(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104228
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】ジャガイモの処理方法、種イモの生産方法およびジャガイモの処理装置
(51)【国際特許分類】
A01F 25/00 20060101AFI20240726BHJP
A23B 7/144 20060101ALI20240726BHJP
A01G 22/25 20180101ALI20240726BHJP
【FI】
A01F25/00 Z
A23B7/144
A01G22/25 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008352
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000158312
【氏名又は名称】岩谷産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(72)【発明者】
【氏名】古谷 政博
(72)【発明者】
【氏名】野田 樹
(72)【発明者】
【氏名】泉 浩一
(72)【発明者】
【氏名】粟江 正治
【テーマコード(参考)】
2B022
2B100
4B169
【Fターム(参考)】
2B022AB20
2B100AA03
2B100BA07
2B100BA09
4B169HA04
4B169KA10
4B169KB01
4B169KC05
4B169KD03
(57)【要約】
【課題】植え付けに適した萌芽の数が多く、また、適切なサイズのイモが多く収穫できる種イモを提供するための方法、また、当該方法を効率的に実施するための装置を提供することである。
【解決手段】気密空間を構成可能な壁面を備える収容室内に未萌芽のジャガイモを準備する準備工程と、前記ジャガイモを収容した前記収容室の内部の温度を5℃以上25℃以下に保持する加温処理工程と、前記ジャガイモを収容した前記収容室の内部におけるエチレン濃度を0.1ppm以上31000ppm以下に、1日以上保持するエチレン処理工程と、を含む、ジャガイモの処理方法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気密空間を構成可能な壁面を備える収容室内に未萌芽のジャガイモを準備する準備工程と、
前記ジャガイモを収容した前記収容室の内部の温度を5℃以上25℃以下に保持する加温処理工程と、
前記ジャガイモを収容した前記収容室の内部におけるエチレン濃度を0.1ppm以上31000ppm以下に、1日以上保持するエチレン処理工程と、
を含む、
ジャガイモの処理方法。
【請求項2】
前記加温処理工程および前記エチレン処理工程の少なくとも一部が同時に実施される、
請求項1に記載のジャガイモの処理方法。
【請求項3】
前記エチレン濃度が、1ppm以上5000ppm以下である、
請求項1または請求項2に記載のジャガイモの処理方法。
【請求項4】
前記加温処理工程および前記エチレン処理工程が、前記収容室内を暗条件に保持した状態で実施される、
請求項1または請求項2に記載のジャガイモの処理方法。
【請求項5】
気密空間を構成可能な壁面を備える収容室内に未萌芽のジャガイモを準備する準備工程と、
前記ジャガイモを収容した前記収容室の内部の温度を5℃以上25℃以下に保持する加温処理工程と、
前記ジャガイモを収容した前記収容室の内部におけるエチレン濃度を0.1ppm以上31000ppm以下に、1日以上保持するエチレン処理工程と、
前記収容室から前記ジャガイモを取り出す回収工程と、
を含む、
種イモの生産方法。
【請求項6】
気密空間を構成可能な壁面を備える収容室内に備えられるエチレンガス放出部と、
前記エチレンガス放出部に接続するエチレンガス供給部と、を備え、
前記エチレンガス供給部は、
エチレンガスを収容するエチレンガス容器に接続可能である接続部と、
前記接続部と前記エチレンガス放出部との間を接続する配管と、
を含み、
前記配管の途上に、前記配管の開閉状態を切換可能である切換部と、エチレンガスの流量を調整可能であるガス流出器と、が備えられる、
ジャガイモの処理装置。
【請求項7】
前記接続部が複数備えられ、
前記配管は、前記複数の接続部のそれぞれに接続する枝管と、前記枝管を統合する合流管と、を含む、
請求項6に記載のジャガイモの処理装置。
【請求項8】
さらに、前記収容室内のエチレン濃度を検知するエチレンガス濃度検知部と、
前記エチレンガス濃度検知部および前記エチレンガス供給部に接続する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記エチレンガス供給部の前記切換部および/または前記ガス流出器を調整可能である、
