(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104188
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 1/70 20060101AFI20240726BHJP
E06B 5/00 20060101ALI20240726BHJP
E06B 1/34 20060101ALI20240726BHJP
E06B 1/18 20060101ALN20240726BHJP
【FI】
E06B1/70 Z
E06B5/00 B
E06B1/34 Z
E06B1/18 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008291
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】七山 貴志
(72)【発明者】
【氏名】今井 裕一
【テーマコード(参考)】
2E011
2E239
【Fターム(参考)】
2E011MA02
2E239AB00
(57)【要約】
【課題】建具の断熱性を確保した上で、下枠の上面の排水性も確保する。
【解決手段】建具は、下枠本体と下枠カバーを備え、下枠本体は、外障子レールと内障子レールを有し、下枠カバーは、樹脂を含む材料で作られており、内障子レールの室内側に嵌る室内側カバーとレール間に嵌るレール間カバーがあり、室内側カバーは、下枠全域に亘って取り付けられており、レール間カバーは閉じた外障子の下側となる領域のみに取り付けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下枠本体と下枠カバーを備え、下枠本体は、外障子レールと内障子レールを有し、下枠カバーは、樹脂を含む材料で作られており、内障子レールの室内側に嵌る室内側カバーとレール間に嵌るレール間カバーがあり、室内側カバーは、下枠全域に亘って取り付けられており、レール間カバーは閉じた外障子の下側となる領域のみに取り付けられている建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下枠カバーを備えた建具に関する。
【背景技術】
【0002】
建具は、断熱性やバリアフリー化に関与する下枠カバーを備えたものが知られている。
下枠カバーは、外障子レールと内障子レールとの間に配置されるレール間カバーと、内障子レールの室内側に配置される室内側カバーがあり、それぞれ、下枠全域に亘って配置されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、下枠カバーにより下枠の上面を略フラットな状態にできる一方、下枠の上面が略フラットな状態になると排水性が損なわれるという問題がある。
このことから、建具の断熱性を確保した上で、下枠の上面の排水性も確保することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前述の課題を解決するために請求項1に記載の建具は、下枠本体と下枠カバーを備え、下枠本体は、外障子レールと内障子レールを有し、下枠カバーは、樹脂を含む材料で作られており、内障子レールの室内側に嵌る室内側カバーとレール間に嵌るレール間カバーがあり、室内側カバーは、下枠全域に亘って取り付けられており、レール間カバーは閉じた外障子の下側となる領域のみに取り付けられている。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、前述の構成により、建具の断熱性を確保した上で、下枠の上面の排水性も確保できる建具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明に係る建具の中間省略縦断面図であり、2層ガラスを備えた建具である。
【
図3】室内側カバーとレール間カバーの配置関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態の建具Aを説明する。
以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
また、以下の説明で、樹脂型材で形成される各種部材は、建具Aの断熱性に関わる部材である。
【0008】
建具Aは、
図1および
図2に示すように、躯体aの開口部a1の内周に固定された枠1に、内障子2と外障子3を間口方向(以下、左右方向という)に引違い自在に配置した引違い窓を有するものである。
【0009】
枠1は、上枠1A、下枠1Bおよび左縦枠1C、右縦枠1Dを有して枠組みされた構造のものである。
