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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104166
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】軟包材容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/04 20060101AFI20240726BHJP
【FI】
B65D77/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008253
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000238005
【氏名又は名称】株式会社フジシールインターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】小田切 俊
(72)【発明者】
【氏名】稲川 義則
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 理貴
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA03
3E067AB99
3E067BA12B
3E067BA12C
3E067BB14A
3E067BB14B
3E067BB15B
3E067BB15C
3E067BB16B
3E067BB16C
3E067CA24
3E067EA06
3E067EE40
3E067EE59
3E067FA04
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】内袋の設計の自由度の高い軟包材容器を提供する。
【解決手段】軟包材容器(1)は、容器本体(2)を構成する第1フィルム(14)と、容器本体(2)の内部において収容物を収容する内袋を構成する第2フィルム(17)と、第1フィルム(14)と第2フィルム(17)とを接着する機能を有する第1接着層(15)と、第1接着層(15)の一部の接着力を低下させることにより、第1フィルム(14)と内袋に相当する第2フィルム(17)の部分とを分離可能にする第1機能層(16)と、内袋の内部空間と連通し、収容物を排出する排出部(3)とを備え、第1フィルム(14)は、第1フィルム(14)と第2フィルム(17)の部分との間に気体を流入させる第1気体取込口(6)を有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体を構成する第1フィルムと、
前記容器本体の内部において収容物を収容する内袋を構成する第2フィルムと、
前記第1フィルムと前記第2フィルムとを接着する機能を有する第1接着層と、
前記第1接着層の一部の接着力を低下させることにより、前記第1フィルムと前記内袋に相当する前記第2フィルムの部分とを分離可能にする第1機能層と、
前記内袋の内部空間と連通し、前記収容物を排出する排出部とを備え、
前記第1フィルムは、前記第1フィルムと前記第2フィルムの部分との間に気体を流入させる第1気体取込口を有している軟包材容器。
【請求項2】
前記第1フィルムの外側に、前記第1フィルムよりも熱収縮率の高い第3フィルムを備え、
前記第1フィルムと前記第3フィルムとの間に空洞部が形成されるように、前記第1フィルムと前記第3フィルムとが接着されており、
前記第3フィルムは、前記空洞部に気体を流入させる第2気体取込口を有している請求項1に記載の軟包材容器。
【請求項3】
前記第1フィルムと前記第3フィルムとを接着する機能を有する第2接着層と、
前記第2接着層の一部の接着力を低下させる第2機能層と、を備える請求項2に記載の軟包材容器。
【請求項4】
天マチおよび底マチを有しており、前記排出部は、前記天マチに位置している請求項1に記載の軟包材容器。
【請求項5】
前記排出部は、ディスペンサーを取り付け可能な形状を有している請求項1に記載の軟包材容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、軟包材容器に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のフィルムを積層し、そのうちの1つのフィルムによって収容物を収容する内袋を形成する軟包材容器が知られている。その一例が特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開公報 WO2022/009276 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、本体構成シートと内袋構成シートとの接合方法の詳細については記載されていない。内袋の設計の自由度を容易に高めることが望まれている。
【0005】
本開示の一態様は、上記課題を鑑み、内袋の設計の自由度が高い軟包材容器を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る軟包材容器は、容器本体を構成する第1フィルムと、前記容器本体の内部において収容物を収容する内袋を構成する第2フィルムと、前記第1フィルムと前記第2フィルムとを接着する機能を有する第1接着層と、前記第1接着層の一部の接着力を低下させることにより、前記第1フィルムと前記内袋に相当する前記第2フィルムの部分とを分離可能にする第1機能層と、前記内袋の内部空間と連通し、前記収容物を排出する排出部とを備え、前記第1フィルムは、前記第1フィルムと前記第2フィルムの部分との間に気体を流入させる第1気体取込口を有している。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、内袋の設計の自由度が高い軟包材容器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一態様に係る軟包材容器の構成を示す図である。
図2】本開示の一態様に係る軟包材容器を構成するシート材の積層構造を示す斜視図である。
図3】本開示の一態様に係るシート材の積層構造を示す断面図である。
図4】本開示の一態様に係るシート材の他の積層構造を示す断面図である。
図5】本開示の一態様に係るシート材の展開構成の一例を示す図である。
図6】本開示の一態様に係るシート材の空気回路を示す断面図である。
図7】熱処理および収容物の減少に伴う、本開示の一態様に係るシート材の構造の変化を示す斜視断面図である。
図8】本開示の一態様に係る空気回路の他の例を示す図である。
図9】本開示の他の一態様に係る軟包材容器の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の一実施形態について説明するうえで、以下について付言する。「表面」は外側となる面を指し、「裏面」は内側となる面を指す。「第1方向」及び「第2方向」は、フィルムの面内において互いに直交する方向を意味する。「下限値XXX~上限値YYY」で表される数値範囲は、下限値XXX以上上限値YYY以下を意味する。
