(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104093
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】配光システム
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/24 20060101AFI20240726BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240726BHJP
B60Q 1/00 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
B60Q1/24 B
G08G1/16 C
B60Q1/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008139
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000888
【氏名又は名称】弁理士法人山王坂特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 尚平
【テーマコード(参考)】
3K339
5H181
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339AA12
3K339AA22
3K339BA01
3K339BA03
3K339BA10
3K339CA01
3K339CA30
3K339DA01
3K339DA05
3K339EA03
3K339EA05
3K339GA01
3K339GB01
3K339HA01
3K339HA03
3K339HA11
3K339JA21
3K339KA06
3K339KA29
3K339LA01
3K339LA06
3K339MA01
3K339MA07
3K339MA10
3K339MC01
3K339MC27
3K339MC35
3K339MC36
3K339MC37
3K339MC43
3K339MC48
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC27
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】歩行者の進行方向を予測して光を照射し、車両の運転者に歩行者の進行方向を知らせるとともに、歩行者が危険を回避するために進むべき回避ルートにも光を照射し、歩行者を誘導することのできる車両用ランプシステムを提供する。
【解決手段】回避ルート演算部は、歩行者の進行方向の予測ルート上に障害物があり、歩行者と障害物との距離が所定値以下であり、かつ、障害物を挟んで、車道が通行する車道とは反対側の路面に予め定めた幅以上の歩行者通路がある場合、予測ルートを歩行者通路に向かわせる第1回避ルートを生成する。照射領域決定部は、少なくとも第1回避ルートを含む路面の領域を照射パターンとして設定し、発光部から前記照射パターンに向かって光を照射させる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されて路面に光を照射する発光部と、前記発光部が光を照射する領域を制御する制御部とを有する配光システムであって、
前記制御部は、
前記車両のセンサから車両前方を検出した結果を受け取って、前記車両よりも前方に位置する歩行者の位置および形態を時系列に検出する歩行者検知部と、
前記車両のセンサから車両前方を検出した結果を受け取って、前記歩行者よりも前方の障害物の位置、および、前記障害物を挟んで、当該車両が通行する車道とは反対側の路面に予め定めた幅以上の歩行者通路の有無、を時系列に検出する障害物検知部と、
前記歩行者検知部が検出した歩行者の形態からその重心を、時系列に算出する重心検知部と、
予測ルート演算部と、
回避ルート演算部と、
照射領域決定部とを含み、
前記予測ルート演算部は、前記重心検知部の算出した現在時刻に近い予め定めた2つの時点のうち時刻が新しい方の重心を終点、他方の重心を始点とする第1ベクトルを生成し、前記第1ベクトルに基づいて予測ルートを時系列に算出し、
前記回避ルート演算部は、最新の前記予測ルート上に前記障害物があり、前記歩行者と前記障害物との距離が所定値以下であり、かつ、前記障害物を挟んで、前記車道が通行する車道とは反対側の路面に予め定めた幅以上の前記歩行者通路がある場合、前記予測ルートを前記歩行者通路に向かわせる第1回避ルートを生成し、
前記照射領域決定部は、少なくとも前記第1回避ルートを含む路面の領域を照射パターンとして設定し、前記発光部から前記照射パターンに向かって光を照射させることを特徴とする配光システム。
【請求項2】
請求項1に記載の配光システムであって、
前記回避ルート演算部は、前記車道の進行方向に垂直なベクトルであって、車道から離れる向きのベクトルを、前記第1ベクトルに加算することにより、第1回避ルートベクトルを生成し、前記第1回避ルートベクトルを用いて、前記第1回避ルートを生成することを特徴とする配光システム。
【請求項3】
請求項1に記載の配光システムであって、
前記前記回避ルート演算部は、前記歩行者通路がない場合、前記予測ルートを前記障害物よりも車道側に向かわせるルートを前記第1回避ルートとして生成することを特徴とする配光システム。
