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特開2024-104214垂直離着陸機の自動着陸システム、垂直離着陸機および垂直離着陸機の着陸制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104214
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】垂直離着陸機の自動着陸システム、垂直離着陸機および垂直離着陸機の着陸制御方法
(51)【国際特許分類】
   B64C 13/18 20060101AFI20240726BHJP
   B64U 10/20 20230101ALI20240726BHJP
   B64U 70/80 20230101ALI20240726BHJP
   B64C 29/00 20060101ALI20240726BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20240726BHJP
   G05D 1/49 20240101ALI20240726BHJP
   G08G 5/02 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
B64C13/18 F
B64U10/20
B64U70/80
B64C29/00 A
B64D47/08
G05D1/08 Z
G08G5/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008330
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 徹
(72)【発明者】
【氏名】森 智史
【テーマコード(参考)】
5H181
5H301
【Fターム(参考)】
5H181AA26
5H181BB04
5H181CC04
5H181CC12
5H181FF04
5H181FF05
5H181LL09
5H301AA06
5H301BB10
5H301BB14
5H301CC04
5H301CC07
5H301CC08
5H301CC10
5H301FF11
5H301GG09
5H301GG14
(57)【要約】
【課題】垂直離着陸機の自動着陸システム、垂直離着陸機および垂直離着陸機の着陸制御方法において、着陸時間の短縮化を図る。
【解決手段】垂直離着陸機に搭載された撮影装置と、撮影装置で着陸目標点に設けられたマーカーを撮影した画像を画像処理して垂直離着陸機と着陸目標点との相対位置を取得する相対位置取得部と、垂直離着陸機と着陸目標点との相対高度を取得する相対高度取得部と、垂直離着陸機の状態を取得する機体状態取得部と、相対位置がゼロになるように垂直離着陸機を複数の制御モードで制御する制御部と、を備え、制御モードは、垂直離着陸機が着陸目標点の上方に位置するホバリングモードと、相対高度を低下させて着陸目標点に着陸させる着陸モードとを含み、制御部は、相対高度が所定の判定相対高度まで低下したとき、垂直離着陸機の状態が所定の機体安定状態であることを含む着陸条件が成立すると着陸モードに移行させ、着陸条件が成立しないとホバリングモードに移行させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直離着陸機に搭載された撮影装置と、
前記撮影装置で着陸目標点に設けられたマーカーを撮影した画像を画像処理して前記垂直離着陸機と前記着陸目標点との相対位置を取得する相対位置取得部と、
前記垂直離着陸機と前記着陸目標点との相対高度を取得する相対高度取得部と、
前記垂直離着陸機の状態を取得する機体状態取得部と、
前記相対位置がゼロになるように前記垂直離着陸機を複数の制御モードで制御する制御部と、
を備え、
前記制御モードは、前記垂直離着陸機がホバリング高度まで降下して前記着陸目標点の上方に位置するホバリングモードと、前記相対高度を低下させて前記着陸目標点に着陸させる着陸モードとを含み、
前記制御部は、前記相対高度が前記ホバリング高度より高い判定相対高度まで低下したとき、
前記垂直離着陸機の状態が所定の機体安定状態であることを含む着陸条件が成立すると前記着陸モードに移行させ、前記着陸条件が成立しないと前記ホバリング高度まで降下させる、
垂直離着陸機の自動着陸システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記相対高度が前記判定相対高度まで低下したとき、前記垂直離着陸機の状態が前記機体安定状態であると共に前記相対位置が所定の相対位置しきい値以内であることを含む着陸条件が成立すると前記着陸モードに移行させる、
請求項1に記載の垂直離着陸機の自動着陸システム。
【請求項3】
前記垂直離着陸機の機首方位と前記着陸目標点の方位との相対方位を取得する相対方位取得部を備え、
前記制御部は、前記相対高度が前記判定相対高度まで低下したとき、前記垂直離着陸機の状態が前記機体安定状態であると共に前記相対方位が所定の相対方位しきい値以内であることを含む着陸条件が成立すると前記着陸モードに移行させる、
請求項1に記載の垂直離着陸機の自動着陸システム。
【請求項4】
前記着陸目標点の状態を取得する目標点状態取得部を備え、
前記制御部は、前記相対高度が前記判定相対高度まで低下したとき、前記垂直離着陸機の状態が前記機体安定状態であると共に前記着陸目標点の状態が所定の目標点安定状態であることを含む着陸条件が成立すると前記着陸モードに移行させる、
請求項1に記載の垂直離着陸機の自動着陸システム。
【請求項5】
前記目標点状態取得部は、前記垂直離着陸機が前記着陸目標点に着陸したときの前記着陸目標点の状態を予測して取得する、
請求項4に記載の垂直離着陸機の自動着陸システム。
【請求項6】
前記ホバリングモードは、高高度ホバリングモードと、低高度ホバリングモードとを含み、前記低高度ホバリングモードは、前記ホバリング高度まで降下する第1モードと、前記ホバリング高度でホバリングする第2モードとを含み、
前記制御部は、前記高高度ホバリングモードから前記判定相対高度まで低下したとき、前記着陸条件が成立すると前記着陸モードに移行させ、前記着陸条件が成立しないと前記低高度ホバリングモードを維持させる、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の垂直離着陸機の自動着陸システム。
【請求項7】
請求項1に記載の垂直離着陸機の自動着陸システムを備える垂直離着陸機。
【請求項8】
垂直離着陸機に搭載された撮影装置で着陸目標点に設けられたマーカーを撮影した画像を画像処理して前記垂直離着陸機と前記着陸目標点との相対位置を取得するステップと、
前記垂直離着陸機と前記着陸目標点との相対高度を取得するステップと、
垂直離着陸機の状態を取得するステップと、
前記相対位置がゼロになるように前記垂直離着陸機を複数の制御モードで制御するステップと、
を有し、
前記制御モードは、前記垂直離着陸機がホバリング高度まで降下して前記着陸目標点の上方に位置するホバリングモードと、前記相対高度を低下させて前記着陸目標点に着陸させる着陸モードとを含み、
前記相対高度が前記ホバリング高度より高い判定相対高度まで低下したとき、前記垂直離着陸機の状態が所定の機体安定状態であることを含む着陸条件が成立すると前記着陸モードに移行させ、前記着陸条件が成立しないと前記ホバリング高度まで降下させる、
垂直離着陸機の着陸制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、垂直離着陸機の自動着陸システム、垂直離着陸機および垂直離着陸機の着陸制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、垂直離着陸機を目標地点へと誘導するための技術が知られている。このような技術として、例えば、特許文献1に記載されたものがある。特許文献1の垂直離着陸機の自動着陸システムは、垂直離着陸機を着陸目標点に着陸させるとき、垂直離着陸機を高高度ホバリングモードから低高度ホバリングモードに移行させ、低高度ホバリングモードから着陸モードに移行させる。そして、各モードの移行に対して、モード移行ボタンをオンしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-062719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の垂直離着陸機の自動着陸システムは、垂直離着陸機を高高度ホバリングモード、低高度ホバリングモード、着陸モードに移行させてから着陸目標点に着陸させている。そのため、垂直離着陸機を着陸目標点に着陸させるまで、所定の時間を要している。また、各モードの移行に対して、モード移行ボタンをオンする必要がある。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、着陸時間の短縮化を図る垂直離着陸機の自動着陸システム、垂直離着陸機および垂直離着陸機の着陸制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本開示の垂直離着陸機の自動着陸システムは、垂直離着陸機に搭載された撮影装置と、前記撮影装置で着陸目標点に設けられたマーカーを撮影した画像を画像処理して前記垂直離着陸機と前記着陸目標点との相対位置を取得する相対位置取得部と、前記垂直離着陸機と前記着陸目標点との相対高度を取得する相対高度取得部と、垂直離着陸機の状態を取得する機体状態取得部と、前記相対位置がゼロになるように前記垂直離着陸機を複数の制御モードで制御する制御部と、を備え、前記制御モードは、前記垂直離着陸機がホバリング高度まで降下して前記着陸目標点の上方に位置するホバリングモードと、前記相対高度を低下させて前記着陸目標点に着陸させる着陸モードとを含み、前記制御部は、前記相対高度が前記ホバリング高度より高い判定相対高度まで低下したとき、前記垂直離着陸機の状態が所定の機体安定状態であることを含む着陸条件が成立すると前記着陸モードに移行させ、前記着陸条件が成立しないと前記ホバリング高度まで降下させる。
