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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104196
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】ヒータ、および加熱装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/18 20060101AFI20240726BHJP
【FI】
H05B3/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008306
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】壷内 暁夫
(72)【発明者】
【氏名】酒井 誠
(72)【発明者】
【氏名】玉井 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】青野 伸二郎
(72)【発明者】
【氏名】土居 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】加藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】峯山 祐実
(72)【発明者】
【氏名】大橋 剛
(72)【発明者】
【氏名】上野 宏輔
(72)【発明者】
【氏名】田村 海里
【テーマコード(参考)】
3K092
【Fターム(参考)】
3K092PP18
3K092QA05
3K092QB30
3K092RF17
(57)【要約】
【課題】始動時の応答速度が速く、且つ、省電力化を図ることができるヒータ、および加熱装置を提供することである。
【解決手段】実施形態に係るヒータは、印字の消去に用いられるヒータである。前記ヒータは、金属、またはセラミックスを含み、一方の方向に延びる形状を有する基板と;前記基板の、一方の面側に設けられ、前記基板の長手方向に沿って延びる発熱体と;前記基板の長手方向に沿って延び、前記発熱体を覆う保護部と;を具備している。前記基板の厚みは、0.3mm以上、1.0mm以下である。前記基板の幅寸法は、5mm以上、15mm以下である。前記基板の長さは、250mm以上、400mm以下である。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字の消去に用いられるヒータであって、
金属、またはセラミックスを含み、一方の方向に延びる形状を有する基板と;
前記基板の、一方の面側に設けられ、前記基板の長手方向に沿って延びる発熱体と;
前記基板の長手方向に沿って延び、前記発熱体を覆う保護部と;
を具備し、
前記基板の厚みは、0.3mm以上、1.0mm以下であり、
前記基板の幅寸法は、5mm以上、15mm以下であり、
前記基板の長さは、250mm以上、400mm以下であるヒータ。
【請求項2】
印字の消去に用いられる加熱装置であって、
請求項1記載のヒータと;
湾曲した形状を有し、前記ヒータが埋め込まれるステーと;
前記ヒータが埋め込まれた前記ステーを覆うフィルムベルトと;
を具備した加熱装置。
【請求項3】
前記ステーに埋め込まれた前記ヒータに対向するプレスローラをさらに具備した請求項2記載の加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ヒータ、および加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱による印字、および熱による印字の消去が可能なリライタブル用紙がある。一般的に、リライタブル用紙の表面には、可逆性感熱記録層が設けられている。可逆性感熱記録層が設けられたリライタブル用紙に加熱による印字を行い、その後、急冷すると印字が定着する。印字がされたリライタブル用紙を加熱し、その後、徐冷すると印字が消去される。
【0003】
そのため、リライタブルプリンタなどには、リライタブル用紙への印字を行う印字装置と、リライタブル用紙の印字の消去を行う消去装置とが設けられている。
【0004】
印字装置には、発熱素子を有するサーマルヘッドが設けられ、印字の消去のための加熱温度よりも高い温度にリライタブル用紙を加熱することで、加熱後の急冷、ひいては印字の定着が行える様にしている。
【0005】
消去装置には、リライタブル用紙を加熱するヒートローラと、リライタブル用紙をヒートローラに押し付けるプレスローラとが設けられている。ヒートローラの内部にはハロゲンヒータが設けられ、ヒートローラとプレスローラとに挟まれたリライタブル用紙に熱を伝えることで、加熱後の徐冷、ひいては印字の消去が行える様にしている。
