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特開2024-104170情報処理システム、情報処理システムの情報処理方法、制御プログラム、および記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104170
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理システムの情報処理方法、制御プログラム、および記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G16H 80/00 20180101AFI20240726BHJP
【FI】
G16H80/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008263
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】立花 緋理
(72)【発明者】
【氏名】長坂 優志
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
5L099AA21
(57)【要約】
【課題】指示者から受けた指示の意図を対象者に理解させて、対象者が指示者からの指示に忠実に従うように促す。
【解決手段】情報処理システム(100)は、指示者から複数の対象者の各々に与えられた指示および指示の意図の少なくとも一方を説明するための説明情報であって、前記対象者の各々に既に提示された前記説明情報を各対象者と対応付けて管理する情報管理部(211)と、前記対象者の各々から閲覧要求を受け付けた場合、該閲覧要求の送信元である対象者に、該対象者に対応付けられた前記説明情報を閲覧させる閲覧制御部(212)と、を備え、前記説明情報は、前記対象者の各々に固有の情報を含む固有コンテンツと、含まない一般コンテンツとを含む。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指示者から複数の対象者の各々に与えられた指示および指示の意図の少なくとも一方を説明するための説明情報であって、前記対象者の各々に既に提示された前記説明情報を各対象者と対応付けて管理する情報管理部と、
前記対象者の各々から閲覧要求を受け付けた場合、該閲覧要求の送信元である対象者に、該対象者に対応付けられた前記説明情報を閲覧させる閲覧制御部と、
を備え、
前記説明情報は、前記対象者の各々に固有の情報を含む固有コンテンツと、含まない一般コンテンツとを含む、
情報処理システム。
【請求項2】
前記閲覧制御部は、
前記閲覧要求の送信元である対象者による許可が得られている場合、前記一般コンテンツおよび前記固有コンテンツを含む前記説明情報を該対象者に閲覧させ、
前記閲覧要求の送信元である対象者による許可が得られていない場合、前記一般コンテンツのみを含む前記説明情報を該対象者に閲覧させる、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記指示は、前記指示者から前記説明情報を提示された前記対象者に、所定の行動を継続させるための指示である、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記説明情報は、複数のコンテンツを含み、
前記対象者から前記複数のコンテンツの少なくともいずれかの開示を要求する開示要求を受け付けた場合、前記指示者が、該開示要求が示すコンテンツを開示可能か否かについて確認する開示確認部をさらに備える、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記指示者は医療関係者または医療機関であり、
前記対象者は、前記医療関係者による診察を受けた、または前記医療機関において診察を受けた患者である、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記閲覧制御部は、
前記閲覧要求の送信元である対象者による許可が得られている場合、該対象者によって前記説明情報に対して追加された対象者情報を含む前記説明情報を前記指示者が閲覧可能とする、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記固有コンテンツおよび前記対象者情報に基づいて、前記指示者から該対象者に与えられた指示の効果を確認するために設定されているスケジュールを変更するスケジュール変更部と、
前記スケジュールの変更を前記対象者に通知する通知部と、をさらに備える、
請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
指示者から複数の対象者の各々に与えられた指示および指示の意図の少なくとも一方を説明するための説明情報であって、前記対象者の各々に既に提示された前記説明情報を各対象者と対応付けて管理する情報管理ステップと、
前記対象者の各々から閲覧要求を受け付ける閲覧要求受付ステップと、
前記閲覧要求の送信元である対象者に、該対象者に対応付けられた前記説明情報を閲覧させる閲覧制御ステップと、
を含み、
前記説明情報は、前記対象者の各々に固有の情報を含む固有コンテンツと、含まない一般コンテンツとを含む、情報処理システムの情報処理方法。
【請求項9】
請求項1に記載の情報処理システムとしてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、上記情報管理部および前記閲覧制御部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対象者が指示者からの指示に従うように促すことが可能な情報処理システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、患者の各々が保有するスマートフォンのRFID通信機能を用いて、医療関係機関から患者毎の医療情報を受信可能な医療情報管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-050823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
指示者から対象者に指示を与える場合、指示者は対象者に対して当該指示の意図を説明して、対象者が指示に従うように促す。しかし、指示者の意図についての説明を対象者が容易に理解できるとは限らない。指示者の意図を対象者がよく理解できていない場合、指示者からの指示に対象者が従わない可能性がある。
【0005】
例えば、対象者が患者であり、指示者がその患者を診察した医師である場合、医師は患者に対して診察結果および医学的介入計画の意図を説明した上で、服薬および行動変容等を患者に指示する。しかし、診察結果および医学的介入の意図の説明内容を理解するためには、予備知識が必要であったり、専門用語の意味を理解する必要があったりする。それゆえ、医師から説明された内容を、患者がその場で理解することは必ずしも容易ではない。また、診察結果および医学的介入の意図を一度は理解した患者であっても、後日になると忘れてしまっている可能性がある。そのような場合、医師からの指示に患者が忠実に従わない可能性がある。
