(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104132
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】操作装置及び操作システム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0354 20130101AFI20240726BHJP
【FI】
G06F3/0354 441
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008209
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】白石 理恵
(72)【発明者】
【氏名】古澤 光一
【テーマコード(参考)】
5B087
【Fターム(参考)】
5B087AA01
5B087BB15
(57)【要約】
【課題】押圧操作に対する即応性を高めることが可能な操作装置及び操作システムを提供する。
【解決手段】操作装置は、押圧操作を受けて、第1位置から第2位置まで移動する操作部を備え、前記操作部が第2位置まで移動することにより、操作信号を出力する。操作装置は、操作部の移動に際して変化する物理量を検出可能な検出部を備える。操作装置は、検出部が検出した物理量の変化速度が、予め設定されている所定値を超えたか否かを判定し(ステップS4)、測定した物理量の変化速度が所定値を超えたと判定した場合(ステップS4:YES)、第2位置へ移動する前に、操作信号を出力する(ステップS5)。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧操作を受けて移動する操作部を備え、前記操作部が移動することにより、操作信号を出力する操作装置であって、
前記操作部の移動に際して変化する物理量を検出可能な検出部と、
前記検出部が検出した物理量の変化速度が、予め設定されている所定値を超えたか否かを判定する判定手段と、
測定した物理量の変化速度が所定値を超えたと判定した場合に、操作信号を出力する手段と
を備えることを特徴とする操作装置。
【請求項2】
押圧操作を受けて、第1位置から第2位置まで移動する操作部を備え、前記操作部が第2位置まで移動することにより、操作信号を出力する操作装置であって、
前記操作部の位置を検出可能な検出部と、
前記検出部が検出した位置に基づいて、前記操作部の移動速度が所定値を超えたか否かを判定する判定手段と、
移動速度が所定値を超えたと判定した場合に、第2位置に到達する前に、操作信号を出力する手段と
を備えることを特徴とする操作装置。
【請求項3】
請求項2に記載の操作装置であって、
前記操作部の位置が、前記第1位置から、前記第1位置及び前記第2位置の間の第3位置に到達するまでの時間を測定する測定手段を備え、
前記判定手段は、前記測定手段により測定された時間が所定値以下である場合に、移動速度が所定値を超えたと判定する
ことを特徴とする操作装置。
【請求項4】
押圧操作を受けて、第1位置から第2位置まで移動する操作部を備え、前記操作部が第2位置まで移動することにより、操作信号を出力する操作装置であって、
前記操作部を押圧する荷重を検出可能な検出部と、
前記検出部が検出した荷重の増加速度が所定値を超えたか否かを判定する判定手段と、
増加速度が所定値を超えたと判定した場合に、第2位置に到達する前に、操作信号を出力する手段と
を備えることを特徴とする操作装置。
【請求項5】
請求項4に記載の操作装置であって、
押圧操作による荷重が、前記第1位置における第1荷重から、前記第1位置及び前記第2位置の間の第3位置までの押圧に必要な第3荷重に到達するまでの時間を測定する測定手段を備え、
前記判定手段は、前記測定手段により測定された時間が所定値以下である場合に、押圧による荷重の増加速度が所定値を超えたと判定する
ことを特徴とする操作装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の操作装置であって、
前記判定手段が、所定値を超えると判定した場合に、前記操作部に対する操作の感触を変化させる感触生成部を備える
ことを特徴とする操作装置。
【請求項7】
請求項6に記載の操作装置であって、
前記感触生成部は、
前記操作部に対する振動の発生又は押圧に要する荷重の加減圧である
ことを特徴とする操作装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の操作装置であって、
前記検出部は、
