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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104147
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/02 20060101AFI20240726BHJP
   B08B 5/02 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
B08B3/02 G
B08B3/02 F
B08B5/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008230
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】597144484
【氏名又は名称】ジー・オー・ピー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117857
【弁理士】
【氏名又は名称】南林 薫
(72)【発明者】
【氏名】千田 豊治
【テーマコード(参考)】
3B116
3B201
【Fターム(参考)】
3B116AA46
3B116AB53
3B116BB22
3B116BB46
3B116BB57
3B116CD43
3B201AA46
3B201AB53
3B201BB22
3B201BB46
3B201BB57
3B201BB92
3B201CD43
(57)【要約】
【課題】洗浄装置の洗浄力を向上させることを目的とする。
【解決手段】本発明は、洗浄液を噴射する噴射ノズル31を有する仮設資機材の洗浄装置100であって、噴射ノズル31は、仮設資機材に対して前後方向に移動するとともに、左右方向に複数、配置されることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液を噴射する噴射ノズルを有する仮設資機材の洗浄装置であって、
前記噴射ノズルは、
前記仮設資機材に対して相対的に第1の方向に移動するとともに、前記第1の方向に対して交差する第2の方向に複数、配置されることを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記第2の方向に配置される複数の噴射ノズルを噴射ノズル群とすると、
前記噴射ノズル群は、前記第1の方向に離れて複数、配置されることを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記噴射ノズルは、
前記第1の方向に沿って見たとき、前記噴射ノズルの噴射口から第1の角度で広がるように洗浄液を噴射し、
前記第2の方向に沿って見たとき、前記噴射ノズルの噴射口から前記第1の角度よりも小さい第2の角度で洗浄液を噴射することを特徴とする請求項1または2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記第2の方向で隣り合う噴射ノズルは、前記第1の方向に沿って見たとき、噴射範囲が重なり合い、
前記第1の方向で隣り合う噴射ノズルは、前記第2の方向に沿って見たとき、噴射範囲が重なり合わないことを特徴とする請求項2に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記噴射ノズルの上下方向の位置を調整する調整手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記噴射ノズル群の全体の上下方向の位置を一度に調整する第1の調整手段と、
前記噴射ノズル群に含まれる前記複数の噴射ノズルの上下方向の位置を個々に調整する第2の調整手段と、を有することを特徴とする請求項2に記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記噴射ノズルの噴射方向を調整する調整手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の洗浄装置。
【請求項8】
前記噴射ノズル群に含まれる前記複数の噴射ノズルの噴射方向を一度に調整する第1の調整手段と、
前記噴射ノズル群に含まれる前記複数の噴射ノズルの噴射方向を個々に調整する第2の調整手段と、を有することを特徴とする請求項2に記載の洗浄装置。
【請求項9】
前記第2の方向に隣り合う噴射ノズル同士の間隔を調整する調整手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の洗浄装置。
【請求項10】
