(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104172
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】計算処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20240101AFI20240726BHJP
B25J 13/00 20060101ALI20240726BHJP
B65G 57/03 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
G06Q10/08
B25J13/00 Z
B65G57/03 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008268
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山本 真之
(72)【発明者】
【氏名】宮嶋 宏臣
(72)【発明者】
【氏名】富田 一律
【テーマコード(参考)】
3C707
3F029
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
3C707AS02
3C707LS15
3C707LV14
3C707LW08
3F029AA01
3F029AA08
3F029BA01
3F029CA51
3F029DA01
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】パッケージをパレットに載置する際に、パレットの段積みに適したパッケージの配置を可能にする技術を提供する。
【解決手段】計算処理装置は、取得部と、位置計算部と、を備える。取得部は、パレットの上に積むべき複数の箱についての数及びサイズの情報である箱情報を取得するように構成される。位置計算部は、パレットの上に複数の箱の全てを複数の列に分散して各列に積み上げて配置したユニットを箱ユニットとして、箱ユニットの上面に別のパレットを傾かないように積んだと仮定したときに、箱ユニットの上面のうちの荷重がかかる部位である支持天面が同じ高さになるように、取得部により取得された箱情報を用いて、箱ユニットにおける各箱の位置を計算するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレットの上に積むべき複数の箱についての数及びサイズの情報である箱情報を取得するように構成された取得部(33)と、
前記パレットの上に前記複数の箱の全てを複数の列に分散して各列に積み上げて配置したユニットを箱ユニットとして、前記箱ユニットの上面に別のパレットを傾かないように積んだと仮定したときに、前記箱ユニットの上面のうちの荷重がかかる部位である支持天面が同じ高さになるように、前記取得部により取得された前記箱情報を用いて、前記箱ユニットにおける各箱の位置を計算するように構成された位置計算部(34,37,38,39,40,41,42,43,44)と、
を備える、計算処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の計算処理装置であって、
前記位置計算部により計算された前記位置に前記複数の箱を配置するときの順序を計算するように構成された順序計算部(35)をさらに備える、計算処理装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の計算処理装置であって、
前記位置計算部は、前記複数の箱を全て配置しても前記支持天面が同じ高さにならない場合、前記複数の箱とは別の箱である少なくとも1つのダミー箱を前記箱ユニットに追加し、前記支持天面が同じ高さになるように、前記複数の箱と、前記少なくとも1つのダミー箱と、の各位置を計算するように構成された、計算処理装置。
【請求項4】
請求項2に記載の計算処理装置であって、
前記順序計算部は、前記パレットの上から前記複数の箱を降ろすときの順序を基準にして、前記位置に前記複数の箱を配置するときの順序を計算するように構成された、計算処理装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の計算処理装置であって、
前記位置計算部は、前記複数の箱の底面のサイズが全て同じ場合と、前記複数の箱の中に底面のサイズが異なる箱が含まれる場合と、では異なる計算処理を実行するように構成された、計算処理装置。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の計算処理装置であって、
前記位置計算部は、前記複数の箱の底面のサイズが全て同じ場合、前記支持天面を形成する列の配置と、その他の列の配置と、が予め設定され、列の高さが可変である複数のパターンに当てはめるように計算し、前記複数のパターンに応じた前記箱ユニットの候補の中から1つの前記箱ユニットを選択するように構成された、計算処理装置。
【請求項7】
請求項3に記載の計算処理装置であって、
前記位置計算部は、前記箱ユニットの候補として複数のパターンを計算し、前記ダミー箱の数が最も少なく、前記ダミー箱の数が同じ場合には、前記箱ユニットの高さが最も低いパターンを前記箱ユニットの候補の中から1つの前記箱ユニットとして選択するように構成された、計算処理装置。
【請求項8】
請求項3に記載の計算処理装置であって、
前記位置計算部は、ダミー箱が存在する場合には、前記ダミー箱の上には、前記複数の箱を配置しないように前記位置を計算するように構成された、計算処理装置。
【請求項9】
請求項1又は請求項2に記載の計算処理装置であって、
前記位置計算部は、所定の底面積の第1箱が、前記第1箱よりも底面積の大きい第2箱よりも上に配置されるように前記位置を計算するように構成された、計算処理装置。
【請求項10】
請求項1又は請求項2に記載の計算処理装置であって、
前記位置計算部は、前記複数の箱のうち、同じサイズの箱は、隣接して配置されるように前記位置を計算するように構成された、計算処理装置。
【請求項11】
請求項1又は請求項2に記載の計算処理装置であって、
前記位置計算部は、前記複数の箱の向きを加味して前記位置を計算するように構成された、計算処理装置。
【請求項12】
請求項3に記載の計算処理装置であって、