請求項6または請求項7に記載のジャガイモの処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ジャガイモの処理方法、種イモの生産方法およびジャガイモの処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ジャガイモの萌芽を抑制するために、植物ホルモンの一種であるエチレンを用いることが知られている。例えば特許文献1には、特定のエチレン濃度雰囲気下で収穫後のジャガイモを貯蔵することを開示している。また、貯蔵後の流通段階においても、特定のエチレン濃度および特定の温度下でジャガイモを保管することによって、萌芽を抑制できることを開示している。
【0003】
特許文献2は、ジャガイモの発芽生長を抑制するための装置および方法を開示している。特許文献2の装置は、保管庫と、温度調整用のクーラユニットと、放電ランプと、加湿部とを備える。放電ランプから放射される紫外線によって、オゾンとラジカルが発生する。これらのオゾンとラジカルが保管庫内に拡散することによって、ジャガイモの発芽生長が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4911268号公報
【特許文献2】特許第6966833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2ともに、食用に供されるジャガイモの保管中に萌芽を抑制する、つまり、ジャガイモの萌芽が抑制された状態を維持する技術である。他方、ジャガイモの栽培においてはいわゆる種イモが用いられ、発芽状態にある種イモが圃場に定植される。種イモは、植え付けに適した萌芽の数が多く、また、適切なサイズのイモを多く収穫できることが望ましい。
【0006】
本開示の目的の1つは、植え付けに適した萌芽の数が多く、また、適切なサイズのイモを多く収穫できる種イモを提供するための方法、また、当該方法を効率的に実施するための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に従った方法は、気密空間を構成可能な壁面を備える収容室内に未萌芽のジャガイモを準備する準備工程と、前記ジャガイモを収容した前記収容室の内部の温度を5℃以上25℃以下に保持する加温処理工程と、前記ジャガイモを収容した前記収容室の内部におけるエチレン濃度を0.1ppm以上31000ppm以下に、1日以上保持するエチレン処理工程と、を含むジャガイモの処理方法である。
また、本開示に従った方法は、前述の各工程を含む、種イモの生産方法である。
【0008】
本開示に従った装置は、ジャガイモの処理装置であって、気密空間を構成可能な壁面を備える収容室内に備えられるエチレンガス放出部と、前記エチレンガス放出部に接続するエチレンガス供給部と、を備える。前記エチレンガス供給部は、エチレンガスを収容するエチレンガス容器に接続可能である接続部と、前記接続部と前記エチレンガス放出部との間を接続する配管と、を含む。前記配管の途上に、前記配管の開閉状態を切換可能である切換部と、エチレンガスの流量を調整可能であるガス流出器と、が備えられる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、植え付けに適した萌芽の数が多く、また、適切なサイズのジャガイモを多く収穫できる種イモを提供するための方法および種イモの生産方法が提供される。また、植え付けに適した萌芽の数が多く、また、適切なサイズのジャガイモを多く収穫できる種イモを提供可能な装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態にかかるジャガイモの処理装置の構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施の形態にかかるジャガイモの処理装置の処理部の一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、実施の形態にかかるジャガイモの処理方法の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施の形態にかかるジャガイモの処理装置の制御方法の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施例および比較例のジャガイモの処理方法を実施したジャガイモの萌芽数を示すグラフである。
【
図6】
図6は、実施例および比較例のジャガイモの処理方法を実施したジャガイモの萌芽長を示すグラフである。
【
図7】
図7は、実施例および比較例のジャガイモの処理方法を実施したジャガイモの外観観察の結果の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施例および比較例のジャガイモの処理方法を実施したジャガイモの萌芽数を示すグラフである。
【
