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特開2024-104084窓制御装置、窓制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104084
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】窓制御装置、窓制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/41 20150101AFI20240726BHJP
   E05F 15/643 20150101ALI20240726BHJP
   E05B 41/00 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
E05F15/41
E05F15/643
E05B41/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008119
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】飯白 豊充
(72)【発明者】
【氏名】構井 克典
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA01
2E052BA04
2E052CA06
2E052DA04
2E052DB04
2E052EA15
2E052EB01
2E052EC02
2E052GA03
2E052GA08
2E052GB06
2E052GB12
2E052GD03
2E052GD08
2E052HA01
(57)【要約】
【課題】自動窓の開閉に係る安全性を向上させること。
【解決手段】窓制御装置は、移動制御部と、状態検出部とを備える。移動制御部は、引違いする複数枚の窓を駆動する駆動部を制御して、前記複数枚の窓をそれぞれ開方向および閉方向へ移動させる。状態検出部は、前記複数枚の窓のうち、開方向へ移動させる一の窓とは異なる他の窓の開閉に係る状態を検出する。移動制御部は、前記一の窓を開方向へ移動させる際に、前記状態検出部によって検出される前記状態に応じて、前記一の窓のみ、または前記一の窓と前記他の窓とのうち少なくとも一方を移動させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
引違いする複数枚の窓を駆動する駆動部を制御して、前記複数枚の窓をそれぞれ開方向および閉方向へ移動させる移動制御部と、
前記複数枚の窓のうち、開方向へ移動させる一の窓とは異なる他の窓の開閉に係る状態を検出する状態検出部と、
を備え、
前記移動制御部は、前記一の窓を開方向へ移動させる際に、前記状態検出部によって検出される前記状態に応じて、前記一の窓のみ、または前記一の窓と前記他の窓とのうち少なくとも一方を移動させる、
窓制御装置。
【請求項2】
前記移動制御部は、前記状態検出部によって前記他の窓の閉状態が検出された場合に、前記一の窓を開方向に移動させる、
請求項1に記載の窓制御装置。
【請求項3】
前記移動制御部は、前記状態検出部によって前記他の窓の開状態が検出された場合に、前記他の窓を閉方向に移動させる制御と、前記一の窓を開方向に移動させる制御とを行う、
請求項1または2に記載の窓制御装置。
【請求項4】
前記他の窓を施錠する施錠部を更に備え、
前記状態検出部は、前記施錠部の施錠状態を検出し、
前記移動制御部は、前記状態検出部によって前記施錠部の施錠状態が検出された場合に、前記一の窓を開方向に移動させる、
請求項1または2に記載の窓制御装置。
【請求項5】
前記移動制御部は、前記一の窓の開方向への移動指示に応じて、前記他の窓を開方向に移動させる第1の制御を行い、前記第1の制御を行った際に前記状態検出部によって前記他の窓の閉状態が検出された場合、前記一方の窓を開方向に移動させる第2の制御を行う、
請求項4に記載の窓制御装置。
【請求項6】
前記移動制御部は、前記一の窓の開方向への移動を、前記他の窓の閉方向への移動速度以下とする、
請求項3に記載の窓制御装置。
【請求項7】
引違いする複数枚の窓を駆動する駆動部を制御して、前記複数枚の窓をそれぞれ開方向および閉方向へ移動させる移動制御部と、
前記移動制御部によって移動される窓に掛かる負荷を検出する負荷検出部と、
を備え、
前記移動制御部は、前記負荷検出部によって前記移動される窓に対して閾値以上の負荷が検出された場合、制御内容を変更する、
を備える窓制御装置。
【請求項8】
前記負荷検出部によって、環境条件に係る負荷であって前記閾値よりも低い負荷が検出される場合、前記閾値を変更する閾値変更部を備える、
請求項7に記載の窓制御装置。
【請求項9】
前記負荷検出部によって検出される負荷の履歴を記憶する記憶部を更に備え、
前記閾値変更部は、前記履歴に基づいて前記閾値を変更する、
請求項8に記載の窓制御装置。
【請求項10】
引違いする複数枚の窓の移動を制御する窓制御装置が、
開方向へ移動させる一の窓とは異なる他の窓の開閉に係る状態を検出する状態検出ステップと、
前記状態検出ステップにおいて検出される前記状態に応じて、前記一の窓のみ、または前記一の窓と前記他の窓とのうち少なくとも一方を移動させる移動制御ステップと、
を含む処理を実行する窓制御方法。
【請求項11】
引違いする複数枚の窓の移動を制御する窓制御装置のコンピュータに、
開方向へ移動させる一の窓とは異なる他の窓の開閉に係る状態を検出する状態検出工程と、
前記状態検出工程において検出される前記状態に応じて、前記一の窓のみ、または前記一の窓と前記他の窓とのうち少なくとも一方を移動させる移動制御工程と、
を実行させるプログラム。
【請求項12】
引違いする複数枚の窓の移動を制御する窓制御装置が、
少なくともいずれか一の窓を開方向または閉方向へ移動させる移動制御ステップと、
前記移動させる窓に掛かる負荷を検出する負荷検出ステップと、
閾値以上の負荷が検出された場合、制御内容を変更する制御変更ステップと、
を含む処理を実行する窓制御方法。
【請求項13】
引違いする複数枚の窓の移動を制御する窓制御装置のコンピュータに、
少なくともいずれか一の窓を開方向または閉方向へ移動させる移動制御工程と、
前記移動させる窓に掛かる負荷を検出する負荷検出工程と、