【0010】
図1は、本開示の一態様に係る軟包材容器1の構成を示す図である。図1の符号101は、軟包材容器1の正面図を示す。符号102は、軟包材容器1に収容された収容物が排出部3から排出されて、軟包材容器1の体積が減少したときの軟包材容器1の側面図を示す。符号103は、軟包材容器1の底面図を示す。理解のしやすさを考慮して、最初に図1を参照して軟包材容器1の概要構成を説明し、続いて図2等を参照して軟包材容器1の各部詳細を説明する。
【0011】
(軟包材容器の概要構成)
図1を参照して、軟包材容器1は、収容物を収容する容器であり、例えば、洗剤、シャンプー、リンス、又は食品類を収納する。軟包材容器1はシート材20により構成されており、シート材20は、正面シート21、背面シート22、底面シート23、及び天面シート24を含む。軟包材容器1は、正面シート21及び背面シート22により構成された容器本体2、容器本体2の上部に設けられた排出部3、及び容器本体2の内部に収容された内袋5を有する。容器本体2は、限定されないが、天面シート24により構成された天マチ、及び、背面シート22により構成された底マチを有する。シート材20の詳細は、図2等を参照して後述する。
【0012】
排出部3は、天マチに位置している。排出部3は、スパウトである。排出部3は、容器本体2の内部に収容された内袋5の内部空間と連通する。排出部3は、樹脂成型品であってよいし、軟包材容器の包材の一部から形成されていてもよい。排出部3は、ディスペンサーを取り付け可能な形状を有していてよい。図1では、排出部3には、キャップ30が取り付けられている。
【0013】
容器本体2は、空気回路4及び第2気体取込口18を有する。空気回路4は、図1においてグレー領域により示される部分である。空気回路4は、容器本体2の胴体部分、天マチ、及び/又は底マチのうち、任意の箇所に、任意の形状で形成されてよい。図1では、空気回路4は、容器本体2の胴体部及び底マチに形成されている。空気回路4は、第2気体取込口18から気体が流入することにより形成される。空気回路4及び第2気体取込口18の詳細については後述する。
【0014】
(軟包材容器の各部構成)
続いて、軟包材容器1の各部について、図2等を参照して詳述する。図2は、軟包材容器1を構成するシート材20の積層構造を示す斜視図である。符号201に示す図は、上から順に、第3フィルム11、第2機能層12、第2接着層13、第1フィルム14、第1接着層15、第1機能層16、及び第2フィルム17が積層された様子を示す。符号202に示す図は、第2機能層12が第2接着層13上に形成された様子をより明確に示す図である。
【0015】
最初に本開示の軟包材容器1の概念について説明すると以下のとおりである。
【0016】
軟包材容器1は、容器本体2を構成する第1フィルム14と、容器本体2の内部において収容物を収容する内袋5を構成する第2フィルム17と、第1フィルム14と第2フィルム17とを接着する機能を有する第1接着層15とを有する。また、軟包材容器1は、第1接着層15の一部の接着力を低下させることにより、第1フィルム14と内袋5に相当する第2フィルム17の部分とを分離可能にする第1機能層16と、内袋5の内部空間と連通し、収容物を排出する排出部3とを備える。第1フィルム14は、第1フィルム14と第2フィルム17の部分との間に気体を流入させる第1気体取込口6を有している。
【0017】
さらに、軟包材容器1は、第1フィルム14の外側に、第1フィルム14よりも熱収縮率の高い第3フィルム11を備え、第1フィルム14と第3フィルム11との間に空洞部が形成されるように、第1フィルム14と第3フィルム11とが接着されている。第3フィルム11は、空洞部に気体を流入させる第2気体取込口18を有している。
【0018】
さらに、軟包材容器1は、第1フィルム14と第3フィルム11とを接着する機能を有する第2接着層13と、第2接着層13の一部の接着力を低下させる第2機能層12とを備える。
【0019】
以下、各部の詳細について説明する。
【0020】
(第3フィルム11)
第3フィルム11は、少なくとも第1方向に熱収縮するフィルムである。熱収縮するフィルムとは、室温下(例えば、23℃)では収縮しないが、熱収縮温度(例えば、80℃~130℃)に加熱されると所定方向において収縮する性質を有するフィルムをいう。少なくとも第1方向に熱収縮するフィルムとは、少なくとも第1方向において、熱収縮性を有するフィルムである。
【0021】
加熱は、熱風、スチーム又はLED照射等の適宜の方法を採用することができる。LED照射を採用する場合、紫外線により活性化して発熱する物質を、第3フィルム11に塗工しておいてもよいし、第3フィルム11に混ぜ込んでおいてもよい。紫外線により活性化して発熱する物質は、例えば、(ホワイト)二酸化チタン(TiO)、(ブラック)カーボンブラック、(シアン)フタロシアニン、(マゼンタ)キナクリドン、ジケトピロロピロール、ナフトール系アゾ顔料、アントラキノン、(イエロー)アセト酢酸系及び/又は無水物系アゾ顔料、ジオキサジン及びベンゾトリアゾール紫外線吸収剤、又はそれらの組み合わせから選択された紫外線吸収材料が挙げられる。
【0022】
第1方向とは、フィルムの面内における1つの方向を意味し、第2方向は、フィルムの面内において第1方向と直交する方向である。例えば、第3フィルム11が矩形である場合には、第1方向は第3フィルム11の短手方向であり、第2方向は第3フィルム11の長手方向である。第1方向は、第3フィルム11の長手方向として規定されてもよい。
【0023】
第3フィルム11の第1方向における熱収縮率(以下、「第1熱収縮率」と称する。)は、特に限定されないが、好ましくは20%以上であり、より好ましくは30%以上であり、さらに好ましくは40%以上である。第3フィルム11が第2方向に熱収縮するフィルムである場合、第2方向における熱収縮率は、特に限定されないが、好ましくは20%以上であり、より好ましくは30%以上であり、さらに好ましくは40%以上である。第1方向及び第2方向における熱収縮率の上限は、理論上100%未満である。
【0024】
フィルムの熱収縮率は、次のようにして求められる。最初に、加熱前(標準状態(23℃、1気圧、50%RH雰囲気下)で24時間保存)のフィルムの長さ(元の長さ)、及び、90℃温水中に10秒間浸漬して取り出した後のフィルムの長さ(浸漬後の長さ)をそれぞれ標準状態下で計測する。次に、その計測した結果を下記式に代入する。これにより、フィルムの熱収縮率が求められる。
熱収縮率(%)=[{(第1方向(又は第2方向)の元の長さ)-(第1方向(又は第2方向)の浸漬後の長さ)}/(第1方向(又は第2方向)の元の長さ)]×100。
【0025】