図9】
図9は、実施例および比較例のジャガイモの処理方法を実施したジャガイモの萌芽長を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施の形態の概要]
初めに、本開示にかかる処理方法、生産方法および装置の実施の形態を列挙して説明する。
本開示にかかる方法は、気密空間を構成可能な壁面を備える収容室内に未萌芽のジャガイモを準備する準備工程と、前記ジャガイモを収容した前記収容室の内部の温度を5℃以上25℃以下に保持する加温処理工程と、前記ジャガイモを収容した前記収容室の内部におけるエチレン濃度を0.1ppm以上31000ppm以下に、1日以上保持するエチレン処理工程と、を含むジャガイモの処理方法である。
【0012】
食用に流通するジャガイモは、萌芽が抑制されていることが望まれる。従来、ジャガイモの萌芽を抑制するためにエチレンガスを用いることが知られている(例えば特許文献1,2)。他方、ジャガイモの栽培においては、種イモとして発芽状態にあるジャガイモが用いられる。ジャガイモを発芽させるための方法として、従来、例えば温度10~20℃程度の明るい場所にジャガイモを置き、萌芽を促進することが行われている。しかしながら、生産性の向上のため、植え付けに適した萌芽をより多く有する種イモに対するニーズは継続している。
【0013】
この状況の下、ジャガイモの発芽処理において、従来は萌芽の抑制に用いられてきたエチレンガスを用いることが着想され、検討が進められた。そして、温度条件を調整することに加えて、ジャガイモを収容した収容室の内部におけるエチレン濃度を0.1ppm以上31000ppm以下に1日以上保持するエチレン処理を実施することが想到された。そして、この処理方法によれば、萌芽数が多く、萌芽長が抑制されたイモが得られることが見出された。ジャガイモの植え付けにおいては、萌芽数が多く、萌芽長の短いものが望ましいとされている。本開示にかかる処理方法によれば、植え付けに適した萌芽をより多く有する種イモが得られる。
【0014】
前記ジャガイモの処理方法において、前記加温処理工程および前記エチレン処理工程の少なくとも一部が同時に実施されてよい。加温処理工程およびエチレン処理工程を同時に実施することで、本開示にかかる効果が確実に得られる。また、処理時間の短縮が可能となり生産性が向上する。
【0015】
前記ジャガイモの処理方法において、前記エチレン濃度は1ppm以上5000ppm以下であってよい。エチレン濃度が1ppm以上5000ppm以下である場合、より確実に本開示にかかる効果を得られる。
【0016】
前記ジャガイモの処理方法において、前記加温処理工程および前記エチレン処理工程が、前記収容室内を暗条件に保持した状態で実施されるものとできる。暗条件で発芽処理を実施することによって、例えば昼間に日光照射処理を行う場合と比較してジャガイモの出し入れする手間がなく省力化できる、放電ランプから放射される紫外線をジャガイモに照射する場合と比較して大規模な設備導入等が不要で省エネ、低コスト化できるという利点がある。
【0017】
また、本開示にかかる種イモの生産方法は、気密空間を構成可能な壁面を備える収容室内に、未萌芽のジャガイモを準備する準備工程と、前記ジャガイモを収容した前記収容室の内部の温度を5℃以上25℃以下に保持する加温処理工程と、前記ジャガイモを収容した前記収容室の内部におけるエチレン濃度を0.1ppm以上31000ppm以下に、1日以上保持するエチレン処理工程と、前記収容室から前記ジャガイモを取り出す回収工程と、を含む。この生産方法によれば、萌芽数が多く、萌芽長が抑制された種イモが得られる。本開示にかかる生産方法によれば、植え付けに適した萌芽をより多く有する種イモが生産できる。
【0018】
また、本開示にかかるジャガイモの処理装置は、気密空間を構成可能な壁面を備える収容室内に備えられるエチレンガス放出部と、前記エチレンガス放出部に接続するエチレンガス供給部と、を備える。前記エチレンガス供給部は、エチレンガスを収容するエチレンガス容器に接続可能である接続部と、前記接続部と前記エチレンガス放出部との間を接続する配管と、を含む。前記配管の途上に、前記配管の開閉状態を切換可能である切換部と、エチレンガスの流量を調整可能であるガス流出器と、が備えられる。
【0019】
前記の装置によれば、エチレンガスを収容した容器を接続し、エチレンガス放出部から収容室内にエチレンガスを放出することによって収容室内にエチレンガスを供給できる。また、切換部とガス流出器とを備えるため、収容室内を所望のエチレンガス濃度に維持することが容易である。本開示にかかる処理装置は、ジャガイモの発芽処理を実施する際に簡単に使用でき、植え付けに適した萌芽の数を多く有する種イモを容易に得ることができる。
【0020】
