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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104151
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】仮想窓
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20240726BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240726BHJP
   E06B 7/28 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
E04F13/08 E
G09F9/00 351
E06B7/28 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008234
(22)【出願日】2023-01-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年5月2日に、ウェブサイト(https://kyo-kinana-premium.com/premium-seat/)に公開した。 また、令和4年10月25日に、ウェブサイト(https://www.instagram.com/p/CkHpx0EvpA4/)に公開した。 また、令和4年5月2日に、飲食店「京きなな」(名古屋市中村区名駅1丁目1-3 タワーズプラザレストラン街13階)にて公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】521553564
【氏名又は名称】株式会社リプロス
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】羽昊 雄柄
【テーマコード(参考)】
2E110
5G435
【Fターム(参考)】
2E110AA57
2E110AB04
2E110AB22
2E110AB23
2E110DA02
2E110DC12
5G435EE13
5G435LL18
(57)【要約】
【課題】鑑賞者の満足度を向上させることができる仮想窓を提供する。
【解決手段】ふかし壁2は、屋内Rの既存の壁面に設置されると共に、窓を模した開口部20が形成されている。そして、このふかし壁2内壁面側に設けられ、開口部20内に内枠3が設置される。そしてさらに、この内枠3の裏面側に表示画面40a、41aが来るように設置されると共に、開口部20の長手方向に沿ってモニター40,41が配置される。このモニター40、41には、鑑賞者が表示画面40a、41aを介して、所定の風景を鑑賞することができる画像Iを表示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内の既存の壁面に設置されると共に、窓を模した開口部が形成されるふかし壁と、
前記ふかし壁内壁面側に設けられ、前記開口部内に設置される枠体と、
前記枠体の裏面側に表示画面が来るように設置されると共に、前記開口部の長手方向に沿って配置されるモニターと、
前記モニターは、鑑賞者が前記表示画面を介して、所定の風景を鑑賞することができる画像を表示してなる仮想窓。
【請求項2】
前記モニターには、前記屋内の既存の壁面と前記枠体の裏面との距離に応じて撮像した前記所定の風景画像が表示されてなる請求項1に記載の仮想窓。
【請求項3】
前記ふかし壁には、該ふかし壁の表面から突出するように外枠体が設けられ、
前記外枠体には、前記表示画面の周囲の少なくとも一部を遮蔽するように、桟が所定の間隔を空けて設けられてなる請求項1又は2に記載の仮想窓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想窓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、窓のない部屋に仮想窓を設ける技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この仮想窓は、周縁部分を構成する木枠や金属枠からなる窓枠部と、窓枠部の開口部に保持され、風景などの画像を表示することができる薄型のモニターとで主に構成される。