【0006】
ここで、加熱装置(消去装置)の熱源にはハロゲンヒータが用いられている。しかしながら、ハロゲンヒータには必要な温度に達するまでの時間が長くなるという問題がある。またさらに、ハロゲンヒータが設けられたヒートローラの温度が必要な温度に達するまでの時間はさらに長くなる。そのため、熱源にハロゲンヒータを用いると、始動時の応答速度が遅くなる。また、待機時においては、ヒートローラの温度を維持する必要があるので、消費電力が大きくなる。
そこで、始動時の応答速度が速く、且つ、省電力化を図ることができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011-076319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、始動時の応答速度が速く、且つ、省電力化を図ることができるヒータ、および加熱装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態に係るヒータは、印字の消去に用いられるヒータである。前記ヒータは、金属、またはセラミックスを含み、一方の方向に延びる形状を有する基板と;前記基板の、一方の面側に設けられ、前記基板の長手方向に沿って延びる発熱体と;前記基板の長手方向に沿って延び、前記発熱体を覆う保護部と;を具備している。前記基板の厚みは、0.3mm以上、1.0mm以下である。前記基板の幅寸法は、5mm以上、15mm以下である。前記基板の長さは、250mm以上、400mm以下である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態によれば、始動時の応答速度が速く、且つ、省電力化を図ることができるヒータ、および加熱装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施の形態に係るヒータを、Z方向における一方の側から見た場合の模式図である。
図2】ヒータを、Z方向における他方の側から見た場合の模式図である。
図3図1におけるヒータのA-A線方向の模式断面図である。
図4】リライタブルプリンタを例示するための模式図である。
図5】比較例に係る加熱装置を例示するための模式斜視図である。
図6】加熱装置を例示するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。また、各図面中の矢印X、Y、Zは互いに直交する三方向を表している。例えば、ヒータに設けられた基板の長手方向をX方向、基板の短手方向(幅方向)をY方向、基板の面に垂直な方向をZ方向としている。
【0013】
(ヒータ)
後述するように、本実施の形態に係るヒータ1は、印字の消去に用いることができる。
図1は、本実施の形態に係るヒータ1を、Z方向における一方の側から見た場合の模式図である。
図2は、ヒータ1を、Z方向における他方の側から見た場合の模式図である。
図3は、図1におけるヒータ1のA-A線方向の模式断面図である。
図1図3に示すように、ヒータ1は、例えば、基板10、絶縁部21、絶縁部22、発熱体31、発熱体32、配線部41、配線部42、保護部51、および保護部52を有する。絶縁部21、発熱体31、配線部41、および保護部51は、Z方向における基板10の一方の面10a側に設けられている。絶縁部22、発熱体32、配線部42、および保護部52は、Z方向における基板10の他方の面10b側に設けられている。
【0014】
基板10は、板状を呈し、面10aと、面10aに対向する面10bと、を有する。基板10は、一方の方向(例えば、X方向)に延びる形状を有している。基板10の平面形状は、例えば、長尺状の長方形である。基板10の厚みは、例えば、0.3mm以上、1.0mm以下である。基板10の幅寸法W(短手方向の寸法;Y方向の寸法)は、例えば、5mm以上、15mm以下である。基板10の長さL(長手方向の寸法;X方向の寸法)は、加熱対象物(例えば、リライタブル用紙など)のサイズなどに応じて適宜変更することができる。基板10の長さLは、例えば、250mm以上、400mm以下である。
【0015】
基板10は、耐熱性を有し、熱伝導率の高い材料から形成される。基板10の材料は、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス、ステンレスやアルミニウム合金などの金属とすることができる。なお、以下においては一例として、基板10の材料が金属である場合を説明する。
【0016】