前記ジャガイモの処理装置において、前記接続部が複数備えられてよい。前記配管は、前記複数の接続部のそれぞれに接続する枝管と、前記枝管を統合する合流管と、を含んでよい。処理装置が複数の接続部を備える場合、複数のエチレンガス容器を接続して処理装置を使用できる。このため、例えば収容室の容積が大きく多量のエチレンガスを必要とする場合であっても、カセットボンベ等の低圧ガス容器を複数接続することによって収容室内に必要量のエチレンガスを供給できる。このため、高圧ガスボンベを用いることなく、安全性の確保が容易で、大規模なシステムを要しない処理装置を提供できる。
【0021】
前記ジャガイモの処理装置は、さらに、前記収容室内のエチレンガス濃度を検知するエチレンガス濃度検知部と、前記エチレンガス濃度検知部および前記エチレンガス供給部に接続する制御部と、を備えてよい。前記制御部は、前記エチレンガス供給部の切換部および/または前記ガス流出器を調整可能であってよい。エチレンガス濃度検知部と、エチレンガスの供給を調整可能な制御部とを備えることによって、処理装置の自動運転が可能となる。このため、処理効率が向上し、また、エチレンガスの使用量を最小限に抑制できる。
【0022】
[実施の形態の具体例]
次に、本開示にかかる処理装置の具体的な実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0023】
(ジャガイモの処理装置)
図1は、本開示にかかるジャガイモの処理装置1の構成を示す模式図である。
図1を参照して、処理装置1は、処理部10と、エチレンガス供給部20とを含む。処理部10は、収容室11と、収容室11の内部に設けられたエチレンガス放出部としての放出部12とを含む。放出部12から収容室11の内部にエチレンガスを放出できる。エチレンガス供給部20は、エチレンガス容器31に接続可能である接続部21と、接続部21と放出部12との間を接続する配管50と、を含む。
【0024】
(処理部)
図2は、処理部10の具体的な一例を示す模式図である。
図2を参照して、処理部10は、基台15の上に載置された収容室11を含む。収容室11の側面および上面は、気密空間を構成可能な幕体14で構成されている。幕体14は、外光を遮断可能な素材で構成される。収容室11の底面は、例えば木材である床板で構成される。幕体14の側面に、ファスナー16によって開閉可能である出し入れ部18が設けられている。
図2は、出し入れ部18の幕体をたくし上げた状態を示している。収容室11の設置場所は制限されないが、例えば倉庫などの建屋内に設置できる。なお、気密空間を構成可能であるとは、物理的に厳密な意味での気密に限らず、空間内部のエチレン濃度を実用可能な程度に維持できる程度に外部との通気を遮断可能であればよい。収容室には、例えば素材や構造上の都合で生じる隙間や開口があってもよい。出し入れ口や排気口、換気扇等を備えてもよい。
【0025】
図2の例では、収容室11の壁面が幕体で構成されているが、収容室はこのような形態に限られない。例えば、収容室11は、ビニールハウスやテント倉庫等の移動可能な構造物であってもよく、保管庫や大型倉庫等の固定構造物であってもよく、建屋内の一室であってもよい。収容室の容積は、特に制限されないが、10L(0.01m
3)~10
6L(10
3m
3)程度であってもよく、10L(0.01m
3)~10
4L(10m
3)程度であれば好ましい。特に、エチレンガスの供給源としてカートリッジガス容器を用いる場合、収容室の容積は、10L~10
4L程度であれば好ましい。収容室は外光を遮断可能であり、必要に応じて温度、気流、湿度を調整できることが好ましい。収容室として、既存の処理庫や保管庫等を利用してもよい。
【0026】
収容室11の内部にはサンプルを載置するための載置台17が設置されている。なお、
図2に示される載置台17は一例に過ぎず、多段式の貯蔵棚等であってもよい。収容室は、載置台を備えず、処理対象であるジャガイモを収容したコンテナ等を直接搬入してもよい。収容室11は、収容室11の壁面を構成する幕体14に設けられた開口部である放出部12を備える。放出部12は、幕体14の側面の、上下方向における中央よりも下部に設けられている。エチレンガス供給部から供給されたエチレンガスは、放出部12から収容室11内に供給される。また、幕体14には、側面における上下方向における中央よりも上部に、収容室11内の空気を収容室の外へと送り出すための排気口13が設けられている。放出部12と排気口13の配置は逆であってもよい。放出部12の形態は
図2に示すものに限定されず、既存のガス噴射ヘッド等を用いることができる。放出部12、排気口13は収容室11の外部で温風循環ユニットと接続し、放出部12および排気口13を通じて温度調整およびエチレンガスの放出の両方を実施することができる。
【0027】
(エチレンガス供給部)