圧電素子、静電容量を検出する素子又は磁界変化を検出する素子を用いている
ことを特徴とする操作装置。
【請求項9】
押圧操作を受けて移動する操作部を備え、前記操作部が移動することにより、操作信号を出力する操作装置を用いた操作システムであって、
前記操作部の移動に際して変化する物理量を検出可能な検出部と、
前記検出部が検出した物理量の変化速度が、予め設定されている所定値を超えたか否かを判定する判定手段と、
測定した物理量の変化速度が所定値を超えたと判定した場合に、操作信号を出力する手段と
を備えることを特徴とする操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押圧操作を受けて操作信号を出力する操作装置、及びそのような操作装置を用いた操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ、ゲーム装置等の被操作装置を操作する操作装置として、例えば、マウスが用いられている。マウスは、マウスボタン、マウスホイール等の操作部が押圧操作を受けた場合に、押圧操作に基づく操作信号を被操作装置へ出力する。マウス等の操作装置の用途として、最近では、コンピュータゲームの操作に使用するゲーミングマウスとしての需要が高まっている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、操作装置が、例えば、コンピュータゲーム等の用途に用いられる場合、操作に対する即応性等の操作性の向上が要求される場合がある。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされてものであり、操作性を高めることが可能な操作装置の提供を主たる目的とする。
【0006】
また、本発明は、本発明に係る操作装置を用いた操作システムの開示を他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本願開示の操作装置は、押圧操作を受けて移動する操作部を備え、前記操作部が移動することにより、操作信号を出力する操作装置であって、前記操作部の移動に際して変化する物理量を検出可能な検出部と、前記検出部が検出した物理量の変化速度が、予め設定されている所定値を超えたか否かを判定する判定手段と、測定した物理量の変化速度が所定値を超えたと判定した場合に、操作信号を出力する手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
更に、本願開示の操作装置は、押圧操作を受けて、第1位置から第2位置まで移動する操作部を備え、前記操作部が第2位置まで移動することにより、操作信号を出力する操作装置であって、前記操作部の位置を検出可能な検出部と、前記検出部が検出した位置に基づいて、前記操作部の移動速度が所定値を超えたか否かを判定する判定手段と、移動速度が所定値を超えたと判定した場合に、第2位置に到達する前に、操作信号を出力する手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、前記操作装置において、前記操作部の位置が、前記第1位置から、前記第1位置及び前記第2位置の間の第3位置に到達するまでの時間を測定する測定手段を備え、前記判定手段は、前記測定手段により測定された時間が所定値以下である場合に、移動速度が所定値を超えたと判定することを特徴とする。
【0010】
更に、本願開示の操作装置は、押圧操作を受けて、第1位置から第2位置まで移動する操作部を備え、前記操作部が第2位置まで移動することにより、操作信号を出力する操作装置であって、前記操作部を押圧する荷重を検出可能な検出部と、前記検出部が検出した荷重の増加速度が所定値を超えたか否かを判定する判定手段と、増加速度が所定値を超えたと判定した場合に、第2位置に到達する前に、操作信号を出力する手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、前記操作装置において、押圧操作による荷重が、前記第1位置における第1荷重から、前記第1位置及び前記第2位置の間の第3位置までの押圧に必要な第3荷重に到達するまでの時間を測定する測定手段を備え、前記判定手段は、前記測定手段により測定された時間が所定値以下である場合に、押圧による荷重の増加速度が所定値を超えたと判定することを特徴とする。
【0012】
また、前記操作装置において、前記判定手段が、所定値を超えると判定した場合に、前記操作部に対する操作の感触を変化させる感触生成部を備えることを特徴とする。
【0013】
また、前記操作装置において、前記感触生成部は、前記操作部に対する振動の発生又は押圧に要する荷重の加減圧であることを特徴とする。