前記位置計算部は、前記箱ユニットを形成する各列の高さの差が一定以上の場合、各列の高さの差が所定の差よりも小さくなるまで、前記少なくとも1つのダミー箱を低い方の列に配置するように前記位置を計算するように構成された、計算処理装置。
【請求項13】
請求項2に記載の計算処理装置であって、
前記パレットの上に前記複数の箱を積み付けるパレタイズロボットに対して、前記複数の箱を積み付ける順序及び位置の情報を送信するように構成された指示送信部(54)を更に備える、計算処理装置。
【請求項14】
請求項2に記載の計算処理装置であって、
作業者への指示を表示する表示部に対して、前記複数の箱を積み付ける順序及び位置の情報を送信するように構成された表示送信部(154)を更に備える、計算処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、計算処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パッケージを指定された位置に配置するためのロボットシステムが開示されている。当該ロボットシステムは、シミュレーション機能を実行してシミュレートされたスタッキングプランに従ってパッケージをパレットに載置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、発明者の詳細な検討の結果、以下の問題があった。パッケージをパレットに載置する際には、より安定した積み方をし、パレットの段積みができることが好ましい。パレットの段積みとは、パレットの上にパッケージを積み上げ、さらにその上にパレットを積むことである。しかし、特許文献1のロボットシステムでは、パレットの段積みに適したパッケージの配置にならない場合がある。
【0005】
本開示の一局面は、パッケージをパレットに載置する際に、パレットの段積みに適したパッケージの配置を可能にする技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、計算処理装置であって、取得部(33)と、位置計算部(34,37,38,39,40,41,42,43,44)と、を備える。取得部は、パレットの上に積むべき複数の箱についての数及びサイズの情報である箱情報を取得するように構成される。位置計算部は、パレットの上に複数の箱の全てを複数の列に分散して各列に積み上げて配置したユニットを箱ユニットとして、箱ユニットの上面に別のパレットを傾かないように積んだと仮定したときに、箱ユニットの上面のうちの荷重がかかる部位である支持天面が同じ高さ(あるいは平坦)になるように、取得部により取得された箱情報を用いて、箱ユニットにおける各箱の位置を計算するように構成される。
【0007】
このような構成によれば、複数の箱をパレットに載置する際に、パレットの段積みに適した複数の箱の配置を可能にできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態におけるパレタイズシステムの構成を示すブロック図である。
【
図3】箱ユニットをトラックに積むときの流れを示す説明図である。
【
図4】ダミー箱を追加して荷姿を形成したときの模式図である。
【
図6】
図6A及び
図6Bは、柱の列を有する荷姿を上方から見たときの模式図である。
【
図7】
図7A及び
図7Bは、柱の列と、柱以外の列と、の高さの関係を示す説明図である。
【
図10】同種高さ違い処理のフローチャートである。
【
図13】第2実施形態におけるパレタイズシステムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示すパレタイズシステム1は、人やパレタイズロボットが、箱やケースといったパッケージをパレット上に積み付ける作業を実行するためのシステムである。本実施形態では、通い箱をパッケージとして、パレット上に積み付ける対象とする。通い箱とは、拠点間を行き来して材料や部品、製品を輸送するためのコンテナ型の箱のことである。
図2Aに示すように、通い箱には、複数のサイズの通い箱がある。ここでは、底面が300mm×300mmのサイズの通い箱をA系と呼び、底面が450mm×300mmのサイズの通い箱をB系と呼び、底面が600mm×300mmのサイズの通い箱をC系と呼ぶ。A系では、それぞれ高さが異なるA-1型、A-2型、A-3型の3種類の通い箱を例示する。B系では、それぞれ高さが異なるB-1型、B-2型、B-3型、B-4型、B-5型の5種類の通い箱を例示する。C系では、それぞれ高さが異なるC-1型、C-2型、C-3型、C-4型、C-5型の5種類の通い箱を例示する。
図2Bに示すように、1マスを150mm×150mmとしたとき、A系の通い箱の底面積は2マス×2マス、B系の通い箱の底面積は3マス×2マス、C系の通い箱の底面積は4マス×2マスと換算される。
【0010】
ここで、通い箱を運搬する際には、
図3に示すように、まず、パレットの上に複数の通い箱が複数の列に分散して各列に積み上げて配置された箱ユニットが形成される。パレット単位で、複数の箱ユニットが形成されるが、箱ユニットの上に箱ユニットを重ねてトラックの荷台等に積んだ方が、運搬効率がよい。つまり、パレットを段積みして運搬することが好ましい。そこで、本パレタイズシステム1では、箱ユニットの上に箱ユニットを重ねることができるように、箱ユニットの形状を考慮し箱ユニットを形成する技術を提供する。以下、箱ユニットの外観の形状のことを荷姿という。なお、複数の箱ユニットを積み込む対象は、トラックに限定されるものではない。例えば、複数の箱ユニットは、鉄道、船舶、航空機等に積み込まれ運搬されてもよい。
【0011】
図1に戻り、パレタイズシステム1は、荷姿計算指示システム2と、計算処理システム3と、荷姿計算結果処理システム5と、を備える。
[1-1-1.荷姿計算指示システム]
荷姿計算指示システム2は、1つのパレットの上に積むべき複数の通い箱についての、数及びサイズの情報である箱情報を読み取るためのシステムである。例えば、荷姿計算指示システム2は、1つのパレットの上に積みたい複数の通い箱の箱情報が、「A-1型が10個、B-2型が20個、C-3型が20個」などと記載された伝票の内容を読み取る。伝票の内容は、スキャンできるようにQRコード化されていてもよいし、人がタッチパネルに入力することによってデジタルデータ化されてもよい。QRコードは登録商標である。
【0012】
