(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104195
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】インターホン機器
(51)【国際特許分類】
H01H 23/14 20060101AFI20240726BHJP
H04M 1/02 20060101ALI20240726BHJP
H01H 23/30 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
H01H23/14
H04M1/02 G
H01H23/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008301
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135127
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 正己
(72)【発明者】
【氏名】上山 基希
(72)【発明者】
【氏名】榊原 彰人
(72)【発明者】
【氏名】宮本 翔平
(72)【発明者】
【氏名】牧野 友哉
【テーマコード(参考)】
5G035
5K023
【Fターム(参考)】
5G035AA24
5G035CA04
5G035CB01
5G035DA15
5K023AA05
5K023BB03
5K023BB04
5K023CC02
5K023GG08
5K023LL06
5K023QQ05
(57)【要約】
【課題】ボタン部を構成する部品点数が少なくて構造が簡素であり、小型化及び低コスト化を図ることができるインターホン機器を提供する。
【解決手段】操作部12の左部を押し込み操作すると、左側の上支点突起16が左側の支持凸部24の前面に、左側の下支点突起17がシート部材20の下端部表面に夫々当接し、当該当接箇所を支点として操作部12が左方に傾動することにより左スイッチ31が操作され、操作部12の右部を押し込み操作すると、右側の上支点突起16が右側の支持凸部24の前面に、右側の下支点突起17がシート部材20の下端部表面に夫々当接し、当該当接箇所を支点として操作部12が右方に傾動することにより右スイッチ32が操作されるようにした。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースの前面に、所定方向へ長い操作部を有する操作部材を備えた押し込み操作可能なボタン部が設けられているとともに、
前記本体ケース内における前記操作部の後方に、第1スイッチと第2スイッチとが前記操作部の長手方向に所定の間隔を空けて設置されており、
前記操作部の長手方向で一方側の端部を押し込み操作すると前記第1スイッチが操作され、他方側の端部を押し込み操作すると前記第2スイッチが操作されるインターホン機器であって、
前記操作部材における前記操作部の長手方向で前記第1スイッチと前記第2スイッチとの間となる箇所に、後方へ突出する第1支点突起が設けられているとともに、前記操作部における前記第1支点突起から前記操作部の短手方向へ所定の間隔だけ離れた位置に、後方へ突出する第2支点突起が設けられている一方、
前記本体ケース内に、前記操作部の押し込み操作に伴って前記第1支点突起の先端と前記第2支点突起の先端とが夫々当接する支点受け部が設けられており、
前記操作部の前記一方側の端部を押し込み操作すると、前記第1支点突起及び前記第2支点突起が前記支点受け部に夫々当接し、当該当接箇所を支点として前記操作部が前記一方側に傾動することにより前記第1スイッチが操作され、
前記操作部の前記他方側の端部を押し込み操作すると、前記第1支点突起及び前記第2支点突起が前記支点受け部に夫々当接し、当該当接箇所を支点として前記操作部が前記他方側に傾動することにより前記第2スイッチが操作されることを特徴とするインターホン機器。
【請求項2】
前記第1支点突起と前記第2支点突起とが前記操作部の長手方向に夫々2つずつ設けられており、
前記操作部の前記一方側の端部を押し込み操作すると、前記一方側の前記第1支点突起及び前記第2支点突起が前記支点受け部に夫々当接し、当該当接箇所を支点として前記操作部が前記一方側に傾動することにより前記第1スイッチが操作され、
前記操作部の前記他方側の端部を押し込み操作すると、前記他方側の前記第1支点突起及び前記第2支点突起が前記支点受け部に夫々当接し、当該当接箇所を支点として前記操作部が前記他方側に傾動することにより前記第2スイッチが操作され、
さらに、前記操作部の長手方向で中央部を押し込み操作すると、全ての前記第1支点突起及び前記第2支点突起が前記支点受け部に当接し、前記第1スイッチと前記第2スイッチとの何れも操作されないことを特徴とする請求項1に記載のインターホン機器。
【請求項3】
前記操作部材と前記第1スイッチ及び前記第2スイッチとの間に、弾性を有する合成樹脂製のシート部材が介在されており、