図1を参照して、エチレンガス供給部20は複数の接続部21を含む。接続部21のそれぞれは枝管51に接続している。枝管51のそれぞれは、枝管51を統合する合流管55に接続している。接続部21のそれぞれにエチレンガス容器31が接続される。すなわち、複数のエチレンガス容器31が配管50に並列に接続されうる。処理装置1に複数のエチレンガス容器31を接続できる。接続部21は、例えば金属製の接手で構成される。接続部21と枝管51との間に圧力計22が備えられる。接続部21の数は、
図1の例では5つであり、5つのエチレンガス容器を接続可能である。接続部の数はこれに制限されない。例えば、接続部は、2箇所~8箇所であってもよい。また、接続部21は1箇所であってもよい。枝管51および合流管55の材質は特に制限されないが、例えば金属製の配管であってよい。
【0028】
接続部21に接続されるエチレンガス容器31は、エチレンガスを収容し、接続部21に接続可能な容器であれば特に制限されず、例えばカセットガスボンベ、カートリッジガス容器等を用いることができる。より具体的には、内容量が1000cm3~5000cm3程度である果物・野菜追熟用のエチレンガスを収容する低圧ガス容器であってよい。例えば、イワタニアグリグリーン株式会社製「カロチゲン(登録商標)ガス」等、エチレンガスを収容した市販のカートリッジガス容器を用いることができる。処理装置1に複数のエチレンガス容器31を接続できる構成によって、必要なエチレンガス供給量が多い場合であっても、高圧ガス容器を用いることなく処理装置を構成できる。
【0029】
エチレンガス供給容器に収容されるエチレンガスとしては、例えばエチレン100%のガスであってもよいし、エチレンを含む混合ガスであってもよい。混合ガスである場合、エチレンの含有割合は、ガス全体に対して1%以上99.9%以下であってもよく、35%以上99.9%以下であってもよい。エチレンと混合されるガスとしては例えば、窒素、二酸化炭素等であってよい。また、予定するエチレン濃度に合わせたエチレン含有気体をあらかじめ準備し、当該気体を収容室内に供給することもできる。この場合、バランスガスとして、例えば空気を用いることができる。
【0030】
配管50の途上には、切換部としての切換弁23と、ガス流出器24とが備えられる。切換弁23は例えばエア作動式の切換弁である。切換弁23はノーマルクローズ弁であってよい。切換弁23によって配管50の開閉状態を切換可能である。切換弁23によって切り換えられる開閉状態は、0%開(閉止)と100%開の2段階であってもよいし、0%開、25%開、50%開、100%開等の多段階に切換可能であってもよい。ガス流出器24は、ガスの流出量を調整可能な装置である。ガス流出器24は、具体的にはガス収容部、圧力計、調整弁、流量計、流出口を含んでよい。また、ガス流出器24の制御部を別途設けて、ガス流出器24を流量可変式調整弁で構成することもできる。
【0031】
(その他の構成)
図1を参照して、処理装置1は切換弁23を作動させるための配管70を備える。配管70は、エアコンプレッサー71から送出される空気を切換弁23に供給する。配管70の途上には、圧力調整部72および三方弁である電磁弁73が備えられる。圧力調整部72において圧力を検知するとともに、エアコンプレッサー71から送出された空気の圧力を適切な範囲に調整する。電磁弁73を作動させて切換弁23に対する空気の送出および停止を切り替える。電磁弁73は、配管部分70aと配管部分70bとが連通する状態(エアコンプレッサー71から送出された空気が切換弁23に供給される状態)と、配管部分70aと排気通路70cとが連通する状態(エアコンプレッサー71から送出された空気が切換弁23に供給されない状態)とを切換可能である。エアコンプレッサー71は、プラグ77を介して電源から電力を供給される。
【0032】
図1に示された以外にも、処理装置1は様々な構成を備えてよい。例えば、収容室内のエチレン濃度を検知するエチレン濃度検知部として、エチレン濃度センサを備えることができる。また、エチレン濃度センサと連動する制御部として、自動供給調整ユニットを備えてもよい。また、収容室内の温度を調整する温度調整ユニット、湿度を調整する調湿ユニットを備えてもよい。また、収容室内の空気を循環させるための空調ユニット(換気装置、空気循環装置)等を備えてもよい。これらの装置は、処理装置の一部としてエチレン供給部と協調して作動するよう構成されてもよく、処理装置とは別に設置され、処理装置と併用されてもよい。
【0033】
(ジャガイモの処理方法)
図3は、本開示にかかるジャガイモの処理方法の一例を示すフローチャートである。
図3を参照して、本開示にかかるジャガイモの処理方法を説明する。
【0034】
図3を参照して、本開示にかかるジャガイモの処理方法は、準備工程S10と、加温処理工程S14と、エチレン処理工程S16と、回収工程S18と、を含む。準備工程S10では、例えば
