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特開2024-104134ワイヤボンディング方法及びワイヤボンディング装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104134
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】ワイヤボンディング方法及びワイヤボンディング装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20240726BHJP
【FI】
H01L21/60 301G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008212
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】519294332
【氏名又は名称】株式会社新川
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩澤 茂
【テーマコード(参考)】
5F044
【Fターム(参考)】
5F044BB01
5F044BB19
5F044DD01
5F044DD03
(57)【要約】
【課題】ボンディング位置精度の向上を図る。
【解決手段】ボンディングヘッドを撮像位置から第1方向に移動させながら第1リード41、第1パッド51、第2パッド52、第2リード42の画像を取得した後、第1方向と反対の第2方向にボンディングヘッドを移動させてボンディングヘッドを撮像位置に戻して第1リード41の画像を再度取得し、取得した画像に基づいて基板40の接合位置48に対する半導体チップ50の実接合位置の位置ずれ量を算出し、再取得した画像に基づいて位置ずれ量を修正して修正位置ずれ量を算出し、修正位置ずれ量に基づいて複数のパッド55の位置を補正し、補正した複数のパッド55の位置にワイヤをボンディングする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボンディングツールと撮像装置とが取り付けられたボンディングヘッドと、前記ボンディングヘッドをXY方向に移動させるXYテーブルと、を備えるボンディング装置を用いて、基板の複数のリードと前記基板の上に接合された半導体チップの複数のパッドとをワイヤでそれぞれ接続するワイヤボンディング方法であって、
前記半導体チップは、一方側に配置される第1パッドと、他方側に配置される第2パッドと、を備え、
前記基板は、前記第1パッドとワイヤで接続される第1リードと、前記第2パッドとワイヤで接続される第2リードと、を備え、
前記ボンディングヘッドを撮像位置に移動させ、前記撮像装置で前記第1リードの画像を取得した後、前記ボンディングヘッドを第1方向に移動させながら前記第1パッドの画像と、前記第2パッドの画像と、前記第2リードの画像とを順次取得する画像取得工程と、
前記画像取得工程で取得した各画像に基づいて前記第1リードの位置と、前記第1パッドの位置と、前記第2パッドの位置と、前記第2リードの位置とを検出する位置検出工程と、
前記位置検出工程で検出した各位置に基づいて前記基板の接合位置に対する前記半導体チップの実接合位置の位置ずれ量を算出する位置ずれ量算出工程と、
前記第2リードの画像を取得した後、前記ボンディングヘッドを前記第1方向と反対の第2方向に移動させて前記撮像位置に戻して、前記第1リードの画像を再度取得する画像再取得工程と、
前記画像再取得工程で再取得した画像に基づいて前記第1リードの位置を再検出し、先に検出した前記第1リードの位置と再検出した前記第1リードの位置との検出位置差に基づいて前記位置ずれ量を修正して修正位置ずれ量を算出する修正位置ずれ量算出工程と、
前記修正位置ずれ量算出工程で算出した前記修正位置ずれ量に基づいて、複数の前記パッドの位置を補正する位置補正工程と、
前記位置補正工程で補正した複数の前記パッドの位置に前記ボンディングツールでワイヤをボンディングするボンディング工程と、を含むワイヤボンディング方法。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤボンディング方法であって、
前記ボンディング工程は、前記ボンディングヘッドを前記撮像位置から前記第1方向に移動させて前記ボンディングツールを複数の前記パッドの内のいずれか1つの開始パッドの上に移動させ、前記開始パッドから複数の前記パッドの各位置へのワイヤのボンディングを開始すること、
を特徴とするワイヤボンディング方法。
【請求項3】
ボンディングツールと撮像装置とが取り付けられたボンディングヘッドと、前記ボンディングヘッドをXY方向に移動させるXYテーブルと、を備えるボンディング装置を用いて、基板の複数のリードと前記基板の上に接合された半導体チップの複数のパッドとをワイヤでそれぞれ接続するワイヤボンディング方法であって、
前記半導体チップは、一方側に配置される第1パッドと、他方側に配置される第2パッドと、を備え、
前記基板は、前記第1パッドとワイヤで接続される第1リードと、前記第2パッドとワイヤで接続される第2リードと、を備え、
前記ボンディングヘッドを撮像位置に移動させ、前記撮像装置で前記第1リードの画像を取得した後、前記ボンディングヘッドを第1方向に移動させながら前記第1パッドの画像と、前記第2パッドの画像と、前記第2リードの画像とを順次取得する画像取得工程と、
前記画像取得工程で取得した各画像に基づいて前記第1リードの位置と、前記第1パッドの位置と、前記第2パッドの位置と、前記第2リードの位置とを検出する位置検出工程と、
