(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104083
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】X線撮影装置、および、X線撮影方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/40 20240101AFI20240726BHJP
A61B 6/00 20240101ALI20240726BHJP
A61B 6/12 20060101ALI20240726BHJP
A61B 6/58 20240101ALI20240726BHJP
【FI】
A61B6/00 300D
A61B6/00 350D
A61B6/12
A61B6/00 390A
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008113
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】320011683
【氏名又は名称】富士フイルムヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000888
【氏名又は名称】弁理士法人山王坂特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松崎 和喜
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勲
(72)【発明者】
【氏名】山川 恵介
(72)【発明者】
【氏名】中村 正
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093AA25
4C093CA23
4C093CA36
4C093EA06
4C093EC22
4C093EC34
4C093FA15
4C093FD11
4C093FF16
4C093FF22
4C093FF35
4C093FF42
4C093GA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】X線管の支柱を回転させることなく、術中にリアルタイムに処置具の3次元位置を把握可能であって、較正機能を備えたX線撮影装置を提供する。
【解決手段】第1X線管および第2X線管からX線が照射される空間内の予め定めた較正位置に、第1支柱、第2支柱および天板のうちのいずれかによって支持される較正部材を配置する。第1支柱により支持された第1X線管から、天板に搭載された被検体にX線を照射し、被検体を通過したX線を、天板内に配置されたX線検出器で検出して第1X線画像を取得する。第1X線管の光軸からずれた位置に第2支柱によって支持された第2X線管から、被検体にX線を照射し、被検体を通過したX線をX線検出器で検出して第2X線画像を取得する。第1X線画像に含まれる前記較正部材の像の位置と、第2X線画像に含まれる較正部材の像の位置とを用いて、較正部材の3次元位置を算出し、較正位置とのずれ量を求める。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を搭載する天板と、前記被検体にX線を照射する第1X線管と、前記第1X線管を支持する第1支柱と、前記被検体にX線を照射する第2X線管と、前記第2X線管を支持する第2支柱と、前記第1X線管および第2X線管が照射し、前記被検体を通過したX線を検出するX線検出器と、演算部と、較正部材とを有し、
前記第2X線管は、前記第2支柱によって、前記第1X線管の光軸からずれた位置に配置され、
前記演算部は、前記X線検出器が前記第1X線管の照射したX線を検出した出力から第1X線画像を取得し、前記X線検出器が前記第2X線管の照射したX線を検出した出力から第2X線画像を取得し、前記第1X線画像に含まれる所定の特徴部位の像の位置と、前記第2X線画像に含まれる前記特徴部位の像の位置とを用いて、前記所定の特徴部位の3次元位置を算出し、
前記較正部材は、前記第1支柱、前記第2支柱および前記天板のうちのいずれかによって前記第1X線管および第2X線管からX線が照射される空間内の予め定めた較正位置に支持されることを特徴とするX線撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載のX線撮影装置であって、前記較正部材は、前記第1支柱、前記第2支柱および前記天板のうちのいずれかに、出没可能に支持され、突出している状態では、前記較正位置に配置され、突出していない状態では、前記第1X線管および第2X線管からX線が照射される空間から外れた位置に配置されることを特徴とするX線撮影装置。
【請求項3】
請求項2に記載のX線撮影装置であって、前記較正部材は、X線を吸収する物体であり、
前記第1支柱は、前記第1支柱の側面に沿って配置された較正用回動支柱を備え、
前記較正用回動支柱の先端には、前記較正部材が固定され、前記較正用回動支柱の基部は、前記第1支柱に回動可能に固定され、前記較正用回動支柱が前記基部を中心に回動することにより、前記較正部材を、前記較正位置に配置することを特徴とするX線撮影装置。
【請求項4】
請求項3に記載のX線撮影装置であって、前記第1支柱には、前記較正用回動支柱を前記基部を中心に所定の角度まで回動させる駆動部が備えられていることを特徴とするX線撮影装置。
【請求項5】
請求項3に記載のX線撮影装置であって、前記第1支柱には、前記較正用回動支柱を前記第1支柱に対して、所定の回動角度で停止させて支持するストッパが備えられていることを特徴とするX線撮影装置。
【請求項6】
