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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104136
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】乗用型湛水直播機
(51)【国際特許分類】
   A01C 7/20 20060101AFI20240726BHJP
   A01C 7/06 20060101ALI20240726BHJP
   A01C 15/00 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
A01C7/20 B
A01C7/06 B
A01C15/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008214
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 仁史
(72)【発明者】
【氏名】堀田 直岐
(72)【発明者】
【氏名】飛田 秀平
【テーマコード(参考)】
2B052
2B054
【Fターム(参考)】
2B052BA06
2B052BC05
2B052BC09
2B052BC14
2B052DB01
2B052EA02
2B052EA10
2B052EB02
2B054AA04
2B054BA01
2B054CA04
2B054CA07
2B054CB07
2B054DA09
(57)【要約】
【課題】従来の乗用型湛水直播機は種子タンクから繰り出し装置にて種子を繰り出して水田圃場に直播するので、播種間隔を一定に維持することが難しく、播種深さも安定し難いものであった。そこで、播種間隔が一定で播種深さも安定する乗用型湛水直播機を提供する。
【解決手段】シードテープ用湛水直播作業機4が接地フロート54上部に設けたリール支持フレーム51に支持されたテープリール51aからシードテープTを繰り出す繰り出し装置52と、該繰り出し装置52にて繰り出されたシードテープTを圃場まで案内するパイプ状の側面視でL字状のテープ案内体53と、該テープ案内体53の出口53bの後方位置に設けたシードテープTを保持するホルダー56及びシードテープTを切断するカッター57と、シードテープTを圃場に押し込む押込みローラ58を装備する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(2)に種子を所定間隔で封入したシードテープ(T)を圃場に設置して播種するシードテープ用湛水直播作業機(4)を装備した乗用型湛水直播機において、該シードテープ用湛水直播作業機(4)が接地フロート(54)上部に設けたリール支持フレーム(51)に支持されたテープリール(51a)からシードテープ(T)を繰り出す繰り出し装置(52)と、該繰り出し装置(52)にて繰り出されたシードテープ(T)を圃場まで案内するパイプ状の側面視でL字状のテープ案内体(53)と、該テープ案内体(53)の出口(53b)の後方位置に設けたシードテープ(T)を保持するホルダー(56)及びシードテープ(T)を切断するカッター(57)と、シードテープ(T)を圃場に押し込む押込みローラ(58)を装備したことを特徴とする乗用型湛水直播機。
【請求項2】
走行車体(2)の後側に昇降リンク装置(3)を介してシードテープ用湛水直播作業機(4)を昇降可能に装着し、走行車体(2)の操縦席(32)の後側に施肥装置(5)の肥料ホッパ(60)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の乗用型湛水直播機。
【請求項3】
走行車体(2)に種子を所定間隔で封入したシードテープ(T)を圃場に設置して播種するシードテープ用湛水直播作業機(4)を装備した乗用型湛水直播機において、該シードテープ用湛水直播作業機(4)が走行車体(2)の後部に設けたリール支持フレーム(51)に支持されたテープリール(51a)からシードテープ(T)を繰り出す繰り出し装置(52)と、走行車体(2)の後側に昇降リンク装置(3)を介して昇降可能に装着したフレーム(50’)に設けた接地フロート(54)、繰り出し装置(52)にて繰り出されたシードテープ(T)を圃場まで案内するパイプ状の側面視でL字状のテープ案内体(53)、該テープ案内体(53)の出口(53b)の後方位置に設けたシードテープ(T)を保持するホルダー(56)、シードテープ(T)を切断するカッター(57)及びシードテープ(T)を圃場に押し込む押込みローラ(58)を装備したことを特徴とする乗用型湛水直播機。
【請求項4】
