(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104169
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】配送先プロファイル情報自動生成システム及び音声ルート案内システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240726BHJP
G06Q 10/083 20240101ALI20240726BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G06Q10/083 320
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008261
(22)【出願日】2023-01-23
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)証明書1 (展示会名) 第12回 おおた研究・開発フェア 出展者プレゼンテーション (開催場所) コングレスクエア羽田(ルーム2) (開催日) 令和4年10月20日 (2)証明書2 (集会名) 第2回京都「楽」Mobiコンテスト データ利活用セミナー (開催場所)京都リサーチパーク サイエンスホール (開催日) 令和4年12月11日 (3)証明書3 (ウェブサイトのアドレス) https://www.youtube.com/watch?v=zVrCBpmLJdw&t=1680s (ウェブサイトの掲載日) 令和4年12月11日 (4)証明書4 (ウェブサイトのアドレス) https://www.datatec.co.jp/news/5490/ (ウェブサイトの掲載日) 令和4年12月11日 (5)証明書5 (ウェブサイトのアドレス) https://www.datatec.co.jp/event/5361/ (ウェブサイトの掲載日) 令和5年1月17日 (6)証明書6 (公開した場所) 複数のメール 別紙メール配信先一覧リストのとおり (公開日) 令和5年1月17日
(71)【出願人】
【識別番号】594013044
【氏名又は名称】株式会社データ・テック
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】田野 通保
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 悠里
【テーマコード(参考)】
5H181
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA15
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB12
5H181CC12
5H181FF04
5H181FF05
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF14
5H181FF17
5H181MA42
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】ドライバーと配送先双方の課題を解決するために、デジタル式運行記録計から取得された過去の走行データを活用して、配送先毎のプロファイル情報を自動生成可能な配送先プロファイル情報自動生成し、生成された配送先毎のプロファイル情報を音声案内する。
【解決手段】配送車両2に搭載され、運行記録計を含む業務用車載器1から取得された過去の車両走行データを用いて、配送先毎に特有の申し送り事項を示す配送先プロファイル情報を配送先毎に自動生成する自動生成手段を有する。また、前記自動生成手段によって配送先毎に生成された配送先プロファイル情報を前記配送車両2に搭載された業務用車載器1に実装し、前記業務用車載器1の音声ルート案内手段36は、前記配送車両2が目的とする配送先に近づいた際に当該配送先の配送先プロファイル情報を読出して運転者に音声案内する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配送車両に搭載され、運行記録計を含む業務用車載器に記録された、又は無線通信回線を介して前記業務用車載器からアップロードされデータベースに蓄積された過去の車両走行データを用いて、配送先毎に特有の申し送り事項を示す配送先プロファイル情報を配送先毎に自動生成する自動生成手段を有することを特徴とする配送先プロファイル情報自動生成システム。
【請求項2】
請求項1記載の前記自動生成手段によって配送先毎に生成された配送先プロファイル情報を前記配送車両に搭載された業務用車載器に実装し、