【請求項4】
請求項3に記載の配光システムであって、
前記回避ルート演算部は、前記車道の進行方向に垂直なベクトルであって、車道に近づく向きのベクトルを、前記第1ベクトルに加算することにより、第1回避ルートベクトルを生成し、前記第1回避ルートベクトルを用いて、前記第1回避ルートを生成することを特徴とする配光システム。
【請求項5】
請求項1に記載の配光システムであって、
前記制御部は、領域演算部と、第2回避ルート演算部とをさらに有し、
前記領域演算部は、前記車両の前方の道路に、車両が通過する危険領域と、車道の外側の歩行者が通過する安全領域とを設定し、
前記第2回避ルート演算部は、前記発光部が前記第1回避ルートを含む前記照射パターンに光を照射した後に、前記予測ルート演算部が算出した最新の前記予測ルートが、前記安全領域から前記危険領域に向かっている場合、前記歩行者を前記危険領域から前記安全領域に向かわせる第2回避ルートを算出し、
前記照射領域決定部は、最新の前記予測ルートと前記第2回避ルートを含む路面の領域を前記照射パターンとして設定し、前記発光部から前記照射パターンに向かって光を照射させることを特徴とする配光システム。
【請求項6】
請求項5に記載の配光システムであって、
前記第2回避ルート演算部は、前記安全領域から前記危険領域に向かっている最新の前記予測ルートと、前記第1回避ルートとの差分を前記第2回避ルートとして算出することを特徴とする配光システム。
【請求項7】
請求項5に記載の配光システムであって、
前記照射領域決定部は、前記照射パターンが前記第1回避ルートを含むように設定することを特徴とする配光システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の配光システムに関し、特に、歩行者の進行方向の路面に対して光を照射するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転者が、歩行者を避けて安全に車両を運転するために、歩行者や路面に光を照射する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、車両の前方に存在する歩行者に対して、ハイビームよりも光強度の大きなマーキングビームを照射する技術が開示されている。この技術では、車両と歩行者との距離を検出し、歩行者が車両に近いほど、マーキングビームの幅が大きくなるように設定する。
【0004】
また、特許文献2には、車両から見て街路樹の列の向こう側を歩く歩行者等のように、車両から歩行者の姿が街路樹によって見えなくなったり、街路樹と街路樹の間で見えるようになったりする状況で、ライン状のマーキングライトを歩行者に照射する技術を開示している。この技術では、車両から見て街路樹の向こう側にいる歩行者の位置を推定し、街路樹(障害物)越しにマーキングライトを照射することにより、マーキングライトが頻繁にオンオフするのを防ぐ。
【0005】
一方、特許文献3には、車両に搭載されたカメラで歩行者や自転車などを撮影し、その重心点の変化から歩行者や自転車の動作を予測し、自転車や歩行者との接触を避けて、車両が進むべき経路を算出し、音声または画像によって車両の運転者に知らせる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6576761号公報
【特許文献2】特開2020-111277号公報
【特許文献3】国際公開第2017/056382号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の技術は、歩行者の背中に直接光を照射するため、歩行者の進行方向は、歩行者の影になってマーキングビームは届かず暗部となる。そのため、車両の運転者は、歩行者の進行方向を認識することができない。また、特許文献1の技術は、過去の歩行者の移動量の変化に基づいて、歩行者の進行方向を算出してマーキングビームを照射するため、歩行者の進行方向をマーキングビームにより事前に予測することはできない。
【0008】
特許文献2の技術は、車両から見て街路樹等の障害物の向こう側にいる歩行者を推定して、車両からライン状に延びるマーキングライトを照射することはできるが、歩行者の進行方向を予測して、歩行者よりも前方にマーキングライトを照射することはできない。
【0009】
特許文献3の技術は、歩行者の重心位置の変化から事前に歩行者の動作を予測して、車両が進むべき経路を示すが、歩行者を誘導することは記載されていない。また、歩行者の進行方向に障害物があった場合についての開示はない。
【0010】