前記第1の方向に隣り合う噴射ノズル同士の間隔を調整する調整手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設資機材の洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建設現場等で使用される仮設資機材は、使用によって汚れるために定期的に洗浄する必要がある。特許文献1には、台車を洗浄する台車洗浄手段を有する洗浄装置が開示されている。特許文献1に開示された台車洗浄手段は、浸漬槽の上部に噴射ノズルが設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-193453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建設現場等で使用される仮設資機材に付着する汚れは、埃等をはじめとして泥やモルタル等の付着物が含まれる。泥やモルタル等の付着物は乾燥して固まると容易に落とすことができなくなる。
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、洗浄装置の洗浄力を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、洗浄液を噴射する噴射ノズルを有する仮設資機材の洗浄装置であって、前記噴射ノズルは、前記仮設資機材に対して相対的に第1の方向に移動するとともに、前記第1の方向に対して交差する第2の方向に複数、配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、洗浄装置の洗浄力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態の洗浄装置および被洗浄物の構成を示す斜視図である。
図2】第1の実施形態の噴射部の構成を示す図である。
図3】第1の実施形態の噴射部の構成を示す図である。
図4】第2の実施形態の洗浄装置および被洗浄物の構成を示す斜視図である。
図5】第2の実施形態の噴射部の構成を示す図である。
図6】第2の実施形態の噴射部の構成を示す図である。
図7】第3の実施形態の噴射部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施形態に係る洗浄装置について図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
図1は洗浄装置100および架設床1の構成を示す斜視図である。なお、図1を含む各図では便宜上、洗浄装置100の後述する噴射部30が洗浄を開始してから移動する方向を前側として矢印Fr、後側を矢印Rr、右側を矢印R、左側を矢印Lとして示している。
【0009】
洗浄装置100は、基台部10と、搬送部20と、噴射部30とを備えている。
基台部10は、洗浄装置100全体を支持する機能を有する。基台部10は、前側接地部11a、後側接地部11b、搬送支持部14を有する。
【0010】
前側接地部11aと後側接地部11bとは、搬送支持部14を支持する部位である。前側接地部11aと後側接地部11bとは、互いに前後に離れた状態で床面に接地される。前側接地部11aと後側接地部11bとの間は被洗浄物を配置できる間隔を有している。前側接地部11aおよび後側接地部11bは、複数(ここでは4本)のフレームによって構成される枠部12と、高さ調整可能な脚部13とを有する。
【0011】
搬送支持部14は、搬送部20を支持する部位である。搬送支持部14は、前側接地部11aと後側接地部11bとの間でアーチ状に架け渡すように配置される。搬送支持部14は、下側に被洗浄物を配置するための空間が形成されるように床面から上側に離れている。搬送支持部14は、複数(ここでは4本)のフレームによって構成される枠部15と、前側接地部11aあるいは後側接地部11bとの間に斜めに架け渡される補強部16とを有する。なお、搬送支持部14は、前側および後側に噴射部30の位置を検出するための図示しないリミッタスイッチを有する。
【0012】
搬送部20は、噴射部30を被洗浄物に対して相対的に移動させる機能を有する。具体的には、搬送部20は、噴射部30を前後方向に沿って直線上に移動させる。搬送部20は、搬送支持部14によって支持される。搬送部20は、アクチュエータ21と、ガイド部22と、被ガイド部23と、連動部24とを有する。
アクチュエータ21は、噴射部30を移動させるときの駆動力を発生される部位である。アクチュエータ21は、搬送支持部14の後側であって枠部15内で支持される。本実施形態のアクチュエータ21はモータであるが、噴射部30を被洗浄物に対して相対的に移動させることができれば、モータ以外であってもよい。
【0013】
