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特開2024-104220マッチング方法、マッチングシステム、プログラム及び非一時的コンピュータ可読記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104220
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】マッチング方法、マッチングシステム、プログラム及び非一時的コンピュータ可読記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20230101AFI20240726BHJP
   G06Q 30/0601 20230101ALI20240726BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06Q30/0601 312
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008340
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】523025919
【氏名又は名称】株式会社Strategy&Science
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】小久保 欣哉
【テーマコード(参考)】
5L010
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA04
5L030BB53
5L049AA04
5L049BB53
(57)【要約】
【課題】より精度の高い安定的なマッチングを実現する。
【解決手段】複数の第1の要素からなる第1の集合と複数の第2の要素からなる第2の集合について第1の要素と第2の要素とをマッチングするマッチング方法において、1又は複数のプロセッサ111によって受入保留アルゴリズムを用いて、第1の要素を何れかの第2の要素に対してマッチング処理を行うこと、または、第2の要素を何れかの第1の要素に対してマッチング処理を行うことと、1又は複数のプロセッサによってマッチング処理の何れかにより得られたマッチング結果データを教師データとして用いる機械学習を行うことにより、マッチング結果データを調整することと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の要素からなる第1の集合と複数の第2の要素からなる第2の集合について前記第1の要素と前記第2の要素とをマッチングするマッチング方法において、
1又は複数のプロセッサによって受入保留アルゴリズムを用いて、前記第1の要素を何れかの前記第2の要素に対してマッチング処理を行うこと、または、前記第2の要素を何れかの前記第1の要素に対してマッチング処理を行うことと、
前記1又は複数のプロセッサによって前記マッチング処理の何れかにより得られたマッチング結果データを教師データとして用いる機械学習を行うことにより、前記マッチング結果データを調整することと、を含む
マッチング方法。
【請求項2】
前記マッチング結果データを調整する際に、
前記1又は複数のプロセッサによって前記マッチング結果データを前記教師データとして機械学習の実行の可否を判定することと、
前記1又は複数のプロセッサによって前記機械学習の実行が可能と判定された場合に、前記マッチング結果データを前記教師データとして機械学習によるマッチング評価モデルを生成することと、
前記1又は複数のプロセッサによって前記マッチング評価モデルを用いて前記マッチング結果データを調整して最終マッチング結果として算出することと、を含む
請求項1に記載のマッチング方法。
【請求項3】
前記1又は複数のプロセッサによって何れかの一方の前記マッチング処理を行った後に、前記マッチング結果データの妥当性の検証を更に行うことを含む
請求項1又は2に記載のマッチング方法。
【請求項4】
前記1又は複数のプロセッサによる前記マッチング結果データの検証として、前記マッチング結果データに対してランダム化比較試験を行ってから、前記ランダム化比較試験による効果の検証を行う
請求項3に記載のマッチング方法。
【請求項5】
前記ランダム化比較試験として、前記マッチング結果データを無作為に介入と非介入の2つのグループに分けて前記マッチング結果データにおける前記介入と前記非介入の効果の比較検証を行い、
前記ランダム化比較試験による効果の検証として、前記2つのグループにおける前記マッチング結果データの差分となる第1の差分をそれぞれ算出してから、前記各グループで算出した前記第1の差分の差分として第2の差分を算出して、前記第2の差分に基づいて前記介入の効果の検証を行う
請求項4に記載のマッチング方法。
【請求項6】
前記1又は複数のプロセッサによる前記マッチング結果データの妥当性の検証として、前記マッチング結果データの傾向スコアを算出して前記傾向スコアに基づいた分析を行う
請求項3に記載のマッチング方法。
【請求項7】
前記1又は複数のプロセッサによる前記マッチング結果データの妥当性の検証として、前記マッチング結果データの傾向スコアを算出して前記傾向スコアに基づいた分析を行ってから、前記傾向スコアを算出した前記マッチング結果データに対してランダム化比較試験を行って、前記ランダム化比較試験による効果の検証を行う
請求項3に記載のマッチング方法。
【請求項8】
複数の第1の要素からなる第1の集合と複数の第2の要素からなる第2の集合について前記第1の要素と前記第2の要素とをマッチングするマッチングシステムにおいて、
受入保留アルゴリズムを用いて前記第1の集合の要素を前記第2の集合の何れかの要素に対するマッチング処理を行うか、または、前記第2の集合の要素を前記第1の集合の何れかの要素に対するマッチング処理を行うマッチング処理部と、
前記マッチング処理部によるマッチング処理の結果により得られたマッチング結果データが記憶されているマッチング結果記憶部と、
前記マッチング結果記憶部に記憶された前記マッチング結果データを教師データとして機械学習を行って、前記マッチング処理部による前記マッチング結果を調整するマッチング結果調整部と、を備える
マッチングシステム。
【請求項9】
前記マッチング結果調整部は、
前記マッチング結果記憶部に記憶された前記マッチング結果データを前記教師データとして機械学習の実行の可否を判定する判定部と、
前記判定部で機械学習の実行が可能と判定されたら、前記マッチング結果記憶部に記憶された前記マッチング結果データを前記教師データとして機械学習によるマッチング評価モデルを生成する生成部と、
前記マッチング評価モデルを用いて前記マッチング処理部により算出された前記マッチング結果データを調整して最終マッチング結果データとして算出する算出部と、を備える
請求項8に記載のマッチングシステム。
【請求項10】
前記マッチング処理部によるマッチング処理を行った後に、前記マッチング結果データの妥当性の検証を行う検証部を更に備える
請求項8又は9に記載のマッチングシステム。
【請求項11】
前記検証部は、前記マッチング結果データに対してランダム化比較試験を行ってから、前記ランダム化比較試験による効果の検証を行う
請求項10に記載のマッチングシステム。
【請求項12】
前記検証部は、前記マッチング結果データの傾向スコアを算出して前記傾向スコアに基づいた分析を行う
請求項10に記載のマッチングシステム。
【請求項13】
前記検証部は、前記マッチング結果データの傾向スコアを算出して前記傾向スコアに基づいた分析を行ってから、前記傾向スコアを算出した前記マッチング結果データに対してランダム化比較試験を行って、前記ランダム化比較試験による効果の検証を行う
請求項10に記載のマッチングシステム。
【請求項14】
前記マッチング結果記憶部は、
前記マッチング処理部で算出されたマッチング結果データを仮マッチング結果データとして記憶する仮マッチング結果記憶部と、
前記算出部で算出された前記最終マッチング結果データを記憶する最終マッチング結果記憶部と、を備える
請求項9に記載のマッチングシステム。
【請求項15】
前記マッチング結果調整部は、前記判定部で前記機械学習の実行が不可能と判定したら、前記マッチング処理部で算出した前記マッチング結果データを前記最終マッチング結果データとして前記最終マッチング結果記憶部に記憶する
請求項14に記載のマッチングシステム。
【請求項16】
前記第1の集合の各第1の要素を特定する第1の特定情報を記憶する第1の特定情報記憶部と、
前記第1の集合の各第1の要素の有する第1の評価情報を記憶する第1の評価情報記憶部と、
前記第2の集合の各第2の要素を特定する第2の特定情報を記憶する第2の特定情報記憶部と、
前記第2の集合の各第2の要素の有する第2の評価情報を記憶する第2の評価情報記憶部と、
前記第1の集合の各第1の要素ごとに、前記第2の集合の第2の要素の全部又は一部に対して一意に順位付けられた第1の優先度リストを記憶している第1の優先度リスト記憶部と、
前記第2の集合の各第2の要素ごとに、前記第1の集合の第1の要素の全部又は一部に対して一意に順位付けられた第2の優先度リストを記憶している第2の優先度リスト記憶部と、
前記第1の評価情報と前記第2の評価情報に基づいて前記第1の集合の各第1の要素と前記第2の集合の各第2の要素との相性度情報を算出し、相性度情報記憶部に記憶する相性度算出部と、
前記第1の特定情報、前記第1の評価情報及び前記相性度情報に基づいて前記第1の優先度リストを作成し、前記第2の特定情報、前記第2の評価情報及び前記相性度情報に基づいて前記第2の優先度リストを作成する優先度リスト作成部と、を更に備え、
前記マッチング処理部は、前記第1の優先度リストと前記第2の優先度リストに基づいて、前記受入保留アルゴリズムを用いてマッチング処理を行う
請求項8に記載のマッチングシステム。
【請求項17】
前記優先度リスト作成部は、前記第1の優先度リストを作成する前に、前記第1の特定情報のデータベースにダミーデータを追加し、前記第2の優先度リストを作成する前に、前記第2の特定情報のデータベースにダミーデータを追加する
請求項16に記載のマッチングシステム。
【請求項18】
前記相性度算出部は、コサイン類似度に基づき前記相性度情報を算出する
請求項16に記載のマッチングシステム。
【請求項19】
コンピュータに、複数の第1の要素からなる第1の集合と複数の第2の要素からなる第2の集合について前記第1の要素と前記第2の要素とのマッチングを実行させるためのプログラムにおいて、
前記コンピュータは、1又は複数のプロセッサを備え、
前記プログラムは、前記プロセッサに、
受入保留アルゴリズムを用いて、前記第1の要素を何れかの前記第2の要素に対してマッチング処理を行うこと、または、前記第2の要素を何れかの前記第1の要素に対してマッチング処理を行うことと、
前記マッチング処理の何れかにより得られたマッチング結果データを教師データとして用いる機械学習を行うことにより、前記マッチング結果データを調整することと、を実行させる
プログラム。
【請求項20】