【0007】
また、本開示の垂直離着陸機は、前記垂直離着陸機の自動着陸システムを備える。
【0008】
また、本開示の垂直離着陸機の着陸制御方法は、垂直離着陸機に搭載された撮影装置で着陸目標点に設けられたマーカーを撮影した画像を画像処理して前記垂直離着陸機と前記着陸目標点との相対位置を取得するステップと、前記垂直離着陸機と前記着陸目標点との相対高度を取得するステップと、垂直離着陸機の状態を取得するステップと、前記相対位置がゼロになるように前記垂直離着陸機を複数の制御モードで制御するステップと、を有し、前記制御モードは、前記垂直離着陸機がホバリング高度まで降下して前記着陸目標点の上方に位置するホバリングモードと、前記相対高度を低下させて前記着陸目標点に着陸させる着陸モードとを含み、前記相対高度が前記ホバリング高度より高い判定相対高度まで低下したとき、前記垂直離着陸機の状態が所定の機体安定状態であることを含む着陸条件が成立すると前記着陸モードに移行させ、前記着陸条件が成立しないと前記ホバリング高度まで降下させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の垂直離着陸機の自動着陸システム、垂直離着陸機および垂直離着陸機の着陸制御方法によれば、着陸時間の短縮化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態にかかる垂直離着陸機の自動着陸システムの一例を示す概略構成図である。
図2図2は、本実施形態にかかる垂直離着陸機が着陸目標点に向かう様子を示す説明図である。
図3図3は、着陸目標点に設けられるマーカーの一例を示す説明図である。
図4図4は、本実施形態にかかる垂直離着陸機の着陸制御方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、垂直離着陸機の着陸動作を示す説明図である。
図6図6は、垂直離着陸機のモード移行動作を示す説明図である。
図7図7は、垂直離着陸機のモード移行における処理手順の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、高高度ホバリングモードから低高度ホバリングモードへの移行時の移行フラグの生成処理の一例を示す判定ロジックである。
図9図9は、低高度ホバリングモード(降下モード)から着陸モードへの移行時の移行フラグの生成処理の一例を示す判定ロジックである。
図10図10は、着陸可能状態の予測値の演算処理の説明図である。
図11図11は、低高度ホバリングモード(ホバリングモード)から着陸モードへの移行時の移行フラグの生成処理の一例を示す判定ロジックである。
図12図12は、高高度ホバリングモードから非常モードへの移行時の移行フラグの生成処理の一例を示す判定ロジックである。
図13図13は、低高度ホバリングモードから非常モードへの移行時の移行フラグの生成処理の一例を示す判定ロジックである。
図14図14は、アプローチモードにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
図15図15は、高高度ホバリングモードにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
図16図16は、低高度ホバリングモード(降下モード)における処理手順の一例を示すフローチャートである。
図17図17は、低高度ホバリングモード(ホバリングモード)における処理手順の一例を示すフローチャートである。
図18図18は、着陸モードにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
図19図19は、相対位置演算処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0012】
図1は、本実施形態にかかる垂直離着陸機の自動着陸システムの一例を示す概略構成図であり、図2は、本実施形態にかかる垂直離着陸機が着陸目標点に向かう様子を示す説明図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態にかかる垂直離着陸機1は、回転翼機としての飛行体(例えば、ヘリコプタ、ドローン等)である。本実施形態において、垂直離着陸機1は、無人機である。なお、垂直離着陸機1は、前進、後進、旋回、ホバリングが可能な飛行体であればよく、有人機であってもよい。また、垂直離着陸機1が無人機である場合、自動操縦による無人機の飛行制御中において、遠隔手動操縦が実行されたときには、遠隔手動操縦に基づく飛行制御が優先される。同様に、垂直離着陸機1が有人機である場合、自動操縦による有人機の飛行制御中において、手動操縦が実行されたときには、手動操縦に基づく飛行制御が優先される。垂直離着陸機1は、自動着陸システム100を搭載しており、自動着陸システム100により飛行が制御され、図2に示す着陸目標点2に着陸する。
【0014】
(着陸目標点)
本実施形態において、図2に示すように、着陸目標点2は、船舶5上に設けられている。したがって、垂直離着陸機1は、水上を移動する移動体としての船舶5に着陸(着船)する。ただし、着陸目標点2は、船舶5に限らず、地上を移動する移動体としての車両等に設けられてもよいし、移動しない設備、地面に設けられてもよい。なお、船舶5には、図示省略するが、着陸目標点2に垂直離着陸機1を着船させた際に、垂直離着陸機1を拘束するための拘束装置が設けられている。
【0015】
着陸目標点2は、垂直離着陸機1が着陸目標点2の位置を捕捉するためのマーカー7が設けられている。図3は、着陸目標点に設けられるマーカーの一例を示す説明図である。図3に示すように、マーカー7は、例えば、白黒の2色で色分けされたARマーカーであり、正方形状のマーカーである。なお、マーカー7は、ARマーカーに限らず、画像処理により着陸目標点2の位置を捕捉することができるマーカーであればよく、例えば、ヘリポートの着陸点を示すHマーク、Rマーク等であってもよい。また、マーカー7は、船舶5に異なる形状のマーカーが複数設けられてもよく、垂直離着陸機1は、異なるマーカー7のいずれかに対応した着陸目標点2に誘導されるものであってもよい。
【0016】
(船舶)
図1に示すように、船舶5は、航法装置60と、自動着陸演算部70と、データ伝送装置80と、操作表示部90とを備える。
【0017】
航法装置60は、例えば、慣性航法装置(Inertial Navigation System)であり、船舶5のピッチ方向およびロール方向の姿勢角、船首方位、速度、加速度および地球座標系における位置座標等を取得する。なお、本実施形態において、航法装置60は、慣性航法装置に適用して説明するが、特に限定されず、いずれの航法装置60を用いてもよい。また、航法装置60は、本実施形態において、位置の計測精度を向上させるために、位置計測部としてのGPS(Global Positioning System)を含んだ慣性航法装置となっている。本実施形態では、GPSを含んだ慣性航法装置に適用して説明するが、GPSに特に限定されず、精度よく位置を計測可能な位置計測部であればよく、例えば、準天頂衛星システムを用いたものであってもよいし、航法装置60のみで精度よく位置を計測可能であれば、GPS等の位置計測部を省いた構成であってもよい。また、航法装置60は、各種データの少なくとも一部をセンサで取得するものとしてもよい。
【0018】
自動着陸演算部70は、後述する自動着陸システム100に含まれ、船舶5の状態に基づいて船舶5の安定度を演算する。航法装置60および自動着陸演算部70は、目標点状態取得部として機能する。具体的に、自動着陸演算部70は、航法装置60が取得したデータに基づいて船舶5の安定度を演算する。航法装置60は、船舶5のピッチ方向およびロール方向の姿勢角を取得しており、自動着陸演算部70は、例えば、船舶5のピッチ方向およびロール方向の姿勢角に基づいて船舶5の安定度を演算する。自動着陸演算部70は、例えば、船舶5のピッチ方向の姿勢角が予め設定されたピッチしきい値以内であり、ロール方向の姿勢角が予め設定されたロールしきい値以内であると、船舶5の安定度が高いとして、船舶安定度フラグをオン(ON)とする。
【0019】
データ伝送装置80は、後述する自動着陸システム100に含まれ、垂直離着陸機1に搭載されたデータ伝送装置40と無線通信により各種信号をやり取りする。データ伝送装置80は、自動着陸演算部70が演算した船舶5の安定度(船舶5のピッチ方向およびロール方向の姿勢角や船舶安定度フラグ等)をデータ伝送装置40に伝送する。操作表示部90は、船舶5に乗員するオペレータが制御ステータスを把握し、各種指示を入力するユーザーインターフェースである。操作表示部90によりオペレータが入力する指示としては、例えば、後述する制御モードの移行指示が含まれる。移行指示の詳細については、後述する。操作表示部90で入力された指示は、データ伝送装置80からデータ伝送装置40へと送信される。また、垂直離着陸機1の制御ステータスは、データ伝送装置40からデータ伝送装置80へ送信される。つまり、データ伝送装置40及びデータ伝送装置80は双方向通信が可能となっている。
