(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104152
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】給水装置
(51)【国際特許分類】
F04D 15/00 20060101AFI20240726BHJP
F04B 49/10 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
F04D15/00 L
F04D15/00 D
F04B49/10 311
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008235
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 幸栄
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 裕大
(72)【発明者】
【氏名】豊田 耕司
【テーマコード(参考)】
3H020
3H145
【Fターム(参考)】
3H020AA03
3H020BA22
3H020BA23
3H020CA10
3H020DA03
3H020EA05
3H020EA12
3H145AA23
3H145BA43
3H145CA19
3H145DA07
3H145DA31
3H145EA16
(57)【要約】
【課題】温度上昇に伴う停止を防止し、給水を継続できる給水装置を提供すること。
【解決手段】給水装置は、モータと、前記モータの回転速度を制御するインバータと、前記インバータの温度を検出する温度検出器と、前記温度検出器で検出した温度が、前記インバータを強制停止する温度よりも低い第1設定温度以下の場合には、前記モータの運転電流が前記インバータの定格最大電流未満となる第1最大運転周波数を上限として、前記インバータを制御して前記モータを駆動制御し、前記温度検出器で検出した温度が前記第1設定温度を超えている場合には、前記第1最大運転周波数よりも低い第2最大運転周波数で前記インバータを制御して前記モータを駆動制御する制御部と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータの回転速度を制御するインバータと、
前記インバータの温度を検出する温度検出器と、
前記温度検出器で検出した温度が、前記インバータを強制停止する温度よりも低い第1設定温度以下の場合には、前記モータの運転電流が前記インバータの定格最大電流未満となる第1最大運転周波数を上限として、前記インバータを制御して前記モータを駆動制御し、前記温度検出器で検出した温度が前記第1設定温度を超えている場合には、前記第1最大運転周波数よりも低い第2最大運転周波数で前記インバータを制御して前記モータを駆動制御する制御部と、
を備える給水装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2最大運転周波数を上限として前記モータを制御しているときに、前記温度検出器で検出した温度が前記第1設定温度よりも低い第2設定温度以下になった場合に、前記第1最大運転周波数を上限として前記モータを駆動制御する、請求項1に記載の給水装置。
【請求項3】
前記モータ及び前記インバータを複数有し、
前記制御部は、運転中の前記モータを駆動する前記インバータの温度が前記第1設定温度を超え、他の運転中又は停止中の前記モータを駆動する前記インバータの温度が前記第2設定温度以下である場合には、前記運転中の前記モータを停止又は減速し、前記第2設定温度以下の前記モータを始動又は増速させる、請求項2に記載の給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動制御を行う給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従前から、給水装置において、インバータを用いてポンプユニットの駆動制御を行う技術が知られている。このような給水装置は、給水機能が求められることから、給水を持続させるために、インバータやモータ等の保護機能が求められる。特に、インバータやモータを過度な発熱から保護する目的で、異常温度保護を行う技術が知られている。また、ポンプユニットの構成において最も発熱量が大きいモータに、熱損失の少ないブラシレスDCモータを用いことで、発熱量を減らし、過度な温度上昇を防止する技術も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ポンプユニットのモータやインバータにおいて一定温度を検出するとインバータが強制停止する。インバータが強制停止すると、ポンプユニットが停止することから、給水を継続することが困難となる。また、同様に、制御盤内の温度や制御基板に使用する部品等の異常温度保護のために、強制的に電源を停止することによる、ポンプユニットの停止も想定される。
