(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104160
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】開閉体収納部の構造
(51)【国際特許分類】
E06B 9/58 20060101AFI20240726BHJP
E06B 9/15 20060101ALI20240726BHJP
E06B 9/17 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
E06B9/58 Z
E06B9/15 B
E06B9/17 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008247
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】猪俣 忠明
(72)【発明者】
【氏名】高橋 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】小林 正典
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042CA02
2E042DA00
(57)【要約】
【課題】巻取ガイドの横ずれを抑制できるとともに、少量生産に適した部材構成とすることができる開閉体収納部の構造を提供する。
【解決手段】開口部19を開閉するシャッターカーテン21を巻き取って収容可能とする収納部13が、開口部19の幅方向に延在して開口部上に取り付けられるまぐさ33に載置されて建物壁17に、取り付けられる開閉体収納部の構造であって、収納部13は、収納空間69の下面開口がまぐさ33に閉塞され、開閉体が巻き取られるに際しシャッターカーテン21の外周面に接してシャッターカーテン21が半径方向外側に膨らむ巻き弛みを規制する巻取ガイド35が内方に配置され、巻取ガイド35は、収納部13の長手方向の移動が規制されてまぐさ33に着脱自在に取り付けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を開閉する開閉体を巻き取って収容可能とする収納部が、前記開口部の幅方向に延在して開口部上に取り付けられるまぐさに載置されて建物壁に、取り付けられる開閉体収納部の構造であって、
前記収納部は、収納空間の下面開口が前記まぐさに閉塞され、
前記開閉体が巻き取られるに際し前記開閉体の外周面に接して前記開閉体が半径方向外側に膨らむ巻き弛みを規制する巻取ガイドが内方に配置され、
前記巻取ガイドは、前記収納部の長手方向の移動が規制されて前記まぐさに着脱自在に取り付けられることを特徴とする開閉体収納部の構造。
【請求項2】
前記まぐさに、取付ベースが固定され、前記取付ベースに前記巻取ガイドが着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の開閉体収納部の構造。
【請求項3】
前記まぐさに、前記巻取ガイドの移動を規制する規制部が形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の開閉体収納部の構造。
【請求項4】
前記規制部が、前記巻取ガイドを移動方向の両側から挟んで前記まぐさに形成される一対の平行な規制切込辺部であることを特徴とする請求項3に記載の開閉体収納部の構造。
【請求項5】
前記取付ベースに、前記巻取ガイドの移動を規制する規制部が形成されることを特徴とする請求項2に記載の開閉体収納部の構造。
【請求項6】
前記開閉体が、両側縁部に配置されて巻き取り方向に延在する一対の線状連結部材と、両端部が一対の前記線状連結部材に接続されて巻き取り方向に並べられた平行な複数のスラットと、を備え、
前記スラットは、
前記線状連結部材に回動自在に接続され、前記開口部の下端に前記開閉体が下降した状態で前記開口部を閉じる閉位置と、前記開口部の一部を開放する開位置とに揺動可能となることを特徴とする請求項1、2、5のいずれか1つに記載の開閉体収納部の構造。
【請求項7】
前記開閉体が、両側縁部に配置されて巻き取り方向に延在する一対の線状連結部材と、両端部が一対の前記線状連結部材に接続されて巻き取り方向に並べられた平行な複数のスラットと、を備え、
前記スラットは、
前記線状連結部材に回動自在に接続され、前記開口部の下端に前記開閉体が下降した状態で前記開口部を閉じる閉位置と、前記開口部の一部を開放する開位置とに揺動可能となることを特徴とする請求項3に記載の開閉体収納部の構造。
【請求項8】
前記開閉体が、両側縁部に配置されて巻き取り方向に延在する一対の線状連結部材と、両端部が一対の前記線状連結部材に接続されて巻き取り方向に並べられた平行な複数のスラットと、を備え、
前記スラットは、
前記線状連結部材に回動自在に接続され、前記開口部の下端に前記開閉体が下降した状態で前記開口部を閉じる閉位置と、前記開口部の一部を開放する開位置とに揺動可能となることを特徴とする請求項4に記載の開閉体収納部の構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉体収納部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
円滑な開閉作動が可能なシャッター装置が開示されている(特許文献1参照)。このシャッター装置の横フレーム内には、駆動モータにより回転される巻取体が収容されている。巻取体には、シャッターカーテンの上端部が接続される。横フレームは、上面部、前面部、後面部、下面部及び底板を備えて構成される。横フレームの底板の上面部には、ロアガイド(巻取ガイド)が取り付けられる。巻取ガイドは、巻取体によって巻き取られたシャッターカーテンの外周面と、横フレームの4隅との間の空間の内、巻取体よりも下方であって、巻取体よりも建築物よりに位置する空間を埋めている。このシャッター装置によれば、巻取体に巻き取られたシャッターカーテンの外周面と横フレームとの間に形成された空間を、巻き取られたシャッターカーテンの外周面から遮るための巻取ガイドを、横フレームの内周部に備えているので、シャッターカーテンの開閉時に、横フレームの中で、シャッターカーテンが半径方向外方に膨らむことを低減でき、シャッターカーテンの円滑な開閉作動が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のシャッター装置は、巻取ガイドの下端部から下方に向けて突設された嵌合片が、底板に取り付けられた状態において、底板の上面部に形成された取付レールに弾発的に当接することで、嵌合片と取付レールとの間の摩擦力により、巻取ガイドが、取付レールに沿う底板の延在方向への移動を防いでいた。このため、例えばシャッターカーテンの巻き取り時に摩擦力よりも大きな力がシャッターカーテンから巻取ガイドに加わると、巻取ガイドが取付レールに沿って、横フレームの延在方向に横ずれする虞があった。横ずれした巻取ガイドでは、シャッターカーテンの巻き弛みを十分に抑制することができなくなる。