閾値以上の負荷が検出された場合、制御内容を変更する制御変更工程と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓制御装置、窓制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、住宅、オフィス等の建造物には、引違い式の開閉窓が設けられている。特に、近年では、自動で開閉する開閉窓が普及しつつある。例えば、窓の自動施錠を司る施錠機構と、雨センサが検知したときに窓の開閉を司る窓の自動開閉機構とを備え、不在時等に窓の自動施錠および自動開閉を行う装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-88766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術の引違い式の自動開閉窓では、窓を開状態とする際に、開状態とする窓と、他の窓との位置関係によっては、子供が指を挟むことによる怪我のおそれや、異物を挟むことによる破損のおそれがあり、危険なことがある、という問題があった。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、自動窓の開閉に係る安全性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る窓制御装置は、引違いする複数枚の窓を駆動する駆動部を制御して、前記複数枚の窓をそれぞれ開方向および閉方向へ移動させる移動制御部と、前記複数枚の窓のうち、開方向へ移動させる一の窓とは異なる他の窓の開閉に係る状態を検出する状態検出部と、を備え、前記移動制御部は、前記一の窓を開方向へ移動させる際に、前記状態検出部によって検出される前記状態に応じて、前記一の窓のみ、または前記一の窓と前記他の窓とのうち少なくとも一方を移動させる、窓制御装置である。
【0007】
上記構成によれば、一の窓の開方向への移動において、引違いが生じることを抑えることができる。よって、窓の引違いに係る指や異物の挟み込みを防止することができる。
【0008】
上記構成において、前記移動制御部は、前記状態検出部によって前記他の窓の閉状態が検出された場合に、前記一の窓を開方向に移動させてもよい。
【0009】
上記構成によれば、窓の引違いが生じない状態で、一の窓を開方向に移動させることができる。よって、窓の引違いに係る指や異物の挟み込みを防止することができる。
【0010】
上記構成において、前記移動制御部は、前記状態検出部によって前記他の窓の開状態が検出された場合に、前記他の窓を閉方向に移動させる制御と、前記一の窓を開方向に移動させる制御とを行ってもよい。
【0011】
上記構成によれば、窓の引違いが生じない状態で、一の窓を開方向に移動させることができる。よって、窓の引違いに係る指や異物の挟み込みを防止することができる。
【0012】
上記構成において、前記他の窓を施錠する施錠部を更に備え、前記状態検出部は、前記施錠部の施錠状態を検出し、前記移動制御部は、前記状態検出部によって前記施錠部の施錠状態が検出された場合に、前記一の窓を開方向に移動させてもよい。
【0013】
上記構成によれば、窓の引違いが生じない状態で、一の窓を開方向に移動させることができる。よって、窓の引違いに係る指や異物の挟み込みを防止することができる。
【0014】
上記構成において、前記移動制御部は、前記一の窓の開方向への移動指示に応じて、前記他の窓を開方向に移動させる第1の制御を行い、前記第1の制御を行った際に前記状態検出部によって前記他の窓の閉状態が検出された場合、前記一方の窓を開方向に移動させる第2の制御を行ってもよい。
【0015】
上記構成によれば、簡易な錠を用いることができるとともに、他の窓の開閉に係る状態を簡単に検出することできる。
【0016】
上記構成において、前記移動制御部は、前記一の窓の開方向への移動を、前記他の窓の閉方向への移動速度以下としてもよい。
【0017】
上記構成によれば、一の窓と他の窓との重なり状態を保持しつつ、一の窓を開放することができる。このため、一の窓の開方向への移動において、引違いが生じることを抑えることができる。
【0018】
本発明の一態様に係る窓制御装置は、引違いする複数枚の窓を駆動する駆動部を制御して、前記複数枚の窓をそれぞれ開方向および閉方向へ移動させる移動制御部と、前記移動制御部によって移動される窓に掛かる負荷を検出する負荷検出部と、を備え、前記移動制御部は、前記負荷検出部によって前記移動される窓に対して閾値以上の負荷が検出された場合、制御内容を変更する、を備える窓制御装置である。
【0019】
上記構成によれば、一の窓に指や異物が衝突した際の衝撃を緩和させることができる。したがって、窓の開閉に係る安全性をより向上させることができる。
【0020】
上記構成において、前記負荷検出部によって、環境条件に係る負荷であって前記閾値よりも低い負荷が検出される場合、前記閾値を変更する閾値変更部を備えてもよい。
【0021】
上記構成によれば、強風などによって生じる負荷を排除することができ、すなわち、環境条件に基づく窓の非常停止を抑えることができる。したがって、負荷検出部による検出精度を高めることができるため、窓の移動が不要に制限されることを抑えることができる。よって、窓の移動速度を落とす制御を、環境条件に応じた最適な制御とすることができる。
【0022】
上記構成において、負荷検出部によって検出される負荷の履歴を記憶する記憶部を更に備え、前記閾値変更部は、前記履歴に基づいて、前記閾値を変更してもよい。
【0023】
上記構成によれば、経年劣化などによって生じる負荷を排除することができ、すなわち、経年劣化に基づく窓の非常停止を抑えることができる。したがって、負荷検出部による検出精度を高めることができるため、窓の移動が不要に制限されることを抑えることができる。よって、窓の移動速度を落とす制御を、使用履歴に応じた最適な制御とすることができる。
【0024】
本発明の一態様に係る窓制御方法は、引違いする複数枚の窓の移動を制御する窓制御装置が、開方向へ移動させる一の窓とは異なる他の窓の開閉に係る状態を検出する状態検出ステップと、前記状態検出ステップにおいて検出される前記状態に応じて、前記一の窓のみ、または前記一の窓と前記他の窓とのうち少なくとも一方を移動させる移動制御ステップと、を含む処理を実行する窓制御方法である。
【0025】
上記構成によれば、一の開方向への移動において、引違いが生じることを抑えることができる。よって、窓の引違いに係る指や異物の挟み込みを防止することができる。
【0026】
本発明の一態様に係るプログラムは、引違いする複数枚の窓の移動を制御する窓制御装置のコンピュータに、開方向へ移動させる一の窓とは異なる他の窓の開閉に係る状態を検出する状態検出工程と、前記状態検出工程において検出される前記状態に応じて、前記一の窓のみ、または前記一の窓と前記他の窓とのうち少なくとも一方を移動させる移動制御工程と、を実行させるプログラムである。
【0027】
上記構成によれば、一の開方向への移動において、引違いが生じることを抑えることができる。よって、窓の引違いに係る指や異物の挟み込みを防止することができる。
【0028】
本発明の一態様に係る窓制御方法は、引違いする複数枚の窓の移動を制御する窓制御装置が、少なくともいずれか一の窓を開方向または閉方向へ移動させる移動制御ステップと、前記移動させる窓に掛かる負荷を検出する負荷検出ステップと、閾値以上の負荷が検出された場合、制御内容を変更する制御変更ステップと、を含む処理を実行する窓制御方法である。
【0029】
上記構成によれば、一の窓に指や異物が衝突した際の衝撃を緩和させることができる。したがって、窓の開閉に係る安全性をより向上させることができる。