【0006】
本開示の一態様は、指示者から受けた指示の意図を対象者に理解させて、対象者が指示者からの指示に忠実に従うように促すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る情報処理システムは、指示者から複数の対象者の各々に与えられた指示および指示の意図の少なくとも一方を説明するための説明情報であって、前記対象者の各々に既に提示された前記説明情報を各対象者と対応付けて管理する情報管理部と、前記対象者の各々から閲覧要求を受け付けた場合、該閲覧要求の送信元である対象者に、該対象者に対応付けられた前記説明情報を閲覧させる閲覧制御部と、を備え、前記説明情報は、前記対象者の各々に固有の情報を含む固有コンテンツと、含まない一般コンテンツとを含む。
【0008】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る情報処理システムの情報処理方法は、指示者から複数の対象者の各々に与えられた指示および指示の意図の少なくとも一方を説明するための説明情報であって、前記対象者の各々に既に提示された前記説明情報を各対象者と対応付けて管理する情報管理ステップと、前記対象者の各々から閲覧要求を受け付ける閲覧要求受付ステップと、前記閲覧要求の送信元である対象者に、該対象者に対応付けられた前記説明情報を閲覧させる閲覧制御ステップと、を含み、前記説明情報は、前記対象者の各々に固有の情報を含む固有コンテンツと、含まない一般コンテンツとを含む。
【0009】
本開示の各態様に係る情報処理システムは、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記情報処理システムが備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記情報処理システムをコンピュータにて実現させる情報処理システムの制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本開示の範疇に入る。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一態様によれば、指示者から受けた指示の意図を対象者に理解させて、対象者が指示者からの指示に忠実に従うように促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】情報処理システムの概要を説明するための概念図である。
図2】説明情報を表示する画面の一例を示す図である。
図3】一般コンテンツの例を示す図である。
図4】一般コンテンツの例を示す図である。
図5】固有コンテンツの例を説明する図である。
図6】スケジュール情報の例を示す図である。
図7】一実施形態に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図8】入力装置において表示される画面の一例を示す図である。
図9】スケジュール情報を設定するための画面を示す図である。
図10】端末装置の表示部において表示される画面の一例を示す図である。
図11】閲覧要求を行うことで端末装置に表示される説明情報を示す図である。
図12】固有コンテンツの閲覧が許可された場合に端末装置3に表示される説明情報を示す図である。
図13】情報処理システムで行われる処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図14】一実施形態に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図15】端末装置に表示される画面の一例を示す図である。
図16】スケジュールの変更を促す情報を受信した場合に端末装置に表示される画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔実施形態1〕
<情報処理システムの概要>
以下、本開示の一実施形態について、説明する。まず、本開示の情報処理システムの概要について図1を用いて説明する。図1は、情報処理システム100の概要を説明するための概念図である。
【0013】
本実施形態に係る情報処理システム100は、指示者から複数の対象者の各々に与えられた指示の意図を説明するための説明情報であって、対象者の各々に既に提示された説明情報を各対象者と対応付けて管理し、対象者の各々から閲覧要求を受け付けた場合、該閲覧要求の送信元である対象者に、該対象者に対応付けられた説明情報を閲覧させる。また、説明情報は、対象者の各々に固有の情報を含む固有コンテンツと、含まない一般コンテンツとを含む。
【0014】
情報処理システム100は、指示者が対象者に行った説明および指示の意図を示す説明情報を管理装置2に記憶させ、対象者が当該説明情報を、後からでも閲覧可能とするシステムである。一例として、指示者は医療関係者または医療機関であり、対象者は、医療関係者による診察を受けた、または医療機関において診察を受けた患者である。以下の説明では、指示者が医療関係者または医療機関であり、対象者が患者である場合を例に挙げて説明する。また、以下の説明では、医療関係者および医療機関を「医療者」と総称する。
【0015】
情報処理システム100は、外来時に医療者が患者に行った診療説明に関する説明情報(治療方針、疾病情報、治療内容、処方薬の情報、次回来院の情報、次回来院までに行ってほしいこと、および気をつけること等)を管理装置2に記憶させ、患者が後から診療説明に関する情報を閲覧することを可能とするシステムである。また、情報処理システム100は、患者によって入力された、来院と次の来院の間における自身の状態を示す対象者情報を、医療者に閲覧させることを可能とする。
【0016】
これにより、情報処理システム100を利用する患者は、診察時に医療者から提示された情報を、後からでも確認することができる。また、情報処理システム100を利用する医療者も、患者の治療ゴールの設定、症状の確認、(他院含む)服薬状況など一回の対話では拾いきれない患者側からの情報、および来院と次回の来院までの間における患者の状況を把握することができる。
【0017】
<説明情報>
まず、情報処理システム100において用いられる「説明情報」について説明する。説明情報とは、医療者が患者に対して行った説明の内容、患者に与えられた指示、および指示の意図を説明する情報である。指示とは、指示者から説明情報を提示された対象者に、所定の行動を継続させるための指示であり、例えば、継続すべき運動および服薬等の指示である。
【0018】
図2は、説明情報を表示する画面の一例を示す図である。図2に示すように、説明情報は複数のコンテンツを含む。説明情報は、対象者の各々に固有の情報を含む固有コンテンツと、含まない一般コンテンツとを含む。また、固有コンテンツは、患者を識別可能な識別情報(ID)を付されている。また、説明情報に含まれる各情報は、開示可能か否かを示す情報が対応付けられていてもよい。各情報の開示可否は、医療者によって適宜設定されてよい。