前記シート部材の表面に、前記支点受け部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のインターホン機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば来訪者が居住者を呼び出すための呼出ボタン等の押し込み操作可能なボタン部を設けたインターホン機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のインターホン機器には、1つの操作部材で2つのスイッチを選択的に操作可能に構成されたボタン部を設けてなるものがある。たとえば特許文献1に記載されている音量調整ボタンでは、左右方向に長い操作部材の中央部分が上下方向を軸として軸支されることで、操作部材の前面が左側へ向かって後方へ傾斜する第1姿勢と、操作部材の前面が右側へ向かって後方へ傾斜する第2姿勢との間で傾動可能とされている。そして、操作部材の左部を押し込み操作して第1姿勢にすると第1スイッチが操作される一方、操作部材の右部を押し込み操作して第2姿勢にすると第2スイッチが操作されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の発明では、操作部材を軸支するための部品点数が多くて構造が複雑であるため、インターホン機器を小型化しづらい、インターホン機器のコスト高を招く等の問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、ボタン部を構成する部品点数が少なくて構造が簡素であり、小型化及び低コスト化を図ることができるインターホン機器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、本体ケースの前面に、所定方向へ長い操作部を有する操作部材を備えた押し込み操作可能なボタン部が設けられているとともに、本体ケース内における操作部の後方に、第1スイッチと第2スイッチとが操作部の長手方向に所定の間隔を空けて設置されており、操作部の長手方向で一方側の端部を押し込み操作すると第1スイッチが操作され、他方側の端部を押し込み操作すると第2スイッチが操作されるインターホン機器であって、操作部材における操作部の長手方向で第1スイッチと第2スイッチとの間となる箇所に、後方へ突出する第1支点突起が設けられているとともに、操作部における第1支点突起から操作部の短手方向へ所定の間隔だけ離れた位置に、後方へ突出する第2支点突起が設けられている一方、本体ケース内に、操作部の押し込み操作に伴って第1支点突起の先端と第2支点突起の先端とが夫々当接する支点受け部が設けられており、操作部の一方側の端部を押し込み操作すると、第1支点突起及び第2支点突起が支点受け部に夫々当接し、当該当接箇所を支点として操作部が一方側に傾動することにより第1スイッチが操作され、操作部の他方側の端部を押し込み操作すると、第1支点突起及び第2支点突起が支点受け部に夫々当接し、当該当接箇所を支点として操作部が他方側に傾動することにより第2スイッチが操作されることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、操作部材を傾動可能に軸支するための軸体や軸受け等を設ける必要がないため、ボタン部を構成する部品点数が少なくて構造が簡素であり、インターホン機器の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、第1支点突起と第2支点突起とが操作部の長手方向に夫々2つずつ設けられており、操作部の一方側の端部を押し込み操作すると、一方側の第1支点突起及び第2支点突起が支点受け部に夫々当接し、当該当接箇所を支点として操作部が一方側に傾動することにより第1スイッチが操作され、操作部の他方側の端部を押し込み操作すると、他方側の第1支点突起及び第2支点突起が支点受け部に夫々当接し、当該当接箇所を支点として操作部が他方側に傾動することにより第2スイッチが操作され、さらに、操作部の長手方向で中央部を押し込み操作すると、全ての第1支点突起及び第2支点突起が支点受け部に当接し、第1スイッチと第2スイッチとの何れも操作されないことを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、操作部の中央部分を操作した際には第1スイッチと第2スイッチとの何れも操作されないため、ユーザーが操作部の中央部分を操作してしまい、2つのスイッチのうちどちらのスイッチが操作されたか分からない等の事態が起こりにくく、使い勝手の良いインターホン機器とすることができる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、操作部材と第1スイッチ及び第2スイッチとの間に、弾性を有する合成樹脂製のシート部材が介在されており、シート部材の表面に、支点受け部が設けられていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、簡易な構造で支点受け部を設けることができるし、たとえば上支点突起や下支点突起を第1スイッチ及び第2スイッチが搭載された基板の表面に当接させるような構成と比較すると、基板が傷つきにくい構造とすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、操作部材における操作部の長手方向で第1スイッチと第2スイッチとの間となる箇所に、後方へ突出する第1支点突起を設けるとともに、操作部における第1支点突起から操作部の短手方向へ所定の間隔だけ離れた位置に、後方へ突出する第2支点突起を設ける一方、本体ケース内に、操作部の押し込み操作に伴って第1支点突起の先端と第2支点突起の先端とが夫々当接する支点受け部を設けた。