コンピュータに、複数の第1の要素からなる第1の集合と複数の第2の要素からなる第2の集合について前記第1の要素と前記第2の要素とをマッチングを実行させるためのプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読記憶媒体において、
前記コンピュータは、1又は複数のプロセッサを備え、
前記プログラムは、前記プロセッサに、
受入保留アルゴリズムを用いて、前記第1の要素を何れかの前記第2の要素に対してマッチング処理を行うこと、または、前記第2の要素を何れかの前記第1の要素に対してマッチング処理を行うことと、
前記マッチング処理の何れかにより得られたマッチング結果データを教師データとして用いる機械学習を行うことにより、前記マッチング結果データを調整することと、を実行させる
非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マッチング方法、マッチングシステム、プログラム及び非一時的コンピュータ可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、就職志願者の集合と志願者を受け入れる企業の集合との間のマッチング問題のように、双方向に優先度を持つ集合間のマッチング問題において、不安定対が存在しない安定的なマッチングを行えることが好ましい。複数の要素からなる集合の与えられた選好リストに基づき安定マッチング問題の安定解を求める方法として、GaleとShapleyが提唱された受入保留アルゴリズム(Deferred Acceptance algorithm:以下、DAアルゴリズムとも言う。)が知られている。このようなDAアルゴリズムを応用したマッチングシステムの例として、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-165224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の要素からなる一方の集合と複数の要素からなる他方の集合との各要素をマッチングする際に、DAアルゴリズムを応用したマッチング処理によるマッチング結果は、必ずしも安定解が得られるものとならない。このため、複数の集合の要素どうしにおける安定的なマッチングを行えることが望ましい。
【0005】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、複数の集合の要素どうしにおける安定的なマッチングを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、複数の第1の要素からなる第1の集合と複数の第2の要素からなる第2の集合について前記第1の要素と前記第2の要素とをマッチングするマッチング方法において、1又は複数のプロセッサによって受入保留アルゴリズムを用いて、前記第1の要素を何れかの前記第2の要素に対してマッチング処理を行うこと、または、前記第2の要素を何れかの前記第1の要素に対してマッチング処理を行うことと、前記1又は複数のプロセッサによって前記マッチング処理の何れかにより得られたマッチング結果データを教師データとして用いる機械学習を行うことにより、前記マッチング結果データを調整することと、を含む。
【0007】
本開示の一態様によれば、受入保留アルゴリズムを用いてマッチング処理をしてから、マッチング結果データを教師データとして機械学習することによって、マッチング結果データを調整しながら最終的なマッチング結果を求める。このため、複数の集合の要素どうしにおける安定的なマッチングを実現できるようになる。
【0008】
本開示の他の態様は、複数の第1の要素からなる第1の集合と複数の第2の要素からなる第2の集合について前記第1の要素と前記第2の要素とをマッチングするマッチングシステムにおいて、前記第1の集合の要素を前記第2の集合の何れかの要素に対するマッチング処理を行うか、または、前記第2の集合の要素を前記第1の集合の何れかの要素に対するマッチング処理を行うマッチング処理部と、前記マッチング処理部によるマッチング処理の結果により得られたマッチング結果データが記憶されているマッチング結果記憶部と、前記マッチング結果記憶部に記憶された前記マッチング結果データを教師データとして機械学習を行って、前記マッチング処理部による前記マッチング結果を調整するマッチング結果調整部と、を備える。
【0009】
本開示の他の態様によれば、受入保留アルゴリズムを用いてマッチング処理部がマッチング処理してから、マッチング結果記憶部に記憶された過去のマッチング結果データを教師データとして機械学習することにより、マッチング結果データを調整しながら最終的なマッチング結果を求める。このため、複数の集合の要素どうしにおける安定的なマッチングを実現できる。
【0010】
本開示の更に他の態様は、コンピュータに、複数の第1の要素からなる第1の集合と複数の第2の要素からなる第2の集合について前記第1の要素と前記第2の要素とのマッチングを実行させるためのプログラムにおいて、前記コンピュータは、1又は複数のプロセッサを備え、前記プログラムは、前記プロセッサに、受入保留アルゴリズムを用いて、前記第1の要素を何れかの前記第2の要素に対してマッチング処理を行うこと、または、前記第2の要素を何れかの前記第1の要素に対してマッチング処理を行うことと、前記マッチング処理の何れかにより得られたマッチング結果データを教師データとして用いる機械学習を行うことにより、前記マッチング結果データを調整することと、を実行させる。
【0011】
本開示の更に他の態様によれば、マッチングを行わせるプログラムに沿ってコンピュータを動作させて、受入保留アルゴリズムを用いてマッチング処理をしてから、マッチング結果データを教師データとして機械学習をすることにより、複数の集合の要素どうしにおける安定的なマッチングを実現できる。
【0012】
本開示の更に他の態様は、コンピュータに、複数の第1の要素からなる第1の集合と複数の第2の要素からなる第2の集合について前記第1の要素と前記第2の要素とをマッチングを実行させるためのプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読記憶媒体において、前記コンピュータは、1又は複数のプロセッサを備え、前記プログラムは、前記プロセッサに、受入保留アルゴリズムを用いて、前記第1の要素を何れかの前記第2の要素に対してマッチング処理を行うこと、または、前記第2の要素を何れかの前記第1の要素に対してマッチング処理を行うことと、前記マッチング処理の何れかにより得られたマッチング結果データを教師データとして用いる機械学習を行うことにより、前記マッチング結果データを調整することと、を実行させる。
【0013】
本開示の更に他の態様によれば、マッチングを実行させるためのプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータを動作させて、受入保留アルゴリズムを用いてマッチング処理をしてから、マッチング結果データを教師データとして機械学習をすることにより、複数の集合の要素どうしにおける安定的なマッチングを実現できる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、複数の集合の要素どうしにおける安定的なマッチングを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の一実施形態に係るマッチング方法を行うマッチングシステムの構成を示すブロック図である。
図2】本開示の一実施形態に係るマッチングシステムに備わるマッチングサーバ等のハードウェアの構成を示すブロック図である。
図3】本開示の一実施形態に係るマッチング方法の動作フローの概略を示す図である。
図4】本開示の一実施形態に係るマッチング方法で実施される第1の要素の業務スキルの解析結果の一例を示す説明図である。
図5】本開示の一実施形態に係るマッチングシステムに備わる第1の評価情報記憶部に記憶された第1の評価情報をデータベース化したテーブルの一例を示す説明図である。
図6】本開示の一実施形態に係るマッチングシステムに備わる第2の評価情報記憶部に記憶された第2の評価情報をデータベース化したテーブルの一例を示す説明図である。
図7】本開示の一実施形態に係るマッチングシステムに備わる相性度情報記憶部に記憶された相性度情報をデータベース化したテーブルの一例を示す説明図である。
図8】本開示の一実施形態に係るマッチングシステムに備わる第2の特定情報記憶部に記憶された第2の特定情報を補正してデータベース化したテーブルの一例を示す説明図である。
図9】本開示の一実施形態に係るマッチングシステムに備わる第1の優先度リスト記憶部に記憶された第1の優先度リストをデータベース化したテーブルの一例を示す説明図である。
図10】本開示の一実施形態に係るマッチングシステムに備わる第2の優先度リスト記憶部に記憶された第2の優先度リストをデータベース化したテーブルの一例を示す説明図である。
図11】本開示の一実施形態に係るマッチング方法で行われる受入保留アルゴリズムを用いたマッチング処理の動作イメージ図である。
図12】本開示の一実施形態に係るマッチングシステムに備わる仮マッチング結果記憶部に記憶された仮マッチング結果をデータベース化したテーブルの一例を示す説明図である。
図13】本開示の一実施形態に係るマッチングシステムに備わる仮マッチング結果記憶部に記憶された仮マッチング結果が最終マッチング結果に調整される動作の一例を示す説明図である。
図14】本開示の他の実施形態に係るマッチング方法を行うマッチングシステムの構成を示すブロック図である。
図15】本開示の他の実施形態に係るマッチング方法の動作フローの概略を示す図である。
図16】本開示の他の実施形態の一変形例に係るマッチング方法の動作フローの概略を示す図である。
図17】本開示の他の実施形態の他の変形例に係るマッチング方法の動作フローの概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本開示の解決手段として必須であるとは限らない。
【0017】
また、本明細書及び特許請求の範囲において、「第1」及び「第1」に続く「第n」(nは整数)と記載する場合、それらは、異なる構成要素を区別するために用いるものであり、特定の順序や優劣等を示すために用いるものではない。
【0018】
さらに、以下の説明で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。本明細書及び特許請求の範囲に記載する一態様による構成要素は、単数形又は複数形であることを文脈上明確に記載しない限り、複数形も含むことが意図される。用語「及び/又は」は、関連する列挙された要素のうちの1つ以上のいずれか及び全ての考えられる組み合わせを指し、かつこれを含むことが意図される。本明細書及び特許請求の範囲に記載する用語「含む(includes)」、「含む(including)」、「含む、備える(comprises)」、及び/又は「含む、備える(comprising)」は、特徴、動作、要素、ステップの存在を特定するものである。しかしながら、1つ以上の他の特徴、動作、要素、ステップ及び/又はそれらのグループの存在又は追加を除外するものではない用語として用いられている。
【0019】
