(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104226
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】トレーニング装置
(51)【国際特許分類】
A63B 21/055 20060101AFI20240726BHJP
A63B 23/035 20060101ALI20240726BHJP
A63B 23/02 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
A63B21/055
A63B23/035 Z
A63B23/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008348
(22)【出願日】2023-01-23
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ・ウェブサイトの掲載日:令和4年7月1日 ・ウェブサイトのアドレス: https://gentlemanfitnessclub.com/ https://gentlemanfitnessclub.com/collections/compact-fitness/products/portable-gym ・ウェブサイトの掲載日:令和4年9月3日 ・ウェブサイトのアドレス: https://www.makuake.com/project/gfc-portable-gym/ ・ウェブサイトの掲載日:令和4年10月1日 ・ウェブサイトのアドレス: https://camp-fire.jp/projects/view/624139
(71)【出願人】
【識別番号】523025931
【氏名又は名称】GentlemanFitnessClub株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002435
【氏名又は名称】弁理士法人井上国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077919
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100172638
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 隆治
(74)【代理人】
【識別番号】100153899
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100159363
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 淳子
(72)【発明者】
【氏名】金子 哲也
(57)【要約】
【課題】比較的簡易な構成でありながら、種々のトレーニングに利用可能なトレーニング装置を提供する。
【解決手段】トレーニング装置1は、使用者Hによって把持されるプルバー2と、使用者Hの足裏に当接可能なフットプレート3と、プルバー2とフットプレート3とに掛け渡されたレジスタンスバンド4とから構成されている。プルバー2は、円柱状のバー本体10と、バー本体10の左右端にそれぞれ取り付けられたハンドル20とからなっている。ハンドル20の内端側にはフック21が溶接されている。フック21は、ハンドル20に内側が向いた半楕円状を呈しており、レジスタンスバンド4が保持される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者に把持されるプルバーと、使用者の足裏に当接可能なフットプレートと、当該プルバーと当該フットプレートとに掛け渡されるレジスタンスバンドとを含むトレーニング装置であって、
前記プルバーがバー本体と両端のハンドルとからなり、
当該ハンドルは、前記バー本体の両端に着脱自在に取り付けられるとともに、前記レジスタンスバンドを保持するためのフックを備えることを特徴とするトレーニング装置。
【請求項2】
前記ハンドルが前記バー本体に回転自在に保持されることを特徴とする、請求項1記載のトレーニング装置。
【請求項3】
前記フックが前記ハンドルに内側が向いた弧状であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のトレーニング装置。
【請求項4】
前記バー本体が軸方向略中央で2つに分離できることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のトレーニング装置。
【請求項5】
前記フットプレートは下面に一対の補強材が所定の間隔をもって取り付けられ、当該一対の補強材の間に前記レジスタンスバンドが保持されることを特徴とする、請求項1に記載のトレーニング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋力の鍛錬に供されるトレーニング装置に係り、比較的簡易な構成でありながら種々のトレーニングに利用可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