請求項3に記載のX線撮影装置であって、前記較正用回動支柱の中心軸は、回動していない状態で、前記第1支柱の中心軸と平行であることを特徴とするX線撮影装置。
【請求項7】
請求項3に記載のX線撮影装置であって、前記第1支柱は、前記第1支柱の側面に沿って配置された第2X線管用回動支柱を含み、
前記第2X線管用回動支柱の先端には、前記第2X線管が支持され、前記第2X線管用回動支柱の基部は、前記第1支柱に回動可能に固定され、前記第2X線管用回動支柱は、前記第2X線管用回動支柱の基部を中心に回動することにより、前記第2X線管を、前記X線検出器にX線を照射する位置に配置することを特徴とするX線撮影装置。
【請求項8】
請求項7に記載のX線撮影装置であって、前記較正用回動支柱および前記第2X線管用回動支柱の一方には、中心軸に沿って開口が設けられ、他方は、前記開口内に配置され、
前記較正用回動支柱および前記第2X線管用回動支柱は、両者が回動していない状態で、中心軸が一致していることを特徴とするX線撮影装置。
【請求項9】
請求項8に記載のX線撮影装置であって、前記較正用回動支柱の基部の回動の中心軸は、前記第2X線管用回動支柱の基部の回動の中心軸と一致していることを特徴とするX線撮影装置。
【請求項10】
請求項7に記載のX線撮影装置であって、前記第1支柱には、前記第2X線管用回動支柱を前記第2X線管用回動支柱の基部を中心に所定の角度まで回動させる第2X線管用駆動部が備えられていることを特徴とするX線撮影装置。
【請求項11】
請求項7に記載のX線撮影装置であって、前記第1支柱には、前記第2X線管用回動支柱を前記第1支柱に対して、所定の回動角度で停止させて支持する第2X線管用ストッパが備えられていることを特徴とするX線撮影装置。
【請求項12】
請求項1に記載のX線撮影装置であって、較正制御部と、前記X線検出器の位置を、前記天板の主平面内で移動させるX線検出器駆動部とをさらに備え、
前記較正制御部は、前記較正部材を前記較正位置に配置し、前記演算部により前記較正部材の位置を算出させ、算出された前記較正部材が予め定めた位置との位置ずれ量を求め、求めた前記位置ずれ量に応じて前記X線検出器駆動部により前記X線検出器の位置をずらすことを特徴とするX線撮影装置。
【請求項13】
請求項1に記載のX線撮影装置であって、較正制御部と、前記演算部が算出する前記特徴部位の3次元位置を補正する補正部とをさらに備え、
前記較正制御部は、前記較正部材を前記較正位置に配置し、前記演算部により前記較正部材の位置を算出させ、算出された前記較正部材が予め定めた位置との位置ずれ量を求め、
前記補正部は、求めた前記位置ずれ量に応じて前記演算部が算出する前記特徴部位の3次元位置を補正することを特徴とするX線撮影装置。
【請求項14】
請求項1に記載のX線撮影装置であって、
前記第2X線管の前記X線検出器へのX線の最大照射領域は、前記第1X線管の前記X線検出器へのX線の最大照射領域よりも小さいことを特徴するX線撮影装置。
【請求項15】
請求項1に記載のX線撮影装置であって、
前記第2X線管のX線の最大出力は、前記第1X線管のX線の最大出力よりも小さいことを特徴するX線撮影装置。
【請求項16】
請求項15に記載のX線撮影装置であって、
前記第1X線管と前記第2X線管の出力を制御する出力制御部をさらに有し、
前記出力制御部は、前記第1X線管と前記第2X線管の出力を個別に制御可能であることを特徴するX線撮影装置。
【請求項17】
第1X線管および第2X線管からX線が照射される空間内の予め定めた較正位置に、第1支柱、第2支柱および天板のうちのいずれかによって支持される較正部材を配置し、
前記第1支柱により支持された第1X線管から、前記天板に搭載された被検体にX線を照射し、前記被検体を通過したX線を、前記天板内に配置されたX線検出器で検出して第1X線画像を取得し、
前記第1X線管の光軸からずれた位置に前記第2支柱によって支持された第2X線管から、前記被検体にX線を照射し、前記被検体を通過したX線をX線検出器で検出して第2X線画像を取得し、
前記第1X線画像に含まれる前記較正部材の像の位置と、前記第2X線画像に含まれる前記較正部材の像の位置とを用いて、前記較正部材の3次元位置を算出し、前記較正位置とのずれ量を求める
ことを特徴とするX線撮影方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なX線撮影装置は、X線源から被検体に対してX線を照射し、被検体を透過したX線を平面状のX線検出器により検出することにより、静止画のX線撮影や、連続撮影による動画のX線撮影(いわゆる透視)を行うことができる。X線撮影および透視のいずれにおいても、得られるX線画像は、2次元投影像であり、被検体内の構造の厚み方向の位置を把握することはできない。
【0003】
そこで、被検体の3次元撮影を可能にするため、例えば特許文献1では、M個×N個のX線源から構成されるマルチX線発生装置と、K個×L個のセンサから構成される平面検出器をアームで対向させたX線撮影装置が提案されている。このX線撮影装置は、アームをスライド回転軸と主軸を中心に回転させながら、複数のX線源から周期的にX線放射を行い、同期してセンサを動作させ、複数の多方向画像を撮影し、X線源の座標情報を基に再構成することにより、任意の多層断層画像を取得することができる。
【0004】
また、特許文献2には、いわゆるバイプレーンのX線撮影装置が開示されている。このX線撮影装置は、第1のX線管と第1のX線検出器とを第1のC型アームによって対向配置し、第2のX線管と第2のX線検出器とを第2のC型アームによって対向配置した構成である。第1のC型アームと第2のC型アームの回転軸は、交差するように設定される。第1のC型アームと第2のC型アームをそれぞれ回転させて撮影を行うことにより、3次元画像を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-173015号公報