図1、および図3に示すように、絶縁部21は、絶縁性を有し、基板10の面10aに設けられている。絶縁部21は、例えば、基板10の面10aを覆う様に設けることができる。絶縁部21は、金属を含む基板10と、発熱体31および配線部41と、の間を絶縁するために設けられている。そのため、絶縁部21は、基板10と、発熱体31および配線部41と、の間に設けられる。絶縁部21は、例えば、セラミックスやガラス材料などの無機材料から形成することができる。絶縁部21は、例えば、溶射や焼成などにより形成することができる。
なお、基板10の材料がセラミックスの場合には、絶縁部21を省くことができる。
【0017】
発熱体31は、印加された電力を熱(ジュール熱)に変換する。発熱体31は、絶縁部21の上(絶縁部21の基板10側とは反対側の面)に設けられている。発熱体31は、例えば、基板10の長手方向(X方向)に沿って延びている。発熱体31は、例えば、酸化ルテニウム(RuO)や、銀・パラジウム(Ag-Pd)合金などを用いて形成される。発熱体31は、例えば、スクリーン印刷法などを用いてペースト状の材料を絶縁部21の上に塗布し、焼成法などを用いてこれを硬化させることで形成することができる。
【0018】
配線部41は、例えば、絶縁部21の、発熱体31が設けられる面に設けられる。配線部41は、例えば、端子41a、および配線41bを有する。
例えば、端子41aは、一対設けることができる。一対の端子41aのそれぞれは、例えば、X方向における基板10の両側の端部の近傍に設けられる。一対の端子41aは、例えば、コネクタおよび配線などを介して、電源や制御回路などと電気的に接続される。
【0019】
例えば、配線41bは、一対設けることができる。一対の配線41bのそれぞれは、端子41aと発熱体31とを電気的に接続する。配線41bの一方の端部は、端子41aと電気的に接続されている。配線41bの他方の端部は、発熱体31と電気的に接続されている。
【0020】
端子41a、および配線41bは、例えば、銀や銅などを含む材料を用いて形成される。例えば、端子41a、および配線41bは、スクリーン印刷法などを用いてペースト状の材料を絶縁部21の上に塗布し、焼成法などを用いてこれを硬化させることで形成することができる。
【0021】
保護部51は、例えば、絶縁部21の上に設けられ、基板10の長手方向(X方向)に沿って延びている。保護部51は、例えば、発熱体31および配線41bを覆っている。この場合、端子41aは、保護部51から露出している。
【0022】
保護部51は、例えば、発熱体31および配線41bを絶縁する機能、発熱体31において発生した熱を外部に伝える機能、および、外力や腐食性ガスなどから発熱体31および配線41bを保護する機能を有する。保護部51は、耐熱性および絶縁性を有し、化学的安定性および熱伝導率の高い材料から形成される。保護部51は、例えば、セラミックスや、ガラス材料などの無機材料から形成される。この場合、酸化アルミニウムなどの熱伝導率の高い材料を含むフィラーが添加されたガラス材料を用いて保護部51を形成することもできる。フィラーが添加されたガラス材料の熱伝導率は、例えば、2[W/(m・K)]以上とすることができる。
【0023】
保護部51は、例えば、スクリーン印刷法などを用いてペースト状の材料を絶縁部21、発熱体31、および配線41bの上に塗布し、焼成法などを用いてこれを硬化させることで形成することができる。
【0024】
図2、および図3に示すように、絶縁部22は、絶縁性を有し、基板10の面10bに設けられている。絶縁部22は、例えば、基板10の面10bを覆う様に設けることができる。絶縁部22は、金属を含む基板10と、発熱体32および配線部42と、の間を絶縁するために設けられている。そのため、絶縁部22は、基板10と、発熱体32および配線部42と、の間に設けられる。絶縁部22の形成範囲、材料、および形成方法は、例えば、前述した絶縁部21の形成範囲、材料、および形成方法と同じとすることができる。なお、基板10の材料がセラミックスの場合には、絶縁部22を省くことができる。
【0025】
発熱体32は、印加された電力を熱(ジュール熱)に変換する。発熱体32は、絶縁部22の上(絶縁部22の基板10側とは反対側の面)に設けられている。発熱体32は、例えば、基板10の長手方向(X方向)に沿って延びている。発熱体32の材料と形成方法は、例えば、前述した発熱体31の材料と形成方法と同じとすることができる。
【0026】
配線部42は、例えば、絶縁部22の、発熱体32が設けられる面に設けられる。配線部42は、例えば、端子42a、および配線42bを有する。
例えば、端子42aは、一対設けることができる。一対の端子42aのそれぞれは、例えば、X方向における基板10の両側の端部の近傍に設けることができる。一対の端子42aは、例えば、コネクタおよび配線などを介して、電源や制御回路などと電気的に接続される。