そして、操作部の一方側の端部を押し込み操作すると、第1支点突起及び第2支点突起が支点受け部に夫々当接し、当該当接箇所を支点として操作部が一方側に傾動することにより第1スイッチが操作され、操作部の他方側の端部を押し込み操作すると、第1支点突起及び第2支点突起が支点受け部に夫々当接し、当該当接箇所を支点として操作部が他方側に傾動することにより第2スイッチが操作されるようにした。
したがって、操作部材を傾動可能に軸支するための軸体や軸受け等を設ける必要がないため、ボタン部を構成する部品点数が少なくて構造が簡素であり、インターホン機器の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】インターホン子機を正面から示した説明図である。
【
図2】呼出ボタンが分解された状態にあるインターホン子機の斜視説明図である。
【
図3】操作部材及びシート部材を前方から示した斜視説明図である。
【
図4】操作部材及びシート部材を後方から示した斜視説明図である。
【
図5】
図1中のA-A線断面における呼出ボタン部分を拡大して示した説明図である。
【
図6】
図1中のB-B線断面における呼出ボタン部分を拡大して示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態となるインターホン子機について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0012】
図1は、インターホン子機1を正面から示した説明図である。
図2は、呼出ボタン10が分解された状態にあるインターホン子機1の斜視説明図である。
図3は、操作部材11及びシート部材20を前方から示した斜視説明図である。
図4は、操作部材11及びシート部材20を後方から示した斜視説明図である。
図5は、
図1中のA-A線断面における呼出ボタン10部分を拡大して示した説明図である。
図6は、
図1中のB-B線断面における呼出ボタン10部分を拡大して示した説明図である。
【0013】
インターホン子機1は、前側に配置される前ケース2及び後側に配置される後ケース3を組み付けた本体ケースと、その本体ケースを前方から覆うように組み付けられた化粧カバー4とを有してなる。また、インターホン子機1の前面上部には、インターホン子機1の前方を撮像するためのカメラ部5が設けられている。さらに、インターホン子機1の前面におけるカメラ部5の右側には、通話のためのマイク部6が設けられている。加えて、インターホン子機1の前面におけるカメラ部5の下側には、居住者の氏名等を表示可能であるとともに通話のためのスピーカ部としての機能や夜間照明としての機能をも兼ね備えたネーム表示部7と、来訪者が居住者を呼び出す際に押し込み操作する呼出ボタン10とが設けられている。
【0014】
そして、このようなインターホン子機1は、たとえば二世帯住宅の玄関の壁面等に設置されており、来訪者によって呼出ボタン10の左部が押し込み操作されると、本体ケース内に設置された左スイッチ31が操作され、左スイッチ31に対応づけられた図示しないインターホン親機(一方の世帯に設置されているもの)を呼び出す。一方、呼出ボタン10の右部が押し込み操作されると、本体ケース内に設置された右スイッチ32が操作され、右スイッチ32に対応づけられた図示しないインターホン親機(他方の世帯に設置されているもの)を呼び出す。また、カメラ部5を作動させて来訪者等を含んだインターホン子機1前方の映像を撮像し、呼び出したインターホン親機へ映像を送信する。さらに、インターホン親機において応答ボタンが操作されると、マイク部6及びスピーカ部を作動させ、インターホン親機との間で通話可能な状態とする。
【0015】
ここで、本発明の要部となる呼出ボタン10周りの構造について説明する。
呼出ボタン10は、メイン基板30と、メイン基板30の前側に配置されるシート部材20と、シート部材20の前面に取り付けられる操作部材11とを備えてなる。メイン基板30は、インターホン子機1の主たる動作(インターホン親機との間での通話や映像の送信に係る動作)を制御するもので、該メイン基板30の前面下部には、呼出ボタン10によって操作可能な左スイッチ31及び右スイッチ32が左右方向に所定の間隔を空けて搭載されている。
【0016】
シート部材20は、弾性を有する合成樹脂(たとえばシリコンゴム)により成形されたシート状の部材である。そして、シート部材20の左部で、メイン基板30の前側に配置した際に左スイッチ31の前方となる箇所には、薄肉部を介して周囲よりも前方へ持ち上げられた状態にある左操作段部21が設けられており、該左操作段部21は、後述するような操作部材11の押し込み操作に伴い前後方向へ移動可能となっている。また、シート部材20の前面右部で、右スイッチ32の前方となる箇所にも、左操作段部21同様に薄肉部を介して周囲よりも前方へ持ち上げられた状態にある右操作段部22が設けられており、該右操作段部22は、操作部材11の押し込み操作に伴い前後方向へ移動可能となっている。