上枠1A、下枠1Bおよび左縦枠1C、右縦枠1Dは、それぞれ、室内側にある上枠室内側部材10、下枠室内側部材11、左縦枠室内側部材12、右縦枠室内側部材13と、室外側にある上枠室外側部材14、下枠室外側部材15、左縦枠室外側部材16、右縦枠室外側部材17を備えており、これら室内側および室外側の両部材が一体化されて構成されている。
上枠1Aの上枠室内側部材10は、アルミニウム型材で形成された上枠室内側レール部材100と樹脂型材で形成された樹脂部材101を備えている。
上枠1Aの上枠室内側レール部材100は、上枠内障子レール10Aが設けられており、樹脂部材101よりも室外側に配置され、樹脂部材101と係合によって一体化されている。
上枠1Aの上枠室外枠部材14は、上枠外障子レール14Aが設けられた上枠室外側レール部材140と、上枠網戸レール14Bが設けられた上枠網戸側レール部材141を備えている。
上枠室外側レール部材140と上枠網戸側レール部材141は、互いの係合によって一体化されている。
上枠室内側レール部材100と上枠室外側レール部材140は、樹脂型材で形成された連結部材18を介して連結して構成されている。
連結部材18は、上枠室内側レール部材100と上枠室外側レール部材140の連結部分をカシメることによって、上枠室内側部材10と上枠室外側レール部材140をつなぐように固定される。
ここで、左縦枠1Cの左縦枠室内側部材12は、樹脂型材で形成され、左縦枠室外側部材16はアルミニウム型材で形成されている。
右縦枠1Dの右縦枠室内側部材13は、樹脂型材で形成され、右縦枠室外側部材17はアルミニウム型材で形成されている。
【0010】
下枠1Bは、下枠本体10Bと下枠カバー11Bを備えている。
下枠本体10Bは、アルミニウム型材からなる下枠室内側部材11と下枠室外側部材15を有しており、樹脂型材で形成された連結部材18を介して連結して構成されている。
連結部材18は、下枠室内側部材11と下枠室外側部材15の連結部分をカシメることによって、下枠室内側部材11と下枠室外側部材15をつなぐように固定されている。
また、連結部材18は、内障子2の下面から外障子3の下面にわたる見込み幅の領域に配置されており、これにより、室内側への断熱性を確保している。
【0011】
下枠室内側部材11は、左右方向の全域にわたって下枠内障子レール11Aが設けられている。
下枠室外側部材15は、左右方向の全域にわたって下枠外障子レール15Aが設けられていると共に、最も外側の面に左右方向の全域にわたって下枠網戸レール15Bが設けられている。
下枠内障子レール11Aには、内障子2の戸車20が載置され、下枠外障子レール15Aには、外障子3の戸車30が載置されており、戸車20が下枠内障子レール11A上を、戸車30が下枠外障子レール15A上を転がることで、内障子2および外障子3が左右方向に開閉動する。
【0012】
下枠網戸レール15Bは、上端150Bが下枠外障子レール15Aよりも低い位置となるように設けられており、これにより、下枠網戸レール15Bと下枠外障子レール15Aの間に段差を確保し、室内側から室外側への排水性を高めている。
また、下枠網戸レール15Bの上端150Bは、下枠室外側部材15の下枠室外側部材上側面150と略同じ高さにあり、これにより、下枠室外側部材15の室外側において、下枠室外側部材15の下枠室外側部材上側面150と下枠網戸レール15Bの上端150Bの領域を略フラットな状態にできるため、歩行安全性・デザイン性を高めることができる。
【0013】
下枠カバー11Bは、断熱性の確保および下枠1Bの段差を小さくするものであり、樹脂型材で作られた室内側カバー110およびレール間カバー111がある。
室内側カバー110は、
図3に示すように、下枠内障子レール11Aの室内側に嵌っており、下枠1Bの全域に亘って取り付けられている。
室内側カバー110は、上面が下枠内障子レール11Aと略同面であり、下枠内障子レール11Aによる段差を無くしている。
図1に戻り説明を続けると、床面a2側には、室内側カバー110の厚みと略同等の凹部a20が設けられており、この凹部a20に室内側カバー110を入れて固定することで、室内側カバー110の上面と床面a2の上面とを同面にしている。
【0014】
レール間カバー111は、下枠内障子レール11Aと下枠外障子レール15Aのレール間に嵌っており、
図3に示すように、閉じた外障子3の下側となる領域のみに取り付けられている。
このため、閉じられた内障子2側における下枠1Bの上面で排水性を確保できると共に、下枠1Bの全域に室外側カバーを取り付けた従来のものに比べてコストの低減に貢献できる。
レール間カバー111は、上面が下枠内障子レール11Aと下枠外障子レール15Aと略同面であり、下枠内障子レール11Aと下枠外障子レール15Aによる段差を無くしているため、外障子3を開いた状態における歩行安全性を確保できる。