【0005】
そこで本発明は、温度上昇に伴う停止を防止し、給水を継続できる給水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、給水装置は、モータと、前記モータの回転速度を制御するインバータと、前記インバータの温度を検出する温度検出器と、前記温度検出器で検出した温度が、前記インバータを強制停止する温度よりも低い第1設定温度以下の場合には、前記モータの運転電流が前記インバータの定格最大電流未満となる第1最大運転周波数を上限として、前記インバータを制御して前記モータを駆動制御し、前記温度検出器で検出した温度が前記第1設定温度を超えている場合には、前記第1最大運転周波数よりも低い第2最大運転周波数で前記インバータを制御して前記モータを駆動制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、温度上昇に伴う停止を防止し、給水を継続できる給水装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る管理システムの一例を示す図。
【
図5】同給水装置の他の動作例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら実施形態に係る給水装置について説明する。なお、以降、説明済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号を付し、重複する説明については基本的に省略する。例えば、複数の同一または類似の要素が存在する場合に、各要素を区別せずに説明するために共通の符号を用いることがあるし、各要素を区別して説明するために当該共通の符号に加えて枝番号を用いることもある。
【0010】
図1は、本実施形態に係る管理システムを例示するブロック図である。
図1に示すように、管理システムは、管理サーバ1、複数の給水装置3-nおよび複数の端末5-n(nはインデックス)を含む。
図1では、nが2である場合の構成を示しているが、これに限定する必要はなく、nは1以上であれば幾つでもよい。以下、特に区別しないときは単に給水装置3および端末5と記載することとする。管理システムでは、給水装置3に関して測定されるポンプ情報などを管理サーバ1で用いて管理するコンピュータシステムである。
【0011】
図1に示すように、管理サーバ1と給水装置3と端末5とは、ネットワークNWを介して、4G、5Gといった携帯通信網や、Wimaxなどの比較的遠距離の無線通信回線を介して接続される。また、給水装置3と端末5とは、上述した無線通信回線に加え、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Filed Communication)、赤外線通信といった比較的近距離の無線通信手段により接続されることを想定する。なお、給水装置3と端末5とは、USBやケーブルによるLAN接続といった有線通信回線を介して接続されてもよい。
【0012】
管理サーバ1は、管理装置の一例であり、CPU等のプロセッサ、ROMやRAM等のメモリ、表示機器、入力機器及び通信機器を有するコンピュータである。管理サーバ1は、複数の給水装置3に関する各種データを管理するためのHDD、SSD、集積回路記憶装置等の大容量記憶装置を有する。当該大容量記憶装置をデータベースと呼ぶことにする。例えば、管理サーバ1は、給水装置3に関する各種データをデータベースに記憶し、そして、給水装置3の稼働状況を管理する。なお、管理サーバ1は、オンプレミスサーバに限らず、クラウドサーバであってもよい。
【0013】
給水装置3は、例えば、水を増圧し、建物に設けられた蛇口やシャワーヘッド等の供給先に給水する。
【0014】
端末5は、点検作業員等のユーザが持ち運び可能な通信端末であり、例えば、ノートPC、モバイル端末(スマートフォン、フィーチャーフォン、タブレット)が挙げられる。なお、端末5は、給水装置3の管理専用に構成された通信デバイスであってもよい。端末5から、給水装置3を制御可能としてもよく、例えば、給水装置3を制御するためのアプリケーション(以下、制御アプリケーションともいう)が搭載されてもよいし、Webブラウザから給水装置3を制御可能としてもよい。
【0015】
次に、実施形態に係る給水装置3について
図2及び
図3を用いて説明する。
図2に示すように、給水装置3は、複数のポンプユニット11と、各ポンプユニット11の二次側に設けられた複数の流量検出器12と、各流量検出器12の二次側に設けられた複数の逆止弁13と、複数のポンプユニット11の二次側に設けられた圧力検出器14と、ポンプユニット11の二次側に設けられた蓄圧装置15と、ポンプユニット11を制御する制御盤50と、を備える。また、給水装置3は、各種配管を含む。