(第1の実施形態)
まず、本開示の一実施形態に係るマッチングシステムの構成について、図面を使用しながら説明する。図1は、本開示の一実施形態に係るマッチング方法を行うマッチングシステムの構成を示すブロック図であり、図2は、本開示の一実施形態に係るマッチングシステムに備わるマッチングサーバのハードウェアの構成を示すブロック図である。
【0020】
本開示の一実施形態に係るマッチングシステム100は、複数の第1の要素からなる第1の集合と複数の第2の要素からなる第2の集合との各要素をマッチングする際に適用される。ここで、複数の第1の要素は、第1の特定情報と第1の評価情報とを含む。第1の特定情報は、個々の第1の要素を識別するための情報である。第1の特定情報には、例えば、第1の要素の属性や特徴等を含む。第1の評価情報は、第2の要素が第1の要素を選好する際に、その選好に影響を及ぼすと考えられる第1の要素に関する情報である。第1の評価情報は、例えば、第1の要素の属性や特徴等を含む。前述の第1の要素および第1の評価情報における「属性」、「特徴」は、例示であり、マッチングする対象に応じて具体的に特定される。
【0021】
一方、複数の第2の要素は、第2の特定情報と第2の評価情報とを含む。第2の特定情報は、個々の第2の要素を識別するための情報である。第2の特定情報には、例えば、第2の要素の属性や特徴等を含む。第2の評価情報は、第1の要素が第2の要素を選好する際に、その選好に影響を及ぼすと考えられる第2の要素に関する情報である。第2の評価情報は、例えば、第2の要素の属性や特徴等を含む。前述の第2の要素および第2の評価情報における「属性」、「特徴」は、例示であり、マッチングする対象に応じて具体的に特定される。
【0022】
本実施形態では、第1の集合を構成する第1の要素となる市場調査会社のマーケットリサーチャー(以下、MRとも言う。)と、第2の集合を構成する第2の要素となるクライアント企業(以下、CLとも言う。)とのマッチングに適用した場合について、説明する。この適用例では、第1の集合、第1の要素、第2の集合及び第2の要素は、次のように把握されるべきものである。
・個々の第1の要素:1人のマーケットリサーチャー
・複数の第1の要素:複数人のマーケットリサーチャーの集合
・第1の集合:複数人のマーケットリサーチャーの集合
・個々の第2の要素:1社のクライアント企業
・複数の第2の要素:複数のクライアント企業の集合
・第2の集合:複数のクライアント企業の集合
【0023】
本実施形態のマッチングシステム100は、図1に示すように、マッチングサーバ110と、マッチング管理者端末120と、第1の端末130と、及び第2の端末140とがインターネット等のネットワーク102を介して接続されている。なお、本実施形態では、ネットワーク102は、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等の有線又は無線のネットワークであり、また、インターネット等の公衆回線でなくても、専用回線であってもよい。
【0024】
マッチングサーバ110は、マッチング管理者がMRとCLとの組合せを決定するマッチング処理を行うためのコンピュータ装置であり、マッチング処理の実行を制御する機能を有する。本実施形態では、マッチングサーバ110として、例えば、スーパーコンピュータ、汎用コンピュータ、オフィスコンピュータ、制御用コンピュータ、パーソナルコンピュータ等の各種のコンピュータ装置が使用される。
【0025】
マッチングサーバ110を構成するコンピュータ装置101は、図2に示すように、制御装置103、入力装置109、表示装置108、メモリ107、記憶装置106、ネットワークインターフェース105を備えており、これらがバス104で接続されている。なお、図2に示すコンピュータ装置101は、マッチングサーバ110以外にも、本実施形態のマッチングシステム100に備わるマッチング管理者端末120、第1の端末130及び第2の端末140のハードウェアの構成も示すものとする。
【0026】
制御装置103は、CPU(Central Processing Unit)で構成され、このCPUが本実施形態のマッチング方法で使用される「プロセッサ」を構成する。制御装置103は、記憶装置106に記憶されたプログラムPを実行することにより、マッチングサーバ110の全体の動作を制御する。入力装置109は、キーボード、ポインティングデバイスにより構成される。このうち、キーボードは、ハードウェア又はソフトウェアにより構成できる。ハードウェアの例は、キーボード装置である。ソフトウェアの例は、スマートフォンやタブレット端末のように画面に表示される仮想キーボード画面である。また、ポインティングデバイスは、マウス、タッチパッド、タッチパネル、ジョイスティック、ポインティング・スティック、トラックボール、ペンタブレット等により構成することができる。表示装置108は、制御装置103から出力される情報を表示する液晶表示装置等の表示装置で構成される。
【0027】
メモリ107は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される。記憶装置106は、ハードディスクやフラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置で構成される。記憶装置106には、プログラムPと後述するデータファイルPdが格納されている。記憶装置106とメモリ107は、本実施形態のマッチングシステム100における「マッチング結果記憶部」、「優先度リスト記憶部」、「相性度情報記憶部」、「特定情報記憶部」、「評価情報記憶部」、「非一時的コンピュータ可読記憶媒体」を構成する。ネットワークインターフェース105は、インターネット等のネットワーク102に接続される。マッチングサーバ110は、ネットワークインターフェース105を通じてネットワーク102を介して、マッチング管理者端末120、第1の端末130及び第2の端末140と接続可能となっている。なお、本実施形態のマッチングサーバ110等を構成するコンピュータ装置101がプログラムPを実行することで実現されるマッチングサーバ110の機能部の詳細については、後述する。
【0028】
マッチング管理者端末120は、マッチング管理者がマッチングサーバ110の管理及びメンテナンス等を行うための端末装置である。マッチング管理者端末120は、デスクトップ型やノート型のパーソナルコンピュータ、タッチパッド及びスマートフォン等の携帯情報端末を含めた各種演算処理が可能なコンピュータ装置である。マッチング管理者端末120は、外部装置とのデータの送受信等を行う通信部121と、各種処理内容等を表示する表示部122と、各種コンピュータ処理を実行する処理部123と、各種データの入力を行う入力部124と、を備える。
【0029】
第1の端末130は、MRが操作してCLの希望順位等の入力やマッチング管理者との間でデータの送受信等を行うための端末装置である。第1の端末130は、デスクトップ型やノート型のパーソナルコンピュータ、タッチパッド及びスマートフォン等の携帯情報端末を含めた各種演算処理が可能なコンピュータ装置である。第1の端末130は、外部装置とのデータの送受信等を行う通信部131と、各種処理内容等を表示する表示部132と、各種コンピュータ処理を実行する処理部133と、各種データの入力を行う入力部134と、を備える。
【0030】
第2の端末140は、CLが操作してMRの希望順位等の入力やマッチング管理者との間でデータの送受信等を行うための端末装置である。第2の端末140は、デスクトップ型やノート型のパーソナルコンピュータ、タッチパッド及びスマートフォン等の携帯情報端末を含めた各種演算処理が可能なコンピュータ装置である。第2の端末140は、外部装置とのデータの送受信等を行う通信部141と、各種処理内容等を表示する表示部142と、各種コンピュータ処理を実行する処理部143と、各種データの入力を行う入力部144と、を備える。
【0031】
本実施形態のマッチングシステム100では、マッチングサーバ110がネットワーク102を介してマッチング管理者端末120、第1の端末130及び第2の端末140と接続されている。これによって、マッチング管理者がマッチング管理者端末120を介してマッチングサーバ110を制御することによって、MRとCLとのマッチングを行えるようにしている。
【0032】
マッチングサーバ110は、図1に示すように、制御部111と、マッチング結果記憶部112と、ROL記憶部113(113a、113b)と、相性度情報記憶部114と、特定情報記憶部115(115a、115b)と、評価情報記憶部116(116a、116b)を備える。
【0033】
第1の特定情報記憶部115aは、第1の集合の各第1の要素を特定する第1の特定情報を記憶する機能を有する。本実施形態では、第1の特定情報記憶部115aは、第1の集合の各第1の要素となるMRを特定する第1の特定情報として、例えば、各MRを特定するためのIDであるMRコード、MRの氏名、MRの所属先となる会社名、定員数(CLの受け入れ可能人数)、MRの所属先となる会社の住所、MRの得意分野、MRの業務スキル等の個々の第1の要素を識別するための情報がデータファイルとして記憶されている。
【0034】
第1の評価情報記憶部116aは、第1の集合の各第1の要素が有する第1の評価情報を記憶する機能を有する。本実施形態では、第1の評価情報記憶部116aは、MRの有する第1の評価情報として、CLがMRを選好する際に、その選好に影響を及ぼすと考えられる第1の要素の有するスキル評価情報が各MRコードに対応してデータファイルとして記憶されている。第1の評価情報としては、例えば、MRに求められる様々な業務スキルをデータベース化したものが含まれる。「MRに求められる様々な業務スキル」としては、例えば、専門分野に関する知識の深さや広さ、経験年数、コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力等を含むことができる。データベース化とは、それらの業務スキルに関する評価結果を示す定性データ及び定量データを含むことができる。「定性データ」及び「定量データ」には、1つの業務スキルに関するデータ及び複数の業務スキルを複合した複合スキルに関するデータを含むことができる。また、「定性データ」及び「定量データ」には、業務スキルを直接示すデータ(例えば経験年数)のみならず、業務スキルを直接示すデータに何らかの解析を加えて得られるデータを含むことができる。
【0035】
第2の特定情報記憶部115bは、第2の集合の各第2の要素を特定する第2の特定情報を記憶する機能を有する。本実施形態では、第2の特定情報記憶部115bは、第2の集合の各第2の要素となるCLを特定する第2の特定情報として、例えば、各CLを特定するためのIDであるCLコードと、CLの名称(氏名)、CL企業の従業員数、CL企業の住所、CLが要求する業務スキル等の個々の第2の要素を識別するための情報がデータファイルとして記憶されている。
【0036】
