(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104146
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】車両用ドアラッチ装置
(51)【国際特許分類】
E05B 79/10 20140101AFI20240726BHJP
E05B 79/20 20140101ALI20240726BHJP
E05B 79/22 20140101ALI20240726BHJP
E05B 79/08 20140101ALI20240726BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20240726BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
E05B79/10
E05B79/20
E05B79/22 A
E05B79/08
B60J5/04 H
B60J5/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008229
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】長岡 智治
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250JJ43
2E250LL02
2E250MM03
2E250PP02
2E250PP05
2E250PP12
2E250PP13
2E250QQ03
2E250QQ04
2E250QQ05
2E250QQ09
(57)【要約】
【課題】アウトサイドハンドルの操作力を車両用ドアラッチ装置に入力する操作力伝達部材の動作方向が異なるものに対しても、容易に対応することが可能な車両用ドアラッチ装置を提供する。
【解決手段】ドアラッチ装置10は、車体に設けられたストライカに係合可能なラッチ21を有するラッチ機構部20と、ラッチ機構部20を操作するアウトサイドハンドル操作力伝達機構50と、を備える。アウトサイドハンドル操作力伝達機構50は、第1回転軸501、第2回転軸502、及び、第3回転軸503を有する。第1回転軸501には、ラッチ機構部20のリリースレバー24を動作させるサブレバー51が軸支されている。第2回転軸502は、サブレバー51を動作させる第1入力レバー52及びレバーリンク53を選択して軸支可能である。第3回転軸503は、レバーリンク53を動作させる第2入力レバー54を軸支可能である。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に設けられたストライカに係合可能なラッチを有するラッチ機構部と、
前記ラッチ機構部を操作する操作機構部と、を備える車両用ドアラッチ装置であって、
前記ラッチ機構部は、
前記ラッチに係合可能なラチェットと、
前記ラチェットの前記ラッチとの係合を解除させるリリースレバーと、を有し、
前記操作機構部は、
第1回転軸と、前記第1回転軸よりも上方に位置し、前記第1回転軸と平行な第2回転軸と、前記第2回転軸よりも下方に位置し、前記第1回転軸及び前記第2回転軸と平行な第3回転軸と、を有し、
前記第1回転軸には、前記リリースレバーと係合し、前記第1回転軸を中心に回動して前記リリースレバーを動作させるサブレバーが軸支されており、
前記第2回転軸は、アウトサイドハンドルの操作力が入力され、前記第2回転軸を中心に回動して前記サブレバーを動作させる第1入力レバー、及び、前記第2回転軸を中心に回動して前記サブレバーを動作させるレバーリンク、を選択して軸支可能であり、
前記第3回転軸は、アウトサイドハンドルの操作力が入力され、前記第3回転軸を中心に回動して前記レバーリンクを動作させる第2入力レバー、を軸支可能である、車両用ドアラッチ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ドアラッチ装置であって、
前記サブレバーは、前記第1入力レバー又は前記レバーリンクが回動すると前記第1入力レバー又は前記レバーリンクが当接する入力側当接部を有し、
前記第1入力レバーは、回動すると前記サブレバーの前記入力側当接部に当接する出力側当接部を有し、
前記レバーリンクは、回動すると前記サブレバーの前記入力側当接部に当接する出力側当接部と、前記第2入力レバーが回動すると前記第2入力レバーが当接する入力側当接部と、を有し、
前記第2入力レバーは、回動すると前記レバーリンクの前記入力側当接部に当接する出力側当接部を有し、
前記第1回転軸、前記第2回転軸、及び、前記第3回転軸の軸方向から見て、前記第1入力レバーの前記出力側当接部の回動軌跡、前記レバーリンクの前記出力側当接部の回転軌跡、及び、前記第2入力レバーの前記出力側当接部の回転軌跡はいずれも、前記サブレバーの前記入力側当接部の回動軌跡と少なくとも一部が重複する、車両用ドアラッチ装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用ドアラッチ装置であって、
前記車両用ドアラッチ装置は、前記ラッチ機構部と前記操作機構部とが取り付けられるボディ部材をさらに備え、
前記ラッチは、前記ボディ部材の一方側の第1面に取り付けられ、
前記操作機構部は、前記ボディ部材の前記第1面と反対側の第2面に取り付けられる、車両用ドアラッチ装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用ドアラッチ装置であって、