ガイド部22は、噴射部30が前後方向に移動するように、被ガイド部23をガイドする部位である。ガイド部22は、前後方向に沿って長い軸状の部材である。本実施形態のガイド部22は、外周面に前側から後側に亘って雄ネジが形成される。また、ガイド部22は、前端が枠部15内で支持され、後端がアクチュエータ21に接続される。アクチュエータ21が駆動することによりガイド部22が軸回りに回動する。なお、アクチュエータ21は、ガイド部22を一方向(ここでは左回り)に回動させたり、他方向(ここでは右回り)に回動させたりすることができる。
【0014】
被ガイド部23は、ガイド部22によりガイドされる部位である。被ガイド部23は、ガイド部22を周囲から覆うように保持する部材である。本実施形態の被ガイド部23は、内周面にガイド部22の雄ネジに螺合する雌ネジが形成される。したがって、アクチュエータ21が駆動してガイド部22が一方向に回動することにより被ガイド部23が前後方向のうち一方側(ここでは前側)に移動し、ガイド部22が他方向に回動することにより被ガイド部23が前後方向のうち他方側(ここでは後側)に移動する。
【0015】
連動部24は、被ガイド部23と噴射部30とを接続する部位である。連動部24により被ガイド部23と噴射部30とが接続されることにより噴射部30は被ガイド部23に連動して前後方向に移動する。連動部24は、搬送支持部14の左右方向のうち一方側(ここでは右側)に位置する。連動部24は、上下方向に沿って長い部材であり、搬送支持部14の枠部15から搬送支持部14の下側に形成される空間まで延びている。また、連動部24は、搬送支持部14の枠部15のうち上側のフレームおよび下側のフレームにガイドされることにより上下方向に沿った姿勢を維持したまま移動する。
【0016】
噴射部30は、被洗浄物に対して洗浄液を噴射する機能を有する。本実施形態の噴射部30は、複数(ここでは計10)の噴射ノズル31が左右方向に沿って互いに間隔を空けて列となって配置される。
また、左右方向に沿って列となった複数の噴射ノズル31を噴射ノズル群とすると、本実施形態の噴射部30は、前後方向に間隔を空けて複数列(ここでは3列)の噴射ノズル群50a~50cが配置される。ここでは、1列目が噴射ノズル群50aであり、2列目が噴射ノズル群50bであり、3列目が噴射ノズル群50cである。なお、各列の噴射ノズル群50a~50cは同様の構成である。
【0017】
以下、具体的に、噴射部30の構成について説明する。
図2は、前側から見た噴射部30の構成を示す図である。なお、図2では、2列目の噴射ノズル群50bと3列目の噴射ノズル群50cは、1列目の噴射ノズル群50aに隠れており図示されていない。図3は、右側から見た噴射部30の構成を示す図である。なお、図3では、右端以外に配置された噴射ノズル31は、右端に配置された噴射ノズル31に隠れており図示されていない。
【0018】
噴射部30は、噴射ノズル31と、前後配置部32と、左右配置部34a~34cと、ノズル配置部36とを有する。
前後配置部32は、各列の噴射ノズル群50a~50cを前後方向に間隔を空けて配置するための部位である。前後配置部32は、前後方向に沿って長い部材である。前後配置部32は、連動部24に固定される。具体的に、前後配置部32は、連動部24に対して左右方向から挟み込むようにしてボルト等の固定手段33を介して固定される。
【0019】
前後配置部32は、固定手段33を介した固定を解除した状態で連動部24に沿って上下方向に移動でき、移動させた後に固定手段33を介して再び固定することにより、噴射ノズル群50a~50c全体の位置を一度で上下方向に沿って調整することができる。例えば、被洗浄物が上下方向に高いサイズである場合には、噴射ノズル群50a~50c全体を上側に調整することにより噴射ノズル31と被洗浄物との干渉を避けることができる。一方、被洗浄物が上下方向に低いサイズである場合には、噴射ノズル群50a~50c全体を下側に調整することにより噴射ノズル31と被洗浄物とを近づけることができるために、圧力が低下していない高圧の洗浄液を被洗浄物に噴射させることができる。ここで、連動部24、前後配置部32および固定手段33は、複数の噴射ノズル31を上下方向に一度に調整することができる調整手段の一例に相当する。
【0020】
左右配置部34a~34cは、噴射ノズル群50a~50cがそれぞれ有する複数の噴射ノズル31を左右方向に沿って配置するための部位である。左右配置部34a~34cは、それぞれ左右方向に沿って長い部材である。本実施形態の左右配置部34a~34cは左右方向から見て略円形である。左右配置部34a~34cは、前後配置部32に固定される。具体的に、左右配置部34a~34cは、左側の端部が前後配置部32により上下方向から挟み込まれるようにしてボルト等の固定手段35を介して固定される(後述する図5(b)を参照)。