また、この横ずれは、取付レールに巻取ガイドを取り付けたまま運搬する際にも衝撃や振動によって発生する可能性があった。
さらに、従来のシャッター装置は、巻取ガイドを嵌め込むための取付レールが、アルミ押出成形により成形される底板の一部分として一体に成形されていた。この底板は、アルミ製であり「上枠」として構成されるが、スチール製の場合には「まぐさ」と称されることがある。上枠とまぐさは、共に開口部下方より見上げれば目視可能となる横架材である。このため、上枠やまぐさは、シャッター装置を含む建物開口部分の構造体における様々な色展開に対応、すなわち、少量生産できることが望ましい。ところが、取付レール等を設けるために複雑な断面形状を付与したアルミ製の底板、すなわち上記した上枠は、押出成形品であるため、少量生産に適さない。アルミ製の底板は、仮にそれぞれの色を在庫すれば在庫増の不都合が生じる。
【0005】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、巻取ガイドの横ずれを抑制できシャッターカーテンの巻き弛みの防止を維持するとともに、少量生産に適した部材構成とすることができる開閉体収納部の構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の開閉体収納部の構造は、開口部19を開閉する開閉体21を巻き取って収容可能とする収納部13が、前記開口部19の幅方向に延在して開口部上に取り付けられるまぐさ33に載置されて建物壁17に、取り付けられる開閉体収納部の構造であって、
前記収納部13は、収納空間69の下面開口が前記まぐさ33に閉塞され、
前記開閉体21が巻き取られるに際し前記開閉体21の外周面に接して前記開閉体21が半径方向外側に膨らむ巻き弛みを規制する巻取ガイド35が内方に配置され、
前記巻取ガイド35は、前記収納部13の長手方向の移動が規制されて前記まぐさ33に着脱自在に取り付けられることを特徴とする。
【0007】
この開閉体収納部の構造では、開閉体21を巻き取って収容可能とする収納部13が、まぐさ33に載置されて建物壁17に取り付けられる。収納部13は、まぐさ33に載置されることにより、下面開口がまぐさ33によって閉塞される。つまり、まぐさ33は、上面が収納部13における収納空間69の内壁面を構成して下面開口を塞ぐ。このまぐさ33の上面には、巻取ガイド35が着脱自在に設けられる。巻取ガイド35は、まぐさ33に設けられることにより収納部13の長手方向の移動が規制される。まぐさ33に取り付けられた巻取ガイド35は、収納部13が載置されると、収納空間69の内側に突出して配置される。巻取ガイド35は、開閉体21が巻き取られるに際し開閉体21の外周面に接することで、開閉体21が半径方向外側に膨らむ巻き弛みを規制する。この巻取ガイド35は、まぐさ33に着脱自在となる。巻取ガイド35は、収納部13を現場においてまぐさ33の上に載置する直前に、まぐさ33に簡単に装着して取り付けることが可能となる。これにより、開閉体収納部の構造は、巻取ガイド35を現場取り付けとすることで、工場出荷時に取り付けた巻取ガイド35が運搬途中の振動や衝撃で横ずれすることを未然に防止可能とすることもできる。さらに、開閉体収納部の構造は、工場出荷時に巻取ガイド35がまぐさ33に取り付けられていても、長手方向の移動を規制する切欠部55が設けられているので、運搬途中の振動や衝撃によっても横ずれをしっかりと抑制することができる。また、巻取ガイド35は、収納部13がまぐさ33に載置されると、開閉体21の外周面に対向して配置される。巻取ガイド35は、開閉体21の外周面に接して巻き弛みを規制しているときに、開閉体21からの反力を受けても、まぐさ33の延在方向に横ずれしない。そして、巻取ガイド35が設けられるまぐさ33は、スチール製とすることができるので、従来のアルミ製に比べ、折り曲げ加工の後に着色塗装して製作できる。このためまぐさ33は、様々な色展開が容易に可能となる。また、アルミ製よりも安価に製作が可能となる。これにより、各色をそれぞれに在庫しなければならなかったアルミ製のまぐさを含む部品構成に比べ、部品在庫数を減らすことが可能となる。
【0008】
本発明の請求項2記載の開閉体収納部の構造は、請求項1に記載の開閉体収納部の構造であって、
前記まぐさ33に、取付ベース71が固定され、前記取付ベース71に前記巻取ガイド35が着脱自在に取り付けられることを特徴とする。
【0009】
この開閉体収納部の構造では、まぐさ33に、取付ベース71が固定され、この取付ベース71に巻取ガイド35が着脱自在に取り付けられる。つまり、まぐさ33、取付ベース71、巻取ガイド35のそれぞれが、別体で製作される。まぐさ33は、プレス加工の後に、塗装することですぐに製作できるスチール製とすることができる。取付ベース71は、樹脂に比べて強度、耐久性が高く、巻取ガイド35を着脱自在とする複雑な断面形状での製造が可能なアルミ製とすることができる。巻取ガイド35は、回転する開閉体21の外周面に摺接しても開閉体21の傷つきを抑制でき、取付ベース71に対し、係止可能な前脚片91、後脚片93や、弾接可能な弾接脚片99を容易に一体成形できる樹脂製とすることができる。このように、この開閉体収納部の構造では、まぐさ33、取付ベース71、巻取ガイド35のそれぞれを別部材にでき、それぞれの部材の機能に適した素材選択の自由度を高めることができる。特に、巻取ガイド35は着脱自在であることで、摩耗など経時変化の際に容易に交換を可能とすることができる。
【0010】
本発明の請求項3記載の開閉体収納部の構造は、請求項1または2に記載の開閉体収納部の構造であって、
前記まぐさ33に、前記巻取ガイド35の移動を規制する規制部61が形成されることを特徴とする。