荷姿計算指示システム2は、CPU21と、メモリ22と、を備える周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。メモリ22は、例えば、RAM又はROM等の半導体メモリとして構成される。荷姿計算指示システム2の各機能は、CPU21が非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。この例では、メモリ22が、プログラムを格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。また、このプログラムが実行されることで、プログラムに対応する方法が実行される。なお、非遷移的実体的記録媒体とは、記録媒体のうちの電磁波を除く意味である。また、荷姿計算指示システム2は、1つのマイクロコンピュータを備えてもよいし、複数のマイクロコンピュータを備えてもよい。
【0013】
荷姿計算指示システム2は、CPU21がプログラムを実行することで実現される機能ブロック、すなわち、仮想的な構成要素として、パレタイズ計算指示送信部23を備える。
パレタイズ計算指示送信部23は、読み取った箱情報を後述する荷姿計算指示受信部33に送信する。
【0014】
[1-1-2.計算処理システム]
計算処理システム3は、1つのパレットの上に積むべき複数の通い箱の全てを積み上げた時の荷姿を計算して求め、その荷姿になるように通い箱を配置する位置や順序などを計算するためのシステムである。
【0015】
計算処理システム3は、CPU31と、メモリ32と、を備える周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。メモリ32は、例えば、RAM又はROM等の半導体メモリとして構成される。計算処理システム3の各機能は、CPU31が非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。この例では、メモリ32が、プログラムを格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。また、計算処理システム3は、1つのマイクロコンピュータを備えてもよいし、複数のマイクロコンピュータを備えてもよい。
【0016】
計算処理システム3は、CPU31がプログラムを実行することで実現される機能ブロック、すなわち、仮想的な構成要素として、荷姿計算指示受信部33と、荷姿計算器34と、積付順序計算器35と、荷姿・積付順序送信部36と、箱種判定器37と、同種限定荷姿計算器38と、最適解選択器39と、ダミー箱位置制御器40と、箱位置制御器41と、同サイズ箱位置制御器42と、箱向き制御器43と、荷姿安定性判定器44と、を備える。
【0017】
荷姿計算指示受信部33は、パレタイズ計算指示送信部23から箱情報を受信する。
荷姿計算器34は、箱種判定器37により、複数の通い箱の中に底面のサイズが異なる通い箱が含まれると判定された場合、箱情報を用いて、1つのパレットの上に複数の通い箱の全てを積み上げた時の荷姿を算出する。このとき、荷姿計算器34は、複数の通い箱を隙間なく積み上げて、荷姿が直方体形状になるように荷姿を算出する。具体的には、荷姿計算器34は、6マス×6マスや、
図2Cに示すように6マス×7マス等、予め定められた底面形状の直方体に複数の通い箱を当てはめて、複数の荷姿のパターンを算出する。荷姿計算器34は、
図4に示すように、複数の通い箱を全て配置しても荷姿が直方体形状にならない場合には、少なくとも1つのダミー箱6を追加して、荷姿が直方体形状になるように荷姿を算出する。ダミー箱6とは、複数の通い箱とは別の箱であって、材料や部品等の中身が入っていない空の通い箱のことである。
図5に示すように、荷姿を形成する各箱の位置は、箱の底面を形成する1つの頂点を基準位置K1として、X-Y-Zの座標で示される。荷姿計算器34が実行する異種混載処理については、後に詳述する。
【0018】
積付順序計算器35は、荷姿計算器34や同種限定荷姿計算器38によって算出された荷姿になるように、複数の通い箱を配置するときの順序を計算する。積付順序計算器35が実行する積み付け順序処理については、後に詳述する。
【0019】
荷姿・積付順序送信部36は、荷姿計算器34や同種限定荷姿計算器38によって算出された荷姿の情報と、積付順序計算器35によって算出された積付順序と、を後述する荷姿・積付順序結果受信部53に送信する。
【0020】
箱種判定器37は、箱情報を用いて、複数の通い箱の底面のサイズが全て同じか、又は、複数の通い箱の中に底面のサイズが異なる通い箱が含まれるか、を判定する。
同種限定荷姿計算器38は、箱種判定器37により、複数の通い箱の底面のサイズが全て同じであると判定された場合、箱情報を用いて、1つのパレットの上に複数の通い箱の全てを積み上げた時の荷姿を算出する。このとき、同種限定荷姿計算器38は、荷姿計算器34とは異なる計算処理を実行する。具体的には、同種限定荷姿計算器38は、
図6A及び6Bに示すように、予め定められた列のパターンに複数の通い箱を当てはめて、複数の荷姿のパターンを算出する。予め定められた列には、柱の列と、柱以外の列と、が含まれる。同種限定荷姿計算器38は、柱の列については同じ高さになるように複数の通い箱を当てはめて、柱以外の列については高さが柱の列の高さ以下になるように複数の通い箱を当てはめる。同種限定荷姿計算器38は、
図7A及び7Bに示すように、複数の通い箱を全て配置しても柱の列の高さが同じにならない場合には、少なくとも1つのダミー箱6を追加して、柱の列の高さが同じになるように荷姿を算出する。同種限定荷姿計算器38が実行する同種高さ違い処理については、後に詳述する。
【0021】
最適解選択器39は、荷姿計算器34や同種限定荷姿計算器38によって算出された荷姿のパターンから、ダミー箱6が最も少なく、かつ、荷姿の高さが最も低いパターンを選択する。
【0022】
ダミー箱位置制御器40は、ダミー箱6の上に、中身の入った通い箱が配置されないように、荷姿計算器34や同種限定荷姿計算器38が実行する計算を調整する。
箱位置制御器41は、底面積の大きい通い箱ほど下に配置されるように、荷姿計算器34や同種限定荷姿計算器38が実行する計算を調整する。
【0023】
同サイズ箱位置制御器42は、同じサイズの通い箱が隣接して配置されるように、荷姿計算器34や同種限定荷姿計算器38が実行する計算を調整する。
箱向き制御器43は、通い箱の向きを加味して、通い箱が指定の向きに配置されるように、荷姿計算器34や同種限定荷姿計算器38が実行する計算を調整する。