走行車体(2)の操縦席(32)の左右側方に手摺を兼用した予備のテープリール(51a)を装着するリールホルダー(72)を設けたことを特徴とする請求項1または請求項3に記載の乗用型湛水直播機。
【請求項5】
等間隔で配置した種子(M)の間に肥料(F)を封入したシードテープ(T)であることを特徴とする請求項1または請求項3に記載の乗用型湛水直播機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行車体にシードテープ用湛水直播作業機を装着した乗用型湛水直播機に関する。
【背景技術】
【0002】
種子タンクから繰り出し装置にて種子を繰り出して水田圃場に直播する湛水直播作業機を装着した乗用型湛水直播機がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-097502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
種子タンクから繰り出し装置にて種子を繰り出して水田圃場に直播するので、播種間隔を一定に維持することが難しく、播種深さも安定し難いものであった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、播種間隔が一定で播種深さも安定する乗用型湛水直播機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、走行車体2に種子を所定間隔で封入したシードテープTを圃場に設置して播種するシードテープ用湛水直播作業機4を装備した乗用型湛水直播機において、該シードテープ用湛水直播作業機4が接地フロート54上部に設けたリール支持フレーム51に支持されたテープリール51aからシードテープTを繰り出す繰り出し装置52と、該繰り出し装置52にて繰り出されたシードテープTを圃場まで案内するパイプ状の側面視でL字状のテープ案内体53と、該テープ案内体53の出口53bの後方位置に設けたシードテープTを保持するホルダー56及びシードテープTを切断するカッター57と、シードテープTを圃場に押し込む押込みローラ58を装備した乗用型湛水直播機である。
【0007】
請求項2記載の発明は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介してシードテープ用湛水直播作業機4を昇降可能に装着し、走行車体2の操縦席32の後側に施肥装置5の肥料ホッパ60を設けた請求項1に記載の乗用型湛水直播機である。
【0008】
請求項3記載の発明は、走行車体2に種子を所定間隔で封入したシードテープTを圃場に設置して播種するシードテープ用湛水直播作業機4を装備した乗用型湛水直播機において、該シードテープ用湛水直播作業機4が走行車体2の後部に設けたリール支持フレーム51に支持されたテープリール51aからシードテープTを繰り出す繰り出し装置52と、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して昇降可能に装着したフレーム50’に設けた接地フロート54、繰り出し装置52にて繰り出されたシードテープTを圃場まで案内するパイプ状の側面視でL字状のテープ案内体53、該テープ案内体53の出口53bの後方位置に設けたシードテープTを保持するホルダー56、シードテープTを切断するカッター57及びシードテープTを圃場に押し込む押込みローラ58を装備した乗用型湛水直播機である。
【0009】
請求項4記載の発明は、走行車体2の操縦席32の左右側方に手摺を兼用した予備のテープリール51aを装着するリールホルダー72を設けた請求項1または請求項3に記載の乗用型湛水直播機である。
【0010】
請求項5記載の発明は、等間隔で配置した種子Mの間に肥料Fを封入したシードテープTである請求項1または請求項3に記載の乗用型湛水直播機である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明における実施の形態を示す乗用型湛水直播機の側面図である。
図2】本発明における実施の形態を示す乗用型湛水直播機のシードテープの側断面図である。
図3】本発明における第2実施形態を示す乗用型湛水直播機の側面図である。
図4】本発明における他の実施形態を示す乗用型湛水直播機のシードテープの側断面図である。
図5】本発明における他の実施形態を示す乗用型湛水直播機のシードテープの側断面図である。
図6】本発明における実施の形態を示す施肥装置付き乗用型田植機の作業説明用の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0013】
<全体構成>
図1は、本発明の一実施形態である乗用型湛水直播機1の側面図である。