【0016】
ポンプユニット11は、複数設けられ、流量検出器12及び逆止弁13は、複数のポンプユニット11のそれぞれの二次側に設けられる。本実施形態においては、
図2に示すように、給水装置3がポンプユニット11を3台有する例を用いて説明する。3台のポンプユニット11は、並列に接続される。例えば、3台のポンプユニット11は、一次側に分岐配管16が接続される。また、3台のポンプユニット11は、二次側に合流配管17が接続され、この合流配管17の合流部17aの二次側が給水先に接続される。なお、ポンプユニット11は、2台以上であれば、その台数は限定されない。
【0017】
分岐配管16は、分岐部16aの一次側が貯水槽等や水道分管の給水源に接続される。分岐配管16は、分岐部16aの二次側にそれぞれポンプ21の吸込口が接続される配管である。
【0018】
合流配管17は、各ポンプ21の吐出口に接続され、各ポンプ21の二次側において合流する配管である。合流配管17は、合流部17aの二次側に、二方向に分岐する分岐部17bと、分岐部17bの一方に接続された配管17cと、分岐部17bの他方に接続された分岐管17dと、を備える。配管17cは、給水先である給水管210に接続され、分岐管17dは、蓄圧装置15に接続される。
【0019】
ポンプユニット11は、回転機械としてのポンプ21と、回転電機としてのモータ22と、を備える。なお、ポンプユニット11は、ポンプ21の一次側及び逆止弁13の二次側に、手動によって流路を開閉可能に形成され、常時開で使用され、メンテナンス等において閉じられる開閉弁を有していても良い。
【0020】
ポンプ21は、駆動することで、水を増圧し、二次側へ供給する。ポンプ21は、ポンプケーシング内に回転軸に固定された羽根車を有し、モータ22によって回転軸が回転することで、羽根車が回転し、水を増圧する。このようなポンプ21は、1つの羽根車を有する単段ポンプであってもよく、また、複数の羽根車を有する多段ポンプであってもよい。
【0021】
モータ22は、ポンプ21を駆動する。モータ22は、例えば、固定子、回転子及びモータ軸を有し、モータ軸がポンプ21の回転軸に接続される。モータ22は、制御盤50の後述するインバータ54に接続される。
【0022】
流量検出器12は、流量センサである。流量検出器12は、各ポンプユニット11にそれぞれに設けられ、ポンプユニット11の二次側、即ち、ポンプ21の吐出口から吐出する水の流れを検出する。具体例として、流量検出器12は、ポンプ21の二次側であって、且つ、逆止弁13の一次側に設けられる。流量検出器12は、ポンプ21の二次側であって、且つ、逆止弁13の一次側において、各ポンプ21の吐出流量を検出する。流量検出器12は、検出した流量の情報を信号として出力する。
【0023】
例えば、流量検出器12は、流量値を検出可能な羽根車式等が用いられる。なお、流量検出器12は、停止流量のみを検出するパドル式やフロート式等であってもよい。
【0024】
逆止弁13は、ポンプ21の二次側に設けられる。具体例として、ポンプ21の吐出口又は吐出口の二次側の配管に設けられ、ポンプ21側への水の逆流を防止する機能を有する。逆止弁13は、弁座と、弁座に相対的に移動する弁体を含む。逆止弁13は、ポンプ21からポンプ21の二次側に移動する水によって、弁体が弁座から離れて水の流れを許容し、そして、ポンプ21の二次側からポンプ21に向かって移動する水によって弁体が弁座に当接して、水がポンプ21の二次側からポンプ21に向かって移動することを防止する。
【0025】
圧力検出器14は、圧力センサである。圧力検出器14は、合流配管17に設けられる。圧力検出器14は、制御盤50に接続され、検出した圧力の情報を信号として出力される。
【0026】
蓄圧装置15は、例えば、アキュムレータである。蓄圧装置15は、例えば、始動圧力以上の圧力で水を蓄圧できる。蓄圧装置15の容積は、給水装置3の使用条件等によって適宜設定される。また、蓄圧装置15は、給水装置3の使用条件等によって複数設置されてもよい。
【0027】
制御盤50は、複数台のポンプユニット11を交互に駆動する交互運転、複数台のポンプユニット11のうち少なくとも2つを同時に駆動する並列運転等により、ポンプユニット11を制御する。また、制御盤50は、流量検出器12で検出する流量値、圧力検出器14で検出する圧力値、インバータ54の周波数、ポンプユニット11の二次側の配管抵抗、合流配管17の二次側に設けられる圧力センサ等の各種センサ類で取得した情報のすくなくともいずれかに基づいて、推定末端圧一定制御、吐出圧力一定制御、実末端圧一定制御等の目標圧力一定制御によって、複数台のポンプユニット11を制御する。