【0024】
荷姿安定性判定器44は、各列の高さの差が一定以上の場合、ダミー箱6が低い方の列に配置されるように、荷姿計算器34や同種限定荷姿計算器38が実行する計算を調整する。
【0025】
[1-1-3.荷姿計算結果処理システム]
荷姿計算結果処理システム5は、パレタイズロボットに対して、通い箱を積み付ける順序及び位置を指示するためのシステムである。
【0026】
荷姿計算結果処理システム5は、CPU51と、メモリ52と、を備える周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。メモリ52は、例えば、RAM又はROM等の半導体メモリとして構成される。荷姿計算結果処理システム5の各機能は、CPU51が非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。この例では、メモリ52が、プログラムを格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。
【0027】
荷姿計算結果処理システム5は、CPU51がプログラムを実行することで実現される機能ブロック、すなわち、仮想的な構成要素として、荷姿・積付順序結果受信部53と、積み順・位置送信部54と、を備える。荷姿計算指示システム2、計算処理システム3、及び荷姿計算結果処理システム5に含まれる各部の機能を実現する手法はソフトウェアに限るものではなく、その一部又は全部の機能は、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現されてもよい。例えば、上記機能がハードウェアである電子回路によって実現される場合、その電子回路は、デジタル回路、又はアナログ回路、あるいはこれらの組合せによって実現されてもよい。
【0028】
荷姿・積付順序結果受信部53は、荷姿・積付順序送信部36から、1つのパレットの上に形成する荷姿の情報と、複数の通い箱を1つのパレットの上に積み付ける順序の情報と、を受信する。
【0029】
積み順・位置送信部54は、複数の通い箱を1つのパレットの上に積み付ける順序及び位置の情報をパレタイズロボットに送信する。
パレタイズロボットは、積み順・位置送信部54から送信された、順序及び位置の指示に従い、通い箱をパレットの上に積み付ける。
【0030】
[1-2.処理]
[1-2-1.パレタイズ処理]
計算処理システム3のCPU31が実行するパレタイズ処理について、
図8のフローチャートを用いて説明する。パレタイズ処理は、荷姿計算指示システム2から箱情報を受信する度に実行される。
【0031】
まず、S101で、CPU31は、箱情報を取得し、複数の通い箱の底面のサイズが全て同じか、又は、複数の通い箱の中に底面のサイズが異なる通い箱が含まれるか、を判定する。
【0032】
CPU31は、S101で複数の通い箱の中に底面のサイズが異なる通い箱が含まれると判定した場合、S102に移行し、後述する異種混載処理を実行する。
一方、CPU31は、S101で複数の通い箱の底面のサイズが全て同じであると判定した場合、S103に移行し、後述する同種高さ違い処理を実行する。
【0033】
続いて、S104で、CPU31は、後述する積み付け順序処理を実行する。
[1-2-2.異種混載処理]
計算処理システム3のCPU31が実行する異種混載処理について、
図9のフローチャートを用いて説明する。異種混載処理は、1つのパレットの上に積むべき複数の通い箱の中に底面のサイズが異なる通い箱が含まれている場合に実行される。
【0034】
まず、S201で、CPU31は、1つのパレットの上に積むべき複数の通い箱の体積の合計に基づいて、荷姿を直方体に形成するときの直方体の高さの初期値を算出する。本実施形態では、CPU31は、直方体の底面形状が6マス×6マスの場合と、6マス×7マスの場合と、の2パターンの直方体の高さの初期値を算出する。CPU31は、2パターンの直方体のそれぞれについて、複数の通い箱を隙間無く配置するように当てはめていく。このとき、複数の通い箱を全て配置しても直方体にならない場合には、少なくとも1つのダミー箱6を追加して、直方体になるように、複数の通い箱及びダミー箱6を当てはめていく。
【0035】
また、CPU31は、各箱の置き方にコストを設定し、各箱の配置を制御する。具体的には、CPU31は、体積が相対的に大きい箱が、体積が相対的に小さい箱の上に配置される場合、体積が相対的に小さい箱が、体積が相対的に大きい箱の上に配置される場合と比較して、コストを大きく設定する。また、CPU31は、通い箱がダミー箱6の上に配置される場合、ダミー箱6が通い箱の上に配置される場合と比較して、コストを大きく設定する。また、CPU31は、箱の中身の情報等が記載されたラベルが設置された面が、直方体の内側に向く向きに配置される場合、ラベルが設置された面が、直方体の外側に向く向きに配置される場合と比較して、コストを大きく設定する。また、CPU31は、サイズの異なる箱が隣接して配置される場合、サイズが同じ箱が隣接して配置される場合と比較して、コストを大きく設定する。隣接する位置とは、箱の上面、底面、側面のいずれか一面に接する位置をいう。
【0036】
CPU31は、直方体の底面形状が6マス×6マスの場合と、6マス×7マスの場合と、の2パターンについて、それぞれコストが最小となる直方体を算出する。コストが最小となる直方体は、複数算出されることもある。
【0037】
CPU31は、一例として、数理最適化技術を活用してコストが最小となる直方体を算出する。具体的には、CPU31は、制約条件(1.2)~(1.5)を満たし、目的関数(1.1)が最小となる解を算出する。
【0038】
【0039】
CPU31は、
図2Cに示すようにマスで区切られた通い箱の配置スペースに対して、各通い箱を配置可能な位置を全て列挙し、行列で表現する。当該行列において、配置スペースを示すマスを行で表す。また、当該行列において、1つの通い箱が取り得る配置の仕方を1列で表す。このとき、あるマスに通い箱を配置する場合は1、配置しない場合は0で表す。また、各配置の仕方を表す各列には、コストを設定する。
【0040】
