IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士フイルムヘルスケア株式会社の特許一覧

特開2024-104090X線撮影装置、および、その動作方法
<>
  • 特開-X線撮影装置、および、その動作方法 図1
  • 特開-X線撮影装置、および、その動作方法 図2
  • 特開-X線撮影装置、および、その動作方法 図3
  • 特開-X線撮影装置、および、その動作方法 図4
  • 特開-X線撮影装置、および、その動作方法 図5
  • 特開-X線撮影装置、および、その動作方法 図6
  • 特開-X線撮影装置、および、その動作方法 図7
  • 特開-X線撮影装置、および、その動作方法 図8
  • 特開-X線撮影装置、および、その動作方法 図9
  • 特開-X線撮影装置、および、その動作方法 図10
  • 特開-X線撮影装置、および、その動作方法 図11
  • 特開-X線撮影装置、および、その動作方法 図12
  • 特開-X線撮影装置、および、その動作方法 図13
  • 特開-X線撮影装置、および、その動作方法 図14
  • 特開-X線撮影装置、および、その動作方法 図15
  • 特開-X線撮影装置、および、その動作方法 図16
  • 特開-X線撮影装置、および、その動作方法 図17
  • 特開-X線撮影装置、および、その動作方法 図18
  • 特開-X線撮影装置、および、その動作方法 図19
  • 特開-X線撮影装置、および、その動作方法 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104090
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】X線撮影装置、および、その動作方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/40 20240101AFI20240726BHJP
   A61B 6/00 20240101ALI20240726BHJP
   A61B 6/12 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
A61B6/00 300D
A61B6/00 320Z
A61B6/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008131
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】320011683
【氏名又は名称】富士フイルムヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000888
【氏名又は名称】弁理士法人山王坂特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山川 恵介
(72)【発明者】
【氏名】松崎 和喜
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勲
(72)【発明者】
【氏名】中村 正
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093AA25
4C093CA23
4C093CA34
4C093EA06
4C093EC15
4C093FA19
4C093FF35
4C093FF37
(57)【要約】      (修正有)
【課題】2管球を備えるX線撮影装置でありながら、バイプレーンのX線撮影装置よりも被検体の被ばく量が小さく、X線画像の画質を時間軸方向で維持し、かつ、デバイス等の視認性を向上させる。
【解決手段】被検体にX線を照射する第1X線管と、被検体に対して第1X線管とは異なる方向からX線を照射する第2X線管と、第1X線管および第2X線管が照射し、被検体を通過したX線を検出する1つのX線検出器とを有する。第1X線管がX線を照射する期間と、第2X線管がX線を照射する期間とが重複しないように、第1X線管に対して第1パルス幅で、第2X線管に対して第2パルス幅で交互にパルス状の電力を供給する。X線検出器が第1X線管の照射したX線を検出した出力を取り込んで、第1X線画像を生成する。X線検出器が第2X線管の照射したX線を検出した出力を取り込んで、第2X線画像を生成する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を搭載する天板と、前記被検体にX線を照射する第1X線管と、前記被検体に対して前記第1X線管とは異なる方向からX線を照射する第2X線管と、前記第1X線管および第2X線管が照射し、前記被検体を通過したX線を検出する1つのX線検出器と、撮影制御部と、画像生成部とを有し、
前記撮影制御部は、前記第1X線管がX線を照射する期間と、前記第2X線管がX線を照射する期間とが重複しないように、前記第1X線管に対して第1パルス幅で、第2X線管に対して第2パルス幅で交互にパルス状の電力を供給し、
前記画像生成部は、前記X線検出器が前記第1X線管の照射したX線を検出した出力を取り込んで、第1X線画像を生成し、前記X線検出器が前記第2X線管の照射したX線を検出した出力を取り込んで、第2X線画像を生成することを特徴とするX線撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載のX線撮影装置であって、前記撮影制御部が前記第1X線管に電力を供給する第1パルス幅は、前記第2X線管に電力を供給する第2パルス幅より大きく、
前記画像生成部は、前記第1パルス幅で供給された電力によって前記第1X線管がX線を照射している間に、前記X線検出器の出力を所定のレートで複数回取り込んで、所定のフレームレートで時系列の複数の画像を生成することを特徴とするX線撮影装置。
【請求項3】
請求項2に記載のX線撮影装置であって、前記撮影制御部は、撮影条件調整部を備え、
前記撮影条件調整部は、予め定めた通常撮影モードと、高速デバイス撮影モードとを有し、前記通常撮影モードと前記高速デバイス撮影モードは、前記第1X線管に電力を供給する第1パルス幅、および、前記第2X線管に電力を供給するパルスの管電流値のうちの少なくとも一方を変化させることを特徴とするX線撮影装置。
【請求項4】
請求項3に記載のX線撮影装置であって、前記高速デバイス撮影モードの前記第1パルス幅は、前記通常撮影モードの第1パルス幅よりも小さく設定されていることを特徴とするX線撮影装置。
【請求項5】