【0021】
左右配置部34a~34cは、略円形であるために固定手段35による固定を解除した状態では、左右配置部34a~34cの軸線回りに回動させることができる。したがって左右配置部34a~34cを軸線回りに回動させた後に固定手段35を介して再び固定することにより、噴射ノズル群50a~50cがそれぞれ有する複数の噴射ノズル31の噴射方向(噴射角度)を噴射ノズル群50a~50cごとに一度に調整することができる。例えば、埃が多く付着している傾向のある被洗浄物の場合には、噴射角度(噴射方向と水平面との間の鋭角側角度)が90°近くになるように調整することにより洗浄液で埃を飛散させるようにして洗浄することができる。一方、モルタル等が多く付着している傾向のある被洗浄物の場合には、噴射角度(噴射方向と水平面との間の鋭角側角度)が45°近くになるように調整することにより、被洗浄物とモルタルとの間の境界に洗浄液を噴射させるようにすることでモルタルを被洗浄物から剥ぎ取るようにして洗浄することができる。ここで、前後配置部32、左右配置部34a~34cおよび固定手段35は、複数の噴射ノズル31の噴射方向を前後方向に一度に調整することができる調整手段の一例に相当する。
【0022】
ノズル配置部36は、個々の噴射ノズル31を洗浄装置100の操作者が定めた位置に配置するための部位である。具体的に、ノズル配置部36は、左右配置部34a~34cと各噴射ノズル31とを接続させる。ノズル配置部36は、噴射ノズル31それぞれに対応して設けられる。本実施形態の噴射部30は計30の噴射ノズル31を有することから、同様に計30のノズル配置部36を有する。ノズル配置部36は、複数の直方体を組み合わせたような形状である。ノズル配置部36の左右方向の幅寸法は、噴射ノズル31の左右方向の幅寸法よりも大きく、噴射ノズル31の左右方向の幅寸法の2倍よりも小さい大きさである。ノズル配置部36は、第1の固定部37と、第2の固定部39とを有する(図3を参照)。第1の固定部37と第2の固定部39とは一体で構成される。
【0023】
第1の固定部37は、左右配置部34a~34cに対して固定される部位である。第1の固定部37は、左右配置部34a~34cを前後方向から挟み込むようにしてボルト等の固定手段38を介して固定する。
左右配置部34a~34cは略円形であるために第1の固定部37の固定手段38による固定を解除した状態では、ノズル配置部36を左右配置部34a~34cの軸線回りに回動させることができる。したがって、ノズル配置部36を左右配置部34a~34cの軸線回りに回動させた後に固定手段38を介して再び固定することにより、噴射ノズル31の噴射方向(噴射角度)を個々に(独立して)調整することができる。例えば、埃やモルタル等が混在している被洗浄物の場合には、噴射ノズル31をそれぞれ異なる噴射角度に調整することにより、埃を主に洗浄する噴射ノズル31と、モルタルを主に洗浄する噴射ノズル31とを混在させるようにして洗浄することができる。ノズル配置部36、左右配置部34a~34cおよび固定手段38は、噴射ノズル31の噴射方向を前後方向に個々に調整することができる調整手段の一例に相当する。
【0024】
また、第1の固定部37の固定手段38による固定を解除した状態では、ノズル配置部36を左右配置部34a~34cに沿って移動させることができる。したがって、ノズル配置部36を左右配置部34a~34cに沿って移動させた後に固定手段38を介して再び固定することにより、左右方向に隣り合う噴射ノズル31同士の間隔を調整することができる。例えば、被洗浄物が左右方向に大きなサイズである場合には、噴射ノズル31同士の間隔を大きくすることにより、大きなサイズの被洗浄物に対しても満遍なく洗浄液を噴射することができる。また、落としにくい付着物が付着された被洗浄物の場合には、噴射ノズル31同士の間隔を小さくすることにより、隣り合う噴射ノズル31の噴射範囲が左右方向で重なり合うようにすることができる。したがって、付着物に対して複数の噴射ノズル31からの洗浄液を噴射させることができるので、付着物を容易に洗浄することができる。ここで、ノズル配置部36、左右配置部34a~34cおよび固定手段38は、左右方向に隣り合う噴射ノズル31同士の間隔を調整することができる調整手段の一例に相当する。
【0025】
第2の固定部39は、噴射ノズル31を固定する部位である。第2の固定部39は、噴射ノズル31の噴射方向(噴射角度)が上下方向および水平方向の何れに対しても傾斜した方向になるように噴射ノズル31を固定する。第2の固定部39は、噴射ノズル31の本体部を左右方向から挟み込むようにしてボルト等の固定手段40を介して固定する(図5(b)を参照)。