第2の評価情報記憶部116bは、第2の集合の各第2の要素が有する第2の評価情報を記憶する機能を有する。本実施形態では、第2の評価情報記憶部116bは、CLの有する第2の評価情報として、MRがCLを選好する際に、その選好に影響を及ぼすと考えられる第2の要素の求めるスキル評価情報がCLランク別にデータファイルとして各CLコードに対応して記憶されている。第2の評価情報としては、例えば、CLがMRに要求する様々な業務スキルをデータベース化したものが含まれる。「CLがMRに要求する様々な業務スキル」としては、例えば、専門分野に関する知識の深さや広さ、経験年数、コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力等を含むことができる。データベース化とは、それらの業務スキルに関する評価結果を示す定性データ及び定量データを含むことができる。「定性データ」及び「定量データ」には、1つの業務スキルに関するデータ及び複数の業務スキルを複合した複合スキルに関するデータを含むことができる。また、「定性データ」及び「定量データ」には、業務スキルを直接示すデータ(例えば経験年数)のみならず、業務スキルを直接示すデータに何らかの解析を加えて得られるデータを含むことができる。
【0037】
第1のROL記憶部113a(第1の優先度リスト記憶部)は、第1の集合の各第1の要素となるMRごとに、第2の集合の各第2の要素となるCLの全部又は一部に対して一意に順位付けられた第1の優先度リストを記憶する機能を有する。第1のROL記憶部113aには、各MRコードごとに、各MRが希望するCLを希望順に並べたリストが記憶されている。具体的には、各MRごとにMRのCLに対する選好を示す第1希望から順に第n希望までのCLが順にデータファイルとして記憶されている。各MRは、例えば、CLの面談等を行ってCLの情報を得て、希望順位を決定する。なお、第1のROL記憶部113aに、全てのCLを登録しても、一部のCLを登録してもよい。
【0038】
第2のROL記憶部113b(第2の優先度リスト記憶部)は、第2の集合の各第2の要素となるCLごとに、第1の集合の第1の要素となるMRの全部又は一部に対して一意に順位付けられた第2の優先度リストを記憶する機能を有する。本実施形態では、第2のROL記憶部113bには、各CLごとにCLのMRに対する選好を示す第1希望から順に第n希望までのMRが順にデータファイルとして記憶されている。各CLは、例えば、インターネットのホームページ等から各MRの情報を得て、希望順位を決定する。なお、第2のROL記憶部113bに全てのMRを登録しても、一部のMRを登録してもよい。
【0039】
マッチング結果記憶部112は、マッチング処理部111bによるマッチング処理により得られたマッチング結果をデータファイルとして記憶する機能を有する。本実施形態では、図1に示すように、マッチング結果記憶部112は、仮マッチング結果記憶部112a1と、最終マッチング結果記憶部112a2と、を備える。仮マッチング結果記憶部112a1は、マッチング処理部111bで算出されたマッチング結果データを仮マッチング結果データとして記憶する機能を有する。最終マッチング結果記憶部112a2は、マッチング結果調整部111aの算出部111a3で算出された最終マッチング結果データを記憶する機能を有する。
【0040】
相性度情報記憶部114は、相性度算出部111dが算出したMRとCLとの相性の良さ示す相性度情報をデータファイルとして記憶する機能を有する。本実施形態では、相性度情報記憶部114は、相性度情報として、コサイン類似度に基づいて相性度算出部111dによって算出されたMRとCLランクの相性の良さをランク分けしてデータベース化して記憶している。
【0041】
このように、本実施形態では、ROL記憶部113として第1のROL記憶部113aと第2のROL記憶部113bとを備え、特定情報記憶部115として第1の特定情報記憶部115aと第2の特定情報記憶部115bとを備え、評価情報記憶部116として第1の評価情報記憶部116aと第2の評価情報記憶部116bとを備える。本実施形態では、マッチングサーバ110は、マッチング結果記憶部112及び相性度情報記憶部114と合わせて8つの記憶部を備えるが、これらの記憶部は、共通の1つの記憶装置内に記憶されていてもよく、又は、複数の記憶装置内に記憶されていてもよい。また、本実施形態のマッチングシステム100では、これらの記憶部がマッチングサーバ110の装置内に備わっている。しかしながら、これらの記憶部は、マッチングサーバ110の装置外に設けられ、ネットワーク102を介してマッチング管理者端末120、第1の端末130及び第2の端末140と共用できるようにしてもよい。
【0042】
制御部111は、ROM等の記憶装置106に記憶されている各種プログラムに従って、マッチングサーバ110に備わる各構成要素の動作を制御する機能を有する。本実施形態では、制御部111は、図1に示すように、マッチング結果調整部111aと、マッチング処理部111bと、相性度算出部111dと、ROL作成部111cと、通信部111eとを備える。
【0043】
通信部111eは、ネットワーク102を介して、マッチング管理者端末120、第1の端末130、及び第2の端末140とのデータ等の送受信を行う通信を制御する機能を有する。本実施形態では、通信部111eは、MRから第1の端末130を介してMRを特定する第1の特定情報を受信したら第1の特定情報記憶部115aに送信して書き込み、MRが有する第1の評価情報を受信したら、第1の評価情報記憶部116aに送信して書き込む。
【0044】
また、通信部111eは、CLから第2の端末140を介してCLを特定する第2の特定情報を受信したら第2の特定情報記憶部115bに送信して書き込み、CLが有する第2の評価情報を受信したら、第2の評価情報記憶部116bに送信して書き込む。さらに、通信部111eは、マッチング管理者からMRとCLの優先度リスト作成のコマンドを受信したら、既に受信したMRとCLの特定情報と評価情報をROL作成部に送信する機能も有する。
【0045】
なお、通信部111eは、ネットワーク102を介して、第1の端末130及び第2の端末140からそれぞれの特定情報と評価情報を直接してから各記憶部に送信して書き込んでいる。しかしながら、マッチング管理者端末120がこれらの特定情報と評価情報をまとめて、通信部111eに送信するようにしてもよい。すなわち、MRとCLは、それぞれ特定情報と評価情報をマッチング管理者が所有するマッチング管理者端末120に送信して、マッチング管理者がこれらの特定情報と評価情報をまとめてマッチングサーバ110の通信部111eに送信してもよい。
【0046】
相性度算出部111dは、通信部111eを介して受信したそれぞれのMRとCLの評価情報に基づいて、MRとCLの相性の良さ関する相性度情報を算出する機能を有する。相性度算出部111dは、第1の評価情報記憶部116aに記憶された第1の評価情報と、第2の評価情報記憶部116bに記憶された第2の評価情報を用いて、コサイン類似度に基づいて相性度情報を算出する。そして、相性度算出部111dは、算出したMRとCLの相性度情報を相性度情報記憶部114に記憶する。
【0047】
ROL作成部111cは、マッチング管理者からMRとCLの優先度リスト作成のコマンドを通信部111eが受信したら、優先度リストとなるROLファイルの作成処理を行う優先度リスト作成部としての機能を有する。ROL作成部111cは、通信部111eが第1の端末130から受信したMRの第1の特定情報、第1の評価情報及び相性度算出部111dで算出された相性度情報に基づいて第1の優先度リストとなるMRのCL優先度リストを作成処理して、第1のROL記憶部113aに記憶する。また、ROL作成部111cは、通信部111eが第2の端末140から受信したCLの第2の特定情報、第2の評価情報及び相性度算出部111dで算出された相性度情報に基づいて第2の優先度リストとなるCLのMR優先度リストを作成処理して、第2のROL記憶部113bに記憶する。
【0048】
さらに、ROL作成部111cは、同じMRランクでも優先度リストの順序が確実につくようにするために、第1の優先度リストを作成する前に、第1の特定情報のデータベースにダミーデータを追加する。また、ROL作成部111cは、同じCLランクでも優先度リストの順序が確実につくようにするために、第2の優先度リストを作成する前に、第2の特定情報のデータベースにダミーデータを追加する。
【0049】
マッチング処理部111bは、ROL作成部111cで作成された第1の優先度リスト(MRのCL優先度リスト)と第2の優先度リスト(CLのMR優先度リスト)に基づいて、受入保留アルゴリズム(DAアルゴリズム)を用いてMRとCLのマッチング処理を行う機能を有する。本実施形態では、マッチング処理部111bは、第1の優先度リストと第2の優先度リストに基づいて、MRをCLの何れかに対するマッチング処理を行うか、または、CLをMRの何れかに対するマッチング処理を行う。すなわち、マッチング処理の開始は、第1の集合の第1の要素となるMRからでも、第2の集合の第2の要素となるCLからでも、どちらから優先させてマッチング処理をしてもよい。
【0050】
マッチング結果調整部111aは、マッチング結果記憶部112の最終マッチング結果記憶部112a2に記憶されたマッチング結果データを教師データとして機械学習を行って、マッチング処理部111bによるマッチング結果データを調整する機能を有する。すなわち、マッチング結果調整部111aは、まず、マッチング処理部111bで算出されたマッチング結果データを仮マッチング結果データとして保留する。そして、マッチング結果調整部111aは、最終マッチング結果記憶部112a2に記憶された過去の最終マッチング結果データを教師データとして機械学習する。マッチング結果調整部111aは、このように機械学習することによって、保留した仮マッチング結果データを調整して、最終的なマッチング結果となる最終マッチング結果データを算出する機能を有する。本実施形態では、マッチング結果調整部111aは、図1に示すように、判定部111a1と、生成部111a2と、算出部111a3とを備える。
【0051】
判定部111a1は、マッチング結果記憶部112に記憶されたマッチング結果データを教師データとして機械学習の実行の可否を判定する機能を有する。本実施形態では、判定部111a1は、マッチング結果記憶部112の最終マッチング結果記憶部112a2に記憶された最終マッチング結果データが例えば100個以上と一定量の値を閾値とする。そして、判定部111a1は、最終マッチング結果データの個数が当該閾値以上に最終マッチング結果記憶部112a2に蓄積した場合に、マッチング結果データを教師データとして機械学習を行えると判定する。
【0052】
一方、判定部111a1は、マッチング結果記憶部112の最終マッチング結果記憶部112a2に記憶された最終マッチング結果データの個数が閾値未満である場合には、マッチング結果記憶部112に記憶されたマッチング結果データを教師データとして機械学習の実行が不可能と判定する。そして、判定部111a1は、マッチング処理部111bで算出したマッチング結果データを最終マッチング結果データとして最終マッチング結果記憶部112a2に記憶する。
【0053】