【0027】
例えば、配線42bは、一対設けることができる。一対の配線42bのそれぞれは、端子42aと発熱体32とを電気的に接続する。配線42bの一方の端部は、端子42aと電気的に接続されている。配線42bの他方の端部は、発熱体32と電気的に接続されている。
端子42a、および配線42bの材料と形成方法は、例えば、前述した端子41a、および配線41bの材料と形成方法と同じとすることができる。
【0028】
保護部52は、例えば、絶縁部22の上に設けられ、基板10の長手方向(X方向)に沿って延びている。保護部52は、例えば、発熱体32、および配線42bを覆っている。この場合、端子42aは、保護部52から露出している。保護部52の機能、材料、および形成方法は、例えば、前述した保護部51の機能、材料、および形成方法と同じとすることができる。
【0029】
また、ヒータ1には、発熱体31の温度を検出する検出部と、発熱体32の温度を検出する検出部をさらに設けることもできる。検出部は、例えば、サーミスタなどとすることができる。検出部は、基板10の、発熱体31が設けられる側、および基板10の、発熱体32が設けられる側の少なくともいずれかに設けることができる。この場合、保護部51、52は、検出部を覆うことができる。
【0030】
ここで、以上においては、基板10の面10bにも絶縁部22、発熱体32、配線部42、および保護部52が設けられる場合を例示したが、絶縁部22、発熱体32、配線部42、および保護部52は省くこともできる。すなわち、少なくとも、基板10の一方の面側に、絶縁部、発熱体、配線部、および保護部が設けられていればよい。ただし、基板10の両面に、絶縁部、発熱体、配線部、および保護部が設けられていれば、ヒータ1の温度が必要な温度に達するまでの時間を短くすることができる。
【0031】
また、図1、および図2に示すように、X方向における発熱体32の長さL2を、X方向における発熱体31の長さL1と異なるようにすれば、異なるサイズの加熱対象物を1つのヒータ1で加熱すること、すなわち、加熱対象物のサイズに対するヒータ1の汎用性を高めることができる。例えば、発熱体32の長さL2を、発熱体31の長さL1よりも短くして、発熱体32をB5サイズの加熱対象物の加熱に用い、発熱体31をA3サイズの加熱対象物の加熱に用いることができる。発熱体31をA3サイズの紙の加熱に用いる場合には、長さL1を322mm程度とすることができる。発熱体32をB5サイズの紙の加熱に用いる場合には、長さL2を184mm程度とすることができる。
【0032】
この場合、X方向において、発熱体32の中心が発熱体31の中心と同じ位置となる様にすることが好ましい。この様にすれば、発熱体31、および発熱体32の中心が、加熱対象物の搬送経路の中心と重なる様にすることが容易となる。そのため、加熱対象物の、搬送方向に直交する方向の寸法や位置が変化した場合であっても、加熱対象物を略均一に加熱することが容易となる。
また、発熱体32の幅寸法W2、厚み、および材料は、発熱体31の幅寸法W1、厚み、および材料と同じであってもよいし、少なくともいずれかが異なっていてもよい。
【0033】
なお、図1図3においては、発熱体31、および発熱体32が1つ設けられる場合を例示したが、発熱体31、および発熱体32のそれぞれは、少なくとも1つ設けられていればよい。発熱体31、および発熱体32の数は、加熱対象物に加える熱量などに応じて適宜変更することができる。
【0034】
(加熱装置)
次に、本実施の形態に係る加熱装置100について例示をする。加熱装置100は、例えば、リライタブルプリンタや、リライタブルカードリーダ・ライタなどに設けられる印字の消去装置に用いることができる。
【0035】
以下においては、一例として、加熱装置100がリライタブルプリンタ200に設けられ、加熱装置100が印字の消去に用いられる場合を説明する。
図4は、リライタブルプリンタ200を例示するための模式図である。
図4に示すように、リライタブルプリンタ200は、例えば、フレーム201、収納部202、給紙部203、搬送部204、加熱装置100、および印字部205を備えている。
【0036】
フレーム201は、箱状を呈し、その内部に、収納部202、給紙部203、搬送部204、および印字部205を収納する。収納部202は、フレーム201の内部の一方の端部の近傍に設けられている。印字部205は、フレーム201の内部の、収納部202が設けられる側の端部と対向する端部の近傍に設けられている。
【0037】
収納部202は、昇降自在に設けられたリフタ202aを有する。リフタ202aの上面には、複数のリライタブル用紙300を積層状態で載置することができる。リフタ202aは駆動装置により昇降され、リフタ202aに載置された複数のリライタブル用紙300の最上面が略一定の位置となるようになっている。