噴射ノズル31の本体部は、軸線方向に沿って同一形状であるために第2の固定部39の固定手段40による固定を解除した状態では、噴射ノズル31を本体部の軸線方向(噴射方向)に沿って移動させることができる。したがって、噴射ノズル31を本体部の軸線方向に移動させた後に固定手段40を介して再び固定することにより、噴射ノズル31を噴射方向(上下方向および水平方向の何れに対しても傾斜した方向)に沿って個々に調整することができる。例えば、被洗浄物が左右方向で凹凸があったり、左右方向の一方側に向かうにしたがって傾斜があったりするような場合には、被洗浄物の形状に合わせて、個々の噴射ノズル31の位置を調整することにより、噴射ノズル31と被洗浄物とを近づけることができるために、圧力が低下していない高圧の洗浄液を被洗浄物に噴射させることができる。ここで、ノズル配置部36、噴射ノズル31の本体部および固定手段40は、噴射ノズル31を上下方向および水平方向に個々に調整することができる調整手段の一例に相当する。
【0026】
なお、第2の固定部39は前側に向かって一体で突出する略円形の軸部41を有しており、第1の固定部37が軸部41を左右方向から挟み込むようにしてボルト等の固定手段42を介して固定する。軸部41は、略円形であるために固定手段42による固定を解除した状態では、第2の固定部39を軸部41の軸線回りに回動させることができる。したがって第2の固定部39を軸線回りに回動させた後に固定手段42を介して再び固定することにより、噴射ノズル31の噴射方向を左右方向に個々に調整することができる。
【0027】
噴射ノズル31は、高圧に圧縮された洗浄液を霧状にして被洗浄物に対して噴射する。なお、噴射ノズル31から噴射される洗浄液は、水であってもよく、水に洗浄剤を混合させた液体であってもよい。各噴射ノズル31は、洗浄液の流路となる高圧ホース45が接続されている。また、高圧ホース45は液体用圧縮機に接続されている。したがって、液体用圧縮機に圧縮された洗浄液が高圧ホース45を通して噴射ノズル31から噴射される。本実施形態の噴射ノズル31は、ノズル配置部36の第2の固定部39により噴射ノズル31の噴射方向(噴射角度)が上下方向および水平方向の何れに対しても傾斜した方向になるように固定される。したがって、噴射ノズル31は、被洗浄物に向かって斜め上側から洗浄液を噴射する。
【0028】
また、図2に示すように、前側から見た場合、噴射ノズル31は噴射口から左右方向に広がるように洗浄液を噴射する。ここで、前側から見た場合に噴射ノズル31の噴射口から洗浄液が広がる角度を角度αとすると、角度αは例えば、20°以上、90°以下である。このように、噴射ノズル31は噴射口から左右方向に広がることにより、前側から見たときに左右方向に隣り合う噴射ノズル31の噴射範囲を重なり合うようにすることができる。
【0029】
一方、図3に示すように、左右方向から見た場合、噴射ノズル31は噴射口から噴射方向に沿って略直線上に洗浄液を噴射する。ここで、左右方向から見た場合に噴射ノズル31の噴射口から洗浄液が広がる角度を角度βとすると、角度βは例えば、0°以上、19°以下であって、角度α>角度βの関係である。このように、噴射ノズル31は噴射口から略直線上に洗浄液を噴射することにより、左右方向から見たときに前後方向に隣り合う噴射ノズル31の噴射範囲を重なり合わないようにすることができる。
【0030】
以上のように構成される洗浄装置100を用いて被洗浄物を洗浄する場合について説明する。
ここでは、被洗浄物としての仮設資機材が図1に示す架設床1であるものとする。架設床1は、床部2と、4つの脚部3とを有する。床部2は、平面視において、略矩形状である。床部2の上面は水平な面であり、上面には対向する両辺に亘って滑り止めとしての凸条4が形成される。凸条4は互いに間隔を空けて床部2の全面に複数形成される。建設現場の作業者は、架設床1を建設現場の床面に設けられた各種凹凸に対して脚部3で跨ぐように設置する。したがって、作業者は、建設現場で通行したり作業したりするときに凹凸を経由せずに平らな床部2を介して通行したり作業したりすることができる。このような架設床1が建設現場で使用されることにより、架設床1の床部2の上面には埃等をはじめとして泥やモルタル等の付着物が付着する。
【0031】
洗浄装置100の操作者は、洗浄装置100を用いて架設床1を洗浄するために、架設床1を基台部10の前側接地部11aと後側接地部11bとの間に配置する。このとき、床部2の凸条4の方向が前後方向になるように架設床1を配置することが好ましい。また、洗浄装置100は洗浄を開始する前の初期位置では、噴射部30が後側に位置する。