【特許文献2】特開2021-133036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の特許文献2のようなバイプレーンのX線撮影装置は、大型かつ高価である。一方、特許文献1のようにM個×N個のX線源を用いる多管球システムは、X線源を多数用意する必要があり、構成が複雑であり、装置が大型になる。
【0007】
また、実空間座標系または装置に設定されている装置座標系等の所定の3次元座標系において、術中に処置具の位置座標を精度よく検出するためには、予め位置座標がわかっている特定点Aにファントムの所定点を配置して、X線撮影装置によってファントムの所定点の3次元位置座標を検出し、予めわかっている点Aの位置座標と、X線撮影装置によって検出した3次元位置座標とが一致するように、X線撮影装置の位置検出機能を較正する必要がある。しかしながら、特定点Aの位置座標を予め求め、その位置にファントムを配置するのは容易ではない。例えば、実空間で特定点Aの位置を予め検出するためには、光学的や磁気的等の3次元位置検出装置が別途必要である。X線撮影装置の装置座標系で、3次元空間の特定点Aをユーザやサービスマンに指し示すには、3次元空間内の1点である特定点Aを指し示す光学的な装置等が別途必要である。また、3次元空間内の特定点Aにファントムの所定点を精度よく位置合わせして設置するのも容易な作業ではない。
【0008】
本発明の目的は、必要最小限で、かつ、コンパクトな構成で、術中にリアルタイムに処置具の3次元位置を把握可能であって、較正機能を備えたX線撮影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、被検体を搭載する天板と、被検体にX線を照射する第1X線管と、第1X線管を支持する第1支柱と、被検体にX線を照射する第2X線管と、第2X線管を支持する第2支柱と、第1X線管および第2X線管が照射し、被検体を通過したX線を検出するX線検出器と、演算部と、較正部材とを有する。第2X線管は、第2支柱によって、第1X線管の光軸からずれた位置に配置される。演算部は、X線検出器が第1X線管の照射したX線を検出した出力から第1X線画像を取得し、X線検出器が第2X線管の照射したX線を検出した出力から第2X線画像を取得し、第1X線画像に含まれる所定の特徴部位の像の位置と、第2X線画像に含まれる特徴部位の像の位置とを用いて、所定の特徴部位の3次元位置を算出する。較正部材は、第1支柱、第2支柱および天板のうちのいずれかによって第1X線管および第2X線管からX線が照射される空間内の予め定めた較正位置に支持される。
【発明の効果】
【0010】
本発明のX線撮影装置ば、X線管の支柱を回転させることなく、術中にリアルタイムに処置具の3次元位置を検出可能であり、しかも、較正機能を備えているため、容易に3次元位置の較正を行って精度よく3次元位置を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】(a)本発明の実施形態のX線撮影装置1の第2X線管110と較正部材180が収納された状態を側面から見た場合の概略構成を示す図、(b)正面から見た場合の概略構成を示す図。
【
図2】(a)本発明の実施形態のX線撮影装置1の第2X線管110と較正部材180が突出した状態を側面から見た場合の概略構成を示す図、(b)正面から見た場合の概略構成を示す図。
【
図3】(a)本発明の実施形態のX線撮影装置1の第2X線管110が突出し、較正部材180が収納された状態を側面から見た場合の概略構成を示す図、(b)正面から見た場合の概略構成を示す図。
【
図4】実施形態のX線撮影装置1の主要部の構成を示すブロック図。
【
図6】(a)実施形態のX線撮影装置1の第1X線管60と第2X線管110の3次元位置S1,S2と、X線検出器70へ投影された処置具の特徴部位の3次元位置D1,D2を示す説明図、(b)第1X線画像の一例を示す図、(c)第2X線画像の一例を示す図、(d)処置具の特徴部位の3次元位置の算出方法を示す図。
【
図7】実施形態のX線撮影装置1の較正モードの動作を示すフローチャート図。
【
図8】(a)実施形態のX線撮影装置1の較正モードの第1X線管の管電流供給、第2X線管の管電流供給およびデータ収集のタイミングを示すシーケンス図、(b)実施形態のX線撮影装置1の撮像モードの第1X線管の管電流供給、第2X線管の管電流供給およびデータ収集のタイミングを示すシーケンス図。
【
図9】(a)~(h)実施形態1のX線撮影装置1で撮像した画像例を示す図。
【
図10】実施形態のX線撮影装置1の撮像モードの動作を示すフローチャート図。
【
図11】実施形態のX線撮影装置1の表示部に表示される画面例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0013】
実施形態のX線撮影装置1の構成について説明する。
【0014】
図1~
図3はそれぞれ、X線撮影装置1を側面および正面からそれぞれ見た概略構成を示す図であり、
図1(a),(b)は、第2X線管110と較正部材180が収納された状態を、
図2(a)、(b)は、第2X線管110と較正部材180が突出した状態を、
図3(a),(b)は、第2X線管110が突出し、較正部材180が収納された状態を示す。
図4は、X線撮影装置1の主要部の構成を示すブロック図である。
【0015】