【0030】
本発明の一態様に係るプログラムは、引違いする複数枚の窓の移動を制御する窓制御装置のコンピュータに、少なくともいずれか一の窓を開方向または閉方向へ移動させる移動制御工程と、前記移動させる窓に掛かる負荷を検出する負荷検出工程と、閾値以上の負荷が検出された場合、制御内容を変更する制御変更工程と、を実行させるプログラムである。
【0031】
上記構成によれば、一の窓に指や異物が衝突した際の衝撃を緩和させることができる。したがって、窓の開閉に係る安全性をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、自動窓の開閉に係る安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】実施形態に係る自動窓ユニット1の一例を示す図。
図2】駆動部200の構成の一例を示す図。
図3】自動窓ユニット1を上方から見た駆動部200の一例を示す上面図。
図4】従来の窓体120の動作における問題の一例を示す図。
図5】窓制御装置100の機能的構成の一例を示すブロック図。
図6】窓制御装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図。
図7A】窓制御装置100が行う窓開閉処理の一例を示すフローチャート。
図7B】窓制御装置100が行う窓開閉処理の一例を示すフローチャート。
図8】変形例1に係る駆動部800の一例を示す図。
図9】変形例2に係る自動窓ユニット1の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0035】
(自動窓ユニット1)
図1は、実施形態に係る自動窓ユニット1の一例を示す図である。自動窓ユニット1は、住宅、オフィス、店舗、工場、学校などに建造物に据え付けられる。図1に示すように、自動窓ユニット1は、引違い窓である。自動窓ユニット1は、窓枠110内に、第1窓体120aと、第2窓体120bとを備える。2枚の窓体120(120a、120b)は、重なるように左右に移動して開閉することが可能である。なお、本実施形態では、窓体120の枚数は、2枚であるが、これに限らず、3枚以上であってもよい。すなわち、自動窓ユニット1は、3枚以上の窓体120を備えた引違い窓としてもよい。
【0036】
窓体120は、ガラス部121と、ガラス部121を囲む框(かまち)122とを備える。框122には、施錠部130が設けられる。施錠部130は、第1窓体120aおよび第2窓体120bがそれぞれ閉状態である場合に、施錠することが可能である。施錠部130は、例えば、電子錠である。
【0037】
また、自動窓ユニット1は、窓制御装置100と、駆動部200とを備える。窓制御装置100は、窓体120(120a、120b)の移動を制御する。具体的には、窓制御装置100は、リモコンや操作部などの入力デバイスからの信号に基づいて、駆動部200を制御して、窓体120(120a、120b)を開閉させる。以下に、駆動部200の構成について説明する。
【0038】
(駆動部200の構成)
図2は、駆動部200の構成の一例を示す図である。
図3は、自動窓ユニット1を上方から見た駆動部200の一例を示す上面図である。
図2および図3に示すように、駆動部200は、駆動モータ210と、プーリ220(220a、220b)と、張架ベルト230と、クラッチ240と、リミットスイッチ250(250a、250b)とを備える。駆動モータ210は、駆動プーリ220aを駆動回転させる。張架ベルト230は、駆動プーリ220aと従動プーリ220bとの間に張架される。従動プーリ220bは、駆動プーリ220aが駆動回転すると、張架ベルト230が移動することに伴って、従動回転する。
【0039】
(クラッチ240について)
クラッチ240は、張架ベルト230の移動に伴う窓体120への動力伝達のON/OFFを切替える。具体的には、クラッチ240は、例えば、電磁クラッチである。クラッチ240は、第1クラッチ部240aと、第2クラッチ部240bと、第3クラッチ部240cとを含む。第1クラッチ部240aは、張架ベルト230に取り付けられている。
【0040】
第2クラッチ部240bは、第1窓体120aの上部に取り付けられている。第2クラッチ部240bは、第1連結部243aを介して、第1窓体120aに連結している。第3クラッチ部240cは、第2窓体120cの上部に取り付けられている。第3クラッチ部240cは、第2連結部243bを介して、第2窓体120bに連結している。
【0041】
(クラッチセンサ242について)
また、クラッチ240は、クラッチセンサ242を備える。具体的には、第1クラッチ部240aは、第1クラッチセンサ242aを備える。第2クラッチ部240bは、第2クラッチセンサ242bを備える。第3クラッチ部240cは、第3クラッチセンサ242cを備える。各クラッチセンサ242(242a、242b、242c)は、それぞれ、位置を検出するためのセンサである。各クラッチセンサ242は、接触式および非接触式を問わない。例えば、各クラッチセンサ242には、レーザセンサや、リニアエンコーダ、リニアポテンショメータなどを採用することができる。
【0042】
クラッチセンサ242の検出結果は、窓制御装置100へ出力される。窓制御装置100は、第1クラッチセンサ242aと第2クラッチセンサ242bとの検出結果に基づいて、第1クラッチ部240aと第2クラッチ部240bとの接続および離間を制御するとともに、駆動モータ210の回転および停止を制御する。また、窓制御装置100は、第1クラッチセンサ242aと第3クラッチセンサ242cとの検出結果に基づいて、第1クラッチ部240aと第3クラッチ部240cとの接続および離間を制御するとともに、駆動モータ210の回転および停止を制御する。
【0043】
(リミットスイッチ250について)
リミットスイッチ250(250a、250b)は、窓枠110に設けられる。第1リミットスイッチ250aは、第1窓体120aの閉状態を検出するスイッチである。第2リミットスイッチ250bは、第2窓体120bの閉状態を検出するスイッチである。リミットスイッチ250は、例えば、窓体120が閉状態の場合にONになり、窓体120が開状態の場合にOFFになる。なお、本実施形態では、窓体120の閉状態の検出にはリミットスイッチ250を用いることとするが、これに限らず、センサを用いてもよい。
【0044】
リミットスイッチ250の検出結果は、窓制御装置100へ出力される。窓制御装置100は、第1リミットスイッチ250aの検出結果に基づいて、第1クラッチ部240aと第2クラッチ部240bとの接続および離間を制御するとともに、駆動モータ210の回転および停止を制御する。また、窓制御装置100は、第2リミットスイッチ250bの検出結果に基づいて、第1クラッチ部240aと第3クラッチ部240cとの接続および離間を制御するとともに、駆動モータ210の回転および停止を制御する。
【0045】
(駆動部200の動作)