請求項3に記載のX線撮影装置であって、前記高速デバイス撮影モードの前記第2X線管に電力を供給するパルスの管電流の値は、前記通常撮影モードの前記第2X線管に電力を供給するパルスの管電流の値よりも大きく設定されていることを特徴とするX線撮影装置。
【請求項6】
請求項3に記載のX線撮影装置であって、ユーザから撮影モードを前記通常撮影モードにするか前記高速デバイス撮影モードにするかの設定を受け付ける入力部をさらに有し、
前記撮影条件調整部は、前記入力部に設定された撮影モードにしたがって、前記通常撮影モードと前記高速デバイス撮影モードとを切り替えることを特徴とするX線撮影装置。
【請求項7】
請求項3に記載のX線撮影装置であって、前記第1X線画像および前記第2X線画像を用いて、前記第1X線画像および前記第2X線画像に含まれる、前記被検体中のデバイスの像を抽出するデバイス抽出部と、前記デバイスの前記被検体中での移動速度を算出する移動速度算出部とをさらに有し、
前記撮影条件調整部は、前記移動速度算出部が算出した前記デバイスの移動速度が予め定めた速度よりも大きい場合、前記通常撮影モードから前記高速デバイス撮影モードへ切り替えることを特徴とするX線撮影装置。
【請求項8】
請求項3に記載のX線撮影装置であって、前記第1X線画像および前記第2X線画像を用いて、前記第1X線画像および前記第2X線画像に含まれる、前記被検体中のデバイスの像を抽出するデバイス抽出部と、前記デバイス抽出部による前記デバイスの像の抽出の信頼度を算出する信頼度算出部とをさらに有し、
前記撮影条件調整部は、前記信頼度算出部が算出した前記信頼度が予め定めた信頼度より小さい場合、前記通常撮影モードから前記高速デバイス撮影モードへ切り替えることを特徴とするX線撮影装置。
【請求項9】
請求項2に記載のX線撮影装置であって、前記第2X線画像について、平均ノイズ値を算出する平均ノイズ値算出部と、前記第2X線管の前記第1X線管に対する位置を所定方向に移動させる移動機構とをさらに有し、
前記撮影制御部は、撮影条件調整部を備え、
前記撮影条件調整部は、前記平均ノイズ値算出部が算出した前記平均ノイズ値が予め定めた値より大きい場合、前記移動機構に指示し前記第2X線管の位置を移動させることを特徴とするX線撮影装置。
【請求項10】
被検体を搭載する天板と、被検体にX線を照射する第1X線管と、前記被検体に対して前記第1X線管とは異なる方向からX線を照射する第2X線管と、前記第1X線管および第2X線管が照射し、前記被検体を通過したX線を検出するX線検出器とを有するX線撮影装置の動作方法であって、
前記第1X線管がX線を照射する期間と、前記第2X線管がX線を照射する期間とが重複しないように、前記第1X線管に対して第1パルス幅で、第2X線管に対して第2パルス幅で交互にパルス状の電力を供給し、
前記X線検出器が前記第1X線管の照射したX線を検出した出力を取り込んで、第1X線画像を生成し、前記X線検出器が前記第2X線管の照射したX線を検出した出力を取り込んで、第2X線画像を生成する
ことを特徴とするX線撮影装置の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線撮影装置に関し、特に、2管球を備えるX線撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なX線撮影装置は、1つのX線管球から被検体に対してX線を照射し、被検体を透過したX線を1つの平面状のX線検出器により検出することにより、静止画のX線撮影や、連続撮影による動画のX線撮影(いわゆる透視)を行う。
【0003】
特許文献1には、1つのX線管球から複数回X線を照射し、1回目のX線照射の検出結果をもとに2回目のX線の照射条件を最適化する技術が開示されている。例えば、1回目にX線照射により得られたX線検出器からの出力に基づいて被検体に関する第1X線画像を生成し、ステント等のデバイス領域と所定の部位領域とが重畳していない場合やコントラストが低い場合、2回目のX線照射の線量を増大させるようにX線条件(管電圧、管電流、1回の照射時間に必要となる電力のパルス幅など)を変更する。これにより、透視像におけるデバイスの視認性を向上させ、検査のスループットを向上させ、被曝を低減する。
【0004】
また、特許文献2には、いわゆるバイプレーンのX線撮影装置が開示されている。このX線撮影装置は、2つのX線管球と、2つのX線検出器を備えている。第1のX線管と第1のX線検出器とを第1のC型アームによって対向配置し、第2のX線管と第2のX線検出器とを第2のC型アームによって対向配置した構成である。第1のC型アームと第2のC型アームの回転軸は、交差するように設定される。第1のC型アームと第2のC型アームをそれぞれ回転させて撮影を行うことにより、3次元画像を得ることができる。これにより、デバイスなどの3次元位置を把握することができる。
【0005】
特許文献3は、バイプレーンのX線撮影装置の第1のC型アームと第2のC型アームの配置を、事前に撮影しておいた被検体の3次元データをもとに決定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-53268号公報
【特許文献2】特開2021-133036号公報
【特許文献3】特開2020-99583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のように、1つのX線管球からX線を照射するX線撮影装置は、デバイス等の被検体の奥行方向の位置を把握することはできない。1つのX線管球と1つのX線検出器の向きを変えて、2回撮影することにより、被検体の奥行方向のデバイス等の位置を検出することができるが、2回の撮影に時間差が生じるとともに、2回の撮影に時間がかかり、一定の方向から連続したX線画像を得ることができない。
【0008】
一方、特許文献2,3のように、2組のX線管球およびX線検出器を用いるバイプレーンのX線撮影装置は、デバイス等の3次元位置を把握することができるが、2組のX線管球からそれぞれX線を被検体に照射する。そのため、1つのX線管球と1つのX線検出器で撮影するのと同じ画質のX線画像を、2組のX線管とX線検出器によってそれぞれ撮影すると、約2倍のX線量を被検体に照射する必要があり、被検体の被ばくが大きい。また、特許文献3のように、事前に被検体の3次元データを撮影しておく場合、リアルタイムで撮影したX線画像と、事前の3次元データとの被検体の位置ずれが大きいという問題もある。
【0009】