【0017】
さらに、シート部材20の前面における左操作段部21及び右操作段部22よりも上側で、且つ、左右方向において左操作段部21及び右操作段部22の間となる箇所には、前方へ突出する2つの支持凸部24、24が左右方向に所定の間隔を空けて設けられている。なお、シート部材20の上端部には、メイン基板30の位置決め孔33に挿入可能であるとともに前ケース2から後方へ突設された位置決め突起(図示せず)が嵌入可能な位置決め筒部25が後方へ突設されている。また、シート部材20の左右両端部には、前ケース2から後方へ突設された取付突起(図示せず)が挿入可能な取付孔26、26が夫々穿設されている。
【0018】
操作部材11は、左右方向へ長い略方体箱状に成形され、且つ、後側に開口する操作部12と、操作部12の外周面(上面、左右両側面、及び下面)の後端から夫々外方へ突出する鍔部13とを備えてなる。操作部12の左右長さは、シート部材20における左操作段部21から右操作段部22までの左右長さよりも長く成形されており、操作部12の左端部で、シート部材20の前側に配置した際に左操作段部21の前方となる箇所には、操作部12の前板から後方へ突出する左操作突起14が設けられている。また、操作部12の右端部で、シート部材20の前側に配置した際に右操作段部22の前方となる箇所には、操作部12の前板から後方へ突出する右操作突起15が設けられている。さらに、鍔部13の上辺部(操作部12から上方へ突出する箇所)で、シート部材20の前側に配置した際に支持凸部24、24の前方となる箇所には、後方へ突出する2つの上支点突起16、16が設けられている。加えて、鍔部13の下辺部(操作部12から下方へ突出する箇所)で、上支点突起16、16から鉛直下方となる位置(すなわち、上支点突起16、16から操作部12の短手方向で所定の間隔だけ離れた位置)には、後方へ突出する2つの下支点突起17、17が設けられている。すなわち、操作部材11における左端部に左操作突起14が設けられ、右端部に右操作突起15が設けられている一方、操作部材11における左右方向で中央部に、上支点突起16、16と下支点突起17、17とが設けられている。
【0019】
なお、前ケース2には、操作部12を挿通可能なケース操作窓8が開設されており、操作部材11は、前ケース2の前板後面におけるケース操作窓8の開口周縁とシート部材20とにより前後から挟持されて取り付けられる。また、化粧カバー4には、操作部12を露出させるためのカバー操作窓9が開設されている。
【0020】
そして、上述したように構成された呼出ボタン10は、メイン基板30を後ケース3にネジ止めする一方、ケース操作窓8を介して操作部12が前方へ突出するように、前ケース2の後面側から操作部材11を配置し、更に位置決め筒部25に位置決め突起を嵌入させる等して操作部材11の後側を覆うようにシート部材20を配置する。そして、前ケース2と後ケース3とを一体化すれば、左スイッチ31の前方に左操作段部21が、右スイッチ32の前方に右操作段部22が夫々位置した状態でシート部材20がメイン基板30の前側に配置され、且つ、左操作段部21の前面に左操作突起14が、右操作段部22の前面に右操作突起15が夫々当接した状態で操作部材11がシート部材20の前側に配置されて、呼出ボタン10が組み立てられる。
【0021】
また、上述のようにして組み立てられた呼出ボタン10においては、
図6に示すように上支点突起16、16が支持凸部24、24の前面に近接しているとともに、下支点突起17、17がシート部材20の下端部表面に近接している。そして、呼出ボタン10では、操作部材11の左部を後方へ押し込み操作すると、左側の上支点突起16が左側の支持凸部24の表面に、左側の下支点突起17がシート部材20の表面に夫々当接するとともに、該当接箇所が支点となって操作部材11が左方へ傾動する。したがって、左操作突起14によって左操作段部21が押圧され、該左操作段部21が後方へ移動して左スイッチ31に接触し、左スイッチ31が操作される。一方、操作部材11の右部を後方へ押し込み操作すると、右側の上支点突起16が右側の支持凸部24の表面に、右側の下支点突起17がシート部材20の表面に夫々当接するとともに、該当接箇所が支点となって操作部材11が右方へ傾動する。したがって、右操作突起15によって右操作段部22が押圧され、該右操作段部22が後方へ移動して右スイッチ32に接触し、右スイッチ32が操作される。なお、操作部材11の左右方向で中央部分が押し込み操作されたとしても、左右両上支点突起16、16が支持凸部24、24の表面に、左右両下支点突起17、17がシート部材20の表面に夫々当接するため、操作部材11が左右何れかに傾倒することはなく、ひいては左スイッチ31と右スイッチ32との何れも操作されない。
【0022】