前記ボディ部材には、車幅方向外側から前記ストライカが進入可能なストライカ進入溝が形成されており、
前記第1回転軸、前記第2回転軸、及び、前記第3回転軸は、いずれも前記ストライカ進入溝よりも下方に配置されている、車両用ドアラッチ装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用ドアラッチ装置であって、
前記車両用ドアラッチ装置は、前記操作機構部が取り付けられるボディ部材をさらに備え、
前記第1入力レバーには、アウトサイドハンドルの操作力を伝達し、インナケーブルと前記インナケーブルが挿通するケーブルアウタとを有するボーデンケーブルである操作力伝達部材の前記インナケーブルが連結するケーブル連結部が設けられており、
前記ボディ部材には、前記第1入力レバーの前記ケーブル連結部の上方に、前記操作力伝達部材の前記ケーブルアウタの端部を固定するケーブルアウタ固定部が設けられている、車両用ドアラッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアを閉状態に保持可能な車両用ドアラッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両のドアを閉状態に保持可能な車両用ドアラッチ装置が知られている。一般に、車両のドアには、アウトサイドハンドルと、アウトサイドハンドルの操作力を伝達する操作力伝達部材が設けられている。また、車両用ドアラッチ装置は、一般に、車体に設けられたストライカに係合可能なラッチを有するラッチ機構部と、操作力伝達部材が接続し、操作力伝達部材を介して伝達されたアウトサイドハンドルの操作力によってラッチ機構部を操作する操作機構部と、を備える。
【0003】
例えば、特許文献1には、前部サイドドア用のロック状態切換手段と、後部サイドドア用のロック状態切換手段との構成が異なる場合でも、部品管理を容易とするとともに組み立て性を向上しつつ組み立て可能とし、コストダウンを図った車両用ドアロック装置が記載されている。また、特許文献2にも、各タイプのドアラッチ装置間で、噛合構造体及びハウジングの共用化を可能にした車両用ドアラッチ装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-064686号公報
【特許文献2】特許第4418319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アウトサイドハンドルの操作力を伝達する操作力伝達部材には、ボーデンケーブルやロッド等が用いられる。そして、アウトサイドハンドルの操作力を伝達する操作力伝達部材の種類によって、操作力伝達部材の動作方向が異なる場合がある。しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の車両用ドアラッチ装置は、アウトサイドハンドルの操作力を車両用ドアラッチ装置に入力する操作力伝達部材の動作方向が異なる場合については、車両用ドアラッチ装置を共用することが難しく、検討の余地があった。
【0006】
本発明は、アウトサイドハンドルの操作力を車両用ドアラッチ装置に入力する操作力伝達部材の動作方向が異なるものに対しても、容易に対応することが可能な車両用ドアラッチ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
車体に設けられたストライカに係合可能なラッチを有するラッチ機構部と、
前記ラッチ機構部を操作する操作機構部と、を備える車両用ドアラッチ装置であって、
前記ラッチ機構部は、
前記ラッチに係合可能なラチェットと、
前記ラチェットの前記ラッチとの係合を解除させるリリースレバーと、を有し、
前記操作機構部は、
第1回転軸と、前記第1回転軸よりも上方に位置し、前記第1回転軸と平行な第2回転軸と、前記第2回転軸よりも下方に位置し、前記第1回転軸及び前記第2回転軸と平行な第3回転軸と、を有し、
前記第1回転軸には、前記リリースレバーと係合し、前記第1回転軸を中心に回動して前記リリースレバーを動作させるサブレバーが軸支されており、
前記第2回転軸は、アウトサイドハンドルの操作力が入力され、前記第2回転軸を中心に回動して前記サブレバーを動作させる第1入力レバー、及び、前記第2回転軸を中心に回動して前記サブレバーを動作させるレバーリンク、を選択して軸支可能であり、
前記第3回転軸は、アウトサイドハンドルの操作力が入力され、前記第3回転軸を中心に回動して前記レバーリンクを動作させる第2入力レバー、を軸支可能である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、アウトサイドハンドルの操作力を車両用ドアラッチ装置に入力する部材の動作方向に応じて、第2回転軸に第1入力レバーを軸支するか、第2回転軸にレバーリンクを軸支して第3回転軸に第2入力レバーを軸支するか、を選択することによって、アウトサイドハンドルの操作力を車両用ドアラッチ装置に入力する操作力伝達部材の動作方向が異なるものに対しても、容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態の車両用ドアラッチ装置を備える車両の左前部分の左側面図である。
【
図2】
