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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010423
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】吸着剤保持構造
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/04 20060101AFI20240117BHJP
   F28D 7/04 20060101ALI20240117BHJP
   F28D 7/10 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
B01D53/04 110
F28D7/04
F28D7/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111752
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】小沢 英隆
【テーマコード(参考)】
3L103
4D012
【Fターム(参考)】
3L103CC22
3L103DD05
3L103DD32
4D012CA03
4D012CB09
4D012CH01
4D012CK01
4D012CK05
4D012CK07
4D012CK09
(57)【要約】
【課題】二酸化炭素の吸着ムラを低減でき、さらに、吸着剤の温度勾配を低減できる吸着剤保持構造を提供する。
【解決手段】吸着剤保持構造25は、フレーム31と、熱交換チューブ47と、第1フィルタ33及び第2フィルタ34と、を備える。熱交換チューブは、フレームの内部に配置され、空気を通過させる気流方向に対して水平方向にU字状に折り曲げられ、気流方向に対して交差する方向に渦巻状に形成される。第1フィルタ及び第2フィルタは、渦巻状に形成された熱交換チューブの間に配置された吸着剤を保持するとともに通気性を備える。熱交換チューブは、流入口及び流出口がフレームに設けられる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気中の特定分子を吸着して回収する回収装置に備えた吸着剤保持構造であって、
前記吸着剤保持構造の側面部を確定するフレームと、
前記フレームの内部に配置され、空気を通過させる気流方向に対して水平方向にU字状に折り曲げられ、前記気流方向に対して交差する方向に渦巻状に形成された熱交換チューブと、
前記渦巻状に形成された前記熱交換チューブの間に配置された吸着剤を保持するとともに通気性を備えるフィルタと、を備え、
前記熱交換チューブは、
前記熱交換チューブの内部に熱交換流体を流入する流入口と、
前記熱交換チューブの内部から前記熱交換流体を流出する流出口と、を備え、
前記流入口及び前記流出口が前記フレームに設けられていることを特徴とする吸着剤保持構造。
【請求項2】
前記熱交換チューブは、
前記U字状の一方を形成する一方のチューブと、
前記U字状の他方を形成する他方のチューブと、を有し、
前記一方のチューブと前記他方のチューブとが前記U字状の折曲部で連結されていることを特徴とする請求項1に記載の吸着剤保持構造。
【請求項3】
前記熱交換チューブは、
複数の系統で構成され、それぞれの系統が同心上で同方向へ渦巻状に形成され、かつ同一平面に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の吸着剤保持構造。
【請求項4】
前記熱交換チューブは、
前記フレームに前記流入口及び前記流出口のみで接続されていることを特徴とする請求項3に記載の吸着剤保持構造。
【請求項5】
前記熱交換チューブは、前記渦巻状に形成された状態において前記熱交換チューブの間隔が径方向の中心に向かうに従って広くなることを特徴とする請求項1に記載の吸着剤保持構造。
【請求項6】
前記フレームは、前記吸着剤を前記フレームの内部へ流入又は排出するための開口部を備えることを特徴とする請求項5に記載の吸着剤保持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着剤保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
温暖化等の気候関連災害の観点から二酸化炭素(CO)削減のために、空気中に含まれる二酸化炭素を回収装置(DAC(direct air capture)装置)により分離する方法が知られている。具体的には、回収装置に吸着剤保持構造を備え、空気中に含まれる二酸化炭素を吸着剤保持構造で吸着して空気中から分離する。