【0011】
この開閉体収納部の構造では、まぐさ33に、規制部61が形成される。規制部61は、まぐさ33に取り付けられた巻取ガイド35が、まぐさ33の長手方向に移動することを規制する働きを有する。まぐさ33は、スチール製とすることができ、打抜き作業、曲げなどのプレス加工により所定の形状に形成される。このため、まぐさ33は、例えば素板の打抜き作業、曲げにより、規制部61の形状をまぐさ33の展開形状に付与して成形することが簡単に可能となる。
【0012】
本発明の請求項4記載の開閉体収納部の構造は、請求項3に記載の開閉体収納部の構造であって、
前記規制部61が、前記巻取ガイド35を移動方向の両側から挟んで前記まぐさ33に形成される一対の平行な規制切込辺部63であることを特徴とする。
【0013】
この開閉体収納部の構造では、規制部61が、巻取ガイド35を移動方向の両側から挟んでまぐさ33に形成される一対の平行な規制切込辺部63である。規制部61は、巻取ガイド35の移動方向と垂直方向な方向にまぐさ33の例えば基板部51を前縁から建物壁17へ向かって切り込んだ切欠部55の一部分とすることができる。巻取ガイド35は、この規制切込辺部63における左規制切込辺部65と右規制切込辺部67との間で移動の規制が可能となる。この開閉体収納部の構造では、まぐさ33のプレス加工時に、巻取ガイド35の移動を規制する規制切込辺部63を、切欠部55の打抜き作業によって同時成形できる。
【0014】
本発明の請求項5記載の開閉体収納部の構造は、請求項2に記載の開閉体収納部の構造であって、
前記取付ベース71に、前記巻取ガイド35の移動を規制する規制部62が形成されることを特徴とする。
【0015】
この開閉体収納部の構造では、取付ベース71に、巻取ガイド35の移動を規制する規制部62が形成される。まぐさ33は、プレス加工の後に、塗装することですぐに製作できるスチール製とすることができる。巻取ガイド35は、開閉体の外周面に摺接しても開閉体の傷つきを抑制できる樹脂製とすることができる。取付ベース71は、樹脂に比べて強度、耐久性が高く、巻取ガイド35を着脱自在とする複雑な断面形状での製造が可能なアルミ製とすることができる。この開閉体収納部の構造では、取付ベース71に規制部62が設けられることにより、巻取ガイド35の取り付けられた取付ベース71をまぐさ33に固定することで、巻取ガイド35の取り付けが完結する。すなわち、巻取ガイド35の移動を規制する規制部62をまぐさ33等の他部材に設ける必要がなくなる。
【0016】
本発明の請求項6記載の開閉体収納部の構造は、請求項1、2、5のいずれか1つに記載の開閉体収納部の構造であって、
前記開閉体21が、両側縁部に配置されて巻き取り方向に延在する一対の線状連結部材と、両端部が一対の前記線状連結部材に接続されて巻き取り方向に並べられた平行な複数のスラット41と、を備え、
前記スラット41は、
前記線状連結部材に回動自在に接続され、前記開口部19の下端に前記開閉体21が下降した状態で前記開口部19を閉じる閉位置と、前記開口部19の一部を開放する開位置とに揺動可能となることを特徴とする。
【0017】
この開閉体収納部の構造では、開閉体21が、下降した状態で開口部19を閉じる閉位置と、開口部19の一部を開放する開位置とに揺動可能となる複数のスラット43を備えた特にブラインド構造となる。巻取ガイド35の移動が規制部61によって規制される収納部13では、収納部13内でスラット43が揺動して開閉体21が引っ掛かったり、半径方向外方に膨らんだりしてしまうことを低減でき、揺動可能な複数のスラット43を備えるブラインド構造の開閉体21であっても円滑な巻取作動、開閉作動が可能になる。
【0018】
本発明の請求項7記載の開閉体収納部の構造は、請求項3に記載の開閉体収納部の構造であって、
前記開閉体21が、両側縁部に配置されて巻き取り方向に延在する一対の線状連結部材と、両端部が一対の前記線状連結部材に接続されて巻き取り方向に並べられた平行な複数のスラット41と、を備え、
前記スラット41は、
前記線状連結部材に回動自在に接続され、前記開口部19の下端に前記開閉体21が下降した状態で前記開口部19を閉じる閉位置と、前記開口部19の一部を開放する開位置とに揺動可能となることを特徴とする。
【0019】
この開閉体収納部の構造では、作用が請求項6と同じである。
【0020】
本発明の請求項8記載の開閉体収納部の構造は、請求項4に記載の開閉体収納部の構造であって、
前記開閉体21が、両側縁部に配置されて巻き取り方向に延在する一対の線状連結部材と、両端部が一対の前記線状連結部材に接続されて巻き取り方向に並べられた平行な複数のスラット41と、を備え、
前記スラット41は、
前記線状連結部材に回動自在に接続され、前記開口部19の下端に前記開閉体21が下降した状態で前記開口部19を閉じる閉位置と、前記開口部19の一部を開放する開位置とに揺動可能となることを特徴とする。
【0021】
この開閉体収納部の構造では、作用が請求項6と同じである。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る請求項1記載の開閉体収納部の構造によれば、収納部の収納空間の内側に突出する巻取ガイドの横ずれを抑制でき、開閉体の巻き弛みを安定して行うことが可能となる。また、運搬途中での横ずれも防止できる。さらに、着脱自在とした構成により、メンテナンスの際などに、この巻取ガイドの交換を容易に行うことができる。また、生産性も向上する。また、まぐさをスチール製として構成することで、様々な色展開を可能とし、安価に製作も可能となり、少量生産に適した部材構成とすることができる。
【0023】
本発明に係る請求項2記載の開閉体収納部の構造によれば、開口部に表出するまぐさを少量生産に適したスチール製としながら、まぐさに固定される取付ベースは、巻取ガイドを着脱自在とする複雑な断面形状を付与したアルミ押出成形材とすることができる。
【0024】
本発明に係る請求項3記載の開閉体収納部の構造によれば、規制部を、スチール製のまぐさに、容易な加工で設けることができる。
【0025】
本発明に係る請求項4記載の開閉体収納部の構造によれば、まぐさのプレス加工時に、他の打抜き作業と同時に規制部を一括して設けることができる。
【0026】
