅方向D3の変形が規制されており、移動部材5の側壁5c、5dは、ケーシング2の側壁21f、21gに摺接している。駆動装置1がこのような構成を有している場合、ばね部材7が変形する方向は、図10に示されるような、対向面21aに向かう方向に限定される。このような構成を有する駆動装置1において、移動部材5の一方の端部領域R1に最小限の位置に局所的に緩衝部材9が設けられることで、より効果的に異音を抑制することができる。
【0055】
緩衝部材9の形状および構造は、移動部材5の一方の端部領域R1と、対向面21aとの間での異音を抑制することができれば、特に限定されない。本実施形態では、緩衝部材9は、図3に示されるように、ラック形成面51(ラック非形成部51b)から高さ方向D2で突出している。より具体的には、緩衝部材9は、図3および図4に示されるように、ケーシング2の対向面21aに接触するように構成されている。緩衝部材9がケーシング2の対向面21aに接触している場合、移動部材5の、ピニオンギヤ4とラック部51aとの係合箇所を支点とする傾斜自体が抑制され、より異音の発生を抑制することができる。また、この場合、移動部材5は、摺動部52と緩衝部材9とによって、高さ方向D2の両側においてケーシング2に案内される。したがって、移動部材5を安定して移動方向D1に移動させることができ、移動部材5のガタつきなどによる異音を低減させることができる。なお、本実施形態では、緩衝部材9がケーシング2と接触するときの摺動抵抗を低減するために、対向面21aは幅方向D3の一部のみが緩衝部材9と接触するように構成されている。これにより、移動部材5のケーシング2に対する摺動抵抗を低減させつつ、移動部材5を安定して移動させ、さらに移動部材5とケーシング2との間に生じる異音の発生をさらに抑制することができる。
【0056】
なお、緩衝部材9は、移動部材5の一方の端部領域R1と、対向面21aとの間での異音を抑制することができれば、対向面21aに対して離間して設けられていてもよい。緩衝部材9が対向面21aから離間している場合、移動部材5がわずかに傾斜したときに、緩衝部材9が対向面21aと接触することで、移動部材5とケーシング2との直接接触を防止でき、異音を抑制することができる。
【0057】
緩衝部材9の、ラック形成面51(ラック非形成部51b)からの突出量は、移動部材5の一方の端部領域R1と、対向面21aとの間での異音を抑制することができれば、特に限定されない。例えば、緩衝部材9は、ラック非形成部51bから、ラック非形成部51bと対向面21aとの間の隙間の大きさの80~100%の突出量で突出していることが好ましい。本実施形態では、移動部材5は、図6および図7に示されるように、ラック形成面51(緩衝部材9の周囲の緩衝部材9が突出する基準面となるラック非形成部51b)から突出する緩衝部材9の高さ方向D2での変形量を所定範囲に規制する突出部RBを有している。突出部RBは、ラック形成面51(ラック非形成部51b)からの緩衝部材9の突出量よりも小さい突出量で、ラック形成面51(ラック非形成部51b)から突出している。これにより、図11および図12に示されるように、移動部材5がケーシング2内に配置され、緩衝部材9が対向面21aと接触して圧縮されたとしても、緩衝部材9の変形量が所定範囲に制限され、対向面21aに対し、緩衝部材9と突出部RBとが摺動する。これにより、移動部材5が移動する際に、移動部材5が円滑に摺動することが可能となる。
【0058】
なお、緩衝部材9を構成する材料は、移動部材5の一方の端部領域R1と、対向面21aとの間での異音を抑制することができれば、特に限定されず、ゴム、エラストマー等の弾性材料、軟質材料とすることができる。
【0059】