前記業務用車載器は、前記配送車両が配送ルートを走行中に運転者に対して音声案内を行う音声ルート案内手段を有し、
前記音声ルート案内手段は、前記配送車両が目的とする配送先に近づいた際に当該配送先の配送先プロファイル情報を読出して運転者に音声案内することを特徴とする音声ルート案内システム。
【請求項3】
前記配送先プロファイル情報は、搬入口推定プロファイルデータ、駐車位置推定プロファイルデータ、駐車向き推定プロファイルデータ、駐車禁止プロファイルデータ及び搬入口から駐車位置までの走行ルート推定プロファイルデータを含むことを特徴とする請求項2記載の音声ルート案内システム。
【請求項4】
更に前記配送先プロファイル情報は、配送車両のバック診断推定プロファイルデータを含むことを特徴とする請求項3記載の音声ルート案内システム。
【請求項5】
更に前記配送先プロファイル情報は、誤配送抑制推定プロファイルデータを含むことを特徴とする請求項2又は3記載の音声ルート案内システム。
【請求項6】
前記音声ルート案内手段は、目的とする配送先に駐車場がない場合に、配送先の近くの公共駐車場情報を音声案内することを特徴とする請求項3記載の音声ルート案内システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配送先プロファイル情報自動生成システム及び音声ルート案内システムに関し、商用車を用いて配送物を配送する配送先と、商用車の運転者の双方の課題を解決するのに好適な配送先プロファイル情報自動生成システム及び音声ルート案内システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に商用車(例えば、トラックなど)を用いて各種配送物を荷積みし、ドライバー(運転者)が配送先まで運搬し、荷卸して各種配送物の配送が行われている。以下では、コンビニエンスストアやスーパーマーケットの例で説明する。
【0003】
日々の私たちの生活を支えているコンビニエンスストアやスーパーマーケットには、商品を運搬してくる配送車両(搬送車両)に対して店舗毎に「搬入口の場所」、「駐車位置」、「駐車向き」などのルールが詳細に定められており、ドライバーは店舗毎のプロファイル情報(申し送り事項)に従って、配送する必要がある。一方で、ドライバーにとって各店舗の情報を把握して対応することは負担となっており、間違った対応をした場合、配送先からのクレーム問題へとつながってしまう。また、配送先にとっても、指示通りの配送がなされないと、顧客からのクレームや構内事故につながる恐れもある。物流業者によっては、各店舗のプロファイル情報を管理されているところもあるが、紙ベースや口頭での管理・引継が主体で、仮にデータベース化するにしても、全てプロファイル情報を自らデータ入力するのは負担であり、なかなか進んでいないのが実情である。
【0004】
特許文献1には、過去の運行データを用いてトラック等の荷物運搬用の配送車の積荷に応じて最適な案内ルート決定を行う車両運行管理システムが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、利用者の所望のタイミングで所望の作業の案内を開始させることができる配達支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-149191号公報
【特許文献2】特開2021-68366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1では、車両走行データを用いて配送先毎に特有の申し送り事項を示す配送先プロファイル情報を配送先毎に自動生成する構成はないので、十分に配送先やドライバーの課題を解決することはできないという問題点があった。
【0008】
上記特許文献2では、店舗の駐車ガイド、荷卸ガイドの記載はあるが、車載器を操作して対応する構成のため、ドライバーに対する支援が十分ではなく、さらに配送先の店舗毎に異なる要求仕様にまでは対応できていないという問題点があった。
【0009】
また、物流業界における「2024年問題」がある。この物流業界における「2024年問題」とは、2024年4月1日以降、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることによって発生する様々な問題のことをいう。例えば、年間960時間以上の勤務を行っていたドライバーはそれ以上働けず収入減となり、また、運行管理者側もドライバー不足に直面することになる。一方で、EC市場の急成長等によって物流量は増加傾向にあり、従って物流会社にとってドライバー未経験者も含めた人材確保や物流効率化が喫緊の課題となっている。