生成部111a2は、判定部111a1で機械学習の実行が可能と判定されたら、マッチング結果記憶部112に記憶されたマッチング結果データを教師データとして機械学習によるマッチング評価モデルを生成する機能を有する。生成部111a2は、機械学習装置として機能し、蓄積された過去のマッチング結果データと当該マッチング結果データのマッチング対象となったMRとCLの特定情報、評価情報、相性度情報等を学習してマッチング評価モデルを生成する。マッチング評価モデルは、例えば、マッチング結果データのスコアと、MRとCLの特定情報、評価情報、相性度情報等との間の相関式で表される。生成部111a2は、機械学習に使用するパラメータ最適化のために、例えば、回帰分析、ニューラルネットワーク等の種々の機械学習の手法を利用することができる。
【0054】
算出部111a3は、生成部111a2で生成したマッチング評価モデルを用いてマッチング処理部111bにより算出された仮マッチング結果データを調整して最終マッチング結果データとして算出する機能を有する。本実施形態では、算出部111a3は、判定部111a1で機械学習の実行可能と判定したら、マッチング処理部111bで算出した仮マッチング結果データがマッチング評価モデルを用いて調整されて、最終マッチング結果データとして算出されて、最終マッチング結果記憶部112a2に記憶される。
【0055】
このように、本実施形態のマッチングシステム100では、マッチング処理部111bによりDAアルゴリズムを用いて算出されたマッチング結果データを仮マッチング結果データとして保留する。そして、過去に蓄積された最終マッチング結果データを教師データとして機械学習することにより、仮マッチング結果データを調整しながら最終的なマッチング結果を求めるので、より精度の高い安定的なマッチングを実現できるようになる。
【0056】
なお、本実施形態のマッチングシステム100の各構成要素は、ソフトウェアによって実現してもよく、ハードウェアによって実現してもよい。ソフトウェアによって実現する場合、CPUとなる制御装置103が本実施形態のプログラムを実行することによって各種機能を実現することができる。本実施形態のプログラムは、マッチングサーバ110に内蔵のROM等の記憶装置106に記憶してもよく、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体(非一時的コンピュータ可読記憶媒体)に記憶してもよい。また、本実施形態では、外部の記憶装置となるストレージデバイスに記憶されたプログラムを読み出し、いわゆるクラウドコンピューティングにより実現してもよい。
【0057】
次に、本開示の一実施形態に係るマッチング方法の動作フローについて、図面を使用しながら説明する。図3は、本開示の一実施形態に係るマッチング方法の動作フローの概略を示す図である。
【0058】
本実施形態のマッチング方法は、マッチングシステム100に含まれるコンピュータを動作させるプログラムにより実行される。本実施形態のマッチング方法を実行するプログラムは、ネットワークに接続された1又は複数のプロセッサ(コンピュータ装置)に対して、マッチングサービスを実行させるためのプログラムである。具体的には、第1の集合の複数の第1の要素となるMRと第2の集合の複数の第2の要素となるCLとのマッチングを行うマッチング管理者がマッチングサーバ110を作動させながら、マッチングサービスを実行させるためのプログラムである。本実施形態のマッチング方法を行うプログラムは、図3に示す動作フローをネットワークに接続された1又は複数のプロセッサ(コンピュータ装置)に実行させる。
【0059】
本実施形態では、まず、マッチングの対象者となるMRとCLのそれぞれの特定情報を入力する(工程S11)。MRの特定情報となる第1の特定情報として、MRが第1の端末130の入力部134から入力したMRの特定情報は、通信部131からネットワーク102を介してマッチングサーバ110の通信部111eに送信される。そして、入力したMRの特定情報が第1の特定情報記憶部115aにデータベース化して書き込まれる。第1の特定情報記憶部115aには、MRの第1の特定情報として、例えば、各MRを特定するためのIDであるMRコードと、MRの氏名、MRの所属先となる会社名、定員数(CLの受け入れ可能人数)、MRの所属先となる会社の住所、MRの得意分野、MRの業務スキル等の情報が書き込まれる。本実施形態では、例えば、MRの業務スキルとして、MRのスキルセットの23項目について5段階の水準(「1.知っている」~「5.指導できる」)で評価したものが第1の特定情報記憶部115aに書き込まれる。
【0060】
一方、CLの特定情報となる第2の特定情報として、CLが第2の端末140の入力部144から入力したCLの特定情報は、通信部141からネットワーク102を介してマッチングサーバ110の通信部111eに送信される。そして、入力したCLの特定情報が第2の特定情報記憶部115bにデータベース化して書き込まれる。第2の特定情報記憶部115bには、CLの第2の特定情報として、例えば、各CLを特定するためのIDであるCLコードと、CLの名称(氏名)、CL企業の従業員数、CL企業の住所、CLがMRに要求する業務スキル等の情報が書き込まれる。本実施形態では、CLについては、過去のMRとの取引実績等に基づいて、ランク別に5カテゴリーに分類した。
【0061】
MRとCLのそれぞれの特定情報の入力が済んだら、次に、MRとCLのそれぞれの評価情報を入力する(工程S12)。工程S12では、MRとCLの評価情報を入力する際に、まず、MRの業務スキルを集約して可視化することから実施する。MRの業務スキルを集約して可視化するために、例えば、MRの業務スキルの24項目の5段階評価データを対象に探索的因子分析を用いて因子を抽出する。なお、探索的因子分析の因子抽出法は、例えば、最尤法で行い、回転法は、例えば、Kaiserの正規化を伴うバリマックス法で行い、因子数は、例えば、固有値が1以上として解析を行う。このようにして、MRの業務スキルを解析した結果、MRの業務スキルは、例えば、図4に示すように、市場洞察力や表現力等の業務スキルの24項目に対して、3つの因子に集約されて、各業務スキル項目のそれぞれに対して評価データが作成される。本実施形態では、因子1(リサーチャー総合力)、因子2(定量・統計スキル)、因子3(ビジネス基礎スキル)の3つの因子に集約されて、各業務スキル項目に対する評価データが作成される。
【0062】
次に、工程S12では、集約された3因子で業務スキルを評価したMRから見たCLの選好、CLから見たMRの選好をそれぞれ算出する。その際に、CLがMRを選好する際に影響を及ぼすと考えられるMRの有するスキル評価情報が第1の評価情報として各MRコードに対応して算出される。図5には、MRの第1の評価情報として算出されて、各MRのスキル評価を数値化されたデータベースとして書き込まれているテーブルの一例を示す。図5に示すように、MRの第1の評価情報として、個々のMRを一意に識別する識別コードとなるID(researcher_id)に対して、集約した3つの因子ごとの業務スキル(「skill_f1」、「skill_f2」、「skill_f3」)の解析結果をスキル評価データとして算出する。MRの評価情報として算出された第1の評価情報は、MRが第1の端末130の入力部134から入力して、通信部131からネットワーク102を介してマッチングサーバ110の通信部111eに送信される。そして、入力した第1の評価情報が第1の評価情報記憶部116aにデータベース化して書き込まれる。
【0063】
一方、MRがCLを選好する際に影響を及ぼすと考えられるCLが求めるCLランク別のスキル評価情報が第2の評価情報として各CLコードに対応して算出される。図6には、CLの第2の評価情報として算出されて、MRから見たCLの選好の指標となるCLタイプ別の求めるスキル評価を数値化されたデータベースとして書き込まれているテーブルの一例を示す。図6に示すように、CLの第2の評価情報として、個々のクライアントのタイプ別に(S、A、B、C、C、D)、集約した3つの因子ごとの業務スキル(「skill_f1」、「skill_f2」、「skill_f3」)の解析結果をスキル評価データとして算出する。CLの評価情報として算出された第2の評価情報は、CLが第2の端末140の入力部144から入力して、通信部141からネットワーク102を介してマッチングサーバ110の通信部111eに送信される。そして、入力した第2の評価情報が第2の評価情報記憶部116bにデータベース化して書き込まれる。
【0064】
なお、本実施形態では、MRとCLの特定情報と評価情報は、それぞれ第1の端末130、第2の端末140から直接マッチングサーバ110に送信されている。しかしながら、MRとCLの特定情報と評価情報は、マッチング管理者端末120に送信してから、マッチング管理者がまとめてMRとCLの特定情報と評価情報をマッチング管理者端末120からマッチングサーバ110に送信してもよい。
【0065】
MRとCLのそれぞれの評価情報を入力が済んだら、次に、MRとCLの相性度情報を算出する(工程S13)。本実施形態では、相性度算出部111dは、第1の評価情報記憶部116aに記憶された第1の評価情報と、第2の評価情報記憶部116bに記憶された第2の評価情報とを用いて、コサイン類似度に基づいて相性度情報を算出する。そして、相性度算出部111dは、算出した相性度情報を相性度情報記憶部114に書き込む。図7には、相性度情報としてMRとCLランクの相性の良さをデータベースとして書き込まれているテーブルの一例を示す。図7に示すように、相性度情報として、個々のMRを一意に識別する識別コードとなるID(researcher_id)に対して、0~4の5段階評価に応じて相性の良いクライアントのタイプ(S、A、B、C、D)が算出される。
【0066】
相性度情報の算出が済んだら、次に、MRとCLのそれぞれの優先度リスト(ROL)を作成する(工程S14)。ROL作成部111cは、マッチング管理者からMRとCLの優先度リスト作成のコマンドを通信部111eが受信したら、MR及びCLの特定情報と評価情報、及び相性度情報に基づいて、MRとCLのそれぞれの優先度リスト(ROL)を作成する。本実施形態では、ROL作成部111cは、優先度リスト(ROL)を作成する前に、同じCLランクでも優先度リストの順序が確実に定まるようにするために、CLの特定情報のデータベースにダミーデータを追加している。具体的には、図8に示すように、各CLのID毎にクライアントのタイプ(S、A、B、C、D)が記載されたCLの特定情報のデータベースに、それぞれダミーデータを追加する。
【0067】
ROL作成部111cは、通信部111eが第1の端末130から受信したMRの第1の特定情報と第1の評価情報、及び相性度算出部111dで算出された相性度情報に基づいて演算処理を行って、第1の優先度リストとなるMRのCL優先度リストを作成する。CL優先度リストは、図9に示すように、MRのID毎にCLに対する選好が数値化された形で記載されている。そして、ROL作成部111cは、作成したMRのCL優先度リストを第1のROL記憶部113aに送信する。
【0068】