また、レール間カバー111は、内障子2の走行ガイドや脱落防止に関わる垂下片21の下側に潜り込むように室内側へ突出させた突出部1110(
図1参照)を有している。
突出部1110の先端は、下枠内障子レール11Aに当接または近接する程度に突出しており、これによって、レール間カバー111の取り付け時における位置決めを行えると共に、室内側への断熱性を高め、レール間カバー111を外れにくくしている。
【0015】
内障子2および外障子3は、
図1および
図2に示すように、上框4、下框5、戸当り框6、召し合わせ框7を枠組みした内障子2の框2Aと外障子3の框3Aにそれぞれ2層ガラス8を嵌め込んだものである
上框4は、室外側部材A1と室内側部材B1を有して両部材を組み合せることで構成され、下框5は、室外側部材A2と室内側部材B1を有して両部材を組み合せることで構成される。
上框4と下框5は、同じ形状の室内側部材B1を使用しており、上下対称となるように配置される。
下框5の室外側部材A2には、垂下片21が形成されている。
内障子2と外障子3の戸当り框6は、室外側部材A3と室内側部材B2を有して両部材を組み合せることで構成される。
内障子2の召し合わせ框7は、室外側部材A4と室内側部材B3を有して両部材を組み合せることで構成される。
外障子3の召し合わせ框7は、室外側部材A5と室内側部材B4を有して両部材を組み合せることで構成される。
室外側部材A1~A5、アルミニウム型材から形成されており、それぞれ框2Aのガラス間口22の室外側壁Cを有している。
室内側部材B1~B4は、断熱性に関わる樹脂型材から形成されており、それぞれ框2Aのガラス間口22の室内側壁Dを有している。
【0016】
このような下枠1Bを備えた建具Aは、
図3からもわかるように、室内側カバー110が、下枠室内側部材11の全域に取り付けられているため、室内側への断熱を確保できる。
また、レール間カバー111が、閉じた外障子3の下側となる領域のみに取り付けられていることから、閉じられた内障子2側における下枠1Bの上面で排水性を確保できると共に、下枠1Bの全域に室外側カバーを取り付けた従来のものに比べてコストの低減に貢献できる。
また、レール間カバー111が、閉じた外障子3の下側となる領域のみに取り付けられていることから、閉じられた内障子2側における下枠1Bの上面で排水性を確保できると共に、下枠1Bの全域に室外側カバーを取り付けた従来のものに比べてコストの低減に貢献できる。
また、レール間カバー111が、下枠1Bの全域に室外側カバーを取り付けた従来のものは、レール間カバー111の閉じられた内障子2側の領域が風雨にさらされる。当該領域は、泥やごみが付着するとレール間カバー111とレールの間にできたわずかな隙間に入り込み、排水を妨げることになる。そのため、レール間カバー111を取り外して行う清掃作業を頻繁に行う必要が生じる。実施例のレール間カバー111は、閉じた外障子3の下側となる領域のみに取り付けられていることから、風雨にさらされる領域部分にはレール間カバー111が設けられておらず、泥やごみが溜まりにくい。さらに、実施例は、レール間カバー111を外して行う清掃作業の頻度を激減させる。
また、レール間カバー111が、閉じた外障子3の下側となる領域のみに取り付けられていることから、室内側カバー110の半分の長さとなるため、材料の節減に貢献でき、ひいては、コストの低減に貢献できる。
さらに、室内側カバー110と下枠室内側部材11とで室内側への断熱性を確保していることから、下枠外障子レール15Aの室外側(下枠網戸レール15Bの側)にカバーを取り付ける必要がないため、材料の節減に貢献でき、ひいては、下枠1Bの全域に室外側カバーを取り付けた従来のものに比べてコストの低減に貢献できる。
さらに、外障子3を開いたときに、室内側カバー110とレール間カバー111とで、下枠1Bの上面を段差のない略フラットな状態にできる。
したがって、建具Aは、断熱性を確保した上で、下枠1Bの排水性を確保することができると共に、断熱に必要な材料を節減してコストの低減をすることができ、且つ外障子3を開いたときに下枠1Bの上面が略フラットであるので、バリアフリー化に貢献することができる。
【0017】
以上、本発明に係る実施形態の建具Aを、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0018】
また、前述の各実施形態は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合せることが可能である。
【符号の説明】
【0019】
A:建具
11A:下枠内障子レール
15A:下枠外障子レール
11B:下枠カバー
110:室内側カバー
111:レール間カバー
3:外障子