図1の車両用ドアラッチ装置を右後方から見た要部後方方斜視図である。
【
図3】
図1の車両用ドアラッチ装置を右後方からメインボディを省略して見た要部後方方斜視図である。
【
図4】
図1の車両用ドアラッチ装置を左前方から見た要部前方斜視図である。
【
図5】
図1の車両用ドアラッチ装置を右前方から見た要部前方斜視図である。
【
図6】操作力伝達部材がボーデンケーブルであり、第2回転軸に第1入力レバーを軸支した場合における、
図1の車両用ドアラッチ装置を前方から見た要部前面図である。
【
図7】操作力伝達部材がロッドであり、第2回転軸にレバーリンクを軸支し、第3回転軸に第2入力レバーを軸支した場合における、
図1の車両用ドアラッチ装置を前方から見た要部前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の車両用ドアラッチ装置の一実施形態を、添付図面に基づいて説明する。なお、図面は、符号の向きに見るものとする。また、本明細書等では説明を簡単且つ明確にするために、前後、左右、上下の各方向は、車両用ドアラッチ装置が搭載される車両の運転者から見た方向に従って記載し、図面には、車両の前方をFr、後方をRr、左方をL、右方をR、上方をU、下方をD、として示す。
【0011】
図1に示すように、ドアラッチ装置10は、車両Vの左フロントドア80に搭載されている。左フロントドア80は、アウタパネル81と不図示のインナパネルとを備える。アウタパネル81の後上部の外側面には、ドアラッチ装置10を車外から開操作するアウトサイドハンドル91と、ドアラッチ装置10を車外からアンロック操作及びロック操作するキーシリンダ92と、が設けられている。インナパネルの前部側の内側面には、ドアラッチ装置10を車内から開操作するインサイドハンドル93と、ドアラッチ装置10を車内よりアンロック操作及びロック操作するロックノブ94が設けられている。さらに、左フロントドア80には、アウトサイドハンドル91の操作力をドアラッチ装置10に伝達する第1操作力伝達部材71と、キーシリンダ92の操作力をドアラッチ装置10に伝達する第2操作力伝達部材72と、インサイドハンドル93の操作力をドアラッチ装置10に伝達する第3操作力伝達部材73と、ロックノブ94の操作力をドアラッチ装置10に伝達する第4操作力伝達部材74と、が設けられている。
【0012】
以下、左側を車幅方向外側、右側を車幅方向内側ということもある。
【0013】
図2から
図5に示すように、ドアラッチ装置10は、車体に設けられたストライカに係合することによって左フロントドア80を閉状態に保持可能なラッチ機構部20と、ラッチ機構部20を操作する操作機構部30と、を備える。ドアラッチ装置10は、ラッチ機構部20と操作機構部30とが一体化した装置となっている。なお、
図4から
図5には、後述する第2回転軸502にレバーリンク53を軸支し、第3回転軸503に第2入力レバー54を軸支した場合の例を示している。
【0014】
ドアラッチ装置10は、左フロントドア80の後端部に固定されるメインボディ41と、メインボディ41の後面の少なくとも一部を覆う金属製の不図示のカバープレートと、メインボディ41の前面の少なくとも一部を覆う金属製の不図示のバックプレートと、を備える。したがって、メインボディ41は、カバープレートとバックプレートとで前後方向に挟まれている。カバープレート及びバックプレートは、メインボディ41に取り付けられており、ドアラッチ装置10のボディ部材は、メインボディ41とカバープレートとバックプレートとを含む。
【0015】
図2に示すように、メインボディ41には、車幅方向外側から車体に設けられたストライカが進入可能なストライカ進入溝411が形成されている。ストライカ進入溝411は、メインボディ41の車幅方向外側の端部から車幅方向内側に向かって凹状に抉れた形状となっている。
【0016】
図3に示すように、ラッチ機構部20は、車体に設けられたストライカに係合可能なラッチ21と、ラッチ21を回動自在に軸支するラッチ軸22と、ラッチ21に係合可能なラチェット23と、ラチェット23を動作させるリリースレバー24と、を備える。
【0017】
図2及び
図3に示すように、ラッチ21は、メインボディ41の後面41bに取り付けられている。
【0018】
ラッチ軸22は、前後方向に延在し、メインボディ41の後面41bに取り付けられている。ラッチ軸22は、前端がドアラッチ装置10のバックプレートに支持固定され、後端がドアラッチ装置10のカバープレートに支持固定されている。
【0019】
ラッチ21は、ラッチ軸22が挿通する挿通孔212が形成されたラッチボディ部211を備える。ラッチ21は、挿通孔212にラッチ軸22が挿通して、ラッチ軸22に回動自在に支持されている。したがって、ラッチ21は、前後方向に延びるラッチ軸22を回転軸として回動する。
【0020】
ラッチ21は、コイルばね25によって前方から見て時計回り方向に付勢されている(
図4参照)。
【0021】
ラッチボディ部211には、車体に設けられたストライカが挿入されるストライカ係合溝213が形成されている。ストライカ係合溝213は、前後方向から見て、ラッチボディ部211の外周縁から挿通孔212に向かって窪んだ凹形状を有する。ストライカ係合溝213は、前後方向から見て、メインボディ41に形成されたストライカ進入溝411と少なくとも一部が重なるように配置されている。
【0022】