前記位置検出工程で検出した各位置に基づいて前記基板の接合位置に対する前記半導体チップの実接合位置の位置ずれ量を算出する位置ずれ量算出工程と、
位置ずれ量算出工程で算出した前記位置ずれ量に基づいて、複数の前記パッドの位置を補正する位置補正工程と、
補正した複数の前記パッドの位置に前記ボンディングツールでワイヤをボンディングするボンディング工程と、を含むワイヤボンディング方法であって、
前記ボンディング工程は、前記第2リードの画像を取得した後、前記ボンディングヘッドを前記第1方向と反対の第2方向に移動させて前記撮像位置に戻し、その後、再度、前記ボンディングヘッドを前記第1方向に移動させて前記ボンディングツールを複数の前記パッドの内のいずれか1つの開始パッドの上に移動させ、前記開始パッドから複数の前記パッドの各位置へのワイヤのボンディングを開始すること、
を特徴とするワイヤボンディング方法。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のワイヤボンディング方法であって、
前記開始パッドは、前記ボンディングツールの前記第1方向と平行な移動経路に近接した1つのパッドであること、
を特徴とするワイヤボンディング方法。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載のワイヤボンディング方法であって、
前記第1パッドは、前記半導体チップの第1角部に配置され、前記第2パッドは前記第1角部の対角位置の第2角部に配置されており、
前記第1方向は、前記第1角部から斜めに前記第2角部に向かう方向であること、
を特徴とするワイヤボンディング方法。
【請求項6】
ボンディングツールと撮像装置とが取り付けられたボンディングヘッドと、
前記ボンディングヘッドをXY方向に移動させるXYテーブルと、
前記撮像装置と、前記ボンディングツールと、前記ボンディングヘッドと、前記XYテーブルの動作を調整する制御部と、を備え、基板の複数のリードと前記基板の上に接合された半導体チップの複数のパッドとをワイヤでそれぞれ接続するワイヤボンディング装置であって、
前記制御部は、情報処理を行うプロセッサを含み、
前記半導体チップは、一方側に配置される第1パッドと、他方側に配置される第2パッドと、を備え、
前記基板は、前記第1パッドとワイヤで接続される第1リードと、前記第2パッドとワイヤで接続される第2リードと、を備え、
前記プロセッサは、
前記ボンディングヘッドを撮像位置に移動させ、前記撮像装置で前記第1リードの画像を取得した後、前記ボンディングヘッドを第1方向に移動させながら前記第1パッドの画像と、前記第2パッドの画像と、前記第2リードの画像とを順次取得し、
取得した各画像に基づいて前記第1リードの位置と、前記第1パッドの位置と、前記第2パッドの位置と、前記第2リードの位置と、を検出し、
検出した各位置に基づいて前記基板の接合位置に対する前記半導体チップの実接合位置の位置ずれ量を算出し、
前記第2リードの画像を取得した後、前記ボンディングヘッドを前記第1方向と反対の第2方向に移動させて前記撮像位置に戻して、前記第1リードの画像を再取得し、
再取得した画像に基づいて前記第1リードの位置を再検出し、先に検出した前記第1リードの位置と再検出した前記第1リードの位置との検出位置差に基づいて前記位置ずれ量を修正して修正位置ずれ量を算出し、
算出した前記修正位置ずれ量に基づいて、複数の前記パッドの位置を補正し、
補正した複数の前記パッドの位置に前記ボンディングツールでワイヤをボンディングすることを特徴とするワイヤボンディング装置。
【請求項7】
請求項6に記載のワイヤボンディング装置であって、
前記プロセッサは、
前記ボンディングヘッドを前記撮像位置から前記第1方向に移動させて前記ボンディングツールを複数の前記パッドの内のいずれか1つの開始パッドの上に移動させ、前記開始パッドから複数の前記パッドの各位置へのワイヤのボンディングを開始すること、
を特徴とするワイヤボンディング装置。
【請求項8】
ボンディングツールと撮像装置とが取り付けられたボンディングヘッドと、
前記ボンディングヘッドをXY方向に移動させるXYテーブルと、
前記撮像装置と、前記ボンディングツールと、前記ボンディングヘッドと、前記XYテーブルの動作を調整する制御部と、を備え、基板の複数のリードと前記基板の上に接合された半導体チップの複数のパッドとをワイヤでそれぞれ接続するワイヤボンディング装置であって、
前記制御部は、情報処理を行うプロセッサを含み、
前記半導体チップは、一方側に配置される第1パッドと、他方側に配置される第2パッドと、を備え、
前記基板は、前記第1パッドとワイヤで接続される第1リードと、前記第2パッドとワイヤで接続される第2リードと、を備え、
前記プロセッサは、
前記ボンディングヘッドを撮像位置に移動させ、前記撮像装置で前記第1リードの画像を取得した後、前記ボンディングヘッドを第1方向に移動させながら前記第1パッドの画像と、前記第2パッドの画像と、前記第2リードの画像とを順次取得し、
取得した各画像に基づいて前記第1リードの位置と、前記第1パッドの位置と、前記第2パッドの位置と、前記第2リードの位置、とを検出し、
検出した各位置に基づいて前記基板の接合位置に対する前記半導体チップの実接合位置の位置ずれ量を算出し、
算出した前記位置ずれ量に基づいて、複数の前記パッドの位置を補正し、
補正した複数の前記パッドの位置に前記ボンディングツールでワイヤをボンディングし、