【0019】
一般コンテンツとは、患者(対象者)の各々に固有の情報を含まない情報である。例えば、一般コンテンツは、以下のような情報であるが、これらに限られない。
・患者に対して診断された疾患の一般的な説明。
・疾患の一般的な原因。
・疾患の治療に関するコンテンツ(自宅でリハビリするためのストレッチの説明、動画など)。
・同じ疾患に罹った人の体験記等のコラム。
【0020】
図3および図4は、一般コンテンツの例を示す図である。一例として、患者が変形性膝関節症と診断された場合、一般コンテンツは、図3に示すような変形性膝関節症の症状の段階を示す画像、または図4に示すような、自宅で行うべき運動を説明する画像であってよい。
【0021】
固有コンテンツとは、患者(対象者)の各々に固有の情報を含む情報である。例えば、固有コンテンツは、以下のような情報であるが、これらに限られない。
・診断病名。
・検査値。
・実施する予定の(または、既に実施した)治療内容。
・現病名。
・主訴。
・所見。
・医療機器の測定値(血圧、血糖値、関節可動域、およびKAM値など)。
・X線像、CT画像もしくはCTデータ、またはMRI等の画像情報。
【0022】
図5は、固有コンテンツの例を説明する図である。例えば、患者が変形性膝関節症と診断された場合、固有コンテンツは、図5に示すような、患部を示す画像および症状の段階等の所見を説明する文章であってもよい。図3に示すような一般コンテンツである情報に対して、医療者等が患者にあわせた図5に示すような説明を追加した場合、当該情報は固有コンテンツとなる。
【0023】
図6は、スケジュール情報の例を示す図である。固有コンテンツには、スケジュール情報が含まれていてもよい。図6に示すように、スケジュール情報とは、次回来院予定および今後の施術予定等を含む治療プランを示す情報である。
【0024】
また、説明情報は、当該説明情報に対して追加された情報である対象者情報を含んでいてもよい。対象者情報は、1回の来院と次の来院との間における患者の状態を示す情報であってよい。例えば、対象者情報は、痛み、不安、運動記録、歩行関連情報(歩数、歩行速度、階段昇降等の情報、活動エリア、立位時間など)、血圧計等の医療機器測定値、ウェアラブルデバイス測定値、食事記録、睡眠記録などであってもよい。
【0025】
<情報処理システム100の構成>
以下、情報処理システム100の構成について図7を用いて説明する。図7は、本実施形態に係る情報処理システム100の構成を示すブロック図である。図7に示すように、情報処理システム100は、入力装置1、管理装置2、および端末装置3を備える。以下の説明では、情報処理システム100が入力装置1、管理装置2および端末装置3をそれぞれ1つずつ備える構成を例に挙げて説明するが、情報処理システム100の構成はこれに限られない。例えば、情報処理システム100は、複数の医療機関においてそれぞれ使用される複数の入力装置1を備えていてもよい。また、情報処理システム100は、複数の患者がそれぞれ所持する複数の端末装置3を備えていてもよい。
【0026】
<入力装置1>
入力装置1は、診断結果等、患者に対して当該患者に合わせた説明情報を表示し、当該説明を管理装置2に送信する。一例として、入力装置1は、医療者が患者に説明を行うときに用いるパソコン等の装置である。図7に示すように、入力装置1は通信部11、入力部12、制御部13、および表示部14を備える。入力装置1は、管理装置2と一体の装置であってもよい。
【0027】
通信部11は、管理装置2と通信を行うための通信モジュールである。入力部12は、例えばキーボードまたはタッチパネル等であり、医師からの入力を受け付ける。表示部14は、例えば画像を表示可能なディスプレイであり、制御部13の制御に従い説明情報を表示する。
【0028】
制御部13は、入力装置1において行われる各処理を実行する。また、制御部13は、入力部12への入力に従い、患者に対して与えられた指示の意図を説明する説明情報を表示部14に表示させる。
【0029】
制御部13は、入力部12への入力に基づき、一般コンテンツおよび固有コンテンツを表示部14に表示させる。また、制御部13は、医療者が入力部12を用いてコメントまたは図を入力した場合、当該入力に応じた情報を表示部14に表示させる。医療者は、入力部12へ入力を行うことで、表示させる一般コンテンツおよび固有コンテンツを選択および加工することができる。
【0030】
制御部13は、入力部12への入力に応じて、一般コンテンツおよび固有コンテンツを示す画像を表示部14に表示させ、医療者は当該画像を用いて患者への指示を行う。表示部14に表示される一般コンテンツは、図3および図4に示すような、疾患を説明する画像、患者が行うべき運動等を説明する画像、または動画などであってよい。一般コンテンツとして表示され得る情報は、予め入力装置1に記憶されていてもよいし管理装置2に記憶されていてもよいし他の装置に記憶されていてもよい。入力装置1以外の装置にこれらの情報が記憶されている場合、入力装置1の制御部13は、医療者の入力部12への操作に基づき、指定された一般コンテンツ等の情報を、通信部11を介して受信する。
【0031】
図8は、入力装置1において表示される画面の一例を示す図である。図8に示すように、制御部13は、入力部12への入力に応じて、固有コンテンツを示す画像を表示部14に表示させ、医療者は当該画像を用いて患者への説明および指示を行う。その他、固有コンテンツは、図5に示すような、一般コンテンツに対してコメント等を付加させた画像等であってよい。
【0032】
また、制御部13は、患者への説明に用いた一般コンテンツおよび固有コンテンツを含む説明情報を、患者を特定可能な識別情報(ID)と対応付けて管理装置2に送信する。制御部13は、患者の説明情報を特定可能なIDを表示部14に表示させてもよい。制御部13は、説明情報に含まれるコンテンツの各々に、当該コンテンツが一般コンテンツであるか固有コンテンツであるかを示す情報を対応付けて管理装置2に送信する。
【0033】
入力装置1は、さらに別の外部装置と通信を行ってもよい。制御部13は、外部装置から患者に関する情報を取得し、管理装置2に送信してもよい。例えば、患者の患部のX線写真、概観の画像等の医療画像を取得して表示部14に表示させ、当該医療画像を固有コンテンツとして管理装置2に送信してもよい。
【0034】
その他、制御部13は、患者の今後のスケジュールを示すスケジュール情報を決定し、表示部14に表示させてもよい。図9は、スケジュール情報を設定するための画面を示す図である。図9に示すように、制御部13は、疾患および治療方針を選択可能な画面を表示部14に表示させる。医療者は、入力部12を用いて疾患および治療方針の選択、並びに日程および治療計画の変更を行うことができる。制御部13は、選択された疾患および治療方針に基づき、来院のタイミングおよび施術の予定等を含む治療プランを決定し、決定した治療プランを示す画像、例えば図6に示すような画像を表示部14に表示させる。