また、ROL作成部111cは、通信部111eが第2の端末140から受信したCLの第2の特定情報、第2の評価情報、及び相性度算出部111dで算出された相性度情報に基づいて演算処理を行って、第2の優先度リストとなるCLのMR優先度リストを作成する。MR優先度リストは、図10に示すように、CLのID毎にMRに対する選好が数値化された形で記載されている。そして、ROL作成部111cは、作成したCLのMR優先度リストを第2のROL記憶部113bに送信する。
【0069】
優先度リスト(ROL)の作成が済んだら、次に、MRとCLとのマッチング処理を実行する(工程S15)。本実施形態では、ROL作成部111cで作成された第1の優先度リストと第2の優先度リストに基づいて、マッチング処理部111bが受入保留アルゴリズム(DAアルゴリズム)を用いてMRとCLのマッチング処理を行う。マッチング処理部111bは、例えば、図11に示すように、DAアルゴリズムを用いたマッチング処理を行って、MRとCLとの1対1のマッチングを行う。本実施形態では、マッチング処理部111bは、MRをCLの何れかに対するマッチング処理を行うか、または、CLをMRの何れかに対するマッチング処理を行う。なお、本実施形態では、マッチング処理の動作環境は、例えば、Python(3.6.5)、NumPy(1.17.3)、Pandas(0.25.1)、Jupyter Notebook(6.0.1)のプログラムにより実行される。
【0070】
また、本実施形態では、マッチング処理部111bがDAアルゴリズムを用いてMRとCLとのマッチング処理を行ったら、マッチング処理部111bによるマッチング結果データを仮マッチング結果データとして保留する。そして、当該仮マッチング結果データは、マッチング結果記憶部112の仮マッチング結果記憶部112a1に一時的に記憶される。図12には、本実施形態のマッチングシステムによりマッチング処理によるマッチング結果となる仮マッチング結果データをデータベース化したテーブルの一例を示す。仮マッチング結果データは、図12に示すように、MRとCLとのマッチング結果がそれぞれのIDに対応するように記載されている。
【0071】
MRとCLとのマッチング処理が済んだら、次に、マッチング結果記憶部112に記憶されたマッチング結果データを教師データとして機械学習の実行の可否を判定する(工程S16)。本実施形態では、マッチング結果調整部111aの判定部111a1が機械学習の実行の可否を判定する。具体的には、判定部111a1は、マッチング結果記憶部112の最終マッチング結果記憶部112a2に記憶された最終マッチング結果データの個数が一定量の値を示す閾値以上に蓄積したか否かに基づいて判定する。そして、最終マッチング結果データの個数が閾値以上に蓄積した場合に、判定部111a1は、マッチング結果データを教師データとして機械学習を実行可能と判定する。一方、判定部111a1は、最終マッチング結果データの個数が閾値未満の場合には、マッチング結果データを教師データとして機械学習を実行不可能と判定する。
【0072】
判定部111a1で機械学習の実行が可能と判定されたら、次に、生成部111a2は、マッチング結果記憶部112に記憶されたマッチング結果データを教師データとして機械学習によるマッチング評価モデルを生成する(工程S17)。このようにして、本実施形態では、生成部111a2がマッチング評価モデルを生成することによって、機械学習による処理が行われるようになる。
【0073】
生成部111a2がマッチング評価モデルを生成したら、次に、算出部111a3は、生成部111a2で生成したマッチング評価モデルを用いて、仮マッチング結果データを調整する。例えば、図13に示すように、ID2のMRに対応するCLがID12からID21に変更され、ID3のMRに対応するCLがID21からID12に変更されるようにして、仮マッチング結果データを調整する。そして、算出部111a3は、調整後の仮マッチング結果データを最終マッチング結果データとして算出して、最終マッチング結果記憶部112a2に最終マッチング結果データを記憶する(工程S18)。
【0074】
一方、判定部111a1で機械学習の実行が不可能と判定されたら、仮マッチング結果データがそのまま最終マッチング結果データとして最終マッチング結果記憶部112a2に記憶される(工程S19)。すなわち、判定部111a1で機械学習の実行が不可能と判定されて、マッチング結果による機械学習が行われない場合には、仮マッチング結果データがそのまま最終マッチング結果データとなる。
【0075】
このように、本実施形態のプログラムに沿ってコンピュータを動作させることによって、マッチング結果記憶部112に記憶されたマッチング結果データを教師データとして機械学習をすることによって、より精度の高い安定的なマッチングを実現できるようになる。すなわち、本実施形態では、マッチング処理部111bにより算出されたマッチング結果を仮マッチング結果データとして保留して、過去のマッチング結果データを教師データとして機械学習する。このようにすることによって、当該仮マッチング結果データを調整しながら最終的なマッチング結果を求められる。このため、より双方の選好が反映された精度の高いマッチング結果が得られて、安定的なマッチングを実現できるようになる。
【0076】
なお、本実施形態では、マッチングシステム100を市場調査会社のマーケットリサーチャーとクライアント企業とのマッチングに適用した場合について取り上げている。しかしながら、本実施形態のマッチング方法及びマッチングシステムは、複数の第1の要素からなる第1の集合と複数の第2の要素からなる第2の集合との各要素をマッチングする他の態様にも適用可能である。
【0077】
例えば、経営コンサルタントからの指南を依頼する企業と、指南を担当するコンサルタントとの集合間のマッチング問題にも、本実施形態のマッチング方法、マッチングシステム100及びプログラムを適用することができる。経営コンサルタントからの指南を依頼する企業は、自分が指南を受けたいコンサルタントを好みにより順位づけした優先度リストを持っており、一方のコンサルタントの方も指南の依頼を受けたい企業を順位づけした優先度リストを持っているものとする。また、各コンサルタントには、企業を受け入れる受託枠として、労働時間や業務能力等の資源制限がある。
【0078】
このため、本実施形態のマッチング方法、マッチングシステム100及びプログラムを適用することによって、DAアルゴリズムを用いて、経営コンサルタントからの指南を依頼する企業と、指南を担当するコンサルタントとのマッチング処理をして得られたマッチング結果データを仮マッチング結果データとして保留する。そして、企業とコンサルタントの双方間の過去のマッチング結果を教師データとして機械学習をすることにより、当該仮マッチング結果データを調整して、より精度の高いマッチング結果を得られて、安定的なマッチングが実現されるようになる。
【0079】
また、複数の男女間の結婚活動支援アプリケーションにも、本実施形態のマッチング方法、マッチングシステム100及びプログラムを適用することができる。この場合では、例えば、各男女の選好データをそれぞれの評価情報として活用することによって、男女のグループのそれぞれの優先度リストが作成される。そして、本実施形態のマッチング方法、マッチングシステム100及びプログラムを適用することによって、DAアルゴリズムを用いて、複数の男性の優先度リストと、複数の女性の優先度リストとのマッチング処理をして得られたマッチング結果データを仮マッチング結果データとして保留する。そして、複数の男女間の過去のマッチング結果を教師データとして機械学習をすることにより、当該仮マッチング結果データを調整して、より精度の高いマッチング結果を得られて、安定的なマッチングが実現されるようになる。
【0080】
次に、本実施形態のマッチング方法、マッチングシステム100及びプログラムの作用・効果について説明する。
【0081】
本実施形態のマッチング方法、マッチングシステム及びプログラムを適用することによって、DAアルゴリズムを用いて第1の集合の第1の要素と第2の集合の第2の要素とのマッチング処理を行えるようになる。このため、マッチング処理の判断材料となるデータが十分に溜まっていない段階でも機械学習を行えるので、少ないデータ数でも双方の要素の選好をより反映させた安定したマッチングを実現させることができる。
【0082】
また、本実施形態では、DAアルゴリズムを用いて安定解として得られたマッチング結果に対して、過去のマッチング結果データを教師データとして機械学習することによって、更に精度の高い安定的なマッチング結果とすることができる。すなわち、本実施形態では、複数の第1の要素からなる第1の集合と複数の第2の要素からなる第2の集合との各要素をマッチングする際に、不安定対が存在しないような安定マッチングを行うために、DAアルゴリズムを用いたマッチング処理を行う。そして、本実施形態のマッチング方法及びマッチングシステム100は、DAアルゴリズムを用いたマッチング処理を行った上で、更に過去のマッチング結果データを教師データとして機械学習を行う。このため、DAアルゴリズムを用いて得られた安定解のマッチング結果データを教師データとして機械学習を行うことによって、更にマッチングの精度を高められるものとなっている。
【0083】
このため、本実施形態のマッチング方法、マッチングシステム100及びプログラムを使用して、多くのマッチング結果を算出すると、教師データとなるマッチング結果のサンプル数も増加するようになる。これによって、機械学習の精度も更に向上して、算出される最終マッチング結果データの安定性がより高まるようになる。すなわち、本実施形態のマッチング方法及びマッチングシステム100を使用する回数を増やすに従って、マッチング方法及びマッチングシステム100の自己強化が図れて、マッチングの精度が更に高まるようになる。
【0084】
また、本実施形態では、ROL作成部111cが第1の特定情報、第1の評価情報及び相性度情報に基づいて第1の優先度リストを作成し、第2の特定情報、第2の評価情報及び相性度情報に基づいて第2の優先度リストを作成している。このため、作成された各優先度リストがMRとCLの選好をより反映させたものとなるので、マッチング処理部111bは、双方の優先度リストのデータのみのマッチング処理を行うだけで、より精度の高いマッチング結果が得られるようになる。
【0085】
さらに、本実施形態では、ROL作成部111cは、第1の優先度リストを作成する前に、第1の特定情報のデータベースにダミーデータを追加し、第2の優先度リストを作成する前に、第2の特定情報のデータベースにダミーデータを追加している。このため、同じMRランクやCLランクに対しても、優先度リストの順序が確実につくようになるので、よりMRやCLの選好が反映されたマッチング結果が得られるようになる。
【0086】
(第2の実施形態)
次に、本開示の他の実施形態に係るマッチングシステムの構成について、図面を使用しながら説明する。図14は、本開示の他の実施形態に係るマッチング方法を行うマッチングシステムの構成を示すブロック図である。
【0087】