前記ボンディングは、前記第2リードの画像を取得した後、前記ボンディングヘッドを前記第1方向と反対の第2方向に移動させて前記撮像位置に戻し、その後、再度、前記ボンディングヘッドを前記第1方向に移動させて前記ボンディングツールを複数の前記パッドの内のいずれか1つの開始パッドの上に移動させ、前記開始パッドから複数の前記パッドの各位置へのワイヤのボンディングを開始すること、
を特徴とするワイヤボンディング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板のリードと半導体チップのパッドとをワイヤで接続するワイヤボンディング装置及びワイヤボンディング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に接合された半導体チップの位置は正確な位置からずれている場合が多く、このずれ量の補正が必要となる場合がある。そこで、ボンディングに先立って、あらかじめ記憶されているパッドとリードの座標と位置検出点とリード側の座標と位置検出点とによってボンディング位置の補正値求め、補正したボンディング位置にカメラのオフセット量を加算してボンディング行う方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2630692号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ボンディングツールと撮像装置とが取り付けられたボンディングヘッドをXY方向に駆動するXYテーブルには、移動方向によるヒステリシスが存在する場合がある。この場合、ボンディングヘッドを所定の経路に沿って往復移動させた場合、撮像位置に戻った際にごくわずかな位置ずれが発生する場合がある。そして、この位置ずれのためボンディングの位置精度が低下する場合がある。
【0005】
一方、近年、パッドサイズが小さくなり、圧着ボールの外周とパッド周縁との隙間が非常に小さくなっており、より高度なボンディング位置精度が求められている。
【0006】
そこで、本発明は、ボンディング位置精度の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のワイヤボンディング方法は、ボンディングツールと撮像装置とが取り付けられたボンディングヘッドと、ボンディングヘッドをXY方向に移動させるXYテーブルと、を備えるボンディング装置を用いて、基板の複数のリードと基板の上に接合された半導体チップの複数のパッドとをワイヤでそれぞれ接続するワイヤボンディング方法であって、半導体チップは、一方側に配置される第1パッドと、他方側に配置される第2パッドと、を備え、基板は、第1パッドとワイヤで接続される第1リードと、第2パッドとワイヤで接続される第2リードと、を備え、ボンディングヘッドを撮像位置に移動させ、撮像装置で第1リードの画像を取得した後、ボンディングヘッドを第1方向に移動させながら第1パッドの画像と、第2パッドの画像と、第2リードの画像とを順次取得する画像取得工程と、画像取得工程で取得した各画像に基づいて第1リードの位置と、第1パッドの位置と、第2パッドの位置と、第2リードの位置とを検出する位置検出工程と、位置検出工程で検出した各位置に基づいて基板の接合位置に対する半導体チップの実接合位置の位置ずれ量を算出する位置ずれ量算出工程と、第2リードの画像を取得した後、ボンディングヘッドを第1方向と反対の第2方向に移動させて撮像位置に戻して、第1リードの画像を再度取得する画像再取得工程と、画像再取得工程で再取得した画像に基づいて第1リードの位置を再検出し、先に検出した第1リードの位置と再検出した第1リードの位置との検出位置差に基づいて位置ずれ量を修正して修正位置ずれ量を算出する修正位置ずれ量算出工程と、修正位置ずれ量算出工程で算出した修正位置ずれ量に基づいて、複数のパッドの位置を補正する位置補正工程と、位置補正工程で補正した複数のパッドの位置にボンディングツールでワイヤをボンディングするボンディング工程と、を含むことを特徴とする。
【0008】
このように、基板の接合位置に対する半導体チップの実接合位置の位置ずれ量と、XYテーブルのヒステリシスに起因する位置ずれ量とに基づいてパッドの位置を補正するので、ボンディング位置精度の向上を図ることができる。
【0009】
本発明のワイヤボンディング方法において、ボンディング工程は、ボンディングヘッドを撮像位置から第1方向に移動させてボンディングツールを複数のパッドの内のいずれか1つの開始パッドの上に移動させ、開始パッドから複数のパッドの各位置へのワイヤのボンディングを開始してもよい。
【0010】
このように、撮像位置から第1の方向に向かってボンディングヘッドを開始パッドの上に移動させるので、XYテーブルのヒステリシスに起因する位置ずれが発生しにくくなる。これにより、ボンディング位置精度の向上を図ることができる。
【0011】
本発明のワイヤボンディング方法は、ボンディングツールと撮像装置とが取り付けられたボンディングヘッドと、ボンディングヘッドをXY方向に移動させるXYテーブルと、を備えるボンディング装置を用いて、基板の複数のリードと基板の上に接合された半導体チップの複数のパッドとをワイヤでそれぞれ接続するワイヤボンディング方法であって、半導体チップは、一方側に配置される第1パッドと、他方側に配置される第2パッドと、を備え、基板は、第1パッドとワイヤで接続される第1リードと、第2パッドとワイヤで接続される第2リードと、を備え、ボンディングヘッドを撮像位置に移動させ、撮像装置で第1リードの画像を取得した後、ボンディングヘッドを第1方向に移動させながら第1パッドの画像と、第2パッドの画像と、第2リードの画像とを順次取得する画像取得工程と、画像取得工程で取得した各画像に基づいて第1リードの位置と、第1パッドの位置と、第2パッドの位置と、第2リードの位置とを検出する位置検出工程と、位置検出工程で検出した各位置に基づいて基板の接合位置に対する半導体チップの実接合位置の位置ずれ量を算出する位置ずれ量算出工程と、位置ずれ量算出工程で算出した位置ずれ量に基づいて、複数のパッドの位置を補正する位置補正工程と、補正した複数のパッドの位置にボンディングツールでワイヤをボンディングするボンディング工程と、を含むワイヤボンディング方法であって、ボンディング工程は、第2リードの画像を取得した後、ボンディングヘッドを第1方向と反対の第2方向に移動させて撮像位置に戻し、その後、再度、ボンディングヘッドを第1方向に移動させてボンディングツールを複数のパッドの内のいずれか1つの開始パッドの上に移動させ、開始パッドから複数のパッドの各位置へのワイヤのボンディングを開始すること、を特徴とする。