第1クラッチ部240aが第2クラッチ部240bに接続した状態で張架ベルト230が移動すると、第2クラッチ部240bは、張架ベルト230に追従して移動する。第2クラッチ部240bが移動すると、当該移動に係る動力が第1連結部243aを介して第1窓体120aへ伝達されることにより、第1窓体120aが追従して移動する。これにより、第1窓体120aは、開閉方向に移動することが可能である。
【0046】
また、第1クラッチ部240aが第3クラッチ部240cに接続した状態で張架ベルト230が移動すると、第3クラッチ部240cは、張架ベルト230に追従して移動する。第3クラッチ部240cが移動すると、当該移動に係る動力が第2連結部243bを介して第2窓体120bへ伝達されることにより、第2窓体120bが追従して移動する。これにより、第2窓体120bは、開閉方向に移動することが可能である。
【0047】
なお、上述した駆動部200の構成は、一例に過ぎない。例えば、駆動方式は、電動式に限らず、油圧式を採用することも可能である。また、伝達方式は、ベルト式に限らず、チェーン式を採用することも可能である。また、駆動部200は、開状態における窓体120の詳細な位置を検出する位置センサを備えてもよい。なお、駆動部200の他の一例については、後述する変形例において説明する。
【0048】
(従来の窓体120の動作における問題の一例)
図4は、従来の窓体120の動作における問題の一例を示す図である。図4(A)は、第2窓体120bが開状態であり、一方で、第1窓体120aが閉状態であることを示す。第2窓体120bが開状態である場合に、第1窓体120aを開方向へ移動させると、第1窓体120aの框122aと、第2窓体120bの框122bとが引き違うこととなる。
【0049】
このとき、図4(B)に示すように、小さい子供などが第1窓体120aと第2窓体120bとが引き違う位置に指を置いていたとすると、框122aと框122bとに指を挟み込んでしまうおそれがある。そこで、本実施形態では、このような指の挟み込みを防止するようにしている。以下に、本実施形態に係る窓制御装置100の構成について説明する。
【0050】
(窓制御装置100の機能的構成)
図5は、窓制御装置100の機能的構成の一例を示すブロック図である。なお、窓制御装置100は、手動モードと自動モードとを切替え可能にモードを設定することができる。自動モードは、以下に説明する自動窓の制御が行われるモードである。一方で、手動モードは、自動窓の制御は行われず、手動で窓の窓体120の開閉が行われるモードである。以下では、自動モードに設定されていることを前提として説明する。また、以下では、第1窓体120aを開方向に移動させる場合の制御について説明することとし、第2窓体120bを開方向に移動させる場合の制御については説明を省略する。ただし、第2窓体120bを開方向に移動させる場合の制御についても、第1窓体120aを開方向に移動させると同様である。
【0051】
図5に示すように、窓制御装置100は、受付部501と、状態検出部502と、移動制御部503と、負荷検出部504と、閾値変更部505と、取得部506と、記憶部510とを備える。
【0052】
状態検出部502は、引違いする複数枚の窓のうち、開方向へ移動させる一の窓(例えば、第1窓体120a)とは異なる他の窓(例えば、第2窓体120b)の開閉に係る状態を検出する。第1窓体120aを開方向へ移動させる際のトリガは、例えば、受付部501が移動指示を受け付けることである。具体的には、受付部501は、2枚の窓体120のうち一の窓体120(例えば、第1窓体120a)の開方向への移動指示を受け付ける。移動指示を受け付ける態様は、有線または無線を問わない。具体的には、受付部501は、例えば、リモコンや操作部などの入力デバイスから、移動指示を受け付ける。また、移動指示は、全開、半開といった開放度合を含む。すなわち、受付部501は、リモコン等を介して、ユーザから全開や半開といった開放度合いを含む移動指示を受け付ける。
【0053】
状態検出部502は、第1窓体120aとは異なる他の窓(第2窓体120b)の開閉に係る状態を検出する。開閉に係る状態は、具体的には、例えば、開状態であるか、閉状態であるかである。状態検出部502は、第2リミットスイッチ250bの検出結果に基づいて、第2窓体120bが開状態であるか、または閉状態であるかを検出する。第2窓体120bの閉状態は、第2リミットスイッチ250bがONになることである。一方で、第2窓体120bの開状態は、第2リミットスイッチ250bがOFFになることである。
【0054】
また、開閉に係る状態は、窓体120が移動中であるか否かを含む。例えば、状態検出部502は、駆動モータ210が回転している場合に、窓体120が移動中であることを検出する。また、状態検出部502は、クラッチセンサ242の検出結果に基づき、第1窓体120aおよび第2窓体120bのうち、いずれが移動中であるかを検出する。
【0055】
移動制御部503は、駆動部200を制御して、第1窓体120aおよび第2窓体120bをそれぞれ開方向および閉方向へ移動させる。特に、移動制御部503は、第1窓体120aを開方向へ移動させる際に、状態検出部502によって検出される第2窓体120bの開閉に係る状態に応じて、第1窓体120aのみ、または、第1窓体120aと第2窓体120bとのうち少なくとも一方を移動させる。具体的には、移動制御部503は、受付部501が移動指示を受け付けた場合、状態検出部502によって検出される第2窓体120bの開閉に係る状態に応じて、第1窓体120aおよび第2窓体120bのうち少なくとも一方の移動を制御する。当該移動の制御は、開状態とする開制御と、閉状態とする閉制御とを含む。
【0056】
開制御は、移動指示に応じた開放度合とする制御である。例えば、開制御では、移動制御部503は、開放度合いと、駆動モータ210の回転量とを対応付けた対応情報を用いることにより、全開や半開とすることが可能である。また、閉制御は、窓体120を閉状態にする制御である。例えば、移動制御部503は、状態検出部502によってリミットスイッチ250のONが検出されるまで窓体120を移動させることにより、窓体120を閉状態とすることが可能である。以下に、第1窓体120aの開制御について具体的に説明する。
【0057】
(第2窓体120bが閉状態の場合)
ここで、第2窓体120bが閉状態であれば、第1窓体120aが全開となった場合でも、框122a(図4参照)と框122bとの間には、所定の間隙(例えば20mm)が設けられる構成となっている。具体的には、第1窓体120aは、図4において左方に最大限移動(全開)したとしても、框122bと重ならないように、框122bの手前で所定の間隙を設けて停止する構成となっている。このため、第2窓体120bが閉状態であれば、指の挟み込みが生じない。
【0058】