【0020】
(自動着陸システム)
図1に示すように、本実施形態にかかる垂直離着陸機の自動着陸システム100は、飛行中の垂直離着陸機1を着陸目標点2に着陸させるために、垂直離着陸機1の位置を制御するシステムである。自動着陸システム100は、垂直離着陸機1に搭載される。自動着陸システム100は、カメラ10と、航法装置20と、制御部30と、データ伝送装置40とを備える。なお、自動着陸システム100は、制御装置であり、制御装置は、コントローラであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などにより、記憶部に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。
【0021】
(撮影装置)
カメラ10は、垂直離着陸機1に図示しないジンバルを介して搭載された撮影装置である。カメラ10は、マーカー7を撮影することができれば、単眼カメラ、複眼カメラ、赤外線カメラ等であってもよい。カメラ10は、垂直離着陸機1から着陸目標点2に設けられたマーカー7を撮影するために設けられる。カメラ10は、図示しないジンバルを介して撮影方向を調整可能とされている。本実施形態において、カメラ10は、その撮影範囲(画角)B(図2参照)が、一例として、鉛直方向の真下を向くように制御部30によって制御される。なお、カメラ10は、撮影範囲Bが、鉛直方向に対して斜め前方側を向くように制御部30によって制御されてもよい。また、カメラ10は、ジンバルを省いてもよく、撮影方向が、例えば、鉛直方向の下方側を向くように、垂直離着陸機1の機体直下に固定してもよい。また、カメラ10は、垂直離着陸機1の真下方向(機体軸方向)を向くようにしてもよい。
【0022】
(航法装置)
航法装置20は、航法装置60と同様に、例えば、GPSを含んだ慣性航法装置となっている。なお、航法装置20も、航法装置60と同様に、GPS等の位置計測部を含む慣性航法装置であってもよいし、GPS等の位置計測部を省いた慣性航法装置であってもよく、特に限定されない。GPSを含んだ航法装置20は、垂直離着陸機1のピッチ方向およびロール方向の姿勢角、機首方位、垂直離着陸機1の機体速度、機体加速度および地球座標系における位置座標等を取得する。なお、航法装置20は、垂直離着陸機1の姿勢角を検出する姿勢角センサ、垂直離着陸機1の機体速度を検出する速度検出センサ、垂直離着陸機1の機体加速度を検出する加速度検出センサ、垂直離着陸機1の機首方位を検出するセンサを有するものであってもよい。航法装置20は、取得した垂直離着陸機1の姿勢角、機体速度、機体加速度および位置座標を制御部30に出力する。
【0023】
自動着陸システム100は、垂直離着陸機1の地表面または水面からの高度を検出する高度センサ25を備えている。高度センサ25は、例えば、レーザ高度計であり、垂直離着陸機1から着陸目標点2までの相対高度Δh(図2参照)を計測している。なお、高度センサ25としては、電波高度計を用いてもよいし、気圧高度計を用いてもよく、いずれの高度計を用いてもよい。また、これらの高度計を、使用環境に応じて、すなわち地表面からの高度、海面からの高度を計測するために、適宜組み合わせて適用してもよい。高度センサ25は、検出した垂直離着陸機1の相対高度Δhを制御部30に出力する。なお、高度センサ25は、垂直離着陸機1の高度を計測して制御部30に出力し、制御部30は、後述する誘導演算部34において、垂直離着陸機1の高度に基づいて、着陸目標点2までの相対高度Δh(図2参照)を算出するものであってもよい。また、自動着陸システム100は、高度センサ25に限らず、後述する画像処理部32において、カメラ10で撮影したマーカー7を含む画像に画像処理を施すことで、垂直離着陸機1と船舶5との相対高度Δhを算出するものであってもよい。なお、垂直離着陸機1と船舶5との相対高度Δhは、後述する垂直離着陸機1と着陸目標点2との相対位置(Zmark)を使用してもよい。
【0024】
(制御部)
制御部30は、画像処理部32と、誘導演算部34と、自動着陸演算部36と、飛行制御部38とを有する。なお、制御部30は、垂直離着陸機1に設けられた図示しないジンバルを介して、カメラ10の撮影方向を制御する図示しない撮影制御部を備えている。本実施形態では、上述したように、カメラ10の撮影範囲Bが鉛直方向の真下を向くように調整される。
【0025】
(画像処理部)
画像処理部32は、カメラ10で撮影された画像に画像処理を施して、マーカー7すなわち着陸目標点2の中心(Cx、Cy)(図3参照)を算出する。ここでの中心(Cx、Cy)は、カメラ10で撮影された画像の中心を原点とするカメラ固定座標系における座標点であり、画像中心からの画素数により算出することができる。具体的には、画像処理部32は、図3に示すように、画像処理によってマーカー7の角部同士の間を延びる対角線Ldを2つ特定し、特定した2つの対角線Ldの交点をマーカー7の中心(Cx、Cy)とする。なお、着陸目標点2は、マーカー7の中心(Cx、Cy)に限定されず、マーカー7の四隅のいずれかであってもよいし、マーカー7の中心からオフセットした位置であってもよい。
【0026】
なお、画像処理部32は、対角線Ldを1つのみ特定し、特定した対角線Ldの長さの中心位置をマーカー7の中心(Cx、Cy)としてもよい。また、画像処理部32は、対角線Ldを2つ以上特定し、特定した対角線Ldの長さの中心位置の平均となる位置をマーカー7の中心(Cx、Cy)としてもよい。さらに、画像処理部32は、正方形状のマーカー7を射影変換による関数を用いて台形補正するとき、関数に基づいて正方形の中心(Cx、Cy)を算出してもよい。その際、マーカー7の四隅の座標点、またはマーカー7の白黒に色分けされた境界の各点の座標点を用いて台形補正を行い、他の座標点は内挿補間により算出してもよい。画像処理部32は、算出したマーカー7の中心(Cx、Cy)を誘導演算部34に出力する。なお、画像処理部32は、着陸目標点2の中心(Cx、Cy、Cz)を算出して誘導演算部34に出力してもよい。
【0027】
また、画像処理部32は、上述したように、カメラ10で撮影したマーカー7を含む画像に画像処理を施すことで、垂直離着陸機1と船舶5との相対高度Δhを算出するものであってもよい。さらに、画像処理部32は、カメラ10で撮影したマーカー7を含む画像に画像処理を施すことで、マーカー7の向きを特定し、航法装置20で取得される垂直離着陸機1の機首方位と対応づけることで、船舶5の船首方位を算出してもよい。なお、船舶5に、船首方位を算出するためのマーカーを別途設けてもよい。
【0028】
(誘導演算部)
誘導演算部34は、垂直離着陸機1を着陸目標点2に誘導するための垂直離着陸機1の操作量を算出する。操作量は、垂直離着陸機1の機体速度、姿勢角、姿勢角の変化レート等を調整するための操作量である。誘導演算部34は、操作量を算出するために、垂直離着陸機1と着陸目標点2との相対位置(X、Y)および垂直離着陸機1と着陸目標点2との相対速度を算出する。なお、誘導演算部34は、垂直離着陸機1と着陸目標点2との相対位置(X、Y、Z)および垂直離着陸機1と着陸目標点2との相対速度を算出してもよい。また、誘導演算部34は、船舶5に設けられていてもよく、船舶5側で垂直離着陸機1の操作量を算出してもよい。
【0029】
誘導演算部34は、画像処理部32で算出されたマーカー7の中心(Cx、Cy)と、カメラ10の方位すなわち垂直離着陸機1の機首方位と、垂直離着陸機1の高度(着陸目標点2に対する相対高度Δh)とに基づいて、垂直離着陸機1と着陸目標点2との相対位置(X、Y)を算出する。なお、本実施形態では、カメラ10の方位と垂直離着陸機1の機首方位とを一致させたが、特に限定されず、カメラ10の方位と垂直離着陸機1の機首方位とを一致させなくてもよい。このように、画像処理部32および誘導演算部34は、垂直離着陸機1と着陸目標点2との相対位置を取得する相対位置取得部として機能する。相対位置(X、Y)は、水平方向における垂直離着陸機1と着陸目標点2との距離となる。より詳細には、誘導演算部34は、画像処理部32で算出されたカメラ固定座標系におけるマーカー7の中心(Cx、Cy)を、垂直離着陸機1の機首方位と垂直離着陸機1の高度(着陸目標点2に対する相対高度Δh)とに基づいて船慣性系における垂直離着陸機1と着陸目標点2との相対位置に変換し、さらに、航空機慣性系における垂直離着陸機1と着陸目標点2との相対位置(Xmark、Ymark)または相対位置(Xmark、Ymark、Zmark)に変換する。このとき、誘導演算部34は、垂直離着陸機1の機首方位と垂直離着陸機1の高度(着陸目標点2に対する相対高度Δh)とに基づいて航空機慣性系における垂直離着陸機1と着陸目標点2との相対位置(Xmark、Ymark)または相対位置(Xmark、Ymark、Zmark)に直接的に変換してもよい。なお、船慣性系は、着陸目標点2を原点として、船舶5の船首方位に沿った方向、船舶5の船首方位と水平方向で直交する方向、鉛直方向を直交軸とする座標系である。また、航空機慣性系は、図2に示すように、垂直離着陸機1を原点として、垂直離着陸機1の機首方位に沿った方向をX軸、垂直離着陸機1の機首方位と水平方向で直交する方向をY軸、鉛直方向をZ軸とする座標系である。
【0030】