そして、このような仮想窓を窓のない部屋の壁面にそのまま掛けるようにして設置し、モニターに風景映像を映し出すことで、あたかも壁面に窓があり、窓越しに風景を観賞しているかのように感じさせる、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-205602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かくして、上記のような仮想窓を、窓のない部屋の壁面に設置することにより、窓のない部屋で人が感じる閉塞感や圧迫感の低減を図ることができる。しかしながら、その一方で、風景画像が写し出されるモニターの設置方法については、十分な工夫がなされてこなかった。すなわち、モニターを部屋の壁面にそのまま掛けるようにして設置するだけであるから、壁面より室内側にモニターが位置することとなり、人間の目には、壁面上にモニターが設置されていると認識される。そのため、仮想窓を鑑賞する者に、モニターに映し出された風景映像であることが、容易に認識されてしまい、それがもととなって、窓が本物でないことが容易に認識され、鑑賞者の満足度を十分に満たすものになっていないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、鑑賞者の満足度を十分に満たすことができる仮想窓を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0007】
請求項1に記載の仮想窓(1)は、
屋内(R)の既存の壁面(図2(a)(b)に示すW)に設置されると共に、窓を模した開口部(20)が形成されるふかし壁(2)と、
前記ふかし壁(2)内壁面側(図2(a)(b)に示す空間S)に設けられ、前記開口部(20)内に設置される枠体(内枠3)と、
前記枠体(内枠3)の裏面側(図2(a)(b)に示す裏面側3b)に表示画面(40a、41a)が来るように設置されると共に、前記開口部(20)の長手方向に沿って配置されるモニター(40、41)と、
前記モニター(40、41)は、鑑賞者が前記表示画面(40a、41a)を介して、所定の風景を鑑賞することができる画像(I)を表示してなることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の仮想窓(1)は、上記請求項1に記載の仮想窓(1)において、
前記モニター(40、41)には、前記屋内(R)の既存の壁面(図2(a)に示すW)と前記枠体(内枠3)の裏面(図2(a)に示す裏面側3b)との距離(図2(a)に示すX)に応じて撮像した前記所定の風景画像(I)が表示されてなることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の仮想窓(1)は、上記請求項1又は2に記載の仮想窓(1)において、
前記ふかし壁(2)には、該ふかし壁(2)の表面(2a)から突出するように外枠体(外枠5)が設けられ、
前記外枠体(外枠5)には、前記表示画面(40a、41a)の周囲の少なくとも一部を遮蔽するように、桟(上格子6の縦桟63、上格子6の横桟64、下格子7の縦桟73、下格子7の横桟74)が所定の間隔を空けて設けられてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0011】
請求項1に係る発明によれば、モニター(40、41)は、枠体(内枠3)の裏面側(図2(a)(b)に示す裏面側3b)に表示画面(40a、41a)が来るように設置されると共に、開口部(20)の長手方向に沿って配置されている。そして、この枠体(内枠3)は、開口部(20)内に設置されている。これにより、モニター(40、41)の表示画面(40a、41a)がふかし壁(2)の表面(2a)より既存の壁面(図2(a)(b)に示すW)側に位置することとなる。このような、ふかし壁(2)の表面(2a)とモニター(40、41)の表示画面(40a、41a)の位置関係では、人間の目には、壁面上にモニターが設置されていると認識されないため、鑑賞者は、モニター(40、41)をモニターと認識せず、仮想窓(1)を本当の窓と認識することになる。これにより、モニター(40、41)に所定の風景画像(I)を表示させれば、あたかも窓に映った景色を見ているかのような錯覚を覚えることとなり、もって、鑑賞者の満足度を向上させることができる。
【0012】
さらに、請求項2に係る発明によれば、鑑賞者が、違和感がないような風景画像(I)を表示させることができる。
【0013】