また、ラッチボディ部211の外周縁には、ラチェット23が係合可能なラチェット係合部214が形成されている。本実施形態では、ラチェット係合部214は、前方から見て、ストライカ係合溝213の時計回り側に形成されている。
【0023】
ラチェット23は、前後方向に延在する回転軸部231と、回転軸部231から左方向に向かって延在し、ラッチボディ部211に形成されたラチェット係合部214に当接する当接部232と、回転軸部231から右方向に延在し、後述する操作機構部30のリリースレバー24からの入力を受け付ける入力部233と、を備える。本実施形態では、入力部233は、当接部232よりも前方で回転軸部231から右方向に延在するように形成されている。
【0024】
ラチェット23は、回転軸部231がラッチ軸22の右下方になるように配置されている。
【0025】
回転軸部231は、前側回転軸部231aと後側回転軸部231bとを有する。前側回転軸部231a及び後側回転軸部231bは、同軸の円筒形状を有している。本実施形態では、前側回転軸部231aよりも後側回転軸部231bの方が大径となっている。前側回転軸部231aは、バックプレートに回転自在に支持されており、後側回転軸部231bは、メインボディ41に回転自在に支持されている。
【0026】
ラチェット23は、前後方向に延在する回転軸部231の軸心を中心に、前後方向から見て、時計回り及び反時計回りに回動自在となっている。
【0027】
ラチェット23は、コイルばね26によって前方から見て反時計回り方向に付勢されている。
【0028】
左フロントドア80が閉操作されて全閉位置に近づくと、車体に設けられたストライカがメインボディ41のストライカ進入溝411に進入するとともに、ラッチ21のストライカ係合溝213に進入する。左フロントドア80がさらに全閉位置に近づくと、車体に設けられたストライカがラッチ21のストライカ係合溝213の底部に近づきながらストライカ係合溝213の内壁面を車幅方向外側に向かって押圧して、コイルばね24の付勢力に抗してラッチ21を前方から見て反時計回りに回動させる。
【0029】
左フロントドア80が全閉位置になると、前方から見て反時計回り方向に付勢されているラチェット23の当接部232が、前方から見て反時計回りに回動するラッチ21のラチェット係合部214に当接する。そして、前方から見て反時計回り方向に付勢されているラチェット23が、前方から見て反時計回り方向に付勢されているラッチ21に係合する。これにより、ラッチ21の前方から見て反時計回り方向への回動が規制され、左フロントドア80が閉状態に保持される。
【0030】
リリースレバー24は、上下方向にスライド可能であり、ラチェット23に下方から当接可能なラチェット駆動部24aを備える。リリースレバー24は、ラチェット23の入力部233の下方に設けられている。リリースレバー24は、上方にスライドすると、ラチェット駆動部24aがラチェット23の入力部233に下方から上方に向かって当接する。リリースレバー24の下側領域には、左右方向に貫通し、アウトサイドハンドル操作力伝達機構50の後述するサブレバー51に形成された係合部51aが挿通する係合孔24bが形成されている。
【0031】
操作機構部30は、メインボディ41、カバープレート、バックプレート、及び、不図示のサイドボディ等に組み付けられる各種操作レバー、連係レバー及びモータ(図示略)等をさらに備える。
【0032】
操作機構部30は、第1操作力伝達部材71を介して入力されるアウトサイドハンドル91の操作力を伝達してリリースレバー24を動作させるアウトサイドハンドル操作力伝達機構50を備える。
【0033】
(アウトサイドハンドル操作力伝達機構の構成)
図4及び
図5に示すように、アウトサイドハンドル操作力伝達機構50は、メインボディ41の前面41aに取り付けられている。
【0034】
アウトサイドハンドル操作力伝達機構50は、リリースレバー24に係合するサブレバー51を有する。
【0035】
アウトサイドハンドル操作力伝達機構50は、第1回転軸501と、第1回転軸501よりも左上方に位置し、第1回転軸501と平行な第2回転軸502と、第1回転軸501よりも左下方、且つ、第2回転軸502よりも下方に位置し、第1回転軸501及び第2回転軸502と平行な第3回転軸503と、を有する。互いに平行な第1回転軸501、第2回転軸502、及び、第3回転軸503の軸方向は、前後方向となっている。第1回転軸501、第2回転軸502、及び、第3回転軸503は、いずれもメインボディ41の前面41aから前方に突出するように設けられている。
【0036】
第1回転軸501には、サブレバー51が回動自在に軸支されている。サブレバー51は、第1回転軸501から右方向に向かって延在する出力側延在部511と、第1回転軸501から左方向に向かって延在する入力側延在部512と、を有する。
【0037】
サブレバー51の出力側延在部511の右端部には、右方向に突出する係合部51aが形成されている。係合部51aは、リリースレバー24に形成された係合孔24bに挿通し、これにより、サブレバー51は、リリースレバー24と係合する。
【0038】
サブレバー51の入力側延在部512の左端部上側には、入力側当接部51bが形成されている。入力側当接部51bは、右上方向を向いている。
【0039】
サブレバー51は、コイルばね513によって前方から見て反時計回り方向に付勢されている。