図1~
図3に示すように、X線撮影装置1は、被検体101を搭載する天板40と、第1X線管60と、第2X線管110と、第1支柱50と、第2支柱130と、X線検出器70と、較正部材180と、演算制御部150とを備えて構成される。
【0016】
第1X線管60と第2X線管110は、被検体101にX線を照射する。第1支柱50は、第1X線管60を支持している。第2支柱130は、第2X線管を支持している。X線検出器70は、第1X線管60および第2X線管110が照射し、被検体を通過したX線を検出する。
【0017】
較正部材180は、第1支柱50、第2支柱130および天板40のうちのいずれかによって支持され、第1X線管60および第2X線管110からX線が照射される空間内の予め定めた較正位置111に支持される。
【0018】
較正部材180は、第1支柱50、第2支柱130および天板40のうちのいずれかに、出没可能に支持されていることが好ましい。較正部材180は、突出している状態では、較正位置111に配置され、突出していない状態では、第1X線管60および第2X線管110からX線が照射される空間から外れた位置に配置される。これにより、X線撮影装置1の位置検出機能の較正を行う時にだけ、較正部材180を突出させて、X線が照射される空間内の較正位置111に配置し、較正が終了したならば、突出していない状態に戻して、撮影の邪魔にならないように収納することができる。
【0019】
較正部材180としては、X線を吸収する物体、例えば金属球を用いる。
【0020】
ここでは、較正部材180は、第1支柱50によって支持されている例について説明する。具体的には、第1支柱50は、第1支柱50の側面に沿って配置された較正用回動支柱190を備えている。較正用回動支柱190の中心軸は、回動していない状態で、第1支柱50の中心軸と平行である。較正用回動支柱190の先端には、較正部材180が固定されている。較正用回動支柱190の基部191は、第1支柱50に回動可能に固定されている。これにより、較正を行う際には、較正用回動支柱190が基部191を中心に90°回動させることにより、較正部材180を、較正位置111に配置することができる。また、較正が終了したならば、較正用回動支柱190を元の位置に戻し、較正部材180を第1支柱50内に収納することができる。
【0021】
第1支柱50には、較正用回動支柱190を基部191を中心に所定の角度(ここでは90°)まで回動させるモータ等の駆動部192を配置し、駆動部192により較正用回動支柱190を回動してもよい。また、較正用回動支柱190を手動で回動させる構成としてもよい。手動で回動させる場合、較正用回動支柱190を第1支柱50に対して、所定の回動角度(90°)で停止させて支持するストッパ193が備えられていることが望ましい(
図2(a),(b)参照)。
【0022】
また、第1支柱50は、第2支柱130として、第1支柱50の側面に沿って配置された第2X線管用回動支柱を備えている。(以下、第2X線管用回動支柱130ともよぶ。)第2X線管用回動支柱130の先端には、第2X線管110が支持されている。第2X線管用回動支柱130の基部131は、第1支柱50に回動可能に固定されている。第2X線管用回動支柱130は、第2X線管用回動支柱130の基部131を中心に回動することにより、第2X線管110を、X線検出器70にX線を照射する位置に配置することができる。第2X線管110は、第2X線管用回動支柱(第2支柱)130によって、第1X線管60の光軸61からずれた位置に配置される。第1X線管60の光軸61からずれた位置にあるとは、第1X線管60の照射領域外に第2X線管110が位置することを意味し、第2X線管110の光軸が、第1X線管60の光軸61の被検体101への入射角度が異なる場合も含む。
【0023】
また、第2X線管用回動支柱130の回動角度を変化させることにより、第2X線管110の第1X線管60に対する相対位置を変化させることができる。
【0024】
なお、較正用回動支柱190および第2X線管用回動支柱130の一方には、中心軸に沿って開口194が設けられ、他方は、開口194内に配置されている構成にすることができる。このような構成にすることにより、較正用回動支柱190および第2X線管用回動支柱130が回動していない状態で、両者の中心軸を一致させることができる。これにより、第2X線管110と較正部材180を、較正用回動支柱190および第2X線管用回動支柱130の中心軸上に配置することができるため好ましい。
【0025】
ここでは、
図1(b)に示すように、較正用回動支柱190に、中心軸に沿って開口194が設けられ、開口194内に第2支柱130が配置されている。
【0026】
第1支柱50内には、第2X線管用回動支柱130を基部131を中心に所定の角度(例えば45°)まで回動させるモータ等の駆動部を配置し、駆動部により第2X線管用回動支柱130を回動させてもよい。また、第2X線管用回動支柱130を手動で回動させる構成としてもよい。手動で回動させる場合、第2X線管用回動支柱130を第1支柱50に対して、所定の回動角度(例えば45°)で停止させて支持するストッパが備えられていることが望ましい。
【0027】
なお、較正用回動支柱190の基部191の回動の中心軸は、第2X線管用回動支柱130の基部131の回動の中心軸と一致させる構成としてもよい。較正用回動支柱190の基部191の回動の中心軸と、第2X線管用回動支柱130の基部131の回動の中心軸と一致している場合、第2X線管用回動支柱130の回動させる駆動部や停止させるストッパとして、較正用回動支柱190の駆動部192やストッパ193を兼用させて用いることが可能になる。