【0014】
この乗用型湛水直播機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介してシードテープ用湛水直播作業機4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。なお、乗用型湛水直播機の前進方向に向かって左右方向をそれぞれ左、右といい、前進方向と後進方向をそれぞれ前、後という。
【0015】
<走行車体2>
図1に示すように、走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10,10及び左右一対の後輪11,11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13,13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13,13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に左右前輪10,10が各々取り付けられている。
【0016】
また、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギヤケース18,18がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース18,18から外向きに突出する後輪車軸に後輪11,11が取り付けられている。
【0017】
エンジン20は走行車体2前部に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置及びHST23を介してミッションケース12に伝達される。
【0018】
ミッションケース12に伝達された回転動力は、該ミッションケース12内のトランスミッションにより変速されたのち、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13,13に伝達されて前輪10,10を駆動すると共に、残りが後輪ギヤケース18,18に伝達されて後輪11,11を駆動する。また、外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた作業機クラッチケースに伝達され、それから作業機伝動軸26によってシードテープ用湛水直播作業機4へ伝動されるとともに、施肥伝動機構によって施肥装置5へ伝動される。
【0019】
エンジン20の上部、前部及び左右部は、ボンネット30に覆われている。ボンネット30の左右両側方及び後方には、フロアステップ31が設けられている。
【0020】
フロアステップ31は、メインフレーム15上に取り付けられる。フロアステップ31のうち、たとえば、操縦席32付近の一部などは作業者の靴などに付着した泥などを水田圃場に落とせるように、平面視において格子状に形成される。
【0021】
フロアステップ31の後部中央部は、凸状に形成されており、その上面に操縦席32が設けられている。
【0022】
フロアステップ31の後端部には、高く構成された左右後輪11,11のフェンダを兼ねるリヤステップ33が設けられている。
【0023】
ボンネット30の上部には各種操作機構を装備し、その上方に前輪10,10を操向操作するハンドル34が設けられている。
【0024】
昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41,41を備えている。これらリンク40,41,41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク43が連結されている。
【0025】
そして、縦リンク43の下端部にシードテープ用湛水直播作業機4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心としてシードテープ用湛水直播作業機4がローリング自在に連結されている。
【0026】
リンクベースフレーム42と縦リンク43との間に昇降油圧シリンダ46が設けられており、該シリンダ46を油圧で伸縮させることにより、昇降リンク装置3が上下に回動し、シードテープ用湛水直播作業機4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0027】
そして、走行車体2の前部左右両側には、左右線引きマーカ35,35が設けられている。
【0028】
<シードテープ用湛水直播作業機4>
シードテープ用湛水直播作業機4は6条播種の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース50に基部が固定された6つのリール支持フレーム51を左右方向に等間隔(各播種条に対応した間隔)で設けている。