吸着剤保持構造のなかには、二酸化炭素を吸着する吸着剤カートリッジが蛇腹状に交換可能にサイドレールにより取り付けられ、さらに吸着剤カートリッジの端部から熱交換流体が供給されるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第11007470号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の吸着剤保持構造は、吸着剤カートリッジが蛇腹状に配置されている。よって、吸着剤カートリッジは、空気の流れる気流方向に対して傾斜して配置される。このため、吸着剤に導かれる空気が吸着剤に屈曲して導かれ、吸着剤において二酸化炭素の吸着ムラが発生する。
また、吸着剤カートリッジの端部から熱交換流体が供給される。よって、吸着剤カートリッジにおいて供給された熱交換流体の温度勾配が大きくなる。このため、吸着剤の温度を均一に管理して吸着剤の能力を使い切ることが難しい。
【0005】
本発明は、二酸化炭素の吸着ムラを低減でき、さらに、吸着剤の温度勾配を低減できる吸着剤保持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明に係る吸着剤保持構造は、大気中の特定分子を吸着して回収する回収装置(例えば、実施形態の回収装置10)に備えた吸着剤保持構造(例えば、実施形態の吸着剤保持構造25,100,110,120,140)であって、前記吸着剤保持構造の側面部を確定するフレーム(例えば、実施形態のフレーム31,112,122)と、前記フレームの内部に配置され、空気を通過させる気流方向に対して水平方向にU字状に折り曲げられ、前記気流方向に対して交差する方向に渦巻状に形成された熱交換チューブ(例えば、実施形態の熱交換チューブ47,103、第1、第2の熱交換チューブ114a,115a、第1~第3の熱交換チューブ124a~126a,142a~144a)と、前記渦巻状に形成された前記熱交換チューブの間に配置された吸着剤(例えば、実施形態の吸着剤26)を保持するとともに通気性を備えるフィルタ(例えば、実施形態の第1フィルタ33、第2フィルタ34)と、を備え、前記熱交換チューブは、前記熱交換チューブの内部に熱交換流体を流入する流入口(例えば、実施形態の流入口53)と、前記熱交換チューブの内部から前記熱交換流体を流出する流出口(例えば、実施形態の流出口54)と、を備え、前記流入口及び前記流出口が前記フレームに設けられている。
【0007】
この構成によれば、空気を通過させる気流方向に対して水平方向にU字状の熱交換チューブを折り曲げ、U字状に折り曲げた熱交換チューブを気流方向に対して交差する方向に渦巻状に形成した。さらに、渦巻状に形成した熱交換チューブ47間に吸着剤26を配置(収納)した。よって、吸着剤26を空気が通流する領域に均等に配置できる。これにより、熱交換チューブの間に配置した吸着剤に空気を均等に通過させることができ、吸着剤への二酸化炭素の吸着ムラを低減できる。
【0008】
さらに、熱交換チューブをU字状に折り曲げることにより、熱交換流体をU字状の折曲部で折り返して対向流とすることができる。加えて、熱交換チューブを渦巻状に形成した。よって、熱交換チューブの全体を均一な温度状態に加熱できる。すなわち、熱交換流体が熱交換チューブを通過する過程において発生する温度差を吸着剤に満遍なく分散させることができる。これにより、吸着剤の温度を均一に制御することが可能になり、吸着剤の温度勾配を低減できる。
このように、吸着剤による二酸化炭素の吸着ムラを低減し、さらに、吸着剤の温度勾配を低減することにより、大気中に含まれる二酸化炭素を吸着剤により効率よく分離して削減できる。
【0009】
(2)上記態様において、前記熱交換チューブは、前記U字状の一方を形成する一方のチューブ(例えば、実施形態の第1チューブ51)と、前記U字状の他方を形成する他方のチューブ(例えば、実施形態の第2チューブ52)と、を有し、前記一方のチューブと前記他方のチューブとが前記U字状の折曲部(例えば、実施形態の折曲部47a)で連結されていてもよい。
【0010】
この構成によれば、熱交換チューブを形成する一方のチューブと他方のチューブとをU字状の折曲部で連結した。よって、熱交換流体を熱交換チューブの内部において円滑に通過させることができる。これにより、熱交換チューブの温度差を低減できる。
さらに、一方のチューブと他方のチューブとを連結することにより、熱交換チューブの間に配置した吸着剤を熱交換チューブで好適に保持できる。これにより、熱交換チューブの間に配置した吸着剤が移動することを抑制できる。