また、誘導演算部34は、航法装置20で取得された垂直離着陸機1の地球座標系における位置座標と、船舶5の航法装置60で取得され、データ伝送装置40、80の通信により得られた船舶5の地球座標系における位置座標とに基づいて、垂直離着陸機1と着陸目標点2との相対位置(XGPS、YGPS)または相対位置(XGPS、YGPS、ZGPS)を算出する。なお、誘導演算部34は、垂直離着陸機1の位置情報と船舶5の位置情報を算出せずに、直接、相対位置(XGPS、YGPS、GPS)を算出してもよい。したがって、誘導演算部34は、GPSにより取得された垂直離着陸機1の位置座標と、データ伝送装置40により取得した着陸目標点2が設けられた船舶5の位置座標とに基づいて、垂直離着陸機1と着陸目標点2との相対位置(XGPS、YGPS)を算出する第2の相対位置取得部として機能する。
【0031】
また、誘導演算部34は、垂直離着陸機1と着陸目標点2との相対速度を算出する。したがって、誘導演算部34は、垂直離着陸機1と着陸目標点2との相対速度を取得する相対速度取得部として機能する。より詳細には、誘導演算部34は、例えば、航法装置20、60で取得される垂直離着陸機1の機体速度と船舶5の船体速度との差分により、相対速度を算出する。また、誘導演算部34は、相対位置(X、Y)の擬似微分に基づいて相対速度を算出してもよい。つまり、誘導演算部34は、相対速度を取得する相対速度取得部として機能する。また、誘導演算部34は、垂直離着陸機1の機首方位と船舶5の船首方位との相対方位を算出する。このように、画像処理部32および誘導演算部34は、垂直離着陸機1と着陸目標点2との相対方位を取得する相対方位取得部として機能する。
【0032】
また、誘導演算部34は、高度センサ25で検出された垂直離着陸機1の高度に基づいて、着陸目標点2までの相対高度Δhを算出する。したがって、高度センサ25および誘導演算部34は、垂直離着陸機1と着陸目標点2との相対高度Δhを取得する相対高度取得部として機能する。なお、画像処理部32において、カメラ10で撮影したマーカー7を含む画像に画像処理を施すことで、垂直離着陸機1と船舶5との相対高度Δhを算出する場合は、画像処理部32が相対高度取得部となる。
【0033】
そして、誘導演算部34は、相対位置(X、Y)、相対速度、相対方位および機体加速度に基づいて、フィードバック制御(例えば、PID制御)により操作量を算出する。本実施形態において、誘導演算部34は、相対位置(X、Y)および相対方位がゼロとなるように、フィードバック制御によって垂直離着陸機1の操作量を算出する。また、誘導演算部34は、相対速度が所定速度以内となるように、また、機体加速度が所定加速度以内となるように、フィードバック制御によって垂直離着陸機1の操作量を算出してもよい。所定速度以内および所定加速度以内としては、垂直離着陸機1が所定の相対高度Δhにおいて安定して飛行できているといえる状態であることを満たすような範囲となっている。例えば、所定速度としてはゼロであり、所定加速度としてはゼロである。誘導演算部34は、算出した操作量を飛行制御部38に出力する。誘導演算部34は、このような操作量の算出において、垂直離着陸機1を着陸目標点へと誘導して着陸させるために、垂直離着陸機1を複数の制御モードで制御する。複数の制御モードは、アプローチモードと、高高度ホバリングモードおよび低高度ホバリングモードを含むホバリングモードと、着陸モードとを含む。各制御モードの詳細については、後述する。
【0034】
(自動着陸演算部)
自動着陸演算部36は、垂直離着陸機1の状態に基づいて垂直離着陸機1の安定度を演算する。航法装置20および自動着陸演算部36は、機体状態取得部として機能する。具体的に、自動着陸演算部36は、航法装置20が取得したデータに基づいて垂直離着陸機1の安定度を演算する。航法装置20は、垂直離着陸機1のピッチ方向およびロール方向の姿勢角を取得しており、自動着陸演算部36は、例えば、垂直離着陸機1のピッチ方向およびロール方向の姿勢角に基づいて垂直離着陸機1の安定度を演算する。自動着陸演算部70は、例えば、垂直離着陸機1のピッチ方向の姿勢角が予め設定されたピッチしきい値以内であり、ロール方向の姿勢角が予め設定されたロールしきい値以内であると、垂直離着陸機1の安定度が高いとして、垂直離着陸機安定度フラグをオン(ON)とする。
【0035】
自動着陸演算部36は、垂直離着陸機1が低高度ホバリングモードの実行中に判定相対高度DHまで降下したとき、予め設定された着陸条件が成立すると、着陸モードへの移行を許可する。一方、自動着陸演算部36は、垂直離着陸機1が高高度ホバリングモードの実行中に判定相対高度DHまで降下したとき、着陸条件が成立しないと、着陸モードへの移行を許可せず、低高度ホバリングモードを維持する。
【0036】
(飛行制御部)
飛行制御部38は、誘導演算部34で算出された操作量および自動着陸演算部36で算出された移行モードにしたがって、垂直離着陸機1の各構成要素を制御して垂直離着陸機1を飛行させる。飛行制御部38は、操作量にしたがって各回転翼のブレードピッチ角、回転数等を制御し、垂直離着陸機1の機体速度、姿勢角、姿勢角の変化レート等を調整する。それにより、垂直離着陸機1は、着陸目標点2へと誘導される。
【0037】
なお、本実施形態では、画像処理部32と誘導演算部34と自動着陸演算部36を飛行制御部38とは別の機能部として説明するが、画像処理部32と誘導演算部34と自動着陸演算部36は、飛行制御部38と一体の機能部であってもよい。飛行制御部38において、画像処理部32と誘導演算部34と自動着陸演算部36の処理を行ってもよい。
【0038】
(垂直離着陸機の着陸制御方法)
次に、本実施形態にかかる垂直離着陸機の着陸制御方法として、制御部30により垂直離着陸機1を着陸目標点2へと誘導して着陸させるための手順について説明する。図4は、本実施形態にかかる垂直離着陸機の着陸制御方法の処理手順の一例を示すフローチャートであり、図5は、垂直離着陸機の着陸動作を示す説明図であり、図6は、垂直離着陸機のモード移行動作を示す説明図である。
【0039】
図4及び図5に示すように、垂直離着陸機1は、飛行状態から、船舶5に着陸(着船)する一連の着陸動作において、複数の制御モードを実行する。具体的に、垂直離着陸機1は、アプローチモードを実行するステップS11と、高高度ホバリングモードを実行するステップS12と、低高度ホバリングモードを実行するステップS13と、着陸モードを実行するステップS14とを順に行うことで、一連の着陸動作を行っている。ここで、低高度ホバリングモードは、降下モード(第1モード)を実行するステップS13Aと、ホバリングモード(第2モード)を実行するステップS13Bとからなる。また、垂直離着陸機1は、高高度ホバリングモードや低高度ホバリングモードなどの実行を中断して、着陸動作を中断する非常モードを実行するステップS15を行っている。
【0040】
図5に示すように、アプローチモードは、船舶5からの指令により、垂直離着陸機1を船舶5の甲板上に進入させ、着陸目標点2となるマーカー7上において、垂直離着陸機1をホバリングさせるモードとなっている。高高度ホバリングモードは、垂直離着陸機1が、甲板上のマーカー7をカメラ10により捕捉し、マーカー7の中心となる着陸目標点2がカメラ10の撮影範囲(画角)Bの中心にくるように、ホバリングするモードとなっている。低高度ホバリングモードは、垂直離着陸機1が降下を行い、高高度ホバリングモードよりも低高度でホバリングを行うモードとなっている。すなわち、低高度ホバリングモードは、高高度ホバリングモードから低高度まで降下する降下モードと、降下後に低高度でホバリングを行うホバリングモードとからなる。着陸モードは、垂直離着陸機1が着陸目標点2に着陸するモードとなっている。非常モードは、船舶5への垂直離着陸機1の着陸動作を中断して上昇するモードとなっている。
【0041】
図4に示すように、垂直離着陸機1は、アプローチモードを実行するステップS11と、高高度ホバリングモードを実行するステップS12と、低高度ホバリングモードを実行するステップS13と、着陸モードを実行するステップS14とを順に行うことを可能としている。そして、低高度ホバリングモードを実行するステップS13は、降下モードとホバリングモードを有する。また、垂直離着陸機1は、非常モードを実行するステップS15を有する。
【0042】
図6に示すように、垂直離着陸機1は、アプローチモード(ステップS11)の実行中に、予め設定された高高度ホバリングモードへのモード移行条件が成立すると、高高度ホバリングモード(ステップS12)に移行する。垂直離着陸機1は、高高度ホバリングモード(ステップS12)の実行中に、予め設定された低高度ホバリングモードへのモード移行条件が成立すると、低高度ホバリングモード(ステップS13)移行する。低高度ホバリングモードでは、降下モード(S13A)を実行して判定相対高度DHまで降下し、ここで、予め設定された着陸モードへのモード移行条件が成立すると、着陸モード(ステップS14)に移行する。一方、垂直離着陸機1は、降下モード(S13A)を実行して判定相対高度DHまで降下したとき、着陸モードへのモード移行条件が成立しないと、ホバリングモード(S13B)に移行する。そして、垂直離着陸機1は、低高度ホバリングモード(ステップS13)のホバリングモード(S13B)の実行中に、予め設定された着陸モードへのモード移行条件が成立すると、着陸モード(ステップS14)に移行する。また、垂直離着陸機1は、高高度ホバリングモード(ステップS12)または低高度ホバリングモードの降下モード(ステップS13A)または低高度ホバリングモードのホバリングモード(ステップS13B)または着陸モード(ステップS14)の実行中に、モード移行条件が成立しない、具体的には、非常モードへのモード移行条件が成立すると、非常モード(ステップS15)に移行する。