そこで、移動制御部503は、受付部501が移動指示を受け付けた際、状態検出部502によって第2窓体120bの閉状態が検出された場合に、第1窓体120aを開方向に移動させる制御(開制御)を行う。具体的には、移動制御部503は、第1クラッチセンサ242aと第2クラッチセンサ242bとの検出結果に基づいて、第1クラッチ部240aを第2クラッチ部240bに対向する位置まで移動させ、第1クラッチ部240aと第2クラッチ部240bとを接続させる。そして、移動制御部503は、駆動モータ210を所定方向に回転させることにより、第1窓体120aを開方向に移動させる。
【0059】
また、本実施形態において、状態検出部502は、窓体120の閉状態の検出として、施錠部130の施錠状態を検出する。具体的には、状態検出部502は、施錠部130(電子錠)から送信される、施錠中または解錠中を示す信号に基づいて、施錠状態を検出する。移動制御部503は、状態検出部502によって第2窓体120bの施錠状態が検出された場合に、施錠部130を解錠して、第1窓体120aを開制御する。
【0060】
(第2窓体120bが開状態の場合)
移動制御部503は、受付部501が移動指示を受け付けた際、状態検出部502によって第2窓体120bの開状態が検出された場合に、第2窓体120bを閉方向に移動させる制御(閉制御)と、第1窓体120aを開方向に移動させる制御とを行う。第2窓体120bの閉制御について説明する。移動制御部503は、第1クラッチセンサ242aと第3クラッチセンサ242cとの検出結果に基づいて、第1クラッチ部240aを第3クラッチ部240cに対向する位置まで移動させ、第1クラッチ部240aと第3クラッチ部240cとを接続させる。
【0061】
そして、移動制御部503は、駆動モータ210を所定方向に回転させることにより、第2窓体120bを閉方向に移動させる。第2窓体120bが閉状態になると、移動制御部503は、第1窓体120aを開制御する。第1窓体120aの開制御については、上述した通りである。
【0062】
なお、移動制御部503は、状態検出部502の検出結果にかかわらず、第2窓体120bを閉制御してもよい。すなわち、移動制御部503は、受付部501が移動指示を受け付けた場合、状態検出部502による第2窓体120bの検出結果にかかわらず、第2窓体120bを閉制御してもよい。ただし、この場合でも、第1窓体120aを開方向に移動させる条件は、第2窓体120bの閉状態が検出されることとする。
【0063】
(窓体120の非常停止制御)
負荷検出部504は、移動制御部503によって移動される窓体120にかかる負荷を検出する。負荷検出部504は、駆動モータ210の回転に係る物理量に基づいて、当該負荷を検出する。当該物理量は、例えば、電流値、電圧値、電力値、および抵抗値のうち、いずれか一つであればよい。
【0064】
移動制御部503は、負荷検出部504によって過負荷が検出された場合、移動中の窓体120の移動に係る制御内容を変更する非常停止制御を行う。過負荷とは、所定の衝突に係る閾値(以下「停止閾値」という。)以上の負荷である。所定の衝突は、例えば、指の接触に相当する衝突である。停止閾値は、少なくとも、指を挟みこんでしまうことのない程度の弱い力を示す値である。
【0065】
非常停止制御は、例えば、クラッチ240を切断する制御である。ただし、非常停止制御は、クラッチ240の切断に代えて又は加えて、駆動モータ210の停止や、駆動モータ210の反転としてもよい。本実施形態において、非常停止制御は、クラッチ240の切断後に、駆動モータ210を反転させる制御とする。
【0066】
これにより、所定の衝突があると、衝突物(例えば指)に与える負荷を最小限に抑えることできるとともに、衝突後には、衝突物から離れる方向に窓体120を移動させることができる。なお、非常停止制御は、単に窓体120の移動速度を落とすのみの制御としてもよい。
【0067】
(停止閾値の変更)
本実施形態では、停止閾値を環境条件や使用履歴に応じて変更可能としている。まず、環境条件(風、異物)に応じて、停止閾値を変更することについて説明する。負荷検出部504は、駆動モータ210の回転に係る物理量(電流値等)に基づいて、環境条件(風、異物)に係る負荷を検出する。閾値変更部505は、負荷検出部504によって、環境条件に係る負荷が検出される場合、停止閾値を変更する。
【0068】
環境条件に係る負荷は、停止閾値よりも低い負荷であり、具体的には、窓体120の移動時に、窓体120にかかる風圧やサッシ上の異物による負荷である。環境条件に係る負荷は、予め設定される所定の値(環境負荷判定値)である。例えば、風の影響による負荷は、第1環境負荷判定値として予め設定されている。また、異物の影響による負荷は、第2環境負荷判定値として予め設定さている。負荷検出部504は、第1環境負荷判定値に相当する値を検出した場合、風による負荷が生じていることを検出する。また、負荷検出部504は、第2環境負荷判定値に相当する値を検出した場合、異物による負荷が生じていることを検出する。負荷検出部504によって環境負荷判定値以上の負荷が検出される場合、閾値変更部505は、停止閾値を通常よりも高い値(予め設定した値)に変更する。
【0069】
なお、窓制御装置100は、環境条件に係る情報を外部機器から取得してもよい。外部機器は、例えば、スマートホームシステムである。この場合、窓制御装置100は、スマートホームシステムと通信可能に接続される。窓制御装置100は、スマートホームシステムを通じて風向きや風速等の気象情報(環境条件に係る情報)を取得すればよい。また、この倍、閾値変更部505は、当該気象情報に基づいて停止閾値を変更してもよい。
【0070】
また、外部機器は、窓体120を含む範囲を撮像する防犯カメラ等の撮像装置であってもよい。窓制御装置100は、当該撮像装置に接続され、映像を取得してもよい。窓制御装置100は、撮像装置によって撮影された映像を画像解析し、サッシ上の異物を検出してもよい。また、この場合、閾値変更部505は、サッシ上の異物の検出結果に基づいて、停止閾値を変更してもよい。
【0071】
なお、変更する値は、環境条件に係る負荷に応じた値としてもよい。例えば、通常の停止閾値をS0とし、検出された負荷がM1(環境負荷判定値以上)であるとすると、閾値変更部505は、停止閾値をS1(>S0)に変更すればよい。また、検出された負荷がM2(>M1)であるとすると、閾値変更部505は、停止閾値をS2(>S1)に変更すればよい。
【0072】
(使用履歴に基づく停止閾値の変更)
次に、使用履歴に応じて、停止閾値を変更することについて説明する。記憶部510は、負荷検出部504によって検出される負荷の履歴(使用履歴)を記憶する。取得部506は、記憶部510に記憶されている使用履歴を取得する。なお、使用履歴は、記憶部510に記憶されることに限らず、外部の装置(外部サーバ等)に記憶されるようにしてもよい。この場合、取得部506は、外部の装置から使用履歴を取得すればよい。
【0073】
閾値変更部505は、取得部506によって取得された使用履歴に基づいて、停止閾値を変更する。例えば、自動窓ユニット1が長年使用されると、窓体120の移動に際して、新品時よりも高い駆動力を要する場合がある。また、当日の気候などによっても、窓体120の移動に際して、通常時よりも高い駆動力を要する場合がある。