【0011】
(3)上記態様において、前記熱交換チューブは、複数の系統で構成され、それぞれの系統が同心上で同方向へ渦巻状に形成され、かつ同一平面に形成されていてもよい。
【0012】
この構成によれば、熱交換チューブを複数の系統で構成した。さらに、複数の系統を同心上で同方向へ渦巻状に形成し、かつ同一平面に形成した。よって、複数の系統の熱交換チューブに熱交換流体を個別に通過させることにより、複数の系統の熱交換チューブの温度差を低減できる。これにより、熱交換チューブを均一に加熱して熱交換チューブにより吸着剤を均一に加熱できる。
【0013】
(4)上記態様において、前記熱交換チューブは、前記フレームに前記流入口及び前記流出口のみで接続されていてもよい。
【0014】
この構成によれば、熱交換チューブの流入口及び流出口のみをフレームに接続させた。よって、熱交換チューブのうち流入口及び流出口の他の部位をフレームに対して非接触に配置でき、熱交換チューブ及びフレーム間の熱伝達を防ぐことができる。これにより、熱交換チューブの熱がフレームから放熱することを防ぎ、吸着剤を効率的に加熱できる。
【0015】
(5)上記態様において、前記熱交換チューブは、前記渦巻状に形成された状態において前記熱交換チューブの間隔が径方向の中心に向かうに従って広くなるように配置されていてもよい。
【0016】
ここで、渦巻状に形成された熱交換チューブは、中心に向かうに従って蓄熱性が高くなり、中心から離れる従って放熱性が高くなる。そこで、この構成において、熱交換チューブの間隔を径方向の中心に向かうに従って広くなるように熱交換チューブを形成した。これにより、熱交換チューブを全域において好適に加熱することが可能になり、熱交換チューブにより吸着剤を一層均一に加熱できる。
【0017】
(6)上記態様において、前記フレームは、前記吸着剤を前記フレームの内部へ流入又は排出するための開口部(例えば、実施形態の開口部41a)を備えてもよい。
【0018】
ここで、フレームの内部において、熱交換チューブの間に配置された吸着剤がフィルタにより保持される。よって、例えば、フレームの内部へ吸着剤を流入する際や、フレームから吸着剤を排出する際に、フィルタを分解することや、フィルタを開閉するための可動部を設けることが考えられる。しかし、フィルタは空気が通過するため、風圧に対し剛性を確保する必要がある。このため、フィルタを分解することや、フィルタに可動部を設けることは好ましくない。
そこで、この構成において、フレームに開口部を備え、開口部から吸着剤をフレームの内部へ流入又は排出するようにした。これにより、風圧に対し剛性が必要なフィルタを分解することや、フィルタに可動部を設けることなく、フレームの内部に吸着剤を入れ替えることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、二酸化炭素の吸着ムラを低減でき、さらに、吸着剤の温度勾配を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る第1実施形態の吸着剤保持構造を備えた回収装置を示す概念図である。
図2】第1実施形態の吸着剤保持構造を備えた吸脱着モジュールを示す斜視図である。
図3】第1実施形態の吸着剤保持構造を示す分解斜視図である。
図4図2の吸脱着モジュールにおいてIV部を拡大した斜視図である。
図5】第1実施形態の吸着剤保持構造において要部を破断した断面図である。
図6図2の吸脱着モジュールをVI-VI線で破断した断面図である。
図7】第1実施形態の吸着剤熱交換部をフレームに収納した状態において気流方向からみた概念図である。
図8】第1実施形態の吸着剤熱交換部を展開した状態を示す斜視図である。
図9】本発明に係る第2実施形態の吸着剤熱交換部をフレームに収納した状態において気流方向からみた概念図である。
図10】本発明に係る第3実施形態の吸着剤熱交換部をフレームに収納した状態において気流方向からみた概念図である。
図11】本発明に係る第4実施形態の吸着剤熱交換部をフレームに収納した状態において気流方向からみた概念図である。
図12】本発明に係る第5実施形態の吸着剤熱交換部をフレームに収納した状態において気流方向からみた概念図である。
図13図12の吸着剤熱交換部においてXIII部を拡大した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
<回収装置>
図1は、第1実施形態の吸着剤保持構造を備えた回収装置を示す概念図である。