【0032】
操作者は、予め架設床1の上下方向の高さに合わせて、噴射ノズル群50a~50c全体の位置を上下方向に沿って調整する。また、操作者は、予め架設床1に付着されている付着物の種類に応じて、噴射ノズル群50a~50cごとに噴射ノズル31の噴射方向を調整する。また、操作者は、必要に応じて、個々の噴射ノズル31の噴射方向を調整したり、個々の噴射ノズル31の上下方向および水平方向を調整したり、隣り合う噴射ノズル31の間隔を調整したりする。
【0033】
操作者は、洗浄装置100に対して洗浄開始を指示する。洗浄装置100は洗浄開始の指示に応じて、噴射ノズル群50a~50c全ての噴射ノズル31から洗浄液を噴射させる。また、洗浄装置100は、アクチュエータ21を一方向に回動させることにより噴射ノズル群50a~50cを初期位置から前側に向かって移動させる。
【0034】
したがって、噴射ノズル群50a~50cは、前側に向かって移動しながら各噴射ノズル31から架設床1の上面に斜め上側から洗浄液を噴射する。このとき、各噴射ノズル群50a~50cでは、移動方向に対して交差する方向である左右方向に複数の噴射ノズル31が配置されていることにより、架設床1の上面に満遍なく洗浄液を噴射させることができる。また、1列目の噴射ノズル群50a、2列目の噴射ノズル群50b、3列目の噴射ノズル群50cの順で架設床1の上面の同じ個所を洗浄することにより、落としにくい付着物であっても高圧の洗浄液により剥ぎ取るように、あるいは粉砕するようにして付着物を落とすことができる。
【0035】
洗浄装置100は、搬送部20あるいは噴射部30の何れかの部位が搬送支持部14に設けられた前側のリミッタスイッチに接したことを検出すると、噴射ノズル群50a~50cの移動を停止させるとともに、噴射ノズル31からの洗浄液の噴射を停止させて、架設床1の洗浄を終了する。なお、噴射ノズル群50a~50cの左右方向の長さよりも、架設床1の左右方向の長さが大きく、1回の洗浄で洗浄しきれない場合には、噴射ノズル群50a~50cの洗浄範囲に、洗浄していない床部2が含まれるように、架設床1を配置し直した上で、同様の方法で洗浄することにより、架設床1全体を洗浄することができる。
【0036】
また、洗浄装置100は、上述した洗浄方法に限られず、噴射ノズル群50a~50cを往復させてもよい。すなわち、洗浄装置100は、搬送部20あるいは噴射部30の何れかの部位が搬送支持部14に設けられた前側のリミッタスイッチに接したことを検出した場合、アクチュエータ21を他方向に回動させることにより噴射ノズル群50a~50cを噴射させながら後側に移動させる。洗浄装置100は、搬送部20あるいは噴射部30の何れかの部位が搬送支持部14に設けられた後側のリミッタスイッチに接したことを検出すると、噴射ノズル群50a~50cの移動を停止させるとともに、噴射ノズル31からの洗浄液の噴射を停止させて、架設床1の洗浄を終了する。
さらに、洗浄装置100は1回の往復に限られず、操作者による設定に応じて複数回、往復させてもよい。
【0037】
このように本実施形態の洗浄装置100によれば、被洗浄物である架設床1に対して相対的に前後方向に移動するとともに、前後方向に対して交差する左右方向に複数、配置される噴射ノズル31を有する。したがって、左右方向に隣り合う噴射ノズル31の噴射範囲が重なり合うことにより、架設床1に付着する付着物に対して複数の噴射ノズル31から洗浄液を噴射させることができるので、洗浄装置100の洗浄力を向上させることができる。
【0038】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では洗浄装置100が架設床1を洗浄する場合について説明したが、第2の実施形態ではスロープ装置5を洗浄する場合について説明する。なお、第2の実施形態の洗浄装置100の構成は、噴射ノズル31の本体部の長さが第1の実施形態の場合よりも長い以外は同一であるために適宜、説明を省略する。
【0039】
図4は、洗浄装置100およびスロープ装置5の構成を示す斜視図である。
スロープ装置5は、スロープ部6と、2つの脚部7とを有する。スロープ部6は、平面視において、略矩形状である。スロープ部6の上面は対向する両辺(ここでは、対向する短辺)のうち一方側の辺から他方側の辺に向かうにしたがって高くなる傾斜面である。また、スロープ部6の上面には対向する両辺(ここでは、対向する長辺)に亘って滑り止めとしての凸条8が形成される。凸条8は互いに間隔を空けてスロープ部6の全面に複数形成される。建設現場の作業者は、スロープ部6を建設現場の床面に設けられた凸状の段差に対して隣接するように設置する。したがって、作業者は、建設現場に設けられた段差を緩やかなスロープ部6を介して通行することができる。このようなスロープ装置5が建設現場で使用されることにより、スロープ部6の上面には埃等をはじめとして泥やモルタル等の付着物が付着する。