本発明の目的は、歩行者の進行方向を予測して光を照射し、車両の運転者に歩行者の進行方向を知らせるとともに、歩行者が危険を回避するために進むべき回避ルートにも光を照射し、歩行者を誘導することのできる車両用ランプシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明によれば、車両に搭載されて路面に光を照射する発光部と、発光部が光を照射する領域を制御する制御部とを有する配光システムが提供される。制御部は、車両のセンサから車両前方を検出した結果を受け取って、車両よりも前方に位置する歩行者の位置を時系列に検出する歩行者検知部と、車両のセンサから車両前方を検出した結果を受け取って、歩行者よりも前方に位置する障害物の位置を時系列に検出する障害物検知部と、歩行者検知部が検出した歩行者の形態からその重心を、時系列に算出する重心検知部と、予測ルート演算部と、回避ルート演算部と、照射領域決定部とを含む。予測ルート演算部は、重心検知部の算出した現在時刻に近い予め定めた2つの時点のうち時刻が新しい方の重心を終点、他方の重心を始点とする第1ベクトルを生成し、第1ベクトルに基づいて最新予測ルートを算出する。回避ルート演算部は、最新予測ルート上に障害物があり、かつ、歩行者と障害物の距離が所定値以下の場合、車両のセンサが車両前方を検出した結果に基づいて、障害物を挟んで、車道が通行する車道とは反対側の路面に予め定めた幅以上の歩行者通路があるかどうかを検出し、歩行者通路がある場合、最新予測ルートを歩行者通路に向かわせる第1回避ルートを生成する。照射領域決定部は、少なくとも第1回避ルートを含む領域を照射パターンとして設定し、発光部から照射パターンに向かって光を照射させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、歩行者の進行方向と、回避ルートの両方に光が照射されるため、車両の運転者は歩行者の予測される移動方向を把握できる。障害物が歩道にある場合でも、歩行者は明るい回避ルートに向かって誘導される。よって、車両と歩行者の双方の安全を高め、不安を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態1の配光システム1を搭載した車両3の一部構成を示すブロック図。
【
図2】実施形態1の配光システム1の構成を示すブロック図。
【
図3】実施形態1の配光システム1の動作を示すフローチャート。
【
図4】実施形態1の配光システム1の動作を示すフローチャート。
【
図5】実施形態1の配光システムにおいて重心の位置算出のタイミングと、予測ルート算出のタイミングを示す図。
【
図6】(a)~(c)実施形態1の配向システム1において、歩行者の重心および予測ルートと、マーキングライトの照射領域を示す図。
【
図7】(a)~(d)実施形態1の配向システム1において、障害物がある場合の、車両から見た前方の道路と、歩行者の予測ルートと、マーキングライトの照射領域を示す図。
【
図8】(a)~(d)実施形態1の配向システム1において、障害物がある場合の、車両から見た前方の道路と、歩行者の予測ルートと、マーキングライトの照射領域を示す図。
【
図9】(a)~(e)実施形態1の配向システム1において、道路に設定した安全領域と危険領域と、歩行者の予測ルートを示す図。
【
図10】(a)および(b)実施形態1の配向システム1において、障害物がある場合の、車両から見た前方の道路と、歩行者の予測ルートと、マーキングライトの照射領域を示す図。
【
図11】(a)~(d)実施形態2の配向システム1において、道路の幅員が減少している場合の、車両から見た前方の道路と、歩行者の予測ルートと、マーキングライトの照射領域を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態について図面を用いて以下に説明する。
【0015】
<<実施形態1>>
実施形態1の車両用の配光システム1について説明する。
図1は、本実施形態の配光システム1を搭載した車両3の一部構成を示す図であり、
図2は、配光システム1の全体構成を示す図である。
【0016】
本実施形態の配光システム1は、車両3に搭載され、歩行者と、電柱や駐車車両等の障害物を検出し、検出した歩行者の進行方向を予測し、予測したルートに電柱や駐車車両等の障害物がある場合には、歩行者が障害物をできるだけ安全に回避するための回避ルートを算出し、回避ルートの路面に光(以下、マーキングライトと呼ぶ)を照射する。歩行者は、マーキングライトが照射された方へ誘導されることにより、安全に障害物を回避することができる。
【0017】
また、配光システム1は、歩行者の進行方向を予測した予測ルートの路面にもマーキングライトを照射する。これにより、車両の運転者は、照射されたマーキングライトにより、歩行者の進行方向を事前に把握することができ、早い段階で歩行者を回避する行動の準備ができる。以下、具体的に説明する。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の配光システム1は、ヘッドランプシステム2と共に、車両3に搭載され、車両3に搭載されているセンサ40に接続されている。
【0019】
配光システム1は、歩行者の進行方向等の路面に光を照射するマーキングライト装置60と、マーキングライト装置60を制御する制御部50とを備えている。
【0020】
制御部50は、センサ40の検出結果を受け取って、歩行者や障害物を検出し、演算を行って予測ルートや回避ルートを求め、マーキングライトを照射すべき領域を算出する。
【0021】
マーキングライト装置60は、LED素子等の発光部61と、ドライバ62とを含む。ドライバ62は、発光部61に供給する電流をオン/オフすることにより発光をオン/オフし、また発光色を制御部50に指示された発光色に設定し、さらに、発光部61が光を照射する方向等の設定することにより制御部50が算出した領域にマーキングライトを照射する。