本実施形態のマッチング方法は、DAアルゴリズムを用いたマッチング処理によって得られたマッチング結果データに対して妥当性の検証を更に行ってから、検証後のマッチング結果データを教師データとして機械学習を行うことを特徴とする。このように、DAアルゴリズムを用いたマッチング処理によるマッチング結果データの妥当性を検証してから、検証後のマッチング結果データを教師データとして機械学習を行うことによって、マッチングの精度を更に高めるようにしている。なお、本明細書中で言及するマッチング結果データの「妥当性」とは、マッチング結果データが複数の第1の要素と複数の第2の要素との双方の選好が適切に反映された状態を示すものとする。
【0088】
本実施形態のマッチングシステム200は、図14に示すように、マッチングサーバ210の制御部211に、マッチング処理後のマッチング結果データの妥当性の検証を行う検証部211fが更に設けられている。具体的には、検証部211fは、マッチング処理部111bとマッチング結果調整部111aとの間に設けられている。なお、本実施形態では、マッチングサーバ210の制御部211に設けられている検証部211f以外の各構成要素については、第1の実施形態のマッチングシステム100と同様であるので、その説明については、省略する。
【0089】
検証部211fは、マッチング結果データに対してランダム化比較試験(Randomized Controlled Trail:以下、RCTとも称する。)を実施してから、ランダム化比較試験による効果検証(Difference In Differences:以下、DIDとも称する。)を行う機能を有する。検証部211fは、ランダム化比較試験として、マッチング結果データを無作為に介入と非介入の2つのグループに分けてマッチング結果データにおける介入と非介入の効果の比較検証を行う。そして、検証部211fは、ランダム化比較試験による効果の検証として、RCTで介入と非介入に分けた2つのグループにおけるマッチング結果データの差分となる第1の差分をそれぞれ算出してから、各グループで算出した第1の差分の差分として第2の差分を算出して、第2の差分に基づいて介入の効果の検証をDIDで行う。
【0090】
例えば、介入・非介入のグループ分けとして、ワクチンを接種した人と接種しなかった人との2つのグループに分ける。そして、検証部211fは、無作為にワクチン接種の介入と非介入の2つのグループに分けたマッチング結果データに対して、ワクチンの介入と非介入の効果の比較検証をDIDで行う。具体的には、検証部211fは、RCTでワクチン接種の介入グループにおける第1の差分となるマッチング結果データの差分と、非介入グループにおける第1の差分となるマッチング結果データの差分とをそれぞれ算出する。そして、各グループで算出した第1の差分の差分となる第2の差分を算出して、この第2の差分に基づいて、ワクチン接種の介入の効果の検証を行う。
【0091】
このように、本実施形態では、マッチング処理部111bで生成されたDAアルゴリズムによるマッチング結果データの妥当性の検証を行うために、RCTを実施してからDIDによる効果検証を行う。そして、マッチング結果データの差があった者に対して、介入・非介入のどういうケースだと有効だったのかを見る妥当性の検証を行ってから、機械学習をかけて特徴量を抽出することによって、最終的なマッチング結果データの精緻化を図れるようにしている。
【0092】
なお、検証部211fによるマッチング結果データの検証は、RCTの実施とRCTの効果検証となるDIDによるものに限定されない。例えば、検証部211fは、マッチング結果データの傾向スコアを算出してから、傾向スコアに基づいた分析を行うことによって、マッチング処理後のマッチング結果データの妥当性の検証を行ってもよい。
【0093】
すなわち、検証部211fは、RCTのように介入と非介入の割り当てを無作為に均等に振り分けずに、ある介入の割り当てに影響する因子を用いて、介入割り当ての確率である傾向スコアを算出する。そして、検証部211fは、算出した傾向スコアに基づいて比較対象群の分布を等しく整えてから、同じ傾向スコアの得点の要素同士をペアとして比較して、DAアルゴリズムによるマッチング処理後のマッチング結果データの妥当性の検証を行う。
【0094】
例えば、実際の臨床の現場においては、様々な患者の背景を考慮して治療が割り当てられることから、治療群(介入)とコントロール群(非介入)では、患者背景が殆ど異なることとなる。このような場合に、検証部211fは、治療の割り当てに影響する因子を用いて治療割り当ての確率である傾向スコアを算出して、比較対象群の分布を等しく整えて同じ傾向スコアの得点の患者同士をペアとして比較することによって、介入の割り振りに着目してバイアスに対処しながら、疑似的に観察研究のデータとなるマッチング結果データの解析を行う。
【0095】
このように、本実施形態の一変形例では、検証部211fは、マッチング処理部111bで生成されたマッチング結果データの妥当性の検証を行うために、介入割り当ての確率である傾向スコアを算出する。そして、検証部211fは、算出した傾向スコアに基づいて比較対象群の分布を等しく整えてから、同じ傾向スコアの得点の要素同士を比較するので、バイアスを取り除いた形でより適切にマッチング処理の効果を検証できるようになる。このため、傾向スコアに基づいてバイアスを取り除いた形で妥当性が検討されたマッチング処理後のマッチング結果データに対して、機械学習をかけて特徴量を抽出するので、最終的なマッチング結果データは、より複数の第1の要素と複数の第2の要素との双方の選好が適切に反映されて更なる精緻化が図られたものとなっている。
【0096】
なお、DAアルゴリズムによるマッチング結果データの検証は、傾向スコアの算出による検証と、RCT実施後のDIDによる効果検証とを組み合わせて行ってもよい。例えば、マッチング結果データの傾向スコアを算出してから、傾向スコアを算出したマッチング結果データに対してランダム化比較試験(RCT)とランダム化比較試験による効果の検証(DID)とを行うようにしてもよい。
【0097】
すなわち、検証部211fは、DAアルゴリズムによるマッチング結果データの検証を行う際に、まず、ある介入の割り当てに影響する因子を用いて、介入割り当ての確率である傾向スコアを算出する。そして、検証部211fは、算出した傾向スコアに基づいて比較対象群の分布を等しく整えてから、同じ傾向スコアの得点の要素同士を比較して、バイアスを取り除いた形でDAアルゴリズムによるマッチング処理後のマッチング結果データの妥当性の検証を行う。このように、DAアルゴリズムによるマッチング結果データを検証する際に、傾向スコアを算出することによって、同じ傾向スコアの群同士を比べられるようになるので、より精度良くDAアルゴリズムによるマッチング処理の効果の妥当性を検証できるようにしている。
【0098】
その後、検証部211fは、傾向スコアを算出したマッチング結果データに対してランダム化比較試験(RCT)を行ってから、ランダム化比較試験による効果の検証(DID)を行う。具体的には、検証部211fは、ランダム化比較試験として、傾向スコアを算出したマッチング結果データを無作為に介入と非介入の2つのグループに分けて、傾向スコアを算出したマッチング結果データにおける介入と非介入の効果の比較検証を行う。そして、検証部211fは、ランダム化比較試験による効果の検証として、RCTで介入と非介入に分けた2つのグループにおける傾向スコアを算出したマッチング結果データの差分となる第1の差分をそれぞれ算出してから、各グループで算出した第1の差分の差分として第2の差分を算出して、第2の差分に基づいて介入の効果の検証をDIDで行う。
【0099】
本実施形態の他の変形例では、マッチング処理部111bで生成されたマッチング結果データの妥当性の検証を行うために、まず、介入割り当ての確率である傾向スコアを算出する。そして、検証部211fは、算出した傾向スコアに基づいて比較対象群の分布を等しく整えてから、同じ傾向スコアの得点の要素同士を比較して、マッチング処理後のマッチング結果データの妥当性の検証を行う。このように、本変形例では、検証部211fが最初に傾向スコアに基づいた検証を行うことによって、同じ比較対象群によるDAアルゴリズムによるマッチング処理の効果をバイアスなく適切に検証できるようにしている。
【0100】
その後、検証部211fは、傾向スコアに基づいて同じ傾向スコアの得点の要素同士を比較した検証後のマッチング結果データに対して、更に当該マッチング結果データの妥当性の検証を行うために、RCTを実施してからDIDによる効果の検証を行う。これによって、バイアスが除かれた適切なマッチング結果データに対して、更に介入・非介入の効果をDIDで検証できるようになる。本変形例では、このような検証工程を経ることによって、マッチング対象となる双方の要素の選好が適切に反映されたマッチング結果データを得られるようになる。そして、本変形例では、DIDによる効果検証を行ったマッチング結果データに対して、機械学習をかけて最終的なマッチング結果データを算出することによって、最終的なマッチング結果データがより安定した精緻化の図れるものとなるようにしている。
【0101】
次に、本開示の他の実施形態に係るマッチング方法の動作フローについて、図面を使用しながら説明する。図15は、本開示の他の実施形態に係るマッチング方法として、検証部211fがRCTを実施してからDIDによる比較検証を行う動作フローの概略を示す図である。一方、図16は、本開示の他の実施形態に係るマッチング方法の一変形例として、検証部211fが傾向スコアマッチングによる分析検証を行う動作フローの概略を示す図である。なお、本実施形態では、各検証工程(S20、S21、S22)以外の各工程(S11~S19)については、第1の実施形態のマッチング方法と同様であるので、その説明については、省略する。
【0102】
本実施形態のマッチング方法は、マッチングシステム200に含まれるコンピュータを動作させるプログラムにより実行される。本実施形態のマッチング方法を行うプログラムは、図15に示す動作フローをネットワークに接続された1又は複数のプロセッサ(コンピュータ装置)に実行させる。
【0103】
本実施形態のマッチング方法では、受入保留アルゴリズム(DAアルゴリズム)を用いてMRとCLのマッチング処理を行ったら(工程S15)、マッチング結果データの妥当性を検証する工程S20、S21に入る。具体的には、図15に示すように、マッチング結果データの妥当性の検証として、検証部211fがマッチング結果データに対してランダム化比較試験(RCT)を行ってから(工程S20)、ランダム化比較試験による効果の検証をDIDで行う(工程S21)。これらのマッチング結果データの妥当性を検証する工程S20、S21は、1又は複数のプロセッサによって実行される。
【0104】
工程S20におけるRCTでは、マッチング結果データを無作為に介入と非介入の2つのグループに分けてから、マッチング結果データにおける介入と非介入の効果の比較検証を行う。そして、工程S21におけるRCTによる効果の検証では、RCTで2つに分けられた各グループにおけるマッチング結果データの差分となる第1の差分をそれぞれ算出してから、各グループで算出した第1の差分の差分となる第2の差分を算出する。そして、工程S21で算出された第2の差分に基づいて介入の効果の検証を行ってから、機械学習の可否の判定を行う工程S16以降の機械学習工程(S16~S19)に移行する。