本発明に係る請求項5記載の開閉体収納部の構造によれば、取付ベースに規制部を設けるので、まぐさを簡素な形状にできる。
【0027】
本発明に係る請求項6記載の開閉体収納部の構造によれば、揺動可能な複数のスラットを備えるブラインド構造の開閉体においても揺動自在な各スラットの向きを巻取ガイドにて補正してきちんと巻き弛みを起こさずに巻き取ることができる。
【0028】
本発明に係る請求項7記載の開閉体収納部の構造によれば、請求項6と同じ効果を得ることができる。
【0029】
本発明に係る請求項8記載の開閉体収納部の構造によれば、請求項6と同じ効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本実施形態に係る開閉体収納部の構造を備える開閉体装置の分解斜視図である。
【
図4】巻取ガイドが取り付けられたまぐさの要部拡大斜視図である。
【
図6】巻取ガイドがまぐさに取り付けられる前の分解斜視図である。
【
図7】(a)は前脚係止片に前脚片が係止された巻取ガイドの側面図、(b)は後脚係止片に後脚片が係止されて弾接脚片が水平ベース部に弾接した巻取ガイドの側面図である。
【
図8】他の実施形態に係る巻取ガイドがまぐさに取り付けられる前の分解斜視図である。
【
図9】変形例1に係る巻取ガイドがまぐさに取り付けられる前の分解斜視図である。
【
図10】巻取ガイドが取り付けられたまぐさの一部裁断側面図である。
【
図11】変形例2に係る巻取ガイドが取付ベースに取り付けられる前の分解斜視図である。
【
図12】巻取ガイドが取り付けられたまぐさの一部裁断側面図である。
【
図13】変形例3に係る巻取ガイドが取付ベースに取り付けられる前の分解斜視図である。
【
図14】巻取ガイドが取り付けられた取付ベースの一部裁断側面図である。
【
図15】変形例4に係る巻取ガイドがまぐさに取り付けられる前の分解斜視図である。
【
図16】巻取ガイドが取り付けられたまぐざの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る開閉体収納部の構造を備える開閉体装置の分解斜視図である。
本実施形態に係る開閉体収納部の構造は、開閉体装置である例えば窓シャッター11に好適に用いることができる。窓シャッター11は、開閉体収納部である収納部13と、枠体15と、に大別される。収納部13は、建物壁17の開口部19を開閉する開閉体であるシャッターカーテン21(
図2参照)を巻き取り可能に収容する。収納部13は、開口部19の幅方向に長い略直方体形状に形成される。収納部13は、長手方向両側の側面14が、建物壁17に固定される一対の支持板25により支持されて建物壁17に取り付けられる。
【0032】
枠体15は、建物壁17の開口部19に取り付けられるサッシ枠27を囲むようにして建物壁17に取り付けられる。枠体15は、サッシ枠27の下で建物壁17に取り付けられる水平な下枠29と、下枠29の左右両端に下端が固定され、開口部19を幅方向で挟んで建物壁17に鉛直方向で取り付けられる左右一対の縦枠31と、左右一対の縦枠31における上端同士を長手方向両側の端部で固定して連結する上枠であるまぐさ33と、を有する。左右一対の縦枠31は、シャッターカーテン21(
図2参照)の両側を挿入して昇降をガイドするガイドレールを含んでいる。開閉体収納部の構造は、支持板25が、まぐさ33を基準に建物壁17に取り付けられて、収納部13における長手方向両側の側面14を支持する。このまぐさ33には、後述する巻取ガイド35が取り付けられる。
【0033】
図2は、窓シャッター11の側面図である。
収納部13には、シャッターカーテン21を巻装する巻取体37と、巻取体37を正逆回転する開閉機39とが収容される。なお、開閉機は、巻取体37に内装されるもので構成されてもよい。本実施形態において、開閉体は、ブラインド構造のシャッターカーテン21となる。
【0034】
ブラインド構造のシャッターカーテン21は、両側縁部に配置されて巻き取り方向に延在する一対の線状連結部材(不図示)と、両端部が一対の線状連結部材に接続されて巻き取り方向に並べられた平行な複数のスラット41と、を備える。それぞれのスラット41は、線状連結部材に回動自在に接続され、開口部19の下端にシャッターカーテン21が下降した状態で開口部19を閉じる閉位置と、開口部19の一部を開放する開位置とに揺動可能となる。
【0035】
ブラインド構造のシャッターカーテン21は、光や風を採り入れながら、外部からの視線を遮ることができる。線状連結部材は、複数のリンク(不図示)の端部同士が連結されて形成され、接続されたリンクは、互いに回動可能かつ接続方向に所定距離だけ相対移動可能に形成される。それぞれのリンクに対しては、対応するスラット41の端部が枢支ピン43により接続される。一対の線状連結部材は、ガイドレールに案内される。
【0036】
スラット41は、接続されたリンクに対して、枢支ピン43を中心に回動可能に形成されていることにより、開口部19を閉じる閉鎖位置と、開口部19の一部を開放する開放位置とを選択可能となる。すなわち、シャッターカーテン21は、所謂ブラインドシャッターを構成する。なお、開閉体収納部の構造は、開閉体がブラインド構造のシャッターカーテン21に限定されない。すなわち、開閉体収納部の構造は、開閉体が、上下に隣接するスラットの下縁と上縁とを開口部19の幅方向に回転自在に係合した通常のシャッターカーテンであってもよい。
【0037】
図3は、
図1に示したまぐさ33の斜視図である。
まぐさ33は、スチール製となる。まぐさ33は、板金材等により、開口部19の幅方向に長い長尺材としてプレス加工等にて得られる。まぐさ33は、長手方向に延在して建物壁17に垂直となる水平板部45を有する。水平板部45は、開口部19の上縁に沿って位置する。水平板部45は、建物壁17と反対側の前縁に、水平板部45から垂直に起立するリブ47が形成される。水平板部45は、後縁に、水平板部45からリブ47よりも高く起立する垂直板部49が形成される。
【0038】
垂直板部49は、上端に、手前側へ直角に曲がり水平板部45と平行な基板部51が形成される。基板部51は、縦枠31の上方に位置する端部の上面が支持板25を載置する座部52となる。座部52に載置された支持板25の下端となる載置片には、収納部13の下面がさらに載置される。収納部13は、開口部19の幅方向に延在するまぐさ33に載置されて建物壁17に取り付けられる。基板部51の前縁には、直角に垂下する垂下リブ53が形成される。まぐさ33には、これら水平板部45や基板部51に、複数の切り欠き加工が施されている。切り欠き加工は、まぐさ33となる素板を打抜き作業等する際に同時に行われてもよい。