第3フィルム11は、上述の熱的性質を有することを条件として、様々なフィルムを用いることができる。第3フィルム11の材料としては、例えば、合成樹脂フィルム、不織布フィルム、又は発泡樹脂フィルムなどが挙げられる。第3フィルム11は、前述した材料から選ばれる少なくとも1つを含む積層フィルムであってもよい。積層フィルムは、その積層物全体として熱収縮性を有することを条件として、実質的に熱収縮性を有さないフィルムと熱収縮性を有するフィルムの積層物であってもよいが、その全てが熱収縮性を有するフィルムからなる積層物が好ましい。
【0026】
好ましくは、第3フィルム11として、合成樹脂フィルム又は合成樹脂層を有する積層フィルムが用いられ、さらに好ましくは、単層の合成樹脂フィルム又は複層の合成樹脂フィルムが用いられる。単層の合成樹脂フィルムは、単一の合成樹脂層からなるフィルムであり、複層の合成樹脂フィルムは、2つ以上の合成樹脂層が積層された積層フィルムである。
【0027】
合成樹脂フィルム(合成樹脂層)の材質は、特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィンなどのオレフィン系樹脂;ポリスチレン、スチレン-ブタジエン共重合体などのポリスチレン系樹脂;ポリアミド系樹脂;塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選ばれる1種、又は2種以上の混合物などが挙げられる。不織布フィルム及び発泡樹脂フィルムの材質も特に限定されず、従来公知の合成樹脂を用いたものが挙げられる。不織布フィルム及び発泡樹脂フィルムは、それ自体、断熱効果を期待できる。
【0028】
熱収縮性を有する合成樹脂フィルムは、公知の製膜法によって得られる。例えば、合成樹脂及び必要に応じて各種の添加剤を配合した樹脂組成物を、ミキサーなどで混合し、押出機を用いて溶融してTダイスから押出し、これを延伸して熱セットすることによって得ることができる。延伸処理は、テンター方式及びチューブ方式の何れでもよい。延伸処理は、通常、70~110℃程度の温度で、長手方向(例えば、製膜時のMD方向)及び/又は短手方向(成膜時のTD方向)にそれぞれ独立して2.0~8.0倍(好ましくは3.0~7.0倍程度)に延伸することにより行われる。長手方向及び短手方向の双方に延伸した場合には、第1方向及び第2方向の何れにも熱収縮し得る二軸延伸フィルムとなる。
【0029】
第3フィルム11の厚みは、特に限定されず、例えば、10μm~300μmmである。特に、第3フィルム11として合成樹脂フィルムを用いる場合には、その厚みは、例えば、10μm~100μmである。
【0030】
第3フィルム11は、透明(無色透明又は有色透明)でもよく、非透明でもよい。
【0031】
(第1フィルム14、第2フィルム17)
第1フィルム14は、少なくとも第1方向において第1熱収縮率よりも低い第2熱収縮率を有するフィルムである。第1フィルム14は、少なくとも第1方向において実質的に熱収縮性を有さないフィルムであってもよい。実質的に熱収縮性を有さないフィルムとは、室温下で収縮せず且つ熱収縮温度に加熱されてもほとんど収縮しないことを意味する。例えば、熱収縮率で表すと、実質的に熱収縮性を有さない第1フィルム14は、第1方向及び第2方向における熱収縮率がそれぞれ独立して0~5%であり、好ましくは0~3%である。熱収縮率の意味については、上述の通りである。
【0032】
第1フィルム14は、少なくとも第1方向において第1熱収縮率よりも低い第2熱収縮率を有することを条件として、様々なフィルムを用いることができる。第1フィルム14の材料としては、例えば、合成樹脂フィルム又は合成樹脂層を有する積層フィルムが用いられ、さらに好ましくは、単層の合成樹脂フィルム又は複層の合成樹脂フィルムが用いられる。第1フィルム14の材料として、実質的に熱収縮性を有さない合成樹脂フィルム、紙、実質的に熱収縮性を有さない不織布フィルム、実質的に熱収縮性を有さない発泡樹脂フィルム及び実質的に熱収縮性を有さないガスバリア性、遮光性等を有する機能性フィルム、実質的に熱収縮性を有さないシーラントフィルム並びにこれらから選ばれる少なくとも1つを含む積層フィルムなどが使用されてもよい。好ましくは、第1フィルム14は、実質的に熱収縮性を有さない合成樹脂フィルムが用いられる。
【0033】
合成樹脂フィルム(合成樹脂層)の材質は、特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィンなどのオレフィン系樹脂;ポリスチレン、スチレン-ブタジエン共重合体などのポリスチレン系樹脂;ポリアミド系樹脂;塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選ばれる1種、又は2種以上の混合物などが挙げられる。不織布フィルム及び発泡樹脂フィルムの材質も特に限定されず、従来公知の合成樹脂を用いたものが挙げられる。不織布フィルム及び発泡樹脂フィルムは、それ自体、断熱効果を期待できる。
【0034】
第1フィルム14の厚みは、特に限定されず、例えば、8μm~300μmmである。特に、第1フィルム14として合成樹脂フィルムを用いる場合には、その厚みは、例えば、8μm~250μmであり、好ましくは12μm~200μmである。
【0035】
第1フィルム14は、透明(無色透明又は有色透明)でもよく、非透明でもよい。
【0036】
第2フィルム17は、容器本体2の内部において収容物を収容する内袋5を構成する。第2フィルム17は、内袋5を構成するとともにシーラント層としても機能する。シーラント層を構成するフィルムとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン-プロピレン共重合体、未延伸ポリプロピレン(CPP)、二軸延伸ナイロン(ONy)、エチレン-オレフィン共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)及びエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等から構成される一層又は二層以上の延伸又は未延伸フィルムが例示される。
【0037】
第3フィルム11が熱収縮することにより第2フィルム17が撓む(歪む)。第2フィルム17が撓むことにより、第1フィルム14と第2フィルム17とがより剥離しやすくなる。これにより、第2フィルム17を用いた内袋5が形成されやすくなる。
【0038】
(第1接着層15)
第1接着層15は、第1フィルム14と第2フィルム17を接着させる。第1接着層15は、例えば、接着剤などから構成される。例えば、第1フィルム14の裏面(又は/及び第2フィルム17の表面)に接着剤を塗布し、その第1フィルム14の裏面と第2フィルム17の表面を重ね合せることにより、第1フィルム14と第2フィルム17が接着剤を介して接着される。第1接着剤層15としては、ドライラミネートに使用する公知の接着剤、又は熱ラミネーションに使用する熱接着性樹脂(当該熱接着性樹脂を溶融して第1フィルムと第2フィルムとの間に挟んで第1フィルムと第2フィルムとを接着させる)などが挙げられる。
【0039】
また、第1フィルム14の裏面と第2フィルム17の表面とがヒートシール可能なヒートシール性を有するシーラントフィルムによって構成される場合には、第1フィルム14と第2フィルム17とがヒートシールにより熱溶着される。