【0043】
ここで、モード移行処理について説明する。図7は、垂直離着陸機のモード移行における処理手順の一例を示すフローチャートである。図7に示すように、自動着陸演算部36は、ステップS21として、船舶5の状態に基づいて船舶5の安定度を演算する。すなわち、自動着陸演算部70は、航法装置60が取得した船舶5のピッチ方向およびロール方向の姿勢角に基づいて船舶5の安定度を演算する。ここで、船舶5の安定度は、例えば、船舶5のピッチ方向の姿勢角がピッチしきい値以内であり、ロール方向の姿勢角がロールしきい値以内であると、船舶5の安定度が高いとして、船舶安定度フラグをオン(ON)とする。一方、船舶5のピッチ方向の姿勢角がピッチしきい値以内でなく、または、ロール方向の姿勢角がロールしきい値以内でないと、船舶5の安定度が低いとして、船舶安定度フラグをオフ(OFF)とする。
【0044】
データ伝送装置80は、ステップS22として、自動着陸演算部70が演算した船舶5の安定度(船舶5のピッチ方向およびロール方向の姿勢角や船舶安定度フラグ等)を垂直離着陸機1のデータ伝送装置40に伝送する。自動着陸演算部36は、ステップS23として、垂直離着陸機1の状態に基づいて垂直離着陸機1の安定度を演算する。すなわち、自動着陸演算部36は、航法装置20が取得した垂直離着陸機1のピッチ方向およびロール方向の姿勢角に基づいて垂直離着陸機1の安定度を演算する。ここで、垂直離着陸機1安定度は、例えば、垂直離着陸機1のピッチ方向の姿勢角がピッチしきい値以内であり、ロール方向の姿勢角がロールしきい値以内であると、垂直離着陸機1の安定度が高いとして、機体安定度フラグをオン(ON)とする。一方、垂直離着陸機1のピッチ方向の姿勢角がピッチしきい値以内でなく、または、ロール方向の姿勢角がロールしきい値以内でないと、垂直離着陸機1の安定度が低いとして、機体安定度フラグをオフ(OFF)とする。
【0045】
自動着陸演算部36は、ステップS24として、モード移行条件を演算する。モード移行条件としては、高高度ホバリングモードから低高度ホバリングモードへの移行条件、低高度ホバリングモードで降下モード(S13A)を実行して判定相対高度DHまで降下した際の着陸モードへの移行条件(着陸条件)、低高度ホバリングモードのホバリングモード(S13B)の実行中の着陸モードへの移行条件が設定されている。また、モード移行条件としては、高高度ホバリングモードから非常モードへの移行条件、低高度ホバリングモードから非常モードへの移行条件が設定されている。飛行制御部38は、ステップS25として、モード移行条件が成立すると、各モードへの移行を実施する。
【0046】
まず、高高度ホバリングモードから低高度ホバリングモードへの移行処理について説明する。図8は、高高度ホバリングモードから低高度ホバリングモードへの移行時の移行フラグの生成処理の一例を示す判定ロジックである。
【0047】
図8に示すように、高高度ホバリングモードから低高度ホバリングモードへのモード移行条件は、相対位置判定、機体姿勢判定、カメラ位置判定である。相対位置判定は、相対位置(X)及び相対位置(Y)の変動量がしきい値以内である状態が所定時間継続すれば、フラグをオン(ON)とする。相対位置(X)と相対位置(Y)の少なくともいずれか一方のフラグがオン(ON)となれば、相対位置(X,Y)のフラグをオン(ON)とする。
【0048】
機体姿勢判定は、上述した自動着陸演算部36が算出した垂直離着陸機1の安定度の判定であり、ピッチ方向の姿勢角およびロール方向の姿勢角としての機体安定度フラグである。機体姿勢判定は、垂直離着陸機1の安定度がしきい値以内である状態が所定時間継続すれば、フラグをオン(ON)とする。カメラ位置判定は、カメラ10の撮影範囲が真下であるとフラグをオン(ON)とする。相対位置判定と機体姿勢判定とカメラ位置判定のフラグがオン(ON)のとき、低高度ホバリングモードへの移行フラグがオン(ON)となる。
【0049】
次に、低高度ホバリングモードの降下モードから着陸モードへの移行処理について説明する。図9は、低高度ホバリングモード(降下モード)から着陸モードへの移行時の移行フラグの生成処理の一例を示す判定ロジックであり、図10は、着陸可能状態の予測値の演算処理の説明図である。
【0050】
図9に示すように、低高度ホバリングモードの降下モードから着陸モードへのモード移行条件は、相対位置判定、相対方位判定、機体姿勢判定、機体レート判定、船舶5の着陸可能状態または船舶5の着陸可能状態(予測値)、低高度ホバリングモード実行中である。相対位置判定は、上述した相対位置(X)および相対位置(Y)と同様である。相対方位判定は、上述した相対位置(X)および相対位置(Y)と同様に、相対方位(X,Y)の変動量がしきい値以内である状態が所定時間継続すれば、フラグをオン(ON)とする。機体姿勢判定は、上述した自動着陸演算部36が算出した垂直離着陸機1の安定度である。機体レート判定は、垂直離着陸機1におけるピッチ方向の姿勢角の変動量およびロール方向の姿勢角の変動量であり、各変動量がしきい値以内である状態が所定時間継続すれば、フラグをオン(ON)とする。
【0051】
船舶5の着陸可能状態は、上述した自動着陸演算部70が算出した船舶5の安定度の判定であり、ピッチ方向の姿勢角およびロール方向の姿勢角としての船舶安定度フラグである。船舶5の着陸可能状態(予測値)は、所定時間後の船舶5の安定度(船舶安定度フラグ(ON))である。例えば、図10に示すように、着陸目標点2に対する垂直離着陸機1の相対高度が低下し、判定相対高度DHに到達したとき、判定相対高度DHが5.0m、低高度ホバリングモードの目標相対高度が3.0mの場合で例示する。このとき、判定相対高度DHの垂直離着陸機1が低高度ホバリングモードの目標相対高度まで降下する速度(降下率)が一定であり、降下時間は2秒である。また、低高度ホバリングモードの目標相対高度の垂直離着陸機1が着陸目標点2まで降下する速度(降下率)が一定であり、降下時間は3秒である。そのため、判定相対高度DHの垂直離着陸機1が着陸目標点2に着陸するまで降下時間は、5秒(2秒+3秒)であり、通信遅れ時間などの1秒を確保すると、6秒となる。したがって、自動着陸演算部70は、垂直離着陸機1が判定相対高度DHに到達したとき、6秒後の船舶5の安定度を予測する。着陸可能状態の判定は、船舶5の安定度がしきい値以内である状態が所定時間継続すれば、フラグをオン(ON)とする。また、低高度ホバリングモード実行中であるとき、低高度ホバリングモードフラグがオン(ON)となる。
【0052】
低高度ホバリングモードの降下モードにて、相対位置判定、相対方位判定、機体姿勢判定、機体レート判定、船舶5の着陸可能状態(現在値)または船舶5の着陸可能状態(予測値)、低高度ホバリングモード実行中であるという6つのモード移行条件が成立していると、着陸モードへの移行フラグがオン(ON)となり、このとき、着陸モードへの移行フラグがオン(ON)となる。なお、着陸可能状態(現在値)または着陸可能状態(予測値)としたが、着陸可能状態(現在値)単体、着陸可能状態(予測値)単体のいずれか一つをモード移行条件に含める構成としてもよい。
【0053】
続いて、低高度ホバリングモードのホバリングモードから着陸モードへの移行処理について説明する。図11は、低高度ホバリングモード(ホバリングモード)から着陸モードへの移行時の移行フラグの生成処理の一例を示す判定ロジックである。
【0054】
図11に示すように、低高度ホバリングモードのホバリングモードから着陸モードへのモード移行条件は、相対位置判定、相対方位判定、機体姿勢判定、機体レート判定、相対高度判定、船舶5の着陸可能状態または船舶5の着陸可能状態(予測値)、低高度ホバリングモード実行中である。相対位置判定、相対方位判定、機体姿勢判定、機体レート判定は、上述した判定と同様である。相対高度判定は、相対高度の変動量がしきい値以内である状態が所定時間継続すれば、フラグをオン(ON)とする。船舶5の着陸可能状態または船舶5の着陸可能状態(予測値)は、上述した判定と同様である。但し、目標相対高度に応じた所定時間経過後の予測値を用いる。例えば、船舶5の着陸可能状態(予測値)は、低高度ホバリングモードの目標相対高度の垂直離着陸機1が着陸目標点2まで降下する時間4秒(3秒+1秒)であり、自動着陸演算部70は、垂直離着陸機1が低高度ホバリングモードの目標相対高度に到達したとき、4秒後の船舶5の安定度を予測する。
【0055】
低高度ホバリングモードのホバリングモードにて、相対位置判定、相対方位判定、機体姿勢判定、機体レート判定、相対高度判定、船舶5の着陸可能状態または船舶5の着陸可能状態(予測値)、低高度ホバリングモード実行中であるという7つのモード移行条件が成立していると、着陸モードへの移行フラグがオン(ON)となる。
【0056】
また、高高度ホバリングモードまたは低高度ホバリングモードから非常モードへの移行処理について説明する。図12は、高高度ホバリングモードから非常モードへの移行時の移行フラグの生成処理の一例を示す判定ロジックであり、図13は、低高度ホバリングモードから非常モードへの移行時の移行フラグの生成処理の一例を示す判定ロジックである。
【0057】