【0040】
洗浄装置100の操作者は、洗浄装置100を用いてスロープ装置5を洗浄するために、スロープ装置5を基台部10の前側接地部11aと後側接地部11bとの間に配置する。このとき、スロープ部6の傾斜が左右方向になるように、すなわち左右方向の一方側が高く他方側が低くなるようにスロープ装置5を配置することが好ましい。
【0041】
操作者は、予めスロープ装置5の上下方向の高さに合わせて、噴射ノズル群50a~50c全体の位置を上下方向に沿って調整する。また、操作者は、予めスロープ装置5に付着されている付着物の種類に応じて、噴射ノズル群50a~50cごとに噴射ノズル31の噴射方向を調整する。また、操作者は、必要に応じて、個々の噴射ノズル31の噴射方向を調整したり、隣り合う噴射ノズル31の間隔を調整したりする。
【0042】
本実施形態では、操作者は、予めスロープ部6の傾斜角度(勾配角度)に応じて、個々の噴射ノズル31の上下方向を調整する。
図5は、噴射ノズル31の上下方向を調整した状態を示す斜視図である。ここでは、噴射ノズル群50aの計10の噴射ノズル31のみを図示しており、他の噴射ノズル31の図示を省略している。図5(a)は噴射ノズル群50aを右斜め上側から見た斜視図であり、図5(b)は噴射ノズル群50aを左斜め下側から見た斜視図である。
【0043】
図5に示すように、操作者は、左側から2番目の噴射ノズル31を本体部の軸線方向に沿って下側に移動させて固定することにより、左側から1番目の噴射ノズル31よりも下側に位置するように調整する。また、操作者は、3番目の噴射ノズル31を本体部の軸線方向に沿って下側に移動させて固定することにより、左側から2番目の噴射ノズル31よりも下側に位置するように調整する。このように、操作者は、右側の噴射ノズル31ほど下側に位置するように調整する。
【0044】
図6は、前側から見た、調整後の噴射ノズル群50aとスロープ装置5との構成を示す図である。
図6では、スロープ部6の傾斜角度に合わせて、左側の噴射ノズル31から右側の噴射ノズル31になるにしたがって噴射ノズル31が下側に位置し、噴射ノズル31とスロープ部6との間の距離が一定になるように調整している。したがって、右側の噴射ノズル31であっても噴射ノズル31から噴射されてスロープ部6の上面に接するときの水圧の低下を抑制することができる。なお、噴射ノズル31の位置を調整した後の操作者による洗浄装置100の操作は第1の実施形態と同様である。
【0045】
このように本実施形態の洗浄装置100によれば、被洗浄物であるスロープ装置5のスロープ部6の傾斜角度に応じて、噴射ノズル31の上下方向の位置を調整することにより、スロープ部6の上面に接するときの水圧の低下を抑制することができることから、洗浄装置100の洗浄力を向上させることができる。
【0046】
<第3の実施形態>
第1の実施形態の噴射部30は、前後配置部32に対して3つの左右配置部34a~34cを固定する構成について説明した。本実施形態の噴射部130は、左右配置部134に対して計10の前後配置部132a~132jを固定する構成について説明する。
なお、計10の噴射ノズル31が左右方向に沿って互いに間隔を空けて列となって配置され、前後方向に間隔を空けて3組の噴射ノズル群50a~50cが配置される構成は、第1の実施形態と同様である。
【0047】
図7は、右斜め上側から見た噴射部130の構成を示す斜視図である。なお、図7では、各噴射ノズル群50a~50cの右端に位置する3つの噴射ノズル31のみを図示し、他の噴射ノズル31の図示を省略している。
噴射部130は、噴射ノズル31と、左右配置部134と、前後配置部132a~132jと、ノズル配置部136とを有する。なお、図7では、前後配置部132a、132i、132jのみを図示し、他の前後配置部の図示を省略している。
【0048】
左右配置部134は、前後方向に配置される各噴射ノズル31を左右方向に間隔を空けて配置させる部位である。左右配置部134は、左右方向に沿って長い部材である。左右配置部134は、連動部24に対して前後方向から挟み込むようにしてボルト等の固定手段133を介して固定される。左右配置部134は、固定手段133を介した固定を解除した状態で連動部24に沿って上下方向に移動することができる。
【0049】