目的関数(1.1)は、集合Mの列の組み合わせの中で、通い箱の配置の仕方毎(つまり、行列の列毎)に設定したコストの総和が最小となる組み合わせを求めることを示している。制約条件(1.2)は、1つのマスには必ず1つの通い箱が割り当てられることを示している。つまり、2つ以上の通い箱が同じマスに割り当てられること、及び、1つの通い箱も割り当てられないマスがないことを示している。制約条件(1.3)は、通い箱の種類別に、合計の個数が合っていることを示している。制約条件(1.4)は、ラベルの向きが、最低1つは外側を向くことを示している。式(1.5)は、通い箱の配置の仕方を表す行列から、荷姿として採用する列を1、採用しない列を0とする変数である。
【0041】
仮にS201で、複数の通い箱及びダミー箱6を直方体に配置できなければ、S202で、CPU31は、直方体の高さを1段ずつ高くしていき、複数の通い箱及びダミー箱6を直方体に配置できるまで、S201と同様に、複数の通い箱及びダミー箱6を当てはめていく。ここで、高さにおける1段とは、規定された通い箱の高さの、最も近い高さの差であって、本実施形態では、50mmである。
【0042】
続いて、CPU31は、算出された直方体の中から、ダミー箱6が最も少ない直方体を選択する。ダミー箱6が最も少ない直方体が2つ以上あった場合は、CPU31は、直方体の高さが低い方を選択する。
【0043】
[1-2-3.同種高さ違い処理]
計算処理システム3のCPU31が実行する同種高さ違い処理について、
図10のフローチャートを用いて説明する。同種高さ違い処理は、1つのパレットの上に積むべき複数の通い箱の底面のサイズが全て同じ場合に実行される。複数の通い箱の底面のサイズが同じであれば、通い箱の高さは異なっていてもよい。
【0044】
まず、S301で、CPU31は、1つのパレットの上に積むべき複数の通い箱の高さの合計に基づいて、柱の列の高さの初期値を算出する。本実施形態では、CPU31は、
図6Aのように8つの列のパターンと、
図6Bのように9つの列のパターンと、の2パターンの配置における高さの初期値を算出する。具体的には、CPU31は、複数の通い箱の高さの合計を、列の数で割った値に基づいて高さの初期値として算出する。
【0045】
次に、S302で、CPU31は、各パターンにおいて必要となる柱の列の数を判定する。本実施形態では、CPU31は、
図6Aのように8つの列のパターンである場合、必要となる柱の数を6つと判定し、
図6Bのように9つの列のパターンである場合、必要となる柱の数を4つと判定する。
【0046】
柱の列の位置は、箱ユニットの上に別のパレットを傾かないように積んだと仮定したときに、箱ユニットの上面のうちの荷重がかかる部位である支持天面を形成する位置に配置される。
【0047】
続いて、S303で、CPU31は、各パターンのそれぞれについて、複数の通い箱を、柱の列と、柱以外の列と、に当てはめていく。CPU31は、柱の列については同じ高さになるように複数の通い箱を当てはめて、かつ、柱以外の列については高さが柱の列の高さ以下になるように複数の通い箱を当てはめる。つまり、CPU31は、支持天面が同じ高さになるように、複数の通い箱を当てはめる。このとき、複数の通い箱を全て配置しても上記条件に当てはまる形状にならない場合には、CPU31は、少なくとも1つのダミー箱6を追加して、上記条件に当てはまる形状になるように、複数の通い箱及びダミー箱6を当てはめていく。柱以外の列について、列の高さの差が一定以上の場合には、CPU31は、列の高さの差が所定の差よりも小さくなるまでダミー箱6を低い方の列に積む。所定の差とは、積まれた箱がスライドして荷姿が崩れることを抑制できる程度の差をいう。
【0048】
CPU31は、一例として、数理最適化技術を活用して上記条件に当てはまる形状を算出する。具体的には、CPU31は、制約条件(2.2)~(2.5)を満たし、目的関数(2.1)が最小となる解を算出する。
【0049】
【0050】
目的関数(2.1)は、柱の列に割り当てるダミー箱6の数を最小化することを示している。制約条件(2.2)は、各通い箱は、いずれかの柱の列に割り当たるか、又は、いずれの柱の列にも割り当たらないということを示している。制約条件(2.3)は、各ダミー箱6は、いずれかの柱の列に割り当たるか、又は、いずれの柱の列にも割り当たらないということを示している。制約条件(2.4)は、各柱の列の高さは、割り当たった通い箱とダミー箱6との高さの合計であることを示している。制約条件(2.5)は、柱の列の数が、指定の数となっていることを示している。
【0051】
CPU31は、柱の列に通い箱を割り当てた後に、柱の列に割り当てなかった残りの通い箱を、柱以外の列に割り当てる。
CPU31は、仮に上記条件に当てはまる形状になるように、複数の通い箱及びダミー箱6を当てはめられなければ、柱の列の高さを1段ずつ高くしていき、上記条件に当てはまる形状に配置できるまで、複数の通い箱及びダミー箱6を当てはめていく。
【0052】
CPU31は、初めて上記条件に当てはまる形状に配置できた時の柱の列の高さから、さらに柱の列の高さを1段、2段と高くして、複数の通い箱及びダミー箱6を当てはめてみる。
【0053】
また、CPU31は、各箱の置き方にコストを設定し、各箱の配置を制御する。具体的には、CPU31は、体積が相対的に大きい箱が、体積が相対的に小さい箱の上に配置される場合、体積が相対的に小さい箱が、体積が相対的に大きい箱の上に配置される場合と比較して、コストを大きく設定する。つまり、各箱の底面積は同じであるため、高さが相対的に高い箱が、高さが相対的に低い箱の上に配置される場合、高さが相対的に低い箱が、高さが相対的に高い箱の上に配置される場合と比較して、コストを大きく設定する。また、CPU31は、通い箱がダミー箱6の上に配置される場合、ダミー箱6が通い箱の上に配置される場合と比較して、コストを大きく設定する。また、CPU31は、箱の中身の情報等が記載されたラベルが設置された面が、直方体の内側に向く向きに配置される場合、ラベルが設置された面が、直方体の外側に向く向きに配置される場合と比較して、コストを大きく設定する。また、CPU31は、サイズの異なる箱が隣接して配置される場合、サイズが同じ箱が隣接して配置される場合と比較して、コストを大きく設定する。
【0054】
CPU31は、8つの列のパターンと、9つの列のパターンとの2パターンについて、それぞれコストが最小となる形状を算出する。コストが最小となる形状は、複数算出されることもある。
【0055】
続いて、S304で、CPU31は、S303で算出された形状の中から、ダミー箱6が最も少ない形状を選択する。ダミー箱6が最も少ない形状が2つ以上あった場合は、CPU31は、形状の高さが低い方を選択する。