【0040】
(第2接着層13)
第2接着層13は、第1フィルム14と第3フィルム11を接着させる。第2接着層13は、例えば、接着剤などから構成される。例えば、第1フィルム14の表面(又は/及び第3フィルム11の裏面)に接着剤を塗布し、その第1フィルム14の表面と第3フィルム11の裏面を重ね合せることにより、第1フィルム14と第3フィルム11が接着剤を介して接着される。第2接着剤層13としては、ドライラミネートに使用する公知の接着剤、又は熱ラミネーションに使用する熱接着性樹脂(当該熱接着性樹脂を溶融して第1フィルムと第2フィルムとの間に挟んで第1フィルムと第2フィルムとを接着させる)などが挙げられる。
【0041】
また、第1フィルム14の裏面と第3フィルム11の表面とがヒートシール可能なヒートシール性を有するシーラントフィルムによって構成される場合には、第1フィルム14と第3フィルム11とがヒートシールにより熱溶着される。
【0042】
(第2機能層12)
第2機能層12は、第2接着層13上に形成される。第2機能層12は、第2接着層13上に任意の形状で形成されてよく、図2では、矩形の第1フィルム14の3辺に沿って形成されている。第2機能層12は、第2接着層13の接着機能を阻害するものであり、第3フィルム11を熱収縮させたときに、第3フィルム11と第1フィルム14とを剥離させる位置に塗布される。第3フィルム11と第1フィルム14とが剥離した位置は空隙部となることから、第2機能層12は、第3フィルム11と第1フィルム14との間に空気経路(空気回路)を形成する機能を有する。第2機能層12は、例えば、シリコン又は硝化綿を含むインキにより形成される。なお、第2機能層12は、第2接着層13の裏面に形成されてもよい。
【0043】
(第1機能層16)
第1機能層16は、第2フィルム17上に形成される。第1機能層16は、第2フィルム17上に任意の形状で形成されてよい。第1機能層16は、第2フィルム17の接着機能を阻害するものであり、第1フィルム14と第2フィルム17とを剥離させる位置に塗布される。第1フィルム14と第2フィルム17とが剥離した位置は空隙部となる。第1機能層16は、例えば、シリコン又は硝化綿を含むインキにより形成される。なお、第1機能層16は、第2フィルム17の裏面に形成されてもよい。
【0044】
(第1気体取込口6、第2気体取込口18)
次に、第1気体取込口6及び第2気体取込口18について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、シート材20の積層構造を示す断面図である。図4は、シート材20の他の積層構造を示す断面図である。なお、図1図2を参照して説明した内容については、その説明を省略する。
【0045】
最初に、図3を参照して、第1気体取込口6及び第2気体取込口18は、共通の一つの気体取込口により構成されている。第1気体取込口6及び第2気体取込口18は、第3フィルム11に形成され、第3フィルム11から第1機能層16までを貫通し、第1機能層16と第2フィルム17の境界まで延在する。これにより、第1気体取込口6及び第2気体取込口18は、第3フィルム11と第2機能層12との間、及び、第2フィルム17と第1機能層16との間に気体を送りこむことができる。
【0046】
次に、図4を参照して、第1気体取込口6及び第2気体取込口18は、別々の気体取込口として構成されている。第1気体取込口6は、第3フィルム11に形成され、第3フィルム11から第1フィルム14までを貫通し、第1フィルム14と第1接着層15の境界まで延在する。第2気体取込口18は、第3フィルム11に形成され、第3フィルム11から第2機能層12までを貫通し、第2機能層12と第1フィルム14の境界まで延在する。これにより、第1気体取込口6は、第1フィルム14と第1機能層16との間に気体を送りこむことができる。また、第2気体取込口18は、第1フィルム14と第2機能層12との間に気体を送りこむことができる。
【0047】
このように、第1気体取込口6及び第2気体取込口18は、共通に一つ形成されてもよいし、それぞれ別々に形成されてもよい。
【0048】
第1気体取込口6及び第2気体取込口18は、その形状、数、及びサイズが適宜に決められてよい。従って、第1気体取込口6及び第2気体取込口18は、2つ以上存在していてもよいし、また、円形、四角形、楕円、又はスリット(切り込み)など、様々な形状で実現されてもよい。
【0049】
第1フィルム14及び第3フィルム11において、第1気体取込口6は、レーザー、ミシン、プレス、又はハーフカットなどの穴開け加工により形成できる。例えば、レーザーにより第1気体取込口6を形成する場合には、第1気体取込口6が形成される第3フィルム11(及び第1フィルム14)を構成する樹脂特有の吸収波長に基づいてレーザーを出力調整し、第1気体取込口6を形成する。ミシンにより第1気体取込口6を形成する場合には、圧着工程又はシート送り工程等にミシンによる第1気体取込口6の形成工程を導入すればよい。なお、第1気体取込口6は人手により形成されてもよい。以上については、第2気体取込口18についても同じである。
【0050】
また、第1気体取込口6を第2機能層12に形成するためには、第1気体取込口6に対応する領域に第2機能層12を設けなければよい。このことは、第2気体取込口18を第2機能層12に形成する場合、あるいは、第1接着層15及び/又は第2接着層13に第1気体取込口6及び/又は第2気体取込口18を形成する場合も同様である。
【0051】
あるいは、第1フィルム14又は第2フィルム17の側面(端面)に至るまで第1機能層16を形成することにより、その側面における、第1機能層16と第1フィルム14又は第2フィルム17との境界部を気体取込口とすることもできる。同様に、第1フィルム14又は第3フィルム11の側面に至るまで第2機能層12を形成することにより、その側面における、第2機能層12と第1フィルム14又は第3フィルム11との境界部を気体取込口とすることができる。このような気体取込口は、例えば、排出部3(スパウト)を溶着するためのフィルム開口部分において形成されうる(後述の図9(空気回路52e参照))。
【0052】
なお、第2機能層12は、図3では第3フィルム11の裏面に設けられているが、図4では第1フィルム14の表面に設けられている。第1機能層16は、図3では第2フィルム17の表面に設けられているが、図4では第1フィルム14の裏面に設けられている。このように、第2機能層12及び第1機能層16の形成位置、及び、第2機能層12及び第1機能層16の形成位置に伴う第2接着層13及び第1フィルム14の形成位置は、適宜変更することができる。また、第1気体取込口6及び/又は第2気体取込口18は、天マチにおいて、排出部3(スパウト)とシート材20の端部との接点またはその近傍に形成されてもよい。
【0053】
(第1気体取込口6の作用)