【0029】
該各リール支持フレーム51には、シードテープTを巻回したテープリール51aが遊転自在に支持されている。
【0030】
図2に示すように、シードテープTは、紙製のテープに等間隔で種籾(種子)Mを挟み込んだ(封入した)一般的なものである。
【0031】
また、伝動ケース50には、シードテープTを繰り出す駆動ロール52aと従動ロール52bからなる繰り出し装置52が各リール支持フレーム51の下方位置に各々設けられている。
【0032】
そして、各繰り出し装置52の下方位置には、パイプ材にて構成される側面視でL字状のテープ案内体53が各々設けられている。
【0033】
テープ案内体53は、上端部がシードテープTを案内しやすいようにラッパ状に入口側が開いた入口53aとなっており、下端部がL字状に後方に向けて折れ曲がり、後端が出口53bとなっている。
【0034】
伝動ケース50の下方には、3つの接地フロート54が左右方向に配置されている。
【0035】
3つの接地フロート54は、各々後部が左右方向の枢支軸55aで枢支され、前部が遊動リンク55bで支持され、前部が上下動自在となっている。
【0036】
テープ案内体53は、3つの接地フロート54の左右側方位置に配置され、L字状に後方に向けて折れ曲がった下端部が後方に向けて延びて後端の出口53bが枢支軸55a下方位置になる構成としている。
【0037】
各テープ案内体53の出口53bの後方位置には、出口53bから出てくるシードテープTを保持するホルダー56が各々設けられ、該各ホルダー56の後方位置にはカッター57が各々設けられ、該各カッター57の後方位置には押込みローラ58が各々設けられている。
【0038】
ホルダー56は、基部が接地フロート54の枢支軸55a近傍に支持され、下端部にホルダー用電磁ソレノイドにて開閉する開口が設けられており、テープ案内体53の出口53bから出てくるシードテープTが該開口を通って後方の圃場面に敷設される。
【0039】
カッター57は、基部が接地フロート54の枢支軸55a近傍に枢支され、先端刃部がシードテープT上面に臨んでおり、カッター作動用電磁ソレノイドにて下動してシードテープTを切断する。
【0040】
即ち、ボンネット30上部に設けた昇降レバーが昇降油圧シリンダ46を作動させてシードテープ用湛水直播作業機4を非作業位置に上昇させるように操作されると(または、シードテープ用湛水直播作業機4の駆動を切る操作がされると)、繰り出し装置52の駆動が停止すると同時に、電磁ソレノイドにて開口が閉じてシードテープTを保持し、カッター作動用電磁ソレノイドにてカッター57が下動してシードテープTを切断する。
【0041】
よって、昇降レバーの操作にてシードテープ用湛水直播作業機4を圃場に接地した播種作業状態から非作業位置に上昇させると(または、シードテープ用湛水直播作業機4の駆動が切られると)、電磁ソレノイドにて開口が閉じてシードテープTを保持し、カッター作動用電磁ソレノイドにてカッター57が下動してシードテープTを切断するので、適切に播種作業を停止できる。
【0042】
また、昇降レバーが昇降油圧シリンダ46を作動させてシードテープ用湛水直播作業機4を播種作業位置に下降させるように操作されると(または、シードテープ用湛水直播作業機4の駆動が入れられると)、繰り出し装置52の駆動が開始すると同時に、電磁ソレノイドにて開口が開いてシードテープTを圃場面に設置する状態となり、適切に播種作業を開始できる。
【0043】
押込みローラ58は、基部が接地フロート54の枢支軸55a近傍に枢支された支持アーム58aの後端部に遊転自在に枢支され、接地フロート54底面から所定距離だけ下方に位置するようにスプリングにて付勢されている。
【0044】
また、押込みローラ58の外周面には、凸部58bが等間隔で設けられており、圃場面に設置されたシードテープTを上から圃場内に押し込んで埋設して適正深さに播種を行なうと共に、適切な覆土が行なえる。
【0045】
そして、3つの接地フロート54は、シードテープ用湛水直播作業機4の下部左右中央に設けたセンターフロート54aとその左右両側に設けた左右サイドフロート54b,54bにて構成される。これらフロート54a,54b,54bを圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート54a,54b,54bが泥面を整地しつつ滑走する。
【0046】
