(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104143
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】無線モジュール
(51)【国際特許分類】
H04B 1/38 20150101AFI20240726BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240726BHJP
H05K 7/14 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
H04B1/38
H05K7/20 B
H05K7/14 M
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008226
(22)【出願日】2023-01-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】重松 宜彰
(72)【発明者】
【氏名】森 正男
(72)【発明者】
【氏名】小林 聖
(72)【発明者】
【氏名】須藤 勇気
【テーマコード(参考)】
5E322
5E348
5K011
【Fターム(参考)】
5E322AA03
5E322AB01
5E322AB07
5E322FA04
5E348AA08
5E348CC08
5E348CC09
5E348EH03
5E348FF10
5K011AA06
5K011AA13
5K011AA16
(57)【要約】
【課題】基板と筐体との位置関係がばらついても放熱シートの薄型化が可能な無線モジュールを提供する。
【解決手段】無線モジュールは、ミリ波帯の高周波信号を送受信するアンテナを有し、前記アンテナに電流を供給する第1高温素子が実装された第1基板と、互いに組み合わされたカバーおよびケースを有し、前記第1基板を収容する筐体と、を備え、前記第1基板は、前記ケースと前記カバーとが対向する対向方向において前記カバーと接触しており、前記ケースは、前記第1高温素子に向けて突出する第1放熱部を有し、前記対向方向における前記第1放熱部と前記第1高温素子との間には、第1放熱シートが設けられ、前記カバーと前記第1放熱部とは、前記第1放熱シートおよび前記第1基板を前記対向方向に圧縮している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミリ波帯の高周波信号を送受信するアンテナを有し、前記アンテナに高周波信号を供給する第1高温素子が実装された第1基板と、
互いに組み合わされたカバーおよびケースを有し、前記第1基板を収容する筐体と、を備え、
前記カバーには、前記アンテナが送受信する電磁波を通過させる通過部が設けられ、
前記第1基板は、前記ケースと前記カバーとが対向する対向方向において前記カバーと接触しており、
前記ケースは、前記第1高温素子に向けて突出する第1放熱部を有し、
前記対向方向における前記第1放熱部と前記第1高温素子との間には、第1放熱シートが設けられ、
前記カバーと前記第1放熱部とは、前記第1放熱シートおよび前記第1基板を前記対向方向に圧縮している、
無線モジュール。
【請求項2】
前記第1基板に設けられる部品のうち第1高温素子以外の部品は、前記ケースに対して放熱しない、
請求項1に記載の無線モジュール。
【請求項3】
前記カバーおよび前記ケースは、金属によって形成されている、
請求項1または2に記載の無線モジュール。
【請求項4】
前記第1高温素子は、前記ケースと、前記第1基板のGNDと、によって囲まれている、
請求項3に記載の無線モジュール。
【請求項5】
前記対向方向から見て、前記第1放熱シートの面積は、前記第1高温素子の面積よりも小さい、
請求項1または2に記載の無線モジュール。
【請求項6】
前記対向方向から見て、前記第1放熱部の先端面の面積は、前記第1放熱シートの面積よりも大きい、
請求項1または2に記載の無線モジュール。
【請求項7】
前記第1放熱部は、前記ケースから前記第1高温素子に向かう向きにおいて漸次断面積が小さくなるテーパ形状を有したテーパ部を含む、
請求項1または2に記載の無線モジュール。
【請求項8】
前記ケースのうち前記第1基板と接触している部位は、前記アンテナのフレネルゾーンと干渉していない、
請求項1または2に記載の無線モジュール。
【請求項9】
前記第1放熱シートは、電波吸収性を有する、
請求項1または2に記載の無線モジュール。
【請求項10】
前記高周波信号よりも低い周波数のベースバンド信号を扱う第2基板をさらに備え、
前記筐体は、前記第1基板および前記第2基板を収容する、
請求項1または2に記載の無線モジュール。
【請求項11】
前記第2基板には、前記第1高温素子にベースバンド信号を供給する第2高温素子が実装され、
前記ケースは、前記第2高温素子に向けて突出する第2放熱部を有し、
前記対向方向における前記第2放熱部と前記第2高温素子との間には、第2放熱シートが設けられている、
請求項10に記載の無線モジュール。
【請求項12】
前記第2放熱シートは、前記第1放熱シートよりも厚い、
請求項11に記載の無線モジュール。
【請求項13】
前記第1基板は、前記カバーに固定されており、
前記第2基板は、前記ケースに固定されている、
請求項10に記載の無線モジュール。
【請求項14】
前記第2基板には、外部端子が設けられ、
前記第1基板または前記第2基板に設けられる部品のうち前記アンテナおよび前記外部端子以外の部品は、前記対向方向において、前記ケースおよび前記カバーの間に位置し、
前記第1基板または前記第2基板に設けられる部品のうち前記アンテナおよび前記外部端子以外の部品は、前記対向方向から見て、前記ケースおよび前記カバーの双方と重なっている、
請求項10に記載の無線モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板と、放熱シートと、基板および放熱シートを収容する筐体と、を備える無線モジュールが開示されている。基板には、アンテナと、アンテナに電流を供給する給電素子(RFIC)と、が実装されている。放熱シートは、給電素子(高温素子)から熱を吸収し、吸収した熱を筐体に放出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、ミリ波帯のRF信号は空間損失が大きい。このため、RF信号を扱う給電素子は、高い出力で動作することが求められる。ここで、給電素子の出力が大きくなるほど、給電素子の発熱量は増加する。このため、ミリ波帯のRF信号を扱う給電素子を用いるうえでは、放熱効率を高めるため、薄い放熱シートを使用することが好ましい。しかしながら、特許文献1に記載の構造では、基板の反り等の原因により、基板と筐体との位置関係がばらつく可能性がある。このため、薄い放熱シートを使用すると、放熱シートと基板との間、または、放熱シートと筐体との間に隙間が生じ、給電素子からの放熱を十分に行えない可能性がある。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされ、基板と筐体との位置関係がばらついても放熱シートの薄型化が可能な無線モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の態様1に係る無線モジュールは、ミリ波帯の高周波信号を送受信するアンテナを有し、前記アンテナに高周波信号を供給する第1高温素子が実装された第1基板と、互いに組み合わされたカバーおよびケースを有し、前記第1基板を収容する筐体と、を備え、前記カバーには、前記アンテナが送受信する電磁波を通過させる通過部が設けられ、前記第1基板は、前記ケースと前記カバーとが対向する対向方向において前記カバーと接触しており、前記ケースは、前記第1高温素子に向けて突出する第1放熱部を有し、前記対向方向における前記第1放熱部と前記第1高温素子との間には、第1放熱シートが設けられ、前記カバーと前記第1放熱部とは、前記第1放熱シートおよび前記第1基板を前記対向方向に圧縮している。