緩衝部材9は、本実施形態では、図4および図7に示されるように、幅方向D3に細長い直方体状の緩衝部材本体91と、緩衝部材本体91の幅方向D3の両端から幅方向D3に突出する係合凸部92とを備えている。緩衝部材9は、凹部55に着脱可能に収容され、凹部55の載置面55aに載置された状態で、緩衝部材本体91がラック非形成部51bから突出している(図3参照)。上述したように、緩衝部材9の係合凸部92は、図4に示されるように、一対の開口部55b、55bに入り込んで、係合壁55c、55cと高さ方向D2で係合する。これにより、緩衝部材9の凹部55からの離脱が抑制される。
【0060】
また、本実施形態では、図1および図2に示されるように、ガイド部材8の係合端8bは、係合端8bのうち、第2壁部21eとの接触面よりも移動方向D1で一方側(第1移動方向D11側)に、治具係合部Eを有している。本実施形態では、図13図15に示されるように、治具係合部Eおよび移動部材の凹部55は、移動部材5およびガイド部材8の移動方向D1の長さL1(図15参照)が、第1壁部21dと第2壁部21eとの間の移動方向D1の長さL2(図3参照)よりも短くなるように、移動部材5およびガイド部材8を保持可能な治具Jと係合可能に構成されている。この場合、図13図15に示されるように、緩衝部材9が収容される前の凹部55と、ガイド部材8の端部に設けられた治具係合部Eとを利用して、治具Jによって移動部材5およびガイド部材8(およびばね部材7)とが組み合わされた状態の全長(移動部材5およびガイド部材8の移動方向D1の長さL1)を短くして、移動部材5およびガイド部材8のケーシング2(移動部材収容部21)への組み付けを容易にすることができる。
【0061】
治具係合部Eは、治具Jと移動方向D1に係合可能に構成されている。治具係合部Eは、治具Jと移動方向D1に係合可能であれば、特に限定されない。本実施形態では、治具係合部Eは、図8に示されるように、略円筒状のガイド部材8の係合端8bにおいて径方向に延びる係合溝によって構成されている。なお、治具係合部は、治具Jと係合可能であれば、溝ではなく、係合端8bを径方向に貫通する貫通孔や径方向に延びる非貫通孔等によって構成されていてもよい。
【0062】
治具Jは、駆動装置1において、移動部材5、ばね部材7およびガイド部材8をケーシング2に対して組み付ける際に用いられる。治具Jは、駆動装置1とともに、駆動装置組み立て構造を構成する。治具Jの形状および構造は、治具係合部Eおよび凹部55に係合可能であり、移動部材5およびガイド部材8の移動方向D1の長さL1が、第1壁部21dと第2壁部21eとの間の移動方向D1の長さL2よりも短くなるように、移動部材5およびガイド部材8を保持することができれば、特に限定されない。
【0063】
本実施形態では、治具Jは、図13図15に示されるように、凹部55内の空間に対して差し込み可能な第1フック部J1と、治具係合部E内の空間に対して差し込み可能な第2フック部J2と、第1フック部J1と第2フック部J2との間に延びる延在部J3とを備えている。第1フック部J1と第2フック部J2とは、移動部材5およびガイド部材8の移動方向D1の長さL1(図15参照)が、第1壁部21dと第2壁部21eとの間の長さL2(図3参照)よりも短くなった状態で、移動部材5およびガイド部材8を保持できるように構成されている。このような治具Jを用いると、ばね部材7を圧縮した状態で保持したまま、移動部材収容部21に移動部材5、ばね部材7およびガイド部材8を移動させることができ、駆動装置1の組み付けを容易にすることができる。
【0064】
第1フック部J1は、凹部55内の空間に差し込まれて凹部55と移動方向D1で係合する。第2フック部J2は、治具係合部E内の空間に差し込まれて治具係合部Eと移動方向D1で係合する。本実施形態では、第2フック部J2は、2つのガイド部材8の治具係合部Eと係合するように、2つの凸部を有している(図14参照)。延在部J3は、第1フック部J1と第2フック部J2との間に配置され、ばね部材7を圧縮した状態で移動部材5およびガイド部材8を保持できる所定の剛性を有している。
【0065】