各フロート54a,54b,54bは圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、播種作業時にはセンターフロート54aの前部の上下動が迎角制御センサ(図示せず)により検出され、その検出結果に応じ前記昇降油圧シリンダ46を制御する油圧バルブを切り替えてシードテープ用湛水直播作業機4を昇降させることにより、シードテープTの埋設深さ(播種深さ)を常に一定に維持する。
【0047】
<施肥装置5>
施肥装置5は、走行車体2の操縦席32の後側に設けた肥料ホッパ60に貯留されている粒状の肥料を繰出部61によって一定量ずつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62でフロート54a,54b,54bの左右両側に取り付けた施肥ガイド63まで導き、施肥ガイド63の前側に設けた作溝体によって播種条の側部近傍に形成される施肥構内に落とし込むようになっている。
【0048】
ブロア用電動モータで駆動するブロアで発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバ64を経由して施肥ホース62に吹き込まれ、施肥ホース62内の肥料を風圧で強制的に搬送するようになっている。
【0049】
各施肥ガイド63は、各テープ案内体53の出口53bの側方位置に設けられているので、各テープ案内体53の出口53bから出て圃場面に設置されるシードテープTの側方に所定距離離れた位置に適切に施肥することができる。
【0050】
また、各テープ案内体53の出口53b及び各施肥ガイド63は、3つの接地フロート54の枢支軸55aの前後方向で同じ位置または近傍位置に設けられているので、3つの接地フロート54前部が上下動しても播種深さ及び施肥深さの変動が少なくて適切な播種及び施肥が行なえる。
【0051】
以上要するに、乗用型湛水直播機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介してシードテープ用湛水直播作業機4を昇降可能に装着し、走行車体2の操縦席32の後側に施肥装置5の肥料ホッパ60を設け、シードテープ用湛水直播作業機4の接地フロート54上方にテープリール51aを装着するリール支持フレーム51及びシードテープTを繰り出す繰り出し装置52を設け、その下方に側面視でL字状のシードテープTを案内するテープ案内体53を設け、該テープ案内体53後端のシードテープTの出口53bの後方にシードテープTを保持するホルダー56を設け、該ホルダー56の後方位置にカッター57を設け、該カッター57の後方位置にシードテープTを圃場に押込む押込みローラ58を設けた構成としている。
【0052】
従って、播種深さが安定し一定距離の点播が行なえ、覆土性能も上がり作業性の向上が図れる。更に、前後バランスが良いので、施肥装置5の肥料ホッパ60の大容量化が図れる。
【0053】
また、シードテープTを案内するテープ案内体53を側面視でL字状に後方向いて構成することによりシードテープTが作業中に湿気ることを防止して詰まりを防止できる。
【0054】
<他の実施形態>
【0055】
(1)図3は、テープリール51aを走行車体2の操縦席32の後側に装着する第2実施形態を示す。
【0056】
即ち、走行車体2の操縦席32の後側で左右後輪11,11の上方位置にテープリール51aを装着する支持フレーム70を設け、該支持フレーム70の上部に基部が固定された6つのリール支持フレーム51を左右方向に等間隔(各播種条に対応した間隔)で設けている。
【0057】
該各リール支持フレーム51には、シードテープTを巻回したテープリール51aが遊転自在に支持されている。
【0058】
また、支持フレーム70には、作業機クラッチケースから作業機伝動軸26によって伝達される駆動力にて作動するシードテープTを繰り出す駆動ロール52aと従動ロール52bからなる繰り出し装置52が各リール支持フレーム51の下方位置に各々設けられている。
【0059】
そして、各繰り出し装置52の下方位置には、パイプ材にて構成される側面視でL字状のテープ案内体53の入口53aと連通する屈曲自在の合成樹脂製の案内ホース71を設けている。
【0060】
案内ホース71は、支持フレーム70とテープ案内体53に着脱自在に設けられており、繰り出し装置52にて繰り出されるシードテープTが案内ホース71内を案内されてテープ案内体53の入口53aからテープ案内体53内に移動する。
【0061】
なお、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して昇降可能に設けたフレーム50’にテープ案内体53、接地フロート54、ホルダー56、カッター57及び押込みローラ58が前記第1実施形態と同様に設けられている。
【0062】