さらに、請求項3に係る発明によれば、モニター(40、41)の表示画面(40a、41a)がより窓として認識できると共に、鑑賞者が表示画面(40a、41a)に対して左右または上下に移動したときに、桟(上格子6の縦桟63、上格子6の横桟64、下格子7の縦桟73、下格子7の横桟74)の間から見える画像(I)の見え方が変化するため、より自然な風景として認識されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る仮想窓の正面図である。
図2】外枠から上格子および下格子を取り除いた状態の仮想窓を示した図で、(a)は図1のA-A線断面図を示す図、(b)は図2(a)のB-B線断面図を示す図である。
図3】(a)は同実施形態に係る仮想窓を構成する内枠を示す正面図、(b)は同じく外枠を示す正面図、(c)は同じく上格子を示す正面図、(d)は同じく下格子を示す正面図である。
図4図3(d)の下格子に対して鑑賞者が左右に移動したときに、下格子を構成する縦桟の間から見える画像の見え方が変化することを説明する説明図で、(a)は画像を示す図、(b)は鑑賞者が右側にいる時の画像の見え方を示す図、(c)は鑑賞者が左側にいる時の画像の見え方を示す図である。
図5】既存の壁面と内枠の裏面との距離Xに応じて撮像する風景画像について説明する図で、(a)鑑賞者と窓との距離が短い場合に鑑賞できる風景の範囲、及び、長い場合に鑑賞できる風景の範囲を示す図、(b)は距離Xが短い場合にモニターに表示される画像を示す図、(c)は距離Xが長い場合にモニターに表示される画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る仮想窓の一実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
【0016】
<仮想窓の概要説明>
図1は、仮想窓1を示す。仮想窓1は、中央に窓を模した開口部20が形成されているふかし壁2と、内枠3と、モニター40、41と、外枠5と、上格子6と、下格子7と、で主に構成されている。また、図2に示すように、本実施形態に係る仮想窓1は、配線用ふかし壁Hを介して、屋内Rの既存の壁面W(図2(a)および(b)参照)に設置されている。以下、まずは配線用ふかし壁Hについて説明し、次に、仮想窓1の各構成について説明することとする。
【0017】
<配線用ふかし壁の説明>
配線用ふかし壁Hは、図1に示すように、仮想窓1を設置する屋内Rの既存の壁面W(図2参照)に設けられている。より詳しく説明すると、図2(a)に示すように、配線用ふかし壁Hは、間柱H1と、パネルH2と、パネルH2の屋内R側の表面に取り付けられている仕上げ材H3とで構成されている。
【0018】
間柱H1は、配線用ふかし壁Hの高さ方向(図1の上下方向)に長尺なLGS(軽量形鋼)からなる中空状の角材であって、既存の壁面Wに、壁幅方向(図1の左右方向)に沿って所定間隔ごとに設置されている。パネルH2は石膏ボードであって、既存の壁面Wを覆うように配置させ、間柱H1にビス等を用いて固定されている。そして、このパネルH2の屋内R側の表面に、仕上げ材H3として不燃性の壁紙クロスが取り付けられている。
【0019】
なお、パネルH2の既存の壁面W側の面には、図2(a)に示すように、モニター40、41をパネルH2に固定するにあたりパネルH2を補強するためのモニター取付下地H4が取り付けられている。また、パネルH2と既存の壁面Wとの間には、間柱H1が介在することにより、隙間が形成されている。この隙間には、モニター40、41の電気コード等の配線が収容されることとなる。
【0020】
かくして、本実施形態に係る仮想窓1は、上記のような配線用ふかし壁Hを介して、既存の壁面Wに設置されている。続いて、仮想窓1の各構成について、詳細に説明する。
【0021】
<ふかし壁の説明>
ふかし壁2(図1参照)は、図2(a)に示す左右のふかし壁縦部材21と、図2(b)に示す上側のふかし壁横部材22および下側のふかし壁横部材23とで主に構成される。これら左右側のふかし壁縦部材21、上側のふかし壁横部材22、下側のふかし壁横部材23が形成する開口部20は、仮想窓1の窓を模している。なお、図1に示す開口部20は、その一部が上格子6及び下格子7に遮蔽されている。
【0022】
まず、左右側のふかし壁縦部材21は、図2(a)に示すように、断面視矩形状で、ふかし壁2の高さ方向(図1の上下方向)に延びる長尺で、図示上下方向に一定間隔を空けて設けられている一対の支持体21aと、その周囲に取り付けられている断面視縦長矩形状の左右のパネル片21b1および断面視横長矩形状の前面のパネル片21b2とで構成されている。