【0056】
[1-2-4.積み付け順序処理]
計算処理システム3のCPU31が実行する積み付け順序処理について、
図11Aのフローチャートを用いて説明する。積み付け順序処理は、異種混載処理又は同種高さ違い処理にて、荷姿が決定したときに実行される。積み付け順序処理では、まず、荷姿が完成された状態から、荷姿を形成する箱を1つずつデパレタイズした場合を仮定する。そして、デパレタイズした順序を逆にすることによってパレタイズする順序を算出する。デパレタイズとは、パレットの上からパッケージを降ろすことである。なお、一例として、パレタイズはロボットのアーム7で箱を把持し移動することにより実行される。このとき、アーム7が隣接する箱に干渉しないように考慮する必要があるが、
図12A及び12Bに示すように、箱の上面と、箱の長さ方向に位置する側面のいずれかと、の両方ともに隣接する箱が存在しなければ、パレタイズ可能である。
【0057】
まず、S401で、CPU31は、荷姿を形成する、複数の通い箱及びダミー箱6に番号をゼロから順に割り振る。このとき、CPU31は、高い位置に配置された箱ほど若い番号になるように番号を割り振る。CPU31は、箱が同じ高さに配置されている場合、手前に配置された箱ほど若い番号になるように、番号を割り振る。ここで手前とは、パレットの任意の方向を前方としたときの、前方側をいう。CPU31は、箱の前面が同じ位置に配置されている場合、右に配置された箱ほど若い番号になるように、番号を割り振る。ここで右とは、パレットの前方に向かって右のことである。
【0058】
次に、S402で、CPU31は、
図11Bに示すように、箱iについて、上面、手前、及び右側の三方向ともに隣接する箱が存在しない状態であるか否かを判定する。箱iは、パレットの上に残っている箱のうち、番号が最も若い箱を指す。
【0059】
CPU31は、S402で箱iについて、上面、手前、及び右側の三方向のいずれかに隣接する箱があると判定した場合、S403に移行する。
一方、CPU31は、S402で箱iについて、上面、手前、及び右側の三方向ともに隣接する箱が存在しない状態であると判定した場合、S404に移行する。
【0060】
S403で、CPU31は、
図11Cに示すように、箱iについて、左右方向よりも前後方向の方が長い状態で配置された場合、上面及び手前の二方向ともに隣接する箱が存在しない状態である箱か、又は、
図11Dに示すように、箱iについて、前後方向よりも左右方向の方が長い状態で配置された場合、上面及び右側の二方向ともに隣接する箱が存在しない状態である箱を抽出する。
S404で、CPU31は、箱iをデパレタイズ候補の箱として、S402及びS403の候補から除外する。
【0061】
続いて、S405で、CPU31は、残りの箱が1つであるか否かを判定する。
CPU31は、S405で残りの箱が1つでないと判定した場合、S402に戻り、処理を繰り返す。
【0062】
一方、CPU31は、S405で残りの箱が1つであると判定した場合、S406に移行する。
S406で、CPU31は、S404でデパレタイズ候補の箱として除外した順序を逆にした順序をパレタイズ順序として確定する。
【0063】
[1-3.効果]
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)上記実施形態では、異種混載処理において、荷姿が直方体形状になるように、複数の通い箱を当てはめる構成を例示した。また、複数の通い箱を全て配置しても荷姿が直方体形状にならない場合、ダミー箱6を追加して、荷姿が直方体形状になるように、複数の通い箱及びダミー箱6を当てはめる構成を例示した。このような構成によれば、直方体の天面が平らであることから、直方体の箱ユニットの上に別の箱ユニットを積んだときに、別の箱ユニットが傾くことを抑制できる。よって、安定したパレットの段積みが可能になる。
【0064】
また、通い箱のサイズや個数がいつも決まっている場合には、あらかじめデータベース等に通い箱のサイズや個数に応じた荷姿を登録しておくこともできるが、通い箱のサイズや個数がその都度異なる場合には、荷姿のパターンが膨大になるため、あらかじめ荷姿を登録しておくことが難しい。しかし、上記実施形態によれば、通い箱のサイズや個数がその都度変わったとしても、計算により荷姿を作出することができる。よって、どんな通い箱のサイズや個数に対しても、臨機応変に荷姿を作出することができる。
【0065】
(1b)上記実施形態では、同種高さ違い処理において、柱の列が同じ高さになるように複数の通い箱を当てはめる構成を例示した。また、複数の通い箱を全て配置しても柱の列が同じ高さにならない場合、ダミー箱6を追加して、柱の列が同じ高さになるように、複数の通い箱及びダミー箱6を当てはめる構成を例示した。このような構成によれば、柱の列の上に別の箱ユニットを積んだときに、別の箱ユニットが傾くことを抑制できる。よって、安定したパレットの段積みが可能になる。
【0066】
(1c)上記実施形態では、積み付け順序処理において、複数の通い箱及びダミー箱6をパレタイズする際の順序を算出する構成を例示した。このような構成によれば、算出された順序に従ってパレタイズすることで、容易に所望の荷姿を作ることができる。
【0067】
(1d)上記実施形態では、積み付け順序処理において、パレットの上から各箱をデパレタイズするときの順序を基準にして、各箱をパレタイズする順序を算出する構成を例示した。このような構成によれば、パレタイズ時にデパレタイズの順序を考慮することで、パレタイズ時に、パレタイズできる箱がないといった状況に陥るなど、パレタイズの効率が悪くなることを抑制できる。
【0068】
(1e)上記実施形態では、複数の通い箱の底面のサイズが全て同じ場合と、複数の通い箱の中に底面のサイズが異なる箱が含まれる場合と、では異なる計算処理を実行する構成を例示した。このような構成によれば、通い箱の種類に適した計算処理を実行することができる。
【0069】
(1f)上記実施形態では、複数の通い箱の底面のサイズが全て同じ場合、柱の列の配置と、その他の列の配置と、が予め設定され、柱の列の高さが可変である複数のパターンに複数の通い箱を当てはめるように計算し、最適なパターンを選択する構成を例示した。このような構成によれば、柱の列の配置と、その他の列の配置と、が予め設定されておらず、全てのパターンを計算する場合と比較して、短時間で荷姿を算出することができる。