【0028】
X線撮影装置1の他の部分の構成について、
図1~
図3および
図5を用いてさらに説明する。
図5は、X線撮影装置1の斜視図である。
【0029】
第1X線管60は、第1支柱50の上端に支持された第1X線支持腕90の先端に取り付けられている。第1支柱50の下端は、スタンド10に備えられた支柱支持腕20に対して支持されている。
【0030】
第2X線管110が、X線を照射する際に第2X線管用回動支柱(第2支柱)130によって配置される位置は、第1X線管60の光軸61からずれた位置であって、第1X線管60よりも被検体101に近い位置である。
【0031】
また、第2X線管110のX線検出器70へのX線の最大照射領域は、第2X線管のX線検出器へのX線の最大照射領域よりも小さくてもよい。
【0032】
第2X線管110のX線の最大出力は、第1X線管60のX線の最大出力よりも小さくてもよい。
【0033】
また、第1X線管60を支持する第1X線支持腕90には、第1X線管60の位置を、第1支柱50に対して天板40の幅方向(A5方向=x方向)に移動させる第2スライド機構52が第1X線支持腕90に備えられている。さらに、第1X線管60を第1X線支持腕90の先端において、天板40の長軸(y軸)に平行な軸を中心に回動(A6方向)させる第1回動機構が、第1X線管60と第1X線支持腕90との接続部に配置されている。
【0034】
また、第1支柱50の下端と、支柱支持腕20との間には、第1支柱50の下端を、スタンド10に対して天板40の幅方向(f方向=x方向)に移動させる第1スライド機構51が備えられている。これにより、第1支柱50と第2支柱130を一体にx方向に移動させることができる。
【0035】
支柱支持腕20には、第1支柱50だけでなく、天板40を支持する支持枠30が搭載されている。スタンド10には、支柱支持腕20を上下動(A1方向=z軸)させる駆動機構(不図示)が内蔵されている。これにより、第1X線管60と天板40との位置関係を保った状態で、天板40および第1X線管60を昇降させることができる。
【0036】
また、スタンド10の支柱支持腕20には、第1支柱50を天板40の長軸方向(A3方向=y軸)に移動させる移動機構(不図示)が内蔵されている。これにより、第1X線管60および第2X線管110を、天板40に対し、天板40の長軸方向(y軸)に移動させることができる。
【0037】
また、スタンド10には、支柱支持腕20を支柱支持腕20の中心軸(x軸)を回転中心として回転(A9方向)させる起倒動機構(不図示)が備えられている。これにより、第1X線管60と天板40との位置関係を保った状態で、天板40を起倒動させることができる。
【0038】
さらに、支柱支持腕20には、第1支柱50との接続部に、半円型のレールに沿って、第1支柱50を支柱支持腕20に対して支柱支持腕20の中心軸(x軸)を回転中心として回動(A2方向)させる傾斜機構222が備えられている。これにより、第1支柱50を天板40に対して、x軸を回転中心として傾斜させることができる。
【0039】
さらに、天板40内には、X線検出器70を天板40に対して、天板40の長軸方向(A8方向)および短軸方向(A7方向)に移動させるX線検出器駆動機構41が備えられている。
【0040】
第1スライド機構51やX線検出器駆動機構41等の上述の駆動機構は、どのような構成であってもよい。一例としては、移動方向に沿って配置されたラックと、ラックと噛み合うピニオンと、ピニオンを回転させるモータとを備えた構成とすることができる。
【0041】
演算制御部150は、較正制御部155と、駆動制御部151と、出力制御部152と、高電圧発生器153と、データ収集部154と、演算部140とを備えている。駆動制御部151は、較正用回動支柱190および第2X線管用回動支柱130を回動させるモータ等の駆動部192と、第1スライド機構51やX線検出器駆動機構41等の各駆動機構の動作を制御する。
【0042】
出力制御部152は、高電圧発生器153が発生した高電圧を第1X線管60と、第2X線管110にそれぞれ設定された電圧値および電流値により供給し、第1X線管60と、第2X線管110からX線を照射させる。出力制御部152は、第1X線管60と第2X線管110の出力を個別に制御可能である。
【0043】
データ収集部154は、X線検出器70に2次元に配列されているX線検出素子が、X線の照射を受けて出力する信号を収集する。また、データ収集部154は、出力制御部152により制御された管電流・管電圧から,各X線管からの照射開始と終了の情報を取得する。
【0044】
演算部140は、X線画像生成部141と、特徴部位抽出部142と、3次元位置算出部143と、補正部147とを備えている。
【0045】
X線画像生成部141は、X線検出器70が第1X線管の照射したX線を検出した出力をデータ収集部154から受け取って、第1X線画像を生成する(
図5(b)参照)。また、X線画像生成部141は、X線検出器70が第2X線管の照射したX線を検出した出力をデータ収集部154から受け取って、第2X線画像を生成する(
図5(c)参照)。
【0046】
特徴部位抽出部142は、第1X線画像に含まれる所定の特徴部位の像の位置と、第2X線画像に含まれる特徴部位の像の位置とを公知の手法により抽出する。術中の特徴部位は、例えば、カテーテル等の処置具の先端である。較正時の特徴部位は、較正部材180である。
【0047】
3次元位置算出部143は、第1X線画像に含まれる所定の特徴部位の像の位置と、第2X線画像に含まれる特徴部位の像の位置とを用いて、所定の特徴部位の像の3次元位置を算出する。
【0048】