【0028】
具体例として、
図3に示すように、制御盤50は、互いにバスラインを介して接続された、通信器51、入力機器53、インバータ54、インタフェース55、表示機器56、記憶装置57及び制御部としてのプロセッサ58を含む。
【0029】
通信器51は、近距離通信器及び遠距離通信器の少なくとも一方を含む。本実施形態の例において、通信器51は、近距離通信器及び遠距離通信器の双方を含む例を説明する。例えば、近距離通信器は、Bluetooth、Wi-FiまたはNFC等の無線通信の規格に準拠した無線通信モジュールを搭載し、近距離無線通信を行なう。近距離通信器は、USB等の有線通信の規格を用いた近距離通信を行なってもよい。近距離通信器は、端末5との間で、近距離通信回線を介して、給水装置3の運転モードの設定および各種データの送受信などを行なう。
【0030】
遠距離通信器は、携帯通信網、WimaxおよびWi-Fi等の無線通信の規格を用いた遠距離通信を行なう。遠距離通信器は、管理サーバ1または端末5との間で、遠距離通信回線を介して各種データの送受信を行なう。
【0031】
近距離通信器および遠距離通信器による無線接続の確立については、例えば、Bluetoothであれば、一般的なペアリング接続により無線接続が確立されればよく、Wi-Fiであれば、Wi-Fiのアクセスポイントに予め設定されたSSIDおよびパスワードを入力することで、無線接続が確立されればよい。なお、一度、給水装置3と端末5との無線接続が確立していれば、端末5の無線機能をオンにして給水装置3と接近することで、自動的に無線接続が確立されるものとする。
【0032】
入力機器53は、ユーザの指示を電気信号に変換する。入力機器53としては、例えば、操作パネルやタッチパネル、キーボード、マウス、各種スイッチ等が用いられればよい。なお、入力機器53としては、音声入力装置が用いられてもよい。入力機器53からの電気信号はバスを介してプロセッサ58に供給される。
【0033】
インバータ54は、ポンプユニット11を作動する動力を発生する。具体的には、インバータ54は、モータ22に所定周波数の交流電力を供給する。また、インバータ54は、プロセッサ58からインバータ制御信号を受け取る。インバータ54は、インバータ制御信号に応じて動作する。例えば、インバータ54は、運転停止信号または運転開始信号に相当するインバータ制御信号に応じて運転を停止または開始する。また、インバータ54は、回転数制御信号に相当するインバータ制御信号に応じて周波数(運転周波数)を可変させてモータ22の回転数(回転速度)を制御する。
【0034】
具体的には、インバータ54は、図示しないコンバータ回路、平滑コンデンサ及びインバータ回路を含む。コンバータ回路は、交流電源から交流電力を取り込み整流することで直流電力に変換する。平滑コンデンサは、コンバータ回路によって出力される直流電力の電圧を平滑化し、略一定電圧の直流電力を得る。そして、インバータ回路は、平滑コンデンサによって得られた直流電力を制御盤50からのインバータ制御信号(回転数制御信号に相当)に応じた所定周波数の交流電力へと変換してモータに供給する。また、インバータ54は、インバータ54の温度を検出する温度検出器59を有する。ここで、温度検出器59が検出するインバータ54の温度とは、例えば、インバータ54の内部温度である。温度検出器59は、検出した温度を信号として出力する。また、インバータ54は、例えば、高温となった場合に異常温度と判定し、強制停止する異常温度保護機能を有する。
【0035】
なお、インバータ54は、制御盤50内に設けられず、モータ22に一体に設けられる構成であってもよい。また、温度検出器59は、インバータ54に加え、又は、インバータ54に変えて、モータ22、制御盤50及び/又は制御盤50に用いられる制御基板や電子部品に設けられ、モータ22の温度、制御盤50内の温度、制御盤50に用いられる制御基板の温度、及び/又は、制御基板等に用いられる発熱する電子部品の温度を検出可能に設けられる構成であってもよい。
【0036】
インタフェース55は、例えば、ポート等の入出力インタフェースである。インタフェース55は、例えば、制御盤50と流量検出器12及び圧力検出器14を含む各種センサ等とを接続し、各種信号を受信する。
【0037】
表示機器56は、各種データを表示する。表示機器56としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ等の任意のディスプレイが用いられる。
【0038】
記憶装置57は、各種データを記憶するROMやRAM、HDD、SSD、集積回路記憶装置等のメモリ装置である。記憶装置57は、物理的に一つのメモリ装置により実現されてもよいし、給水装置3内に物理的に分離された複数のメモリ装置により実現されてもよい。