以上のような構成を有するインターホン子機1によれば、操作部材11における左右方向で左操作突起14と右操作突起15との間となる箇所には、後方へ突出する2つの上支点突起16、16が設けられているとともに、上支点突起16、16の鉛直下方に、後方へ突出する下支点突起17、17が設けられている。また、操作部材11と左スイッチ31及び右スイッチ32が搭載されたメイン基板30との間に合成樹脂製のシート部材20が配されており、シート部材20の表面に支点受け部を設けている。具体的には、支持凸部24、24の前面及びシート部材20の下端部表面を、操作部12の押し込み操作に伴い上支点突起16及び下支点突起17が当接する支点受け部としている。そして、操作部12の左部を押し込み操作すると、左側の上支点突起16が左側の支持凸部24の前面に、左側の下支点突起17がシート部材20の下端部表面に夫々当接し、当該当接箇所を支点として操作部12が左方に傾動することにより左スイッチ31が操作され、操作部12の右部を押し込み操作すると、右側の上支点突起16が右側の支持凸部24の前面に、右側の下支点突起17がシート部材20の下端部表面に夫々当接し、当該当接箇所を支点として操作部12が右方に傾動することにより右スイッチ32が操作されるようにした。したがって、操作部材11を傾動可能に軸支するための軸体や軸受け等を設ける必要がないため、呼出ボタン10を構成する部品点数が少なくて構造が簡素であり、インターホン子機1の小型化及び低コスト化を図ることができる。さらに、シート部材20に支点受け部を設けているため、簡易な構造で支点受け部を設けることができるし、たとえば上支点突起16や下支点突起17をメイン基板30の表面に当接させるような構成と比較すると、メイン基板30が傷つきにくい構造とすることができる。
【0023】
また、操作部材11の左右方向で中央部分が押し込み操作されると、左右両上支点突起16、16が支持凸部24、24の表面に、左右両下支点突起17、17がシート部材20の表面に夫々当接し、操作部材11が左右何れにも傾倒せず、ひいては左スイッチ31と右スイッチ32との何れも操作されないようにしている。したがって、ユーザーが操作部12の中央部分を操作してしまい、左スイッチ31と右スイッチ32との何れが操作されたか分からない等の事態が起こりにくく、使い勝手の良いインターホン子機1とすることができる。
【0024】
なお、本発明に係るインターホン機器は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、インターホン機器の全体的な構成は勿論、ボタン部周りの構成等についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0025】
たとえば、上記実施形態では、上支点突起及び下支点突起を2つずつ設けているが、それぞれ1つとしても本発明を構成することは可能である。また、上支点突起及び下支点突起の位置についても、操作部材における操作部の長手方向で第1スイッチと第2スイッチとの間となる箇所に設けられていれば、鍔部の後面とした上記位置に限定されることはない。
また、上記実施形態では、左右方向へ長い操作部を有する操作部材を採用しているが、たとえば上下方向へ長い操作部を有する操作部材を採用することも可能で、その際には、操作部材を押し込み操作することで上スイッチと下スイッチとが選択的に操作されることになる。
【0026】
さらに、上記実施形態では、シート部材の表面に支点受け部を設けているが、たとえばスイッチが搭載されている基板の表面に支点受け部を設けたり、本体ケース内に支点受け部としての突起を設けたりしてもよく、どのような部位にどのような支点受け部を設けるかについては適宜設計変更可能である。
【0027】
さらにまた、上記実施形態では、シート部材を介在させ、シート部材の左操作段部や右操作段部がスイッチを操作するように構成しているが、操作部の後面に設けられた左操作突起や右操作突起が直接スイッチを操作するように構成してもよい。すなわち、シート部材を介在させずにボタン部を構成することも可能である。
加えて、上記実施形態では、インターホン機器の一例であるインターホン子機について説明しているが、本発明は、所定方向へ長い操作部を有する操作部材を備えた押し込み操作可能なボタン部が設けられてさえいれば、インターホン親機や集合玄関機等の他のインターホン機器についても好適に適用することができるし、ボタン部についても当然ながら呼出ボタンに限定されることはなく、設定ボタンや音量調整ボタン等の他のボタンであっても何ら問題はない。
【符号の説明】
【0028】
1・・インターホン子機(インターホン機器)、2・・前ケース(本体ケース)、3・・後ケース(本体ケース)、4・・化粧カバー、10・・呼出ボタン(ボタン部)、11・・操作部材、12・・操作部、14・・左操作突起、15・・右操作突起、16・・上支点突起(第1支点突起)、17・・下支点突起(第2支点突起)、20・・シート部材(支点受け部)、21・・左操作段部、22・・右操作段部、24・・支持凸部(支点受け部)、30・・メイン基板、31・・左スイッチ(第1スイッチ)、32・・右スイッチ(第2スイッチ)。