具体的な特徴部位の算出方法の一例について説明する。
図6(a)に示すように、第1X線管60の3次元位置(実空間座標)をS1とし、第1X線画像における特徴部位の3次元位置(実空間座標)をD1とし、S1とD1とを結ぶ直線をL1とする。また、第2X線管110の3次元位置をS2とし、第2X線画像における特徴部位の3次元位置をD2とし、S2とD2とを結ぶ直線をL2とする。D1とD2は、同一の処置具の先端等の特徴部位を投影したものである。このため、直線L1とL2とは、
図6(a)のように理想的に1点で交わる。実際には、
図6(d)のように、計測誤差等によって、交わらない場合もある。そこで2つの直線の距離が最も近くなる直線S1-D1上の点Q1と、直線S2-D2上の点Q2を求め、例えばその2点の中点uを、特徴部位の像の位置とすることができる。
【0049】
図6(c)に示す点Q1及び点Q2は、以下の式1に従って求めることができる。
【0050】
Q1=S1+(D1-D2*Dv)/(1-Dv*Dv)*v1
Q2=S2+(D2-D1*Dv)/(Dv*Dv-1)*v2 ・・・(1)
但し、
D1=(S2-S1)v1
D2=(S2-S1)v2
Dv=v1・v2
【0051】
上記の式により求めた点Q1及び点Q2の3次元位置から、次式2を用いて特徴部位の3次元位置uを算出することができる。
【0052】
u=(Q1+Q2)/2 ・・・(2)
<較正モード>
較正制御部155および補正部147の動作を
図7、
図8(a)および
図9(a)~(h)を用いて説明する。
【0053】
図7は、X線撮影装置1のもつ座標系を構成する較正モードの動作を示すフローチャートである。
図8(a)は、較正モードの第1X線管60と第2X線管110のX線照射タイミングと、X線検出器70のデータ収集タイミングを示すタイミングチャートである。
図9(a)~(h)は、画像の例を示す。
【0054】
(ステップ701)
操作者から較正モードの開始の指示があったならば、較正制御部155は、駆動部192を駆動して、較正用回動支柱190を90°回動させ、第2X線管用回動支柱130を所定の角度(例えば45°)回動させる。これにより、較正用回動支柱190を所定の較正位置111に配置する。また、較正制御部155は、各駆動機構を制御し、第1X線管60と第2X線管110をそれぞれ所定の較正用の位置に配置する。
【0055】
(ステップ702)
図8(a)のように、まず、出力制御部152は、第1X線管60に操作者により設定されている管電流、管電圧を供給することにより、第1X線管60から被検体101にX線を照射し、X線撮像を行う。
【0056】
(ステップ703)
X線画像生成部141は、X線検出器70で検出されたX線のデータをデータ収集部154により収集する。これにより、X線画像生成部141は、データ収集部154からX線検出器70の出力を受け取って、第1X線画像を生成する(
図9(a))。
【0057】
(ステップ704)
特徴部位抽出部142は、ステップ703で生成された第1X線画像を画像処理し、第1X線画像内の較正部材180を抽出する。
【0058】
(ステップ705)
3次元位置算出部143は、第1X線画像内の較正部材180の位置に基づいて、較正部材180が投影されたX線検出器70上での位置D1を算出する。
【0059】
(ステップ706)
3次元位置算出部143は、較正部材180のX線検出器70上での位置D1と、第1X線管60の位置S1の2点を結ぶ直線L1を算出する。
【0060】
(ステップ707)
つぎに、出力制御部152は、
図8(a)のように第2X線管110に操作者により設定されている管電流、管電圧を供給することにより、第2X線管110から被検体101にX線を照射し、X線撮像を行う。
【0061】
(ステップ708)
X線画像生成部141は、X線検出器70で検出されたX線のデータをデータ収集部154により収集する。これにより、X線画像生成部141は、データ収集部154からX線検出器70の出力を受け取って、第2X線画像を生成する(
図9(e))。
【0062】
(ステップ709)
特徴部位抽出部142は、ステップ708で生成された第2X線画像を画像処理し、第2X線画像内の較正部材180を抽出する。
【0063】
(ステップ710)
3次元位置算出部143は、第2X線画像内の較正部材180の位置に基づいて、較正部材180が投影されたX線検出器70上での位置D2を算出する。
【0064】
(ステップ711)
3次元位置算出部143は、較正部材180のX線検出器70上での位置D2と、第2X線管110の位置S2の2点を結ぶ直線L2を算出する。
【0065】
(ステップ712)
3次元位置算出部143は2直線L1,L2の位置関係から上述の式1および式2を用いて、較正部材180の3次元位置座標を算出する。
【0066】
(ステップ713)
較正制御部155は、ステップ712で算出した較正部材180の位置座標と、既知の較正位置111の位置座標との差(位置ずれ量)を算出する。較正制御部155は、そのずれ量を把握できる画像を表示部160に表示する。
【0067】
表示画面の一例としては、ステップ703、708でそれぞれ生成した第1X線画像(
図9(a))および第2X線画像(
図9(e))と、既知の較正位置111の第1X線画像上の位置および第2X線画像上の位置をマークでそれぞれ示す画像(例えば、
図9(b)、
図9(f))とを重畳して表示することができる。
【0068】
これにより、較正部材180の位置座標と、既知の較正位置111の位置座標とが一致している場合には、第1X線画像および第2X線画像の較正部材180の像の位置と、較正用位置のマーク(ここでは十文字)が、重なって表示される(