【0014】
また、前記操作装置において、前記検出部は、圧電素子、静電容量を検出する素子又は磁界変化を検出する素子を用いていることを特徴とする。
【0015】
更に、本願開示の操作システムは、押圧操作を受けて移動する操作部を備え、前記操作部が移動することにより、操作信号を出力する操作装置を用いた操作システムであって、前記操作部の移動に際して変化する物理量を検出可能な検出部と、前記検出部が検出した物理量の変化速度が、予め設定されている所定値を超えたか否かを判定する判定手段と、測定した物理量の変化速度が所定値を超えたと判定した場合に、操作信号を出力する手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本願開示の操作装置等は、操作部が移動することにより操作信号を出力する操作装置を用い、操作部に対し、操作部の移動に際して変化する物理量の変化速度が所定値を超える場合に、操作信号を出力する。これにより、本願開示の操作装置等は、操作性を高めることが可能である等、優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本願開示の操作システムの外観の一例を示す概略斜視図である。
【
図2】本願開示の操作装置の内部構造の一例を概念的に示す説明図である。
【
図3】本願開示の操作装置の内部構造の一例を概念的に示す説明図である。
【
図4】本願開示の操作システムにて用いられる操作装置及び被操作装置によるスイッチング機能の構成例を示す機能ブロック図である。
【
図5】本願開示の操作装置におけるF-S特性の一例を示すグラフである。
【
図6】本願開示の操作システムにおける処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】本願開示の操作システムにて用いられる操作装置及び被操作装置によるスイッチング機能の構成例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】
<適用例>
本願開示の操作装置は、例えば、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)、ゲーム装置等の被操作装置の操作に用いられるマウス等の操作装置として用いられる。以下では、図面を参照しながら図面に例示された操作装置1及び被操作装置2を用いた操作システムについて説明する。本願開示の操作システムは、例えば、素早い操作が有効なゲームの実行及びその操作に用いられる。
【0020】
<外観>
図1は、本願開示の操作システムの外観の一例を示す概略斜視図である。
図1は、本願開示の操作システムとして、操作装置1をマウスに適用し、被操作装置2をパソコンに適用した例を示している。操作装置1は、各種機構を収容する筐体10を備えている。操作装置1は、操作者の指にて押圧する操作を受け付けるマウスボタン等の押圧操作部11(操作部)、操作者の指にて回動する操作を受け付けるマウスホイール等の回動操作部12(操作部)を備えている。回動操作部12は、回動操作だけでなく、押圧操作も受け付けるように構成されており、押圧を受ける操作部としても機能する。操作装置1には、パソコン等の外部の被操作装置2へ出力する操作信号を媒介する通信線13が接続されている。操作装置1は、通信線13を用いた有線通信に限らず、無線通信等の様々な通信方法により、操作信号を出力することが可能である。以降、操作装置1の方向は、説明の便宜上、通信線13が取り付けられている方向を前方とし、押圧操作部11及び回動操作部12が取り付けられた方向を上方とし、押圧する方向を下方として説明する。
【0021】
押圧操作部11及び回動操作部12は、押圧操作を受けて上方から下方へ移動する。以降では、説明の便宜上、押圧をしていない解放状態での位置を上限位置と表現し、押圧により移動する限界の位置を下限位置と表現する。押圧操作部11及び回動操作部12は、押圧操作を受けて、上限位置から下限位置へ移動することにより、内部に搭載された開閉機構14(
図4等参照)といて、例えば、マイクロスイッチ、リニアスイッチ等のスイッチが作動し、回路の開閉を行う。開閉機構14としては、様々なスイッチを用いることが可能である。例えば、開閉機構14が、金属片のスナップアクションにより回路を開閉するマイクロスイッチの場合、スナップアクションによる振動で、操作による感触、所謂、クリック感を操作者に感得させる。
【0022】
<内部構造>
図2及び
図3は、本願開示の操作装置1の内部構造の一例を概念的に示す説明図である。
図2及び