本発明の目的は、2管球を備えるX線撮影装置でありながら、バイプレーンのX線撮影装置よりも被検体の被ばく量が小さく、X線画像の画質を時間軸方向で維持し、かつ、デバイス等の視認性を向上させることができるX線撮影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のX線撮影装置は、被検体を搭載する天板と、被検体にX線を照射する第1X線管と、被検体に対して第1X線管とは異なる方向からX線を照射する第2X線管と、第1X線管および第2X線管が照射し、被検体を通過したX線を検出するX線検出器と、撮影制御部と、画像生成部とを有する。撮影制御部は、第1X線管がX線を照射する期間と、第2X線管がX線を照射する期間とが重複しないように、第1X線管に対して第1パルス幅で、第2X線管に対して第2パルス幅で交互にパルス状の電力を供給する。画像生成部は、X線検出器が第1X線管の照射したX線を検出した出力を取り込んで、第1X線画像を生成し、X線検出器が第2X線管の照射したX線を検出した出力を取り込んで、第2X線画像を生成する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、2管球を備えるX線撮影装置でありながら、バイプレーンのX線撮影装置よりも被検体の被ばく量が小さく、X線画像の画質を時間軸方向で維持し、かつ、デバイス等の視認性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態1のX線撮影装置100のハードウエア構成を示すブロック図。
図2】実施形態1のX線撮影装置100の制御部101および演算処理部103の機能ブロック図。
図3】実施形態1のX線撮影装置100の制御部101の動作を示すフローチャート。
図4】実施形態1のX線撮影装置100の制御部101がユーザから撮影条件を受け付け、演算処理部103が撮影結果を表示する表示画面例を示す図。
図5】実施形態1のX線撮影装置100の制御部101が、通常撮影モードにおいて第1X線管1と第2X線管2に供給する電力のパルス形状と、演算処理部103がX線検出器3から信号を取り込むタイミングを示すタイミングチャート。
図6】実施形態1のX線撮影装置100の制御部101が、高速デバイス撮影モードにおいて第1X線管1と第2X線管2に供給する電力のパルス形状と、演算処理部103がX線検出器3から信号を取り込むタイミングを示すタイミングチャート。
図7】実施形態1のX線撮影装置100の演算処理部103の動作を示すフローチャート。
図8】実施形態のX線撮影装置100の3次元位置算出部143がデバイスの先端の3次元位置を算出する原理を説明する図。
図9】実施形態2のX線撮影装置の機能ブロック図。
図10】実施形態2のX線撮影装置の制御部101の動作を示すフローチャート。
図11】実施形態2のX線撮影装置の演算処理部103の動作を示すフローチャート。
図12】実施形態2のX線撮影装置の第1X線管1と第2X線管2に供給される電力のパルス形状の時系列な変化と、演算処理部103がX線検出器3から信号を取り込むタイミングと、第1および第2X線画像とノイズ画像とを説明する図。
図13】実施形態3のX線撮影装置の機能ブロック図。
図14】実施形態3のX線撮影装置の制御部101の動作を示すフローチャート。
図15】実施形態3のX線撮影装置において、第2X線管2を移動させることにより、第1X線画像および第2X線画像の信頼度が高くなることを説明する図。
図16】(a)および(b)実施形態3のX線撮影装置の第1X線管1の第1支持部6の別の構造例と、第2X線管2を移動方向とを説明する図。
図17】実施形態4のX線撮影装置の機能ブロック図。
図18】実施形態4のX線撮影装置の演算処理部103の動作を説明するフローチャート。
図19】実施形態4のX線撮影装置のモニター122の領域128に表示される画面例を示す図。
図20】実施形態4のX線撮影装置の3Dマッピングの原理を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0014】
<<実施形態1>>
実施形態1のX線撮影装置100の構成について説明する。
【0015】
図1は、X線撮影装置100のハードウエア構成を示すブロック図である。図2は、X線撮影装置100の制御部101および演算処理部103の機能ブロック図である。
【0016】
図1に示すように、X線撮影装置100は、被検体4を搭載する天板5と、被検体4にX線を照射する第1X線管1と、第2X線管2とを備えている。第2X線管2は、被検体4に対して第1X線管1とは異なる方向からX線を照射する。第1X線管1は、第1支持部6によって支持されている。第2X線管2は、第2支持部7によって支持されている。第1X線管1および第2X線管2が照射したX線は、被検体4を通過する。天板5内には、被検体4を通過したX線が照射される位置にX線検出器3が配置されている。第1X線管1と第2X線管2には、高電圧発生器124が接続されている。第1X線管1と第2X線管2には、陽極回転等の駆動部の動作を制御するX線制御器117が接続されている。天板5,第1支持部6および第2支持部7は、駆動機構を内蔵しており、駆動機構を制御する機構制御器123が接続されている。X線検出器3には、その動作を制御する検出器制御器116が接続されている。これらはX線撮影装置100の本体102を構成している。
【0017】
本体102の検出器制御器116,X線制御器117および機構制御器123には、これらの動作を制御することにより、撮影を制御する制御部101が接続されている。制御部101は、中央処理装置114と、入力部160と、メモリ113と、HDD(Hard Disk Drive)装置115とを備えている。メモリ113とHDD装置115には、中央処理装置114が実行するプログラム等が格納されている。また、入力部160は、キーボード111とマウス112を含む。
【0018】
本体102のX線検出器3には、X線検出器3の出力するデータを収集して画像生成等の処理を行う演算処理部103が接続されている。演算処理部103は、X線検出器3の出力するデータを取り込んで記憶するDAS(Direct Attached Storage)118と、中央処理装置120と、メモリ119と、HDD装置121と、モニター122とが接続されている。メモリ119とHDD装置121には、中央処理装置120が実行するプログラム等が格納されている。
【0019】
制御部101の中央処理装置114は、メモリ113および/またはHDD装置115に予め格納されたプログラムを読み込んで実行することにより、図2に示した駆動制御部151と、撮影制御部152と、撮影条件受付部153の機能を実現する。また、メモリ113および/またはHDD装置115は、図2の撮影条件保存部155の機能をソフトウエアにより実現する。