図9(c)、(g))。一方、較正部材180の位置座標と、既知の較正位置111の位置座標からずれている場合には、第1X線画像および第2X線画像の較正部材180の像の位置と、較正用位置のマークが、ずれて表示される(
図9(d)、(h))。これにより、表示部160を見たユーザは、位置ずれ量を容易に把握することができる。
【0069】
(ステップ714)
較正制御部155は、ステップ714で算出した位置ずれ量を打ち消すように、位置ずれ量、および、ずれの向きに応じて、予め定めておいた数式やテーブル等を用いて、X線検出器70の位置を天板40の主平面内で移動させる方向および移動量を算出する。較正制御部155は、算出した移動方向に算出した移動量だけX線検出器70を移動させるように、X線検出器駆動機構41に指示する。
【0070】
X線検出器駆動機構41は、指示にしたがってX線検出器70の位置を調整し、較正を行う。
【0071】
このように、X線撮影装置1は、較正モードを実行することにより、較正部材180を所定の較正位置111に自動で配置し、較正部材180の3次元位置を検出し、較正位置111の3次元位置座標との位置ずれ量を検出し、位置ずれ量を打ち消すための較正を自動で行うことができる。よって、X線撮影装置1の検出する3次元位置の較正を容易に行うことができ、撮像モードで検出する特徴部位の3次元位置座標を精度よく検出することができる。
【0072】
なお、
図7のフローでは180、ステップ714においてX線検出器70の位置をX線検出器駆動機構41によって調整したが、較正方法は、この方法に限られるものではない。
【0073】
例えば、ステップ714においてX線検出器70の位置を調整する代わりに、ステップ713で算出した位置ずれ量を用いて、撮影モードにおいて検出した特徴部位の位置ずれを補正するための補正テーブルを作成してもよい。もしくは、予め求めておいた複数種類の補正テーブルの中から、算出した位置ずれ量に応じて適切な補正テーブルを選択してもよい。
【0074】
また、ステップ714において、X線検出器駆動機構41の代わりにユーザが手動でX線検出器70を位置を調整してもよい。
【0075】
<撮影モード>
次に、X線撮影装置1の撮影モードの際の各部の動作を
図6(a)~(d)、
図8(b)および
図10を用いて説明する。ここでは、較正モードの実行時に、ステップ714において補正テーブルを生成している場合の撮影モードの動作を説明する。
【0076】
図6(a)~(d)は、3次元位置を算出する動作の説明する図である。
図8(b)は、撮影モードの第1X線管60と第2X線管110のX線照射タイミングと、X線検出器70のデータ収集タイミングを示すタイミングチャートである。
図10は、撮影モードの動作を示すフローチャートである。
【0077】
X線撮影装置1は、術中に第1X線管60から透視撮影を行いながら、所定のタイミングで第2X線管110により撮影を行って、リアルタイムに処置具の特徴部位の3次元位置を把握することができる。その際、X線管とX線検出器を回転させる必要はないため、術者が退避する必要もなく、術者は、処置具挿入等の手技を行う手を止める必要がない。
【0078】
(ステップ601)
操作者から撮影の開始の指示があったならば、第1X線管60から被検体101にX線を照射し、X線撮像を開始する。
【0079】
具体的には、駆動制御部151は、操作者の指示にしたがって、各駆動機構の動作を制御し、操作者の所望の位置に第1X線管60を配置する。出力制御部152は、第1X線管60に操作者により設定されている管電流、管電圧を所定の時間供給し、X線の照射を行う。
【0080】
(ステップ602)
X線画像生成部141は、第1X線管60の照射したX線によりX線画像を取得する。
【0081】
具体的には、第1X線管60から照射され、被検体101を通過したX線は、X線検出器70により検出され、X線検出器70の出力は、
図8(b)のように、所定のフレームレートでデータ収集部154により収集される。
【0082】
X線画像生成部141は、データ収集部154からX線検出器70の出力を受け取って、第1X線画像を生成する(
図6(b)参照)。X線画像生成部141は、
図6(b)のように第1X線画像を表示部160に表示する。
【0083】
術者は、表示部160の第1X線画像を見ながら、処置具(カテーテル等)を被検体101内に挿入する。
【0084】
(ステップ603)
特徴部位抽出部142は、ステップ602で生成された第1X線画像を画像処理し、第1X線画像内の処置具の特徴部位(例えば、処置具の先端)を抽出する。
【0085】
(ステップ604)
3次元位置算出部143は、第1X線画像内の処置具の位置に基づいて、処置具の特徴部位が投影されたX線検出器70上での位置D1(実空間座標)を算出する(
図6(a))。
【0086】
(ステップ605)
3次元位置算出部143は、処置具特徴部位のX線検出器上での位置D1(実空間座標)と、第1X線管60の位置S1(実空間座標)の2点を結ぶ直線L1を算出する。
【0087】
(ステップ606)
第1X線管60のX線照射が終了したタイミングで、
図8(b)のように第2X線管110から被検体101にX線を照射し、X線撮像を行う。
【0088】
具体的には、駆動制御部151は、操作者の指示にしたがって、各駆動機構121~123の動作を制御し、操作者の所望の位置に第2X線管110を配置する。出力制御部152は、第2X線管110に操作者により設定されている管電流、管電圧を所定時間供給し、X線の照射を行う。
【0089】
(ステップ607)
X線画像生成部141は、第2X線管110の照射したX線によりX線画像を取得する。