【0012】
このように、撮像位置から第1の方向に向かってボンディングヘッドを開始パッドの上に移動させるので、XYテーブルのヒステリシスに起因する位置ずれが発生しにくくなる。これにより、第1リードの画像の再取得と修正位置ずれ量の算出を行わない場合でも、ボンディング位置精度の向上を図ることができる。
【0013】
本発明のワイヤボンディング方法において、開始パッドは、ボンディングツールの第1方向と平行な移動経路に近接した1つのパッドでもよい。
【0014】
これにより、撮像位置から開始パッドへの移動距離が短くなり、XYテーブルのヒステリシスに起因する位置ずれが発生しにくくなる。これにより、ボンディング位置精度の向上を図ることができる。
【0015】
本発明のワイヤボンディング方法において、第1パッドは、半導体チップの第1角部に配置され、第2パッドは第1角部の対角位置の第2角部に配置されており、第1方向は、第1角部から斜めに第2角部に向かう方向としてもよい。
【0016】
これにより、第1リードから第2リードに向かってボンディングヘッドを移動させことにより、半導体チップの基板に対するX、Y、θ方向の位置ずれ量を検出することができ。
【0017】
本発明のワイヤボンディング装置は、ボンディングツールと撮像装置とが取り付けられたボンディングヘッドと、ボンディングヘッドをXY方向に移動させるXYテーブルと、撮像装置と、ボンディングツールと、ボンディングヘッドと、XYテーブルの動作を調整する制御部と、を備え、基板の複数のリードと基板の上に接合された半導体チップの複数のパッドとをワイヤでそれぞれ接続するワイヤボンディング装置であって、制御部は、情報処理を行うプロセッサを含み、半導体チップは、一方側に配置される第1パッドと、他方側に配置される第2パッドと、を備え、基板は、第1パッドとワイヤで接続される第1リードと、第2パッドとワイヤで接続される第2リードと、を備え、プロセッサは、ボンディングヘッドを撮像位置に移動させ、撮像装置で第1リードの画像を取得した後、ボンディングヘッドを第1方向に移動させながら第1パッドの画像と、第2パッドの画像と、第2リードの画像とを順次取得し、取得した各画像に基づいて第1リードの位置と、第1パッドの位置と、第2パッドの位置と、第2リードの位置と、を検出し、検出した各位置に基づいて基板の接合位置に対する半導体チップの実接合位置の位置ずれ量を算出し、第2リードの画像を取得した後、ボンディングヘッドを第1方向と反対の第2方向に移動させて撮像位置に戻して、第1リードの画像を再取得し、再取得した画像に基づいて第1リードの位置を再検出し、先に検出した第1リードの位置と再検出した第1リードの位置との検出位置差に基づいて位置ずれ量を修正して修正位置ずれ量を算出し、算出した修正位置ずれ量に基づいて、複数のパッドの位置を補正し、補正した複数のパッドの位置にボンディングツールでワイヤをボンディングすることを特徴とする。
【0018】
本発明のワイヤボンディング装置において、プロセッサは、ボンディングヘッドを撮像位置から第1方向に移動させてボンディングツールを複数のパッドの内のいずれか1つの開始パッドの上に移動させ、開始パッドから複数のパッドの各位置へのワイヤのボンディングを開始してもよい。
【0019】
本発明のワイヤボンディング装置は、ボンディングツールと撮像装置とが取り付けられたボンディングヘッドと、ボンディングヘッドをXY方向に移動させるXYテーブルと、撮像装置と、ボンディングツールと、ボンディングヘッドと、XYテーブルの動作を調整する制御部と、を備え、基板の複数のリードと基板の上に接合された半導体チップの複数のパッドとをワイヤでそれぞれ接続するワイヤボンディング装置であって、制御部は、情報処理を行うプロセッサを含み、半導体チップは、一方側に配置される第1パッドと、他方側に配置される第2パッドと、を備え、基板は、第1パッドとワイヤで接続される第1リードと、第2パッドとワイヤで接続される第2リードと、を備え、プロセッサは、ボンディングヘッドを撮像位置に移動させ、撮像装置で第1リードの画像を取得した後、ボンディングヘッドを第1方向に移動させながら第1パッドの画像と、第2パッドの画像と、第2リードの画像とを順次取得し、取得した各画像に基づいて第1リードの位置と、第1パッドの位置と、第2パッドの位置と、第2リードの位置と、を検出し、検出した各位置に基づいて基板の接合位置に対する半導体チップの実接合位置の位置ずれ量を算出し、算出した位置ずれ量に基づいて、複数のパッドの位置を補正し、補正した複数のパッドの位置にボンディングツールでワイヤをボンディングし、ボンディングは、第2リードの画像を取得した後、ボンディングヘッドを第1方向と反対の第2方向に移動させて撮像位置に戻し、その後、再度、ボンディングヘッドを第1方向に移動させてボンディングツールを複数のパッドの内のいずれか1つの開始パッドの上に移動させ、開始パッドから複数のパッドの各位置へのワイヤのボンディングを開始すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、XYテーブルのヒステリシスに起因するボンディング位置精度の低下を抑制し、ボンディング位置精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態のワイヤボンディング装置の構成を示す系統図である。