【0040】
第2回転軸502は、アウトサイドハンドルの操作力が入力され、第2回転軸502を中心に回動してサブレバー51を動作させる第1入力レバー52、及び、第2回転軸502を中心に回動してサブレバー51を動作させるレバーリンク53、を選択して軸支可能である。
【0041】
本実施形態において、第1操作力伝達部材71がボーデンケーブル711である場合、第2回転軸502に軸支する部材は、第1入力レバー52が選択される。そして、第1操作力伝達部材71がボーデンケーブル711である場合、第2回転軸502に第1入力レバー52が軸支される。ボーデンケーブル711は、インナケーブル711aと、インナケーブル711aが挿通するケーブルアウタ711bと、を有する。そして、アウトサイドハンドル91が操作されると、アウトサイドハンドル91の操作力によって、インナケーブル711aが牽引される。
【0042】
一方、本実施形態において、第1操作力伝達部材71がロッド712である場合、第2回転軸502に軸支する部材は、レバーリンク53が選択される。そして、第1操作力伝達部材71がロッド712である場合、第2回転軸502にレバーリンク53が軸支され、第3回転軸503に第2入力レバー54が軸支される。
【0043】
図6は、第2回転軸502に第1入力レバー52が回動自在に軸支された状態を示した図であり、
図7は、第2回転軸502にレバーリンク53が軸支され、第3回転軸503に第2入力レバー54が軸支された状態を示した図である。
【0044】
まず、
図6を参照して、第1操作力伝達部材71がボーデンケーブル711であり、第2回転軸502に第1入力レバー52が軸支されている状態について説明する。
【0045】
図6に示すように、第2回転軸502には、第1入力レバー52が回動自在に軸支されている。
【0046】
第1入力レバー52は、前後方向から見て、第2回転軸502から右方向に向かって延在する出力側延在部521と、第2回転軸502から左下方向に向かって延在する入力側延在部522と、を有する。
【0047】
第1入力レバー52の出力側延在部521の右端部には、出力側当接部52aが形成されている。出力側当接部52aは、左下方向を向いており、サブレバー51の入力側当接部51bと対向している。
【0048】
第1入力レバー52の入力側延在部522には、第1操作力伝達部材71であるボーデンケーブル711のインナケーブル711aが連結するケーブル連結部52bが形成されている。
【0049】
また、メインボディ41には、第1入力レバー52のケーブル連結部52bの上方に、第1操作力伝達部材71であるボーデンケーブル711のケーブルアウタ711bの端部を固定するケーブルアウタ固定部412が設けられている。ケーブルアウタ711bの端部は、ケーブルアウタ固定部412に固定されることによって、ラッチ機構部20及び操作機構部30に対する位置が固定される。そして、第1操作力伝達部材71であるボーデンケーブル711のケーブルアウタ711bの端部は、下方を向くようにしてケーブルアウタ固定部412に固定される。
【0050】
アウトサイドハンドル91が操作されると、第1操作力伝達部材71であるボーデンケーブル711のインナケーブル711aは、上方に牽引される。すると、インナケーブル711aは、第1入力レバー52の入力側延在部522に形成されたケーブル連結部52bに連結しているので、第1入力レバー52は、前方から見て第2回転軸502を中心に反時計回りに回動する。
【0051】
第1入力レバー52は、前方から見て第2回転軸502を中心に反時計回りに回動すると、出力側延在部521の出力側当接部52aがサブレバー51の入力側延在部512の入力側当接部51bに当接し、サブレバー51を、前方から見て第1回転軸501を中心に時計回りに回動させる。
【0052】
サブレバー51は、前方から見て第1回転軸501を中心に時計回りに回動すると、出力側延在部511の係合部51aがリリースレバー24に形成された係合孔24bの壁面に当接し、リリースレバー24を上方向に変位させる。
【0053】
リリースレバー24が上方向に変位すると、ラチェット駆動部24aがラチェット23の入力部233に当接し、ラチェット23を、前方から見て回転軸部231を中心に時計回りに回動させる(
図2及び
図3参照)。
【0054】
ラチェット23が前方から見て回転軸部231を中心に時計回りに回動すると、ラチェット23の当接部232が、ラッチ21のラチェット係合部214から離脱する。すると、ラッチ21の前方から見て反時計回り方向への回動の規制が解除され、前方から見て反時計回り方向に付勢されているラッチ21は、前方から見て反時計回りに回動し、車体に設けられたストライカが、ラッチ21のストライカ係合溝213、及び、メインボディ41のストライカ進入溝411から離脱可能な状態となる。これにより、左フロントドア80の開操作が可能となる。
【0055】
続いて、
図7を参照して、第1操作力伝達部材71がロッド712であり、第2回転軸502にレバーリンク53が軸支され、第3回転軸503に第2入力レバー54が軸支されている状態について説明する。
【0056】
図7に示すように、第2回転軸502には、レバーリンク53が回動自在に軸支されている。
【0057】
レバーリンク53は、前後方向から見て、第2回転軸502から右方向に向かって延在する出力側延在部531と、第2回転軸502から下方向に向かって延在する入力側延在部532と、を有する。