図3は、操作装置1の内部構造のうちの一部として、押圧操作部11及び回動操作部12ならびにこれらに関連する部材を簡略化して概念的に示している。
図2は、操作装置1の前方から内部を透視するように示しており、
図3は、操作装置1の側方から内部を透視するようにして示している。
【0023】
押圧操作部11の下方には、押圧操作部11が上限位置から下限位置までの移動に際して変化する物理量を検出するセンサとなる検出部15が配置されている。検出部15は、押圧操作部11が押圧により移動した位置(変位)を静電容量にて検出する静電容量センサ、磁界の変化にて検出するホールICを用いた磁界センサ等の各種センサが用いられる。また、検出部15は、押圧により受けた荷重を電気特性の変化として検出する圧電薄膜、ピエゾ素子等の各種センサが用いられる。実装に際し、押圧操作部11の下方には、変位を検出する検出部15及び荷重を検出する検出部15のいずれか一方又は両方が配置される。回動操作部12の下方にも同様の検出部15が配置されている。
【0024】
更に、押圧操作部11の下方には、押圧操作部11に対する操作の感触を変化させる感触生成部16が配置されている。感触生成部16は、押圧操作部11が押圧された場合に、操作者に感得させる感触、所謂、クリック感を生成する機能を有するアクチュエータである。感触生成部16は、クリック感を感得させるため振動を発生させる圧電薄膜、ピエゾ素子、静電アクチュエータ等の素子が用いられる。感触生成部16による感触の生成は、振動に限らず、押圧に要する荷重の加減圧、例えば荷重を大きくする又は小さくする等、様々な方法で実施される。なお、検出部15及び感触生成部16を一つの素子、例えば、圧電薄膜で共用するように構成することも可能である。回動操作部12の下方にも同様の感触生成部16が配置されている。
【0025】
<機能>
図4は、本願開示の操作システムにて用いられる操作装置1及び被操作装置2によるスイッチング機能の構成例を示す機能ブロック図である。操作装置1は、筐体10内に、CPU等の制御部17を備えている。制御部17は、装置全体を制御する回路であり、例えば、VLSI、LSI等の集積回路を搭載したマイクロコンピュータ等の制御回路を用いて構成されている。制御部17は、各種プログラム及びデータ等の各種情報を記憶する半導体メモリ等のメモリ回路、時間を計時する計時回路等の各種回路を備えている。
【0026】
制御部17の制御回路は、押圧操作部11及び回動操作部12に対する操作に伴う検出部15により検出した物理量の入力を受け付け、各種処理を実行し、操作信号を被操作装置2へ出力し、感触生成部16を動作させる。
【0027】
図5は、本願開示の操作装置1におけるF-S特性の一例を示すグラフである。
図5に例示するF-S特性のグラフは、操作装置1が備える押圧操作部11に対し、押圧操作をした場合の変位(Stroke)を横軸にとり、押圧操作に係る押圧の荷重(Force)を縦軸にとって、その関係を示している。
図5に例示するF-S特性は、金属片のスナップアクションにより回路を開閉するマイクロスイッチを開閉機構14として備える操作装置1の特性である。
【0028】
図5に例示するように、押圧操作部11は、押圧操作を受け付けると、下方へ移動し、下方への移動、即ち、変位の変化に伴い、荷重が大きくなる。そして、押圧操作部11の荷重は、所定位置に到達すると、スナップアクションにより、荷重が大きく変化する。
図5において、押圧操作部11が押圧操作を受けていない解放位置、即ち、上限位置が、変位P0となる第0位置である。押圧操作部11は、押圧操作を受けると、遊びの部分を超えた変位P1から、下限位置である変位P2まで移動し、変位P2に到達すると、スナップアクションとして開閉機構14が作動し、操作信号を出力する。ここで、上限位置となる変位P0の位置を第0位置、変位P1の位置を第1位置、下限位置となる変位P2の位置を第2位置として設定する。即ち、操作装置1は、押圧操作部11が、押圧操作を受けて、第1位置から第2位置まで移動することにより、操作信号を出力する。更に、変位P1の第1位置から変位P2の第2位置の間に、変位P3の第3位置を設定する。なお、第0位置、第1位置、第2位置及び第3位置における操作に対する荷重は、それぞれ、荷重F0、荷重F1、荷重F2及び荷重F3である。
【0029】
本願開示の操作装置1は、用途に応じて、通常モード、速射モード等の様々な動作モードを設定することが可能である。通常モードの場合、本願開示の操作装置1は、押圧操作を受けた押圧操作部11が、変位P2の第2位置まで移動したときに、操作信号を出力する。速射モードの場合、本願開示の操作装置1は、押圧操作を受けた押圧操作部11の変位又は荷重の変化速度が所定値を超える場合、第2位置に到達する前の第3位置で操作信号を出力する。