図1に示すように、回収装置10は、大気中(空気中)に含まれる二酸化炭素(特定分子)を吸着剤で吸着して、吸着した二酸化炭素を吸着剤から脱離させることにより、空気中に含まれる二酸化炭素を回収する。具体的には、回収装置10は、筐体12と、吸気部14と、排気部16と、導入ファン18と、吸脱着モジュール20と、を備える。
【0022】
なお、筐体12、吸気部14、及び排気部16は、同軸上に設けられている。以下、筐体12、吸気部14、及び排気部16の軸線22を「軸線22」ということがある。また、軸線22を中心とする径方向を単に「径方向」と略記することがある。さらに、以下の説明において、回収装置10の吸気部14側を「上流側」、回収装置10の排気部16側を「下流側」という。
【0023】
<筐体、吸気部、吸気部>
筐体12は、例えば、中空の筒状に形成されている。筐体12の内部には吸脱着モジュール20が取り付けられている。筐体12の上流側には吸気部14が設けられている。吸気部14は、筐体12の上流側の側面において筐体12と同軸上に設けられている。吸気部14は、例えば中空の筒状に形成されることにより吸気口14aを有する。吸気口14aは、筐体12の内部に上流側において連通され、筐体12の内部へ空気を吸気(通流)する。
【0024】
また、筐体12の下流側には排気部16が設けられている。排気部16は、筐体12の下流側の側面において筐体12と同軸上に設けられている。排気部16は、例えば中空の筒状に形成されることにより排気口16aを有する。排気口16aは、筐体12の内部に下流側において連通されて筐体12の内部から空気を排気する。排気口16aには導入ファン18が設けられている。
【0025】
<導入ファン>
導入ファン18は、排気口16aにおいて駆動される。導入ファン18を駆動することにより、筐体12の内部の空気を排気口16aから矢印Aの如く排気する。空気を排気口16aから排気することにより、筐体12の内部(すなわち、後述する吸脱着モジュール20)に吸気口14aから空気を矢印Bの如く通流(導入)させる。これにより、吸脱着モジュール20の内部に備えた吸着剤26(後述する)に空気が通流して、空気中に含まれる二酸化炭素を吸着剤26で吸着する。
以下、吸気口14aから筐体12の内部に導かれた空気が、筐体12の内部を通過する方向を「気流方向」ということがある。また、気流方向に流れる空気を「流通空気」ということがある。
【0026】
<吸脱着モジュール>
図2は、第1実施形態の吸着剤保持構造を備えた吸脱着モジュールを示す斜視図である。図3は、第1実施形態の吸着剤保持構造を示す分解斜視図である。図4は、図2の吸脱着モジュールにおいてIV部を拡大した斜視図である。なお、図3において吸着剤熱交換部32を簡略して図示する。また、図3において、流通空気の上流側から下流側への流れを矢印で示す。
図2から図4に示すように、吸脱着モジュール20は、筐体12(図1参照)の内部に同軸上に収納される。吸脱着モジュール20は、吸着剤保持構造25と、吸着剤26(図6参照)と、を備える。
【0027】
<吸着剤保持構造>
吸着剤保持構造25は、吸着剤26に対して流通空気を通流可能とした状態に吸着剤26を保持する。吸着剤保持構造25は、フレーム31と、吸着剤熱交換部(熱交換構造)32と、第1フィルタ(第1メッシュ部)33と、第2フィルタ(第2メッシュ部)34と、第1保持部35と、第2保持部36と、を備える。
【0028】
<フレーム>
図5は、第1実施形態の吸着剤保持構造において要部を破断した断面図である。なお、図5において吸着剤熱交換部32を簡略して図示する。
図3から図5に示すように、フレーム31は、アルミニウム合金、鋼等の金属、またはカーボン複合材料等で形成されるが、断熱効果を配慮して非金属で形成することが好ましい。フレーム31は、筐体12の内部に同軸上に収納可能に円筒形に形成されている。具体的には、フレーム31は、フレーム本体41と、蓋部材42と、流入用の接続端子43と、流出用の接続端子44と、を備える。フレーム本体41は、環状に形成され、吸着剤保持構造25の外周壁(側面部)を形成(確定)する。また、フレーム本体41は、気流方向の幅寸法W1が比較的小さく形成されている。
【0029】
さらに、フレーム本体41は、開口部41aと、一対の取付孔(図示せず)と、を有する。開口部41aは、後述する吸着剤26をフレーム31の内部へ流入したり、フレーム31の内部から排出したりするために使用される。開口部41aには、蓋部材42が着脱可能に取り付けられる。また、一対の取付孔には、流入用の接続端子43及び流出用の接続端子44が取り付けられている。流入用の接続端子43及び流出用の接続端子44は、不図示の熱交換器に接続されている。