【0070】
(1g)上記実施形態では、ダミー箱6が最も少なく、かつ、荷姿の高さが最も低いパターンを選択する構成を例示した。このような構成によれば、余分なダミー箱が少なく、コンパクトに形成された箱ユニットが選択されるため、トラックの荷台等に積載した際に、積載効率がよくなる。
【0071】
(1h)上記実施形態では、通い箱がダミー箱6の上に配置される場合、ダミー箱6が通い箱の上に配置される場合と比較して、コストを大きく設定する構成を例示した。つまり、ダミー箱6の上には、複数の通い箱を配置することを抑制するように各箱の位置を計算する構成を例示した。このような構成によれば、ダミー箱6と通い箱とが混在し、箱ユニットを受け取った作業者が、中身の入った通い箱をダミー箱6と間違えてしまうことを抑制できる。
【0072】
(1i)上記実施形態では、体積が相対的に大きい箱が、体積が相対的に小さい箱の上に配置される場合、体積が相対的に小さい箱が、体積が相対的に大きい箱の上に配置される場合と比較して、コストを大きく設定する構成を例示した。つまり、所定の底面積の第1箱が、第1箱よりも底面積の大きい第2箱よりも上に配置されるように各箱の位置を計算する構成を例示した。このような構成によれば、各箱を安定してパレットの上に積むことができる。
【0073】
(1j)上記実施形態では、サイズの異なる箱が隣接して配置される場合、サイズが同じ箱が隣接して配置される場合と比較して、コストを大きく設定する構成を例示した。つまり、複数の通い箱のうち、同じサイズの通い箱は、隣接して配置されやすいように各箱の位置を計算する構成を例示した。このような構成によれば、箱ユニットを受け取った作業者が、デパレタイズする際に、通い箱の種類ごとに数を数えやすくなり、作業効率が向上する。
【0074】
(1k)上記実施形態では、箱の中身の情報等が記載されたラベルが設置された面が、直方体の内側に向く向きに配置される場合、ラベルが設置された面が、直方体の外側に向く向きに配置される場合と比較して、コストを大きく設定する構成を例示した。つまり、複数の通い箱の向きを加味して各箱の位置を計算する構成を例示した。このような構成によれば、箱ユニットを受け取った作業者が、一目でどこにどの箱が配置されているかを把握することができ、作業効率が向上する。
【0075】
(1l)上記実施形態では、柱以外の列について、列の高さの差が一定以上の場合には、ダミー箱6を低い方の列に積む構成を例示した。このような構成によれば、各列の高さの差が小さくなることにより、通い箱がスライドして荷姿が崩れることを抑制できる。
【0076】
[1-4.対応関係]
荷姿計算指示受信部33が取得部に相当し、荷姿計算器34、箱種判定器37、同種限定荷姿計算器38、最適解選択器39、ダミー箱位置制御器40、箱位置制御器41、同サイズ箱位置制御器42、箱向き制御器43、及び荷姿安定性判定器44が、位置計算部に相当し、積付順序計算器35が順序計算部に相当し、積み順・位置送信部54が指示送信部に相当し、計算処理システム3が計算処理装置に相当する。
【0077】
[2.第2実施形態]
[2-1.第1実施形態との相違点]
第2実施形態は、基本的な構成及び処理は第1実施形態と同様であるため、共通する構成及び処理については説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0078】
第1実施形態では、荷姿計算結果処理システム5は、積み順・位置送信部54を備えており、パレタイズロボットが複数の通い箱を1つのパレットの上に積み付けるシステムを例示した。一方、第2実施形態では、
図13に示すように、パレタイズシステム100が備える荷姿計算結果処理システム105は、積み順・位置送信部54に代えて、荷姿・積付順表示部154を備える。
【0079】
荷姿・積付順表示部154は、荷姿・積付順序結果受信部53が受信した、荷姿の情報と、順序の情報と、表示するモニタである。
作業者は、荷姿・積付順表示部154に表示された指示に従って、通い箱を取りに行き、パレットの上に配置する。
【0080】
[2-2.効果]
第2実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果に加え、以下の効果が得られる。
(2a)上記実施形態によれば、複数の通い箱を1つのパレットの上に積み付ける位置及び順序を可視化することができる。よって、作業者は容易にパレタイズすることができ、作業効率が向上する。
【0081】
[2-3.対応関係]
荷姿・積付順表示部154が表示送信部に相当する。
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0082】
(3a)上記実施形態では、異種混載処理において、CPU31は、荷姿が直方体形状になるように、複数の通い箱を当てはめる構成を例示した。しかし、荷姿の形状は直方体形状に限定されるものではない。箱ユニットの上面に別のパレットを傾かないように積んだと仮定したときに、支持天面が同じ高さになればよく、例えば、荷姿を前方から見た時に、凹形状であってもよい。また例えば、荷姿を上方から見たときに凸形状であってもよい。なお、荷姿が直方体形状の場合、直方体の天面の全域が支持天面に相当する。
【0083】
(3b)上記実施形態では、ダミー箱6が最も少ない形状を選択し、ダミー箱6が最も少ない形状が2つ以上あった場合は、形状の高さが低い方を選択する構成を例示した。しかし、CPU31が荷姿を選択するときの優先順位は、これに限定されるものではない。例えば、CPU31は、高さが最も低い形状を選択し、高さが最も低い形状が2つ以上あった場合は、ダミー箱6が少ない方の形状を選択することとしてもよい。
【0084】
(3c)上記実施形態では、ロボットのアーム7で箱を把持し移動することにより実行することによりパレタイズする構成を例示した。しかし、パレタイズする方法はこれに限定されるものではない。例えば、箱の上面を吸着しながら移動させてパレタイズする構成であってもよい。この場合、積み付け順序処理においてデパレタイズ順序を決定する際には、例えば、最も高い位置に配置されている箱のうちの任意のいずれかをデパレタイズ候補として除外していってもよい。
【0085】