【0039】
まぐさ33の長手方向中央には、基板部51を前縁の垂下リブ53から建物壁17へ向かって切り欠いた切欠部55が形成される。切欠部55は、前縁側となる幅広の切欠前部57と、建物壁17側となり切欠前部57よりも幅狭の切欠後部59とからなる。切欠前部57と切欠後部59とは、まぐさ33の長手方向中央を中心に左右対称に形成される。これら切欠前部57と切欠後部59とから構成される切欠部55は、巻取ガイド35を配置するためのものとなる。切欠前部57は、巻取ガイド35及び取付ベース71をまぐさ33に取り付ける際に必要となる作業スペースとなる。
【0040】
一方、切欠後部59は、まぐさ33の長手方向に沿う方向の巻取ガイド35の移動を規制する規制部61となる。規制部61は、一対の平行な規制切込辺部63を有する。一対の平行な規制切込辺部63は、対向配置となる左規制切込辺部65と右規制切込辺部67とからなる。これら左規制切込辺部65と右規制切込辺部67とは、間に配置された巻取ガイド35の側面23に対向してそれぞれ配置となり、この側面23が当たることにより、巻取ガイド35の移動を規制、つまり、まぐさ33の長手方向に沿う移動を規制する。
【0041】
図4は、巻取ガイド35が取り付けられたまぐさ33の要部拡大斜視図である。
ところで、収納部13は、側面14が支持板25により支持されて、下面がまぐさ33の基板部51に載置されると、収納空間69(
図2参照)の下面開口がまぐさ33によって閉塞される。このまぐさ33の上面には、まぐさ33の長手方向中央部に巻取ガイド35が着脱自在に設けられる。まぐさ33に設けられた巻取ガイド35は、収納部13がまぐさ33に載置されると、収納部13の収納空間69内に突出する。巻取ガイド35は、シャッターカーテン21が巻き取られるに際し、巻回されるシャッターカーテン21の外周面に接してシャッターカーテン21が半径方向外側に膨らむ巻き弛みを規制することになる。
【0042】
巻取ガイド35は、まぐさ33に設けられることにより収納部13の長手方向の移動が規制される。すなわち、巻取ガイド35は、まぐさ33に取り付けられると、後部が、規制部61の左規制切込辺部65と右規制切込辺部67との間に配置される。このため、巻取ガイド35は、まぐさ33の長手方向に沿う移動が、左規制切込辺部65と右規制切込辺部67とに当たることによって規制される。
【0043】
巻取ガイド35は、まぐさ33に着脱自在に取り付けられる。本実施形態において、巻取ガイド35は、取付ベース71に着脱自在に取り付けられる。取付ベース71は、まぐさ33に固定される。つまり、巻取ガイド35は、取付ベース71を介してまぐさ33に着脱自在に取り付けられる。
【0044】
図5は、
図4の側面図である。
取付ベース71は、まぐさ33の長手方向が押出成形方向となるアルミ押出成形材である。取付ベース71は、長尺で形成されるアルミ押出成形材を所定長の短尺に切断してまぐさ33に取り付けられる。取付ベース71は、まぐさ33の水平板部45に載置される水平ベース部73と、まぐさ33の垂直板部49に当接する垂直ベース部75とにより側面視略L字形に形成される。水平ベース部73の上面には、垂直ベース部75と平行に起立し、起立先端が水平ベース部73と平行となって垂直ベース部75へ向かって突出する前脚係止片77が形成される。前脚係止片77は、起立先端と水平ベース部73との間が、前脚係止溝79となる。
【0045】
また、取付ベース71は、前脚係止片77と垂直ベース部75との間における水平ベース部73の上面に、後脚係止片81が形成される。後脚係止片81は、垂直ベース部75と平行に起立し、起立先端が水平ベース部73と平行となって垂直ベース部75へ向かって突出する。後脚係止片81は、前脚係止片77よりも起立高さが大きい。後脚係止片81は、起立先端と水平ベース部73との間が、前脚係止溝79よりも溝幅が大きく形成される。取付ベース71は、前脚係止片77を挟んで後脚係止片81と反対側の水平ベース部73に、貫通穴83(
図6参照)が穿設される。一方、まぐさ33の水平板部45には、この貫通穴83に一致する固定穴85(
図6参照)が穿設される。取付ベース71は、まぐさ33の固定穴85から貫通穴83へ挿入された固定手段、例えばリベット87やネジなどによりまぐさ33に固定される。
【0046】
巻取ガイド35は、合成樹脂材料によって一体に成形される。巻取ガイド35の側面23は、図示のような平滑な面でもよく、複数の補強用リブ(不図示)等が形成され、成形時のヒケ防止構造を有してもよい。巻取ガイド35は、巻取体37に巻き取られたシャッターカーテン21に向けて、上方へと平板状に延びた略三角形状に形成されており、その斜面となる上端面36はシャッターカーテン21の外周面に対応して円孤状に窪んだ形状に形成される。これにより巻取ガイド35は、収納部13における収納空間69を側面視した
図2に示す4つの入隅部89の内、巻取体37よりも下方であって、かつ、巻取体37よりも後方の建物壁17側に位置する入隅部89の空間に配置される。
【0047】
巻取ガイド35の下面には、取付ベース71の前脚係止片77と係合可能な前脚片91が垂下して形成される。また、巻取ガイド35の下面には、前脚片91よりも垂直ベース部75に接近して、取付ベース71の後脚係止片81に係止可能な可撓性を有した後脚片93が垂下して形成される。後脚片93の垂下端には、後脚係止片81に向かって突出する係止爪95が形成される。係止爪95は、垂下端から上側に向かうにしたがって後脚係止片81に接近する傾斜方向の案内面97が形成される。さらに、巻取ガイド35の下面には、後脚片93よりも垂直ベース部75に接近して、取付ベース71の水平ベース部73に弾接する可撓性を有した弾接脚片99が垂下して形成される。
【0048】
図6は、巻取ガイド35がまぐさ33に取り付けられる前の分解斜視図である。