図2に示す収容室11である気密空間を構成可能な壁面を備える収容室に、処理対象となるジャガイモを収容する。処理対象となるジャガイモは、典型的には未萌芽のジャガイモである。なお、収容室11はジャガイモの保管庫を兼ねてもよく、収容室と保管庫が同一の場合には、本開示にかかるジャガイモの処理方法をスタートする時点で収容室内にジャガイモが収容されていてもよい。
【0035】
温度調整工程S12は、収容室の内部を萌芽に適した温度域となるよう調整する工程である。温度域は例えば5℃以上25℃以下の間の温度とでき、10℃以上22℃以下程度が好ましく、10℃以上15℃以下程度がより好ましい。加温処理工程S14では、温度調整工程S12で設定した温度域を維持する。加温処理工程S14は、エチレン処理工程S16と同時に実施することも好ましい。つまり、加温下でエチレン処理を実施することができる。
【0036】
エチレン処理工程S16は、収容室内のエチレン濃度を調整するステップS16aと、収容室内のエチレン濃度を所定の濃度に維持するステップS16bとを含む。収容室内のエチレン濃度は、0.1ppm以上31000ppm以下であってよく、1ppm以上5000ppm以下であることが好ましい。エチレン濃度が0.1ppm以上であれば本開示にかかる効果が得られると考えられる。エチレン濃度が31000ppm以下であればエチレン濃度が空気中の爆発限界以下に維持され、安全性が高い。エチレン濃度は、収容室内にエチレンガスを放出することによって調整および維持される。エチレン濃度の調整は、所定濃度のエチレンガスを含有する空気(エチレン含有エア)を予め調整して収容室内に供給し、エチレン含有エアを収容室内に充填および循環させることによって行ってもよい。また、放出部からエチレンガスを収容室内に放出し、室内の空気に分散させることによって、所定のエチレンガス濃度となるように調整してもよい。
【0037】
エチレン処理工程S16の継続時間は1日以上とすることができる。継続時間の上限は特に制限されないが、60日以下とすることができる。エチレン処理工程S16が10日以上30日以内であれば、良好な萌芽が得られると同時に処理時間が過大になることがないため好ましい。エチレン処理工程S16の継続時間は、積算温度を元に設定することもできる。この場合、例えば積算温度が200℃以上となるようにエチレン処理工程を実施できる。処理対象であるジャガイモの萌芽の状態に応じて、エチレン処理工程S16におけるエチレン濃度および時間は変更可能であり、例えば、エチレン処理を開始した後にエチレン濃度を変更してもよい。
【0038】
エチレン処理工程S16はいわゆる暗条件下で実施することができる。なお、暗条件とは一般的な暗室で得られる環境であればよく、完全な遮光を意味するものではない。また、確認や調整のために一時的に明条件になってもよい。
【0039】
エチレン処理工程S16を実施する湿度条件は特に制限されず、湿度の調整を行うことなくエチレン処理を行うことができる。
【0040】
エチレン処理工程S16の後、回収工程S18では、収容室からジャガイモを取り出す。回収工程S18において、多くの(例えば概ね90%以上)ジャガイモは萌芽を有している。回収工程S18は、エチレン処理工程S16の終了後ただちに行われてもよい。また、エチレン処理工程S16の終了後、発芽したジャガイモを収容室内で一旦保管した後、取り出すこともできる。例えば、エチレン処理工程S16の終了後、収容室内のエチレン供給を停止するとともに収容室内の温度を4℃以下にすることよって、萌芽の伸長を抑制しつつジャガイモを保管することもできる。
【0041】
図4は、本開示にかかるジャガイモの処理装置の制御方法の一例を示すブロック図である。
図4を参照して、本開示にかかる処理装置は、エチレン濃度センサ46、制御部としての制御装置44をさらに備えることができる。制御装置44は、切換弁23の開閉を制御する。また、ガス流出器24を制御し、エチレンガスの流出量を制御する。制御装置44は、収容室11(
図1)内に設けられるエチレン濃度センサ46からのエチレンガス濃度情報に基づいて、切換弁23および/またはガス流出器24を制御できる。
【0042】
(実施例)
[エチレン処理試験1]
未萌芽のジャガイモに対してエチレン処理を行い、エチレン処理による萌芽数増加効果および萌芽長抑制効果を評価した。
【0043】
(処理対象ジャガイモ)
5~7cm大の未萌芽種イモ2品種(4サンプル)を用いた。4サンプルは次のとおりである。
きたひめ(1)、きたひめ(2)、ぽろしり(1)、ぽろしり(2)
(試験前保存条件)
サンプル入手後、環境温度4℃、湿度60~80%、暗室にて1日間保管した。
【0044】
(試験条件)
[表1]に示す各条件で、4サンプルそれぞれに対してエチレン処理を実施した。
【表1】
【0045】
(処理方法)