【0030】
図6は、本願開示の操作システムにおける処理の一例を示すフローチャートである。
図6は、速射モードに設定された操作装置1が、押圧操作部11に対して押圧操作を受けた場合における制御部17の処理を例示している。操作装置1が備える制御部17は、検出部15により、押圧操作部11が移動開始を検出したか否かを検出する(ステップS1)。ステップS1において、制御部17は、例えば、押圧操作部11が第1位置まで移動したことを検出部15が検出した場合に、移動開始を検出したと判定する。ステップS1の検出は、変位がP1となったことの検出或いは荷重がF1となったことの検出、又はこれらの論理和或いは論理積により行われる。
【0031】
ステップS1において、移動開始を検出した場合(ステップS1:YES)、制御部17は、時間の計測を開始し(ステップS2)、第3位置に到達したか否かを判定する(ステップS3)。ステップS3の検出は、変位がP3となったことの検出或いは荷重がF3となったことの検出、又はこれらの論理和或いは論理積により行われる。
【0032】
ステップS1において、移動開始を検出していない場合(ステップS1:NO)、制御部17は、ステップS1に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0033】
ステップS3において、第3位置に到達したと判定した場合(ステップS3:YES)、制御部17は、検出部15が検出した物理量の変化速度が予め設定されている所定値を超えたか否かを判定する(ステップS4)。ステップS4の変化速度は、変位の変化速度、即ち、押圧操作部11の移動速度或いは押圧操作による荷重の変化速度、又はこれらの論理和或いは論理積である。変化速度は、第1位置から第3位置までの移動に要した時間により導出される。即ち、ステップS4において、制御部17は、ステップS2にて時間の計測を開始した第1位置から第3位置までの移動に要した時間が所定時間を下回る場合に、物理量の変化速度が予め設定されている所定値を超えたと判定する。
【0034】
ステップS3において、第3位置に到達していない場合(ステップS3:NO)、制御部17は、ステップS3に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0035】
ステップS4において、物理量の変化速度が所定値を超えたと判定した場合(ステップS:YES)、制御部17は、被操作装置2へ操作信号を出力し(ステップS5)、押圧操作部11に対する操作の感触を変化させる(ステップS6)。ステップS5において、制御部17は、押圧操作部11が押圧操作を受けたことを示す操作信号を出力する。ステップS6において、制御部17は、感触生成部16により操作感触を変化させる。操作感触の変化は、感触生成部16による押圧操作部11に対する振動の発生、押圧荷重に対する加減圧等の動作により行われる。操作者は、操作感触の変化をクリック感として感得し、クリック操作が完了したことを認識する。
【0036】
ステップS4において、物理量の変化速度が所定値を超えていないと判定した場合(ステップS4:NO)、制御部17は、第2位置に到達したか否かを判定する(ステップS7)。ステップS7において、第2位置への到達の判定は、検出部15による変位及び/又は荷重の検出にて行ってもよく、開閉機構14として用いられたマイクロスイッチのスナップアクションによる回路の物理的な開閉にて行ってもよい。
【0037】
ステップS7において、第2位置に到達したと判定した場合(ステップS7:YES)、制御部17は、被操作装置2へ操作信号を出力する(ステップS8)。即ち、制御部17は、第1位置から第3位置までの物理量変化の速度が所定値以下である場合、通常モード同様に、押圧操作部11が第2位置に到達した時点で操作信号を出力する。なお、開閉機構14が、スナップアクションを行うマイクロスイッチの場合、操作感触は、スナップアクションにより創出される。また、開閉機構14が、押圧に必要な荷重が一定のリニアスイッチの場合、クリック感を創出するために、制御部17は、操作信号を出力後、感触生成部16により操作感触を変化させる。
【0038】
以上のようにして、操作装置1は、押圧操作部11に対して素早い操作が行われた場合、通常より早い段階で操作信号を出力する処理を実行する。なお、操作装置1は、回動操作部12に対する押圧操作に対しても同様の処理を行う。
【0039】