【0023】
より詳しく説明すると、一対の支持体21aは、LGS(軽量形鋼)からなる中空状の角材である。一対の支持体21aのうち図2(a)に示す上方向に位置する支持体21aは、配線用ふかし壁HのパネルH2の屋内R側の面に、ネジ等で固定される。そして、図2(a)に示す下方向に位置する支持体21aは、図2(a)に示す上方向に位置する支持体21aから屋内R側に所定間隔離して配置されている。なお、この間隔が広いほど、厚いふかし壁2となり、狭いほど、薄いふかし壁2となる。
【0024】
さらに、図2(a)に示すように、これら一対の支持体21aの左右側に、石膏ボードからなる左右のパネル片21b1がそれぞれ取り付けられている。なお、図2(a)に示すように、左右のパネル片21b1のうち、開口部20側のパネル片21b1には、モニター40、41が取り付けられている。そのため、これら開口部20側のパネル片21b1の裏面側(支持体21a側)には、ラワンベニヤ板であるモニター取付下地21b3が取り付けられている。
【0025】
また、図2(a)に示すように、一対の支持体21aのうち屋内R側の支持体21aには、屋内R側に面した表面に、石膏ボードからなる前面のパネル片21b2が取り付けられている。
【0026】
一方、図2(b)に示す上側のふかし壁横部材22は、断面視コ字状で、ふかし壁2の幅方向(図1の左右方向)に延びる長尺で、図示上下方向に一定間隔を空けて設けられている一対の支持体22aと、その周囲に取り付けられている断面視縦長矩形状の前面のパネル片22b1、断面視短尺矩形状の下面のパネル片22b2、及び断面視縦長矩形状の後面のパネル片22b3と、一対の支持体22a間に取り付けられているスタッド22cと、で構成されている。
【0027】
より詳しく説明すると、一対の支持体22aは、LGS(軽量形鋼)からなるC型鋼の補強材で、図2(b)に示すように、C型鋼の開口側が互いに向きあうようにして上下に配置されている。そして、図2(b)に示すように、これら一対の支持体22a間には、ふかし壁2の幅方向(図1の左右方向)所定間隔置きに、スタッド22cが取り付け固定されている。さらに、図2(b)に示すように、これら一対の支持体22a及びスタッド22cの屋内R側には石膏ボードからなる前面のパネル片22b1、既存の壁面Wには石膏ボードである後面のパネル片22b3がそれぞれ取り付けられている。また、図2(b)に示すように、上下に配置されている一対の支持体22aのうち、下側に配置されている支持体22aの下面に、石膏ボードである下面のパネル片22b2が取り付けられている。
【0028】
また、図2(b)に示す下側のふかし壁横部材23は、断面視コ字状で、ふかし壁2の幅方向(図1の左右方向)に延びる長尺な支持体23aと、その周囲に取り付けられている断面視縦長矩形状の前面のパネル片23b1および断面視横長矩形状の上面のパネル片23b2と、支持体23aの下部に取り付けられているスタッド23cと、で構成されている。
【0029】
より詳しく説明すると、支持体23aは、LGS(軽量形鋼)からなるC型鋼の補強材で、図2(b)に示すように、支持体23aの下部には、ふかし壁2の幅方向(図1の左右方向)所定間隔置きに、スタッド23cが取り付け固定されている。さらに、この支持体23a及びスタッド23cの屋内R側には石膏ボードである前面のパネル片23b1が取り付けられ、支持体23aの上面(開口部20に対向する面)には石膏ボードからなる上面のパネル片23b2が取り付けられている。
【0030】
かくして、上記のようにして構成される左右側のふかし壁縦部材21、上側のふかし壁横部材22、下側のふかし壁横部材23は、面一となるよう配置されている。すなわち、左右側のふかし壁縦部材21の前面のパネル片21b2(図2(a)参照)、上側のふかし壁横部材22の前面のパネル片22b1(図2(b)参照)、下側のふかし壁横部材23の前面のパネル片23b1(図2(b)参照)は、面一となるよう配置されている。そして、そのように面一に構成されたふかし壁2の前面、及び、ふかし壁2の左右側面に、壁紙を取り付けることにより、図1に示すような、窓を模した開口部20が形成されたふかし壁2が得られることとなる。
【0031】
<内枠の説明>