【0022】
ヘッドランプシステム2は、左側および右側ヘッドランプ10,20と、これらを制御するランプECU(エンジンコントロールユニット: engine control unit)30とを備えている。
【0023】
マーキングライト装置60は、車両3の前方に光を照射できる位置に配置されている。マーキングライト装置60は、車両3の前方の1箇所のみに配置することも可能であるし、左側および右側ヘッドランプ10,20と近傍の2か所にそれぞれ配置することも可能である。また、左側および右側ヘッドランプ10,20の筐体内に配置することも可能である。
【0024】
なお、マーキングライト装置60の発光部は、光の投影範囲を所定領域に設定できるものであればどのようなものでもよく、LEDの向きを機構部で設定することにより照射領域を設定する構成であってもよいし、マトリクス状に配列したLEDをセグメントごとにオンオフ制御する構成や、横方向にのみ配置されたLEDを点消灯し、レンズで縦方向に拡大して投影するLEDセグメント方式ADBシステムや、LEDを光源として液晶素子によりエリアごとに光の通過をON/OFFして配光を形成するLCD(Liquid Crystal Display)ヘッドランプシステムや、レーザー光源の光をMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーによりスキャニングしながら光学レンズにより投影し配光形成するシステム、多数の微小鏡面(マイクロミラー)を可動させるDMD(Digital Micromirror Device)を使ってLEDを光源の光を投影し配光形成するシステム、などを用いることができる。
【0025】
車両3のセンサ40は、フロントカメラ41、前方の歩行者等との距離を測定するLiDAR(Light Detection And Ranging)等の距離センサ42、車両の速度を検出する車速センサ43、車両のハンドルの操舵角を検出する操舵角センサ44を少なくとも含んでいる。
【0026】
配光システム1の制御部50は、
図2に示すように、道路状況取得部501と、歩行者の位置検知部502と、そのメモリ部503と、障害物検知部522と、そのメモリ部523と、歩行者の重心検知部504と、そのメモリ部505と、第1回避ルート演算部524と、安全領域・危険領域演算部506と、そのメモリ部507と、予測ルート演算部508と、そのメモリ部521と、予測ルートの危険性判定部509と、第2回避ルート演算部510と、マーキングライト照射領域決定部512とを備えて構成される。これらの各部の機能は、以下、
図3のフローチャートを用いて配光システム1の動作を説明する中で明らかにする。
【0027】
配光システム1の制御部50は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサーと、メモリとを備えたコンピュータ等によって構成され、プロセッサーが、メモリに格納されたプログラムを読み込んで実行することにより、制御部50の機能を実現する。なお、制御部50の一部または全部をハードウエアにより構成することもできる。例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)のようなカスタムICや、FPGA(Field-Programmable Gate Array)のようなプログラマブルICを用いて、制御部50の機能を実現するように回路設計を行えばよい。
【0028】
以下、配光システムの動作について、
図3および
図4のフローチャートと
図5のタイミングチャートを用いて具体的に説明する。
【0029】
(ステップ301)
制御部50の道路状況取得部501は、センサ40のフロントカメラ41から車両の前方を撮影した現在の画像を、所定の時間間隔(例えば0.5秒間隔)で、
図6(a)のように取り込む。安全領域・危険領域演算部506は、画像が取り込まれるたびに、車道と歩道の境界51を画像処理により識別し、
図9(a)のように、車道を危険領域401に設定し、歩道を安全領域402に設定する。設定した危険領域と安全領域は、取り込んだ画像とともに、メモリ部507に格納する。
【0030】
安全領域・危険領域演算部506が、車道と歩道の境界51を画像処理により識別する方法としては、例えば画像を2値化処理し、道路と歩道の境界の縁石の色の違いを認識することにより境界を識別してもよいし、縁石がなく、白線が引かれている場合には、白線を認識することにより境界を識別してもよい。また、センターライン52を2値化処理等の画像処理により認識し、センターラインの両側の予め定めた幅の範囲を車道(危険領域)に設定し、その外側を安全領域に設定してもよい。また、取得した画像のうち正面の車幅の範囲を危険領域に設定し、その外側を安全領域に設定してもよい。この場合、正面の車幅の範囲は、予め設定しておいたその車両の車幅を用いる。また、設定した車幅に予め定めた余裕分の幅を加えたものを用いてもよい。
【0031】
(ステップ302)
つぎに、歩行者の位置検知部502は、ステップ301で画像が取り込まれるたびに、車両よりも前方に位置する歩行者53の有無を検出し、歩行者53が検出された場合は、歩行者53の車両に対する位置および形態(輪郭)を公知の画像処理技術(例えば特許文献3)により検出し、検出した位置および形態をメモリ部503に格納する(