【0020】
撮影制御部152は、第1X線管1がX線を照射する期間と、第2X線管2がX線を照射する期間とが重複しないように、第1X線管1に対して第1パルス幅で、第2X線管2に対して第2パルス幅で、交互にパルス状の電力を供給するように、高電圧発生器124およびX線制御器117を制御する。
【0021】
撮影条件保存部155には、撮影モード(通常撮影モード/高速デバイス撮影モード)ごとに、第1X線管1および第2X線管2に供給する電力パルスのパターンが予め格納されている。
【0022】
演算処理部103の中央処理装置120は、メモリ119および/またはHDD装置121に予め格納されたプログラムを読み込んで実行することにより、図2に示したデータ収集部154、X線画像生成部141、デバイス抽出部142、3次元位置算出部143および画像評価部140の機能をソフトウエアにより実現する。
【0023】
データ収集部154は、X線検出器3内で2次元に配列されているX線検出素子がX線の照射を受けて出力する信号を、図5または図6に示したタイミングで取り込む。
【0024】
X線画像生成部141は、X線検出器3が第1X線管1からX線の照射を受けている間に出力した信号をデータ収集部154から受け取って、第1X線画像を生成する。また、X線検出器3が第2X線管2からX線の照射受けている間に出力した信号をデータ収集部154から受け取って、第2X線画像を生成する。
【0025】
デバイス抽出部142は、第1X線画像および第2X線画像をそれぞれ公知の方法により画像処理し、画像に含まれているデバイスの先端の像を抽出する。
【0026】
3次元位置算出部143は、第1X線画像および第2X線画像のデバイスの先端の位置から、デバイスの先端の3次元位置を算出する。
【0027】
画像評価部140は、ノイズ画像生成部144と、デバイス抽出信頼度算出部145を含む。ノイズ画像生成部144は、第1X線画像および第2X線画像をそれぞれ画像処理し、画像中のノイズの分布を示すノイズ画像を生成する。デバイス抽出信頼度算出部145は、デバイス抽出部142が抽出したデバイスの信頼度を算出する。
【0028】
なお、制御部101および演算処理部103は、上述の各部の一部または全部を、ハードウエアによって実現することも可能である。例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)のようなカスタムICや、FPGA(Field-Programmable Gate Array)のようなプログラマブルICを用いて、各部の機能を実現するように回路設計を行えばよい。
【0029】
制御部101および演算処理部103の上記各部の詳しい機能は、X線撮影装置100の動作の説明において明らかにする。
【0030】
医師は、カテーテル等のデバイスを被検体4に挿入しながらX線撮影装置100によって、被検体4およびデバイスの先端を撮影する。このときのX線撮影装置100の各部の動作について、図3図7を用いて説明する。
【0031】
図3は、制御部101の動作を示すフローチャートである。図4は、制御部101がユーザから撮影条件を受け付け、演算処理部103が撮影結果を表示する表示画面例を示す。図5および図6は、それぞれ通常撮影モードおよび高速デバイス撮影モードの、第1X線管1と第2X線管2に供給される電力のパルス形状と、X線検出器3から信号を取り込むタイミングを示す。図7は、演算処理部103の動作を示すフローチャートである。
【0032】
まず、制御部101の各部の動作について図3を用いて説明する。
【0033】
<ステップ601>
医師等のユーザは、被検体4を天板5に搭載する。また、ユーザは、入力部160を介して第1X線管1および第2X線管2の位置を設定する。
【0034】
ステップ601において、駆動制御部151は、第1支持部6および第2支持部7に内蔵される駆動機構を動作させ、ユーザから設定された位置に第1X線管1および第2X線管2を配置する。
【0035】
これにより、被検体4のデバイスを挿入するターゲット部位にX線を照射でき、かつ、被検体4を透過したX線がX線検出器3に到達する位置に、第1X線管1が配置される。また、被検体4のターゲット部位に対して第1X線管1とは異なる方向からX線を照射でき、かつ、被検体4を透過したX線がX線検出器3に到達する位置に、第2X線管2が配置される。
【0036】
<ステップ602>
ステップ602において、撮影条件受付部153は、図4の入力画面をモニター122に表示し、ユーザから撮影モード、目標パラメータおよび撮影条件の入力を受け付ける。撮影条件受付部153は、入力画面の撮影モード受付領域125に入力されたモードが、「通常撮影モード」および「高速デバイス撮影モード」のいずれであるかを確認する(ステップ602)。
【0037】
具体的には、図4の入力画面は、撮影モード受付領域125、目標パラメータ入力領域126および撮影条件入力領域127と、画像表示領域128とを含む。撮影条件受付部153は、図4の入力画面上で入力部160を介してユーザから入力を受け付ける。
【0038】
撮影モード受付領域125は、撮影モードとして、「通常撮影モード」または「高速デバイス撮影モード」のいずれかをユーザが選択するための領域である。通常撮影モードは、通常の速度でデバイスを被検体内で移動させている際の撮影に適したモードである。高速デバイス撮影モードは、高速でデバイスを被検体内で移動させている際の撮影に適したモードである。
【0039】
目標パラメータ入力領域126は、目標パラメータとして、撮影された画像に含まれるノイズの平均値である平均ノイズの目標値と、撮影された画像からデバイスの先端を抽出した際のデバイス抽出信頼度の目標値をユーザが入力するための領域である。
【0040】
撮影条件入力領域127は、第1X線管1と第2X線管2の管電圧と、管電流時間積をユーザが入力するための領域である。ここでは、第1X線管1と第2X線管2の管電圧は同一である。
【0041】
画像表示領域128は、演算処理部103が生成したX線画像を表示する領域であるので、後で説明する。
【0042】
<ステップ603>
撮影条件受付部153は、ステップ602で受け付けた撮影モード(通常撮影モードまたは高速デバイス撮影モード)に対応する、第1X線管1および第2X線管2の電力パルスのパターン(管電流、パルス幅)を撮影条件保存部155から読み込む。また、撮影条件受付部153は、(ステップ603)。