上半身や下半身の筋肉を鍛錬するためのトレーニング装置として、レジスタンスバンド(ゴムバンド等)を用いたものが知られている。
【0003】
この種のトレーニング装置には、使用者によって把持されるハンドル(プルバー)と、使用者の足裏が接する足乗せ板(フットプレート)と、フットプレートとプルバーとに連結された多数本の長尺状ゴム部材(レジスタンスバンド)とを有し、仰臥位あるいは立位の使用者がフットプレートに足裏を押し当てながらプルバーを引くことによって所定の筋肉を鍛錬できるものがある(特許文献1参照)。
【0004】
また、使用者によって把持される把持棒(プルバー)と、プルバーの両端に係合する伸縮部材(レジスタンスバンド)とを有し、レジスタンスバンドを足裏や胴体に掛けた状態でプルバーを引くことによって所定の筋肉を鍛錬できるものがある(特許文献2参照)。
【0005】
また、靴に被せるシュークリップと、シュークリップに接続されるレジスタンスバンドと、レジスタンスバンドの一端に取り付けられたハンドルとを有し、靴を履いた状態の使用者が左右の手でハンドルを引くことによって所定の筋肉を鍛錬できるものがある(特許文献3参照)。
【0006】
また、ゼンマイバネに巻き取られるベルト(レジスタンスバンド)と、レジスタンスバンドの両端にそれぞれ取り付けられたグリップ(ハンドル)とを有し、使用者がレジスタンスバンドを踏み付けながら左右の手でハンドルを引くことによって所定の筋肉を鍛錬できるものがある(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3221510号公報
【特許文献2】特許5923938号公報
【特許文献3】米国特許第7087003号明細書
【特許文献4】特開平8-112374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のトレーニング装置では、使用するレジスタンスバンドの本数を変更することによって張力(負荷)を調整するが、その変更作業(組み替え)に手間が掛かる。また、特許文献1,2のトレーニング装置では、レジスタンスバンドがプルバーに連結されているため、特許文献3,4のように左右の手でハンドルを個別に引くような使い方ができない。そして、プルバーの長さが大きいため、持ち運びをする等に収納用品への収納が困難となる。逆に、特許文献3,4のトレーニング装置では、1本物のプルバーを用いて行う多くのトレーニングが行えず、用途(すなわち、鍛錬できる筋肉の種類)が非常に限られてしまう。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、比較的簡易な構成でありながら種々のトレーニングに利用可能なトレーニング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のトレーニング装置は、使用者に把持されるプルバーと、使用者の足裏に当接可能なフットプレートと、当該プルバーと当該フットプレートとに掛け渡されるレジスタンスバンドとを含むトレーニング装置であって、前記プルバーがバー本体と両端のハンドルとからなり、当該ハンドルは、前記バー本体の両端に着脱自在に取り付けられるとともに、前記レジスタンスバンドを保持するためのフックを備える。
【0011】
好適には、前記ハンドルが前記バー本体に回転自在に保持される。
【0012】
好適には、前記フックが前記ハンドルに内側が向いた弧状である。
【0013】
好適には、前記バー本体が軸方向略中央で2つに分離できる。
【0014】
好適には、前記フットプレートは下面に一対の補強材が所定の間隔をもって取り付けられ、当該一対の補強材の間に前記レジスタンスバンドが保持される。
【発明の効果】
【0015】
本発明のトレーニング装置によれば、通常は1本のプルバーで多くのトレーニングが行える一方、バー本体から取り外したハンドルを用いることで他種類のトレーニングを行える。
【0016】
また、ハンドルがバー本体に回転自在に保持されるものでは、レジスタンスバンドの張力によって使用者が無理な体勢を強いられることがなくなる。
【0017】
また、フックがハンドルに内側が向いた弧状であるものでは、フックからのレジスタンスバンドの抜け出しが抑制されるとともに、レジスタンスバンドのフックに掛かる部位の変形も小さくなる。
【0018】
また、バー本体が軸方向略中央で2つに分離できるものでは、トレーニング装置を持ち運ぶ際等に収納用品への収納が容易となる。
【0019】
また、フットプレートは下面に一対の補強材が所定の間隔をもって取り付けられ、補強材の間にレジスタンスバンドが保持されるものでは、フットプレートの強度や剛性が確保される一方、レジスタンスバンドのフットプレートへの掛け渡しが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】使用者に使用されるトレーニング装置の斜視図である。