【0010】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、ドライバーと配送先双方の課題を解決するために、デジタル式運行記録計から取得された過去の走行データを活用して、配送先毎のプロファイル情報を自動生成可能な配送先プロファイル情報自動生成システムを提供することにある。
【0011】
また、他の目的とするところは、配送先プロファイル情報自動生成システムによって配送先毎に生成された配送先特有の申し送り事項を示す配送先プロファイル情報を配送車両に搭載されたデジタル式運行記録計に実装して配送先に近づいた際にデジタル式運行記録計の音声案内でドライバーに注意喚起可能な音声ルート案内システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1発明に係る配送先プロファイル情報自動生成システムは、配送車両に搭載され、運行記録計を含む業務用車載器に記録された、又は無線通信回線を介して前記業務用車載器からアップロードされデータベースに蓄積された過去の車両走行データを用いて、配送先毎に特有の申し送り事項を示す配送先プロファイル情報を配送先毎に自動生成する自動生成手段を有することを特徴とする。
【0013】
第2発明に係る音声ルート案内システムは、第1発明の自動生成手段によって配送先毎に生成された配送先プロファイル情報を前記配送車両に搭載された業務用車載機に実装し、前記業務用車載器は、前記配送車両が配送ルートを走行中に運転者に対して音声案内を行う音声ルート案内手段を有し、前記音声ルート案内手段は、前記配送車両が目的とする配送先に近づいた際に当該搬送先の配送先プロファイル情報を読出して運転者に音声案内することを特徴とする。
【0014】
第3発明に係る音声ルート案内システムは、第2発明において、前記配送先プロファイル情報は、搬入口推定プロファイルデータ、駐車位置推定プロファイルデータ、駐車向き推定プロファイルデータ、駐車禁止プロファイルデータ及び搬入口から駐車位置までの走行ルート推定プロファイルデータを含むことを特徴とする。
【0015】
第4発明に係る音声ルート案内システムは、第3発明において、更に前記配送先プロファイル情報は、配送車両のバック診断推定プロファイルデータを含むことを特徴とする。
【0016】
第5発明に係る声ルート案内システムは、第2発明又は第3発明において、更に前記配送先プロファイル情報は、誤配送抑制推定プロファイルデータを含むことを特徴とする。
【0017】
第6発明に係る音声ルート案内システムは、第3発明において、前記音声ルート案内手段は、目的とする配送先に駐車場がない場合に、配送先の近くの公共駐車場情報を音声案内することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
第1発明によれば、ドライバーと配送先双方の課題を解決するために、デジタル式運行記録計から取得された過去の走行データを活用して、配送先毎のプロファイル情報を自動生成可能な配送先プロファイル情報自動生成システムを実現することができる。
【0019】
第2発明によれば、配送先プロファイル情報自動生成システムによって配送先毎に生成された配送先特有の申し送り事項を示す配送先プロファイル情報を配送車両に搭載されたデジタル式運行記録計に実装して配送先に近づいた際にデジタル式運行記録計の音声案内でドライバーに注意喚起可能な音声ルート案内システムを実現することができる。
【0020】
第3発明によれば、前記配送先プロファイル情報は、搬入口推定プロファイルデータ、駐車位置推定プロファイルデータ、駐車向き推定プロファイルデータ、駐車禁止プロファイルデータ及び搬入口から駐車位置までの走行ルート推定プロファイルデータを用いて音声ルート案内が行えるので、配送先を知らない新人ドライバーや未経験のドライバーに対する配送支援が可能となる。また、配送先にとっては、指示通りの配送が適切に行え、ドライバーと配送先双方の課題を解決させることが期待される。
【0021】
第4発明によれば、配送車両のバック診断推定プロファイルデータを用いて音声ルート案内が行えるので、駐車位置でのバック事故や構内事故を削減することができる。
【0022】
第5発明によれば、誤配送抑制推定プロファイルデータを用いて音声案内が行えるので、誤配送抑制効果が期待できる。
【0023】
第6発明によれば、前記音声ルート案内手段は、目的とする配送先に駐車場がない場合に、配送先の近くの公共駐車場情報を音声案内するので、交通違反をすることなく、配送が行える効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は本発明の原理的な説明をするための図であり、本発明で利用する車両走行データの概要を示している。