【0039】
記憶装置57には、制御情報として、起動圧力、停止流量、目標圧力、加速時間、減速時間、PI制御設定値、第1最大運転周波数、第2最大運転周波数、最小運転周波数といった各種制御設定値が記憶される。また、記憶装置57には、目標圧力一定制御を行うためのプログラム、温度検出器59で検出したインバータ54の温度に基づいて制御設定として最大周波数を変更するプログラム等が記憶される。また、ここで、第1最大運転周波数は、モータ22の運転電流がインバータ54の定格最大電流未満となる周波数であって、第2最大運転周波数よりも高い周波数に設定される。ここで、運転周波数とは、モータ22の回転速度を意味し、第1最大運転周波数及び第2最大運転周波数とは、モータ22の回転速度の上限値を意味する。
【0040】
また、記憶装置57は、運転周波数の上限値を第1最大運転周波数及び第2最大運転周波数のいずれかを選択するための閾値としてのインバータ54の温度である第1設定温度、及び、第2最大運転周波数から第1最大運転周波数に切り替えるインバータ54の温度である第2設定温度を記憶する。ここで、第1設定温度は、第2設定温度より高い温度であって、且つ、インバータ54を強制停止する温度よりも低い温度に設定される。なお、インバータ54を強制停止する温度とは、モータ22やインバータ54を保護するための温度である。具体例として、インバータ54を強制停止する温度とは、インバータ54が有する異常温度保護機能の強制停止温度であってもよく、また、インバータ54が異常温度保護機能を有さずに、予めモータ22やインバータ54の性能に基づいて任意に設定された、モータ22及びインバータ54を保護するための温度であってもよい。
【0041】
プロセッサ58は、CPUやマイクロプロセッサ等の演算装置である。プロセッサ58は、ASICやFPGA等の専用の回路により構成されてもよい。プロセッサ58は、記憶装置57に保存された各種プログラムを実行することで、管理装置としての機能、例えば、取得部581と、判定部583と、通信制御部584と、発報部585との各機能を実現する制御部である。
【0042】
取得部581は、ポンプユニット11の運転情報を取得する。運転情報は、ポンプユニット11の運転に関する複数のパラメータを含むポンプユニット11の動作状況である。運転情報に含まれるパラメータとしては、例えば、電源から制御盤50に供給される電圧、電流、電力、各流量検出器12により計測された流量値、圧力検出器14により計測された圧力値(揚程)、モータ22の運転周波数、積算運転時間、運転回数、液面(電極)情報が挙げられる。液面情報は、例えば、給水源として貯水槽(受水槽)が用いられる場合や、給水先として貯水槽(受水槽)が用いられる等、給水装置3に接続される槽の満水、減水、渇水、異常無しといった水位の情報である。なお、運転情報として、加速時間、減速時間、PI制御設定値、運転周波数、第1/第2最大運転周波数、最小運転周波数といった制御設定値を含んでいてもよい。
【0043】
また、運転情報として、実際のポンプ21(モータ22)の動作状況を含む。例えば、動作状況としては、実際のモータ22の運転周波数、流量検出器12で検出した流量値及び圧力検出器14で検出した圧力値等である。
【0044】
判定部582は、温度検出器59で検出した温度に基づいて、最大運転周波数の変更の要否を判定する。判定部582で最大運転周波数の変更が必要と判定すると、プロセッサ58は、変更した最大運転周波数を上限として、インバータ54を制御する。
【0045】
具体例として、判定部582において温度検出器59で検出した温度が第1設定温度以下であると判定すると、プロセッサ58は、インバータ54を制御し、第1最大運転周波数を上限として、ポンプユニット11を目標圧力一定制御する。また、判定部582において温度検出器59で検出した温度が第1設定温度を超えていると判定すると、プロセッサ58は、運転周波数の上限値を第1最大運転周波数よりも低い周波数である第2最大運転周波数として、ポンプユニット11を目標圧力一定制御する。また、運転周波数の上限値が第2最大運転周波数であるときに、判定部582において温度検出器59で検出した温度が第2設定温度以下であると判定すると、プロセッサ58は、運転周波数の上限値を第1最大運転周波数でポンプユニット11を目標圧力一定制御する。
【0046】
なお、目標圧力一定制御を行うときに、複数のポンプユニット11に、駆動しないポンプユニット11である予備機がある場合か、又は、停止しているポンプユニット11がある場合には、プロセッサ58は、運転中のポンプユニット11の制御を行っているインバータ54の温度が第1設定温度を超えており、停止中又は予備機のポンプユニット11の制御を行うインバータ54の温度が第2設定温度以下である場合には、運転しているポンプユニット11を停止又は減速し、停止中又は予備機のポンプユニット11を代替運転してもよい。