図2図1に示すカメラの鏡筒と超音波ホーンに取り付けられたボンディングツールとを示す斜視図である。
図3】基板と、基板に接合された半導体チップを示す平面図である。
図4】実施形態のワイヤボンディング装置の動作を示すフローチャートである。
図5】実施形態のワイヤボンディング装置の画像取得工程と位置検出工程の説明図である。
図6】実施形態のワイヤボンディング装置の修正位置ずれ量算出工程の説明図である。
図7】実施形態のワイヤボンディング装置のボンディング動作の説明図である。
図8】実施形態のワイヤボンディング装置の他の動作を示すフローチャートである。
図9】他の動作におけるボンディングツールを開始パッドに移動させる工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら実施形態のワイヤボンディング装置100、及びワイヤボンディング方法について説明する。図1に示すように、ワイヤボンディング装置100は、XYテーブル11と、ボンディングヘッド12と、ボンディングステージ13と、ボンディングアーム14と、超音波ホーン15と、超音波振動子16と、ボンディングツールであるキャピラリ17と、ワイヤクランパ18と、撮像装置であるカメラ19と、スプール22と、制御部30と、を備えている。ワイヤボンディング装置100は、ボンディングステージ13の上に吸着固定された基板40の複数のリード45(図4参照)と、基板40の上に接合された半導体チップ50の複数のパッド55(図4参照)をワイヤ23でそれぞれ接続する。尚、以下、基板40の搬送方向をX方向、ボンディングステージ13からボンディングヘッド12に向かいX方向と直交する方向をY方向、上方向をZ方向として説明する。
【0023】
XYテーブル11は、上に取付けられたボンディングヘッド12をボンディングステージ13の表面に沿った面内(XY面内)で自在な位置に移動する。ボンディングヘッド12にはボンディングアーム14と、Z方向モータ25とが取り付けられている。ボンディングアーム14は、根元部14Aが回転軸28の周りに回転自在にボンディングヘッド12に取付けられている。Z方向モータ25は、ボンディングヘッド12の内部に取り付けられた固定子25Sと、ボンディングアーム14の根元部14Aに設けられた回転子25Dとで構成されている。回転子25Dは、固定子25Sに対向するように根元部14Aに取付けらており、根元部14Aを回転軸28の周りに回転駆動する。ボンディングアーム14の先端には超音波ホーン15が取り付けられている。超音波ホーン15の先端には、キャピラリ17が取り付けられている。このように、ボンディングアーム14がボンディングヘッド12に取り付けられており、超音波ホーン15はボンディングアーム14に取り付けられ、キャピラリ17は超音波ホーン15に取り付けられているので、XYテーブル11によってボンディングヘッド12がXY方向に移動すると超音波ホーン15とキャピラリ17はボンディングヘッド12と共にXY方向に移動する。また、Z方向モータ25は、超音波ホーン15の先端、及び、キャピラリ17の先端をボンディングステージ13に対して接離するようにZ方向に駆動する。
【0024】
超音波ホーン15の根元には、超音波振動子16が取り付けられている。超音波振動子16は超音波ホーン15の先端に取り付けられたキャピラリ17を超音波加振する。また、ボンディングアーム14の上側には、ワイヤクランパ18が取り付けられている。ワイヤクランパ18はワイヤ23を把持、開放する。また、ボンディングヘッド12の上端には、ワイヤ23を繰り出すスプール22が取り付けられている。
【0025】
ボンディングヘッド12の上部には、カメラ19が取り付けられている。カメラ19の先端にはレンズ等の光学部品が収容された鏡筒19Aが配置されている。図2に示すように、鏡筒19Aの光軸19Zは、キャピラリ17のZ方向の中心軸17ZとX方向にSXだけオフセットして取付けられている。ワイヤボンディング装置100では鏡筒19Aの光軸19Zは、Y方向にはオフセットされていない。このようにカメラ19は、ボンディングヘッド12に取り付けられているので、XYテーブル11によってボンディングヘッド12がXY方向に移動するとカメラ19はボンディングヘッド12と共にXY方向に移動する。
【0026】
図1に戻って、制御部30は、ワイヤボンディング装置100の各部の位置の検出及び動作の制御を行う。制御部30は、内部に情報処理を行うプロセッサであるCPU31と、動作プログラムや動作データを格納するメモリ32とを備えるコンピュータである。XYテーブル11と、Z方向モータ25と、超音波振動子16と、ワイヤクランパ18とはそれぞれ制御部30に接続され、制御部30からの指令によって動作する。また、カメラ19も制御部30に接続され、制御部30の指令によって動作し、カメラ19が撮像した画像データは、制御部30に入力される。
【0027】
XYテーブル11には、ボンディングヘッド12のXY方向位置を検出するXY位置検出デバイスが内蔵されている。XY位置検出デバイスの出力は、制御部30に入力される。また、ボンディングヘッド12にはボンディングアーム14の回転軸28の回りの回転角度を検出することによってキャピラリ17の先端のZ方向高さを検出するキャピラリ高さ検出器24が設けられている。キャピラリ高さ検出器24の検出信号は制御部30に入力される。