【0090】
具体的には、第2X線管110から照射され、被検体101を通過したX線は、X線検出器70により検出され、X線検出器70の出力は、データ収集部154により収集される。
【0091】
X線画像生成部141は、データ収集部154からX線検出器70の出力を受け取って、第2X線画像を生成する(
図6(c)参照)。
【0092】
これにより、術者は、第1X線画像とは異なる角度から撮影した第2X線画像を表示部160で確認することができる。
【0093】
(ステップ608)
特徴部位抽出部142は、ステップ607で生成された第2X線画像を画像処理し、第2X線画像内の処置具の特徴部位(処置具の先端)を抽出する。
【0094】
(ステップ609)
3次元位置算出部143は、第2X線画像内の処置具の位置に基づいて、処置具の特徴部位が投影されたX線検出器70上での位置D2(実空間座標)を算出する。
【0095】
(ステップ610)
3次元位置算出部143は、処置具の特徴部位のX線検出器上での位置D2(実空間座標)と、第2X線管110の位置S2(実空間座標)の2点を結ぶ直線L2を算出する。
【0096】
(ステップ611)
3次元位置算出部143は2直線L1,L2の位置関係から上述の式1および式2を用いて、処置具の特徴部位の3次元位置座標を算出する(
図6(d))。
【0097】
(ステップ612)
補正部147は、較正制御部155から補正テーブルを受け取って、補正テーブルに基づいてステップ611で算出した処置具の特徴部位の3次元位置座標を補正するための補正量を求め、3次元位置座標に補正量を加算して補正する。
【0098】
(ステップ613)
3次元位置算出部143は、補正部147の補正後の処置具の特徴部位の3次元位置を例えば
図11の画面例のように第1X線画像701とならべて表示部160に表示する。術者は、第1X線画像701により被検体101と処置具の投影画像を把握するとともに、3次元画像702により処置具の先端の深さの時間変化を把握することができる。
【0099】
(ステップ614)
操作者から撮影継続の指示を確認し、撮影継続であれば、ステップ601に戻って第1X線管60による撮影を継続するとともに、
図8(b)のように、一定の時間間隔でステップ606~610の第2X線管110による撮影を行い、処置具の特徴部位の位置を算出して表示を更新する。これにより、処置具の特徴部位の位置が一定の時間間隔で時系列に取得される。
【0100】
上述してきたように、本実施形態によれば、術中に第1X線管60から撮影を行いながら、第2X線管110により撮影を行うことができるため、リアルタイムに処置具の特徴部位の3次元位置を検出することができる。しかも、ステップ612において処理具の特徴部位の3次元位置を、較正制御部155が較正モードで生成した補正テーブルに基づいて補正することができるため、特徴部位の3次元位置の検出精度を高めることができる。
【0101】
なお、
図10のフローでは、ステップ612において較正モードで生成した補正テーブルに基づいて処置具の特徴部位の3次元位置を補正しているが、較正モードにおいて
図7のステップ714で、X線検出器70の位置を調整済みである場合には、撮影モードにおいて特徴部位の3次元位置を補正する必要はない。この場合、
図6のフローのステップ612を行わない。
【0102】
第2X線管110は、駆動機構により被検体101に対する位置、被検体101への照射方向を相対的に調整可能であるため、照射範囲の狭めても、処置具の特徴部位に向かってX線を照射することができ、処置具の特徴部位の位置の検出精度が向上する。
【0103】
また、第2X線管110と検出器70との距離が回動角度により調整可能であるため、第2X線管110を被検体101に近づけることができ、第2X線管110として、出力が小さく、照射範囲の狭い、小型なX線管を用いることができる。これにより、第2X線管110が、第1X線管60による撮影の邪魔にならず、第1X線管60と第2X線管110とによってリアルタイムで並列に撮影を行うことができる。
【0104】
なお、ステップ611が時系列に取得した特徴部位の位置が移動している場合、次にステップ606を実行する際に、駆動制御部151は、複数の駆動機構および駆動部192のうち少なくとも1つを動作させて、第2X線管110の被検体101に対する位置、距離およびX線照射方向の少なくとも一つを変化させ、第2X線管110の被検体101へのX線照射領域を、特徴部位の位置の移動に追従させることが望ましい。このように追従させることにより、第2X線管110のX線の照射領域が小さくても、移動する特徴部位を常に特徴部位を照射領域内に入れることができる。
【符号の説明】
【0105】
1 X線撮影装置
10 スタンド
20 支柱支持腕
30 支持枠
40 天板
41 X線検出器駆動機構
50 第1支柱
52 第2スライド機構
60 第1X線管
61 光軸
70 X線検出器
90 第1X線支持腕
101 被検体
110 第2X線管
111 較正位置
130 第2支柱(第2X線管用回動支柱)
131 基部
140 演算部
141 X線画像生成部
142 特徴部位抽出部
143 3次元位置算出部
144 3次元画像取得部
145 2次元投影像作成部
146 画像位置合わせ部
147 補正部
150 演算制御部
151 駆動制御部
152 出力制御部
153 高電圧発生器
154 データ収集部
155 較正制御部
160 表示部
180 較正部材
190 較正用回動支柱
191 基部
192 駆動部
193 ストッパ
194 開口
222 傾斜機構
701 第1X線画像
702 3次元画像