【0043】
撮影条件保存部155には、通常撮影モードとして、図5に示した第1X線管1および第2X線管2に供給する電力パルスのパターン(管電流、パルス幅)と、演算処理部103がX線検出器3の信号を取り込みタイミングが格納されている。また、高速デバイス撮影モードとして、図6に示した第1X線管1および第2X線管2に供給する電力パルスのパターン(管電流、パルス幅)と、演算処理部103がX線検出器3の信号を取り込みタイミングが格納されている。
【0044】
いずれの撮影モードにおいても、第1X線管1に電力を供給するパルスの第1パルス幅T1は、第2X線管2に電力を供給する第2パルス幅T2より大きく、第1パルス幅で第1X線管1がX線を照射している間に、所定のフレームレートで時系列な複数の画像を生成することができるように設定されている。
【0045】
通常撮影モードと高速デバイス撮影モードは、第1X線管1に電力を供給するパルスの第1パルス幅T1、および、第2X線管2に電力を供給するパルスの管電流値のうちの少なくとも一方が異なっている。図4および図5のパルスのパターンでは、高速デバイス撮影モードは、通常撮影モードと比較して、第1パルス幅T1が小さく、かつ、第2X線管2に電力を供給するパルスの管電流値が大きい。第1パルス幅T1を小さくしたことにより、高速デバイス撮影モードは、通常撮影モードと比較して、第2X線管2からX線を照射する頻度が大きく、被検体4に挿入されているデバイスの移動速度が速い場合でも、その位置を第2X線管2から照射するX線の画像により頻繁に特定可能になる。また、第2X線管2の管電流値が大きいため、移動速度が大きいデバイスの画像をコントラストよく撮影することができるため、デバイスの先端を信頼度高く抽出することが可能になる。
【0046】
<ステップ604>
撮影制御部152の撮影条件調整部152aは、ステップ603において取り込んだ撮影モード(通常モードまたは高速デバイス撮影モード)に対応する、第1X線管1の管電流とパルス幅、およびステップ502で入力を受け付けた管電圧で、高電圧発生器124から第1X線管1に電力を供給させる。
【0047】
<ステップ605>
つぎに、撮影制御部152の撮影条件調整部152aは、ステップ603において取り込んだ撮影モード(通常モードまたは高速デバイス撮影モード)に対応する、第2X線管2の管電流とパルス幅、およびステップ502で入力を受け付けた管電圧で、高電圧発生器124から第2X線管2電力を供給させる。
【0048】
ステップ604、605により、図5の通常撮影モードまたは図6の高速デバイス撮影モードのパルス波形で、第1X線管1と第2X線管に交互に電力が供給され、交互にX線を被検体4に向かって照射する。よって、第1X線管1がX線を照射する期間と、第2X線管2がX線を照射する期間とが重複しない。
【0049】
<ステップ606>
撮影制御部152の撮影条件調整部152aは、撮影条件受付部153に入力されている撮影モード(通常モードまたは高速デバイス撮影モード)を確認し、直前のステップ602で設定されていた撮影モードと異なる場合、ステップ603~605の実行中にユーザが設定を切り替えているので、ステップ603に戻る(ステップ606)。ステップ603では、撮影条件受付部153が切り替え後の撮影モードのパルス幅と管電流を読み込み、ステップ604、605で第1X線管1および第2X線管2に供給される電力のパルス幅と管電流を調整する。
【0050】
また、ステップ606において、撮影モード(通常モードまたは高速デバイス撮影モード)が切り替えられていない場合、ステップ604に戻る。これにより、ステップ604,605において前回のパルス幅と管電流で、第1X線管1および第2X線管2に電力のパルスが供給される。
【0051】
上記ステップ601~606により、ユーザが入力した撮影モードおよび管電圧にしたがって、通常モードまたは高速デバイス撮影モードに対応したパルス幅および管電流値で、第1X線管1および第2X線管2から交互にX線を照射することができる。
【0052】
つぎに、X線撮影装置100の演算処理部103の各部の動作について図7のフローを用いて説明する。
【0053】
(ステップ701)
第1X線管1からX線が照射されている間、被検体4を通過したX線はX線検出器3により検出され、データ収集部154は、図5または図6に示したタイミングでX線検出器3の出力した信号を収集する。
【0054】
(ステップ702)
X線画像生成部141は、ステップ701においてデータ収集部154が取得した信号を用いて、第1X線画像を生成する。
【0055】
X線画像生成部141は、生成した第1X線画像をモニター122の図4の画像の表示領域128内に表示する。
【0056】
術者は、モニター122の第1X線画像を見ながら、デバイス(カテーテル等)を被検体内に挿入する。
【0057】
(ステップ703)
画像評価部140のノイズ画像生成部144は、第1X線画像のノイズの分布を示すノイズ画像を生成する。
【0058】
具体的には、ノイズ画像生成部144は、第1X線画像上で、任意の位置(x1,y1)の画素に対して、近傍8画素(例:x方向×y方向=3×3画素における中心(x1,y1)を任意の画素とする)の画素値の標準偏差を算出する。算出した標準偏差をノイズ値として任意の位置(x1,y1)の画素値として、ノイズ画像を生成する。
【0059】
また、ノイズ画像生成部144は、別のノイズ画像の生成方法として、ステップ702において、第1X線管に供給される電力のパルスの間、複数回時系列に生成される第1X線画像の任意のフレーム番目(例:10フレーム番目)に対して、直前のフレーム番目(例:9フレーム番目)との差分をとり、この差分を√2で除算後、任意の位置の画素に対して、近傍8画素(例:x方向×y方向=3×3画素における中心(x1,y1)を任意の画素とする)の画素値の標準偏差を算出する。ノイズ画像生成部144は、算出した標準偏差をノイズ値として任意の位置(x1,y1)の画素値として、ノイズ画像を生成してもよい。
【0060】
ノイズ画像生成部144は、生成したノイズ画像をモニター122の図4の画像の表示領域128内に表示する。
【0061】
(ステップ704)
デバイス抽出部142は、ステップ702で生成された第1X線画像を画像処理し、第1X線画像内のデバイスの先端を抽出する。
【0062】
具体的には、デバイス抽出部142は、予め準備しておいたデバイス先端を表すテンプレート画像を用い、第1X線画像を分割して設定した複数の領域の画像と、テンプレート画像との一致の度合いを表す信頼度を算出し、信頼度が高い領域を探索するテンプレートマッチング手法を用いる。最も信頼度が高い領域をデバイスの先端として抽出する。