【0007】
本発明の態様1によれば、第1放熱シートを薄型化した際に、第1基板の反り等に起因して第1基板と筐体との位置関係がばらついても、カバーおよびケースの圧縮力によって、第1放熱シートを第1高温素子および第1放熱部に接触させることができる。これにより、第1放熱シートによって、第1高温素子からケースに放熱することができる。
【0008】
また、本発明の態様2は、態様1の無線モジュールにおいて、前記第1基板に設けられる部品のうち第1高温素子以外の部品は、前記ケースに対して放熱しない。
【0009】
また、本発明の態様3は、態様1または態様2の無線モジュールにおいて、前記カバーおよび前記ケースは、金属によって形成されている。
【0010】
また、本発明の態様4は、態様3の無線モジュールにおいて、前記第1高温素子は、前記ケースと、前記第1基板のGNDと、によって囲まれている。
【0011】
また、本発明の態様5は、態様1から態様4のいずれか一つの無線モジュールにおいて、前記対向方向から見て、前記第1放熱シートの面積は、前記第1高温素子の面積よりも小さい。
【0012】
また、本発明の態様6は、態様1から態様5のいずれか一つの無線モジュールにおいて、前記対向方向から見て、前記第1放熱部の先端面の面積は、前記第1放熱シートの面積よりも大きい。
【0013】
また、本発明の態様7は、態様1から態様6のいずれか一つの無線モジュールにおいて、前記第1放熱部は、前記ケースから前記第1高温素子に向かう向きにおいて漸次断面積が小さくなるテーパ形状を有したテーパ部を含む。
【0014】
また、本発明の態様8は、態様1から態様7のいずれか一つの無線モジュールにおいて、前記ケースのうち前記第1基板と接触している部位は、前記アンテナのフレネルゾーンと干渉していない。
【0015】
また、本発明の態様9は、態様1から態様8のいずれか一つの無線モジュールにおいて、前記第1放熱シートは、電波吸収性を有する。
【0016】
また、本発明の態様10は、態様1から態様9のいずれか一つの無線モジュールにおいて、前記高周波信号よりも低い周波数のベースバンド信号を扱う第2基板をさらに備え、前記筐体は、前記第1基板および前記第2基板を収容する。
【0017】
また、本発明の態様11は、態様10の無線モジュールにおいて、前記第2基板には、前記第1高温素子にベースバンド信号を供給する第2高温素子が実装され、前記ケースは、前記第2高温素子に向けて突出する第2放熱部を有し、前記対向方向における前記第2放熱部と前記第2高温素子との間には、第2放熱シートが設けられている。
【0018】
また、本発明の態様12は、態様11の無線モジュールにおいて、前記第2放熱シートは、前記第1放熱シートよりも厚い。
【0019】
また、本発明の態様13は、態様10から態様12のいずれか一つの無線モジュールにおいて、前記第1基板は、前記カバーに固定されており、前記第2基板は、前記ケースに固定されている。
【0020】
また、本発明の態様14は、態様10から態様13のいずれか一つの無線モジュールにおいて、前記第2基板には、外部端子が設けられ、前記第1基板または前記第2基板に設けられる部品のうち前記アンテナおよび前記外部端子以外の部品は、前記対向方向において、前記ケースおよび前記カバーの間に位置し、前記第1基板または前記第2基板に設けられる部品のうち前記アンテナおよび前記外部端子以外の部品は、前記対向方向から見て、前記ケースおよび前記カバーの双方と重なっている。
【発明の効果】
【0021】
本発明の上記態様によれば、基板と筐体との位置関係がばらついても放熱シートの薄型化が可能な無線モジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係る無線モジュールを示す斜視図である。
【
図2】
図1に示すII-II線に沿う断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るケースを示す斜視図である。
【
図4】
図2に示す第1基板を、矢視IVから見る図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る第1給電素子の構造の一例を示す図である。
【
図7】アンテナと通過部との好ましい位置関係を示す図である。
【
図9A】本発明の実施形態に係る無線モジュールを組み立てる方法の一例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係る無線モジュールについて図面に基づいて説明する。
【0024】
図1および
図2に示すように、本実施形態に係る無線モジュール1は、第1基板10と、第2基板20と、筐体Cと、を備える。筐体Cは、カバー30と、ケース40と、を有する。カバー30とケース40とは、筐体Cの厚み方向において、互いに組み合わされている。筐体Cは、第1基板10および第2基板20を収容する。本実施形態に係る筐体Cは、筐体Cの厚み方向から見た平面視において、略長方形状の外形を有する。筐体C(カバー30およびケース40)は、例えばアルミやステンレス等の金属によって形成されている。第1基板10は、複数のアンテナAを有する。各アンテナAは、ミリ波帯の高周波信号(RF信号)を送受信する。
【0025】
(方向定義)
ここで、本実施形態では、カバー30とケース40とが互いに対向する方向を、対向方向Xと称する。本実施形態において、対向方向Xは、筐体Cの厚み方向でもある。以下、対向方向Xから見ることを、平面視と称する。対向方向Xに交差する(例えば、直交する)一方向を、第1方向Yと称する。本実施形態において、第1方向Yは、平面視で筐体Cの短辺が延びる方向でもある。対向方向Xおよび第1方向Yの双方に交差する(例えば、直交する)方向を、第2方向Zと称する。本実施形態において、第2方向Zは、平面視で筐体Cの長辺が延びる方向でもある。また、対向方向Xに沿って、ケース40からカバー30に向かう向きを、正面側と称し、図において+Xの向きで表す。対向方向Xに沿って、カバー30からケース40に向かう向きを、背面側と称し、図において-Xの向きで表す。第1方向Yに沿う一方の向きを、右方と称し、図において+Yの向きで表す。+Yの向きとは反対の向きを、左方と称し、図において-Yの向きで表す。第2方向Zに沿う一方の向きを、上方と称し、図において+Zの向きで表す。+Zの向きとは反対の向きを、下方と称し、図において-Zの向きで表す。
【0026】
図1に示すように、本実施形態に係るカバー30は、板部30aと、梁部30bと、2つの通過部31と、端子孔32と、を有する。板部30aは、第1方向Yおよび第2方向Zに延在する板状の形状を有する。
【0027】
通過部31は、アンテナAが送受信する電磁波を通過させる部位である。言い換えれば、通過部31は、電磁波がカバー30(板部30a)と電磁的に干渉することを防ぐ部位である。
図1および