【0038】
給紙部203は、リフタ202aに載置されたリライタブル用紙300の、印字部205側の端部の近傍に設けられている。給紙部203は、リフタ202aに載置された一番上のリライタブル用紙300を搬送部204に供給する。給紙部203は、例えば、ピックアップローラ203a、および分離機構203bを有する。ピックアップローラ203aが回転することで、リフタ202aに載置された一番上のリライタブル用紙300が、収納部202から引き出される。
【0039】
この際、一番上のリライタブル用紙300と、その下方にあるリライタブル用紙300との間の摩擦力や静電力などにより、一番上のリライタブル用紙300と、その下方にあるリライタブル用紙300とが引き出される(重送)場合がある。そのため、一番上のリライタブル用紙300と、その下方にあるリライタブル用紙300とを分離する分離機構203bが設けられている。分離機構203bは、例えば、リバース方式の分離機構とすることができる。
【0040】
搬送部204は、給紙部203から引き出されたリライタブル用紙300を、加熱装置100を介して印字部205まで搬送する。
搬送部204は、下部ローラ204a、および上部ローラ204bを複数組有することができる。下部ローラ204a、および上部ローラ204bが回転することで、下部ローラ204a、および上部ローラ204bに挟まれたリライタブル用紙300が所定の方向に搬送される。
【0041】
また、搬送部204は、下部ガイド204c、および上部ガイド204dを有することができる。下部ガイド204c、および上部ガイド204dは板状を呈し、給紙部203と印字部205との間を延びている。上部ガイド204dは、所定の間隔を空けて、下部ガイド204cと対向して設けられている。上部ガイド204dと下部ガイド204cとの間の空間が、リライタブル用紙300が搬送される搬送路となる。
【0042】
消去装置として用いられる加熱装置100は、収納部202と、印字部205との間に設けられている。加熱装置100は、リライタブル用紙300を加熱して、印字を消去する。加熱装置100により印字が消去されたリライタブル用紙300は、搬送部204により印字部205に送られる。なお、加熱装置100に関する詳細は後述する。
【0043】
印字部205は、サーマルヘッド205a、およびプラテンローラ205bを有する。サーマルヘッド205aは、搬送されるリライタブル用紙300の上方に設けられている。プラテンローラ205bは、搬送されるリライタブル用紙300の下方に設けられている。サーマルヘッド205aは、リライタブル用紙300を局所的に加熱して、印字を行う。プラテンローラ205bは、リライタブル用紙300の搬送と、リライタブル用紙300のサーマルヘッド205aへの押し付けを行う。印字が行われたリライタブル用紙300は、フレーム201の排出口201aから、リライタブルプリンタ200の外部に排出される。
【0044】
次に、加熱装置100についてさらに説明する。
図5は、比較例に係る加熱装置400を例示するための模式斜視図である。
図5は、加熱装置400を消去装置として用いる場合である。例えば、加熱装置400がリライタブルプリンタや、リライタブルカードリーダ・ライタなどに設けられる場合である。
【0045】
図5に示すように、加熱装置400は、ヒートローラ401、およびプレスローラ402を有する。ヒートローラ401、およびプレスローラ402は、リライタブル用紙300(用紙300a)の搬送方向と交差する方向に延びている。
ヒートローラ401は、搬送されるリライタブル用紙300(用紙300a)の上方に設けられている。ヒートローラ401の内部には、熱源としてハロゲンヒータ401aが設けられている。ハロゲンヒータ401aから放射された熱は、ヒートローラ401を介して、リライタブル用紙300(用紙300a)に伝えられる。
【0046】
プレスローラ402は、搬送されるリライタブル用紙300(用紙300a)の下方に設けられている。プレスローラ402は、ヒートローラ401と対向している。プレスローラ402は、リライタブル用紙300(用紙300a)をヒートローラ401に押し付ける。そのため、ヒートローラ401からの熱をリライタブル用紙300(用紙300a)に効率良く伝えることができる。また、リライタブル用紙300(用紙300a)に加熱ムラが生じるのを抑制することができる。なお、リライタブル用紙300(用紙300a)が無い状態で、プレスローラ402がヒートローラ401と接触するようにしてもよい。
【0047】