【0063】
(ステップ705)
デバイス抽出信頼度算出部145は、ステップ704で抽出されたデバイスの先端の信頼度を算出する。
【0064】
デバイス抽出信頼度算出部145は、デバイス抽出部が抽出したデバイスの先端の画像と、テンプレートのデバイス画像との近さを表す値を、公知である零平均正規化相互相関(Zero-means Normalized Cross-Correlation)を用いて算出し、信頼度とする。信頼度が最も大きい値を1.0とする。
【0065】
デバイス抽出信頼度算出部145は、算出した信頼度をモニター122に表示する。
【0066】
(ステップ706)
3次元位置算出部143は、ステップ704で抽出したデバイスの位置に基づいて、デバイスの先端が投影されたX線検出器3上での位置D1(実空間座標)を算出する。
【0067】
(ステップ707)
3次元位置算出部143は、図8に示すように、デバイス先端のX線検出器上での位置D1(実空間座標)と、第1X線管1の位置S1(実空間座標)の2点を結ぶ直線L1を算出する。
【0068】
(ステップ708)
一方、第2X線管2からX線が照射されている間、被検体4を通過したX線はX線検出器3により検出され、データ収集部154は、図5または図6に示した所定のレートを実現するタイミングでX線検出器3の出力した信号を収集する。
【0069】
(ステップ709)
X線画像生成部141は、ステップ708において第2X線管2の照射したX線により第2X線画像を生成する。
【0070】
これにより、術者は、第1X線画像とは異なる角度から撮影した第2X線画像をモニター122で確認することができる。
【0071】
X線画像生成部141は、生成した第2X線画像をモニター122の図4の画像の表示領域128内に表示する。
【0072】
(ステップ710)
ノイズ画像生成部144は、上述したステップ703と同様に、第2X線画像のノイズの分布を示すノイズ画像を生成し、モニター122の図4の画像の表示領域128内に表示する。
【0073】
(ステップ711)
デバイス抽出部142は、上述したステップ704と同様に、第2X線画像内のデバイスの先端を抽出する。
【0074】
(ステップ712)
デバイス抽出信頼度算出部145は、ステップ711で抽出されたデバイスの先端の信頼度を算出し、モニター122に表示する。
【0075】
(ステップ713)
3次元位置算出部143は、第2X線画像内のデバイスの位置に基づいて、デバイスの先端が投影されたX線検出器3上での位置D2(実空間座標)を算出する(図8参照)。
【0076】
(ステップ714)
3次元位置算出部143は、デバイスの先端のX線検出器上での位置D2(実空間座標)と、第2X線管2の位置S2(実空間座標)の2点を結ぶ直線L2を算出する(図8参照)。
【0077】
(ステップ715)
3次元位置算出部143は2直線L1,L2の位置関係から図8に示すように、式1および式2を用いて、デバイスの先端の3次元位置を算出する。
【0078】
具体的には、2つの直線L1,L2の距離が最も近くなる直線S1-D1上の点Q1と、直線S2-D2上の点Q2を求め、例えばその2点の中点uを、先端の像の位置とする。
【0079】
図8に示す点Q1及び点Q2は、以下の式1に従って求めることができる。
【0080】
Q1=S1+(D1-D2*Dv)/(1-Dv*Dv)*v1
Q2=S2+(D2-D1*Dv)/(Dv*Dv-1)*v2 ・・・(1)
但し、
D1=(S2-S1)v1
D2=(S2-S1)v2
Dv=v1・v2
【0081】
上記の式により求めた点Q1及び点Q2の3次元位置から、次式2を用いて先端の3次元位置uを算出する。
【0082】
u=(Q1+Q2)/2 ・・・(2)
【0083】
(ステップ716)
3次元位置算出部143は、算出したデバイスの先端の現時点の3次元位置をモニター122に表示する。
【0084】
(ステップ717)
操作者から撮影継続の指示を確認し、撮影継続であれば、ステップ701、708に戻って撮影を継続する。
【0085】
実施形態1のX線撮影装置によれば、2管球1検出器というコンパクトな構成で、第1X線管と第2X線管の検出データを、同一撮影時間帯で重複させることなく、かつ、リアルタイム性を維持して、2方向から撮影したX線画像を表示することができる。しかも、2管球2検出器の装置と比較して、低被ばく化を図りつつ、画質の維持できる。
【0086】
また、ユーザは、画像を見ながら、通常撮影モードと、高速デバイス撮影モードとで切り替えることができるため、デバイスの移動速度が速い場合であっても、デバイスの視認性の維持することができる。
【0087】
<<実施形態2>>
実施形態2のX線撮影装置について説明する。
【0088】
実施形態1では、ユーザが通常撮影モードか高速デバイス撮影モードかを選択する構成であったが、実施形態2では、撮影条件調整部152aが、デバイス抽出の信頼度が予め定めた信頼度より小さい場合、または、算出したデバイスの移動速度が予め定めた速度よりも大きい場合、通常撮影モードから高速デバイス撮影モードへ切り替える。
【0089】
図9は、実施形態2のX線撮影装置の機能ブロック図である。図10は、制御部101の動作を示すフローチャートである。図11は、演算処理部103の動作を示すフローチャートである。
【0090】
図9のように、実施形態2のX線撮影装置は、実施形態1のX線撮影装置100と同様な構成であるが、画像評価部140が、デバイス移動速度算出部146をさらに備えている点で実施形態とは異なっている。
【0091】
(ステップ721)
デバイス移動速度算出部146は、図11に示すように、ステップ715の次のステップ721において、今回のステップ715で算出したデバイスの先端の3次元位置と、前回のステップ715において算出したデバイスの先端の3次元位置との差から、デバイスの移動速度を算出する。
【0092】
ステップ721以外のステップは、実施形態1の図7のフローと同様である。
【0093】
図10に示すように、ステップ601~605の各ステップは、実施形態1の図3のフローのステップ601~605と同様である。
【0094】
(ステップ616)
ステップ605の次のステップ616において撮影条件調整部152aは、現在設定されているモードが通常撮影モードかどうかを確認し、通常撮影モードである場合、ステップ617に進む。
【0095】