【0074】
例えば、閾値変更部505は、使用履歴から直近の所定期間内の負荷の平均値(負荷平均値)を算出し、負荷平均値が予め設定した所定の値(劣化判定値)以上である場合には、停止閾値を通常よりも高い値(予め設定した値)に変更する。所定期間は、例えば、1月、1週間、1日など、適宜設定することが可能である。
【0075】
なお、変更する値は、負荷平均値に応じた値としてもよい。例えば、負荷平均値がL1(劣化判定値以上)であるとすると、閾値変更部505は、停止閾値をS3(>S0)に変更すればよい。また、負荷平均値がL2(>L1)であるとすると、閾値変更部505は、停止閾値をS4(>S3)に変更すればよい。
【0076】
なお、本実施形態では、閾値変更部505が停止閾値を通常よりも高い値に変更可能な場合について説明するが、これに限らない。例えば、閾値変更部505は、停止閾値を通常よりも低い値に変更可能とすることもできる。すなわち、閾値変更部505は、環境条件に係る負荷の検出結果に基づいて、停止閾値を通常よりも低い値に変更することも可能である。また、閾値変更部505は、使用履歴に基づいて、停止閾値を通常よりも低い値に変更することも可能である。これにより、通常よりも、窓体120が滑らかに動作する場合には、窓体120にかかる負荷をよりシビアに検出することができるため、安全性の向上を図ることができる。
【0077】
(窓制御装置100のハードウェア構成)
図6は、窓制御装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図6に示すように、窓制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)601と、メモリ602と、通信I/F(インターフェース)603と、施錠部130と、駆動モータ210と、クラッチセンサ242と、リミットスイッチ250と、を備える。各部は、バス610によって接続される。
【0078】
CPU601は、窓制御装置100の全体の制御を司る。例えば、CPU601は、図5に示した各機能部501~506による各処理を実行する。メモリ602は、例えば、ROM、RAM、USB(Universal Serial Bus)フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置の総称である。例えば、図5に示した記憶部510は、メモリ602によって構成される。通信I/F603は、外部の装置やリモコンと通信を行う。
【0079】
なお、メモリ602には、本実施形態に係る窓制御プログラムを含む各種のプログラムが記憶される。CPU601は、窓制御プログラムを実行することにより、各機能部501~506の機能を実現する。すなわち、各機能部501~506はCPU601によって実現される。
【0080】
(窓制御装置100が行う窓開閉処理)
図7Aおよび図7Bは、窓制御装置100が行う窓開閉処理の一例を示すフローチャートである。図7Aおよび図7Bにおいて、窓制御装置100は、第1窓体120aの開方向への移動指示(開指示)を受け付けたか否かを判断する(ステップS701)。窓制御装置100は、第1窓体120aの開指示を受け付けるまで待機し(ステップS701:NO)、第1窓体120aの開指示を受け付けると(ステップS701:YES)、施錠部130が施錠中であるか否かを判断する(ステップS702)。
【0081】
施錠部130が施錠中である場合(ステップS702:YES)、窓制御装置100は、施錠部130に解錠指示を出力することにより、施錠部130を解錠し(ステップS703)、ステップS708に進む。一方、施錠部130が施錠中ではない場合(ステップS702:NO)、すなわち、施錠部130が解錠している場合、窓制御装置100は、第2リミットスイッチ250bの検出結果に基づき、第2窓体120bが閉状態であるか否かを判断する(ステップS704)。
【0082】
第2窓体120bが閉状態である場合(ステップS704:YES)、窓制御装置100は、ステップS708に進む。一方、第2窓体120bが閉状態ではない場合(ステップS704:NO)、すなわち、第2窓体120bが開状態である場合、窓制御装置100は、駆動モータ210およびクラッチ240を制御して、第2窓体120bの閉方向への移動を開始させ、すなわち、閉制御を行う(ステップS705)。
【0083】
そして、窓制御装置100は、第2リミットスイッチ250bの検出結果に基づき、第2窓体120bが閉状態となるまで待機する(ステップS706:NO)。第2窓体120bが閉状態になると(ステップS706:YES)、窓制御装置100は、駆動モータ210を停止させることにより、第2窓体120bの閉方向への移動を停止させ、すなわち、閉制御を終了する(ステップS707)。
【0084】
そして、窓制御装置100は、記憶部510に記憶されている使用履歴を取得する(ステップS708)。そして、窓制御装置100は、使用履歴から直近の所定期間内の負荷平均値を算出し、負荷平均値が予め設定した劣化判定値以上であるか否かを判断する(ステップS709)。負荷平均値が劣化判定値以上ではない場合(ステップS709:NO)、窓制御装置100は、ステップS711に進む。
【0085】
負荷平均値が劣化判定値以上である場合(ステップS709:YES)、すなわち、例えば自動窓ユニット1が経年劣化している場合、窓制御装置100は、停止閾値を通常よりも高い値に変更する(ステップS710)。そして、窓制御装置100は、駆動モータ210およびクラッチ240を制御して、第1窓体120aの閉方向への移動を開始させ、すなわち、開制御を行う(ステップS711)。
【0086】
そして、窓制御装置100は、現在の負荷が環境負荷判定値以上であるか否かを判断する(ステップS712)。現在の負荷が環境負荷判定値以上ではない場合(ステップS712:NO)、窓制御装置100は、ステップS714に進む。現在の負荷が環境負荷判定値以上である場合(ステップS712:YES)、すなわち、風圧やサッシ上に異物等がある場合、停止閾値を高い値に変更する(ステップS713)。なお、停止閾値は、ステップS710において高い値に変更されている場合には、ステップS713において、さらに高い値に変更される。
【0087】
次に、窓制御装置100は、現在の負荷が停止閾値以上であるか否かを判断する(ステップS714)。現在の負荷が停止閾値以上ではない場合(ステップS714:NO)、窓制御装置100は、ステップS716に進む。一方、現在の負荷が停止閾値以上である場合(ステップS714:YES)、すなわち、衝突物による第1窓体120aへの干渉があった場合、窓制御装置100は、第1窓体120aを非常停止制御し(ステップS715)、ステップS701に戻る。なお、非常停止制御は、クラッチ240の切断後に、駆動モータ210を逆転させる制御である。
【0088】