処理対象ジャガイモの収容室として、容積約10Lの高ガスバリア性透明袋を準備した。サンプルを透明袋内にセットしてシールした。具体的には、4つの透明袋のそれぞれに、きたひめ(1)、きたひめ(2)、ぽろしり(1)、ぽろしり(2)のそれぞれを6個ずつ収容した。透明袋には給気用開口および排気用開口を設け、各開口に挿入したチューブを通じて給気および排気を行えるものとした。サンプルをセット後、チューブおよび袋内を表1に示す各条件の気体でパージした。次いで、表1に示す各条件にて透明袋に気体を流通し、20℃に維持された暗室内にて処理を実施した。すなわち、実施例1では、サンプルを収容した透明袋内にエチレン10ppmを含有する気体を流量100mL/minにて20日間流通させた。実施例2、3では流通させる気体中のエチレン濃度を20ppm、50ppmとした以外は実施例1と同様にしてエチレン処理を実施した。比較例1はエチレンを含有しない空気を流量100mL/minにて20日間流通させた以外は実施例1と同様に処理を実施した。気体の流量は、気体供給チューブの途中に設けた面積式流量計によって確認した。
【0046】
(評価)
20日間エチレン処理を実施した後、各サンプルの外観を確認した。また、萌芽数および萌芽長を測定した。
外観観察では、萌芽の発生個所の分散を確認した。
萌芽数は、比較例1および実施例1~3のそれぞれについて、各サンプルの萌芽数を測定し、1個当たりの平均萌芽数を算出した。なお、一点から集中的に萌芽している箇所に関しては萌芽数1としてカウントした。萌芽数は多いほうが良好であると評価された。
萌芽長は、比較例1および実施例1~3のそれぞれについて、各サンプルの最大萌芽長(本体根元~萌芽先端)を測定し、平均最大萌芽長を算出した。また、有意差検定(t検定)を実施した。萌芽長は短いほうが良好であると評価された。
【0047】
(評価結果)
萌芽数の評価結果を表2に示す。評価結果のグラフを
図5に示す。
図5におけるエラーバーは標準偏差を示す。
【表2】
【0048】
表2に示されるとおり、実施例1~3のエチレン処理を実施したジャガイモは、4サンプルともに比較例1よりもジャガイモ1個当たりの萌芽数が増加した。
【0049】
平均最大萌芽長の評価結果を表3に示す。表3において各数値の右肩に付された「*」は、比較例1に対する有意差がp<0.05であることを示す。同様に、「**」は比較例1に対する有意差がp<0.01であることを示す。同様に、「***」は比較例1に対する有意差がp<0.001であることを示す。また、評価結果のグラフを
図6に示す。
図6におけるエラーバーは標準偏差を示す。
【0050】
【0051】
表3に示されるとおり、実施例1~3のエチレン処理を実施したジャガイモは、4サンプルともに比較例1よりも平均最大萌芽長が減少した。また、有意差検定によれば、実施例1~3ともに、4品目すべてについて有意差ありと判定された。
【0052】
外観観察によれば、実施例1~3のエチレン処理を実施したサンプルは、比較例1に対して萌芽数が多く、また、萌芽箇所が分散する傾向が見られた。
図7に比較例1および実施例3の外観を示す。
図7中、萌芽に〇を付して示している。
【0053】
上述のとおり、実施例1~3によれば、萌芽箇所が分散すること、萌芽数が増加すること、萌芽の伸長が抑制されることが確認された。また、エチレン濃度10ppm~50ppmのいずれの場合も効果が得られることが確認された。
【0054】
[エチレン処理試験2]
未萌芽のジャガイモに対してエチレン処理を行い、エチレン処理による萌芽数増加効果および萌芽長抑制効果を評価した。
【0055】
(処理対象ジャガイモ)
7~10cm程度の未萌芽の種イモ1品種(品種:ぽろしり)を用いた。
【0056】
(試験条件)
[表4]に示す各条件で、エチレン処理を実施した。
【表4】
【0057】
(エチレン処理方法)
処理対象ジャガイモの収容室として、容積約10Lの高ガスバリア性透明袋を準備した。各透明袋に6個ずつ、未萌芽の処理対象ジャガイモサンプルを収容し、シールした。透明袋には給気用開口および排気用開口を設け、開口に挿入したチューブを通じて給気および排気を行えるものとした。サンプルを収容後、チューブおよび透明袋内を表4に示す各条件の気体でパージした。次いで、表4に示す各条件にて気体を流通し、20℃に維持された暗室内にて処理を実施した。すなわち、実施例4では、サンプルを収容した透明袋内にエチレン1ppmを含有する気体を流量100mL/minにて流通させた。15日後(積算温度240℃)および20日後(積算温度320℃)に外観観察を行い、萌芽数および萌芽長を測定した。
実施例5~8では流通させる気体中のエチレン濃度を10ppm、100ppm、1000ppm、5000ppmとした以外は実施例4と同様にしてエチレン処理を実施した。比較例2はエチレンを含有しない空気を流通させた以外は実施例4と同様に処理を実施した。
【0058】
(評価)
15日および20日間エチレン処理を実施した後、萌芽数および萌芽長を測定した。