【0035】
また、制御部13は、医療者による入力部12への入力に応じて、決定した治療プランを変更し、変更後の治療プランを表示させてもよい。これにより、医療者は、疾患および治療方針を選択するだけで基本的な治療プランを確認し、患者と相談しながら当該治療プランを調整することができる。制御部13は、最終的に治療プランが確定されると、当該治療プランを表示部14に表示させる。
【0036】
<管理装置2>
管理装置2は、入力装置1および端末装置3を用いて入力された説明情報と患者とを対応付けて記憶および管理する装置である。管理装置2は、端末装置3からの要求に応じて患者に説明情報を閲覧させることが可能である。管理装置2は、患者による許可が得られていない場合には一般コンテンツのみを、許可が得られている場合には、一般コンテンツに加えて固有コンテンツを当該患者に閲覧させることができる。
【0037】
図7に示すように、管理装置2は、制御部21、通信部22、および記憶部23を備える。記憶部23は、管理装置2において用いられる各種情報を記憶している。具体的には、記憶部23は、少なくとも患者毎の説明情報を記憶している。図7に示すように、記憶部23は、一般コンテンツ232、固有コンテンツ233、対象者情報234、およびスケジュール情報235を含む説明情報231を記憶している。また、記憶部23は、患者の説明情報に含まれる一般コンテンツとして記憶され得る情報を全て記憶していてもよい。通信部22は、管理装置2が情報処理システム100の他の装置と通信を行うための通信モジュールである。管理装置2は、通信部22を介してさらに他の装置と通信可能であってもよい。情報処理システム100が複数の入力装置1を備える場合、管理装置2は複数のクリニックおよび病院等においてそれぞれ用いられる複数の入力装置1それぞれと通信可能であってよい。この場合、管理装置2は、複数の入力装置1のそれぞれから患者に関する説明情報を取得する。これにより、管理装置2は、1人の患者に対して、複数のクリニックおよび病院等における該患者に関する情報を集約して管理することが可能である。
【0038】
制御部21は、管理装置2において行われる各処理を実行する。図7に示すように、管理装置2の制御部21は、情報管理部211、閲覧制御部212および開示確認部213を備える。
【0039】
情報管理部211は、指示者から複数の対象者の各々に与えられた指示および指示の意図の少なくとも一方を説明するための説明情報であって、対象者の各々に既に提示された説明情報を各対象者と対応付けて管理する。
【0040】
情報管理部211は、通信部22を介して入力装置1と通信を行い、管理装置2から患者を示す識別情報と当該患者の説明情報とを受信する。情報管理部211は、受信した説明情報を患者ごとに対応付けて記憶部23に記憶させる。情報管理部211が受信する説明情報には、一般コンテンツおよび固有コンテンツが含まれる。また、情報管理部211は、端末装置3から対象者情報を受信した場合、受信した対象者情報に基づき、当該端末装置3を操作する患者の説明情報を更新する。
【0041】
閲覧制御部212は、患者の各々から閲覧要求を受け付けた場合、該閲覧要求の送信元である患者に、該患者に対応付けられた説明情報を閲覧させる。患者によって端末装置3にIDが入力されるなどすると、端末装置3から管理装置2に閲覧要求およびIDを送信される。これにより、閲覧制御部212は、端末装置3から閲覧要求を受信する。
【0042】
閲覧制御部212は、閲覧要求を受信すると、閲覧要求と共に受信したIDに基づき、当該閲覧要求を送信した端末装置3を操作する患者を特定する。閲覧制御部212は、患者を特定すると、当該患者の説明情報を取得し、通信部22を介して端末装置3に当該患者の説明情報のうち一般コンテンツを送信する。または、閲覧制御部212は、閲覧要求を行った対象者に対応付けられた説明情報に含まれる一般コンテンツを閲覧可能な患者用Webサイトを生成し、当該Webサイトにアクセス可能なQRコード(登録商標)またはURL等を送信してもよい。当該Webサイトは、生成されてから所定の期間が経過した後、例えば2週間後に削除されてもよい。または、当該Webサイトは、患者の次回の来院前後まで保持され、次回来院の前日、当日、または来院後に削除されてもよい。生成されたWebサイトが所定の条件で削除されることにより、膨大な数のWebサイトを保持する必要がなくなる。
【0043】
また、閲覧制御部212は、端末装置3から、患者による固有コンテンツの表示を許可する旨の通知である許可通知を受信し得る。
【0044】
閲覧要求の送信元である対象者による許可が得られていない場合(許可通知を受信していない場合)、閲覧制御部212は、一般コンテンツのみを含む説明情報を該対象者に閲覧させる。具体的には、閲覧制御部212は、閲覧要求を受信した後、許可通知を受信していない場合、患者の説明情報のうち、一般コンテンツのみを含むWebサイトを生成し、当該Webサイトにアクセス可能なURLを端末装置3に送信する。これにより、患者は端末装置3を用いて、医療者から提示された一般コンテンツを閲覧することができる。
【0045】
一方、閲覧要求の送信元である対象者による許可が得られている場合(許可通知を受信した場合)、閲覧制御部212は、一般コンテンツおよび固有コンテンツを含む説明情報を該対象者に閲覧させる。具体的には、閲覧制御部212は、閲覧要求を受信した後、許可通知を受信した場合、一般コンテンツのみを含むWebサイトに、追加で患者の固有コンテンツを表示させる。これにより、患者は端末装置3を用いて、一般コンテンツに加えて、医療者から提示された固有コンテンツを閲覧することができる。
【0046】
さらに、閲覧要求の送信元である患者による許可が得られている場合、閲覧制御部212は、該患者によって説明情報に対して追加された対象者情報を含む説明情報を医療者が閲覧可能とする。具体的には、閲覧制御部212は、医療者による患者の対象者情報の閲覧を許可する旨の情報を端末装置3から受信すると、当該対象者情報を閲覧可能な状態とする。これにより、医療者は、入力装置1等の装置を用いて患者の対象者情報を閲覧することができる。
【0047】
開示確認部213は、対象者から複数のコンテンツの少なくともいずれかの開示を要求する開示要求を受け付けた場合、指示者が、該開示要求が示すコンテンツを開示可能か否かについて確認する。具体的には、開示確認部213は、端末装置3から開示要求および開示を要求するコンテンツを指定する情報を受信すると、記憶部23を参照し、端末装置3を操作する患者の説明情報を特定する。開示確認部213は、説明情報に含まれるコンテンツのうち、開示を要求されたコンテンツの開示可否を確認し、結果を端末装置3に送信する。また、開示確認部213は、開示を要求されたコンテンツのうち、開示可能なコンテンツを閲覧可能な形式で端末装置3に送信してもよい。
【0048】
<端末装置3>