【
図2】
図2は、本実施形態における配送先プロファイル情報自動生成システムに適用する過去の車両走行データを取得する通信機能型車両運行システムの例を示す概略構成図である。
【
図3】
図3は、本実施形態におけるデジタル式運行記録計を含む業務用車載器のシステム構成図である。
【
図4】
図4は、本実施形態における本実施形態におけるナビゲーション装置のシステム構成図である。
【
図5】
図5は、本実施形態における取得する過去の車両走行データの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態における配送先店舗毎の車両走行データの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態における配送先プロファイル情報自動生成システムの処理フローチャートである。
【
図8】
図8は、本実施形態における配送先プロファイル情報自動生成システムの加工処理フローチャートである。
【
図9】
図9は、本実施形態における配送先プロファイル情報自動生成システムで作成された配送先プロファイル情報を業務用車載器に設定した一例を示す図である。
【
図10】
図10は、配送先の店舗毎の配送先プロファイル情報の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、本実施形態における音声ルート案内システムのフローチャートである。
【
図12】
図12(a)は、本実施形態における音声ルート案内の音声案内例を示す図である。
図12(b)は、本実施形態における音声ルート案内に対応した地図の例を示す図である。
図12(c)は、本実施形態における音声ルート案内に対応した地図の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を適用した実施形態における配送先プロファイル情報自動生成システム及び音声ルート案内システムの一例について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
<本実施形態:配送先プロファイル情報自動生成システム>
図1は本発明の原理的な説明をするための図であり、本発明で利用する車両走行データの概要を示している。
【0027】
図1に示すように、配送車両2に搭載され、運行記録計を含む業務用車載器1には、運行中の各種走行データが記録されている。例えば、GPSセンサからの緯度・経度データ、加速度センサからの前後・左右加速度データ、ジャイロセンサからの角速度データ、その他、速度・方向データなど、詳細な車両走行データを取得している。業務用車載器が通信機能付きのタイプの場合は、配送車両の走行中に無線通信回線(例えば、LTE通信回線)を介して即時にクラウド4(例えば、クラウドサーバやクラウドデータベース)上にデータをアップロードし、膨大なデータを蓄積している。カード型の業務用車載器の場合は、小形のメモリカード(例えば、SDカード)に記録された車両走行データを通信機器にセットし、クラウド4上にアップロードし、膨大な車両走行データを蓄積している。また、業務用車載器1と連動したドライブレコーダ3の対応機器では、静止画像データや動画像データも蓄積し、活用可能である。これらのクラウド4上に蓄積されたデータをCSV形式のデータ5として出力し、運転者の安全運転診断のデータ分析に活用している。
【0028】
本実施形態の配送先プロファイル情報自動生成システムは、配送車両に搭載され、運行記録計を含む業務用車載器に記録された、又は無線通信回線を介して前記業務用車載器からアップロードされデータベースに蓄積された過去の車両走行データを用いて、配送先毎に特有の申し送り事項を示す配送先プロファイル情報を配送先毎に自動生成する自動生成手段を有する構成としたものである。これにより、各店舗毎の申し送り事項を自動データベース化でき、紙ベースでの管理・入力作業の負担軽減を図れる。
【0029】
本実施形態における安全・運行管理システムは、例えば
図2に示すように、安全・運行管理システム100により構成される。デジタル式運行記録計を含む業務用車載器1は、例えばトラック等の配送車両2に搭載され、業務用車載器1に備わる通信モジュールにより、例えば無線通信回線(インターネット回線)6を介してサーバ7や運行管理、運転診断の管理や評価等を行う端末8に接続される。
【0030】
<デジタル式運行記録計を含む業務用車載器>
図3は、本実施形態におけるデジタル式運行記録計を含む業務用車載器のシステム構成図である。
【0031】
業務用車載器1は、
図3に示すように、入力部31と、通信部32と、GPS受信部33と、制御部34と、操作部35と、音声案内部36と、を有している。