図2に示すように、本実施形態に係る通過部31は、板部30aを対向方向Xに貫通する孔(開口)である。本実施形態において、2つの通過部31は、第2方向Zに間隔を空けて配されている。以下、2つの通過部31を、各々、第1通過部31Aおよび第2通過部31Bと称する。第1通過部31Aは、第2通過部31Bよりも上方に位置する。ただし、通過部31は貫通孔(開口)に限らない。カバー30においてアンテナAが送受信する電磁波を通過させることができれば、通過部31の構成は適宜変更可能である。
【0028】
図1に示すように、2つの通過部31の位置は、第1基板10が有する2つのアンテナ群G1、G2(後述)の位置に対応している。つまり、第1通過部31Aの位置は、第1アンテナ群G1の位置に対応し、第2通過部31Bの位置は、第2アンテナ群G2の位置に対応している。
【0029】
梁部30bは、カバー30のうち、2つの通過部31の間に位置する部位である。本実施形態に係る梁部30bは、第1方向Yにおいて直線状に延びている。梁部30bは、2つの通過部31を第2方向Zにおいて隔てている。
図2に示すように、梁部30bは、対向方向Xにおいて第1基板10と接触している。
【0030】
図1に示すように、本実施形態に係る端子孔32は、カバー30(板部30a)の下端部に設けられている。端子孔32は、板部30aを対向方向Xに貫通するとともに、下方に向けて開口している。端子孔32は、第2基板20に設けられた外部端子22(後述)の位置に対応している。
【0031】
図2および
図3に示すように、本実施形態に係るケース40は、基部41と、周壁部42と、仕切部43と、第1放熱部44と、第2放熱部45と、複数(図示の例においては4つ)の台座部46と、を有する。
図3に示すように、基部41は、第1方向Yおよび第2方向Zに延在する板状の形状を有する。
【0032】
周壁部42は、基部41の外周縁から正面側(+X側)に向けて延びている。言い換えれば、周壁部42は、基部41の外周縁に立設されている。本実施形態に係る周壁部42は、平面視において、上側(+Z側)に向けて凸となるU字状の形状を有する。具体的に、本実施形態に係る周壁部42は、頂部42aと、一対の側部42bと、を含む。頂部42aは、基部41の上側(+Z側)短辺に沿って延びている。各側部42bは、基部41の長辺に沿って延びている。
【0033】
仕切部43は、基部41の中央部に立設されている。また、仕切部43は、第1方向Yに延びており、一対の側部42bの中央部同士を結んでいる。これにより、仕切部43は、基部41と周壁部42とによって囲まれる空間を、上側空間SP1と下側空間SP2とに仕切っている。上側空間SP1は、仕切部43の上側(+Z側)に位置する空間である。上側空間SP1は、頂部42aと、一対の側部42bと、仕切部43と、によって囲まれている。下側空間SP2は、仕切部43の下側(-Z側)に位置する空間である。下側空間SP2は、一対の側部42bと、仕切部43と、によって囲まれている。
【0034】
図3に示すように、第1放熱部44は、平面視において、上側空間SP1の中央部に位置している。第1放熱部44は、基部41から正面側(+X側)に向けて突出した形状を有する。具体的に、本実施形態に係る第1放熱部44は、接触部44aおよびテーパ部44bを含む。テーパ部44bは、基部41の正面側端面(+X側面)に設けられている。テーパ部44bは、背面側(-X側)から正面側(+X側)に向かう向きにおいて漸次断面積が小さくなるテーパ形状を有する。接触部44aは、テーパ部44bの先端部に設けられている。
図2に示すように、接触部44aの先端面には、第1放熱シート61が接触する。
【0035】
図3に示すように、第2放熱部45は、平面視において、下側空間SP2の中央部に位置している。第2放熱部45は、基部41から正面側(+X側)に向けて突出した形状を有する。本実施形態においては、
図2に示すように、第2放熱部45が基部41から突出する突出量が、第1放熱部44が基部41から突出する突出量よりも小さい。言い換えれば、対向方向Xにおいて、第2放熱部45の先端面(正面側端面、+X側面)と基部41との間の距離は、第1放熱部44の先端面(正面側端面、+X側面)と基部41との間の距離よりも、短い。
図2に示すように、第2放熱部45の先端面には、第2放熱シート62が接触する。
【0036】
図3に示すように、4つの台座部46は、平面視において、下側空間SP2が有する4つの角部に位置している。各台座部46は、基部41から正面側(+X側)に向けて突出した形状を有する。台座部46が基部41から突出する突出量は、周壁部42が基部41から突出する突出量よりも小さい。言い換えれば、対向方向Xにおいて、台座部46の先端面(正面側端面、+X側面)と基部41との間の距離は、周壁部42の先端面(正面側端面、+X側面)と基部41との間の距離よりも、短い。
図2に示すように、台座部46の先端面には、第2基板20が接触する。
【0037】
図4に示すように、第1基板10には、第1給電素子(第1高温素子)11が実装されている。本実施形態において、複数のアンテナAは、第1アンテナ群G1および第2アンテナ群G2を含む2つのアンテナ群を構成する。第1アンテナ群G1および第2アンテナ群G2は、第2方向Zにおいて第1給電素子11を間に挟むように配されている。
【0038】
第1アンテナ群G1に属する各アンテナAは、例えば、無線モジュール1の外部へと電磁波を送信する送信用アンテナである。第2アンテナ群G2に属する各アンテナAは、例えば、無線モジュール1の外部から電磁波を受信する受信用アンテナである。なお、各アンテナAの配置および機能は適宜変更可能である。例えば、第1アンテナ群G1に属する各アンテナAが受信用アンテナであって、第2アンテナ群G2に属する各アンテナAが送信用アンテナであってもよい。また、無線モジュール1は1つまたは3つ以上のアンテナ群を有していてもよい。
【0039】
第1給電素子11は、各アンテナAに高周波信号(RF信号)を供給する。具体的に、第1給電素子11は、後述する信号層L1等を通じて、各アンテナAに高周波信号(RF信号)を供給する。第1給電素子11としては、例えばRFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)等を用いることができる。第1基板10は、RFIC基板やRF基板とも称される。詳細な図示は省略するが、第1基板10には、第1給電素子11およびアンテナA以外の周辺部品が実装されていてもよい。
【0040】
図5は、第1給電素子11の構造の一例を示す図である。図示の例に示す第1給電素子11は、ファンアウトパッケージ構造を有する。具体的に、第1給電素子11は、本体部14と、再配線層15と、複数のはんだバンプ16と、封止樹脂17と、を有する。
【0041】
本体部14は、高周波信号(RF信号)を処理する。本体部14の正面側(+X側)端面には、複数の端子14aが設けられている。封止樹脂17は、本体部14を、背面側(-X側)と、対向方向Xに交差する方向(すなわち、第1方向Yおよび第2方向Z)と、から覆っている。再配線層15は、本体部14および封止樹脂17の正面側(+X側)に積層されている。再配線層15は、例えば絶縁層である。複数のはんだバンプ16は、再配線層15に形成されている。はんだバンプ16は、再配線層15の正面側(+X側)端面に露出している。端子14aとはんだバンプ16とは、再配線層15に設けられた不図示の導体(再配線)によって電気的に接続されている。詳細な図示は省略するが、各はんだバンプ16が第1基板10に接合されることにより、第1給電素子11が第1基板10に実装されている。なお、封止樹脂17は、本体部14の背面側(-X側)を覆っていなくてもよい。この場合、本体部14からの放熱を促進することができる。