【
図6】トレーニング装置の準備状態を示す斜視図である。
【
図7】トレーニング装置の準備状態を示す斜視図である。
【
図8】トレーニング装置の使用状態を示す図である。
【
図9】トレーニング装置の使用状態を示す図である。
【
図10】トレーニング装置の使用状態を示す図である。
【
図11】トレーニング装置の準備状態を示す斜視図である。
【
図12】トレーニング装置の使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を
図1~
図12を用いて詳細に説明する。
【0022】
[実施形態]
<実施形態の構成>
図1に示すように、トレーニング装置1は、使用者Hによって把持されるプルバー2と、使用者Hの足裏に当接可能なフットプレート3と、プルバー2とフットプレート3とに掛け渡されたレジスタンスバンド4とから構成されている。なお、
図1は、使用者Hがトレーニング装置1をスクワットに使用する状態を示している。
【0023】
図2に示すように、プルバー2は、鋼棒を素材とする円柱状のバー本体10と、バー本体10の左右端にそれぞれ取り付けられたハンドル20とからなっている。ハンドル20は鋼管を素材としており、内端側にはフック21が溶接されている。フック21は、ハンドル20に内側が向いた弧状、具体的には半楕円状を呈しており、レジスタンスバンド4が保持される。フック21を半楕円状とすることにより、ハンドル20とフック21との距離が短くなり、レジスタンスバンド4の抵抗力を最大限に活かすことができる。なお、ハンドル20の外端とフック21との間には、レジスタンスバンド4が着脱時に通過する空隙Sが形成されている。
【0024】
図3に示すように、バー本体10は、軸方向中央で第1ハーフ11と第2ハーフ12とに分割され、第1ハーフ11側のねじ軸11aが第2ハーフ12側のねじ穴12aにねじ込まれることで一体化される。第1ハーフ11の外側端面には円柱状のハンドル保持軸13が突設され、このハンドル保持軸13の軸心にねじ穴13aが形成されている。なお、第1ハーフ11および第2ハーフ12には、使用者Hが把持する部位にローレット加工による滑り止め15が設けられている。
【0025】
ハンドル20の両端にはグリス封入型のボールベアリング22の外輪が圧入され、これらボールベアリング22の内輪がバー本体10のハンドル保持軸13に保持される。ハンドル20は、ハンドル保持軸13に外装された後、円板状のエンドプレート23と六角穴付き皿ボルト24とによって左右方向で固定され、バー本体10に対してそれぞれ自由に回転できる。六角穴付き皿ボルト24は、図示しない六角レンチによって駆動されるとともに、ハンドル保持軸13のねじ穴13aに螺合する雄ねじ24aを有している。なお、ハンドル20には、使用者Hが把持する部位にローレット加工による滑り止め25が設けられている。
【0026】
図4に示すように、フットプレート3は、長方形のプレート本体31と、プレート本体31の下面に取り付けられた2本の角パイプ32(補強材)と、角パイプ32の各端部を塞ぐカバー33とから構成されている。プレート本体31は、アルミニウム合金板を素材としており、いわゆる縞鋼板と同様に上面に滑り止めの突起が多数形成されている。なお、プレート本体31は、使用時に足などをぶつけた際の受傷を防止すべく、切断面が糸面取りされるとともに、4角がR面取りされている。また、角パイプ32は、アルミニウム合金の押し出し成形品であり、多数のブラインドリベット34によってプレート本体31と結合されている。また、2本の角パイプ32は間隔をもって取り付けられており、両角パイプ32の間の空隙dにレジスタンスバンド4が保持される。カバー33は、黒色樹脂の成型品であり、嵌め込みあるいは接着によって角パイプ32に一体化されている。
【0027】
レジスタンスバンド4は、ラテックスを素材とするループ状のもので、
図5に示すように、同一の長さ(200cm程度)で幅(負荷)が異なる5本(41~45)がセットとなっている。使用者Hは、トレーニングの種類や必要とする負荷に応じ、これらレジスタンスバンド41~45から最適なものを選択する。
【0028】
<実施形態の作用>
トレーニング装置1のセッティングにあたり、
図6,
図7に示すように、使用者Hは、適切な負荷のレジスタンスバンド4を選択して手に持ち、フットプレート3の下面の空隙dに通した後、空隙Sから差し込んで左右のフック21に掛ける。本実施形態では、フック21が半楕円状となっているため、レジスタンスバンド4には不要な曲げ力等が作用しにくい。
図6においては、レジスタンスバンド4が重ねない状態(以下、一重状態と記す)で使用されており、プルバー2とフットプレート3との間隔が比較的大きくなり、使用者Hがプルバー2を引いた際の負荷が比較的小さくなる。一方、