本実施形態では、治具Jは、第1フック部J1と第2フック部J2との間の距離を短くするための治具駆動部J4を有している。治具駆動部J4は、電動または手動で第1フック部J1および/または第2フック部J2を駆動するように構成することができる。なお、治具は、移動部材5およびガイド部材8の移動方向D1の長さL1が、第1壁部21dと第2壁部21eとの間の長さL2よりも短くなった状態で、移動部材5およびガイド部材8を保持できれば、第1フック部J1と第2フック部J2との間の距離が可変ではなく、固定されているものであってもよい。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されない。なお、上記した実施形態は、以下の構成を有する発明を主に説明するものである。
【0067】
(1)ケーシングと、
駆動部と、
前記駆動部の駆動力によって回転するピニオンギヤと、
前記ピニオンギヤと噛み合うラック部を有し、前記ラック部と噛み合う前記ピニオンギヤの回転によって、前記ケーシング内で所定の移動方向に移動する移動部材とを備えた駆動装置であって、
前記移動部材は、前記ケーシング内において、前記移動方向で一方に位置する第1位置と、前記移動方向で他方に位置する第2位置との間で移動可能であり、
前記移動部材は、前記ラック部が設けられたラック形成面と、前記ピニオンギヤと前記ラック形成面とが対向する方向で、前記ラック形成面の反対側に設けられた摺動部とを備え、
前記ケーシングは、前記ラック形成面に対向する対向面と、前記摺動部が摺動する摺動面とを有し、
前記ラック部は、前記ラック形成面において、前記移動方向で他方の端部から前記移動方向で所定の領域に亘って延び、
前記移動部材が前記第1位置に位置するときに、前記ピニオンギヤは、前記ラック部と前記移動方向で他方の端部領域において係合するように構成され、
前記ラック形成面は、前記移動方向で一方の端部領域において、前記対向面に対向する位置に設けられた緩衝部材を有している、
駆動装置。
【0068】
(2)前記ケーシングが、前記移動部材が移動可能な移動部材収容部を備え、
前記移動部材収容部は、前記移動方向で一方側となる第1壁部と、前記移動方向で他方側となる第2壁部とを備え、
前記駆動装置がさらに、前記移動部材を前記移動方向の一方に付勢するばね部材を備えている、
(1)に記載の駆動装置。
【0069】
(3)前記移動部材は、前記第1位置に位置するときに前記ばね部材の付勢力によって前記第1壁部に接触している、(1)または(2)に記載の駆動装置。
【0070】
(4)前記緩衝部材は、前記移動部材の前記移動方向で一方の端部領域に設けられた凹部に収容されている、(1)~(3)のいずれか1つに記載の駆動装置。
【0071】
(5)前記駆動装置がさらに、前記移動部材に接続される長尺部材を備え、
前記移動部材は、前記移動方向で一方の端部領域に、前記長尺部材の端部が係合する係合部を有し、前記係合部は、前記凹部に対して、前記ピニオンギヤと前記ラック形成面とが対向する方向で前記摺動部側に、前記凹部と連通して設けられ、前記凹部に前記緩衝部材が配置されることで、前記長尺部材の端部の前記係合部からの離脱が規制される、(1)~(4)のいずれか1つに記載の駆動装置。
【0072】
(6)前記緩衝部材は、前記ケーシングの前記対向面に接触するように構成されている、(1)~(5)のいずれか1つに記載の駆動装置。
【0073】
(7)前記ラック形成面は、前記ラック形成面の、前記移動方向で一方の端部領域に、かつ、前記ラック部に対して前記移動方向で一方側に、前記ラック部を有していないラック非形成部を有し、
前記緩衝部材は、前記ラック非形成部から、前記ラック非形成部と前記対向面との間の隙間の大きさの80~100%の突出量で突出している、(1)~(6)のいずれか1つに記載の駆動装置。
【0074】
(8)前記ばね部材が、前記移動方向に延びるコイルばねであり、
前記駆動装置がさらに、前記ばね部材をガイドするように、前記移動方向に延びるガイド部材を備え、