以上要するに、走行車体2の操縦席32の後側で左右後輪11,11の上方位置にシードテープ用湛水直播作業機4の支持フレーム70、リール支持フレーム51、テープリール51a及び繰り出し装置52等の播種作業の主要部を設けたので、テープリール51aのシードテープTの使用による機体バランスの崩れが少なく、昇降リンク装置3にて昇降動する作業部の軽量化が図れて播種性能が向上する。
【0063】
そして、操縦席32の左右側方には、逆U字状の手摺を兼用したリールホルダー72が設けられ、該リールホルダー72に予備のテープリール51aを装着している。
【0064】
従って、走行車体2への乗降時やシードテープ用湛水直播作業機4への作業時に、リールホルダー72を手摺として利用して容易に且つ安全に走行車体2への乗降やシードテープ用湛水直播作業機4への作業が行なえる。
【0065】
また、操縦席32の左右側方にリールホルダー72を設けて予備のテープリール51aを装着しているので、機体の前後バランスが良くて良好な播種作業が行なえる。
【0066】
更に、走行車体2前部の左右両側にリールホルダー72が設けられ、該リールホルダー72に予備のテープリール51aを装着している。
【0067】
従って、走行車体2前部を畦や道路につけてテープリール51aを車体に搭載する際に、容易に効率よく走行車体2前部の左右両側のリールホルダー72にテープリール51aを装着できる。
【0068】
なお、上記の予備のテープリール51aを装着するリールホルダー72は、図1に示す実施形態1に用いても良い。
【0069】
そして、第2実施形態は、施肥装置を設けていないので、シードテープTに肥料を封入したものを用いている。
【0070】
即ち、図4に示すように、シードテープTは、紙製のテープに等間隔で種籾(種子)Mを挟み込み、該種籾Mの前後に所的距離あけて肥料Fを挟み込んで形成している。
【0071】
または、図5に示すように、シードテープTは、紙製のテープに等間隔で種籾(種子)Mを挟み込み、隣接する種籾Mの中間位置に肥料Fを挟み込んで形成している。
【0072】
従って、シードテープ用湛水直播作業機4がシードテープTを圃場に埋設して播種作業を行なうと同時に施肥作業が行なえて作業効率が良く、シードテープTには種籾間の中間に肥料が封入されているので、肥料位置が安定し肥料効果の促進及び肥料施肥量の減少化が図れ、条間部分に肥料が無いため播種作業後の肥培管理がしやすくなる(条間に肥料がないので、肥料を踏まない)。
【0073】
なお、上記の種籾間に肥料を封入したシードテープTを図1に示す実施形態1に用いれば、施肥装置5が不要となる。
【0074】
(2)図6は、施肥装置付き乗用型田植機80にて往復工程で苗植付作業及び施肥作業を行なって、最後に枕地で苗植付作業及び施肥作業を行なう際の作業説明用の概略図である。
【0075】
施肥装置付き乗用型田植機80は、圃場中央部81でGPSによる直進アシスト制御により直進で苗植付作業及び施肥作業を行なって枕地82で旋回する往復工程の作業を行ない、最後に、枕地を畦に沿って圃場中央部81で往復工程での進行方向と直行する方向に苗植付作業及び施肥作業を行なう。
【0076】
枕地植では、施肥装置付き乗用型田植機80の圃場中央側が圃場中央部81の往復工程での苗植付作業及び施肥作業の端部と重なるように作業をするので、施肥装置付き乗用型田植機80の圃場中央側で施肥作業が重なり肥料過剰となって、肥料の無駄及び肥料過剰による苗の倒伏等の障害が発生していた。
【0077】
そこで、枕地植を行なう際に、施肥装置付き乗用型田植機80は、GPSにて往復工程での進行方向と直行する方向に機体が進行して作業を行なうことを検出すると、自動的に施肥装置付き乗用型田植機80の圃場中央側2条分の施肥クラッチを切って圃場中央側2条分の施肥を行なわないように制御する。
【0078】
なお、施肥装置付き乗用型田植機80の圃場中央側を認識するには、施肥装置付き乗用型田植機80にカメラを設けて、圃場に植付けられている苗Nを検出し、苗Nを検出した側を圃場中央側と判断して、圃場中央側2条分の施肥クラッチを切る。
【0079】
従って、施肥区域が重ならないように枕地植時は、圃場内側の施肥クラッチのみを自動で切ることで、過剰な施肥を防止し、肥料ロス、倒伏の軽減を行うことができる。
【符号の説明】
【0080】
2 走行車体
3 昇降リンク装置
4 シードテープ用湛水直播作業機
5 施肥装置
32 操縦席
50’ フレーム
51 リール支持フレーム
51a テープリール
52 繰り出し装置
53 テープ案内体
54 接地フロート
56 ホルダー
57 カッター
58 押込みローラ
60 肥料ホッパ
72 リールホルダー
F 肥料
M 種子
T シードテープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6