端末装置3は、患者の操作に応じて管理装置2に閲覧要求を送信し、当該患者に説明情報を閲覧させる装置である。また、端末装置3は、固有コンテンツの閲覧を許可する許可通知を管理装置2に送信する。また、端末装置3は、患者によって入力された対象者情報を管理装置2に送信する。端末装置3は、例えば患者が用いるスマートフォンまたはパソコン等の情報処理装置である。
【0049】
図7に示すように、端末装置3は、通信部31、入力部32、制御部33および表示部34を備える。通信部31は、管理装置2と通信を行うための通信モジュールである。入力部32は、例えばキーボードまたはタッチパネル等であり、医師からの入力を受け付ける。表示部34は、例えば画像を表示可能なディスプレイであり、制御部33の制御に従い説明情報を表示する。
【0050】
制御部33は、入力装置1において行われる各処理を実行する。制御部33は、患者の説明情報の閲覧を要求する閲覧要求を管理装置2に送信し、説明情報を患者に閲覧可能な状態とする。
【0051】
図10は、端末装置3の表示部34において表示される画面の一例を示す図である。制御部33は、患者の入力部32への操作に基づき、診断の振り返りを行うことが可能なアプリケーションを起動し、説明情報の閲覧要求の送信を促す画面を表示させる。具体的には、制御部33は、図10に示すような画面を表示させる。
【0052】
図10に示すように、当該画面には、患者が診断を振り返ることを要求するためのGUIが表示される。図10には、「診断を振り返る」(図中の符号A)、「やらないでほしいいこと」、および「やってほしいこと」という3つのGUIが表示される例を示している。患者によって「やらないでほしいいこと」というGUIが選択された場合、診断に関連して、患者がすべきではない行動および運動に関する情報が表示される。患者によって「やってほしいこと」というGUIが選択された場合、診断に関連して、患者がすべき行動および運動に関する情報が表示される。
【0053】
「診断を振り返る」(図中の符号A)が選択されると、制御部33は、図10に示すように、患者の説明情報を特定するためのIDを要求するメッセージを表示する。患者によって、入力部32に患者の対応情報ごとに付されたIDが入力されると、制御部33は閲覧要求およびIDを管理装置2に送信する。図10には、患者によって「A85jp」というIDが入力された場合が示されている。
【0054】
制御部33は、管理装置2から、IDによって特定された患者の説明情報を閲覧可能なWebサイトにアクセスするためのアクセス情報を受信し、当該Webサイトにアクセスし、当該Webサイトを表示部34に表示させることで説明情報を患者に閲覧させる。ここで、アクセス情報は、例えば、図10に示すようなURL情報「https://ww──」であってもよい。制御部33は、管理装置2から説明情報を直接受信し、表示部34に表示させてもよい。
【0055】
また、図10に示すように、端末装置3の画面には、患者が対象者情報を入力し、自身の状態を医療者に伝えるためのGUIが表示される。図10には、「痛み・しびれを伝える」、「自主トレを報告する」、および「相談したいことをメモ」という3つのGUIが表示される例を示している。患者によって「痛み・しびれを伝える」というGUIが選択された場合、診察後に患者が感じた痛み・しびれを報告するためのGUIが表示され、患者による痛み・しびれに関する対象者情報の入力を受け付ける。患者によって「自主トレを報告する」というGUIが選択された場合、診察後に患者が行った自主トレーニングを報告するためのGUIが表示され、患者が行った自主トレーニングに関する対象者情報の入力を受け付ける。患者によって「相談したいことをメモ」というGUIが選択された場合、診察後に患者が思いついた医療者に相談したいことを報告するためのGUIが表示され、患者の相談事項に関する対象者情報の入力を受け付ける。
【0056】
図11は、閲覧要求を行うことで端末装置3に表示される説明情報を示す図である。図11に示すように、制御部33は、説明情報のうち一般コンテンツのみを患者に閲覧させることができる。
【0057】
ここで、制御部33は、患者の操作に基づき固有コンテンツの閲覧を許可することができる。例えば、制御部33は、図11に示すような一般コンテンツを表示している間、表示部34に固有コンテンツの表示を許可する旨のボタン(符号B)を表示させる。入力部32への操作により当該ボタンが押下されると、患者が説明情報のうち固有コンテンツの閲覧を許可したとみなし、許可通知を管理装置2に送信する。
【0058】
固有コンテンツの閲覧が許可されると、管理装置2の閲覧制御部212は患者が固有コンテンツを閲覧可能となるように制御を行う。例えば、端末装置3が表示しているWebサイトに追加で固有コンテンツを表示可能とする。図12は、固有コンテンツの閲覧が許可された場合に端末装置3に表示される説明情報を示す図である。図12に示すように、患者によって固有コンテンツの閲覧が許可された場合、制御部33は、一般コンテンツに加えて固有コンテンツを表示部34に表示させることが可能となる。以上のようにして、患者は端末装置3を用いて一般コンテンツおよび固有コンテンツを閲覧することができる。
【0059】
また、端末装置3は、患者の操作に基づき、説明情報に対して対象者情報を追加することができる制御部33は、対象者情報を入力する旨の選択肢を表示部34に表示させる。患者によって当該選択肢が選択されると、制御部33は、対象者情報を入力可能な画面を表示する。患者は入力部32に対して操作を行うことで、対象者情報を入力することができる。制御部33は、入力された対象者情報を管理装置2に送信する。
【0060】
また、患者が入力部32に対して対象者情報の閲覧を許可する旨の操作を行うと、制御部33は当該患者の対象者の閲覧を許可することを示す情報を管理装置2に送信する。これにより、医療者が入力装置1等を用いて対象者情報を閲覧することが可能となる。
【0061】
その他、制御部33は、患者の操作に応じて管理装置2に対して開示要求を送信することができる。患者の操作によって、説明情報に含まれるコンテンツの開示要求、および開示要求の対象であるコンテンツの指定が行われると、制御部33は、当該コンテンツの開示可否を問い合わせる開示要求を管理装置2に送信する。制御部33は、当該コンテンツの開示可否についての結果を受信し、当該確認結果を表示部34に表示させる。
【0062】
<情報処理システム100で行われる処理の流れの一例>
以下、図13を参照して、情報処理システム100で行われる処理の流れを説明する。図13は、情報処理システム100で行われる処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0063】
まず、入力装置1を用いる医療者の操作によって、診察時に患者に提示される一般コンテンツおよび固有コンテンツが選択されると、制御部13はこれらのコンテンツを含む説明情報を表示部14に表示させる(S1)。一般コンテンツにコメントまたは図の付与などの加工が行われた場合、加工後の一般コンテンツは固有コンテンツとして扱われる。医療者は、表示部14に表示された一般コンテンツおよび固有コンテンツを用いて、指示および指示の意図を患者に説明する。
【0064】