また、プレスローラ402は、駆動装置により、所定の方向に回転する。そのため、ヒートローラ401とプレスローラ402に挟まれたリライタブル用紙300を、印字部205に向けて送り出すことができる。または、ヒートローラ401とプレスローラ402に挟まれた用紙300aを排出することができる。
【0048】
図5に示すように、加熱装置400を消去装置として用いる場合には、ヒートローラ401からの熱が、リライタブル用紙300の印字に伝わることで、印字がリライタブル用紙300から消去される。
【0049】
ここで、加熱装置400の熱源にハロゲンヒータ401aを用いると、ハロゲンヒータ401aの温度が必要な温度に達するまでの時間が長くなる。例えば、ハロゲンヒータ401aの温度が200℃になるまでの時間は30秒程度である。また、ハロゲンヒータ401aが設けられたヒートローラ401の温度が必要な温度に達するまでの時間はさらに長くなる。例えば、ヒートローラ401の温度が必要な温度にまで達するまでの時間は、ハロゲンヒータ401aの温度が200℃になってからさらに60秒程度かかる。そのため、始動時の応答速度が遅くなる。また、待機時においては、ヒートローラ401の温度を維持する必要があるので、消費電力が大きくなるという問題もある。
【0050】
そこで、本実施の形態に係る加熱装置100には、熱源としてヒータ1が設けられている。
図6は、加熱装置100を例示するための模式図である。
図6に示すように、加熱装置100は、例えば、ヒータ1、ステー101、フィルムベルト102、およびプレスローラ103を有する。ヒータ1、ステー101、およびフィルムベルト102は、搬送されるリライタブル用紙300(用紙300a)の上方に設けられている。プレスローラ103は、搬送されるリライタブル用紙300(用紙300a)の下方に設けられている。
【0051】
ステー101は、例えば、湾曲した形状を有している。ステー101は、リライタブル用紙300(用紙300a)の搬送方向と交差する方向に延びている。ステー101の、プレスローラ103と対向する位置には凹部が設けられ、凹部の内部にヒータ1が設けられている。ヒータ1は、ステー101に埋め込まれている。例えば、ヒータ1の保護部51(保護部52)がステー101から露出している。
【0052】
フィルムベルト102は、ヒータ1が埋め込まれたステー101を覆っている。フィルムベルト102は、例えば、ポリイミドなどの耐熱性を有する樹脂から形成することができる。
【0053】
プレスローラ103は、ステー101に埋め込まれたヒータ1と対向している。プレスローラ103は、リライタブル用紙300(用紙300a)の搬送方向と交差する方向に延びている。プレスローラ103は、例えば、芯金103a、駆動軸103b、および弾性部103cを有する。駆動軸103bは、芯金103aの端部から突出し、モータなどの駆動装置に接続される。弾性部103cは、芯金103aの外面に設けられる。弾性部103cは、耐熱性を有する弾性材料から形成される。弾性部103cは、例えば、シリコーン樹脂などから形成することができる。
【0054】
ここで、前述した様に、ヒータ1の基板10は、熱伝導率の高い材料(セラミックスや金属)から形成されている。そのため、ヒータ1の温度を迅速、且つ、均一に上昇させることができる。また、基板10の厚みは、例えば、0.3mm以上、1.0mm以下である。基板10の幅寸法Wは、例えば、5mm以上、15mm以下である。基板10の長さLは、例えば、250mm以上、400mm以下である。そのため、基板10の熱容量を小さくすることができるので、ヒータ1の温度を迅速に上昇させるのが容易となる。
【0055】
例えば、前述した様に、ハロゲンヒータ401aの温度が200℃になるまでの時間は30秒程度である。
これに対して、ヒータ1の温度が200℃になるまでの時間は2秒程度である。そのため、ヒータ1の始動時の応答速度を速くすることができる。ヒータ1の始動時の応答速度が速くなれば、待機時にヒータ1をOFF状態としても、消去作業を迅速に再開することができる。待機時にヒータ1をOFF状態とすることができれば、省電力化を図ることができる。
以上に説明した様に、ヒータ1を有する加熱装置100とすれば、始動時の応答速度を速くすることができ、且つ、省電力化を図ることができる。
【0056】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 ヒータ、10 基板、21 絶縁部、22 絶縁部、31 発熱体、32 発熱体、51 保護部、52 保護部、100 加熱装置、101 ステー、102 フィルムベルト、103 プレスローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6