【0042】
図2および
図6に示すように、本実施形態に係る第1基板10は、主部10Aと補強部10Bとが対向方向Xにおいて積層された構造を有する。
図2および
図6に示すように、補強部10Bは、主部10Aの正面側(+X側)に積層されている。上述した第1給電素子11は、
図2に示すように、主部10Aに実装されている。
【0043】
図6に示すように、本実施形態に係る主部10Aは、対向方向Xにおいて間隔を空けて配された4つの層L1~L4を有する多層基板である。4つの層L1~L4の間には、絶縁体12が充填されている。主部10Aは、例えばLCP(液晶ポリマー)基板である。
【0044】
具体的に、主部10Aは、信号層L1と、GND層L2と、第1アンテナ層L3と、第2アンテナ層L4と、を有する。信号層L1、GND層L2、第1アンテナ層L3、および第2アンテナ層L4は、背面側(-X側)から正面側(+X側)に向かう向きにおいてこの順に配されている。第2アンテナ層L4は、補強部10Bに接触している。各層L1~L4には、層状の金属部(導体部)Mが配置されている。
【0045】
第1アンテナ層L3および第2アンテナ層L4には、複数のアンテナAが第1方向Yおよび第2方向Zに間隔を空けて配置される。具体的には、第1アンテナ層L3に配された金属部M(放射素子)と、第2アンテナ層L4に配された金属部M(無給電素子)とが、複数のアンテナAを構成している。信号層L1は、第1給電素子11と電気的に接続されており、アンテナAが電磁波の送受信を行う際に、第1給電素子11との間で高周波信号(RF信号)の受渡しを行う。ここで、本実施形態に係る信号層L1と第1アンテナ層L3とは、GND層L2に設けられた開口L2aを介して、電磁的に結合(例えば、容量性結合)されている。当該電磁的な結合によって、各アンテナAは、第1給電素子11から出力された高周波信号によって電磁波の送信を行ったり、受信した電磁波を第1給電素子11に出力したりすることができる。
【0046】
補強部10Bは、主部10Aを補強し、アンテナAを保護する。本実施形態に係る補強部10Bは、低損失誘電体13によって形成された薄板状の部材である。低損失誘電体13の素材および補強部10Bの寸法(厚み)は、アンテナAによる電磁波の送受信に悪影響を及ぼさないように選択されることが好ましい。補強部10Bは、電磁波のゲインを向上する役割を有していてもよい。
【0047】
第1基板10は、第1方向Yおよび第2方向Zに延在している。また、本実施形態に係る第1基板10は、
図2に示すように、対向方向Xにおいてカバー30とケース40との間に挟まれるように、筐体Cに固定されている。より具体的に、本実施形態に係る第1基板10は、対向方向Xにおいて、カバー30と、ケース40の周壁部42および仕切部43と、によって挟まれている。これにより、第1基板10は、ケース40の上側空間SP1を閉塞している。
【0048】
第1基板10(主部10A)の表面のうち少なくとも一部分には、金属部Mが露出している。本実施形態においては、第1基板10のうち、ケース40(周壁部42および仕切部43)と接触する部分に、金属部Mが露出している。これにより、第1基板10の金属部Mが、ケース40に対して、機械的かつ電気的に接触している。具体的には、
図2および
図4に示すように、第1基板10のうち頂部42a、側部42bおよび仕切部43と接触する部分において、金属部Mが露出している。第1基板10の表面に露出してケース40に接触する金属部Mは、例えば信号層L1のGND(いわゆるベタパターン、ベタGND)である(
図6参照)。なお、
図2においては、見易さのために、層L1~L4のうち上記接触部分以外の図示は省略している。ただし、層L2~L4のGND(ベタGND)が第1基板10の表面に露出し、ケース40に接触していてもよい。この場合、第1基板10の表面から絶縁体12が適宜除去されていてもよい。
【0049】
本実施形態に係る第1給電素子11は、ケース40と、第1基板10のGND(ベタGND)と、によって囲まれている。具体的には、対向方向Xにおいて、第1給電素子11は、ケース40の基部41と、第1基板10のGNDとの間に位置する。また、第1方向Yにおいて、第1給電素子11は、ケース40が有する一対の側部42bの間に位置する(
図3も参照)。そして、第2方向Zにおいて、第1給電素子11は、ケース40の頂部42aと仕切部43との間に位置する(
図2参照)。このように、第1給電素子11は、対向方向X、第1方向Y、および第2方向Zの3方向において、ケース40と第1基板10のGNDとによって囲まれている。なお 、ケース40とともに第1給電素子11を囲む第1基板10のGNDは、信号層L1のGNDであってもよいし、GND層L2のGNDであってもよいし、第1アンテナ層L3のGNDであってもよいし、第2アンテナ層L4のGNDであってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。
【0050】
図2および
図4に示すように、第1基板10は、第1コネクタ51を備える。言い換えれば、第1基板10には、第1コネクタ51が実装されている。第1コネクタ51は、第1基板10の下端部(-Z端部)に設けられている。
図2に示すように、第1コネクタ51は、第1基板10の下端部(-Z端部)から背面側(-X側)に向けて延びている。第2基板20は、第2コネクタ52を備える。言い換えれば、第2基板20には、第2コネクタ52が実装されている。
図2に示すように、第2コネクタ52は、第2基板20の上端部(+Z端部)から正面側(+X側)に向けて延びている。
【0051】
第1コネクタ51および第2コネクタ52は、第1基板10と第2基板20とを電気的に接続する基板間コネクタである。具体的に、第1コネクタ51と第2コネクタ52とが電気的に直接接続されることにより、第1基板10と第2基板20とが電気的に接続される。言い換えれば、第1コネクタ51と第2コネクタ52とが機械的かつ電気的に接続されることにより、第1基板10と第2基板20とが電気的に接続される。第1基板10と第2基板20とが電気的に接続された状態において、第1コネクタ51および第2コネクタ52は、前述した下側空間SP2に位置する。なお、第1コネクタ51がオスコネクタであって第2コネクタ52がメスコネクタであってもよいし、第1コネクタ51がメスコネクタであって第2コネクタ52がオスコネクタであってもよい。
【0052】
第2基板20は、第1基板10のアンテナAが送受信する高周波信号よりも低い周波数のベースバンド信号を扱う基板である。第2基板20は、ベースバンド基板やBB基板とも称される。第2基板20は、例えば、ガラスエポキシ基板である。
【0053】
図2に示すように、第2基板20は、第1コネクタ51および第2コネクタ52を介して第1基板10と電気的に接続されている。第2基板20は、第1方向Yおよび第2方向Zに延在している。対向方向Xにおいて、第2基板20と第1基板10とは異なる位置に配されている。具体的には、対向方向Xにおいて、第2基板20と基部41との間の距離は、第1基板10と基部41との間の距離よりも短くなっている。また、平面視において、第1基板10と第2基板20とは少なくとも一部が重なっている。より具体的に、図示の例においては、第1基板10の下端部(-Z端部)と第2基板20の上端部(+Z端部)とが、平面視において重なっている。第1コネクタ51および第2コネクタ52は、このように2つの基板10、20が重なった部分に設けられている。
【0054】
図1および