開閉体収納部の構造において、巻取ガイド35をまぐさ33に取り付けるには、例えば取付ベース71がまぐさ33に予め固定される。取付ベース71を固定するには、取付ベース71の垂直ベース部75をまぐさ33の垂直板部49に当接させて、取付ベース71をまぐさ33の水平板部45に載置する。次いで、一致した貫通穴83と固定穴85とに対し、固定穴85側からリベット87を挿入して水平板部45と水平ベース部73とを固定する。次いで、まぐさ33の上方より、巻取ガイド35を取付ベース71に取り付ける。巻取ガイド35の取り付けは、前脚片91と後脚片93とを用いて行う。
【0049】
図7(a)は前脚係止片77に前脚片91が係止された巻取ガイド35の側面図、(b)は後脚係止片81に後脚片93が係止されて弾接脚片99が水平ベース部73に弾接した巻取ガイド35の側面図である。
巻取ガイド35を取付ベース71に取り付けるには、先ず、
図7(a)に示すように、巻取ガイド35の前脚片91をまぐさ33の前脚係止片77に引っ掛ける。引っ掛けは、巻取ガイド35の後部を取付ベース71から若干浮かせた状態で前傾姿勢とし、前脚片91の先端を前脚係止片77の前脚係止溝79に挿入する。次いで、前脚片91を中心に巻取ガイド35を
図7(b)の時計回りに回転することにより、巻取ガイド35の後部を押し下げ、後脚片93の係止爪95を後脚係止片81の先端に当てる。
【0050】
巻取ガイド35の後部を押し下げると、後脚係止片81の先端に係止爪95の案内面97が当たる。さらに後部を押し下げると、後脚片93は案内面97が後脚係止片81からの反力を受けて弾接脚片99に接近する方向に弾性変形する。この際、同時に、弾接脚片99は、水平ベース部73に接し、垂直ベース部75に接近する方向に弾性変形する。後脚係止片81は、案内面97が後脚係止片81の先端を通過すると、後脚係止片81に接近する方向に弾性復帰し、係止爪95が後脚係止片81の先端に係止する。このとき、弾接脚片99は、巻取ガイド35の後部を垂直ベース部75から浮上させる方向の弾性復元力を蓄積しているので、係止爪95はがたつきなく、しっかりと後脚係止片81に係止した状態に取り付けられる。
【0051】
なお、上述の手順では、取付ベース71を先にまぐさ33に固定する取付方法を説明したが、巻取ガイド35は、先に取付ベース71に取り付けておき、巻取ガイド35が一体となった取付ベース71を、まぐさ33に一括して固定する手順としてもよい。
【0052】
また、巻取ガイド35を取り外すには、係止爪95の後脚係止片81との係止を解除する。この係止爪95と後脚係止片81との係止を解除するには、棒状の工具などが用いられる。そして、取付ベース71から持ち上げるように上述と反対の手順で行う。
【0053】
図8は、他の実施形態の巻取ガイド35がまぐさ33に取り付けられる前の分解斜視図である。
なお、上記した実施形態では、巻取ガイド35の移動を規制する規制部61がまぐさ33に設けられる構成を説明したが、規制部は、取付ベース71に設けられてもよい。
図8に示すように、取付ベース71には、垂直ベース部75の上縁に、水平ベース部73と平行となる規制板76が延設される。規制板76の略中央には、規制部62が切欠き形成される。規制部62は、上述したまぐさ33に形成される規制部61と同様に、一対の平行な規制切込辺部63を有する。一対の平行な規制切込辺部63は、対向配置となる左規制切込辺部65と右規制切込辺部67とからなる。これら左規制切込辺部65と右規制切込辺部67とは、間に配置される巻取ガイド35の側面23に対向してそれぞれ配置となり、この側面23が当たることにより、巻取ガイド35の移動を規制、つまり、取付ベース71の左右幅方向、すなわち、まぐさ33の長手方向に沿う移動を規制する。
このような構成とすることで、まぐさ33は、規制部となる切欠後部59(
図6参照)を省略できるので、簡素な形状とすることができる。そして、巻取ガイド35と取付ベース71とをまぐさ33に固定することで、巻取ガイド35のまぐさ33に対する移動規制が構成される。なお、巻取ガイド35は上記同様に、係止爪95の後脚係止片81との係止を解除することで取り外すことが可能であり、取付ベース71から持ち上げるように上述と反対の手順で行う。
【0054】
次に、上記した構成の作用を説明する。
【0055】
本実施形態に係る開閉体収納部の構造では、シャッターカーテン21を巻き取って収容可能とする収納部13が、まぐさ33に載置されて建物壁17に取り付けられる。収納部13は、まぐさ33に載置されることにより、下面開口がまぐさ33によって閉塞される。つまり、まぐさ33は、上面が収納部13における収納空間69の内壁面を構成して下面開口を塞ぐ。このまぐさ33の上面、すなわち、収納空間内壁面には、巻取ガイド35が着脱自在に配置される。
【0056】
巻取ガイド35は、規制部61により収納部13の長手方向の移動が規制される。まぐさ33に取り付けられた巻取ガイド35は、収納部13が載置されると、収納空間69の内側に突出して配置される。巻取ガイド35は、シャッターカーテン21が巻き取られるに際しシャッターカーテン21の外周面に接することで、シャッターカーテン21が半径方向外側に膨らむ巻き弛みを規制する。
【0057】
この巻取ガイド35は、まぐさ33に着脱自在となる。巻取ガイド35は、収納部13を現場においてまぐさ33の上に載置する直前に、まぐさ33に簡単に装着して取り付けることが可能となる。これにより、開閉体収納部の構造は、巻取ガイド35を現場取り付けとすることで、工場出荷時に取り付けた巻取ガイド35が運搬途中の振動や衝撃で横ずれすることを未然に防止可能とすることもできる。
【0058】
さらに、開閉体収納部の構造は、工場出荷時に巻取ガイド35がまぐさ33に取り付けられていても、規制部61が設けられているので、運搬途中の振動や衝撃によっても横ずれをしっかりと抑制することができる。
【0059】
また、巻取ガイド35は、収納部13がまぐさ33に載置されると、シャッターカーテン21の外周面に対向して配置される。巻取ガイド35は、シャッターカーテン21の外周面に接して巻き弛みを規制しているときに、シャッターカーテン21からの反力を受けても、まぐさ33の延在方向に横ずれすることはない。
【0060】
そして、巻取ガイド35が設けられるまぐさ33は、スチール製であるので、従来のアルミ製に比べ、折り曲げ加工の後に着色塗装するなどして製作できる。このためまぐさ33は、アルミ製に比べて様々な色展開が容易に可能となる。これにより、各色をそれぞれに在庫しなければならなかったアルミ製の上枠を含む部品構成に比べ、部品在庫数を減らすことが可能となる。
【0061】