【0058】
レバーリンク53の出力側延在部531の右端部には、出力側当接部53aが形成されている。出力側当接部53aは、左下方向を向いており、サブレバー51の入力側当接部51bと対向している。
【0059】
レバーリンク53の入力側延在部532の下端部右側には、入力側当接部53bが形成されている。入力側当接部53bは、右下方向を向いている。
【0060】
第3回転軸503には、第2入力レバー54が回動自在に軸支されている。
【0061】
第2入力レバー54は、前後方向から見て、第3回転軸503から右上方向に向かって延在する出力側延在部541と、第3回転軸503から左上方向に向かって延在する入力側延在部542と、を有する。
【0062】
第2入力レバー54の出力側延在部541の左上端部には、出力側当接部54aが形成されている。出力側当接部54aは、左上方向を向いており、レバーリンク53の入力側当接部53bと対向している。
【0063】
第2入力レバー54の入力側延在部542には、第1操作力伝達部材71であるロッド712が係合するクリップ60が組み付けられている。
【0064】
第2入力レバー54は、コイルばね543によって前方から見て反時計回り方向に付勢されている。
【0065】
第1操作力伝達部材71であるロッド712は、アウトサイドハンドル91が操作されると下方に変位する。すると、ロッド712は、第2入力レバー54の入力側延在部542に組み付けられたクリップ60と係合しているので、第2入力レバー54は、前方から見て第3回転軸503を中心に時計回りに回動する。
【0066】
第2入力レバー54は、前方から見て第3回転軸503を中心に時計回りに回動すると、出力側延在部541の出力側当接部54aがレバーリンク53の入力側延在部532の入力側当接部53bに当接し、レバーリンク53を、前方から見て第2回転軸502を中心に反時計回りに回動させる。
【0067】
レバーリンク53は、前方から見て第2回転軸502を中心に反時計回りに回動すると、出力側延在部531の出力側当接部53aがサブレバー51の入力側延在部512の入力側当接部51bに当接し、サブレバー51を、前方から見て第1回転軸501を中心に時計回りに回動させる。
【0068】
サブレバー51は、前方から見て第1回転軸501を中心に時計回りに回動すると、出力側延在部511の係合部51aがリリースレバー24に形成された係合孔24bの壁面に当接し、リリースレバー24を上方向に変位させる。
【0069】
リリースレバー24が上方向に変位すると、ラチェット駆動部24aがラチェット23の入力部233に当接し、ラチェット23を、前方から見て回転軸部231を中心に時計回りに回動させる。
【0070】
ラチェット23が前方から見て回転軸部231を中心に時計回りに回動すると、ラチェット23の当接部232が、ラッチ21のラチェット係合部214から離脱する。すると、ラッチ21の前方から見て反時計回り方向への回動の規制が解除され、前方から見て反時計回り方向に付勢されているラッチ21は、前方から見て反時計回りに回動し、車体に設けられたストライカが、ラッチ21のストライカ係合溝213、及び、メインボディ41のストライカ進入溝411から離脱可能な状態となる。これにより、左フロントドア80の開操作が可能となる。
【0071】
このように、アウトサイドハンドル91の操作力によって、前方から見て、第1操作力伝達部材71が第2回転軸502に対して反時計回り方向に変位する場合、第1入力レバー52及びレバーリンク53のうち、第1入力レバー52を選択して、第2回転軸502に第1入力レバー52を軸支する。一方、アウトサイドハンドル91の操作力によって、前方から見て、第1操作力伝達部材71が第2回転軸502に対して時計回り方向に変位する場合、第1入力レバー52及びレバーリンク53のうち、レバーリンク53を選択して、第2回転軸502にレバーリンク53を軸支し、第3回転軸503に第2入力レバー54を軸支する。
【0072】
これにより、ドアラッチ装置10は、第1入力レバー52及びレバーリンク53のいずれかを選択して第2回転軸502に軸支することによって、ドアラッチ装置10が取り付けられるドアに設けられた第1操作力伝達部材71の動作方向が異なるものに対しても、容易に対応することが可能となる。本実施形態では、ドアラッチ装置10は、アウトサイドハンドル91の操作力によって、第1操作力伝達部材71が前方から見て第2回転軸502に対して反時計回り方向に変位するものに対しても、時計回り方向に変位するものに対しても、容易に対応することが可能となる。
【0073】
第1回転軸501、第2回転軸502、及び、第3回転軸503の軸方向(すなわち、本実施形態では前後方向)から見て、第1入力レバー52の出力側当接部52aの回動軌跡SP2、レバーリンク53の出力側当接部53aの回転軌跡SP3、及び、第2入力レバー54の出力側当接部54aの回転軌跡SP4はいずれも、サブレバー51の入力側当接部51bの回動軌跡SP1と少なくとも一部が重複する。
【0074】
これにより、第1回転軸501、第2回転軸502、及び、第3回転軸503の軸方向(すなわち、本実施形態では前後方向)から見たドアラッチ装置10の投影面積を小さくすることができるので、ドアラッチ装置10の小型化を図ることができる。
【0075】