説明が完了すると、医療者によって患者への説明情報の提示が完了した旨の入力が行われる。また、制御部13は、医療者による入力に基づき、説明情報に含まれるコンテンツの開示可否を示す情報を取得する(S2)。続いて、制御部13は、一般コンテンツおよび固有コンテンツを含む説明情報を、患者を特定可能な識別情報と共に管理装置2に送信する(S3)。また、制御部13は、説明情報に対応付けられた識別情報を表示部14に表示させる。
【0065】
管理装置2の情報管理部211は、通信部22を介して入力装置1から、説明情報を受信する。情報管理部211が受信する説明情報は、医療者から複数の患者の各々に与えられた指示の意図を説明するための説明情報であって、患者の各々に既に提示された情報である。説明情報は、患者の各々に固有の情報を含む固有コンテンツと、含まない一般コンテンツとを含む。情報管理部211は、受信した説明情報と各対象者とを対応付けて記憶部23に記憶させることで説明情報を管理する(S11:情報管理ステップ)。また、情報管理部211は、説明情報に含まれる各コンテンツと、当該コンテンツの開示可否を示す情報とを対応付けて記録する。
【0066】
診察後、患者が端末装置3を操作することで、端末装置3の制御部33は、説明情報を閲覧するためのアプリケーションを起動する。端末装置3は、説明情報の閲覧を要求する入力、および説明情報に対応付けられた識別情報の入力を受け付けると(S21でYES)、管理装置2に閲覧要求を送信する。
【0067】
管理装置2は、端末装置3から、閲覧要求を受け付けると(S12:閲覧要求受付ステップ)、閲覧要求の送信元である対象者に、該対象者に対応付けられた説明情報を閲覧させる(閲覧制御ステップ)。
【0068】
閲覧制御部212は、閲覧要求を受け付けると、まず一般コンテンツのみの閲覧を許可する(S13)。具体的には、閲覧制御部212は、識別情報によって特定される患者の説明情報のうち、一般コンテンツのみを取得し、当該患者の一般コンテンツのみを含むWebサイトを生成する。その後、閲覧制御部212は、当該Webサイトにアクセス可能なURLを端末装置3に送信する。
【0069】
端末装置3の制御部13は、URLを受信する。患者によって、当該URLを選択する操作が行われると、制御部13は、当該URLによって指定される、患者の一般コンテンツのみを含むWebサイトを表示する(S22)。これにより、患者は自身に対して提示された一般コンテンツを閲覧することができる。
【0070】
その後、端末装置3は、固有コンテンツの閲覧を許可する入力を受け付けると(S23でYES)、管理装置2に許可通知を送信する。
閲覧制御部212は、許可通知を受信すると、固有コンテンツの閲覧を許可する(S14)。具体的には、閲覧制御部212は、識別情報によって特定される患者の説明情報を全て取得し、既に生成したWebサイトに、説明情報に含まれる全ての情報を追加する。
【0071】
Webサイトに情報が追加されると、端末装置3の制御部33は当該情報を追加で表示する。具体的には、制御部33は、一般コンテンツに加え、さらに固有コンテンツを含む説明情報を表示部14に表示させる(S24)。このように、患者は、固有コンテンツの閲覧を許可する操作を行うことで、固有コンテンツを含む説明情報を閲覧することができる。
【0072】
<変形例1>
上述の実施形態では、指示者が医療関係者または医療機関であり、対象者が患者である場合を例に挙げて説明したが、指示者および対象者はこれらに限られない。例えば、指示者がスポーツの指導者であり、対象者が指導を受ける者であってもよいし、指示者が介護者であり、対象者が被介護者であってもよい。
【0073】
指示者がスポーツの指導者であり、対象者が指導を受ける者である場合、指導者は、入力装置1を用いて指導を受ける者に対して説明した説明情報を管理装置2に送信し、管理装置2は当該説明情報を管理する。また、指導を受ける者は、自身の端末装置3を用いて、指導者から提示された説明情報を閲覧することができる。この場合、説明情報は、例えば、指導を受ける者に対する指導者からの評価および指導を受ける者が行うべき自主トレーニングの説明等の情報であってよい。
【0074】
また、指示者が介護者であり、対象者が被介護者である場合、介護者は、入力装置1を用いて被介護者に対して説明した説明情報を管理装置2に送信し、管理装置2は当該説明情報を管理する。また、被介護者は、自身の端末装置3を用いて、介護者から提示された説明情報を閲覧することができる。この場合、説明情報は、例えば、被介護者が日常的に気をつけるべき行動、介護者が被介護者に対して行った処置の内容、および介護者が評価した被介護者の状態等の情報であってよい。
【0075】
<変形例2>
上述の実施形態に係る情報処理システム100では、患者が端末装置3を用いて自身の説明情報に対応するIDを入力することで、管理装置2は当該患者の説明情報を特定し、端末装置3に表示させることができた。しかしながら、患者の説明情報を特定するための方法についてはこれに限られない。
【0076】
例えば、より安全に患者個人を特定する為に、患者と医療者とが物理的に同一空間にいるときのみアクセス可能な手段を用いて説明情報が対応付けられた患者と当該患者の端末装置3とを紐付けてもよい。
【0077】
具体的には、医療者が入力装置1を用いて説明を行い、入力装置1が説明情報を管理装置2に送信した後、当該入力装置1は、時間制限付きのQRコード(登録商標)を生成し、表示部14に表示させてもよい。当該QRコード(登録商標)は、患者の説明情報に対応付けられたIDを含むコードである。
【0078】
端末装置3は、カメラ(不図示)を用いて当該QRコード(登録商標)を読み取ることで、患者の説明情報に対応付けられたIDを取得することができる。端末装置3は、IDを取得すると、端末装置3を特定可能な識別情報と共に当該IDを管理装置2に送信する。管理装置2の情報管理部211は、患者の説明情報に対応付けられたIDに基づき患者の説明情報を特定し、当該説明情報に、端末装置3を特定可能な識別情報を対応付けて記憶部23に記憶させる。
【0079】
また、端末装置3は、管理装置2に閲覧要求を送信するとき、当該端末装置3を特定可能な識別情報も送信する。管理装置2の閲覧制御部212は、当該識別情報が、患者の説明情報に対応付けられた識別情報に合致する場合にのみ端末装置3に説明情報を送信する。
【0080】
診療情報は要配慮個人情報であり、この情報を外部に持ち出すことについてセキュリティを万全に担保する必要がある。上述の構成によると、情報処理システム100は、患者と医療者とが物理的に同一空間にいるときのみアクセス可能な手段を用いて、説明情報が対応付けられた患者と当該患者の端末装置3とを紐付けることができる。これにより、情報処理システム100は、より安全に患者が用いる端末装置3を特定し、患者自身にのみ説明情報を閲覧させることが可能となる。
【0081】
上述の方法は、QRコード(登録商標)を用いたものに限られず、例えばBluetooth(登録商標)またはNFCなどの近接通信を用いて入力装置1と端末装置3とが通信を行うことで実施されてもよい。