【0047】
また、目標圧力一定制御を行うときに、複数のポンプユニット11を全て駆動する場合であって、複数のポンプユニット11のうち少なくとも1台以上が第1最大運転周波数以下で駆動している場合に、プロセッサ58は、いずれかのインバータ54の温度が第1設定温度を超えており、他のインバータ54の温度が第2設定温度以下の場合に、第1設定温度以上のインバータ54の運転周波数を減少又は停止させるとともに、第2設定温度以下のインバータ54の運転周波数を増加させて、ポンプユニット11の回転速度を入れ替えるか又は第1設定温度以上のインバータ54を停止してもよい。
【0048】
即ち、複数のポンプユニット11を並列運転する場合において、主機及び従機として、インバータ54の運転周波数(ポンプ21及びモータ22の回転速度)に差を設ける場合に、プロセッサ58は、第1設定温度以上のインバータ54(ポンプ21及びモータ22)の周波数を減少(停止を含む)させて第2設定温度以下のインバータ54(ポンプ21及びモータ22)の周波数を増加させて、主機及び従機を入れ替えてもよい。なお、複数のポンプユニット11を並列駆動させる場合において、上述したように主機及び従機として運転周波数(回転速度)を異ならせる構成の例を説明しているが、並列運転する複数のポンプユニット11を同一又は略同一の運転周波数(回転速度)としてもよい。
【0049】
通信制御部584は、通信器51を制御して、運転情報を外部に送信する。例えば、通信制御部584は、近距離通信器または遠距離通信器を用いて運転情報を管理サーバ1に送信すればよい。
【0050】
発報部585は、いずれか及び/又は全てのインバータ54の温度が強制停止する温度よりも低い第1設定温度を超えた場合、インバータ54の温度が強制停止する温度よりも低い第1設定温度を超え、その後に第1設定温度を超えたインバータ54を所定の時間運転周波数の上限値を第2最大運転周波数により駆動又は停止させても、該インバータ54の温度が第1設定温度以下とならない場合、流量検出器12、逆止弁13、圧力検出器14、インバータ54及び温度検出器59等の給水装置3の各種構成に異常及び/又は故障が発生した場合などの、所定の条件に基づいて、外部にアラートを発報する。
【0051】
なお、制御盤50を構成する基板の枚数は任意に設計可能であり、各基板が通信器51、入力機器53、インバータ54、インタフェース55、表示機器56、記憶装置57及びプロセッサ58のうちの何れの機器を物理的に装備するのかも任意に設計可能である。また、取得部581と、判定部582と、通信制御部584と、発報部585とは、一のプロセッサ58が担うものとしたが、物理的に分離した複数のプロセッサが分担してもよい。
【0052】
次に、実施形態に係る給水装置3の制御方法として、給水装置3の第1動作例及び第2動作例を、
図4及び
図5のフローチャートを参照して説明する。
【0053】
先ず、第1動作例を説明する。第1動作例は、複数のポンプユニット11のうち、少なくとも1台は駆動を行わずに予備機とする例である。
【0054】
先ず、給水装置3に電源が供給され、全てのポンプ21の停止中において、圧力検出器14で検知した圧力が起動圧力以下となると、プロセッサ58は、ポンプユニット11の最大数よりも少ない台数のモータ22を駆動制御する(ステップST1)。具体的には、プロセッサ58は、最大数より少ない台数のインバータ54を制御して、ポンプユニット11により目標圧力一定制御を行う。例えば、このとき、最大運転周波数(最大回転速度)を第1最大運転周波数(最大回転速度)として、プロセッサ58はインバータ54を制御する。
【0055】
また、プロセッサ58の取得部581は、各インバータ54の温度の取得を開始する(ステップST2)。プロセッサ58の判定部582は、検出した駆動しているインバータ54の温度が第1設定温度以下であるか否かを判定する(ステップST3)。駆動しているインバータ54の温度が第1設定温度以下である場合(ステップST3のYES)には、プロセッサ58は、第1最大運転周波数を上限としてインバータ54を制御し、運転中のモータ22を駆動制御する(ステップST4)。
【0056】
駆動しているインバータ54のうち、いずれかのインバータ54の温度が第1設定温度を超えている場合には、判定部582は、検出した停止中のインバータ54の温度が第2設定温度以下であるか否かを判定する(ステップST5)。停止しているインバータ54の温度が第2設定温度以下である場合(ステップST5のYES)には、プロセッサ58は、運転している第1設定温度を超えたインバータ54を制御してモータ22を停止又は減速するとともに、停止している第2設定温度以下のインバータ54を制御して、モータ22を始動し、モータ22の駆動制御を行い(ステップST6)、ステップST2に戻る。