図6(a)参照)。
【0032】
(ステップ303)
歩行者の重心検知部504は、ステップ302で歩行者の形態(輪郭)がメモリ部503に格納されるたびに、歩行者53の重心(点)Fの位置を検知する(
図5、
図6(a)参照)。歩行者の重心検知部504は、検出した重心の位置をメモリ部505に格納する。
【0033】
具体的には、
図5に示すように、ステップ302において、時刻t0に歩行者の存在が検知された場合、ステップ303では、所定の時間間隔の時刻t1,t2,t3,・・・,tn-1,tnで歩行者の画像が取り込まれるたびに、重心の位置F1,F2,・・・,Fn-1,Fnを算出し、メモリ部503に格納する(なお、tおよびFの横の数字およびnは、ステップ301において歩行者の存在が検知されてから画像が取り込まれた時刻の順番を示し、tnは、n回目の画像が取り込まれた時刻を、Fnは、n回目の画像から検出した重心の位置であることを示す)。
【0034】
歩行者の重心の検知方法としては、歩行者の輪郭から算出する。また、特許文献3に記載されているように歩行者の形態からパーツ(頭、太もも、腰等)を推定し、パーツごとに重心を算出してもよい。
【0035】
(ステップ304)
つぎに、障害物検知部522は、ステップ301で画像が取り込まれるたびに、画像処理等により歩行者53よりも前方の障害物54を検出し、障害物54の車両に対する位置を時系列に検出する(
図7(a)参照)。
【0036】
さらに、障害物検知部522は、障害物54を挟んで、当該車両が通行する車道(危険領域401)とは反対側の路面に、予め定めた幅(例えば1m)以上の隙間(以下、歩行者通路55と呼ぶ)があるかないかを時系列に検出する(
図7(a)参照)。つまり、歩道(安全領域402)に十分な道幅があり、かつ、障害物54が存在しても、障害物54を歩道の中で回避できる歩行者通路55が、車両の通行する車道(危険領域401)とは反対側の路面にある場合、歩行者通路55ありと判定する。しかし、
図8(a)や
図11(a)のように、歩道に十分な道幅がないケースもある。この場合、歩道の中に車両が通行する車道(危険領域401)とは反対側の路面に障害物54を回避できる隙間はないため、歩行者通路55なしと判定することなる。
【0037】
障害物検知部522は、障害物54の位置、および、歩行者通路55の有無をメモリ部523に格納する。
【0038】
例えば、障害物検知部522は、障害物54として、電柱、街路樹、駐車車両等を検出する。また、
図11(a)に示すような歩道または車道の幅が狭まっている部分を、障害物54として検出してもよい。また、障害物の幅や奥行のサイズを検出してもよい。
【0039】
(ステップ305)
予測ルート演算部508は、歩行者の重心の位置がメモリ部505に格納されるたびに、所定の時間間隔で格納された重心の位置の経時変化から予測ルートを算出する。すなわち、時刻tnに歩行者の重心の位置Fnがメモリ部505に格納された場合、前回の重心の位置Fn-1をメモリ部505から読み出し、前回の重心の位置Fn-1を始点とし、今回の重心の位置Fnを終点とする移動ベクトルVn(=Fn-Fn-1)を算出し、この移動ベクトルVnを用いて、歩行者の進行方向の予測ルートRnを算出する。
【0040】
具体的には、移動ベクトルVnの示す方向が、歩行者が現在(時刻tn)の位置から進行する方向であると推定できるので、移動ベクトルVnの方向に一致し、現在時刻tnの重心の位置Fnを始点Oとし、所定の距離(例えば3m)まで延ばしたベクトルを、予測ルートRnとして算出する(
図5(b)参照)。
【0041】
なお、特許文献3に記載されているように歩行者のパーツ(頭、太もも、腰等)の重心の位置から歩行者の移動方向(移動ベクトル)を推定してもよい。
【0042】
したがって、所定の時間間隔の時刻t1,t2,t3,・・・,tn-1,tn毎に、予測ルートR1、R2、R3,・・・,Rn-1,Rnが順次算出される。例えば、現在時刻がt2以上t3未満の間である場合、現在の予測ルートはR2となり、前回の予測ルートはR1となる。
【0043】
算出された予測ルートR1、R2、R3,・・・,Rn-1,Rnは、順次メモリ部521に格納される。
【0044】
ここでは、現在の予測ルートを、最新予測ルートと呼び、前回の予測ルートを初期予測ルートと呼ぶ。例えば、最新予測ルートがR2の場合、初期予測ルートはR1である。時間が経過し、予測ルートR3が現在の予測ルートになった場合、最新予測ルートはR3となり、初期予測ルートはR2に更新される。
【0045】
つまり、現在時刻の直近に得られた予測ルートRnが最新予測ルートであり、最新予測ルートRnより一つ前の前回の予測ルートRn-1が初期予測ルートであり、それぞれ所定の時間が経過するたびに更新される。
【0046】
なお、前回の予測ルートRn-1が、歩行者の輪郭が不明瞭な画像であった等の理由により移動ベクトルVnが算出できない場合には、前回の予測ルートRn-1から近い別の予測ルート、例えば前々回の予測ルートRn-2を初期予測ルートとしてもよい。
【0047】
(ステップ306)
第1回避ルート演算部524は、ステップ305で算出した歩行者53の最新の予測ルートRnが、ステップ304で検出した最新の障害物54に向かっているかどうか判定する。