前後配置部132a~132jは、噴射ノズル群50a~50cがそれぞれ有する複数の噴射ノズル31を前後方向に沿って配置するための部位である。前後配置部132a~132jは、それぞれ前後方向に沿って長い部材である。前後配置部132a~132jは、前端が左右配置部134により上下方向から挟み込まれるようにしてボルト等の固定手段135を介して固定される。
【0050】
ノズル配置部136は、個々の噴射ノズル31を洗浄装置の操作者が定めた位置に配置するための部位である。ノズル配置部136は、第1の固定部137と、第2の固定部138とを有する。
第1の固定部137は、前後配置部132a~132jcに対して固定される部位である。第1の固定部137は、前後配置部132a~132jを左右方向から挟み込むようにしてボルト等の固定手段139を介して固定する。ノズル配置部136は、固定手段139を介した固定を解除した状態で前後配置部132a~132jに沿って前後方向に移動することができる。したがって、ノズル配置部136を前後配置部132a~132jcに沿って移動させた後に固定手段139を介して再び固定することにより、前後方向に隣り合う噴射ノズル31同士の間隔を調整することができる。ここで、ノズル配置部136、前後配置部132a~132jおよび固定手段139は、前後方向に隣り合う噴射ノズル31同士の間隔を調整することができる調整手段の一例に相当する。
【0051】
第2の固定部138は、噴射ノズル31を固定する部位である。第2の固定部138は、噴射ノズル31の噴射方向(噴射角度)が上下方向および水平方向の何れに対しても傾斜した方向になるように噴射ノズル31を固定する。第2の固定部138は、噴射ノズル31の本体部を前後方向から挟み込むようにしてボルト等の固定手段140を介して固定する。噴射ノズル31の本体部は、第2の固定部138の固定手段140による固定を解除した状態では、噴射ノズル31を本体部の軸線方向(噴射方向)に沿って移動させることができる。
【0052】
なお、第2の固定部138は左側に向かって一体で突出する略円形の軸部141を有しており、第1の固定部137が軸部141を前後方向から挟み込むようにしてボルト等の固定手段142を介して固定する。軸部141は、略円形であるために固定手段142を介した固定を解除した状態では、第2の固定部138を軸部141の軸線回りに回動させることができる。したがって第2の固定部138を軸線回りに回動させた後に固定手段142を介して再び固定することにより、噴射ノズル31の噴射方向を前後方向に個々に調整することができる。
【0053】
以上、本発明を上述した実施形態により説明したが、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、各実施形態や以下の変形例を組み合わせる等して、本発明の範囲内で変更等が可能である。
【0054】
本実施形態の洗浄装置100は、仮設資機材として架設床1やスロープ装置5を洗浄する場合について説明したが、この場合に限られず、運搬台車や作業台等の仮設資機材を洗浄してもよく、仮設資機材以外の被洗浄物を洗浄してもよい。
【0055】
本実施形態の洗浄装置100は、左右方向に沿って計10の噴射ノズル31を配置する場合について説明したが、この場合に限られず、計11以上の噴射ノズル31を配置してもよく、計9以下(1つを含む)の噴射ノズル31を配置してもよい。
本実施形態の洗浄装置100は、3列の噴射ノズル群50a~50cを配置する場合について説明したが、この場合に限られず、3列以上の噴射ノズル群を配置してもよく、3列以下(1列を含む)の噴射ノズル群を配置してもよい。
【0056】
本実施形態の洗浄装置100は、3列の噴射ノズル群50a~50cに含まれる噴射ノズル31の数がそれぞれ同じである場合について説明したが、この場合に限られず、3列とも異なる数であってもよく、3列のうち2列が異なる数であってもよい。
本実施形態の搬送部20は、噴射部30を被洗浄物に対して前後方向に移動させる場合について説明したが、この場合に限られず、噴射部30を移動させずに被洗浄物を噴射部30に対して前後方向に移動させるように構成してもよい。
【0057】
本実施形態の洗浄装置100は、複数の噴射ノズル31を左右方向に沿って互いに間隔を空けて配置する場合について説明したが、この場合に限られず、前後方向に対して交差する方向に沿って配置してもよい。
【符号の説明】
【0058】
100:洗浄装置 1:架設床 5:スロープ装置 10:基台部 20:搬送部 30:噴射部 31:噴射ノズル 32:前後配置部 34a~34c:左右配置部 36:ノズル配置部 50a~50c:噴射ノズル群 134:左右配置部 132a~132j:前後配置部 136:ノズル配置部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7