【0105】
このように、本実施形態では、DAアルゴリズムによるマッチング処理で得られたマッチング結果データに対して、RCTとDIDによる検証を行ってから、検証後のマッチング結果データを教師データとして機械学習を行っている。このため、介入・非介入による効果を比較することによって、マッチング結果データの妥当性を容易に検証してから、検証済みのマッチング結果データを教師データとして機械学習を行えるようになる。これによって、より妥当なマッチング結果データに基づいて、最終的なマッチング結果を算出できるようになるので、更に精緻化された安定的なマッチング結果が得られる。
【0106】
本実施形態では、検証工程S20、S21となるRCTとDIDは、マッチング処理工程S15が終わってから、機械学習の可否を判定する工程S16の前に行われているが、当該検証工程が工程S16後に行われてもよい。すなわち、当該検証工程S20、S21は、工程S16で機械学習を確実に行えるデータ数が揃っていると判定されてから行うようにしてもよい。このように、機械学習を確実に行えるデータ数が揃ってから、検証工程S20、S21を行うことによって、より確実に妥当なマッチング結果データに基づいて最終的なマッチング結果データを算出できるようになる。
【0107】
一方、マッチング処理後の検証工程として、検証部211fが傾向スコアマッチングによる分析検証を行う態様としてもよい。本実施形態のマッチング方法の一変形例を行うプログラムは、図16に示す動作フローをネットワークに接続された1又は複数のプロセッサ(コンピュータ装置)に実行させる。
【0108】
本実施形態の一変形例では、図16に示すように、DAアルゴリズムを用いてマッチング処理を行ったら(工程S15)、検証部211fは、マッチング結果データの傾向スコアを算出して、傾向スコアに基づいた分析を行う(工程S22)。当該マッチング結果データの妥当性を検証する工程S22は、1又は複数のプロセッサによって実行される。このように、マッチング処理後の検証工程として、傾向スコア分析を行うことによって、マッチング処理後のマッチング結果データの妥当性を検証できるようになる。そして、工程S22で算出されたマッチング結果データの傾向スコアに基づいた検証を行ってから、図16に示すように、機械学習の可否の判定を行う工程S16以降の機械学習工程(S16~S19)に移行する。
【0109】
本実施形態の一変形例では、DAアルゴリズムによるマッチング処理で得られたマッチング結果データに対して、傾向スコアに基づく検証を行ってから、検証後のマッチング結果データを教師データとして機械学習を行っている。このため、傾向スコア分析によるマッチング結果データの妥当性を検証してから、検証済みのマッチング結果データを教師データとして機械学習を行えるようになる。
【0110】
これによって、より妥当なマッチング結果データに基づいて、最終的なマッチング結果を算出するようになるので、更に精緻化された安定的なマッチング結果が得られるようになる。特に、傾向スコア分析による検証では、過去に蓄積されたデータを用いて、マッチング結果データの検証を行えるので、過去データを有効活用しながら、より精緻化された安定的なマッチング結果が得られるようになる。
【0111】
また、本実施形態の一変形例では、検証工程S22となる傾向スコア分析は、マッチング処理を行う工程S15が終わってから、機械学習の可否を判定する工程S16の前に行われているが、当該検証工程が工程S16後に行われてもよい。すなわち、当該傾向スコア分析による検証工程S22は、工程S16で機械学習を確実に行えるデータ数が揃っていると判定されてから行うようにしてもよい。このように、機械学習を確実に行えるデータ数が揃ってから、検証工程S22を行うことによって、より確実に妥当なマッチング結果データに基づいて最終的なマッチング結果データを算出できるようになる。
【0112】
なお、本実施形態では、DAアルゴリズムによるマッチング処理後のマッチング結果データの検証は、傾向スコアの算出による検証と、RCT実施後のDIDによる効果検証とを組み合わせて行ってもよい。例えば、マッチング結果データの傾向スコアを算出して傾向スコアに基づいた分析を行ってから、傾向スコアを算出したマッチング結果データに対してランダム化比較試験(RCT)を行って、ランダム化比較試験による効果の検証(DID)を行うようにしてもよい。すなわち、本実施形態のマッチング方法の他の変形例を行うプログラムは、図17に示す動作フローをネットワークに接続された1又は複数のプロセッサ(コンピュータ装置)に実行させるようにしてもよい。
【0113】
本実施形態の他の変形例では、マッチング処理後の検証工程として、まず、検証部211fは、図17に示すように、傾向スコアに基づいた分析を実行する(工程S22)。具体的には、ある介入の割り当てに影響する因子を用いて、介入割り当ての確率である傾向スコアを算出してから、算出した傾向スコアに基づいて比較対象群の分布を等しく整えて、同じ傾向スコアの得点の要素同士を比較して、マッチング処理後のマッチング結果データの妥当性の検証を行う。
【0114】
その後、検証部211fは、傾向スコアを算出したマッチング結果データに対してランダム化比較試験(RCT)を行ってから(工程S23)、ランダム化比較試験による効果の検証(DID)を行う(工程S24)。
【0115】
具体的には、検証部211fは、まず、ランダム化比較試験として、傾向スコアを算出したマッチング結果データを無作為に介入と非介入の2つのグループに分けて、傾向スコアを算出したマッチング結果データにおける介入と非介入の効果の比較検証を行う。
【0116】
次に、検証部211fは、ランダム化比較試験による効果の検証として、RCTで介入と非介入に分けた2つのグループにおける傾向スコアを算出したマッチング結果データの差分となる第1の差分をそれぞれ算出する。その後、検証部211fは、各グループで算出した第1の差分の差分として第2の差分を算出して、第2の差分に基づいて介入の効果の検証をDIDで行う。そして、工程S24で算出された第2の差分に基づいて介入の効果の検証をDIDで行ってから、機械学習の可否の判定を行う工程S16以降の機械学習工程(S16~S19)に移行する。
【0117】
このように、本実施形態の他の変形例では、DAアルゴリズムによるマッチング処理後の検証工程として、まず、傾向スコア分析を行うことによって、比較する2群の条件が似た内容同士になるので、よりバイアスが取り除かれた形でマッチング処理後のマッチング結果データの妥当性を検証するようにしている。そして、傾向スコアに基づいた検証を行ったマッチング結果データに対して、RCTによる比較検証を行ってからDIDによる効果の検証を行って、マッチング処理後のマッチング結果データの妥当性を更に検証している。その後、RCTとDIDによる検証後のマッチング結果データを教師データとして機械学習を行っている。
【0118】
このため、傾向スコア分析によってバイアスが取り除かれた形でマッチング効果を検証したマッチング結果データに対して、更に介入・非介入による効果を比較検証することによって、マッチング対象となる双方の要素の選好が適切に反映されたマッチング結果データが得られるようになる。そして、DIDによる効果の検証済みのマッチング結果データを教師データとして機械学習を行うことによって、よりマッチングの精度が高い妥当なマッチング結果データに基づいて、最終的なマッチング結果を算出するので、更に精緻化された安定的なマッチング結果が得られるようになる。
【0119】
特に、本実施形態の他の変形例では、DAアルゴリズムによるマッチング処理後のマッチング結果データに対して、傾向スコアに基づいた分析を行ってから、RCTによる比較検証を実施してDIDによる効果の検証を行っている。検証対象となる2つの群(グループ)に対して、RCTによる比較検証を実施してからDIDによる効果検証をする際に、双方の群の諸条件が異なると、RCTによる比較検証の効果が不平等となり、DIDで適切な効果の検証結果が得られないことがある。例えば、ワクチン接種の効果の検証をする際に、比較検証対象の性別や年齢、体格、健康状態等の諸条件が大きく異なると、DIDによる効果の検証を適切に行うことが難しくなる。
【0120】
このため、本実施形態の他の変形例では、マッチング処理後の検証工程として、最初に傾向スコアに基づいた分析を行うことによって、よりバイアスが取り除かれた妥当なマッチング効果を奏したマッチング結果データを得てから、当該マッチング結果データに対して、RCTによる比較検証を実施してDIDによる効果の検証を行っている。これによって、検証後のマッチング結果データは、双方の要素の選好をより適切に反映した妥当性の担保されたものとすることができる。従って、本変形例では、より妥当性の担保されたマッチング結果データを機械学習することによって、最終的なマッチング結果データを算出するので、より双方の要素の選好を適切に反映した精度の高いマッチング結果データを算出できるようになる。
【0121】
なお、上記のように本開示の各実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。従って、このような変形例は、全て本開示の範囲に含まれるものとする。
【0122】
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、マッチングシステム及びマッチングプログラムの構成、動作も本開示の各実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0123】
100 マッチングシステム
101 コンピュータ装置
102 ネットワーク
103 制御装置
104 バス
105 ネットワークインターフェース
106 記憶装置
107 メモリ
108 表示装置
109 入力装置
110 マッチングサーバ
111 制御部
111a マッチング結果調整部
111a1 判定部
111a2 生成部
111a3 算出部
111b マッチング処理部
111c ROL作成部
111d 相性度算出部
111e 通信部
112 マッチング結果記憶部
112a1 仮マッチング結果記憶部
112a2 最終マッチング結果記憶部
113 ROL記憶部(優先度リスト記憶部)
113a 第1のROL記憶部(第1の優先度リスト記憶部)
113b 第2のROL記憶部(第2の優先度リスト記憶部)
114 相性度情報記憶部
115 特定情報記憶部
115a 第1の特定情報記憶部
115b 第2の特定情報記憶部
116 評価情報記憶部
116a 第1の評価情報記憶部
116b 第2の評価情報記憶部
120 マッチング管理者端末
121 通信部
122 表示部
123 処理部
124 入力部
130 第1の端末
131 通信部
132 表示部
133 処理部
134 入力部
140 第2の端末
141 通信部
142 表示部
143 処理部
144 入力部
200 マッチングシステム
210 マッチングサーバ
211 制御部
211f 検証部
P プログラム
Pd データファイル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17