前記ばね部材は、前記移動部材が前記第1位置に位置するときに、前記ばね部材のうち前記移動方向で一方側に、前記ガイド部材にガイドされていない非ガイド領域を有している、(1)~(7)のいずれか1つに記載の駆動装置。
【0075】
(9)前記ガイド部材は、
前記移動方向で一方に位置する自由端と、前記移動方向で他方に位置する、ばね座を有する係合端と、前記自由端と前記係合端との間に延びるガイド部とを備え、
前記ばね部材は、前記移動方向で一方の端部が前記移動部材に係合し、前記移動方向で他方の端部が、前記ガイド部材のばね座に係合するように設けられ、
前記ガイド部材の前記係合端は、前記ケーシングの内面と前記移動方向で係合するように構成されている、(1)~(8)のいずれか1つに記載の駆動装置。
【0076】
(10)前記緩衝部材は、前記移動部材の前記移動方向で一方の端部領域に設けられた凹部に収容されており、
前記ガイド部材の前記係合端は、前記係合端のうち、前記第2壁部との接触面よりも前記移動方向で一方側に、治具係合部を有し、
前記治具係合部および前記凹部は、前記移動部材および前記ガイド部材の前記移動方向の長さが、前記第1壁部と前記第2壁部との間の長さよりも短くなるように、前記移動部材および前記ガイド部材を保持可能な治具と係合可能に構成されている、
(1)~(9)のいずれか1つに記載の駆動装置。
【0077】
(11)(1)~(10)のいずれか1つに記載の駆動装置と、
前記移動部材および前記ガイド部材の前記移動方向の長さが、前記第1壁部と前記第2壁部との間の長さよりも短くなるように、前記移動部材および前記ガイド部材を保持可能な治具とを備えた、駆動装置組み立て構造であって、
前記治具は、前記凹部内の空間に対して差し込み可能な第1フック部と、前記治具係合部内の空間に対して差し込み可能な第2フック部と、前記第1フック部と前記第2フック部との間に延びる延在部とを備え、
前記第1フック部と前記第2フック部とは、前記移動部材および前記ガイド部材の前記移動方向の長さが、前記第1壁部と前記第2壁部との間の長さよりも短くなった状態で、前記移動部材および前記ガイド部材を保持できるように構成されている、駆動装置組み立て構造。
【符号の説明】
【0078】
1 駆動装置
2 ケーシング
2A 第1ケーシング部材
2B 第2ケーシング部材
21 移動部材収容部
21a 対向面
21b 摺動面
21c ケーシングの上面
21d 第1壁部
21e 第2壁部
21f、21g 側壁
22 駆動部収容部
23 長尺部材導入部
23a 導入開口
3 駆動部
31 モータ
32a、32b、32c 伝動部材
4 ピニオンギヤ
41 第1ギヤ部
42 第2ギヤ部
5 移動部材
5a 移動部材の第1移動方向側の端部
5b 移動部材の第2移動方向側の端部
5c、5d 側壁
5e 隔壁
51 ラック形成面
51a ラック部
51b ラック非形成部
52 摺動部
53 ばね部材収容部
53a 仕切壁
54 係合部
55 凹部
55a 載置面
55b 開口部
55c 係合壁
56 挿通部
6 長尺部材
6a 長尺部材の一端
6b 長尺部材の他端
7 ばね部材
8 ガイド部材
8a 自由端
8b 係合端
8c ガイド部
9 緩衝部材
91 緩衝部材本体
92 係合凸部
CS 湾曲面
D1 移動方向
D11 第1移動方向
D12 第2移動方向
D2 高さ方向
D3 幅方向
E 治具係合部
J 治具
J1 第1フック部
J2 第2フック部
J3 延在部
J4 治具駆動部
L1 移動部材およびガイド部材の移動方向の長さ
L2 第1壁部と第2壁部との間の移動方向の長さ
OC アウターケーシング
OP 作動対象
R1 移動部材の移動方向で一方の端部領域
R2 ラック部の移動方向で他方の端部領域
RB 突出部
S ばね座
UG 非ガイド領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15