(ステップ617)
ステップ617において直前の演算処理部103の動作においてステップ705およびステップ712でそれぞれ算出されたデバイスの先端の抽出の信頼度をデバイス抽出信頼度算出部145から受け取って、信頼度が所定値以上かどうかを判定し、少なくとも一方の信頼度が所定値未満である場合、ステップ618に進む。また、信頼度が所定値以上の場合、ステップ621に進む。
【0096】
(ステップ618)
ステップ618において、撮影条件調整部152aは、信頼度を高めるために、高速デバイス撮影モードに切り替える。
【0097】
(ステップ621)
ステップ621において、撮影条件調整部152aは、デバイス移動速度算出部146が上記ステップ721において算出したデバイス移動速度を取り込み、デバイス移動速度が所定値以上かどうかをさらに判断する。
【0098】
デバイス移動速度が所定値以上である場合、撮影条件調整部152aは、ステップ618に進んで、高速デバイス撮影モードに切り替える。
【0099】
また、デバイス移動速度が所定値未満である場合、撮影条件調整部152aは、撮影モードを通常撮影モードのままとし、ステップ604に戻って、第1X線管1および第2X線管2に通常撮影モードのパルス幅で交互に電力を供給する。
【0100】
一方、上述のステップ616において撮影条件調整部152aは、現在設定されているモードが高速デバイス撮影モードである場合、ステップ619に進む。
【0101】
(ステップ619、620)
ステップ619において、撮影条件調整部152aは、デバイス移動速度を取り込み、デバイス移動速度が所定値未満である場合、ステップ620に進んで、撮影モードを通常撮影モードに切り替え、ステップ603に戻ってパルス幅・管電流を通常撮影モードのパルス幅等に切り替える。
【0102】
一方、ステップ619において、撮影条件調整部152aはデバイス移動速度が所定値以上である場合、高速デバイス撮影モードのまま、ステップ604に戻って撮影を継続する。
【0103】
これにより、実施形態2のX線撮影装置は、抽出したデバイスの移動速度と、抽出の信頼度によって、自動的に撮影モードを切り替えることができる。
【0104】
よって、第1X線管1と第2X線管2に供給される電力のパルス幅は、モードが切り替えられるたびに、図12のように時系列に変化する。
【0105】
実施形態2のX線撮影装置は、実施形態1で述べた効果に加えて、撮影条件調整部152aによって撮影モードが適したモードに切り替えられるため、ユーザの手を煩わせることなく、最適な撮影モード設定することができるという効果を達成することができる。
【0106】
<<実施形態3>>
実施形態3のX線撮影装置について、図13図15を用いて説明する。
【0107】
図13は、実施形態3のX線撮影装置の機能ブロック図である。図14は、実施形態3のX線撮影装置の制御部101の動作を示すフローチャートである。図15は、第2X線管2を移動させることにより、第1X線画像および第2X線画像の信頼度が高くなることを説明する図である。
【0108】
実施形態3のX線撮影装置は、図13に示したように、画像評価部140が平均ノイズ値算出部147を備えている。平均ノイズ値算出部147は、第2X線画像について、平均ノイズ値を算出する。例えば、平均ノイズ値算出部147は、ノイズ画像生成部144が生成した第2X線画像のノイズ画像の画素値の平均値を求めることにより、平均ノイズ値を算出する。
【0109】
また、第2X線管2を支持する第2支持部7には、第2X線管2の第1X線管1に対する位置を所定方向に移動させる移動機構が備えられている。移動機構は、機構制御器123によってその動作を制御されている。
【0110】
X線撮影装置の制御部101は、図14のように、ステップ601~605を実施形態1と同様に行った後、ステップ631において、撮影条件調整部152aは、平均ノイズ値算出部147が直近に算出した平均ノイズ値を受け取って、所定値以下かどうかを判定する。平均ノイズ値が所定値より大きい場合、ステップ632に進み、撮影条件調整部152aは、機構制御器123に移動機構を動作させ、所定量だけ第2X線管2の位置を移動させる。例えば、図15のように、第2支持部7を伸縮させることにより、第2X線管2を移動させる。
【0111】
これにより、図15のように、移動前とは異なる位置の第2X線管2から被検体4にX線を照射することができるため、例えば第2X線画像において、骨とデバイスが重なる等の理由により、ノイズ量が増加し、デバイス抽出の信頼度が低下していた状態を改善し、第2X線画像のノイズ量を低下させ、デバイス抽出の信頼度を向上させることができる。
【0112】
実施形態3の上述した以外の構成は、実施形態1と同様であるので説明を省略する。
【0113】
なお、第2X線管2の移動機構は、図15のように第2支持部7を伸縮させる機構に限られず、第1X線管1の光軸61を中心に、第2X線管2を回動させる機構であってもよい。
【0114】
また、図16(a)に示すように、第2支持部7は、第1X線管1を支持する第1支持部6の支柱部によって支持される構成でもよい。第2X線管2の移動機構は、第2X線管2を上下動させ、被検体4に近づけるまたは遠ざける方向に移動させる移動機構や、第2X線管2を天板の幅(被検体4の体の幅方向)に移動させる移動機構や、第2X線管2を被検体4の体軸に平行な軸を中心に回動させる移動機構であってもよい。
【0115】
また、図16(b)に示すように、第1X線管1を支持する第1支持部6は、C型アームであり、第2支持部7は、C型アームの第1支持部6の回転中心を支持する支柱部によって支持される構成であってもよい。この場合、第2X線管2の移動機構は、C型アームとの接触を避けつつ、第2X線管2を被検体4に近づけるまたは遠ざける方向に移動させる移動機構や、第2X線管2を天板の幅(被検体4の体の幅方向)に移動させる移動機構や、第2X線管2を被検体4の体軸に平行な軸を中心に回動させる移動機構であってもよい。
【0116】
<<実施形態4>>
実施形態4のX線撮影装置について図17図19を用いて説明する。実施形態4のX線撮影装置は、CT装置やMRI装置等によって予め撮影しておいた3次元画像から術者が所望する方向の2次元投影像を生成し、生成した2次元投影像上でデバイスの先端の位置を表示する3Dマッピングの機能を有する。
【0117】
X線撮影装置2の他の構成は、実施形態1と同様であるので、実施形態1と同じ構成および同じ動作については説明を省略する。
【0118】