第1フィルム14と第2フィルム17の対向面の全面に第1接着層15を設けた場合でも、第1接着層15の接着力を低下させる第1機能層16をさらに設けることで、第1機能層16を設けた部分において第1フィルム14と第2フィルム17は分離可能になる。収容物が排出部3から排出されることに伴い内袋5の体積が減少し、第1フィルム14と第2フィルム17とを分離させる力が働いたときには、第1フィルム14と第2フィルム17との間に第1気体取込口6を介して気体が送り込まれる。これにより、第1フィルム14と第2フィルム17とが分離するときに生じる陰圧が解消される。第1フィルム14と第2フィルム17との間に注入される気体は、空気に限らず、窒素等の他の気体でもよい。第1気体取込口6の作用については図7を参照して改めて説明する。
【0054】
(第2気体取込口18の作用)
第3フィルム11を熱収縮することにより第1フィルム14をたるませると、第2機能層12の機能によって第3フィルム11と第1フィルム14との間に空胴部が形成され、その空胴部へ第2気体取込口18から気体が注入される。空胴部に注入される気体は、空気に限らず、窒素等の他の気体でもよい。気体は、第3フィルム11の熱収縮によって空洞部が形成される過程において、第2気体取込口18から空胴部内に自然流入する。例えば、第3フィルム11の熱収縮を窒素雰囲気下で行えば、空胴部に窒素を流入させることができる。空胴部に気体が注入されることにより、図1に記載する、軟包材容器1の空気回路4が形成される。第2気体取込口18の作用については図6を参照して改めて説明する。
【0055】
(第2気体取込口18の閉塞)
図4において、第2機能層12の機能によって第3フィルム11と第1フィルム14との間に形成される空胴部へ第2気体取込口18から気体が封入された後、第2気体取込口18は、閉塞部材により閉塞されてよい。
【0056】
閉塞部材は、第2気体取込口18を閉塞するのに適した材料、例えば、樹脂又は接着剤等であってよい。閉塞部材を用いることにより、第2気体取込口18が存在していたことが視認するのを困難な程度にまで第2気体取込口18を閉塞することができる。
【0057】
閉塞部材は、感熱接着剤であってもよい。感熱接着剤は、第3フィルム11における、第2気体取込口18に対応する位置に塗工されている。空気が空胴部に封入された後、第2気体取込口18を加熱・加圧することで感熱接着剤を活性化させ、第2気体取込口18を閉塞できる。感熱接着剤は、第3フィルム11が熱収縮する温度では活性化しない材料を用いればよい。
【0058】
感熱接着剤による閉塞手段に代えて、紫外線照射等によって活性化する接着剤またはシーラント層を用いることによっても、その接着剤の作用により第2気体取込口18を閉塞してもよい。閉塞部材は、タックシール等であってもよい。
【0059】
第2気体取込口18は、必ずしも閉塞されなくてよい。第2気体取込口18の大きさ、形状又は第3フィルム11の材質等によっては、第2気体取込口18を閉塞しなくとも、空胴部に一旦保持した空気の多くを空胴部内に保持できる。
【0060】
図3に示すように、第1気体取込口6と第2気体取込口18が共通に一つ形成されている場合には、その気体取込口は閉塞していない方がよい。軟包材容器1において、収容物が排出部から排出されることに伴い内袋5の体積が減少し、第1フィルム14と第2フィルム17とを分離させる力が働いたとき、第1フィルム14と第2フィルム17との間(厳密には、第1機能層16と第2フィルム17との間)に第1気体取込口6を介して気体が送り込まれる。これにより、第1フィルム14と第2フィルム17とが分離するときに生じる陰圧が解消される。そのため、第2気体取込口18は閉塞していない方がよい。
【0061】
(印刷層)
シート材20は、印刷層(不図示)を含んでもよい。一例として、印刷層は、第3フィルム11と第2接着層13との間に設けられる。印刷層は、軟包材容器1のラベル(各種デザイン、商品名、原材料、使用上の注意等)を表示するための層である。印刷層は、第3フィルム11の外側など、他の箇所に設けられてもよい。
【0062】
軟包材容器1では、第3フィルム11が熱収縮すると、第1フィルム14が第3フィルム11から離れる方向(軟包材容器1の内側方向)に膨らむ。これにより、軟包材容器1は、軟包材容器1の表面側は平面を維持でき、印刷層の印刷表示が歪むことなく読みやすい状態を保つことができる。
【0063】
(シート材20の展開構成)
次に、軟包材容器1を構成するシート材20の展開構成を図5により説明する。図5は、シート材20の展開構成の一例を示す図である。符号501は、第3フィルム11と第1フィルム14を積層したときの、第2機能層12及び第2接着層13の形成位置を示す図である。符号502は、第1フィルム14と第2フィルム17を積層したときの、第1接着層15及び第1機能層16の形成関係を示す図である。符号503は、軟包材容器1を構成するシート材20の他の展開構成を示す図である。図5のXY座標において、Y軸方向は、シート材20が軟包材容器1に組み立てられたときの幅(横)方向であり、第3フィルム11の主収縮方向に対応する。
【0064】
最初に、符号501に示す図を参照して、シート材20は、背面シート22、底面シート23、正面シート21、及び天面シート24がその順序で並ぶ一連のシートに展開できる。背面シート22、底面シート23、及び正面シート21にはグレーで示される領域が形成されており、この領域が空気回路となる(図1の空気回路4参照)。空気回路は、空気回路に対応する第2接着層13上に第2機能層12を塗布し、第3フィルム11を熱収縮させることにより形成される。
【0065】
軟包材容器1のデザイン性、及び空気回路が空気柱として機能するときのバランスなどを考慮すると、正面シート21及び背面シート22は、対称位置に空気回路を有するのが好ましい。具体的に、図5に記載されたXY座標のX軸方向における底面シート23の中心位置を通る、Y軸方向に延びる中心線を線分Lとする。この線分Lを対称線として、正面シート21及び背面シート22の対称位置に第2機能層12及び第2接着層13が形成される。底面シート23においても、線分Lを対称線として、正面シート21側と背面シート22側において、対称位置に第2機能層12及び第2接着層13が形成される。これにより、シート材20を組み立てたときに、正面シート21と背面シート22、及び底面シート23の対称位置に空気回路4を設けることができる。その結果、軟包材容器1のデザイン性、及び空気回路が空気柱として機能するときのバランスを高めることができる。
【0066】
天面シート24は、符号501に示す図においては空気回路を有していないが、空気回路を有してもよい。
【0067】
次に、符号502に示す図を参照して、第1フィルム14と第2フィルム17との対向面の全面に第1接着層15を設けた場合、第1機能層16を設けた部分において第1フィルム14と第2フィルム17とは分離可能になる。このとき、軟包材容器1の安定性、及び軟包材容器1の扱いやすさ等の観点から、軟包材容器1に収容した収容物の大部分が内袋5から排出されたとき、内袋5(すなわち、第2フィルム17)と第1フィルム14の分離領域は大きい方が好ましい。そのため、符号502に示す図では、第1接着層15の大部分を覆うように第1機能層16が設けられている。また、線分Lを対称軸として、正面シート21及び背面シート22の対称位置に第1機能層16が設けられている。底面シート23においても、線分Lを対称軸として、正面シート21側と背面シート22側において、対称位置に第1機能層16が設けられている。