図2に示すように、本実施形態に係る第2基板20には、第2給電素子(第2高温素子)21と、外部端子22とが設けられている。外部端子22は、例えば、第1基板10および第2基板20に対して電源を供給するための端子である。
図1に示すように、外部端子22は、カバー30の端子孔32を通じて筐体Cの外部に露出している。
【0055】
第2給電素子21は、第1コネクタ51および第2コネクタ52を介して、第1給電素子11にベースバンド信号(BB信号)を供給する(
図2参照)。第2給電素子21としては、例えば、BBIC(Base Band Integrated Circuit)等を用いることができる。詳細な図示は省略するが、第2基板20には、第2給電素子21および外部端子22以外の周辺部品が実装されていてもよい。
【0056】
第2給電素子21は、第1給電素子11と同様に、ファンアウトパッケージ構造を有していてもよい。つまり、第2給電素子21は、第1給電素子11と同様に、本体部と、再配線層と、複数のはんだバンプと、封止樹脂と、を有していてもよい(
図5参照)。
【0057】
図2に示すように、第1放熱シート61は、対向方向Xにおける第1放熱部44(接触部44a)と第1給電素子11との間に配されている。第1放熱シート61は、対向方向Xにおいて、第1給電素子11と第1放熱部44(接触部44a)との双方に接触している。第1放熱シート61は、第1給電素子11から熱を吸収し、吸収した熱を第1放熱部44に放出する。
【0058】
第1放熱シート61は、電波吸収性を有していてもよい。より具体的に、第1放熱シート61は、センチメートル波帯からミリ波帯において電波吸収性を有していてもよい。電波吸収性を有する第1放熱シート61の例としては、EMI対策シート等が挙げられる。
【0059】
図2に示すように、第2放熱シート62は、対向方向Xにおける第2放熱部45と第2給電素子21との間に配されている。第2放熱シート62は、対向方向Xにおいて、第2給電素子21と第2放熱部45との双方に接触している。第2放熱シート62は、第2給電素子21から熱を吸収し、吸収した熱を第2放熱部45に放出する。第2放熱シート62の対向方向Xにおける寸法は、第1放熱シート61の対向方向Xにおける寸法よりも大きくてもよい。つまり、第2放熱シート62は、第1放熱シート61よりも厚くてもよい。
また、第2放熱シート62は、第2基板20に設けられた周辺部品(電源IC等)と接触して熱を吸収し、これらの周辺部品から吸収した熱を第2放熱部45に放出してもよい。
【0060】
平面視において、第1放熱シート61の面積は、第1給電素子11の面積よりも小さくてもよい。具体的に、第1放熱シート61のサイズは、第1給電素子11の本体部14(
図5参照)のサイズと対応していてもよい。この構成によれば、第1給電素子11のうち主に発熱する部分である本体部14を冷却しつつも、第1放熱シート61の使用量を抑制してコストダウンを図ることができる。同様に、平面視において、第2放熱シート62の面積は、第2給電素子21の面積よりも小さくてもよい。具体的に、第2放熱シート62のサイズは、第2給電素子21の本体部のサイズと対応していてもよい。
【0061】
また、平面視において、第1放熱部44(接触部44a)の先端面(正面側端面、+X側面)の面積は、第1放熱シート61の面積よりも大きくてもよい。また、平面視において、第2放熱部45の先端面(正面側端面、+X側面)の面積は、第2放熱シート62の面積よりも大きくてもよい。
【0062】
また、本実施形態においては、第1基板10に設けられる部品のうち第1給電素子11以外の部品は、ケース40に対して放熱されていない。つまり、第1基板10に設けられる部品のうち第1給電素子11以外の部品は、ケース40と熱的に接触していない。なお、「第1基板10に設けられる部品のうち第1給電素子11以外の部品」は、例えば、第1基板10に実装される周辺部品等が挙げられる。
【0063】
以上説明した第1基板10、第2基板20、カバー30、およびケース40は、
図2に示すように、位置決めねじSC1と、貫通ねじSC2と、固定ねじSC3と、によって互いに固定されている。各ねじSC1~SC3は、螺入部SCaと、螺入部SCaの一端に固定された頭部SCbと、を有する。螺入部SCaの外周面には、螺旋状の突起が形成されている。頭部SCbは螺入部SCaよりも大きい径を有する。以下、ねじSC1~SC3を用いた固定構造について説明する。
【0064】
位置決めねじSC1は、第1基板10をカバー30に対して位置決め固定している。
図4に示すように、本実施形態に係る第1基板10は、複数(図示の例においては2つ)の位置決め孔H1aを有する。本実施形態において、各位置決め孔H1aは、第1基板10の平面視における外周部に位置している。位置決め孔H1aは、カバー30に対して第1基板10を位置決め固定するための孔である。各位置決め孔H1aは、第1基板10を対向方向Xに貫通している。各位置決め孔H1aには、位置決めねじSC1が挿通される。本実施形態においては、2つの位置決め孔H1aが、第1コネクタ51の近傍に設けられている。また、2つの位置決め孔H1aのうち一方は、第1基板10の外周縁に開口している。
【0065】
図2に示すように、カバー30は、位置決めねじSC1が挿入される第1ねじ孔H1bを有する。詳細な図示は省略するが、カバー30は、位置決め孔H1aと同数の第1ねじ孔H1bを有する。第1ねじ孔H1bの位置は、位置決め孔H1aの位置と対応している。第1ねじ孔H1bの内周面には、螺入部SCaの外周面と螺合する螺旋状の溝が設けられている。
【0066】
第1基板10をカバー30に位置決め固定する際は、位置決めねじSC1の螺入部SCaを、位置決め孔H1aに挿通させつつ第1ねじ孔H1bに螺入する。すると、位置決めねじSC1の頭部SCbが、やがて第1基板10に当接する。さらに位置決めねじSC1の螺入を進めると、頭部SCbが、第1基板10をカバー30に向けて押し付ける。当該押し付け力により、第1基板10が、カバー30に対して接触した状態で、カバー30に固定される。より具体的に、本実施形態に係る第1基板10は、カバー30に対して面接触した状態でカバー30に固定される。また、本実施形態に係る第1基板10は、ケース40にはねじ固定されていない。
【0067】
貫通ねじSC2は、ケース40をカバー30に対して固定している。
図3に示すように、本実施形態に係るケース40は、複数(図示の例においては6つ)の貫通孔H2bを有する。各貫通孔H2bは、ケース40を対向方向Xに貫通している。各貫通孔H2bには、貫通ねじSC2が挿通される。本実施形態において、各貫通孔H2bは、ケース40の周壁部42に設けられている。
【0068】
また、
図2に示すように、カバー30は、貫通ねじSC2が挿入される第2ねじ孔H2cを有する。詳細な図示は省略するが、カバー30は、貫通孔H2bと同数の第2ねじ孔H2cを有する。第2ねじ孔H2cの位置は、貫通孔H2bの位置と対応している。第2ねじ孔H2cの内周面には、螺入部SCaの外周面と螺合する螺旋状の溝が設けられている。
【0069】
ここで、前述したように、本実施形態に係る第1基板10は、対向方向Xにおいて、カバー30とケース40の周壁部42とによって挟まれている。本実施形態においては貫通孔H2bが周壁部42に設けられているため、貫通ねじSC2は、カバー30およびケース40だけでなく、第1基板10も貫く。
【0070】
第1基板10は、