(3d)上記実施形態では、積み付け順序処理において、高い位置に配置された箱、手前に配置された箱、右に配置された箱に対して若い番号になるように、番号を割り振る構成を例示した。つまり、デパレタイズ候補の箱は、高い位置、手前の位置、右の位置、が優先度が高く設定されていた。しかし、箱に番号を割り振る方法はこれに限定されるものではない。例えば、高い位置、奥側の位置、左の位置に配置された箱に対して若い番号になるように、番号を割り振る構成であってもよい。このように、デパレタイズ候補の箱の優先度は、任意に決定してもよい。
【0086】
(3e)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【0087】
(3f)本開示は、前述したパレタイズシステム1の他、当該パレタイズシステム1としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した媒体、パレタイズシステム1を実行する方法など、種々の形態で実現することができる。
【0088】
[本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
パレットの上に積むべき複数の箱についての数及びサイズの情報である箱情報を取得するように構成された取得部(33)と、
前記パレットの上に前記複数の箱の全てを複数の列に分散して各列に積み上げて配置したユニットを箱ユニットとして、前記箱ユニットの上面に別のパレットを傾かないように積んだと仮定したときに、前記箱ユニットの上面のうちの荷重がかかる部位である支持天面が同じ高さになるように、前記取得部により取得された前記箱情報を用いて、前記箱ユニットにおける各箱の位置を計算するように構成された位置計算部(34,37,38,39,40,41,42,43,44)と、
を備える、計算処理装置。
【0089】
[項目2]
項目1に記載の計算処理装置であって、
前記位置計算部により計算された前記位置に前記複数の箱を配置するときの順序を計算するように構成された順序計算部(35)をさらに備える、計算処理装置。
【0090】
[項目3]
項目2に記載の計算処理装置であって、
前記順序計算部は、前記パレットの上から前記複数の箱を降ろすときの順序を基準にして、前記位置に前記複数の箱を配置するときの順序を計算するように構成された、計算処理装置。
【0091】
[項目4]
項目2又は項目3に記載の計算処理装置であって、
前記パレットの上に前記複数の箱を積み付けるパレタイズロボットに対して、前記複数の箱を積み付ける順序及び位置の情報を送信するように構成された指示送信部(54)を更に備える、計算処理装置。
【0092】
[項目5]
項目2から項目4までのいずれか1項に記載の計算処理装置であって、
作業者への指示を表示する表示部に対して、前記複数の箱を積み付ける順序及び位置の情報を送信するように構成された表示送信部(154)を更に備える、計算処理装置。
【0093】
[項目6]
項目1から項目5までのいずれか1項に記載の計算処理装置であって、
前記位置計算部は、前記複数の箱を全て配置しても前記支持天面が同じ高さにならない場合、前記複数の箱とは別の箱である少なくとも1つのダミー箱を前記箱ユニットに追加し、前記支持天面が同じ高さになるように、前記複数の箱と、前記少なくとも1つのダミー箱と、の各位置を計算するように構成された、計算処理装置。
【0094】
[項目7]
項目6に記載の計算処理装置であって、
前記位置計算部は、前記箱ユニットの候補として複数のパターンを計算し、前記ダミー箱の数が最も少なく、前記ダミー箱の数が同じ場合には、前記箱ユニットの高さが最も低いパターンを前記箱ユニットの候補のなかから1つの前記箱ユニットとして選択するように構成された、計算処理装置。
【0095】
[項目8]
項目6又は項目7に記載の計算処理装置であって、
前記位置計算部は、ダミー箱が存在する場合には、前記ダミー箱の上には、前記複数の箱を配置しないように前記位置を計算するように構成された、計算処理装置。
【0096】
[項目9]
項目6から項目8までのいずれか1項に記載の計算処理装置であって、
前記位置計算部は、前記箱ユニットを形成する各列の高さの差が一定以上の場合、各列の高さの差が所定の差よりも小さくなるまで、前記少なくとも1つのダミー箱を低い方の列に配置するように前記位置を計算するように構成された、計算処理装置。
【0097】
[項目10]
項目1から項目9までのいずれか1項に記載の計算処理装置であって、
前記位置計算部は、前記複数の箱の底面のサイズが全て同じ場合と、前記複数の箱の中に底面のサイズが異なる箱が含まれる場合と、では異なる計算処理を実行するように構成された、計算処理装置。
【0098】
[項目11]
項目1から項目10までのいずれか1項に記載の計算処理装置であって、
前記位置計算部は、前記複数の箱の底面のサイズが全て同じ場合、前記支持天面を形成する列の配置と、その他の列の配置と、が予め設定され、列の高さが可変である複数のパターンに当てはめるように計算し、前記複数のパターンに応じた前記箱ユニットの候補のなかから1つの前記箱ユニットを選択するように構成された、計算処理装置。
【0099】
[項目12]
項目1から項目11までのいずれか1項に記載の計算処理装置であって、
前記位置計算部は、所定の底面積の第1箱が、前記第1箱よりも底面積の大きい第2箱よりも上に配置されるように前記位置を計算するように構成された、計算処理装置。
【0100】
[項目13]
項目1から項目12までのいずれか1項に記載の計算処理装置であって、
前記位置計算部は、前記複数の箱のうち、同じサイズの箱は、隣接して配置されるように前記位置を計算するように構成された、計算処理装置。
【0101】
[項目14]
項目1から項目13までのいずれか1項に記載の計算処理装置であって、
前記位置計算部は、前記複数の箱の向きを加味して前記位置を計算するように構成された、計算処理装置。
【符号の説明】
【0102】
1,100…パレタイズシステム、2…荷姿計算指示システム、3…計算処理システム、5,105…荷姿計算結果処理システム、6…ダミー箱、7…アーム、21,31,51…CPU、22,32,52…メモリ、23…パレタイズ計算指示送信部、33…荷姿計算指示受信部、34…荷姿計算器、35…積付順序計算器、36…荷姿・積付順序送信部、37…箱種判定器、38…同種限定荷姿計算器、39…最適解選択器、40…ダミー箱位置制御器、41…箱位置制御器、42…同サイズ箱位置制御器、43…箱向き制御器、44…荷姿安定性判定器、53…荷姿・積付順序結果受信部、54…積み順・位置送信部、154…荷姿・積付順表示部、i…箱。