次に、内枠3(図1参照)について説明する。内枠3は、図3(a)に示すように、左右の側枠片30と、上枠片31と、下枠片32と、で構成される矩形の枠で、この矩形の枠を左右に2分するように、中枠片33が上下方向に渡って取り付けられている。なお、内枠3の外寸は、ふかし壁2の開口部20(図1参照)の寸法と、ほぼ同じ寸法になっている。
【0032】
かくして、上記のような内枠3が、図2に示すふかし壁2の内壁面側の空間Sに取り付けられている。より具体的には、内枠3の表面側3a(内枠3をふかし壁2に取り付けたときの屋内R側)とふかし壁2の表面2a(前面のパネル片21b2の表面、前面のパネル片22b1の表面、前面のパネル片23b1の表面)とが略面一となるように、開口部20(図1参照)にはめ込まれている(図2(a)および(b)参照)。
【0033】
なお、図2(b)に示す内枠3の裏面側3b(内枠3をふかし壁2に取り付けたときの既存の壁面W側)には、左右の側枠片30の左右2箇所ずつに、ボールキャッチ部材のキャッチ部材がビス等を用いて固定されている(図示せず)。一方、ふかし壁2の左右側のふかし壁縦部材21の開口部20側の表面には、開口部20側に突出するようにしてボールキャッチ部材のボール部材がビス等を用いて固定されている(図示せず)。かくして、内枠3を開口部20にはめ込むにあたっては、内枠3のキャッチ部材に、ふかし壁2のボール部材を係止させることにより、内枠3を開口部20に固定している。
【0034】
<外枠の説明>
次に、外枠5(図1参照)について説明する。外枠5は、図3(b)に示すように、左右の側枠片50と、上枠片51と、下枠片52と、で構成される矩形の枠で、この矩形の枠の上側に、中枠片53が左右方向に渡って取り付けられている。なお、外枠5の内寸は、ふかし壁2の開口部20(図1参照)の寸法より若干大きくなっている。
【0035】
かくして、上記のような外枠5は、図2(a)及び図2(b)に示すように、ふかし壁2の表面2aから突出するように設けられている。より具体的には、外枠5は、図2(a)及び図2(b)に示すように、屋内R側からふかし壁2の表面2aに当接させ、ビス等を用いて固定されている。
【0036】
なお、図2(b)に示すように、外枠5の裏面側5b(外枠5をふかし壁2に取り付けたときの既存の壁面W側)には、上格子6(図3(c)参照)、下格子7(図3(d)参照)を差し込むための溝が形成されている。より具体的には、図2(b)に示すように、上枠片51の裏面側5bの下側には、幅方向(図1の左右方向)にわたって、溝51aが設けられている。また、図2(b)に示すように、下枠片52の裏面側5bの上側には、幅方向(図1の左右方向)にわたって、溝52aが設けられている。さらに、図2(b)に示すように、中枠片53の裏面側5bの上側、下側にも、同様に幅方向(図1の左右方向)にわたる溝53a、53bが設けられている。
【0037】
<上格子の説明>
次に、上格子6(図1参照)について説明する。上格子6は、図3(c)に示すように、左右の側枠片60と、上枠片61と、下枠片62と、で構成される矩形の枠内に、縦方向に間隔を空けて配列される複数(図示では9本)の縦桟63と、横方向に間隔を空けて配列される複数(図示では2本)の横桟64とを備えている。
【0038】
かくして、上記のような上格子6が、外枠5に取り付けられている。より具体的には、図3(c)に示す上格子6の上枠片61を、図2(b)に示す外枠5の上枠片51に設けられた溝51aに差し込み、図3(c)に示す下枠片62を、図2(b)に示す外枠5の中枠片53に設けられた溝53a(図2(b)参照)に差し込む。これにより、上格子6は外枠5に取り付けられることとなる。なお、図1に示すように、外枠5に取り付けられた上格子6は、その縦桟63および横桟64により、モニター40、41の表示画面40a、41aの一部を遮蔽することとなる。
【0039】
<下格子の説明>
次に、下格子7(図1参照)について説明する。1枚の下格子7(図1参照)は、図3(d)に示すように、左右の側枠片70と、上枠片71と、下枠片72と、で構成される矩形の枠内に、縦方向に間隔を空けて配列される複数(図示では5本)の縦桟73と、横方向に間隔を空けて配列される複数(図示では2本)の横桟74とを備えている。
【0040】
かくして、上記のような1枚の下格子7が、図1に示すように、外枠5の左右に1枚ずつ、取り付けられている。これら下格子7は、図3(d)に示す上枠片71を、図2(b)に示す外枠5の中枠片53に設けられた溝53bに差し込み、図3(d)に示す下枠片72を、図2(b)に示す外枠5の下枠片52の溝52aに差し込む。これにより、これら下格子7は、各々、外枠5の両端側に取り付けられることとなる。なお、図1に示すように、外枠5に取り付けられた一対の下格子7は、その縦桟73および横桟74により、モニター40、41の表示画面40a、41aの一部を遮蔽することとなる。