また、この開閉体収納部の構造では、まぐさ33に、取付ベース71が固定され、この取付ベース71に巻取ガイド35が着脱自在に取り付けられる。つまり、まぐさ33、取付ベース71、巻取ガイド35のそれぞれが、別体で製作される。まぐさ33は、プレス加工の後に、塗装することですぐに製作できるスチール製とすることができる。取付ベース71は、樹脂に比べて強度、耐久性が高く、巻取ガイド35を着脱自在とする複雑な断面形状での製造が可能なアルミ製とすることができる。巻取ガイド35は、回転するシャッターカーテン21の外周面に摺接してもシャッターカーテン21の傷つきを抑制でき、取付ベース71に対し、係止可能な前脚片91、後脚片93や、弾接可能な弾接脚片99を容易に一体成形できる樹脂製とすることができる。
【0062】
このように、この開閉体収納部の構造では、まぐさ33、取付ベース71、巻取ガイド35のそれぞれを別部材にでき、それぞれの部材の機能に適した素材選択の自由度を高めることができる。その結果、開口部19に表出するまぐさ33を少量生産に適したスチール製としながら、まぐさ33に固定される取付ベース71は、巻取ガイド35を着脱自在とする複雑な断面形状を付与したアルミ押出成形材とすることができる。
【0063】
また、この開閉体収納部の構造では、まぐさ33に、規制部61が形成される。規制部61は、まぐさ33に取り付けられた巻取ガイド35が、まぐさ33の長手方向に移動することを規制する働きを有する。まぐさ33は、スチール製であり、打抜き作業、曲げなどのプレス加工により所定の形状に形成される。このため、まぐさ33は、例えば素板の打抜き作業、曲げにより、規制部61の形状をまぐさ33の展開形状に付与して成形することが簡単に可能となる。その結果、規制部61を、スチール製のまぐさ33に、容易な加工で設けることができる。
【0064】
また、この開閉体収納部の構造では、規制部61が、巻取ガイド35を移動方向の両側から挟んでまぐさ33に形成される一対の平行な規制切込辺部63である。規制部61は、巻取ガイド35の移動方向と垂直方向な方向にまぐさ33の例えば基板部51を前縁から建物壁17へ向かって切り込んだ切欠部55の一部分とすることができる。巻取ガイド35は、この規制切込辺部63における左規制切込辺部65と右規制切込辺部67との間で移動の規制が可能となる。この開閉体収納部の構造では、まぐさ33のプレス加工時に、巻取ガイド35の移動を規制する規制切込辺部63を、切欠部55の打抜き作業によって同時成形できる。その結果、まぐさ33のプレス加工時に、他の打抜き作業と同時に規制部61を一括して設けることができる。
【0065】
また、この開閉体収納部の構造では、取付ベース71に、巻取ガイド35の移動を規制する規制部62が形成される構成とすることもできる。まぐさ33は、プレス加工の後に、塗装することですぐに製作できるスチール製とすることができる。巻取ガイド35は、シャッターカーテン21の外周面に摺接してもシャッターカーテン21の傷つきを抑制できる樹脂製とすることができる。取付ベース71は、樹脂に比べて強度、耐久性が高く、巻取ガイド35を着脱自在とする複雑な断面形状での製造が可能なアルミ製とすることができる。この開閉体収納部の構造では、取付ベース71に規制部62が設けられることにより、巻取ガイド35の取り付けられた取付ベース71をまぐさ33に固定することで、巻取ガイド35の取り付けが完結する。すなわち、巻取ガイド35の移動を規制する規制部62をまぐさ33等の他部材に設ける必要がなくなる。その結果、取付ベース71に規制部62を設けるので、まぐさ33を簡素な形状にできる。
【0066】
さらに、この開閉体収納部の構造では、シャッターカーテン21が、下降した状態で開口部19を閉じる閉位置と、開口部19の一部を開放する開位置とに揺動可能となる複数のスラット41を備えたブラインド構造のシャッターカーテンとなる。巻取ガイド35の移動が規制部61によって規制される収納部13では、収納部13内でスラット41が揺動してシャッターカーテン21が引っ掛かったり、半径方向外方に膨らんだりしてしまうことを低減でき、揺動可能な複数のスラット41を備えるブラインド構造のシャッターカーテン21であっても円滑な開閉作動が可能になる。その結果、ブラインド構造のシャッターカーテン21においても揺動自在な各スラット41をきちんと巻き取ることができる。
【0067】
したがって、本実施形態に係る開閉体収納部の構造によれば、巻取ガイド35の横ずれを抑制できるとともに、少量生産に適した部材構成とすることができる。
【0068】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【0069】
例えば、巻取ガイド35と取付ベース71との取付構造は、互いに着脱自在となる構造であれば良く、
図9に示す変形例1のように、ピン101と穴103との組み合わせで構成されるものなどとしてもよい。
この変形例1によれば、巻取ガイド35の下面に、下向きに突出するピン101が設けられる。ピン101は、
図9に示すように、複数が好ましい。また取付ベース71には、水平ベース部73の上面に、嵩上げ板105が設けられ、ピン101に対応する個所に穴103が穿設される。なお、ピン101の断面形状と穴103の穴形状は、互いに嵌まり合う同形状とされるが、
図9に示す円形の他、四角形や三角形など多角形で構成されてもよく、また穴103を円形に、ピン101は断面多角形やスプラインを有する形状などとしてもよい。
【0070】
これらピン101と穴103とは、
図10に示すように、穴103に対しピン101を挿着して互いに嵌まり合うことで取り付けられることとなり、着脱自在となる。なお、ピン101の形状を先細りに形成することで挿着を行いやすくできるとともに、穴103の内径に対してピン101の外径をやや大径にすることで、穴103へピン101の挿着の際に圧入させることができ、穴103とピン101との挿着状態に摩擦が生じ、取付状態を維持可能とする構成や、或いは、ピン101の先端に返し爪を設けて穴103への挿着と係止を行うよう構成することとしてもよい。
【0071】
そして、ピン101と穴103とは、規制部107を構成することとなり、つまり、穴103に対してピン101が挿着されることで、軸線に直交する方向の移動が規制され、すなわち、取付ベース71に対する巻取ガイド35の移動の規制を行うことを兼ね、巻取ガイド35の着脱構造と、移動規制構造とを簡素な構成で得ることができる。