図7は、本願開示の操作システムにて用いられる操作装置1及び被操作装置2によるスイッチング機能の構成例を示す機能ブロック図である。
図7は、操作システムによるスイッチング機能を発揮するための他の形態を例示している。
図7に例示する他の形態は、被操作装置2にて、各種処理を行う形態である。被操作装置2は、装置全体を制御するCPU等の制御部20を備えている。被操作装置2が備える制御部20は、操作装置1が備える押圧操作部11及び回動操作部12に対する操作に伴う検出部15により検出した物理量の入力を受け付け、各種処理を実行し、感触生成部16を動作させる。
【0040】
他の形態における操作システムにおいて、被操作装置2の制御部20の処理は、
図6を用いて説明した操作装置1の処理と実質的に同様であるので、
図6及びその説明を参照するものとし、詳細な説明を省略する。なお、ステップS5及びS8として示した操作信号の出力は、ゲームプログラム等の実行中のプログラムに対する操作命令の入力となる。
【0041】
以上のように、本願開示の操作装置1等は、押圧操作部11、回動操作部12等の操作部が、押圧操作を受けた場合で、変位、荷重等の物理量の変化速度が所定値を超えるとき、通常よりも早い段階で操作信号を出力する。これにより、本願開示の操作装置1等は、素早い操作に対し、より早く操作信号を出力して、即応性を高めることが可能である。
【0042】
本発明は、以上説明したそれぞれの実施形態に限定されるものではなく、他の様々な形態に展開することが可能である。そのため、上述した実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の技術範囲は、請求の範囲によって説明するものであって、明細書本文には何ら拘束されない。更に、請求の範囲の均等範囲に属する変形及び変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0043】
例えば、前記実施形態において、操作装置1は、上限位置を第0位置とし、下限位置を第2位置とし、その間に、第1位置及び第3位置を設定する形態を示したが、これらの位置は適宜設定することが可能である。例えば、本願開示の操作装置1は、第0位置及び第1位置を同じ位置としてもよく、下限位置より、若干上に第2位置を設定してもよい等、様々な形態に展開することが可能である。また、本願開示の操作装置1は、第3位置に相当する位置を複数設け、それぞれの位置で速度を判定するようにしてもよい等、様々な形態に展開することが可能である。具体的には、第1位置から第2位置の間を複数の移動範囲で区分し、複数の移動範囲のそれぞれに所定値を設定し、押圧操作部11の移動に伴いそれぞれの移動範囲で順次所定値を超えたか否かを判定するという形態を例示することができる。更に、本願開示の操作装置1は、物理量変化が所定の速度を超えた場合のみ、操作信号を出力する等、様々な形態に展開することが可能である。
【0044】
更に、前記実施形態において、操作装置1は、第1位置から第3位置までの変化に対する時間により、物理量の変化速度を判定したが、変化速度の判定には、様々な方法を用いることが可能である。例えば、本願開示の操作装置1は、物理量の変化速度が所定の速度を超えた時点で、操作信号を出力する等、様々な形態に展開することが可能である。
【0045】
更に、前記実施形態において、操作装置1は、検出部15が検出した変位及び荷重の変化速度に基づく処理により、即応性を高める形態を示したが、即応性と併せて、誤操作防止に用いることも可能である。例えば、操作装置1は、変位の増加速度が所定値を超える場合であっても、荷重の増加速度が予め設定されている下限値以下である場合、操作信号を出力しないように設定する。このような設定を行うことにより、操作装置1は、意図しない操作による操作信号の出力を防止する等、適宜、設定することが可能である等、優れた効果を奏する。
【0046】
更に、操作装置1は、検出部15により検出する物理量として、変位及び荷重を例示したが、検出部15により検出した静電容量、磁界等の物理量をそのまま変化速度の判定の対象として扱う等、様々な形態に展開することが可能である。
【0047】
更に、操作装置1は、マウス以外にも、キーボード、ゲームコントローラ、産業機械用コントローラ等の操作に用いる様々な装置として実現することが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 操作装置
10 筐体
11 押圧操作部(操作部)
12 回動操作部(操作部)
13 通信線
14 開閉機構
15 検出部
16 感触生成部
17 制御部
2 被操作装置
20 制御部