【0041】
<モニターの説明>
次に、モニター40、41(図1参照)について説明する。モニター40,41は、図1に示すように、正面視縦長のモニターで、図2(a)に示すように、その表示画面40aおよび表示画面41aを屋内R側に向けて、ふかし壁20の開口部20を覆うように、ふかし壁2の開口部20の長手方向(図1の左右方向)に沿って配置されている。さらに、図2(a),(b)に示すように、モニター40、41は、取付用金具40b、41bを用いて、背面が配線用ふかし壁Hに固定されている。そしてさらに、図2(a)に示すように、モニター40の一側面(図示左側)が取付用金具40cを用いて、図示左側のふかし壁縦部材21に固定され、モニター41の一側面(図示右側)が取付用金具41cを用いて、図示右側のふかし壁縦部材21に固定されている。
【0042】
なお、図2(b)に示すように、モニター40、41は、その表示画面40a、41aが、内枠3の上枠片31、下枠片32の裏面側3b(内枠3をふかし壁2に取り付けたときの既存の壁面W側)に来るように設置されている。
【0043】
したがって、以上説明したように、仮想窓1は、構成される。次に、仮想窓1の使用方法について説明する。
【0044】
<仮想窓1の使用方法>
仮想窓1を使用するにあたっては、図1に示す仮想窓1に設置されたモニター40、41に、屋内Rにいる人が表示画面40a、41aを介して、所定の風景を鑑賞することができる画像I(図1参照)が表示される。
【0045】
ところで、このモニター40、41は、上記説明したように、内枠3の裏面側3bに表示画面40a、41aが来るように設置されると共に、開口部20の長手方向に沿って配置されている。そして、この内枠3は、ふかし壁2の表面2aと略面一となるように、開口部20内に設置されている。これにより、このモニター40、41の表示画面40a、41aは、ふかし壁2の表面2aより既存の壁面W(図2(a)(b)参照)側に位置することとなる。このような、ふかし壁2の表面2aとモニター40、41の表示画面40a、41aの位置関係では、人間の目には、ふかし壁2の表面2a上にモニター40、41が設置されていると認識されないため、鑑賞者は、モニター40、41をモニターと認識せず、仮想窓1を本当の窓と認識することになる。したがって、このようなモニター40、41に、図1に示すような画像Iを表示させれば、鑑賞者は、あたかも窓に映った景色を見ているかのような錯覚を覚えることとなる。これにより、鑑賞者の満足度を向上させることができる。
【0046】
一方、モニター40、41に表示されている画像Iを鑑賞している鑑賞者が、仮想窓1に対して左右あるいは上下(図1の左右、上下方向)に移動すると、上格子6、下格子7の縦桟63、73、横桟64、74の間から見える画像Iの見え方が変化する。これにより、より自然な風景として認識される。この点、図4を用いてより詳しく説明する。
【0047】
まず、図4(a)に示すような画像Iを、図4(b)に示すように、鑑賞者がP1の位置から下格子7越しに鑑賞すると、下格子7の縦桟73の間から画像I1のように見える。次に、鑑賞者が左に移動し、図4(c)に示すようにP2の位置から下格子7越しに画像Iを鑑賞すると、下格子7の縦桟73の間から画像I2のように見える。このように、同じ画像Iであっても、鑑賞する位置によって下格子7の縦桟73に遮蔽され見え方が変化する。これにより、鑑賞者は奥行きを知覚し、より自然な風景として認識することとなる。
【0048】
なお、図4では鑑賞者が左右に移動した場合を例示したが、上下に移動した場合でも、下格子7の縦桟73に遮蔽され見え方が変化し、鑑賞者は奥行きを知覚することとなる。また、同様に、左右に移動した場合、上下に移動した場合に、上格子6の縦桟63、横桟64に遮蔽され見え方が変化することにより、鑑賞者は奥行きを知覚することとなる。
【0049】
ところで、モニター40、41に表示される画像Iは、既存の壁面Wと内枠3の裏面側3bとの距離X(図2(a)参照)に応じて撮像した風景画像が表示されるようになっている。これにより、鑑賞者が、違和感がないような風景画像を表示させるようにしている。この点、図5を用いてより詳しく説明する。
【0050】