【0032】
入力部31は、走行センサ9、ジャイロセンサ10、加速度センサ11、燃料センサ12に接続されている。走行センサ9は、車両が単位距離走行する毎に1パルスの走行パルスを入力部31に入力するセンサである。ジャイロセンサ10は、車両の方位データを入力部31に入力するセンサである。加速度センサ11は、車両の加速度データを入力部31に入力するセンサである。燃料センサ12は、車両の残燃料データを入力部31に入力するセンサである。
【0033】
通信部32は、無線通信回線(インターネット回線)6に無線接続するための回路やアンテナ等から構成されている。GPS受信部33は、公知の複数のGPS(Global Positioning System)衛星から発信される電波を受信して、現在位置を求め、求めた現在位置及び時刻をGPSデータとして制御部34に出力する。操作部35は、運転者の操作により、運転者の作業内容(荷積み、荷卸し、休憩など)を入力するためのものである。音声案内部36は音声アナウンスをするためのものである。
【0034】
制御部34は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリを備えたCPU(Central Processing Unit)で構成され、運行記録計1全体の制御を司る。
【0035】
<ナビゲーション装置>
図4は、本実施形態におけるナビゲーション装置のシステム構成図である。
ナビゲーション装置40は、サーバ7に対して目的地や経由地までの経路の提示要求を行い、提示要求に応じてサーバ7から送信された経路に従って案内を行う装置である。ナビゲーション装置40は、
図4に示すように、通信部41と、GPS受信部42と、操作部43と、表示部44と、制御部45と、を有している。通信部41、GPS受信部42は、上述した通信部32、GPS受信部33と同様であるためここでは詳細な説明を省略する。操作部43は、運転者により目的地などの入力操作やサーバ7から受信した経路の選択操作などが行われる。表示部44は、サーバ7から受信した経路などの各種情報が表示される。制御部35は、RAMやROMなどのメモリを備えたCPUで構成され、ナビゲーション装置40全体の制御を司る。
【0036】
<取得する過去の車両走行データ>
以下では、配送車両を利用してコンビニエンスストアやスーパーマーケットに商品を配送する例について説明する。
【0037】
図5は、本実施形態における取得する過去の車両走行データの一例を示す図である。
図5の例では、簡単のため、配送車両が3台の例で説明するが、配送車両はこれに限定されず、1台、2台の配送車両であっても、4台以上の多数の配送車両であっても、同様に本発明を適用できる。
【0038】
取得する過去の車両走行データは、少なくとも車両ID46と、配送先47と、配送者(運転者又はドライバー)48と、車両走行データ49とが関連付けられている。ここで、重要な点はベテラン配送員に注目して車両走行データを取得する点である。例えば、同じ店舗に複数の配送員が配送に関わった場合、そのうちベテラン配送者の車両走行データを利用する。ベテラン配送者が複数人存在する場合は、その中でも運転診断結果の点数が高い人を選択するなど、重み付けをしても良い。同じ店舗で、同じ配送者の名前に車両走行データが複数関連付けられているが、配送の曜日や時間帯によっても危険度が変動するため、配送先への配送曜日と配送時間を考慮して配送プロファイル情報を自動生成する。
【0039】
<店舗Aの車両走行データ>
図6は、業務用車載器50に記録された店舗Aの車両走行データのうち、日付データ51、時間データ52、緯度データ53、経度データ54、地図データ55、駐車時静止画データ56、方位データ57、ウインカー右データ58、ウインカー左データ59、イグニッションON/OFFデータ60、バック信号データ61、店舗A申し送り事項62を小型メモリカード(例えば、SDカード)63やUSBメモリ64にコピーして配送先プロファイル情報を自動生成プログラムにより自動生成する。
【0040】
<配送先プロファイル情報自動生成処理>
図7は、本実施形態における理配送先プロファイル情報自動生成処理を説明するためのフローチャートである。
まず、過去の車両走行データデータ取得ステップにより、業務用車載器に記録された又はクラウドのデータベースに蓄積されたデータをCSV形式データ出力として、
図5、
図6で説明したような車両走行データと各必要なデータを取得する(ステップ701)。ここで、店長のくせ(癖)に相当する申し送り事項の例としては、「専用駐車場があるのでお客様駐車場には駐車しないで!」、「専用駐車場では必ず後ろ向き駐車で!」、「搬入口はここからで、搬出口はここから出て!」、「この時間帯は食品搬入だから、日用品は午後搬入にして!」等が挙げられる。