図12に示すように、高高度ホバリングモードから非常モードへのモード移行条件は、高高度ホバリングモード実行中、相対位置判定、機体姿勢判定、カメラ位置判定である。相対位置判定、機体姿勢判定、カメラ位置判定は、上述したものと同様である。
【0058】
高高度ホバリングモード実行中であり、相対位置判定、機体姿勢判定、カメラ位置判定のフラグがオン(ON)になると、非常モードへの移行フラグがオン(ON)となる。
【0059】
図13に示すように、低高度ホバリングモードから非常モードへの第1モード移行条件は、低高度ホバリングモード実行中である。
【0060】
また、低高度ホバリングモードから非常モードへの第2モード移行条件は、相対位置判定、機体姿勢判定である。相対位置判定、機体姿勢判定は、上述したものと同様である。また、低高度ホバリングモードから非常モードへの第3モード移行条件は、着陸モード実行中と相対位置判定である。
【0061】
そして、低高度ホバリングモードにて、第1モード移行条件及び第2モード移行条件と、第3モード移行条件とのいずれかが成立すると、非常モードへの移行フラグがオン(ON)となる。
【0062】
ここで、各制御モードについて、具体的に説明する。図14は、アプローチモードにおける処理手順の一例を示すフローチャートであり、図15は、高高度ホバリングモードにおける処理手順の一例を示すフローチャートであり、図16は、低高度ホバリングモード(降下モード)における処理手順の一例を示すフローチャートであり、図17は、低高度ホバリングモード(ホバリングモード)における処理手順の一例を示すフローチャートであり、図8は、着陸モードにおける処理手順の一例を示すフローチャートであり、図19は、相対位置演算処理の一例を示すフローチャートである。図14から図19に示す処理は、誘導演算部34及び自動着陸演算部36により実行される。
【0063】
(アプローチモード)
誘導演算部34は、アプローチモード(図4のステップS11)を実行する。アプローチモードについて、図14を参照しながら詳細に説明する。誘導演算部34は、ステップS31として、航法装置20、60、すなわち、GPSで得られた位置座標から相対位置(XGPS、YGPS)を算出(生成)している。
【0064】
次に、誘導演算部34は、ステップS32として、アプローチモードボタンがオンされているか否かを判定する。アプローチモードボタンは、船舶5の操作表示部90に設けられた制御モードの移行指示を入力するためのボタンであり、船舶5に乗員するオペレータによってオンオフされる。オペレータは、垂直離着陸機1の船舶5への着船の準備が整ったら、アプローチモードボタンをオンする。制御部30は、アプローチモードボタンがオンとなっていないと判定した場合(ステップS32でNo)、ステップS31の処理を継続する。一方、制御部30は、アプローチモードボタンがオンとなっていると判定した場合(ステップS32でYes)、ステップS33の処理に進む。
【0065】
誘導演算部34は、ステップS33として、ステップS31で生成した相対位置(XGPS、YGPS)がゼロとなるように、フィードバック制御を実行する。これにより、誘導演算部34は、水平方向において垂直離着陸機1を着陸目標点2に向けて飛行させる。また、誘導演算部34は、算出された垂直離着陸機1の機首方位と船舶5の船首方位との相対方位が、一例として、ゼロとなるように、フィードバック制御を実行する。これにより、誘導演算部34は、水平方向において垂直離着陸機1の機首方位が船舶5の船首方位と一致するように飛行させる。なお、一例として、誘導演算部34は、相対方位がゼロとなるようにフィードバック制御を実行したが、特に限定されず、相対方位がゼロでなくてもよい。さらに、誘導演算部34は、高度センサ25により計測された相対高度Δhが第1相対高度Δh1となるように、フィードバック制御を実行する。これにより、誘導演算部34は、鉛直方向において、垂直離着陸機1を初期高度から第1相対高度Δh1(図2参照)まで降下させつつ、第1相対高度Δh1に維持させる。第1相対高度Δh1は、例えば、8mである。このように、アプローチモードでは、相対位置(XGPS、YGPS)がゼロとなるように制御することで、垂直離着陸機1が着陸目標点2の所定の圏内となるように、垂直離着陸機1を飛行制御している。
【0066】
誘導演算部34は、ステップS34として、画像相対位置演算処理を実行し、垂直離着陸機1と着陸目標点2との水平方向の距離としての相対位置(X、Y)を算出する。画像相対位置演算処理の詳細については、後述する。
【0067】
誘導演算部34は、ステップS35として、ステップS34で算出された垂直離着陸機1と着陸目標点2との水平方向の距離としての相対位置(X、Y)がしきい値以内であるか否かを判定する。しきい値は、カメラ10により、着陸目標点2を捉え続けるのに十分な距離となる値として設定される。誘導演算部34は、相対位置(X、Y)がしきい値以内でないと判定した場合(ステップS35でNo)、ステップS33以降の処理を再び実行する。つまり、垂直離着陸機1は、カメラ10により、着陸目標点2を捉えられない、換言すれば、着陸目標点2に十分近づいていないとして、ステップS33以降の処理を再び実行する。そして、誘導演算部34は、垂直離着陸機1が、カメラ10により、着陸目標点2を捉え続けるのに十分な距離となるまで、ステップS33以降の処理が繰り返し実行される。誘導演算部34は、相対位置(X、Y)がしきい値以内であると判定した場合(ステップS35でYes)、垂直離着陸機1が、カメラ10により、着陸目標点2を捉え続けるのに十分な距離である、つまり、着陸目標点2に十分近づいているとし、誘導演算部34は、ステップS36として、アプローチモードを終了し、高高度ホバリングモードへ移行する。
【0068】
(高高度ホバリングモード)
図4の説明に戻り、誘導演算部34は、アプローチモードを終了すると、ステップS12として、高高度ホバリングモードを実行する。高高度ホバリングモードについて、図15を参照しながら詳細に説明する。高高度ホバリングモードにおいて、誘導演算部34は、ステップS41として、画像相対位置演算処理で算出された相対位置(X、Y)がゼロとなるように、フィードバック制御を実行する。また、誘導演算部34は、算出された垂直離着陸機1の機首方位と船舶5の船首方位との相対方位が、一例として、ゼロとなるように、フィードバック制御を実行する。さらに、誘導演算部34は、高度センサ25により計測された相対高度Δhが第1相対高度Δh1となるように、フィードバック制御を実行する。これにより、誘導演算部34は、鉛直方向において、垂直離着陸機1を着陸目標点2直上においてホバリングさせながら、第1相対高度Δh1に維持させる。そして、誘導演算部34は、ステップS42として、再び画像相対位置演算処理を実行する。
【0069】
誘導演算部34は、ステップS43として、図8で説明した処理である、相対位置判定と機体姿勢判定とカメラ位置判定の各判定結果に基づいて低高度ホバリングモードへの移行条件が成立したか否かを判定する。すなわち、相対位置判定と機体姿勢判定とカメラ位置判定のフラグがオン(ON)になっているか否かを判定する。誘導演算部34は、低高度ホバリングモードへの移行条件が成立していないと判定した場合(ステップS43でNo)、ステップS41以降の処理を再び実行する。そして、誘導演算部34は、低高度ホバリングモードへの移行条件が成立するまで、ステップS41以降の処理が繰り返し実行される。誘導演算部34は、低高度ホバリングモードへの移行条件が成立したと判定した場合(ステップS43でYes)、ステップS44として、高高度ホバリングモードを終了し、低高度ホバリングモードへ移行する。
【0070】
(低高度ホバリングモード)
図4の説明に戻り、誘導演算部34は、高高度ホバリングモードを終了すると、ステップS13Aとして、低高度ホバリングモード(降下モード)を実行する。低高度ホバリングモードについて、図16を参照しながら詳細に説明する。低高度ホバリングモードにおいて、誘導演算部34は、ステップS51として、画像相対位置演算処理で算出された相対位置(X、Y)がゼロとなるように、フィードバック制御を実行する。また、誘導演算部34は、算出された垂直離着陸機1の機首方位と船舶5の船首方位との相対方位が、一例として、ゼロとなるように、フィードバック制御を実行する。さらに、誘導演算部34は、高度センサ25により計測された相対高度Δhが第1相対高度Δh1となるように、フィードバック制御を実行する。これにより、誘導演算部34は、鉛直方向において、垂直離着陸機1を着陸目標点2直上においてホバリングさせながら、第1相対高度Δh1に維持させる。そして、誘導演算部34は、ステップS52として、再び画像相対位置演算処理を実行する。
【0071】
誘導演算部34は、ステップS53として、垂直離着陸機1の相対高度が低下し、判定相対高度DHに到達したか否かを判定する。判定相対高度DHは、レーザ高度計が着陸目標点2の上方で安定して使える相対高度より低く、かつ、低高度ホバリングモードにオーバーシュートすることなく安定して移行することができる相対高度である。具体的に、判定相対高度DHは、高高度ホバリングモードの目標相対高度(第1相対高度Δh1)より低く、低高度ホバリングモードの目標相対高度(第2相対高度Δh2)より高い相対高度である。ステップS53は、低高度ホバリングモードのホバリングモードを実行せずに、直接、着陸モードへと移行するための移行条件(着陸条件)の成立を判定する状態であるか否かを判定している。誘導演算部34は、垂直離着陸機1の相対高度が判定相対高度DHに到達していないと判定した場合(ステップS53でNo)、ステップS51以降の処理を再び実行する。そして、誘導演算部34は、垂直離着陸機1の相対高度が判定相対高度DHに到達するまで、ステップS51以降の処理が繰り返し実行する。