また、前述したように、ラッチ21は、メインボディ41の後面41bに取り付けられるのに対し、アウトサイドハンドル操作力伝達機構50は、メインボディ41の前面41aに取り付けられている。
【0076】
これにより、ドアラッチ装置10が取り付けられるドアの態様によらず、メインボディ41の共用化を図ることができる。また、メインボディ41の前面41aに取り付けられたアウトサイドハンドル操作力伝達機構50のみを変更することで、ドアラッチ装置10を多様なドアに取り付けることが可能となるので、ドアラッチ装置10の汎用性がより向上する。
【0077】
さらに、第1回転軸501、第2回転軸502、及び、第3回転軸503は、いずれもメインボディ41に設けられたストライカ進入溝411よりも下方に配置されている。
【0078】
これにより、車両においてレイアウトの制限が厳しいリヤドアにドアラッチ装置10を取り付ける場合であっても、第1操作力伝達部材71を配置するスペースを確保して、アウトサイドハンドルと確実に連結することが可能となる。また、リリースレバー24をストライカ進入溝411の下方に配置することができるので、リリースレバー24の動作をロックする施解錠機構を設ける場合に、アウトサイドハンドル操作力伝達機構50とともに、施解錠機構をストライカ進入溝411の下方に配置することができ、スペース効率が向上する。したがって、ドアラッチ装置10において、スペース効率よく各種操作レバーや連係レバーを配置することができ、ドアラッチ装置10の小型化を図ることができる。
【0079】
また、第3回転軸503が第2回転軸502よりも下方に配置されているのに対し、第1入力レバー52のケーブル連結部52bの上方に、第1操作力伝達部材71であるボーデンケーブル711のケーブルアウタ711bの端部を固定するケーブルアウタ固定部412が設けられている。そして、ケーブルアウタ固定部412は、操作機構部30が取り付けられるメインボディ41に設けられている。なお、ケーブルアウタ固定部412は、前述したドアラッチ装置10のボディ部材をメインボディ41とともに構成する、カバープレート又はバックプレートに設けられていてもよい。
【0080】
そのため、ケーブルアウタ固定部412と第3回転軸503との距離を大きくとることができるので、第1操作力伝達部材71がロッド712であり、第3回転軸503に第2入力レバー54を取り付けて、第2入力レバー54にロッド712を係合した場合でも、ケーブルアウタ固定部412がロッド712と干渉することを防止できる。これにより、第1操作力伝達部材71がボーデンケーブル711であるドアにドアラッチ装置10を取り付ける場合でも、第1操作力伝達部材71がロッド712であるドアにドアラッチ装置10を取り付ける場合でも、メインボディ41を共用することが可能となる。
【0081】
以上、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0082】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を一例として示しているが、これに限定されるものではない。
【0083】
(1) 車体に設けられたストライカに係合可能なラッチ(ラッチ21)を有するラッチ機構部(ラッチ機構部20)と、
前記ラッチ機構部を操作する操作機構部(アウトサイドハンドル操作力伝達機構50)と、を備える車両用ドアラッチ装置(ドアラッチ装置10)であって、
前記ラッチ機構部は、
前記ラッチに係合可能なラチェット(ラチェット23)と、
前記ラチェットの前記ラッチとの係合を解除させるリリースレバー(リリースレバー24)と、を有し、
前記操作機構部は、
第1回転軸(第1回転軸501)と、前記第1回転軸よりも上方に位置し、前記第1回転軸と平行な第2回転軸(第2回転軸502)と、前記第2回転軸よりも下方に位置し、前記第1回転軸及び前記第2回転軸と平行な第3回転軸(第3回転軸503)と、を有し、
前記第1回転軸には、前記リリースレバーと係合し、前記第1回転軸を中心に回動して前記リリースレバーを動作させるサブレバー(サブレバー51)が軸支されており、
前記第2回転軸は、アウトサイドハンドルの操作力が入力され、前記第2回転軸を中心に回動して前記サブレバーを動作させる第1入力レバー(第1入力レバー52)、及び、前記第2回転軸を中心に回動して前記サブレバーを動作させるレバーリンク(レバーリンク53)、を選択して軸支可能であり、
前記第3回転軸は、アウトサイドハンドルの操作力が入力され、前記第3回転軸を中心に回動して前記レバーリンクを動作させる第2入力レバー(第2入力レバー54)、を軸支可能である、車両用ドアラッチ装置。
【0084】
(1)によれば、アウトサイドハンドルの操作力を車両用ドアラッチ装置に入力する部材の動作方向に応じて、第2回転軸に第1入力レバーを軸支するか、第2回転軸にレバーリンクを軸支して第3回転軸に第2入力レバーを軸支するか、を選択することによって、アウトサイドハンドルの操作力を車両用ドアラッチ装置に入力する操作力伝達部材の動作方向が異なるものに対しても、容易に対応することができる。
【0085】
(2) (1)に記載の車両用ドアラッチ装置であって、
前記サブレバーは、前記第1入力レバー又は前記レバーリンクが回動すると前記第1入力レバー又は前記レバーリンクが当接する入力側当接部(入力側当接部51b)を有し、
前記第1入力レバーは、回動すると前記サブレバーの前記入力側当接部に当接する出力側当接部(出力側当接部52a)を有し、