一方、現在の負荷が停止閾値以上ではない場合(ステップS714:NO)、窓制御装置100は、第1窓体120aが開状態となったか否かを判断する(ステップS716)。第1窓体120aが開状態とならない場合(ステップS716:NO)、窓制御装置100は、ステップS712に戻る。
【0089】
一方、第1窓体120aが開状態となった場合(ステップS716:YES)、窓制御装置100は、駆動モータ210を停止させることにより、第1窓体120aの開方向への移動を停止させ、すなわち、開制御を終了し(ステップS717)、一連の処理を終了する。
【0090】
なお、上記フローチャートでは、非常停止制御の対象を、第1窓体120a(開方向に移動させる窓体120)として説明したが、第2窓体120b(閉方向に移動させる窓体120)とすることも可能である。具体的には、第2窓体120bを閉方向に移動させる際に、第2窓体120bに係る負荷を検出するようにし、当該負荷が停止閾値以上の場合に、非常停止制御を行うことも可能である。また、第2窓体120bに係る非常停止制御においても、使用履歴に基づく停止閾値の変更や、環境条件に基づく停止閾値の変更を行うことも可能である。
【0091】
(実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態に係る窓制御装置100は、第1窓体120aを開方向へ移動させる際に、第2窓体120bの開閉に係る状態に応じて、第1窓体120aおよび第2窓体120bのうち、少なくとも一方の窓体120を移動させる。これにより、第1窓体120aの開方向への移動において、窓体120の引違いが生じることを抑えることができる。よって、窓体120の引違いに係る指や異物の挟み込みを防止することができる。したがって、窓体120の開閉に係る安全性を向上させることができる。
【0092】
また、本実施形態に係る窓制御装置100は、第1窓体120aの移動指示を受け付けた際に、第2窓体120bの閉状態が検出された場合に、第1窓体120aを開方向に移動させる。これにより、窓体120の引違いが生じない状態で、第1窓体120aを開方向に移動させることができる。よって、窓体120の引違いに係る指や異物の挟み込みを防止することができる。
【0093】
また、本実施形態に係る窓制御装置100は、第1窓体120aの移動指示を受け付けた際に、第2窓体120bの開状態が検出された場合に、第2窓体120bを閉方向に移動させて、第1窓体120aを開方向に移動させる。これにより、窓体120の引違いが生じない状態で、第1窓体120aを開方向に移動させることができる。よって、窓体120の引違いに係る指や異物の挟み込みを防止することができる。
【0094】
また、本実施形態に係る窓制御装置100は、施錠部130の施錠状態が検出された場合に、第1窓体120aを開方向に移動させる。これにより、窓体120の引違いが生じない状態で、第1窓体120aを開方向に移動させることができる。よって、窓体120の引違いに係る指や異物の挟み込みを防止することができる。
【0095】
また、本実施形態に係る窓制御装置100は、第1窓体120aの移動制御中に、衝突に係る閾値以上の負荷が検出された場合、第1窓体120aの移動に係る制御内容を変更する。これにより、第1窓体120aに指や異物が衝突した際の衝撃を緩和させることができる。したがって、窓体120の開閉に係る安全性をより向上させることができる。
【0096】
また、本実施形態に係る窓制御装置100は、環境条件(強風など)に係る負荷が検出された場合には、閾値を変更する。これにより、例えば、強風などによって生じる負荷を排除することができ、すなわち、環境条件に基づく窓体120の非常停止を抑えることができる。したがって、負荷検出部504による検出精度を高めることができるため、窓体120の移動が不要に制限されることを抑えることができる。よって、非常停止制御を、環境条件に応じた最適な制御とすることができる。
【0097】
また、本実施形態に係る窓制御装置100は、使用履歴に応じて、閾値を変更する。これにより、例えば、経年劣化などによって生じる負荷を排除することができ、すなわち、経年劣化に基づく窓体120の非常停止を抑えることができる。したがって、負荷検出部504による検出精度を高めることができるため、窓体120の移動が不要に制限されることを抑えることができる。よって、非常停止制御を、使用履歴に応じた最適な制御とすることができる。
(実施形態の変形例)
以下に、実施形態の変形例について列挙する。なお、以下の各変形例では、上述した実施形態で説明した内容については、適宜説明を省略する。また、上述した実施形態と、各変形例に示す構成を組み合わせる構成とすることも可能である。
【0098】
(変形例1)
上述した実施形態に係る駆動部200は、一の張架ベルト230と、クラッチ240とを用いて、窓体120を移動可能にする例について説明した。変形例1に係る駆動部200は、クラッチ240を用いずに、複数の張架ベルト230を用いて、窓体120を移動させる例について説明する。
【0099】
図8は、変形例1に係る駆動部800の一例を示す図である。図8に示すように、駆動部800は、第1張架ベルト830aと、第2張架ベルト830bとを備える。駆動部800は、第1張架ベルト830aに対応する第1駆動モータ810aと、第2張架ベルト830bに対応する第2駆動モータ810bとを備える。
【0100】
第1駆動モータ810aは、第1駆動プーリ820aを駆動回転させる。第1張架ベルト830aは、第1駆動プーリ820aと第1従動プーリ820bとの間に張架される。第1従動プーリ820bは、第1駆動プーリ820aが駆動回転すると、第1張架ベルト830aが移動することに伴って、従動回転する。
【0101】
また、第1張架ベルト830aには、第1窓体120aに連結する第1連結部850aが設けられている。第1連結部850aは、第1張架ベルト830aの移動に伴って、第1窓体120aを従動させる。このような構成により、駆動部800は、第1張架ベルト830aの移動により、第1窓体120aを開方向または閉方向に移動させる。
【0102】
第2駆動モータ810bは、第2駆動プーリ820cを駆動回転させる。第2張架ベルト830bは、第2駆動プーリ820cと第2従動プーリ820dとの間に張架される。第2従動プーリ820dは、第2駆動プーリ820cが駆動回転すると、第2張架ベルト830bが移動することに伴って、従動回転する。
【0103】
また、第2張架ベルト830bには、第2窓体120bに連結する第2連結部850bが設けられている。第2連結部850bは、第2張架ベルト830bの移動に伴って、第2窓体120bを従動させる。このような構成により、駆動部800は、第2張架ベルト830bの移動により、第2窓体120bを開方向または閉方向に移動させる。
【0104】
ここで、変形例1においても、上述した実施形態と同様に、第1窓体120aを開状態とする際に、第2窓体120bが開状態である場合には、第2窓体120bを閉方向に移動させる。変形例1に係る移動制御部503は、第2窓体120bの閉方向への移動と、第1窓体120aの開方向への移動を同時に行う。これにより、迅速に第1窓体120aを開状態にすることができる。