萌芽数は、比較例2および実施例4~8のそれぞれについて、各サンプルの萌芽数を測定し、1個当たりの平均萌芽数を算出した。また、有意差検定(t検定)を実施した。なお、一点から集中的に萌芽している箇所に関しては萌芽数1としてカウントした。萌芽数は多いほうが良好であると評価された。
萌芽長は、比較例2および実施例4~8のそれぞれについて、各サンプルの最大萌芽長(本体根元~萌芽先端)を測定し、平均最大萌芽長を算出した。萌芽長は短いほうが良好であると評価された。
【0059】
(評価結果)
萌芽数の評価結果を表5に示す。また、評価結果のグラフを
図8に示す。
図8におけるエラーバーは標準偏差を示す。
図8において各カラムの上に付された「**」は比較例2に対する有意差がp<0.01であることを示す。同様に、「***」は比較例2に対する有意差がp<0.001であることを示す。
【表5】
【0060】
表5に示されるとおり、実施例4~8のエチレン処理を実施したジャガイモは、比較例2よりもジャガイモ1個当たりの萌芽数が顕著に増加した。
【0061】
平均最大萌芽長の評価結果を表6に示す。また、評価結果のグラフを
図9に示す。
図9におけるエラーバーは標準偏差を示す。
【表6】
【0062】
表6に示されるとおり、実施例5~8のエチレン処理を実施したジャガイモは、比較例2よりも萌芽長が減少した。
【0063】
上述のとおり、実施例4~8によれば萌芽数が増加すること、実施例5~8によれば萌芽の伸長が抑制されることが確認された。また、エチレン濃度1ppm~5000ppmのいずれの場合も効果が得られることが確認された。
【0064】
[エチレン処理試験3]
エチレン処理を実施したジャガイモを圃場に定植および栽培後、収穫した。収穫したジャガイモの個数、重量およびサイズを評価した。
【0065】
(処理対象ジャガイモ)
種イモ1品種(品種:ぽろしり、M品)を用いた。
【0066】
(試験条件)
[表7]に示す条件で、エチレン処理を実施した。また、比較例3として、エチレン処理を実施せず慣行処理を実施した種イモを用いた。
【表7】
【0067】
(エチレン処理方法)
処理対象のジャガイモ約390Kgを幅約200cm、奥行約200cm、高さ約200cmのサンプル収容室に収容した。収容室の容積は約8000Lであった。収容室の後方に設置した流量調整機能を有するエチレン供給ユニットによって、収容室内にエチレンを供給し、収容室内のエチレン濃度を20ppmに調整し、30日間処理を実施した。エチレン濃度はハンディタイプのエチレン濃度計によって確認した。加温ファンにて収容室内の空気を内部循環させた。なお、30日間の積算温度は240~250℃であった。
【0068】
(生育評価試験)
実施場所:北海道河西郡芽室町 農場
エチレン処理後の種イモ(実施例9)および慣行処理による種イモ(比較例3)を圃場に定植した。定植はすべて全粒にて行った。株間は30cmとした。慣行の方法で栽培を実施し、114日後に収穫した。
【0069】
(評価)
エチレン処理(実施例9)および慣行処理(比較例3)のそれぞれについて、20株分(連続5株×4エリア)を選定し、以下の項目について評価した。
・茎数測定
連続5株の茎数を測定した。また、極端なばらつきがないことを確認した。
・重量測定
収穫されたイモの各々の重量および総重量を測定した。
・個数測定
収穫されたイモの総数をカウントした。
・サイズ測定
収穫されたイモの各々のサイズ(長辺)を測定した。
・収穫品分類
収穫されたイモを次の重量基準で分類した。
大玉;190g超、L玉;190~90g超、M玉;90~60g超、S玉;60~40g超;、小玉;40g以下
【0070】
(評価結果)
茎数、総重量、総個数、サイズ分類による個数および重量割合の評価結果を表8に示す。
【表8】
【0071】
表8に示されるとおり、実施例9で得られた種イモを栽培した結果、比較例3と同等の茎数、総重量、総個数のイモが収穫された。また、実施例9で得られたイモは、比較例3に対してM玉の割合が増加した。M玉のイモは種イモとしての使用に適しており、M玉の割合が増加することは好ましいと考えられた。
【0072】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと解されるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0073】
1 処理装置、10 処理部、11 収容室、12 放出部、13 排気口、14 幕体、15 基台、16 ファスナー、17 載置台、18 出し入れ部、20 エチレンガス供給部、21 接続部、22 圧力計、23 切換弁、24 ガス流出器、31 エチレンガス容器、44 制御装置、46 エチレン濃度センサ、50 配管、51 枝管、55 合流管、70 配管、71 エアコンプレッサー、72 圧力調整部、73 電磁弁、77 プラグ。