【0072】
また、上記ピン101と穴103の組み合わせは、
図11及び
図12に示す変形例2のように、お互いを逆に構成してもよく、すなわち巻取ガイド35の下面に穴103を設け、取付ベース71の水平ベース部73にピン101を上向きに設ける構成としてもよい。この変形例2によれば、上記変形例1と同様に、ピン101と穴103との挿着状態で取り付けが行え、且つ、規制部107を兼ねることで取付ベース71に対する巻取ガイド35の移動規制を行うことが可能となる。
【0073】
なお、この変形例2では、ピン101を水平ベース部73上に立設する構成とされていることから、上記変形例1のような嵩上げ板105が不要であり、取付ベース71としての形状を簡素化することが可能となる。また、水平ベース部73上面と巻取ガイド35の下面とを密着でき、取付ベース71に対する巻取ガイド35のぐらつきなどを抑制できる。
【0074】
さらに、
図13に示す変形例3のように、上述した変形例1、2で示したピン101と穴103とによる構成ではなく、巻取ガイド35の下面に、巻取ガイド35の幅方向両外側に水平に延出形成される翼状板109と、この翼状板109の後方に抜止爪111とを設け、取付ベース71には、翼状板109が進入可能な凹溝部113と、凹溝部113の奥方に係止板115を立設させた構成とすることができる。
この変形例3によれば、取付ベース71の前縁側から、凹溝部113内に巻取ガイド35の翼状板109を進入させることで、凹溝部113に翼状板109をスライドさせて取付ベース71に巻取ガイド35を装着が可能となる。翼状板109を凹溝部113の奥方まで進入させると、抜止爪111が撓み、係止板115の上縁を乗り越え、係止板115の後面に抜止爪111が掛かり、
図14に示すように係止状態となる。
【0075】
変形例3では、翼状板109が凹溝部113内に嵌まり込む構成となり、これにより、凹溝部113内で翼状板109が進入方向に直交する方向の移動が規制される。つまり、凹溝部113と翼状板109とで規制部117を構成し、取付ベース71に対して巻取ガイド35の移動が規制されることになる。また、抜止爪111が係止板115に係止することで、取付ベース71に対して巻取ガイド35が固定状態となり取り付けられる。なお抜止爪111の係止状態を解除することで巻取ガイド35は取付ベース71からの抜脱が可能となり、すなわち脱着自在な構成なる。
【0076】
この変形例3によれば、翼状板109が、凹溝部113内に水平ベース部73の板面に沿ってスライドさせて装着されることから、上記した規制状態は、まぐさ33の長手方向に沿う方向の移動規制となるとともに、取付ベース71に対して上方向への移動規制も行われ、容易に脱落することがなく、さらには抜止爪111による係止状態にて取付ベース71に対する取付状態が強固となるとともに、抜止爪111の係止板115に対する係止を解除することで容易に取り外すことが可能となる。
【0077】
また、
図15に示す変形例4のように、取付ベース71を省略して、まぐさ33に巻取ガイド35を取り付けられるように構成することとしてもよい。
この変形例4では、巻取ガイド35の下面に一対の掛止爪119が下向きに突設され、まぐさ33の水平板部45に取付穴121が穿設された構成とされる。一対の掛止爪119は、巻取ガイド35の厚みを幅長としてそれぞれが略板状となって形成されるとともに、互いに離間して平行に配設されている。また各掛止爪119は、それぞれの下端から上側に向かうにしたがって互いに反対方向へと傾斜する案内面123を有し、また可撓し弾性変形可能となるように板面に沿って小溝125を備えている。取付穴121は、一対の掛止爪119の離間幅と、掛止爪119自体の幅長とをそれぞれに辺とする四角形に形成され、まぐさ33の水平板部45の略中央に穿設される。
【0078】
この変形例4によれば、巻取ガイド35をまぐさ33に対して押し下げる操作で装着することができ、巻取ガイド35を押し下げると、一対の掛止爪119の各下端が取付穴121の前後縁に当たり、さらに押し下げることで各掛止爪119の案内面123が反力を受けて互いに近づくよう弾性変形する。掛止爪119は、案内面123が取付穴123の縁を通過すると、弾性復帰し、
図16に示すように、掛止爪119は取付穴121の下面側に掛止することとなり、抜け止めとなる。このとき、巻取ガイド35の下面は、まぐさ33の水平板部45上面に密着する。各掛止爪119は、それぞれの幅方向両縁が巻取ガイド35の側面23と面一であり、この側面23が取付穴121の左右縁部に対向することとなる。つまり、取付穴121における左縁部127と右縁部129との間に両掛止爪119が位置することとなって、移動が規制される。すなわち、左縁部127と右縁部129は、規制部131を構成する。なお、掛止爪119の掛止を解除することで、巻取ガイド35はまぐさ33から取り外すことが可能となる。
【0079】
このように構成された変形例4では、取付ベース71を不要として、巻取ガイド35をまぐさ33に脱着自在となり、また掛止爪119によって取付穴121の規制部131にて移動を規制される。そしてまぐさ33の水平板部45上に巻取ガイド35の下面が密着状態となり、がたつくことなく取り付けられる。
なお、巻取ガイド35の下面に沿って、幅方向に翼状に延出部分を備える逆T字状構造とすれば、さらに巻取ガイド35が安定してまぐさ33上に取り付けることが可能となる。
【0080】
また、実施形態の構成において巻取ガイド35の取付位置は、収納部13における4つの入隅部89の内、建物壁17に近接するまぐさ上の入隅部89としたが、他の3つの入隅部89のいずれであってもよい(
図2参照)。
また、巻取ガイド35は、まぐさ33の長手方向中央に配置される例を説明したが、巻き弛みの生じやすい位置であれば、その他の位置であってもよい。さらに、巻取ガイド35は、まぐさ33の長手方向中央に1つが配置される例を説明したが、まぐさ33の長手方向に複数、例えば中央付近に2つや、中央とその左右箇所などの3つなど、適宜配置数を増減して配置されてもよい。
【符号の説明】
【0081】
13…収納部
17…建物壁
19…開口部
21…開閉体(シャッターカーテン)
33…まぐさ
35…巻取ガイド
41…スラット
61,62…規制部
63…規制切込辺部
69…収納空間
71…取付ベース