【0028】
次に図3を参照しながら、基板40と半導体チップ50について説明する。基板40の中央には半導体チップ50が接合される接合位置48が設定されている。接合位置48の中心は、接合位置中心48Cである。また、接合位置48の周囲には、放射状に複数のリード45が形成されている。基板40の接合位置48の上には、複数のパッド55が形成された半導体チップ50が接合されている。以下の説明では、半導体チップ50の右上の第1角部50Aに形成されたパッド55を第1パッド51という。また、第1角部50Aの対角位置にある左下の第2角部50Bに形成されたパッド55を第2パッド52という。そして、第1パッド51とワイヤ23で接続される右上のリード45を第1リード41、第2パッド52とワイヤ23で接続される左下のリード45を第2リード42という。尚、基板40の複数のリード45を区別せずに示す場合にはリード45という。また、半導体チップ50の複数のパッド55を区別せずに示す場合には、パッド55という。
【0029】
図3に示すように、半導体チップ50は、中心50Cが基板40の接合位置中心48Cに対してX、Y及びZ軸回りにずれて接合されている。X方向のずれ量はΔX、Y方向のずれ量はΔYである。また、Z軸回りの角度のずれ量はΔθである。
【0030】
次に図4から図7を参照しながらワイヤボンディング装置100の制御部30が実行する動作について説明する。尚、以下で説明する制御部30の動作は、制御部30のCPU31が行う動作である。
【0031】
ワイヤボンディング装置100の制御部30は、図4のステップS101に示すように、画像取得工程を実行する。制御部30は、最初にボンディングヘッド12を撮像位置に移動させる。図5に示すように、撮像位置は、カメラ19で右上の第1リード41の画像を取得できる位置である。ボンディングヘッド12を撮像位置に移動すると、図5中に破線の四角で示すカメラ19の視野20の中に、第1リード41のエッジ41Eと中心41Cが含まれる。制御部30は、ボンディングヘッド12を撮像位置に移動したらカメラ19で第1リード41の画像を取得し、取得した画像データをメモリ32に格納する。
【0032】
次に、制御部30は、ボンディングヘッド12を撮像位置から左下の第2リード42に向かって図5中の矢印91に示すように斜め左下方向に移動させる。矢印91の方向は、第1方向である。そして、制御部30は、カメラ19の視野20の中に、第1パッド51のエッジ51Eと中心51Cとが含まれる位置までボンディングヘッド12を移動させる。そして、制御部30は、カメラ19で第1パッド51の画像を取得し、取得した画像データをメモリ32に格納する。
【0033】
以下、同様に、制御部30は、カメラ19の視野20の中に、第2パッド52のエッジ52Eと中心52Cとが含まれる位置までボンディングヘッド12を移動させ、カメラ19で第2パッド52の画像を取得し、取得した画像データをメモリ32に格納する。その後、制御部30は、カメラ19の視野20の中に、第2リード42のエッジ42Eと中心42Cとが含まれる位置までボンディングヘッド12を移動させ、カメラ19で第2リード42の画像を取得し、取得した画像データをメモリ32に格納する。
【0034】
このように、制御部30は、ボンディングヘッド12を第1方向に移動させながら第1リード41の画像と、第1パッド51の画像と、第2パッド52の画像と、第2リード42の画像を順次取得する。第2リード42の画像を取得したら制御部30は、画像取得工程を終了する。
【0035】
制御部30は、図4のステップS102に進んで位置検出工程を実行する。最初に第1リード41の中心41Cの位置検出について説明する。制御部30は、メモリ32に格納した第1リード41の画像データを読み出し、第1リード41のエッジ41Eを検出する。例えば、制御部30は、画像の二値化処理等により、図5中に太線で示すように、第1リード41の右下の角部のエッジ41Eを検出する。エッジ41Eを検出すると、第1リード41の長辺方向と短辺方向とコーナーの位置が特定できる。第1リード41の外径寸法は既知であるから、エッジ41Eを検出すると、第1リード41の中心41CのXY座標(41X,41Y)を算出できる。
【0036】
同様に、制御部30は、第2リード42のエッジ42Eを検出し、第2リード42の中心42CのXY座標(42X,42Y)を算出する。
【0037】
次に、制御部30は、メモリ32に格納した第1パッド51の画像データ読み出し、第1リード41の場合と同様、第1パッド51のエッジ51Eを検出し、第1パッド51の中心51CのXY座標(51X,51Y)を算出する。同様に、制御部30は、メモリ32に格納した第2パッド52の画像データ読み出し、第2パッド52のエッジ52Eを検出し、第2パッド52の中心52CのXY座標(52X,52Y)を算出する。
【0038】
このように、制御部30は、画像取得工程で取得した各画像に基づいて第1リード41の中心41Cの位置と、第1パッド51の中心51Cの位置と、第2パッド52の中心52Cの位置と、第2リード42の中心42Cの位置とを算出したら位置検出工程を終了する。
【0039】