【0105】
また、移動制御部503は、第1窓体120aの開方向への移動を、第2窓体120bの閉方向への移動速度以下とする。これにより、第1窓体120aが開方向へ移動する際に、第2窓体120bを追い越してしまうこと、すなわち、窓体120の引違いが生じることを抑えることができる。
【0106】
また、移動制御部503は、第2窓体120bの閉方向への移動と、第1窓体120aの開方向への移動とを、同時に且つ等速で行うように制御する。これにより、第1窓体120aと第2窓体120bとの重なり状態を保持しつつ、第1窓体120aを開放することができる。このため、第1窓体120aの開方向への移動において、指の挟み込みをより好適に抑えることができる。
【0107】
なお、変形例1においても、移動制御部503は、状態検出部502の検出結果にかかわらず、第2窓体120bを閉状態とする制御を行うようにしてもよい。すなわち、移動制御部503は、受付部501が移動指示を受け付けた場合、状態検出部502による第2窓体120bの検出結果にかかわらず、第2窓体120bを閉方向へ移動させる制御を行うとともに、第1窓体120aを開方向に移動させる制御を行ってもよい。これにより、状態検出部502が状態の検出を行わなくてもよいため、状態検出の制御に係る負荷を低減することができる。
【0108】
(変形例2)
次に、変形例2について説明する。上述した実施形態では、施錠部130の施錠により、第1窓体120aおよび第2窓体120bの両方を同時に施錠する例について説明した。変形例2に係る施錠部130は、第1窓体120aを施錠する錠と、第2窓体120bを施錠する錠とを、それぞれ別々に備えるものとする。
【0109】
図9は、変形例2に係る自動窓ユニット1の一例を示す図である。図9に示すように、施錠部130は、第1施錠部130aと、第2施錠部130bとを含む。第1施錠部130aは、第1窓体120aを施錠する。第2施錠部130bは、第2窓体120bを施錠する。第1施錠部130aおよび第2施錠部130bは、物理的操作(人手)によって施錠される物理錠(例えばクレセント錠)であるが、電子錠としてもよい。
【0110】
ここで、変形例2においても、上述した実施形態と同様に、第2窓体120bが閉状態である場合に、第1窓体120aを開方向に移動させる。変形例2に係る状態検出部502は、移動制御部503によって制御される第2窓体120bの移動状態に基づいて、第2窓体120bの閉状態を検出する。具体的に説明すると、第1窓体120aを開状態とする際に、移動制御部503は、まず、第2窓体120bを開方向に移動させる第1の制御を行う。第1の制御は、第2窓体120bを数センチ程度、開方向に移動させる制御である。
【0111】
第1の制御により、第2窓体120bが開方向に移動しなければ、第2窓体120bが施錠されていると見なせる。このため、状態検出部502は、移動制御部503が窓体120を開方向へ移動させる制御を行った際に、第2窓体120bが開方向へ移動しない場合に、第2施錠部130bが施錠状態にあると検出する。
【0112】
さらに、移動制御部503は、状態検出部502によって第2施錠部130bの施錠状態が検出された場合に、第1窓体120aを開方向に移動させる第2の制御を行う。変形例2によれば、自動窓ユニット1に簡易な錠を用いることができるとともに、第2窓体120bの開閉に係る状態を簡単に検出することできる。
【0113】
なお、変形例2に係る施錠部130(物理錠)を、上述した実施形態で説明した電子錠と同様の位置に設けることも可能である。ただし、この場合、施錠部130が施錠されている場合には、窓制御装置100は、開指示を受信したとしても、窓体120を開状態とすることができない。このため、窓体120を開状態とすることができない場合には、窓制御装置100は、施錠部130を解錠する旨を報知すればよい。当該報知は、解錠を促す音声としてもよいし、所定のブザー音としてもよいし、リモコン等の表示部に、解錠を促す文字やマークを表示することとしてもよい。
【0114】
なお、上述した実施形態では、窓体120の閉状態の検出を、施錠部130(電子錠)からの信号や、リミットスイッチ250の検出結果に基づいて行うこととした。ただし、施錠部130からの信号およびリミットスイッチ250の検出結果に代えて又は加えて、上述した実施形態においても、窓体120の閉状態の検出を、上記第1の制御に基づいて行うこととしてもよい。
【0115】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0116】
例えば、本明細書で開示した実施形態のうち、複数の機能が分散して設けられているものは、当該複数の機能の一部又は全部を集約して設けてもよく、逆に複数の機能が集約して設けられているものを、当該複数の機能の一部又は全部が分散するように設けることができる。機能が集約されているか分散されているかにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【0117】
以上に示した実施形態に係る装置(例えば、窓制御装置100)の機能を実現するためのプログラム(例えば、窓制御プログラム)をコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶して、この記憶媒体に記憶されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、オペレーティングシステム(OS:Operating System)あるいは周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0118】
さらに、「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」とは、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合の情報処理装置やクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)あるいは電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピュータシステムに既に記憶されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0119】
1…自動窓ユニット、100…窓制御装置、120…窓体、130…施錠部、200…駆動部、220…プーリ、230…張架ベルト、240…クラッチ、250…リミットスイッチ、501…受付部、502…状態検出部、503…移動制御部、504…負荷検出部、505…閾値変更部、506…取得部、510…記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9