まず、図5(a)を参照して、風景Fが見える本当の窓について説明すると、鑑賞者と窓との距離が長い場合、図5(a)に示すように、鑑賞者が窓を介して見える範囲は範囲40Aのように、狭い。一方、同じ大きさの窓であっても、鑑賞者と窓との距離が短い場合、図5(a)に示すように、鑑賞者が窓を介して見える範囲は範囲40Bのように、広くなる。このように、同じ大きさの窓であっても、鑑賞者からの距離が近いほど、鑑賞できる風景Fの範囲は広くなる。
【0051】
上記の点を、モニター40、41に表示させる画像Iに反映する。すなわち、図2(a)に示すように、モニター40、41は、その表示画面40a、41aが、内枠3の上枠片31、下枠片32の裏面側3bに来るように設置されている。そのため、図2(a)に示す既存の壁面Wと内枠3の裏面側3bとの距離Xが短い場合、モニター40、41は、屋内Rからより離れた位置に配置されることとなる。よって、鑑賞者とモニター40、41との距離は長くなるから、図5(b)に示すように、より狭い範囲40A(図5(a)参照)を撮像した画像IAを表示させる。
【0052】
一方、図2(a)に示す既存の壁面Wと内枠3の裏面側3bとの距離Xが長い場合、モニター40、41は、屋内Rからより近い位置に配置されることとなる。よって、鑑賞者とモニター40、41との距離は短くなるから、図5(c)に示すように、より広い範囲40B(図5(a)参照)を撮像した画像IBを表示させる。
【0053】
かくして、このように、モニター40、41に、図2(a)に示す既存の壁面Wと内枠3の裏面側3bとの距離Xに応じて撮像した風景画像IA(図5(b)参照)、IB(図5(c)参照)が表示されることにより、鑑賞者にとって、違和感がないような風景画像を表示させることができる。
【0054】
したがって、以上説明した本実施形態によれば、鑑賞者の満足度を向上させることができる仮想窓1とすることができる。
【0055】
なお、本実施形態において示した仮想窓はあくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において種々の変形・変更が可能である。例えば、本実施形態においては、仮想窓1は配線用ふかし壁Hを挟んで既存の壁面Wに設置されたが、配線用ふかし壁Hは設置せず、既存の壁面Wに直接設置しても良い。
【符号の説明】
【0056】
1 仮想窓
2 ふかし壁
2a 表面
20 開口部
S 空間(内壁面側)
R 屋内
W 既存の壁面
3 内枠(枠体)
3b 裏面側
X 距離
40 モニター
40a 表示画面
41 モニター
41a 表示画面
I 画像
5 外枠(外枠体)
63 縦桟(桟)
64 横桟(桟)
73 下格子7の縦桟(桟)
74 下格子7の横桟(桟)
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-12-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内の既存の壁面に設置されると共に、窓を模した開口部が形成されるふかし壁と、
前記ふかし壁内壁面側に設けられ、前記開口部内に設置される枠体と、
前記枠体の裏面側に表示画面が来るように設置されると共に、前記開口部の長手方向に沿って配置されるモニターと、
前記モニターは、鑑賞者が前記表示画面を介して、所定の風景を鑑賞することができる画像を表示してなる仮想窓であって、
前記ふかし壁には、該ふかし壁の表面から突出するように外枠体が設けられ、
前記外枠体には、前記表示画面の周囲の少なくとも一部を遮蔽するように、複数の縦桟が、隣り合う当該複数の縦桟どうしの間の間隔を空け、互いに平行に設けられ、これにより、前記鑑賞者が前記仮想窓に対して左右方向に移動すると、前記複数の縦桟どうしの間から見える前記画像の見え方が変化するように構成され、又は、複数の横桟が、隣り合う当該複数の横桟どうしの間の間隔を空け、互いに平行に設けられ、これにより、前記鑑賞者が前記仮想窓に対して上下方向に移動すると、前記複数の横桟どうしの間から見える前記画像の見え方が変化するように構成されてなる、仮想窓。
【請求項2】
前記モニターは
前記屋内の既存の壁面と前記枠体の裏面との距離が第1距離である場合に、実際の風景のうち所定の範囲を撮像した第1風景画像を表示し、
前記屋内の既存の壁面と前記枠体の裏面との距離が第1距離よりも短い第2距離である場合に、実際の風景のうち前記所定の範囲より狭い範囲を撮像した第2風景画像を表示してなる請求項1に記載の仮想窓
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