制御部30は、図4のステップS103に進んで、位置ずれ量算出工程を実行する。制御部30は、算出した第1リード41の中心41CのXY座標(41X,41Y)と、第2リード42の中心42CのXY座標(42X,42Y)に基づいて、基板40の接合位置中心48CのXY座標(48X,48Y)を算出する。同様に、制御部30は、第1パッド51との中心51CのXY座標(51X,51Y)と、第2パッド52の中心52CのXY座標(52X,52Y)に基づいて、半導体チップ50の中心50CのXY座標(50X,50Y)を算出する。そして、制御部30は、算出した接合位置中心48CのXY座標(48X,48Y)と中心50CのXY座標(50X,50Y)に基づいて、基板40の接合位置中心48Cに対する半導体チップ50の実接合位置の中心50CのXY方向の位置ずれ量ΔX、ΔYを算出する。
【0040】
また、制御部30は、第1パッド51との中心51CのXY座標(51X,51Y)と、第2パッド52の中心52CのXY座標(52X,52Y)に基づいて半導体チップ50の対角線81を特定する。同様に、制御部30は、第1リード41の中心41CのXY座標(41X,41Y)と第2リード42の中心42CのXY座標(42X,42Y)に基づいて、接合位置48の対角線82を特定する。そして、対角線81と対角線82との角度差を算出し、半導体チップ50のZ軸回りの角度のずれ量Δθとする。制御部30は、位置ずれ量ΔX、ΔY、Δθを算出したら、位置ずれ量算出工程を終了する。
【0041】
以上説明したように、第1リード41から第2リード42に向かって第1方向にボンディングヘッド12を移動させることにより、半導体チップ50の基板40に対するX、Y、θ方向の位置ずれ量ΔX、ΔY、Δθを検出することができる。
【0042】
制御部30は、図4のステップS104に進んで、画像再取得工程を実行する。制御部30は、図6に示すように、ボンディングヘッド12を第1の方向とは逆の第2の方向に向かって右上方向に移動させ、ボンディングヘッド12の位置を撮像位置まで戻す。図6中の矢印92は第2の方向を示す。ボンディングヘッド12が撮像位置に戻ると、カメラ19の視野20Aには、図5に示す視野20と同一の第1リード41の画像がとらえられるはずである。しかし、図6に示すように、撮像位置に戻った際の視野20Aの位置は図5に示す当初の撮像位置における視野20の位置に対してΔXS、ΔYSだけずれている。このずれは、XYテーブル11の第1方向の動作と第2方向の動作のヒステリシスに起因する。そこで、制御部30は、ボンディングヘッド12を撮像位置に戻した後、図6中の視野20Aで第1リード41の画像を再取得し、メモリ32に格納する。
【0043】
制御部30は、第1リード41の画像を再取得したら図4のステップS105に進んで修正位置ずれ量算出工程を実行する。制御部30は、再取得した画像をメモリ32から読み出して第1リード41の中心41Cの位置を再検出し、先に検出した第1リード41の中心41Cの位置と再検出した第1リード41の中心41Cの位置との検出位置差を算出する。図6に示すように、再検出した第1リード41の中心41C位置は、視野20Aのずれ量ΔXS、ΔYSだけずれる。従って、再検出した第1リード41の中心41CのXY方向の検出位置差はそれぞれΔXS、ΔYSとなる。
【0044】
次に、制御部30は、先に算出した基板40の接合位置中心48Cに対する半導体チップ50の実接合位置の中心50CのXY方向の位置ずれ量ΔX、ΔYに検出位置差ΔXS、ΔYSを加算或いは減算して、基板40の接合位置中心48Cに対する半導体チップ50の実接合位置の中心50CのXY方向の修正位置ずれ量ΔXA、ΔYAを、ΔXA=(ΔX+ΔXS)、ΔYA=(ΔY+ΔYS)、又はΔXA=(ΔX-ΔXS)、ΔYA=(ΔY-ΔYS)として算出する。制御部30は、修正位置ずれ量ΔXA、ΔYAの算出を行ったら修正位置ずれ量算出工程を終了する。
【0045】
制御部30は、図4のステップS106に進んで位置補正工程を実行する。制御部30は、基板40の接合位置中心48Cに対する半導体チップ50の実接合位置の中心50Cの修正位置ずれ量ΔXA、ΔYAと、半導体チップ50のZ軸回りの角度のずれ量Δθとに基づいて、半導体チップ50が接合位置48に正確に接合されていた場合の各パッド55の位置を補正して各パッド55の実位置を算出する。制御部30は、各パッド55の実位置を算出したら位置補正工程を終了する。
【0046】
制御部30は、位置補正工程が終了したら図4のステップS107に進んでボンディング工程を実行する。制御部30は、図7中の矢印93に示すように、各パッド55の実位置の中心にキャピラリ17の中心が位置するようにXYテーブル11でボンディングヘッド12を移動させる。そして、制御部30は、Z方向モータ25によりキャピラリ17を上下方向に駆動すると共に超音波振動子16でキャピラリ17を超音波振動させながらワイヤ23を各パッド55にボンディングする。その後、制御部30は、対応するリード45の上にキャピラリ17を移動してリード45の上にワイヤ23をボンディングする。このように、制御部30は、XYテーブル11と、Z方向モータ25を駆動して各パッド55と各リード45とをワイヤ23で順次接続していく。各パッド55と各リード45とをそれぞれワイヤ23で接続したら、制御部30はボンディング工程を終了する。
【0047】
以上説明したように、ワイヤボンディング装置100は、基板40の接合位置48に対する半導体チップ50の実接合位置の位置ずれ量ΔX、ΔY、Δθと、XYテーブル11のヒステリシスに起因する検出位置差ΔXS、ΔYSとに基づいて複数のパッド55の位置を補正してボンディングを行うので、ボンディング位置精度の向上を図ることができる。
【0048】
尚、以上説明したワイヤボンディング装置100の制御部30の動作は、ボンディング方法を実行するものでもある。
【0049】