【0072】
誘導演算部34は、ステップS53として、垂直離着陸機1の相対高度が判定相対高度DHに到達したと判定した場合(ステップS53でYes)、自動着陸演算部36は、ステップS54として、着陸モード移行フラグがオン(ON)されているか否かを判定する。ステップS54は、低高度ホバリングモードのホバリングモードを実行せずに、直接、着陸モードへと移行するための移行条件(着陸条件)が成立しているか否かを判定している。すなわち、自動着陸演算部36は、図7で説明した処理を継続して実行しており、垂直離着陸機1の相対高度が判定相対高度DHに到達したとき、図9で説明した処理、自動着陸モード判定を実行する。自動着陸演算部36は、垂直離着陸機1の相対高度が判定相対高度DHに到達したとき、自動着陸モード判定を実行し、低高度ホバリングモードの降下モードから着陸モードへの移行条件(着陸条件)が成立していれば、着陸モード移行フラグがオン(ON)となり、移行条件(着陸条件)が成立していなければ、着陸モード移行フラグがオフ(OFF)となる。
【0073】
ステップS54にて、誘導演算部34は、着陸モード移行フラグがオン(ON)されていると判定した場合(ステップS54でYes)、ステップS55として、低高度ホバリングモードのホバリングモードを終了し、着陸モードへ移行する。一方、ステップS54にて、誘導演算部34は、着陸モード移行フラグがオン(ON)されていないと判定した場合(ステップS54でNo)、ステップS56として、低高度ホバリングモードの降下モードからホバリングモードへ移行する。
【0074】
低高度ホバリングモードの降下モードにて、着陸モードへの移行条件が不成立になると、ステップS13として、低高度ホバリングモードのホバリングモードを実行する。低高度ホバリングモードのホバリングモードについて、図17を参照しながら詳細に説明する。低高度ホバリングモードのホバリングモードにおいて、誘導演算部34は、ステップS57として、画像相対位置演算処理で算出された相対位置(X、Y)がゼロとなるように、フィードバック制御を実行する。また、誘導演算部34は、算出された垂直離着陸機1の機首方位と船舶5の船首方位との相対方位が、一例として、ゼロとなるように、フィードバック制御を実行する。さらに、誘導演算部34は、高度センサ25により計測された相対高度Δhが第1相対高度Δh1よりも低い第2相対高度Δh2となるようにフィードバック制御する。これにより、誘導演算部34は、垂直離着陸機1を着陸目標点2直上においてホバリングさせながら、垂直離着陸機1の高度を第2相対高度Δh2(図2参照)まで降下させる。第2相対高度Δh2は、例えば、3mである。このとき、誘導演算部34は、垂直離着陸機1の降下速度を第1降下速度とする。第1降下速度は、例えば、0.6m/sである。そして、誘導演算部34は、ステップS58として、再び画像相対位置演算処理を実行する。
【0075】
誘導演算部34は、ステップS59として、図11で説明した処理である、相対位置判定と相対方位判定と機体姿勢判定と機体レート判定と相対高度判定と船舶5の着陸可能状態判定と低高度ホバリングモード判定の各判定結果に基づいて着陸モードへの移行条件が成立したか否かを判定する。すなわち、相対位置判定と相対方位判定と機体姿勢判定と機体レート判定と相対高度判定と、船舶5の着陸可能状態判定と低高度ホバリングモード判定のフラグがオン(ON)になっているか否かを判定する。誘導演算部34は、低高度ホバリングモードへの移行条件が成立していないと判定した場合(ステップS43でNo)、ステップS41以降の処理を再び実行する。そして、誘導演算部34は、着陸モードへの移行条件が成立するまで、ステップS57以降の処理が繰り返し実行される。誘導演算部34は、着陸モードへの移行条件が成立したと判定した場合(ステップS59でYes)、ステップS60として、低高度ホバリングモードを終了し、着陸モードへ移行する。
【0076】
(着陸モード)
図4の説明に戻り、誘導演算部34は、低高度ホバリングモードを終了すると、ステップS14として、着陸モードを実行する。着陸モードについて、図18を参照しながら詳細に説明する。着陸モードにおいて、誘導演算部34は、ステップS61として、画像相対位置演算処理で算出された相対位置(X、Y)がゼロとなるように、フィードバック制御を実行する。また、誘導演算部34は、算出された垂直離着陸機1の機首方位と船舶5の船首方位との相対方位が、一例として、ゼロとなるように、フィードバック制御を実行する。さらに、誘導演算部34は、高度センサ25により計測された相対高度Δhが第3相対高度Δh3となるまでの間、降下率を一定とする垂直速度制御を実行している。降下率は、単位時間当たりに降下する高度の度合いである。誘導演算部34は、垂直速度制御において、垂直離着陸機1の降下速度を第2降下速度としている。これにより、誘導演算部34は、垂直離着陸機1の相対高度Δhを第3相対高度Δh3(図2参照)まで降下させる。第3相対高度Δh3は、例えば、10cmである。また、第2降下速度は、例えば、1.0m/sである。なお、本実施形態では、着陸モードにおいて垂直離着陸機1を速やかに着陸目標点2に着陸させるために、第2降下速度を上記第1降下速度よりも大きく設定したが、第1降下速度および第2降下速度は、いずれが大きく設定されてもよいし、同じ値であってもよい。さらに、誘導演算部34は、垂直離着陸機1の高度が第3相対高度Δh3に到達すると、第3相対高度Δh3に到達したときの、垂直離着陸機1の姿勢角に関する操作量を保持したまま、垂直離着陸機1をさらに降下させる。
【0077】
誘導演算部34は、ステップS62として、カメラ10で着陸目標点2を捕捉できているか否かを判定する。カメラ10で着陸目標点2を捕捉できているか否かは、後述する画像相対位置演算処理のステップS12と同様の処理により算出することができる。誘導演算部34は、カメラ10で着陸目標点2を捕捉できている判定した場合(ステップS62でYes)、ステップS63として、画像処理により相対位置(X、Y)を算出する。相対位置(X、Y)は、後述する画像相対位置演算処理のステップS14と同様の処理により算出することができる。一方、誘導演算部34は、カメラ10で着陸目標点2を捕捉できていないと判定した場合(ステップS62でNo)、ステップS63の処理を省略し、ステップS64に進む。本実施形態において、着陸モードにおいては、垂直離着陸機1が着陸目標点2に十分に接近した状態であり、カメラ10で着陸目標点2を一時的に捕捉できないことがあったとしても、着陸目標点2の近傍に着陸できるとして、着陸モードを継続して実行する。なお、垂直離着陸機1が有人機の場合は、着陸モードの実行中において、パイロットの判断に基づいて着陸モードの実行を中断してもよい。
【0078】
飛行制御部38は、ステップS64として、垂直離着陸機1が着陸目標点2に着陸したか否かを判定する。垂直離着陸機1が着陸目標点2に着陸したか否かは、例えば、垂直離着陸機1の図示しない脚部に接触式のセンサを設けておくこと等により、判定することができる。飛行制御部38は、垂直離着陸機1が着陸目標点2に着陸していないと判定した場合(ステップS64でNo)、再びステップS61以降の処理を実行する。これにより、垂直離着陸機1が着陸目標点2に着陸するまで、ステップS61の手順により垂直離着陸機1が降下するように制御される。そして、飛行制御部38は、垂直離着陸機1が着陸目標点2に着陸したと判定した場合(ステップS64でYes)、誘導演算部34は、着陸モードを終了する。これにより、図4に示す処理ルーチンも終了する。
【0079】
(画像相対位置演算処理)
次に、画像相対位置演算処理について、図19を参照しながら説明する。画像相対位置演算処理において、誘導演算部34は、ステップS71として、非常モードボタンがオフされているか否かを判定する。非常モードボタンは、船舶5の操作表示部90に設けられており、船舶5に乗員するオペレータによってオンオフされる。オペレータは、船舶5へ垂直離着陸機1が着陸することを中断すべきであると判断したとき、非常モードボタンをオンする。具体的には、オペレータは、例えば、風の影響や何らかの故障の発生等によって垂直離着陸機1の飛行状態が不安定であることを目視により確認した場合に、非常モードボタンをオンする。
【0080】
誘導演算部34は、ステップS71において、非常モードボタンがオンされていると判定した場合(ステップS71でNo)、ステップS77として、非常モードの実行へと移行する。非常モードにおいて、誘導演算部34は、垂直離着陸機1をいったん船舶5から十分に離れた所定高度(例えば、20m)まで上昇させ、現在の相対位置(X、Y)を維持させる。誘導演算部34は、非常モードへと移行する場合、図4に示す高高度ホバリングモードを実行するステップS12及び低高度ホバリングモードを実行するステップS13の実行中において、非常モードを実行可能となっている。誘導演算部34は、非常モードの実行により、垂直離着陸機1をいったん船舶5から十分に離れた高度まで上昇させると、再び図4に示す処理をステップS11から改めて再開する。
【0081】