【0057】
停止しているインバータ54の温度が第2設定温度を超えている場合(ステップST5のYES)には、プロセッサ58は、第2最大運転周波数を上限として運転している第1設定温度を超えたインバータ54を制御して、モータ22を駆動制御する(ステップST7)。また、判定部582は、検出した第2最大運転周波数を上限として運転しているインバータ54の温度が第2設定温度以下であるか否かを判定する(ステップST8)。
【0058】
検出した第2最大運転周波数を上限として運転しているインバータ54の温度が第2設定温度以下でない場合(ステップST8のNO)には、プロセッサ58は、第2最大運転周波数を上限としてインバータ54の制御を継続し、ステップST2に戻る。
【0059】
検出した第2最大運転周波数を上限として運転しているインバータ54の温度が第2設定温度以下である場合(ステップST8のYES)には、プロセッサ58は、第1最大運転周波数を上限としてインバータ54の制御を行い、ステップST2に戻る。プロセッサ58は、これらの処理を繰り返すことで、給水装置3を制御する。
【0060】
次に、第2動作例を説明する。第2動作例は、複数のポンプユニット11の全台を駆動する、即ち、停止中又は予備機のポンプユニット11が無い例である。なお、給水装置3は、第1動作例及び第2動作例のうち、一方を用いて給水のための制御を行っても良く、また、給水装置3の二次側の給水量によって駆動するポンプユニット11を増台し、全台を駆動する前は第1動作例を用い、全台を駆動した後は第2動作例を用いる構成としてもよい。
【0061】
先ず、給水装置3に電源が供給され、全てのポンプ21の停止中において、圧力検出器14で検知した圧力が起動圧力以下となると、プロセッサ58は、ポンプユニット11の最大数(全台)のモータ22を駆動制御する(ステップST11)。具体的には、プロセッサ58は、最大数である全台のインバータ54を制御して、全ポンプユニット11により目標圧力一定制御を行う。例えば、このとき、いずれか1台のポンプユニット11においては、最大運転周波数(最大回転速度)を第1最大運転周波数(最大回転速度)として、プロセッサ58はインバータ54を制御する。即ち、この例では、少なくとも1台のポンプユニット11を主機として、他のポンプユニット11を従機として駆動制御する。
【0062】
また、プロセッサ58の取得部581は、各インバータ54の温度の取得を開始する(ステップST12)。プロセッサ58の判定部582は、検出した駆動しているインバータ54の温度が第1設定温度以下であるか否かを判定する(ステップST13)。駆動しているインバータ54の温度が第1設定温度以下である場合(ステップST3のYES)には、プロセッサ58は、第1最大運転周波数を上限としてインバータ54を制御し、運転中のモータ22を駆動制御する(ステップST14)。
【0063】
駆動しているインバータ54のうち、いずれかのインバータ54の温度が第1設定温度を超えている場合には、判定部582は、駆動している他のインバータ54のいずれかが温度が第2設定温度以下であるか否かを判定する(ステップST15)。いずれかのインバータ54の温度が第2設定温度以下である場合(ステップST15のYES)には、プロセッサ58は、運転している第1設定温度を超えたインバータ54を制御してモータ22を減速するとともに、運転している第2設定温度以下のインバータ54を制御して、モータ22を増速させて、モータ22の駆動制御を行い(ステップST16)、ステップST2に戻る。なお、ステップSTS15において、第2設定温度以下のインバータ54が2台以上ある場合には、いずれかを選択すればよく、この選択は、輪番の選択であってもよく、また、より低い温度のインバータ54を選択してもよい。
【0064】
駆動している他のインバータ54の温度が第2設定温度を超えている場合(ステップST15のYES)には、第2最大運転周波数を上限として運転している第1設定温度を超えたインバータ54を制御して、モータ22を駆動制御する(ステップST17)。なお、所望の給水量を確保可能であれば、ステップST17において、全てのインバータ54において、第2最大運転周波数を上限としてもよい。また、判定部582は、検出した第2最大運転周波数を上限として運転しているインバータ54の温度が第2設定温度以下であるか否かを判定する(ステップST18)。
【0065】
検出した第2最大運転周波数を上限として運転しているインバータ54の温度が第2設定温度以下でない場合(ステップST18のNO)には、プロセッサ58は、第2最大運転周波数を上限としてインバータ54の制御を継続し、ステップST12に戻る。