以上の説明では、制御部30は、ボンディングヘッド12を図5中の矢印91に示すように斜め左下方向移動させることとして説明したがこれに限らない。例えば、左上から右下に向かって斜め右下方向に移動させてもよい。この場合、左上のリード45、パッド55がそれぞれ第1リード41、第1パッド51、右下のパッド55、リード45が第2パッド52、第2リード42となる。
【0050】
また、第1パッド51、第2パッド52は半導体チップ50の対角位置の各角部に配置されていることに限定されない。第1パッド51は一方側、例えば、上側に配置されており、第2パッド52が他方側、例えば、下側に配置されていてもよいし、右側と左側に配置されていてもよい。
【0051】
また、上記の説明では、制御部30は、画像取得工程、位置検出工程、位置ずれ量算出工程、画像再取得工程、修正位置ずれ量算出工程、位置補正工程、ボンディング工程の順に各工程を実行することとして説明したが、画像取得工程の後に画像再取得工程を実行し、その後、位置検出工程、位置ずれ量算出工程、修正位置ずれ量算出工程、位置補正工程、ボンディング工程の順に各工程を実行するようにしてもよい。
【0052】
次に、図8から図9を参照しながら、ワイヤボンディング装置100の他の動作について説明する。先に図4から図7を参照して説明した動作と同様の工程には同様の符号を付して説明は省略する。他の動作は、第1リード41の画像を再取得と修正位置ずれ量ΔXA、ΔYAの算出を行わず、ボンディングヘッド12を撮像位置に戻した後、撮像位置から第1の方向に向かってボンディングヘッド12を移動させ、キャピラリ17を開始パッド53の上に移動させてボンディングを行うものである。以下、説明する。
【0053】
図8のステップS201に示すように、制御部30は、位置ずれ量算出工程を実行したら、図4のステップS105の修正位置ずれ量算出工程を実行せずに、位置補正工程を実行する。図8のステップS201に示す位置補正工程は、検出位置差ΔXS、ΔYSを用いずに、基板40の接合位置48に対する半導体チップ50の実接合位置の位置ずれ量ΔX、ΔY、Δθに基づいて位置補正を行う。
【0054】
制御部30は、位置ずれ量ΔX、ΔY、Δθに基づいて、半導体チップ50が接合位置48に正確に接合されていた場合の各パッド55の位置を補正して各パッド55の実位置を算出する。制御部30は、各パッド55の実位置を算出したら位置補正工程を終了する。
【0055】
制御部30は、図8のステップS202に進んで、図6を参照して説明したと同様、ボンディングヘッド12を撮像位置に戻す。
【0056】
次に制御部30は、図9に示すように、ボンディングヘッド12を図9中に矢印91で示すように第1方向に再度移動させる。このようにボンディングヘッド12を第1方向に移動させると、キャピラリ17の中心は、図9中に示す矢印94のように、第1方向と平行な方向に移動する。矢印94は、キャピラリ17の中心の移動経路を示す。そして、制御部30は、図9のステップS203でキャピラリ17の中心が1つのパッド55の実位置に近接したら、そのパッド55を開始パッド53とし、開始パッド53の中心にキャピラリ17の中心を移動させる。そして、制御部30は、図9のステップS204で開始パッド53と対応するリード45との間をワイヤ23で接続し、その後、他のパッド55と対応するリード45とをそれぞれワイヤ23で接続していく。
【0057】
以上説明いたワイヤボンディング装置100の動作は、撮像位置から第1の方向に向かってボンディングヘッド12を開始パッド53の上に移動させること、及び、撮像位置から開始パッド53への移動距離が短くなることから、XYテーブル11のヒステリシスに起因する位置ずれが発生しにくくなる。これにより、第1リード41の画像を再取得と修正位置ずれ量ΔXA、ΔYAの算出を行わない場合でも、ボンディング位置精度の向上を図ることができる。
【0058】
以上、他の動作について説明したが、先に図4から図7を参照して説明した動作のボンディング工程においても、位置補正工程を実行した後、他の動作と同様、図9に示すように、撮像位置から第1の方向に向かってボンディングヘッド12を移動させ、キャピラリ17を開始パッド53の上に移動させてボンディングを行うようにしてもよい。
【0059】
この動作は、基板40の接合位置48に対する半導体チップ50の実接合位置の位置ずれ量ΔX、ΔY、Δθと、XYテーブル11のヒステリシスに起因する検出位置差ΔXS、ΔYSとに基づいて複数のパッド55の位置を補正することに加え、XYテーブル11のヒステリシスに起因する位置ずれが発生しにくくなるので、更に、ボンディング位置精度の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0060】
11 XYテーブル、12 ボンディングヘッド、13 ボンディングステージ、14 ボンディングアーム、14A 根元部、15 超音波ホーン、16 超音波振動子、17 キャピラリ、17Z 中心軸、18 ワイヤクランパ、19 カメラ、19A 鏡筒、19Z 光軸、20、20A 視野、22 スプール、23 ワイヤ、24 キャピラリ高さ検出器、25 Z方向モータ、25D 回転子、25S 固定子、28 回転軸、30 制御部、31 CPU、32 メモリ、40 基板、41 第1リード、41C、42C、50C、51C、52C 中心、41E、42E、51E、52E エッジ、42 第2リード、45 リード、48 接合位置、48C 接合位置中心、50 半導体チップ、51 第1パッド、52 第2パッド、53 開始パッド、55 パッド、81、82 対角線、100 ワイヤボンディング装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9