【0041】
次に、加工処理ステップの処理を実行し、配送先の所望のプロファイル情報を目的とするプロファイル情報を自動で生成する自動生成プログラムを用いて自動データベース化を行う(ステップ702)。
【0042】
具体的には、
図8に加工処理フローの詳細フローチャートを示す。以下、
図8のフローチャートを用いて加工処理による配送先プロファイル情報の自動生成について説明する。以下の各処理ステップは、配送先プロファイル情報の自動生成手段(自動生成プログラム)に相当する。必要なプロファイル情報に応じて自動生成プログラムを作成する。例えば、駐車禁止プロファイルデータ、配送車両のバック診断推定プロファイルデータ、誤配送抑制推定プロファイルデータなどの推定プロファイルデータ生成も同様に自動生成プログラムを作成して行う。
【0043】
まず、
図6の車両走行データのうち、店舗毎の申し送り事項の有無を確認し、搬入口入り口付近のイベントとそのイベント発生時の状態を収集する搬入口推定プロファイルデータ生成ステップを実行することにより、搬入口推定プロファイルデータが自動生成される。
【0044】
次に、
図6の車両走行データのうち、店舗毎の申し送り事項の有無を確認し、駐車位置のイベントとそのイベント発生時の状態を収集する駐車位置推定プロファイルデータ生成ステップを実行することにより、駐車位置推定プロファイルデータが自動生成される。
【0045】
次に、
図6の車両走行データのうち、店舗毎の申し送り事項の有無を確認し、駐車向き変更のイベントとそのイベント発生時の状態を収集する駐車向き推定プロファイルデータ生成ステップを実行することにより、駐車向き推定プロファイルデータが自動生成される。
【0046】
次に、
図6の車両走行データのうち、店舗毎の申し送り事項の有無を確認し、大型店舗の場合、搬入口から駐車場所までの距離があるので、走行ルートのイベントとそのイベント発生時の状態を収集する駐車向き推定プロファイルデータ生成ステップを実行することにより、搬入口から駐車場所までの走行ルート推定プロファイルデータが自動生成される。
【0047】
図8以外の駐車禁止プロファイルデータ、配送車両のバック診断推定プロファイルデータ、誤配送抑制推定プロファイルデータなどが挙げられる。これらのプロファイルデータについても、自動生成プログラムを実行することより、自動生成される。
【0048】
加工処理ステップ702の実行により配送先毎の申し送り事項を示す配送先プロファイル情報を自動作成できる。ドライブレコーダ一体型のデジタル式運行記録計を含む業務用機器を使用する場合は、車両周辺の静止画像や動画像を利用できるので、ルート案内をより細かくできる。
【0049】
次に、業務用車載器設定処理ステップにより、作成された申し送り事項を示す配送先プロファイル情報を
図9、
図10に示すように、業務用車載器に設定(保存)することにより、音声案内ルートナビができる。
【0050】
<音声ルート案内システム>
以下では、本実施形態の音声ルート案内システムによる音声ルート案内フローについて説明する。ここでは、例えば、配送先の店舗を知らない新人配送員が商品を荷積みして配送車両を運転し、配送先の店舗に近づいた場合、配送先○○m以内に接近したか?を判定する判定ステップを実行する(ステップ1101)。ここで、例えば、配送先200m以内に接近したか否かを判定する。この距離については、配送車両の速度や該当道路の混雑具合によって適宜変更しても良い。例えば、50m、100mなど。道路の制限速度を考慮して決めても良い。
【0051】
業務用車載器に設定した配送先プロファイル情報を用いて、音声ルート案内開始ステップを実行する(ステップ1102)。
【0052】
次に、配送先プロファイル情報読出ステップを実行する(ステップ1103)。ここで、業務用車載器の音声案内部36より下記の音声アナウンスを行う。例えば、
図12(a)に示すように、「○m先左折し配達専用出入口から進入してください。「荷卸し場所の専用駐車場にバックで駐車してください」、「進入後左折し、専用駐車場にバックで駐車してください。」などの音声案内が流れる。この音声案内は、業務用車載器が音声出力対応の場合、音声案内が流れる。カーナビと連動している場合は、そのときの矢印や画像で新人配送員を補助しても良い。
【0053】
図12(b)に示す搬入口推定の地図や、
図12(c)に示す走行ルート推定、駐車位置推定、駐車位置推定の地図をカーナビの表示部に表示して案内しても良い。
【0054】