一方、誘導演算部34は、非常モードボタンがオフされていると判定した場合(ステップS71でYes)、ステップS72として、カメラ10で着陸目標点2を捕捉できているか否かを判定する。カメラ10で着陸目標点2を捕捉できているか否かは、カメラ10で撮影された画像内に、マーカー7の中心(Cx、Cy)を算出可能な情報が得られているか否かで判定することができる。
【0082】
誘導演算部34は、カメラ10で着陸目標点2を捕捉できていると判定した場合(ステップS72でYes)、ステップS73として、目標非捕捉カウンタを値0に設定する。そして、誘導演算部34は、ステップS74として、マーカー7の中心(Cx、Cy)と、カメラ10の方位(すなわち、同じ方位となる垂直離着陸機1の機首方位)と、垂直離着陸機1の高度(着陸目標点2に対する相対高度Δh)とに基づいて、垂直離着陸機1と着陸目標点2との相対位置(X、Y)を算出する。上述したように、相対位置(X、Y)は、画像処理部32で算出されたカメラ固定座標系におけるマーカー7の中心(Cx、Cy)を、船慣性系における垂直離着陸機1と着陸目標点2との相対位置に変換し、さらに、航空機慣性系における垂直離着陸機1と着陸目標点2との相対位置(X、Y)に変換することで算出される。
【0083】
一方、誘導演算部34は、ステップS72において、カメラ10で着陸目標点2を捕捉できていないと判定した場合(ステップS72でNo)、ステップS75として、目標非捕捉カウンタに値に1を加算し、ステップS76として、目標非捕捉カウンタが所定値以内であるか否かを判定する。誘導演算部34は、目標非捕捉カウンタが所定値以内であると判定した場合(ステップS76でYes)、処理を終了するが、画像相対位置演算処理としては、ステップS71以降の処理を継続して実行する。誘導演算部34は、目標非捕捉カウンタが所定値以内でないと判定した場合(ステップS76でNo)、ステップS77に進み、非常モードの実行へと移行する。すなわち、誘導演算部34は、目標非捕捉カウンタが所定値を超えることで、カメラ10で着陸目標点2を連続して捕捉できない時間が所定時間以上となったと判断し、非常モードを実行する。
【0084】
(本実施形態の作用効果)
第1の態様に係る垂直離着陸機の自動着陸システムは、垂直離着陸機1に搭載されたカメラ(撮影装置)10と、カメラ10で着陸目標点2に設けられたマーカー7を撮影した画像を画像処理して垂直離着陸機1と着陸目標点2との相対位置を取得する相対位置取得部と、垂直離着陸機1と着陸目標点2との相対高度を取得する相対高度取得部と、垂直離着陸機1の状態を取得する機体状態取得部と、相対位置がゼロになるように垂直離着陸機1を複数の制御モードで制御する制御部30とを備え、制御モードは、垂直離着陸機1がホバリング高度まで降下して着陸目標点2の上方に位置するホバリングモードと、相対高度を低下させて着陸目標点2に着陸させる着陸モードとを含み、制御部30は、相対高度が前記ホバリング高度より高い判定相対高度DHまで低下したとき、垂直離着陸機1の状態が所定の機体安定状態であることを含む着陸条件が成立すると着陸モードに移行させ、着陸条件が成立しないと前記ホバリング高度まで降下させる。
【0085】
第1の態様に係る垂直離着陸機の自動着陸システムによれば、垂直離着陸機1が降下し、相対高度が判定相対高度DHまで低下したとき、垂直離着陸機1の状態が機体安定状態であることを含む着陸条件が成立すると、着陸モードに移行させる。そのため、垂直離着陸機1が安定して飛行していれば、低高度ホバリングモードのホバリングモードを省略して直接着陸モードに移行させることができ、垂直離着陸機1を着陸目標点2に着陸させるまでの時間を短縮することができる。また、着陸モードに移行させるためのボタン操作を不要とすることで、操作性の向上を図ることができる。
【0086】
第2の態様に係る垂直離着陸機の自動着陸システムは、第1の態様に係る垂直離着陸機の自動着陸システムであって、さらに、制御部30は、相対高度が判定相対高度DHまで低下したとき、垂直離着陸機1の状態が機体安定状態であると共に相対位置が所定の相対位置しきい値以内であることを含む着陸条件が成立すると着陸モードに移行させる。これにより、着陸条件として、垂直離着陸機1と着陸目標点2との相対位置を用いることで、着陸条件の信頼性を向上することができる。
【0087】
第3の態様に係る垂直離着陸機の自動着陸システム100は、第1の態様または第2態様に係る垂直離着陸機の自動着陸システムであって、さらに、垂直離着陸機1の機首方位と着陸目標点2の方位との相対方位を取得する相対方位取得部を備え、制御部30は、相対高度が判定相対高度DHまで低下したとき、垂直離着陸機1の状態が機体安定状態であると共に相対方位が所定の相対方位しきい値以内であることを含む着陸条件が成立すると着陸モードに移行させる。これにより、着陸条件として、垂直離着陸機1と着陸目標点2との相対方位を用いることで、着陸条件の信頼性を向上することができる。
【0088】
第4の態様に係る垂直離着陸機の自動着陸システムは、第1の態様から第3の態様のいずれか一つに係る垂直離着陸機の自動着陸システムであって、さらに、着陸目標点2の状態を取得する目標点状態取得部を備え、制御部30は、相対高度が判定相対高度DHまで低下したとき、垂直離着陸機1の状態が機体安定状態であると共に着陸目標点2の状態が所定の目標点安定状態であることを含む着陸条件が成立すると着陸モードに移行させる。これにより、垂直離着陸機1と船舶5が安定していれば、垂直離着陸機1を高高度ホバリングモードから直接着陸モードに移行させることができ、垂直離着陸機1を着陸目標点2に着陸させるまでの時間を短縮することができる。
【0089】
第5の態様に係る垂直離着陸機の自動着陸システム100は、第1の態様から第4の態様のいずれか一つに係る垂直離着陸機の自動着陸システムであって、さらに、目標点状態取得部は、垂直離着陸機1が着陸目標点に着陸したときの着陸目標点の状態を予測して取得する。これにより、垂直離着陸機1が着陸目標点に着陸したときの着陸目標点の状態を予測したデータを用いることで、着陸目標点2の状態の信頼性の向上を図ることができる。
【0090】
第6の態様に係る垂直離着陸機の自動着陸システム100は、第1の態様から第5の態様のいずれか一つに係る垂直離着陸機の自動着陸システムであって、さらに、ホバリングモードは、高高度ホバリングモードと、低高度ホバリングモードとを含み、低高度ホバリングモードは、ホバリング高度まで降下する降下モード(第1モード)と、ホバリング高度でホバリングするホバリングモード(第2モード)とを含み、制御部30は、高高度ホバリングモードから相対高度が判定相対高度DHまで低下したとき、着陸条件が成立すると着陸モードに移行させ、着陸条件が成立しないと低高度ホバリングモードを維持させる。これにより、垂直離着陸機1を高高度ホバリングモードから直接着陸モードに移行させることができ、垂直離着陸機1を着陸目標点2に着陸させるまでの時間を短縮することができる。
【0091】
第7の態様に係る垂直離着陸機1は、垂直離着陸機の自動着陸システムを有する。これにより、垂直離着陸機1は、安定して飛行していれば、低高度ホバリングモードのホバリングモードを省略して直接着陸モードに移行することができ、垂直離着陸機1が着陸目標点2に着陸するまでの時間を短縮することができる。また、着陸モードに移行させるためのボタン操作を不要とすることで、操作性の向上を図ることができる。
【0092】
第8の態様に係る垂直離着陸機の着陸制御方法は、垂直離着陸機1に搭載されたカメラ(撮影装置)10で着陸目標点に設けられたマーカー7を撮影した画像を画像処理して垂直離着陸機1と着陸目標点2との相対位置を取得するステップと、垂直離着陸機1と着陸目標点2との相対高度を取得するステップと、垂直離着陸機1の状態を取得するステップと、相対位置がゼロになるように垂直離着陸機1を複数の制御モードで制御するステップとを有し、制御モードは、垂直離着陸機1がホバリング高度まで降下して着陸目標点2の上方に位置するホバリングモードと、相対高度を低下させて着陸目標点2に着陸させる着陸モードとを含み、相対高度が前記ホバリング高度より高い判定相対高度DHまで低下したとき、垂直離着陸機1の状態が所定の機体安定状態であることを含む着陸条件が成立すると着陸モードに移行させ、着陸条件が成立しないと前記ホバリング高度まで降下させる。
【0093】
第8の態様に係る垂直離着陸機の着陸制御方法によれば、垂直離着陸機1が安定して飛行していれば、低高度ホバリングモードのホバリングモードを省略して直接着陸モードに移行させることができ、垂直離着陸機1を着陸目標点2に着陸させるまでの時間を短縮することができる。また、着陸モードに移行させるためのボタン操作を不要とすることで、操作性の向上を図ることができる。
【0094】
なお、上述した実施形態では、垂直離着陸機1側に自動着陸演算部36を配置し、着陸目標点2側に自動着陸演算部70を配置したが、この構成に限定されるものではない。自動着陸演算部は、垂直離着陸機1側と着陸目標点2側の少なくともいずれか一方に配置され、垂直離着陸機1の状態と着陸目標点2の状態を演算することができればよいものである。
【符号の説明】
【0095】
1 垂直離着陸機
2 着陸目標点
5 船舶
7 マーカー
10 カメラ(撮影装置)
20 航法装置
25 高度センサ
30 制御部
32 画像処理部
34 誘導演算部
36 自動着陸演算部
38 飛行制御部
40 データ伝送装置
60 航法装置
70 自動着陸演算部
80 データ伝送装置
90 操作表示部
100 自動着陸システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19