【0068】
以上、軟包材容器1を構成するシート材20の展開構成を図5により説明した。図5の展開構成は、本開示の一例であって、これに限定されるものではない。
【0069】
例えば、図5の符号503に示す図を参照して、軟包材容器1を構成するシート材20は、さらに、空気回路4a、空気回路4b、空気回路4cを有してもよい。空気回路4aは、背面シート22に形成された空気回路と底面シート23に形成された空気回路とを接続する。空気回路4bは、正面シート21に形成された空気回路と底面シート23に形成された空気回路とを接続する。空気回路4cは、正面シート21に形成された空気回路から排出部3(不図示)を溶着するためのフィルム開口部分24aに至るまで形成されている。
【0070】
この構成によると、フィルム開口部分24aに気体取込口を形成でき、その気体取込口から取り込まれた気体を、空気回路4a、空気回路4b、及び空気回路4cを介して、軟包材容器1に形成された空気回路全体に気体を行き渡らせることができる。このとき、第2気体取込口18は必ずしも形成されなくてよい。
【0071】
このように、本開示に係る軟包材容器1は、種々の展開構成を有するシート材20を使用することができる。
【0072】
(空気回路の形成原理)
次に、空気回路が形成される原理を図6により説明する。図6は、空気回路が形成される原理を説明するための図である。
【0073】
図6では、外側(上側)から順に、第3フィルム11、第2機能層12、第2接着層13、及び第1フィルム14が設けられている。第3フィルム11は、第1フィルム14よりも熱収縮率が高い。第3フィルム11は、第2気体取込口18を有する。第2接着層13は、第1フィルム14と第3フィルム11とを接着する機能を有する。第2機能層12は、第2機能層12が設けられた領域において第2接着層13の接着力を低下させる。
【0074】
以上の構成において、第3フィルム11を加熱し、熱収縮させることによって、第1フィルム14を内側にたるませることができる。このとき、第2接着層13の接着機能を阻害する第2機能層12の働きによって、第3フィルム11と第1フィルム14との間(厳密には、第3フィルム11と第2機能層12との間)に空胴部7が形成される。空胴部7には第2気体取込口18から気体(例えば、空気)が注入し、空胴部7が膨張する。その膨張した空胴部7が空気回路となる。
【0075】
第2機能層12は、第2接着層13上に任意の形状で形成されてよい。空気回路が形成されるこの原理を適用することにより、軟包材容器1は、任意の位置、形状、又は数の空気回路を有することができる。
【0076】
(軟包材容器1の層構造の変化)
図7は、熱処理および収容物の減少に伴う軟包材容器1の層構造の変化を示す斜視断面図である。図7に示す軟包材容器1は、図3に示す積層構造を有するシート材20により構成されているものとする。また、図7では、第2接着層13および第1接着層15は図示されていない。
【0077】
最初に、符号701に示す図を参照して、軟包材容器1は十分量の収容物を収容しており、第3フィルム11は熱収縮していないものとする。この時点においては、第2機能層12は、第3フィルム11と密着しているため、第3フィルム11と第1フィルム14との間に空胴部は形成されていない。また、第1機能層16は、第2フィルム17と密着しているため、第1フィルム14と第2フィルム17との間に空胴部は形成されていない。
【0078】
続いて、符号702に示す図を参照して、軟包材容器1が十分量の収容物を収容した状態で、第3フィルム11を加熱し、第3フィルム11を熱収縮させる。これにより、前述した理由により、第3フィルム11と第1フィルム14の間に形成された空胴部に第2気体取込口18を介して気体が流入し、空気回路4が形成される。符号702に示す図では、軟包材容器1の4つの角部それぞれに空気回路4が形成されている。符号702に示す図では、便宜上、第2気体取込口18(第1気体取込口6)は1つのみ記載しているが、軟包材容器1の4つの角部それぞれに第2気体取込口18(第1気体取込口6)が形成されていてもよい。
【0079】
次に、符号703に示す図は、符号702に示す状態から、軟包材容器1に収容された収容物の体積が減少したときの様子を示す。このとき、収容物の体積の減少に伴って、第3フィルム11と第2フィルム17とを分離させる力が働くことにより、第3フィルム11と第2フィルム17との間に第1気体取込口6(第2気体取込口18)を介して気体が送り込まれる。これにより、第3フィルム11と第2フィルム17とが分離するときに生じる陰圧が解消され、第3フィルム11と第2フィルム17とが分離する。
【0080】
(空気回路の変形例)
次に、図8を参照して、空気回路の変形例を説明する。図8は、第2機能層12を用いて形成された空気回路を例示する。空気回路は、図8においてグレー領域で示される部分である。なお、図8では、排出部3等の記載は省略している。
【0081】
符号801は、略矩形状の第3フィルム11の外縁に概ね沿うように環状の空気回路が形成され、さらに環状の空気回路を縦断するように複数の直線状の空気回路が形成された様子を示す。符号802は、空気回路が島状(ドット状)に形成された様子を示す。
【0082】
符号801に示す図を参照して、空気回路41に対応する第2接着層13上に第2機能層12を塗布することによって、図示する空気回路41が形成される。空気回路41は、その幅、位置、又は角度等が適宜に変更されてよい。このとき、第2気体取込口18は、空気回路41上の任意の位置に位置決めされてよい。
【0083】
符号802に示す図は、矩形の第3フィルム11の長辺に略平行に、3本の空気回路42が並列に形成された様子を示す。空気回路42は、島状(ドット状)の空間が直列につながった形状を有している。空気回路42の数は、3本に限定されず、何本であってもよい。また、第1の空気回路42に含まれる島状の空間が、隣接する第2の空気回路42の島状の空間とつながっていてもよい。この空気回路42は、空気回路42に対応する第2接着層13上に第2機能層12を塗布することにより形成される。このことは前述したとおりである。
【0084】
以上、図8を参照して、第2機能層12により形成される空気回路について説明した。この空気回路は、以下のような種々の効果を奏する。一例として、図1の軟包材容器1が、図8の符号800に示す空気回路41を有するものとする。
【0085】
空気回路41が軟包材容器1の胴部(表面及び/又は裏面)の上下端にわたって形成されることにより、空気回路41が軟包材容器1の空気柱となって、軟包材容器1の自立性を高めることができる。軟包材容器1内の収容物が減少していった場合にも、軟包材容器1は折れ曲がることなく、自立を維持できる。つまり、空気回路41は、軟包材容器1の保形にも役立つ。