【0066】
検出した第2最大運転周波数を上限として運転しているインバータ54の温度が第2設定温度以下である場合(ステップST18のYES)には、プロセッサ58は、第1最大運転周波数を上限としてインバータ54の制御を行い、ステップST12に戻る。プロセッサ58は、これらの処理を繰り返すことで、給水装置3を制御する。
【0067】
このように構成された給水装置3によれば、インバータ54の温度が強制停止する温度よりも低い第1設定温度を超えた場合に、第1設定温度以下のときの第1最大運転周波数よりも低い周波数である第2最大運転周波数を上限値としてインバータ54(モータ22)を制御する。これにより、モータ22及びインバータ54の発熱を抑制することができるため、インバータ54が強制停止することを防止できる。また、給水装置3は、第2最大運転周波数を上限値としてインバータ54を制御しているときに、インバータ54の温度が第2設定温度以下となった場合には、第1最大運転周波数を上限値としてインバータ54を制御する。これにより、給水装置3は、温度上昇に伴う強制停止を防止及び給水機能の維持に加え、給水性能を維持することができる。加えて、給水装置3は、過度な温度上昇を防止できることから、温度上昇に伴うモータ22及びインバータ54を含む電気部品の劣化、損傷及び寿命の低下を防止できる。
【0068】
また、給水装置3は、予備機を含む停止中のポンプユニット11を有して制御を行う場合に、第1設定温度を超えたインバータ54(モータ22)を減速又は停止し、予備機として停止しているインバータ54(モータ22)を駆動することで、給水量が低下することを防止できる。
【0069】
また、給水装置3は、全台のポンプユニット11を駆動する場合においては、第1設定温度を超えたインバータ54の最大運転周波数を第1最大運転周波数から第2最大運転周波数に上限値を変えること、及び、主機及び従機を入れ替えることで、給水量を低下させることを抑制できるため、好適な給水が可能となる。
【0070】
以上に示した実施形態によれば、給水装置3は、温度上昇に伴う停止を防止し、給水を継続することができる。
【0071】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、上述した例では、給水装置3は、温度検出器59をインバータ54に設け、インバータ54の温度によって最大運転周波数(最大回転速度)を第1最大運転周波数及び第2最大運転周波数とする構成を説明したが、これに限定されない。給水装置3は、温度検出器59によりモータ22及び/又はインバータ54の温度と相関性のある発熱体である電子部品又は制御盤50内の空間温度等を検出し、これらの温度からモータ22及び/又はインバータ54の温度を推定し、上限となる最大運転周波数を選択する構成としてもよい。即ち、温度検出器59は、モータ22又はインバータ54の温度を直接的に検出してもよく、モータ22又はインバータ54の温度を間接的に検出してもよい。また、給水装置3は、インバータ54以外に異常温度保護機能を有する電気部品の温度を検出し、この温度に用いて最大運転周波数(最大回転速度)の上限値を選択する構成としてもよい。
【0072】
また、上述した例では、給水装置3は、第1最大運転周波数及び第2最大運転周波数のいずれかを運転周波数の上限値とする例を説明したが、これに限定されない。即ち、給水装置3は、上限とする最大運転周波数(最大回転速度)を3以上とし、これら3以上の最大運転周波数を判定するための閾値である設定温度を2以上とする構成であってもよい。
【0073】
また、給水装置3は、インバータ54の温度等によって最大運転周波数(最大回転速度)の上限を変える構成に加えて、温度及び最大回転速度を含む運転情報を発報部585によるアラートや通信器51を介して外部へ送信してもよい。
【0074】
また、上述した例では、給水装置3として、水を増圧する説明を行ったが、給水装置3は、水以外の液体、例えば、油、冷却液等の水以外の液体に適用できる。
【0075】
即ち、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0076】
1…管理サーバ、3…給水装置、5…端末、11…ポンプユニット、12…流量検出器、13…逆止弁、14…圧力検出器、15…蓄圧装置、16…分岐配管、16a…分岐部、17…合流配管、17a…合流部、17b…分岐部、17c…配管、17d…分岐管、21…ポンプ、22…モータ、50…制御盤、51…通信器、53…入力機器、54…インバータ、55…インタフェース、56…表示機器、57…記憶装置、58…プロセッサ、59…温度検出器、210…給水管、581…取得部、582…判定部、583…判定部、584…通信制御部、585…発報部。