請求項1に記載の仮想窓(1)は、
屋内(R)の既存の壁面(図2(a)(b)に示すW)に設置されると共に、窓を模した開口部(20)が形成されるふかし壁(2)と、
前記ふかし壁(2)内壁面側(図2(a)(b)に示す空間S)に設けられ、前記開口部(20)内に設置される枠体(内枠3)と、
前記枠体(内枠3)の裏面側(図2(a)(b)に示す裏面側3b)に表示画面(40a、41a)が来るように設置されると共に、前記開口部(20)の長手方向に沿って配置されるモニター(40、41)と、
前記モニター(40、41)は、鑑賞者が前記表示画面(40a、41a)を介して、所定の風景を鑑賞することができる画像(I)を表示してなる仮想窓(1)であって、
前記ふかし壁(2)には、該ふかし壁(2)の表面(2a)から突出するように外枠体(外枠5)が設けられ、
前記外枠体(外枠5)には、前記表示画面(40a、41a)の周囲の少なくとも一部を遮蔽するように、複数の縦桟(上格子6の縦桟63、下格子7の縦桟73)が、隣り合う当該複数の縦桟(上格子6の縦桟63、下格子7の縦桟73)どうしの間の間隔を空け、互いに平行に設けられ、これにより、前記鑑賞者が前記仮想窓(1)に対して左右方向に移動すると、前記複数の縦桟(上格子6の縦桟63、下格子7の縦桟73)どうしの間から見える前記画像(I)の見え方が変化するように構成され、又は、複数の横桟(上格子6の横桟64、下格子7の横桟74)が、隣り合う当該複数の横桟(上格子6の横桟64、下格子7の横桟74)どうしの間の間隔を空け、互いに平行に設けられ、これにより、前記鑑賞者が前記仮想窓(1)に対して上下方向に移動すると、前記複数の横桟(上格子6の横桟64、下格子7の横桟74)どうしの間から見える前記画像(I)の見え方が変化するように構成されてなることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
請求項2に記載の仮想窓(1)は、上記請求項1に記載の仮想窓(1)において、
前記モニター(40、41)、前記屋内(R)の既存の壁面(図2(a)に示すW)と前記枠体(内枠3)の裏面(図2(a)に示す裏面側3b)との距離(図2(a)に示すX)が第1距離(図2(a)に示すX)である場合に、実際の風景(図5(a)に示す風景F)のうち所定の範囲(図5(a)に示す範囲40B)を撮像した第1風景画像図5(c)に示す画像IB)を表示し、
前記屋内(R)の既存の壁面(図2(a)に示すW)と前記枠体(内枠3)の裏面(図2(a)に示す裏面側3b)との距離(図2(a)に示すX)が第1距離(図2(a)に示すX)よりも短い第2距離である場合に、実際の風景(図5(a)に示す風景F)のうち前記所定の範囲より狭い範囲(図5(a)に示す範囲40A)を撮像した第2風景画像(図5(b)に示す画像IA)を表示してなることを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、モニター(40、41)は、枠体(内枠3)の裏面側(図2(a)(b)に示す裏面側3b)に表示画面(40a、41a)が来るように設置されると共に、開口部(20)の長手方向に沿って配置されている。そして、この枠体(内枠3)は、開口部(20)内に設置されている。これにより、モニター(40、41)の表示画面(40a、41a)がふかし壁(2)の表面(2a)より既存の壁面(図2(a)(b)に示すW)側に位置することとなる。このような、ふかし壁(2)の表面(2a)とモニター(40、41)の表示画面(40a、41a)の位置関係では、人間の目には、壁面上にモニターが設置されていると認識されないため、鑑賞者は、モニター(40、41)をモニターと認識せず、仮想窓(1)を本当の窓と認識することになる。これに
より、モニター(40、41)に所定の風景画像(I)を表示させれば、あたかも窓に映った景色を見ているかのような錯覚を覚えることとなり、もって、鑑賞者の満足度を向上させることができる。しかも、モニター(40、41)の表示画面(40a、41a)がより窓として認識できると共に、鑑賞者が表示画面(40a、41a)に対して左右または上下に移動したときに、桟(上格子6の縦桟63、上格子6の横桟64、下格子7の縦桟73、下格子7の横桟74)の間から見える画像(I)の見え方が変化するため、より自然な風景として認識されることとなる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】