図4に示すように、回避部H2aを有する。回避部H2aは、貫通ねじSC2と第1基板10との干渉(構造的干渉)を防ぐための孔である。回避部H2aの位置は、貫通孔H2bおよび第2ねじ孔H2cの位置と対応している。各回避部H2aは、第1基板10を対向方向Xに貫通している。本実施形態において、各回避部H2aは、第1基板10の外周縁に開口している。また、各回避部H2aのサイズ(平面視における面積)は、位置決め孔H1aのサイズよりも大きい。より具体的に、各回避部H2aは、平面視において、位置決め孔H1aよりも大きい曲率半径の円弧Rを有する。
【0071】
ケース40をカバー30に対して固定する際には、貫通ねじSC2の螺入部SCaを、貫通孔H2bに挿通させつつ第2ねじ孔H2cに螺入する。すると、貫通ねじSC2の頭部SCbが、やがてケース40に当接する。さらに貫通ねじSC2の螺入を進めると、頭部SCbが、ケース40および第1基板10をカバー30に向けて押し付ける。当該押し付け力により、ケース40がカバー30に対して固定される。また、ケース40が第1基板10をカバー30に押し付けることにより、第1基板10がカバー30に対してより強固に固定される。つまり、貫通ねじSC2は、カバー30に対する第1基板10の固定をより強固にする役割も有する。
【0072】
さらに、貫通ねじSC2の螺入部SCaが第2ねじ孔H2cに螺合し、頭部SCbがケース40を押し付けることにより、カバー30と第1放熱部44とが、第1放熱シート61および第1基板10を対向方向Xに圧縮する。言い換えれば、カバー30と第1放熱部44とが、第1放熱シート61および第1基板10に対して、対向方向Xにおける圧縮力を印加している。これにより、第1放熱シート61の厚み(対向方向Xにおける寸法)は、自然状態よりも薄くなっている。なお、文言「自然状態」は、第1放熱シート61に何ら力(圧縮力)が印加されていない状態を意味する。
【0073】
このように第1放熱シート61および第1基板10が圧縮されるように、本実施形態では次のような寸法関係が成立する。すなわち、上記のようにカバー30とケース40とが組み合わされた状態において第1給電素子11と第1放熱部44との間に生じる対向方向Xの隙間が、第1放熱シート61の自然状態における厚みよりも小さくなっている。例えば、カバー30とケース40とが組み合わされた状態において、第1給電素子11と第1放熱部44との間の対向方向Xにおける隙間は、0.3mm程度である。これに対し、第1放熱シート61の自然状態における厚みは、例えば0.5mm程度である。このような寸法関係においては、圧縮の結果として、第1放熱シート61の厚みが0.2mm程度減少する。
【0074】
固定ねじSC3は、第2基板20をケース40に対して固定している。
図3に示すように、本実施形態に係るケース40は、複数(図示の例においては4つ)の第2固定孔H3bを有する。各第2固定孔H3bは、ケース40を対向方向Xに貫通している。各第2固定孔H3bには、固定ねじSC3が挿通される。本実施形態においては、4つの第2固定孔H3bと4つの台座部46とが一対一に対応しており、各台座部46に一つずつ第2固定孔H3bが開口している。
図3に示すように、各第2固定孔H3bは、長孔形状を有する。
【0075】
図2に示すように、第2基板20は、固定ねじSC3が挿入される第1固定孔H3aを有する。詳細な図示は省略するが、第2基板20は、第2固定孔H3bと同数の第1固定孔H3aを有する。第1固定孔H3aの位置は、第2固定孔H3bの位置と対応している。各第1固定孔H3aには、スルーホールタップ23が配置されている。スルーホールタップ23は、第1固定孔H3aに固定された筒状の部材である。スルーホールタップ23の内周面には、螺入部SCaの外周面と螺合する螺旋状の溝が設けられている。
【0076】
第2基板20をケース40に対して固定する際には、固定ねじSC3の螺入部SCaを、第2固定孔H3bに挿通させつつスルーホールタップ23に螺入する。すると、固定ねじSC3の頭部SCbが、やがてケース40に当接する。さらに固定ねじSC3の螺入を進めると、螺入部SCaが、スルーホールタップ23を介して第2基板20をケース40に向けて押し付ける。当該押し付け力により、第2基板20がケース40に対して固定される。
【0077】
上記のように第1基板10、第2基板20、カバー30、およびケース40が互いに固定された状態において、第1基板10または第2基板20に設けられる部品のうちアンテナAおよび外部端子22以外の部品は、対向方向Xから見て、筐体Cに覆われている。つまり、第1基板10または第2基板20に設けられる部品のうちアンテナAおよび外部端子22以外の部品は、対向方向Xにおいてケース40およびカバー30の間に位置し、かつ、対向方向Xから見てケース40およびカバー30の双方と重なっている。この構成により、無線モジュール1の改造を困難にすることができる。ねじSC1~SC3をセキュリティーねじとすることで、無線モジュール1の改造をより困難にしてもよい。なお、「第1基板10または第2基板20に設けられる部品のうちアンテナAおよび外部端子22以外の部品」は、例えば、第1給電素子11、第2給電素子21、または、基板10、20に実装される周辺部品(電源IC、メモリ、水晶発振器等)が挙げられる。
【0078】
次に、通過部31とアンテナAとの好ましい位置関係について、
図7および
図8に基づいて説明する。
【0079】
前述したように、通過部31は、電磁波がカバー30と電磁的に干渉することを防ぐ部位である。ここで、アンテナAが送受信する電磁波とカバー30との電磁的な干渉を抑制して無線モジュール1の無線性能の低下をより確実に抑制するために、アンテナAと通過部31とは、
図7に示すような位置関係を有していることが好ましい。つまり、通過部31は、アンテナAのフレネルゾーンFとカバー30(例えば、梁部30b)とが干渉しないように設けられることが好ましい。
【0080】
フレネルゾーンFは、電磁波が送信点から受信点へ伝播するとき、行路差が半波長以下となる領域(位相差が180°未満となる領域)と定義される。
図8は、フレネルゾーンFを2次元平面座標上で描画したグラフである。
図8において、アンテナA1~A3は、無線モジュール1が有するアンテナAに対応している。アンテナA1´~A3´は、無線モジュール1の外部に配置され、無線モジュール1のアンテナAと電磁波の送受信を行うアンテナA´に対応している。フレネルゾーンFは、アンテナAとアンテナA´との組ごとに算出される。例えば、
図8に示すフレネルゾーンF1は、アンテナA1とアンテナA1´との組によって算出されるフレネルゾーンFであり、フレネルゾーンF2は、アンテナA2とアンテナA2´との組によって算出されるフレネルゾーンFである。フレネルゾーンF3は、アンテナA3とアンテナA3´との組によって算出されるフレネルゾーンFである。
【0081】
図8におけるX軸は、無線モジュール1の対向方向Xに対応している。Y軸は、対向方向Xに直交する方向(例えば、無線モジュール1の第1方向Yや第2方向Z)に対応している。つまり、無線モジュール1が正面側(+X側)に向けで電磁波を送信し、正面側(+X側)から電磁波を受信する場合を想定している。
図8に示す各値は、以下のように定義される。
d:送信点と受信点との間の距離(送受信点間距離)[m]
a:楕円長径[m]
b:楕円短径[m]
x:送信点を基準とした座標(送信点間位置座標)[m]
r:フレネル半径[m]
【0082】
上記各値には、以下の数式(1)~(3)に示す関係が成立する。なお、λ[m]はアンテナA、A´が送受信する電磁波の波長である。
【0083】
【0084】