図17は、実施形態4のX線撮影装置2の主要部の構成を示すブロック図である。図18は、演算処理部103の動作を説明するフローである。図18は、事前撮影3次元画像を投影して2次元投影画像を生成するステップ801~808を含む。図19は、領域128に表示される画面例を示す。図20は、3Dマッピングの原理を示す図である。
【0119】
X線撮影装置2は、実施形態1のX線撮影装置100とほぼ同様の構成であるが、演算処理部103内に、3次元画像取得部164と、2次元投影像作成部165と、画像位置合わせ部166とを備えている点が実施形態1とは異なる。3次元画像取得部164は、外部の医用画像サーバ170に接続されている。医用画像サーバ170には、被検体4について予めCT装置やMRI装置によって撮影された3次元画像が格納されている。
【0120】
X線撮影装置2の演算処理部の動作を図10のフローを用いて説明する。
【0121】
図18のフローは、実施形態1の図7のフローに、ステップ801~809が加わった構成である。
【0122】
(ステップ801)
まず、3次元画像取得部164は、医用画像サーバ170から被検体4について事前に撮影された3次元画像を取得する。
【0123】
(ステップ802)
つぎに、制御部101により図3のフローのステップ601において、第1X線管1と第2X線管2の位置設定が終了している状態で、第1X線管1から被検体4にX線を照射する。X線画像生成部141は、第1X線画像を生成する。
【0124】
(ステップ803)
2次元投影像作成部165は、図20(a)のように、ステップ802の第1X線管1と、X線検出器3との位置関係と同じ位置に、模擬的な第1X線管1と模擬的なX線検出器3を事前撮影3次元画像に対して配置し、事前撮影3次元画像を模擬的なX線検出器3に投影し、第1の2次元投影画像を算出する。
【0125】
(ステップ804)
画像位置合わせ部166は、図20(b)のように、ステップ802で取得した第1X線画像と、ステップ803で算出した第1の2次元投影画像を比較する。相違している場合、模擬的な第1X線管1と模擬的なX線検出器3に対する事前撮影3次元画像の位置を変更し、再び、第1の2次元投影画像を算出し、ステップ802で取得した第1X線画像と比較する。これをステップ802で取得した第1X線画像と、ステップ803で算出した第1の2次元投影画像が一致するまで繰り返す。
【0126】
(ステップ805)
つぎに、第2X線管2から被検体4にX線を照射し、X線画像生成部141は、第2X線画像を取得する。
【0127】
(ステップ806)
2次元投影像作成部165は、図20(a)のように、ステップ805の第2X線管60と、X線検出器3との位置関係と同じ位置に、模擬的な第2X線管2と模擬的なX線検出器3を事前撮影3次元画像に対して配置し、事前撮影3次元画像を模擬的なX線検出器3に投影し、第2の2次元投影画像を算出する。
【0128】
(ステップ807)
画像位置合わせ部166は、図20(c)のように、ステップ805で取得した第2X線画像と、ステップ806で算出した第2の2次元投影画像を比較する。相違している場合、模擬的な第2X線管2と模擬的なX線検出器3に対する事前撮影3次元画像の位置を変更し、再び、第2の2次元投影画像を算出し、ステップ805で取得した第2X線画像と比較する。これをステップ805で取得した第2X線画像と、ステップ806で算出した第2の2次元投影画像が一致するまで繰り返す。
【0129】
(ステップ808)
画像位置合わせ部166は、ステップ802で取得した第1X線画像と、ステップ803で算出した第1の2次元投影画像が一致した時の模擬的な第1X線管1と模擬的なX線検出器3に対する事前撮影3次元画像の位置から、事前撮影3次元画像の座標系を実空間座標に対応づけるパラメータを算出する(レジストレーション)。同様に、ステップ805で取得した第2X線画像と、ステップ806で算出した第2の2次元投影画像が一致した時の模擬的な第1X線管1と模擬的なX線検出器3に対する事前撮影3次元画像の位置から、事前撮影3次元画像の座標系を実空間座標に対応づけるパラメータを算出する(レジストレーション)。ここでは、第1X線画像から得たパラメータと、第2X線画像から得たパラメータとが得られるため、いずれか一方を選択するか、平均を求める等により、事前撮影3次元画像の座標系を実空間座標に対応づけるパラメータを求める。
【0130】
(ステップ701~716)
ステップ701~716は、実施形態1と同様に実行し、デバイスの先端の現時点の3次元位置を算出し、モニター122に表示する。表示方法として例えば、図19の画像1902のように3次元空間をイメージする枠内に表示する。
【0131】
(ステップ809)
ステップ808において求めた事前撮影3次元画像の座標系を実空間座標に対応づけるパラメータにより、事前撮影3次元画像を実空間座標に変換した後、術者が所望する方向に2次元投影し、図19のように計算投影画像1903を算出する。算出した計算投影画像1903上にステップ715で算出したデバイスの先端の位置を重畳し、図19のように表示する。
【0132】
実施形態4のX線撮影装置によれば、リアルタイムに認識したデバイスの先端の位置を、事前撮影3次元画像を術者が指定する方向に投影した2次元投影画像上に示すことができ、デバイスの先端の位置と被検者の解剖構造との対応の把握が容易になる。
【符号の説明】
【0133】
61 光軸
100 X線撮影装置
101 制御部
102 本体
103 演算処理部
111 キーボード
112 マウス
113 メモリ
114 中央処理装置
115 装置
116 検出器制御器
117 X線制御器
119 メモリ
120 中央処理装置
121 HDD装置
122 モニター
123 機構制御器
124 高電圧発生器
125 撮影モード受付領域
126 目標パラメータ入力領域
127 撮影条件入力領域
128 画像表示領域
140 画像評価部
141 X線画像生成部
142 デバイス抽出部
143 3次元位置算出部
144 ノイズ画像生成部
145 デバイス抽出信頼度算出部
146 デバイス移動速度算出部
147 平均ノイズ値算出部
151 駆動制御部
152 撮影制御部
152a 撮影条件調整部
153 撮影条件受付部
154 データ収集部
155 撮影条件保存部
160 入力部
164 3次元画像取得部
165 2次元投影像作成部
166 画像位置合わせ部
170 医用画像サーバ
1902 画像
1903 計算投影画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20