【0048】
具体的には、第1回避ルート演算部524は、ステップ305で算出した最新の予測ルートRn上に、ステップ304で検出した最新の障害物54があり、歩行者53と障害物54との距離が所定値以下である場合、歩行者の最新の予測ルートRnが、最新の障害物54に向かっていると判定する。
【0049】
なお、ここでは、ステップ305において、最新の予測ルートRnが、所定の距離(3m)で生成されているので、歩行者53と障害物54との距離が所定値以下かどうかを判定する際の所定値が3mである場合には、最新の予測ルートRn上に、ステップ304で検出した最新の障害物54があるかどうかを判定するだけで、歩行者53と障害物54との距離が所定値以下かどうかを、同時に判定できる。
【0050】
第1回避ルート演算部524は、歩行者53の最新の予測ルートRnが、最新の障害物54に向かっていない場合、ステップ307に進む。
【0051】
第1回避ルート演算部524は、歩行者53の最新の予測ルートRnが、最新の障害物54に向かっている場合、ステップ311に進む。
【0052】
(ステップ307)
歩行者53の最新の予測ルートRnが、最新の障害物54に向かっていない場合、マーキングライト照射領域決定部512は、最新の予測ルートRnを含む路面の領域を照射パターン56として設定し、マーキングライト装置60の発光部61から照射パターン56に向かって光(マーキングライト)を照射させる(
図6(c)参照)。
【0053】
これにより、歩行者53の歩道(安全領域402)内の進行方向を明るく照らし、歩行者の安全に歩行させることができる。また、歩行者の進行方向を予測して光を照射し、車両の運転者に歩行者の進行方向を知らせることができる。これにより、歩行者53と車両の双方の安全を確保できる。
【0054】
なお、マーキングライト照射領域決定部512は、マーキングライト装置60に指示する際には、距離センサ42、車速センサ43および操舵角センサ44の検出結果を受け取って、車両と歩行者との現在の距離、車両の速度および操舵角の情報を用いて、照射パターン56に光を照射するための、マーキングライト装置60の発光部61の発光セグメントや向きを算出して、車両のマーキングライト装置60に指示する。
【0055】
(ステップ311)
一方、歩行者53の最新の予測ルートRnが、最新の障害物54に向かっている場合、ステップ311において、第1回避ルート演算部524は、障害物54を挟んで車道(危険領域401)とは反対側の路面に歩行者通路55(隙間)があることがメモリ部523に格納されているかどうかを判定する。歩行者通路55があることがメモリ部523に格納されている場合、ステップ312に進み、歩行者通路55がないことがメモリ部523に格納されている場合、ステップ313に進む。
【0056】
(ステップ312)
歩行者通路55があることがメモリ部523に格納されている場合、ステップ312において、第1回避ルート演算部524は、車道(危険領域401)の進行方向に垂直なベクトルであって、車道から離れる向きのベクトルWを設定する。すなわち、ベクトルWとして、車道(危険領域401)から歩道(安全領域402)に向かうベクトルを設定する(
図7(a)参照)。
【0057】
ベクトルWの長さは、予め定めた長さであってもよいし、ステップ304において、障害物54の幅を検出している場合には、検出した障害物54の幅に基づいて定めた長さ(例えば、障害物54の幅と同程度の長さ)のベクトルWを設定してもよい。
【0058】
(ステップ313)
歩行者通路55がないことがメモリ部523に格納されている場合、ステップ313において、第1回避ルート演算部524は、車道(危険領域401)の進行方向に垂直なベクトルであって、車道に近づく向きのベクトルWを設定する。すなわち、ベクトルWとして、歩道(安全領域402)から車道(危険領域401)に向かうベクトルを設定する(
図8(a)参照)。
【0059】
ベクトルWの長さは、ステップ312と同様に予め定めた長さであってもよいし、ステップ304において障害物54の幅を検出している場合には、検出した障害物54の幅に基づいて定めた長さ(例えば、障害物54の幅と同程度の長さ)のベクトルWを設定してもよい。
【0060】
(ステップ314)
第1回避ルート演算部524は、ステップ305で算出された歩行者の移動ベクトルVnに、ステップ312またはステップ313で設定された車道に垂直なベクトルWを加算して、第1回避ルートベクトルYnを算出する。
【0061】
生成された第1回避ルートベクトルYnは、歩行者通路55(隙間)がある場合には、歩行者を歩行者通路55に向かわせるベクトルとなる(
図7(a)参照)。一方、歩行者通路55(隙間)がない場合には、第1回避ルートベクトルYnは、歩行者を車道(危険領域401)に向かわせるベクトルとなる(
図8(a)参照)。
【0062】
第1回避ルート演算部524は、第1回避ルートベクトルYnを用いて、第1回避ルートAnを生成する。例えば、第1回避ルート演算部524は、算出した第1回避ルートベクトルYnを最新予測ルートRnの先端に配置し、配置した第1回避ルートベクトルYnを第1回避ルートAnとする。このとき、第1回避ルートAnの長さを予め定めた長さに調節してもよい。
【0063】