【0086】
さらに、軟包材容器1は、空気回路41を有することにより、上方からの圧縮強度が高まり、容器としての強度が向上する。このように、第2接着層13上の所望の位置に第2機能層12を塗布するという簡易な処理によって、空気回路の形状設計の自由度を高めることができ、軟包材容器1の強度を所望の強度にすることが容易にできる。
【0087】
また、空気回路が形成される過程において第3フィルム11に撚れが生じ、その撚れによって軟包材容器1の強度が高まる。そのうえで、空気回路41及び空気回路42等を一例として空気回路の形状に工夫を加えることにより、さらに、軟包材容器1は、容器としての強度を高めることができる。
【0088】
図8は、本開示に係る空気回路の一例であって、前述の効果を奏するのであれば、様々の形状、位置、又はサイズ等の空気回路を設けることができる。
【0089】
(軟包材容器の変形例)
第2機能層12により形成される空気回路のさらに他の適用例を図9により説明する。図9は、第2機能層12により形成される空気回路のさらに他の適用例を説明するための図である。図9の符号901に示す図は、軟包材容器50の斜視図を示す。図9の符号902に示す図は、軟包材容器50の胴体部を構成する、第3フィルム11と第1フィルム14の積層体を展開した様子を示す。軟包材容器50を形成するためのシール部(天面シール、サイドシール、底面シール)以外の部分において、第1フィルム14と第2フィルム17とは剥離可能となっており、第2フィルム17が内袋5を構成する。
【0090】
図9の符号901に示す図を参照して、軟包材容器50は、略立方体の軟包材容器である。軟包材容器50は、直方体等の他の形状の軟包材容器であってもよい。軟包材容器50は、一例として、第3フィルム11と第1フィルム14の積層体を折り畳み、該積層体の内面の周縁部同士を互いに接着し、第3フィルム11を加熱することにより形成される。具体的に、図9の符号902に示す図を参照して、側面54a~側面54dは、それぞれ正方形(又は、略正方形)であり、軟包材容器50の4つの側面に対応する。4つの側面のうち、側面54bが軟包材容器50の天面に相当する。
【0091】
側面54a~側面54dはそれぞれ、三角領域57a~三角領域57d及び三角領域58a~三角領域58dが上下に連なる。三角領域57a~三角領域57d及び三角領域58a~三角領域58dは、軟包材容器50の6つの側面のうち、側面54a~側面54dを除く残りの2つの側面を構成することになる。
【0092】
軟包材容器50が組み立てられるとき、三角領域57aと三角領域57bの隣り合う辺同士が互いに接着される。同様に、三角領域57bと三角領域57cの隣り合う辺同士、三角領域57cと三角領域57dの隣り合う辺同士が互いに接着される。また、三角領域57dと三角領域57aの残された辺同士が互いに接着される。三角領域58a~三角領域58dも同様にして接着される。さらに、図9の符号902に示す図において、三角領域57aの左辺56aと三角領域57dの右辺56dとが互いに接着される。このようにして、軟包材容器50が組み立てられる。
【0093】
符号901に示す図において、空気回路52は、符号902に示す図においてグレーで示された空気回路形成領域59に第2接着層13上に第2機能層12を塗布することによって形成される。第2気体取込口18は、空気回路形成領域59の任意の位置に形成されてよい。
【0094】
再び、符号901を参照して、軟包材容器50は収容物を収容する内袋5を内部に有する。また、軟包材容器50は、天面にキャップ30を有する。キャップ30は、内袋5の内部空間と連通する。キャップ30は、様々な種類のスパウトを適用できる。
【0095】
軟包材容器50は、前述した方法により形成された空気回路52を有する。空気回路52は、図9の符号901に示す図において、グレー領域により示される部分である。空気回路52は、X軸方向及びY軸方向に延在する空気回路52a及び空気回路52b、Z軸方向に延在する空気回路52c、及び、XZ平面上を延在する空気回路52dを含む。
【0096】
空気回路52aは、軟包材容器50の天面の4辺に形成される。空気回路52bは、軟包材容器50の底面の4辺に形成される。空気回路52cは、軟包材容器50の天面と底面とを結ぶ4辺に形成される。空気回路52dは、軟包材容器50の側面内に任意の形状により形成される。
【0097】
軟包材容器50は、空気回路52eを有してもよい。図3及び図4を参照して、第2機能層12を第1フィルム14又は第3フィルム11の側面に至るまで形成することにより、その側面における、第2機能層12と第1フィルム14又は第3フィルム11との境界部を気体取込口としうることを説明した。空気回路52eは、そのようにして形成された気体取込口であり、空気回路52aにも接続する。
【0098】
軟包材容器50は、気体取込口として機能する空気回路52eを有することにより、第2気体取込口18を必ずしも有する必要が無い。なお、軟包材容器50は、空気回路52eを有していなくてもよく、その場合は第2気体取込口18を有しておればよい。
【0099】
そして、空気回路52は、軟包材容器50の構造強度を高める空気柱となる。具体的に、空気回路52aは、軟包材容器50の天面の4辺に沿って形成された矩形の空気回路であり、軟包材容器50の天面形状の保形に役立つ。空気回路52bは、軟包材容器50の底面の4辺に沿って形成された矩形の空気回路であり、軟包材容器50の底面形状の保形に役立つ。空気回路52cは、軟包材容器50の天面と底面とを結ぶ辺に形成された柱状の空気回路であり、軟包材容器50の自立性を高めるのに役立つ。従って、空気回路52cは、内袋5内の収容物が減少していった場合にも、軟包材容器50の折れ曲がりを抑え、軟包材容器50の保形に役立つ。空気回路52dは、軟包材容器50の側面を画定する4辺における第1の点と第2の点とを結ぶように形成された空気回路である。図9に示す例では、空気回路52dは、軟包材容器50の側面を画定する4辺よりなる矩形の第1の頂点と第2の頂点とをつなぎ、当該側面を縦断または横断するように形成されている。空気回路52dは、軟包材容器50の側面形状の保形に役立つ。
【0100】
さらに、空気回路52は、軟包材容器50の落下時に緩衝機能を発現するため、軟包材容器50の落下強度を高めることができる。このとき、空気回路52に加わる内圧が低いため、落下時における空気回路52の破損可能性は低い状態を維持できる。
【0101】
空気回路52aは、軟包材容器50の天面の4辺のうち、少なくとも1辺に形成されていてよい。空気回路52bは、軟包材容器50の底面の4辺のうち、少なくとも1辺に形成されていてよい。空気回路52cは、軟包材容器50の天面と底面とを結ぶ4辺のうち、少なくとも1辺に形成されていてよい。空気回路52dは、軟包材容器50の4つの側面のうち、少なくとも1つの側面に形成されていてよい。
【0102】