【0082】
〔実施形態2〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0083】
図14は、本開示の実施形態2に係る情報処理システム100Aの構成を示すブロック図である。情報処理システム100Aは、管理装置2に代えて管理装置2Aを備える点において情報処理システム100とは異なる。本実施形態に係る情報処理システム100Aは、患者の対象者情報が入力されると、入力された対象者情報および当該患者の固有コンテンツに基づき、当該患者の来院スケジュールを変更する。
【0084】
以下、情報処理システム100Aの構成に付いて説明する。図14に示すように、管理装置2Aは、制御部21Aおよび記憶部23Aを備える。
記憶部23Aには、記憶部23に記憶されていた情報に加え、条件情報236が記憶されている。
【0085】
条件情報236とは、患者の来院スケジュールを変更するための条件を示す情報である。条件情報236は、患者の疾患および症状の程度に応じて設定される。例えば、条件情報236は、入力装置1を用いて医療者によって適宜設定される。例えば、条件情報236は、「痛みを感じた旨の入力が3日連続して行われた場合は来院を3日早める」、および「入力された血圧値が150以上であれば1週間以内に来院するようスケジュールを変更する」等の条件である。
【0086】
制御部21Aは、情報管理部211A、スケジュール変更部214、および通知部215を備える。
【0087】
情報管理部211Aは、情報管理部211と同様の処理を行う。また、情報管理部211Aは、端末装置3から対象者情報を受信し、当該対象者情報を記憶部23に記憶させると、対象者情報が入力されたことを示す情報をスケジュール変更部に出力する。
【0088】
スケジュール変更部214は、対象者情報および条件情報に基づいて、指示者から該対象者に与えられた指示の効果を確認するために設定されているスケジュールを変更する。対象者情報が入力されたことを示す情報を取得すると、対象者情報、および条件情報を参照する。対象者情報の状況が、条件情報として設定されたスケジュール変更の条件に該当する場合、スケジュール変更部214は、患者のスケジュール情報を変更する。スケジュール変更部214は、患者のスケジュール情報を変更すると、スケジュール情報を変更したことを示す情報および変更後のスケジュール情報を通知部215に出力する。
【0089】
通知部215は、スケジュールの変更を対象者に通知する。具体的には、通知部215は、スケジュール変更部214から患者のスケジュールが変更されたことを示す情報を取得すると、変更後のスケジュール情報を患者の端末装置3に送信する。
【0090】
または、情報処理システム100Aは、患者の状態がスケジュール変更の条件に合致する場合、患者に対してスケジュールの変更を促し、患者が同意した場合にスケジュールを変更する。具体的には、対象者情報の状況が、条件情報として設定されたスケジュール変更の条件に該当する場合、スケジュール変更部214は、患者の状態がスケジュール変更の条件に合致することを示す情報を通知部215に出力する。通知部215は、当該情報を取得すると、患者のスケジュール変更を促す情報を端末装置3に送信し、端末装置3の制御部33は患者のスケジュール変更を促すメッセージを表示する。患者によってスケジュール変更を希望する旨の操作が行われた場合、端末装置3は当該患者のスケジュール変更を希望する旨の情報を管理装置2に送信する。当該情報を受信すると、スケジュール変更部214は患者のスケジュールを変更し、通知部215は変更後のスケジュールを端末装置3に通知する。
【0091】
図15は、端末装置3に表示される画面の一例を示す図である。図15において符号Cで示す領域は、対象者情報の入力を患者に促すメッセージが表示されている。患者の操作によって当該領域が選択されると、端末装置3は、患者による対象者情報の入力を受付可能となる。
【0092】
患者は、入力部12に入力を行うことで対象者情報を入力することができる。対象者情報が入力されると、端末装置3は管理装置2Aに対象者情報を送信する。入力された対象者情報が、患者のスケジュール変更の条件に合致していた場合、管理装置2Aのスケジュール変更部214は患者のスケジュールの変更を促す情報を端末装置3に送信する。
【0093】
図16は、スケジュールの変更を促す情報を受信した場合に端末装置3に表示される画面の例を示す図である。端末装置3は当該情報を受信すると、図16に示すようにスケジュール変更を促すメッセージを表示部34に表示させる。患者によってスケジュール変更を希望する旨の操作が行われた場合、端末装置3から管理装置2にスケジュール変更を希望する情報が送信され、当該患者の来院スケジュールが変更される。また、スケジュールの変更は、他の方法によって行われてもよい。例えば、端末装置3は、スケジュール変更を促すメッセージと共に、医療機関の電話番号を表示部34に表示させてもよい。この場合、患者が当該電話番号に電話をかけることで、医療者は患者がスケジュールの変更を希望していることを認識することができる。
【0094】
以上のように、情報処理システム100Aは、事前に医療行為として伝えられたスケジュール変更の条件と、自身状態との整合性の判定を、患者の記憶に頼ることなく行うことができる。これにより、患者は対象者情報を入力するだけで、必要なタイミングで診察を受けることが可能となる。
【0095】
〔ソフトウェアによる実現例〕
情報処理システム100、100A(以下、「システム」と呼ぶ)の機能は、当該システムとしてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該システムの各制御ブロック(特に制御部13、制御部21、および制御部33に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0096】
この場合、上記システムは、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0097】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0098】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本開示の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0099】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0100】
〔まとめ〕
以上のように、本開示の態様1に係る情報処理システムは、指示者から複数の対象者の各々に与えられた指示および指示の意図の少なくとも一方を説明するための説明情報であって、前記対象者の各々に既に提示された前記説明情報を各対象者と対応付けて管理する情報管理部と、前記対象者の各々から閲覧要求を受け付けた場合、該閲覧要求の送信元である対象者に、該対象者に対応付けられた前記説明情報を閲覧させる閲覧制御部と、を備え、前記説明情報は、前記対象者の各々に固有の情報を含む固有コンテンツと、含まない一般コンテンツとを含む。