これにより、第1回避ルート演算部524は、障害物54の車道とは逆側に、歩行者が通過できる隙間(歩行者通路55)がある場合には、歩行者を歩行者通路55に誘導する第1回避ルートAnを生成することができる。一方、歩行者通路55がない場合には、歩行者を車道側に誘導する第1回避ルートAnを生成する。
【0064】
なお、歩行者を車道(危険領域401)側に誘導する際には、歩行者53が歩行するルートの車道(危険領域401)へのはみ出しが最小限になるように、ステップ313におけるベクトルWの長さや、第1回避ルートAnの長さを短く設定する。
【0065】
なお、本ステップでは、移動ベクトルVnにベクトルWを加算して第1回避ルートベクトルYnを算出しているが、最新予測ルートRnの先端を、ベクトルWの向きだけずらすことにより、第1回避ルートベクトルYnを生成してもよい。
【0066】
(ステップ315)
マーキングライト照射領域決定部512は、少なくとも第1回避ルートAnを含む路面の領域を照射パターンとして設定し、マーキングライト装置60の発光部61から照射パターンに向かって光(マーキングライト)を照射させる(
図7(b)、
図8(b)参照)。
【0067】
ここでは、マーキングライト照射領域決定部512は、最新予測ルートRnと第1回避ルートAnの両方を加え合わせた領域を照射パターン56として設定し、マーキングライトを照射する。
【0068】
これにより、障害物54を避けて、歩行者53を、できるだけ車道(危険領域401)とは反対側の第1回避ルートAnに誘導することができる。また、やむを得ず車道側に誘導する場合も、車道へのはみ出しを最小限に抑制した第1回避ルートAnに誘導することができる。
【0069】
なお、マーキングライト照射領域決定部512は、マーキングライト装置60に指示する際には、距離センサ42、車速センサ43および操舵角センサ44の検出結果を受け取って、車両と歩行者との現在の距離、車両の速度および操舵角の情報を用いて、照射パターン56に光を照射するための、マーキングライト装置60の発光部61の発光セグメントや向きを算出して、車両のマーキングライト装置60に指示する。
【0070】
しかしながら、歩行者53が、誘導した第1回避ルートAnよりも車道(危険領域401)側に大きくはみ出した場合には、歩行者53を歩道(安全領域402)に再度誘導するために、以下のステップを行う。
【0071】
(ステップ316)
予測ルートの危険性判定部509は、メモリ部521から歩行者53の最新予測ルートRn+1を読み出し、最新予測ルートRn+1が、ステップ315で照射パターン56を照射した第1回避ルートAnと異なるかどうか判定する。最新予測ルートRn+1が第1回避ルートAnから外れている場合、ステップ317に進む(
図7(c)、
図8(c))。
【0072】
(ステップ317)
予測ルートの危険性判定部509は、第1回避ルートAnから外れている最新予測ルートRn+1が、ステップ301で設定した危険領域401に向かっているかどうかを判定する(
図7(c)、
図8(c))。最新予測ルートRnが危険領域に向かっている場合、ステップ318に進む。
【0073】
なお、最新予測ルートRn+1が危険領域401に向かっているとは、
図9(b)のように、最新予測ルートRn+1が歩道(安全領域402)から車道(危険領域401)に向かっている場合と、
図9(c)のように車道(危険領域401)から車道(危険領域401)に向かっている場合をいう。
【0074】
また、最新予測ルートRn+1が危険領域401に向かっていない場合とは、
図9(d)のように最新予測ルートRnが歩道(安全領域402)から歩道(安全領域402)に向かっている場合と、
図9(e)のように車道(危険領域401)から歩道(安全領域402)に向かっている場合をいう。
【0075】
(ステップ318)
ステップ305で最新予測ルートRnが危険領域401に向かっていると判定された場合、第2回避ルート演算部510は、歩行者53を危険領域401から安全領域402に戻す第2回避ルートBnを算出する(
図7(c)、
図8(c))。
【0076】
具体的には、第2回避ルート演算部510は、第1回避ルートAnから最新の予測ルートRn+1を差し引いた差分ベクトルDn(言い換えると、最新の前記予測ルートと前記第1回避ルートとの差分)を求める。求めた差分ベクトルDnの長さを、予め定めた長さに調節し、第2回避ルートBnを算出する(
図7(c)、
図8(c)参照)。
【0077】
(ステップ319)
マーキングライト照射領域決定部512は、最新予測ルートRnと第2回避ルートBnをあわせた領域に光を照射する照射パターン56を算出し、その領域にマーキングライトを照射するようにマーキングライト装置60に指示する。これにより、マーキングライト装置は、最新予測ルートの路面領域を照らす照射パターン56の光を歩行者に向かって照射する(
図7(d)、
図8(d)参照)。
【0078】
なお、
図7(d)または
図8(d)に示した最新予測ルートRnと第2回避ルートBnをあわせた領域に光を照射する照射パターン56を、
図10(a)、(b)のように第1回避ルートAnを含むように、広げた照射パターン56とすることも可能である。これにより、照射パターン56が第1回避ルートAnを含むことにより、歩行者53を車道(危険領域401)に導いていると誤解が生じるのを防止することができる。