空気回路52cによって軟包材容器50の構造強度が十分に高まる場合には、軟包材容器50は、空気回路52a、空気回路52b、及び/又は、空気回路52dを備えていなくてよい。空気回路52dによって軟包材容器50の構造強度が十分に高まる場合には、軟包材容器50は、空気回路52a、空気回路52b、及び/又は、空気回路52cを備えていなくてよい。これらは一例であって、軟包材容器50では、構造強度及び/又は最終形状のデザイン性などを考慮して、空気回路52の位置及び/又は数などが柔軟に変更されてよい。
【0103】
このように、本開示に係る軟包材容器は、空回路を設けることにより、自立性及び形状保持性を高めつつ、構造強度も高めることができる。
【0104】
以上によれば、本開示に係る軟包材容器は、空気回路を形成するうえで、気体の充填設備を必要としない。また、空気回路に加わる内圧が低いため、落下時における空気回路の破損可能性は低い状態を維持でき、シート材の厚みも薄くできる。これにより、本開示に係る軟包材容器は、使用原料(樹脂等)の軽減に資する。また、本開示に係る軟包材容器は、内容物を充填する前に空気回路を形成する必要が無いため、輸送効率を高めることができる。
【0105】
このような効果は、例えば、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の目標12「つくる責任 つかう責任(持続可能な生産消費形態を確保する)」等の達成にも貢献するものである。
【0106】
以上、本開示に係る種々の軟包材容器を説明した。従来は、シート材(積層シート)を折畳んで容器(パウチ)を製造していたが、本開示の軟包材容器においても、内袋及び空気回路付きのシート材(積層シート)を折り畳むことにより、内袋及び空気回路付きの容器を容易に製造できる。シート材(積層シート)は、複雑な貼り合せ工程を必要とせず、印刷等によって機能層を塗工したフィルムを貼り合わせることで容易に形成できる。
【0107】
〔まとめ〕
本開示の態様1に係る軟包材容器は、容器本体を構成する第1フィルムと、前記容器本体の内部において収容物を収容する内袋を構成する第2フィルムと、前記第1フィルムと前記第2フィルムとを接着する機能を有する第1接着層と、前記第1接着層の一部の接着力を低下させることにより、前記第1フィルムと前記内袋に相当する前記第2フィルムの部分とを分離可能にする第1機能層と、前記内袋の内部空間と連通し、前記収容物を排出する排出部とを備え、前記第1フィルムは、前記第1フィルムと前記第2フィルムの部分との間に気体を流入させる第1気体取込口を有している。
【0108】
前記の構成によれば、本開示の態様1に係る軟包材容器は、第1フィルムと第2フィルムとの接着を簡易な工程で行う。そのため、第1フィルムと第2フィルムとの対向面の全面に第1接着層を設けた場合でも、第1接着層の接着力を低下させる第1機能層をさらに設けることにより、第1機能層を設けた部分において第1フィルムと第2フィルムとは分離可能になる。収容物が排出部から排出されることに伴い内袋の体積が減少し、第1フィルムと第2フィルムとを分離させる力が働いたときには、第1フィルムと第2フィルムとの間に第1開口部を介して気体が送り込まれる。そのため、第1フィルムと第2フィルムとが分離するときに生じる陰圧が解消される。
【0109】
このような第1機能層の位置または形状を変更することにより、第1フィルムと第2フィルムとが分離する部分の位置または形状、すなわち内袋の位置または形状を変更することができる。そのため、内袋の設計の自由度を容易に高めることができる。
【0110】
本開示の態様2に係る軟包材容器は、前記の態様1において、前記第1フィルムの外側に、前記第1フィルムよりも熱収縮率の高い第3フィルムを備え、前記第1フィルムと前記第3フィルムとの間に空洞部が形成されるように、前記第1フィルムと前記第3フィルムとが接着されており、前記第3フィルムは、前記空洞部に気体を流入させる第2気体取込口を有している。
【0111】
前記の構成によれば、本開示の態様2に係る軟包材容器は、空洞部に気体を流入させるための特別な設備を使わずに、第3フィルムを加熱するという簡易な方法で空洞部を形成することができる。空洞部を形成することにより、軟包材容器の自立性および形状保持性能を高めることができる。
【0112】
特に、収容物を内袋から排出することにより内袋の体積が小さくなった場合でも、容器本体を構成する第1フィルムの外形を維持することが容易になる。
【0113】
本開示の態様3に係る軟包材容器は、前記の態様2において、前記第1フィルムと前記第3フィルムとを接着する機能を有する第2接着層と、前記第2接着層の一部の接着力を低下させる第2機能層と、を備える。
【0114】
前記の構成によれば、本開示の態様3に係る軟包材容器は、第1フィルムと第3フィルムとの対向面のうちのいずれかの面の全面に第2接着層を設けた場合でも、第2機能層をさらに設けることにより、第2機能層を設けた部分において1フィルムと第3フィルムとは分離可能になる。そのため、当該部分に空洞部を形成することができる。
【0115】
このような第2機能層の位置または形状を変更することにより、空洞部の位置または形状を変更することができ、空洞部の設計自由度を高めることができる。
【0116】
本開示の態様4に係る軟包材容器は、前記の態様1から3の何れかにおいて、天マチおよび底マチを有しており、前記排出部は、前記天マチに位置している。
【0117】
前記の構成によれば、本開示の態様4に係る軟包材容器は、底マチを有していることにより容器を自立させることが容易となる。さらに排出部を天マチに設けることにより、排出部にディスペンサーを取り付けることが可能となる。
【0118】
本開示の態様5に係る軟包材容器は、前記の態様1から4の何れかにおいて、前記排出部は、ディスペンサーを取り付け可能な形状を有している。
【0119】
前記の構成によれば、本開示の態様4に係る軟包材容器は、排出部にディスペンサーを取り付けることにより、本軟包材容器をディスペンサー付ボトルの代替容器として使用できる。ディスペンサーは、一例として、シャンプー、リンス又は液体石鹸などを注出するポンプである。ディスペンサーは、ネジ式等の公知の方法により、排出部3に交換可能に取り付けられてよい。
【0120】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0121】
1、50 軟包材容器
2 容器本体
3 排出部
4、4a、4b、4c、41、42、52、52a、52b、52c、52d 空気回路
5 内袋
6 第1気体取込口
7 空胴部
11 第3フィルム
12 第2機能層
13 第2接着層
14 第1フィルム
15 第1接着層
16 第1機能層
17 第2フィルム
18 第2気体取込口
20 シート材
21 正面シート
22 背面シート
23 底面シート
24 天面シート
30 キャップ
57a、57b、57c、57d、58a、58d 三角領域
59 空気回路形成領域
図1
図2
図3
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図9