前記レバーリンクは、回動すると前記サブレバーの前記入力側当接部に当接する出力側当接部(出力側当接部53a)と、前記第2入力レバーが回動すると前記第2入力レバーが当接する入力側当接部(入力側当接部53b)と、を有し、
前記第2入力レバーは、回動すると前記レバーリンクの前記入力側当接部に当接する出力側当接部(出力側当接部54a)を有し、
前記第1回転軸、前記第2回転軸、及び、前記第3回転軸の軸方向から見て、前記第1入力レバーの前記出力側当接部の回動軌跡(回動軌跡SP2)、前記レバーリンクの前記出力側当接部の回転軌跡(回転軌跡SP3)、及び、前記第2入力レバーの前記出力側当接部の回転軌跡(回転軌跡SP4)はいずれも、前記サブレバーの前記入力側当接部の回動軌跡(回動軌跡SP1)と少なくとも一部が重複する、車両用ドアラッチ装置。
【0086】
(2)によれば、第1回転軸、第2回転軸、及び、第3回転軸503の軸方向から見た車両用ドアラッチ装置の投影面積を小さくすることができるので、車両用ドアラッチ装置の小型化を図ることができる。
【0087】
(3) (2)に記載の車両用ドアラッチ装置であって、
前記車両用ドアラッチ装置は、前記ラッチ機構部と前記操作機構部とが取り付けられるボディ部材(メインボディ41)をさらに備え、
前記ラッチは、前記ボディ部材の一方側の第1面(後面41b)に取り付けられ、
前記操作機構部は、前記ボディ部材の前記第1面と反対側の第2面(前面41a)に取り付けられる、車両用ドアラッチ装置。
【0088】
(3)によれば、車両用ドアラッチ装置が取り付けられるドアの態様によらず、ボディ部材の共用化を図ることができる。また、ボディ部材の第2面に取り付けられた操作機構部のみを変更することで、車両用ドアラッチ装置を多様なドアに取り付けることが可能となるので、車両用ドアラッチ装置の汎用性がより向上する。
【0089】
(4) (3)に記載の車両用ドアラッチ装置であって、
前記ボディ部材には、車幅方向外側から前記ストライカが進入可能なストライカ進入溝(ストライカ進入溝411)が形成されており、
前記第1回転軸、前記第2回転軸、及び、前記第3回転軸は、いずれも前記ストライカ進入溝よりも下方に配置されている、車両用ドアラッチ装置。
【0090】
(4)によれば、車両においてレイアウトの制限が厳しいドアに車両用ドアラッチ装置を取り付ける場合であっても、アウトサイドハンドルの操作力を伝達する操作力伝達部材を配置するスペースを確保して、アウトサイドハンドルと確実に連結することが可能となる。また、リリースレバーをストライカ進入溝の下方に配置することができるので、リリースレバーの動作をロックする施解錠機構を設ける場合に、操作機構部とともに施解錠機構をストライカ進入溝の下方に配置することができ、スペース効率が向上する。したがって、車両用ドアラッチ装置において、スペース効率よく各種操作レバーや連係レバーを配置することができ、車両用ドアラッチ装置の小型化を図ることができる。
【0091】
(5) (1)から(4)のいずれかに記載の車両用ドアラッチ装置であって、
前記車両用ドアラッチ装置は、前記操作機構部が取り付けられるボディ部材(メインボディ41)をさらに備え、
前記第1入力レバーには、アウトサイドハンドルの操作力を伝達し、インナケーブル(インナケーブル711a)と前記インナケーブルが挿通するケーブルアウタ(ケーブルアウタ711b)とを有するボーデンケーブル(ボーデンケーブル711)である操作力伝達部材(第1操作力伝達部材71)の前記インナケーブルが連結するケーブル連結部(ケーブル連結部52b)が設けられており、
前記ボディ部材には、前記第1入力レバーの前記ケーブル連結部の上方に、前記操作力伝達部材の前記ケーブルアウタの端部を固定するケーブルアウタ固定部(ケーブルアウタ固定部412)が設けられている、車両用ドアラッチ装置。
【0092】
(5)によれば、ケーブルアウタ固定部と第3回転軸との距離を大きくとることができるので、アウトサイドハンドルの操作力を伝達する操作力伝達部材がロッドであり、第3回転軸に第2入力レバーを取り付けて、第2入力レバーにロッドを係合した場合でも、ケーブルアウタ固定部がロッドと干渉することを防止できる。これにより、操作力伝達部材がボーデンケーブルであるドアに車両用ドアラッチ装置を取り付ける場合でも、操作力伝達部材がロッドであるドアに車両用ドアラッチ装置を取り付ける場合でも、操作機構部が取り付けられるボディ部材を共用することが可能となる。
【符号の説明】
【0093】
10 ドアラッチ装置(車両用ドアラッチ装置)
20 ラッチ機構部
21 ラッチ
23 ラチェット
24 リリースレバー
41 メインボディ(ボディ部材)
41a 前面(第2面)
41b 後面(第1面)
411 ストライカ進入溝
412 ケーブルアウタ固定部
50 アウトサイドハンドル操作力伝達機構(操作機構部)
501 第1回転軸
502 第2回転軸
503 第3回転軸
51 サブレバー
51b 入力側当接部
52 第1入力レバー
52a 出力側当接部
52b ケーブル連結部
53 レバーリンク
53a 出力側当接部
53b 入力側当接部
54 第2入力レバー
54a 出力側当接部
71 第1操作力伝達部材(操作力伝達部材)
711 ボーデンケーブル
711a インナケーブル
711b ケーブルアウタ
SP1 回動軌跡
SP2 回動軌跡
SP3 回転軌跡
SP4 回転軌跡