次に、バック診断推定プロファイルデータの生成について説明する。業務用車載器にバック診断機能が追加されている場合は、バック時の時刻、場所、平均速度、最高速度、距離を記録している。バック時に3秒以上停止(後方確認)したかを○×で判定する。バック帳票や運輸日報で確認できる。このバック診断機能のバック信号を抽出して、バック診断推定プロファイルデータを自動生成する。これにより、バック事故や、構内事故を削減することができる。
【0055】
誤配送抑制推定プロファイルデータの生成について説明する。配送先での停止時にその配送先の店舗の名前を音声案内部から音声アナウンスすることにより、誤配送抑制につながると考える。従って、誤配送抑制推定プロファイルデータとしては、店舗の名前を自動生成して誤配送抑制推定プロファイルデータを得ることができる。この時、配送物の商品名や過去の誤配送データも誤配送抑制推定プロファイルデータに含めてサービスを向上することもできる。
【0056】
このように、本実施形態によれば、配送先プロファイルの自動データベース化から、搬入口・駐車場所・駐車向きの音声案内まで一貫提供できるので、配送先からのクレームを減少することができ、ドライバーの負担、構内事故・トラブルの低減につながる効果を奏する。また、申し送り事項のデータベース化を行うことにより、紙ベースでの管理・入力作業の負担低減することができる。さらに、新人ドライバーへの指導へ活用することができミス・トラブル低減を図ることができる。
【0057】
上記実施形態以外の音声ルート案内としては、(1)過去データを参考に店の駐車状況も判断して案内する、(2)急な配送変更メールに対応するため、2~3分毎にメールチェックする、(3)運行計画に変更が生じた場合、瞬時に反映するシステム、(4)ベテランドライバーの経験則を加味し機能アップする、(5)配送ルートに特化した法令違反への注意喚起するように構成しても良い。実証実験では、パラメータ例として、搬入口までの距離(200m)の自動生成プログラムを開発したが、配送車両の速度に応じて、50mや100mなど、各種設定を変更しても良い。また、配送ルートシステムとの連携や、次の配送先案内をすることにより、誤配送の抑制を行うように構成しても良い。走りやすいルートや危険の少ないルートナビを併用するように構成しても良い。
【0058】
<実証実験結果>
ドライバーと配送先双方の課題を解決するために、デジタル式運行記録計から取得された過去の車両走行データを活用して、店舗毎のプロファイル情報を自動生成するプログラムを構築し、そのプログラムをデジタル式運行記録計に実装して配送先に近づいた際にデジタル式運行記録計の音声案内でドライバーに注意喚起する機能を開発した。また、プログラムが組み込まれたデジタル式運行記録計を実際に試験車両に搭載して複数の配送先へ走行し、サービスの有効性を検証した。
【0059】
検証の結果、配送先プロファイル情報を配送先に到着する直前にドライバーへ知らせることができ、ドライバーの負担を軽減する効果が見込まれた。
【符号の説明】
【0060】
1 業務用車載器(デジタル式運行記録計)
2 配送車両
3 ドライブレコーダ
4 クラウド(クラウドデータベース又はクラウドサーバ)
5 CSVデータ
6 無線通信回線(インターネット回線)
7 サーバ
8 端末
9 走行センサ
10 ジャイロセンサ
11 加速度センサ
12 燃料センサ
31 入力部
32 通信部
33 GPS受信部
34 制御部
35 操作部
36 音声案内部
40 ナビゲーション装置
41 通信部
42 GPS受信部
43 操作部
44 表示部
46 車両ID
47 配送先
48 配送者(運転者)
49 車両走行データ
50 店舗Aの車両走行データ
51 日付データ
52 時間データ
53 緯度データ
54 経度データ
55 地図データ
56 駐車時静止画データ
57 方位データ
58 ウインカー右データ
59 ウインカー左データ
60 イグニッションON/OFFデータ
61 バック信号データ
62 店舗A申し送り事項
63 小型メモリカード
64 USBメモリ
65 業務用車載器
66 配送先プロファイル情報(店舗A)
67 配送先プロファイル情報(店舗B)
68 配送先プロファイル情報(店舗C)
69 配送先プロファイル情報(店舗n)
701 過去の車両走行データ取得ステップ
702 加工処理ステップ
703 業務用車載器設定処理ステップ
801 搬入口推定プロファイルデータ生成ステップ
802 駐車位置推定プロファイルデータ生成ステップ
803 駐車向き推定プロファイルデータ生成ステップ
804 走行ルート推定プロファイルデータ生成ステップ
1101 配送先○○m以内に接近したか?
1102 音声ルート案内開始ステップ
1103 配送先プロファイル情報読出ステップ
1104 音声ルート案内処理ステップ
1105 音声ルート案内終了ステップ