図7においては、レジスタンスバンド4は重ねた状態(以下、二重状態と記す)で使用されており、プルバー2とフットプレート3との間隔が比較的小さくなり、使用者Hがプルバー2を引いた際の負荷が比較的大きくなる。
【0029】
前述した
図1のスクワットにおいて、使用者Hは、フットプレート3を両足で踏み、首の後ろでプルバー2のハンドル20を把持した状態で、臀部を後方に突き出しながら膝関節の屈曲・展伸を繰り返す。これにより、レジスタンスバンド4の負荷もあいまって、バーベルスクワットと同様に、大臀筋や大腿四頭筋等が効果的に鍛錬される。本実施形態では、バー本体10に対してハンドル20が自由に相対回転できるため、レジスタンスバンド4の張力によって使用者Hが無理な体勢を強いられることがない。なお、スクワットでは、レジスタンスバンド4が一重状態で使用される。
【0030】
図8は、使用者Hがトレーニング装置1をオーバーヘッドプレスに使用する状態を示している。使用者Hは、フットプレート3の上に立ち、プルバー2のバー本体10を両手で把持して肩の高さまで引き上げる。次に、使用者Hは、プルバー2をゆっくりと頭の上まで引き上げた後、ゆっくりと肩の高さまで戻す。この動作を数セット繰り返すことにより、三角筋や上腕三頭筋、僧帽筋等が鍛錬される。なお、オーバーヘッドプレスでも、レジスタンスバンド4が一重状態で使用される。
【0031】
図9は、使用者Hがトレーニング装置1をシーテッドローに使用する状態を示している。使用者Hは、床に座わった状態で足を前方に伸ばし、足裏をフットプレート3に押し当てた後、上体を前に倒してプルバー2のハンドル20を両手で把持する。次に、使用者Hは、背筋を伸ばしてプルバー2をゆっくりと引き寄せた後、ゆっくりと元の位置に戻す。この動作を数セット繰り返すことにより、広背筋や僧帽筋中部等が鍛錬される。なお、シーテッドローでは、レジスタンスバンド4が二重状態で使用される。
【0032】
図10は、使用者Hがトレーニング装置1をベンチプレスに使用する状態を示している。使用者Hは、フットプレート3を背に仰向けとなり、胸の上でプルバー2のハンドル20を肩幅より若干広い位置で把持する。次に、使用者Hは、両腕をゆっくりと上方に伸ばしてプルバー2を挙げた後、両肘を曲げてプルバー2をゆっくりと胸の上に戻す。この動作を数セット繰り返すことにより、大胸筋や三角筋、上腕三頭筋等が鍛錬される。なお、ベンチプレスでも、レジスタンスバンド4が二重状態で使用される。
【0033】
トレーニング装置1をサイドレイズ等に使用する場合、使用者Hは、バー本体10から左右のハンドル20を外し、
図11に示すように、フットプレート3の下面の空隙dに通した後、空隙Sから差し込んで左右のフック21に掛ける(一重状態)。サイドレイズの場合、使用者Hは、フットプレート3の上に立ち、左右のハンドル20を把持する。次に、使用者Hは、
図12に示すように、ハンドル20を肩の位置まで引き上げた後、腰の高さまで戻す。この動作を数セット繰り返すことにより、三角筋や僧帽筋等が鍛錬される。
【0034】
使用を終えたトレーニング装置1を運ぶ場合、使用者Hは、プルバー2やフットプレート3からレジスタンスバンド4を外した後、プルバー2(バー本体10)を第1ハーフ11と第2ハーフ12とに分離する(
図3参照)。これにより、トレーニング装置1は、比較的大きめのリュックサック等に全パーツが収納可能となり、自動車や電車等で容易に運搬できる。
【0035】
以上で具体的な実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこれに限られるものではない。例えば、上記実施形態ではプルバーのバー本体にハンドルが回転自在に保持されるものとしたが、ハンドルにフックが回転自在に保持されるようにしてもよい。また、上記実施形態ではフックを半楕円形状としたが、半円弧形状としてもよい。また、上記実施形態ではバー本体を第1ハーフと第2ハーフとにねじ込みで結合したが、差し込みと止めピンとによって結合するようにしてもよい。その他、トレーニング装置の具体的構造や各パーツの形状等についても、本発明の主旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更可能である。なお、上記実施形態で挙げたトレーニング方法はごく一部であり、オーバーヘッドプレスやアップライトロー等、種々のものに適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、筋力鍛錬用のトレーニング装置に効果的に利用できる。
【符号の説明】
【0037】
1 トレーニング装置
2 プルバー
3 フットプレート
4 レジスタンスバンド
10 バー本体
11 第1ハーフ
12 第2ハーフ
20 ハンドル
21 フック
31 プレート本体
32 角パイプ(補強材)
41 レジスタンスバンド
H 使用者