ここで、送受信点間距離dは、無線モジュール1の外部に設けられるアンテナA´の位置によって変動する値である。そして、式(1)~(3)からわかるように、アンテナA´がアンテナAから離れるほど(送受信点間距離dが大きいほど)、フレネルゾーンFのフレネル半径rが大きくなる。つまり、通過部31の寸法を大きくする必要がある。
【0085】
本願発明者らが鋭意検討したところ、60GHz帯の無線モジュール1の場合、送受信点間距離dが0.5m以上で無線モジュール1の近傍におけるフレネル半径rはほとんど変化しないことが判った。具体的には、カバー30が存在する領域(例えば0[mm]≦x≦6[mm]の範囲)に着目すると、送受信点間距離dを0.5m以上で変化させても、フレネル半径rはほとんど変化しないことが判った。
【0086】
したがって、通過部31の寸法および位置は、送受信点間距離dを0.5m以上とした場合におけるアンテナAのフレネルゾーンFを考慮して決定することが望ましい。本実施形態に係る無線モジュール1は、複数のアンテナAを有する。このため、アンテナAごとにフレネルゾーンFを算出し、算出された全てのフレネルゾーンFがカバー30と干渉しないように通過部31の寸法および位置を決定することが望ましい。なお、図示の例においては、各アンテナ群G1、G2の最外周に位置するアンテナAについてフレネルゾーンFを算出すれば十分である。
【0087】
また、無線モジュール1は対向方向Xに対して傾いた方向に電磁波を送受信する可能性がある。これを鑑み、例えば
図8に示すX軸を無線モジュール1の対向方向Xに対して所定の角度(例えば45°)傾けて算出されたフレネルゾーンFを考慮し、通過部31の寸法をおよび位置を決定してもよい。この場合、電磁波の干渉をより確実に抑制することができる。
【0088】
次に、本実施形態に係る無線モジュール1を組み立てる方法の一例について、
図9A~
図9Eに基づいて説明する。
【0089】
まず、カバー30を作業台等に載置する。このとき、
図9Aに示すように、カバー30の正面側(+X側)を重力方向における下方に向ける。次に、補強部10Bが重力方向における下方を向くように、カバー30上に第1基板10を載置する。このとき、位置決め孔H1aと第1ねじ孔H1bとを対向方向Xにおいて重ね、回避部H2aと第2ねじ孔H2cとを対向方向Xにおいて重ねる。そして、位置決めねじSC1を、位置決め孔H1aに挿通させつつ第1ねじ孔H1bに螺入する。これにより、第1基板10が、カバー30に対して位置決め固定される。
【0090】
次に、
図9Bに示すように、第1基板10と第2基板20とを、コネクタ51、52を介して電気的に接続する。このとき、第2基板20は、重力の影響によって傾斜する可能性がある。そのため、カバー30は、
図9Bに示すように、第2基板20の傾斜を抑制する支持部33を有していてもよい。支持部33は、例えば、カバー30の板部30aから背面側(-X側)に向けて突出した突起である。
【0091】
次に、
図9Cに示すように、第1給電素子11の上に第1放熱シート61を載置し、第2給電素子21の上に第2放熱シート62を載置する。具体的には、第1放熱シート61を第1給電素子11の上に固定し、第2放熱シート62を第2給電素子21の上に固定する。そして、ケース40を、基板10、20およびカバー30の上に載置する。このとき、周壁部42および仕切部43を、第1基板10の表面に露出した金属部Mと接触させる。また、第1放熱部44を第1放熱シート61に接触させ、第2放熱部45を第2放熱シート62に接触させる。また、貫通孔H2bと第2ねじ孔H2cとを対向方向Xにおいて重ね、第2固定孔H3bと第1固定孔H3aとを対向方向Xにおいて重ねる。
【0092】
次に、
図9Dに示すように、固定ねじSC3を、第2固定孔H3bに挿通させつつ、第1固定孔H3aに配置されたスルーホールタップ23に螺入する。これにより、第2基板20が、ケース40に対して固定される。
【0093】
なお、例えばコネクタ51、52の組付け精度によっては、基板10、20をコネクタ51、52によって接続した際に、第2基板20の位置や向きが所望の位置や向きからずれる可能性がある。前述したように第2固定孔H3bは長孔形状を有しているため、第2基板20の位置や向きがずれても、第1基板10の位置等に影響を及ばさずに、第2基板20をケース40に対して固定することができる。
【0094】
最後に、
図9Eに示すように、貫通ねじSC2を、貫通孔H2bに挿通させつつ第2ねじ孔H2cに螺入する。これにより、ケース40がカバー30に対して固定される。また、ケース40の押し付け力によって、第1基板10がカバー30に対してより強固に固定される。前述したように第1基板10には回避部H2aが設けられているため、貫通ねじSC2と第1基板10との構造的干渉を容易に回避することができる。また、貫通ねじSC2の螺入部SCaが第2ねじ孔H2cに螺合し、頭部SCbがケース40を押し付けることにより、カバー30とケース40の第1放熱部44とが、第1放熱シート61および第1基板10を対向方向Xに圧縮する。以上の工程により、無線モジュール1の組み立てが完了する。
【0095】
前述したように、平面視において第1放熱部44(接触部44a)の先端面(正面側端面、+X側面)の面積を第1放熱シート61の面積よりも大きくすることで、上記の組み立て工程において、次のような効果が得られる。つまり、対向方向Xに交差する方向(すなわち、第1方向Yおよび第2方向Z)においてケース40の位置がずれたとしても、第1放熱シート61と第1放熱部44とを接触させることができる。同様に、平面視において第2放熱部45の先端面(正面側端面、+X側面)の面積を第2放熱シート62の面積よりも大きくすることで、次のような効果が得られる。つまり、対向方向Xに交差する方向(すなわち、第1方向Yおよび第2方向Z)においてケース40の位置がずれたとしても、第2放熱シート62と第2放熱部45とを接触させることができる。
【0096】
以上説明したように、本実施形態に係る無線モジュール1は、ミリ波帯の高周波信号を送受信するアンテナAを有し、アンテナAに高周波信号を供給する第1給電素子(第1高温素子)11が実装された第1基板10と、互いに組み合わされたカバー30およびケース40を有し、第1基板10を収容する筐体Cと、を備え、カバー30には、アンテナAが送受信する電磁波を通過させる通過部31が設けられ、第1基板10は、ケース40とカバー30とが対向する対向方向Xにおいてカバー30と接触しており、ケース40は、第1給電素子11(正面側、+X側)に向けて突出する第1放熱部44を有し、対向方向Xにおける第1放熱部44と第1給電素子11との間には、第1放熱シート61が設けられ、カバー30と第1放熱部44とは、第1放熱シート61および第1基板10を対向方向Xに圧縮している。
【0097】
この構成により、第1放熱シート61を薄型化した際に、第1基板10の反り等に起因して第1基板10と筐体Cとの位置関係がばらついても、カバー30およびケース40の圧縮力によって、第1放熱シート61を第1給電素子11および第1放熱部44に接触させることができる。これにより、第1放熱シート61によって、第1給電素子11からケース40に放熱することができる。
【0098】