【0079】
(ステップ308)
上記ステップ306~307およびステップ311~319は、歩行者の位置検知部502が歩行者53を検出しなくなるまで繰り返し実行される。
【0080】
(ステップ309)
歩行者の位置検知部502が歩行者53をしない場合には、歩行者の位置検知部502は、マーキングライト装置60にマーキングライトのオフを指示する。
【0081】
このように、本実施形態は、歩行者53の進行方向を予測した予測ルートRnに光を照射し、車両の運転者に歩行者の進行方向を知らせることができる。また、歩行者53が障害物54を回避して進むべき第1回避ルートAnにも光を照射し、歩行者を誘導することができる。さらに、歩行者53が、第1回避ルートAnを外れ、危険領域401に進んでしまった場合でも、安全領域402に歩行者53を誘導する第2回避ルートBnに光を照射して誘導することができるため、歩行者を安全領域402に戻すことができる。
【0082】
これにより、歩行者53は、進行方向および回避ルートが明るく照らされるため、安全に歩行することができる。また、歩行者の進行方向を予測して光を照射し、車両の運転者に歩行者の進行方向を知らせることができる。これにより、歩行者53と車両の双方の安全を確保できる。
【0083】
<<実施形態2>>
実施形態2の車両用の配光システム1について説明する。
【0084】
実施形態2の車両用の配光システム1は、実施形態1とほぼ同様の構成および動作であるが、障害物検知部522が、
図3のステップ304において、障害物として、電柱や駐車車両等に加えて、歩道が途中でなくなったり、狭められたりする道路の幅員減少箇所についても障害物として、カメラの画像から検出する(
図11(a)参照)。
【0085】
幅員減少箇所の、車道(危険領域401)とは反対側に歩行者通路55は、存在しないため、ステップ313,314において、車道(危険領域401)に向かう側の第1回避ルートAnが算出され、ステップ315において第1回避ルートAnを含む照射パターン56が設定され、マーキングライトが照射される(
図11(b))。
【0086】
ステップ316,317において、歩行者53が、第1回避ルートAnとは異なる予測ルートRn+1を進み、危険領域401に進んでいることが判定された場合(
図11(c))、ステップ318,319において、第2回避ルートBnが算出され、第2回避ルートBnを含む照射パターン56が設定され、マーキングライトが照射される(
図11(d))。
【0087】
したがって、実施形態1の装置構成および動作により、障害物として幅員減少を検出した場合にも、歩行者53を安全に誘導する回避ルート(An、Bn)を算出でき、マーキングライトを照射できる。これにより、車両も歩行者の進行方向を認識でき、安全に進むことができる。
【0088】
なお、
図11(d)において第2回避ルートBnにマーキングライトが照射する際に、第1回避ルートAnも含むように、照射パターン56を設定してもよい。
【0089】
実施形態1,2において、マーキングライト照射領域決定部512は、最新予測ルートRn、第1回避ルートAn、第2回避ルートBnに照射パターン56を設定する際に、各ルートの長さに所定長さ(例0.5m)を加えた長さと、各ルートを中心に左右に所定幅(例0.5m)を加えた幅の領域を照射パターンとして設定することができる。照射パターン56の形状は、形状は楕円、丸形、多角形など予め定めた所定の形状に設定する。
【0090】
また、最新予測ルートRnの領域と回避ルートAn、Bnの領域とで、照射パターンの照明色を異ならせてもよい。これにより、歩行者は、回避ルートを意識しやすくなるというメリットがある。
【0091】
歩道(安全領域402)に、複数の歩行者が存在した場合、歩行者が安全領域402にいる限りは、マーキングライトを照射せず、歩行者の重心から危険領域401に向うと予測された歩行者が出現したら、その歩行者にマーキングライトを照射すればよい。具体的には、マーキングライトの照射を行うステップ307、315は実行せず、ステップ317で歩行者が危険領域に向かっていると判定したら、ステップ318、319を実行し、その歩行者のみにマーキングライトを照射することとなる。
【0092】
<<<製品への適用>>>
本実施形態の配光システムは、車両に搭載されて、歩行者に光を照射するマーキングライト装置として用いることができる。また、自動車用ヘッドランプ装置に搭載することもできる。
【符号の説明】
【0093】
1 配光システム
2 ヘッドランプシステム
3 車両
10 右側ヘッドランプ
40 センサ
41 フロントカメラ
42 距離センサ
43 車速センサ
44 操舵角センサ
50 制御部
51 境界
52 センターライン
53 歩行者
54 障害物
56 照射パターン
60 マーキングライト装置
61 発光部
62 ドライバ
401 危険領域
402 安全領域
501 道路状況取得部
502 位置検知部
503 メモリ部
504 重心検知部
505 メモリ部
506 危険領域演算部
507 メモリ部
508 予測ルート演算部
509 危険性判定部
510 回避ルート演算部
512 マーキングライト照射領域決定部
521 メモリ部
522 障害物検知部
523 メモリ部
524 第1回避ルート演算部