【0101】
従来、例えば医療者等の指示者が、患者等の対象者に対して行う指示および当該指示の意図の説明は、診察時のみに行われており、患者が理解できかった、または忘却してしまった場合に後から確認することが困難であった。医療者側からの情報発信としては、紙の疾患情報を外来時に提供する事もできるが、これは画一的な情報となる場合が多く、患者本人に関係がある所とそれ以外の区別が困難であった。また、情報を受け取る頻度としても、診察時のみであるため、患者の理解の負担は変わらなかった。
【0102】
患者が一般的な疾患の情報発信サイトを見に行くこともできるが、自身にあてはまる情報を選別すること、および調べた情報が医療情報として適切な情報かどうかを判断することも困難であった。また、その結果、民間療法に走り通院をやめてしまう患者が発生し、医療者がフォローできなくなることがあった。これは患者の離脱につながり、手術を余儀なくされる水準まで悪化して初めて再来院することが起き得る。
【0103】
また、患者が、日々感じた不安や疑問点等を紙のメモやスマホ等のデバイスのメモに記入のうえ、次回来院時に手渡ししたり、手元で見せたりして情報共有することもできるがそのような手間ひまをかけて記入する患者はごく一部であり、このようなメモが自由記述のメモであった場合にはフォーマットに一貫性がなく、確認作業が医療者の負担となっていた。
【0104】
上記構成によれば、対象者は、診察時に医療者から伝えた指示および指示の意図の説明(治療方針、疾病情報、治療内容、処方薬の情報、次回来院の情報やそれまでにやってほしいこと、気をつけること)を、後からでも確認することができる。
【0105】
本開示の態様2に係る情報処理システムでは、上記態様1において、前記閲覧制御部は、前記閲覧要求の送信元である対象者による許可が得られている場合、前記一般コンテンツおよび前記固有コンテンツを含む前記説明情報を該対象者に閲覧させ、前記閲覧要求の送信元である対象者による許可が得られていない場合、前記一般コンテンツのみを含む前記説明情報を該対象者に閲覧させてよい。
【0106】
例えば、指示者が医療者であり、対象者が患者である場合、診断名および所見といった患者固有の情報の提供は、それ自体が医療行為となる場合がある。この場合、届出が必要であったり、患者の帰宅後にフォローを行うことが医療者の業務負担増加に繋がったりといった問題が生じる。
【0107】
上記構成によると、対象者固有の情報である固有コンテンツは、対象者による許可が得られた場合にのみ閲覧可能となる。これにより、患者が一度受けた医療行為についての情報を患者の同意の下に提供することが可能となり、結果として、患者による診療時に受けた説明を忘却する可能性を低減することが可能となる。また、患者が固有コンテンツの閲覧を許可しない場合であっても、医療者が診察時に提示した一般コンテンツのみであれば閲覧可能である。
【0108】
本開示の態様3に係る情報処理システムでは、上記態様1または2において、前記指示は、前記指示者から前記説明情報を提示された前記対象者に、所定の行動を継続させるための指示であってよい。
【0109】
上記構成によると、対象者は、指示者から継続するように指示された事項、例えば、服薬、運動、および生活習慣等を確認することができる。
【0110】
本開示の態様4に係る情報処理システムでは、上記態様1から3のいずれかにおいて、前記説明情報は、複数のコンテンツを含み、前記対象者から前記複数のコンテンツの少なくともいずれかの開示を要求する開示要求を受け付けた場合、前記指示者が、該開示要求が示すコンテンツを開示可能か否かについて確認する開示確認部をさらに備えてもよい。
【0111】
上記構成によると、対象者は、指示者に直接問い合わせることなく説明情報に含まれるコンテンツが開示可能であるか否かを確認することができる。例えば、対象者が患者である場合、当該患者は自身の説明情報に含まれるコンテンツを他の医療機関等に開示可能であるか否かを確認するために、診察を受けた医療機関を直接訪れる必要がない。
【0112】
本開示の態様5に係る情報処理システムでは、上記態様1から4のいずれかにおいて、前記指示者は医療関係者または医療機関であり、前記対象者は、前記医療関係者による診察を受けた、または前記医療機関において診察を受けた患者であってよい。
【0113】
上記構成によると、患者は、医療関係者から提示された説明情報、または医療機関において提示された説明情報を後から閲覧することができる。
【0114】
本開示の態様6に係る情報処理システムでは、上記態様1から5のいずれかにおいて、前記閲覧制御部は、前記閲覧要求の送信元である対象者による許可が得られている場合、該対象者によって前記説明情報に対して追加された対象者情報を含む前記説明情報を前記指示者が閲覧可能としてもよい。
【0115】
上記構成によると、指示者は、対象者が説明情報に対して追加した対象者情報を確認することができる。例えば、指示者が医療者である場合、対象者である患者の治療ゴールの設定、症状の確認、(他院含む)服薬状況など、一回の対話では拾いきれない患者側からの情報、および来院と次回の来院までの間における患者の状況を把握することができる。
【0116】
本開示の態様7に係る情報処理システムでは、上記態様6において、前記固有コンテンツおよび前記対象者情報に基づいて、前記指示者から該対象者に与えられた指示の効果を確認するために設定されているスケジュールを変更するスケジュール変更部と、前記スケジュールの変更を前記対象者に通知する通知部と、をさらに備えてもよい。
【0117】
上記構成によると、情報処理システムは、対象者情報に応じてスケジュールを変更し、対象者に通知することができる。例えば、情報処理システムは、対象者が数日に亘って患部に痛みを感じている場合、予定よりも早く診察を受けるようにスケジュールを変更することができる。
【0118】
本開示の態様8に係る情報処理システムの情報処理方法では、指示者から複数の対象者の各々に与えられた指示および指示の意図の少なくとも一方を説明するための説明情報であって、前記対象者の各々に既に提示された前記説明情報を各対象者と対応付けて管理する情報管理ステップと、前記対象者の各々から閲覧要求を受け付ける閲覧要求受付ステップと、前記閲覧要求の送信元である対象者に、該対象者に対応付けられた前記説明情報を閲覧させる閲覧制御ステップと、を含み、前記説明情報は、前記対象者の各々に固有の情報を含む固有コンテンツと、含まない一般コンテンツとを含む。
【0119】
上記構成によると、上記態様1と同様の効果を奏する。
【0120】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0121】
100、100A 情報処理システム
211、211A 情報管理部
212 閲覧制御部
213 開示確認部
214 スケジュール変更部
215 通知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16