また、第1基板10に設けられる部品のうち第1給電素子11以外の部品は、ケース40に対して放熱しない。第1給電素子11以外の部品がケース40に対して放熱する場合、例えば、当該部品と対応する位置に、第1放熱部44のような凸構造を設ける必要がある。しかしながら、このような凸構造が存在する場合、当該凸構造の高さ(対向方向X)のバラつきの大きさによっては、第1放熱シート61が、第1給電素子11または第1放熱部44と離反してしまう可能性がある。第1基板10に設けられる部品のうち、ケース40に対して放熱を行う部品を第1給電素子11のみとすることで、このような可能性を排除し、第1給電素子11の放熱をより確実に行うことができる。
【0099】
また、カバー30およびケース40は、金属によって形成されている。この構成により、筐体Cの熱容量を高め、第1給電素子11からの放熱効率を高めることができる。また、金属製の筐体C(カバー30およびケース40)によって、第1給電素子11を遮蔽し、不要輻射を遮断することができる。
【0100】
また、第1給電素子11は、ケース40と、第1基板10のGNDと、によって囲まれている。この構成により、第1基板10のGNDとケース40とによって第1給電素子11を遮蔽し、不要輻射を遮断することができる。
【0101】
また、対向方向Xから見て、第1放熱シート61の面積は、第1給電素子11の面積よりも小さくてもよい。この構成によれば、第1給電素子11の外縁部に位置する端子14a(
図5参照)に対して過剰な応力が加わりにくくなる。
【0102】
また、対向方向Xから見て、第1放熱部44(接触部44a)の先端面の面積は、第1放熱シート61の面積よりも大きくてもよい。この構成によれば、対向方向Xに交差する方向(すなわち、第1方向Yおよび第2方向Z)においてケース40の位置がずれたとしても、第1放熱シート61と第1放熱部44とを接触させることができる。
【0103】
また、第1放熱部44は、ケース40(背面側、-X側)から第1給電素子11(正面側、+X側)に向かう向きにおいて漸次断面積が小さくなるテーパ形状を有したテーパ部44bを含む。この構成によれば、放熱効率を保ちつつ、第1放熱部44の体積の抑制および第1放熱部44の軽量化を実現できる。また、ケース40をダイカスト成型によって製造する場合には、第1放熱部44の体積を減らすことは、製造コストの抑制等のメリットにつながる。
【0104】
また、カバー30のうち第1基板10と接触している部位(梁部30b)は、アンテナAのフレネルゾーンFと干渉していない。この構成により、アンテナAが送受信する電磁波がカバー30と干渉することを抑制することができる。
【0105】
また、第1放熱シート61は、電波吸収性を有していてもよい。この場合、第1給電素子11の不要輻射が無線モジュール1の外部に漏出しにくくなる。
【0106】
また、第1放熱シート61は、センチメートル帯からミリ波帯における電波吸収性を有していてもよい。この場合、第1給電素子11の不要輻射が無線モジュール1の外部により漏出しにくくなる。
【0107】
また、本実施形態に係る無線モジュール1は、上記高周波信号よりも低い周波数のベースバンド信号を扱う第2基板20をさらに備え、筐体Cは、第1基板10および第2基板20を収容する。上記のような特徴を有する無線モジュール1によれば、筐体Cが第1基板10に加えて第2基板20を収容している場合においても、第1放熱シート61の薄型化を可能とすることができる。
【0108】
また、第2基板20には、第1給電素子11にベースバンド信号を供給する第2給電素子(第2高温素子)21が実装され、ケース40は、第2給電素子21(正面側、+X側)に向けて突出する第2放熱部45を有し、対向方向Xにおける第2放熱部45と第2給電素子21との間には、第2放熱シート62が設けられている。この構成により、第2給電素子21からケース40に熱を放出させることができる。
【0109】
また、第2放熱シート62は、第1放熱シート61より厚くてもよい。この構成によれば、第2基板20の反り等に起因して第2基板20と筐体Cとの位置関係がばらついたとしても、第2放熱シート62を第2給電素子21および第2放熱部45に接触させることができる。
【0110】
また、第1基板10は、カバー30に固定されており、第2基板20は、ケース40に固定されている。この構成によれば、例えば第1基板10および第2基板20の双方がカバー30(ケース40)に固定されている場合と比較して、無線モジュール1の設計の自由度が向上する。より具体的には、第1基板10と第2基板20とが対向方向Xに重なる部分に位置決め孔H1aおよび第1固定孔H3aを形成することが可能となる。
【0111】
また、第2基板20には、外部端子22が設けられ、第1基板10または第2基板20に設けられる部品のうちアンテナAおよび外部端子22以外の部品は、対向方向Xにおいて、ケース40およびカバー30の間に位置し、第1基板10または第2基板20に設けられる部品のうちアンテナAおよび外部端子22以外の部品は、対向方向Xから見て、ケース40およびカバー30の双方と重なっている。この構成により、無線モジュール1の改造を困難にすることができる。
【0112】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0113】
例えば、前記実施形態において位置決め孔H1aは第1コネクタ51の近傍に配されていたが(
図4参照)、位置決め孔H1aの位置は適宜変更可能である。例えば、位置決め孔H1aはアンテナAの近傍に配されていてもよいし、第1基板10の対角線上に配されていてもよい。これらの構成によれば、カバー30に対する第1基板10の位置ずれや回転をより抑制することができる。
【0114】
また、前記実施形態においては金属部Mとケース40とが機械的かつ電気的に接触していたが(
図2参照)、金属部Mとケース40とが電気的に接触していれば金属部Mとケース40とは機械的に接触していなくてもよい。例えば、金属部Mとケース40との間に、金属部Mとケース40との双方に対して機械的かつ電気的に接触する導電シートが設けられていてもよい。
【0115】
また、前記実施形態においては第2固定孔H3bがケース40に設けられていたが、第2固定孔H3bはカバー30に設けられていてもよい。言い換えれば、第2基板20はカバー30に固定されていてもよい。ただし、第2固定孔H3bが長孔形状を有する場合、第2固定孔H3bと固定ねじSC3との間の隙間から不要輻射が漏出する可能性がある。このため、長孔形状を有する第2固定孔H3bはカバー30ではなくケース40に設けられていることが望ましい。
【0116】
また、第2固定孔H3bは長孔形状を有していなくてもよい。この場合、第1固定孔H3aが長孔形状を有していてもよい。ただし、第1固定孔H3aが長孔形状を有する場合、第1基板10のサイズが大きくなってしまう可能性がある。このため、第1固定孔H3aではなく第2固定孔H3bが長孔形状を有することが望ましい。
【0117】
また、筐体C(カバー30およびケース40)は金属によって形成されていなくてもよい。例えば、筐体Cは樹脂等によって形成されていてもよい。筐体Cが樹脂製である場合、カバー30に、通過部31としての開口が形成されていなくてもよい。この場合、通過部31はカバー30自身であってもよい。
【0118】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0119】
1…無線モジュール 10…第1基板 11…第1給電素子(第1高温素子) 20…第2基板 21…第2給電素子(第2高温素子) 22…外部端子 23…スルーホールタップ 30…カバー 31…通過部 40…ケース 44…第1放熱部 44b…テーパ部 45…第2放熱部 61…第1放熱シート 62…第2放熱シート A…アンテナ C…筐体 F…フレネルゾーン X…対向方向