以下、流入用の接続端子43を「流入接続端子43」、流出用の接続端子44を「流出接続端子44」ということがある。
【0030】
<吸着剤熱交換部>
図6は、図2の吸脱着モジュールをVI-VI線で破断した断面図である。図7は、第1実施形態の吸着剤熱交換部をフレームに収納した状態において気流方向からみた概念図である。図8は、第1実施形態の吸着剤熱交換部を展開した状態を示す斜視図である。なお、図7において吸着剤熱交換部32を簡略して図示する。
図6から図8に示すように、フレーム31の内部には吸着剤熱交換部32が配置(収納)されている。吸着剤熱交換部32は、熱交換フィルム46と、熱交換チューブ47と、を備える。熱交換フィルム46は、例えば、銅又はアルミニウム合金等の熱伝導性の高い金属で薄膜の帯状に形成され、先端部46aがU字状に形成されている。熱交換フィルム46は、幅方向が気流方向に対して水平方向に向けて(すなわち、幅方向が気流方向に沿って)配置される。熱交換フィルム46は、気流方向の幅寸法W2が比較的小さく形成されている。
以下、熱交換フィルム46の周縁のうち、上流側の周縁を「第1周縁46b」、下流側の周縁を「第2周縁46c」ということがある。また、熱交換フィルム46の先端部46aを「U字先端部46a」ということがある。
【0031】
熱交換チューブ47は、熱交換フィルム46の周縁に接続されている。熱交換チューブ47は、例えば、銅又はアルミニウム合金等の熱伝導性の高い金属で中空状に形成されている。熱交換チューブ47は、第1チューブ(一方のチューブ)51と、第2チューブ(他方のチューブ)52と、流入口53と、流出口54と、を有する。
第1チューブ51は、熱交換フィルム46の第1周縁46bに沿って気流方向の上流側に接続され、第1周縁46bのU字先端部46aまで延びている。第2チューブ52は、熱交換フィルム46の第2周縁46cに沿って気流方向の下流側に接続され、第1周縁46bのU字先端部46aまで延びている。
【0032】
第1チューブ51及び第2チューブ52は、各先端部51a,52aがU字先端部46aにおいて一体に連結されている。よって、第1チューブ51及び第2チューブ52は、各先端部51a,52aがU字先端部46aにおいて、熱交換チューブ47の折曲部47aをU字状に形成する。換言すれば、熱交換チューブ47は、第1チューブ51及び第2チューブ52がU字状の折曲部47aで連結されることにより、第1チューブ51及び第2チューブ52により気流方向に対して水平方向にU字状に折り曲げられている。
ここで、第1チューブ51は、熱交換チューブ47の上流側(一方側)を形成する。また、第2チューブ52は、熱交換チューブ47の下流側(他方側)を形成する。
【0033】
図4図7図8に示すように、熱交換フィルム46及び熱交換チューブ47は、U字先端部46a及び折曲部47aを中心にして気流方向に対して交差する方向に渦巻状に形成される。よって、熱交換フィルム46は、基端部46dが軸線22を中心とする径方向の外側に配置される。また、熱交換フィルム46及び熱交換チューブ47は、流入口53及び流出口54が軸線22を中心とする径方向の外側に配置される。
【0034】
流入口53は、第1チューブ51の基端部に備えられている。流入口53は、第1チューブ51(熱交換チューブ47)の内部に熱交換流体を流入する開口である。流入口53は、フレーム本体41の一方の取付孔(図示せず)を経て流入接続端子43に接続されている。すなわち、第1チューブ51は、流入口53がフレーム本体41(フレーム31)に設けられている。一方、第1チューブ51は、流入口53を除いた他の部位がフレーム本体41(フレーム31)に対して非接触に配置されている。
なお、流入口53は、流入接続端子43を経て熱交換器(図示せず)に接続されている。よって、熱交換器から流出された熱交換流体は、流入接続端子43を経て流入口53に供給されて第1チューブ51に流入される。
【0035】
また、流出口54は、第2チューブ52の基端部に備えられている。流出口54は、第2チューブ52(熱交換チューブ47)の内部から熱交換流体を流出する開口である。流出口54は、フレーム本体41の他方の取付孔(図示せず)を経て流出接続端子44に接続されている。すなわち、第2チューブ52は、流出口54がフレーム本体41(フレーム31)に設けられている。一方、第2チューブ52は、流出口54を除いた他の部位がフレーム本体41(フレーム31)に対して非接触に配置されている。
さらに、熱交換フィルム46は、全体がフレーム本体41(フレーム31)に対して非接触に配置されている。
なお、流出口54は、流出接続端子44を経て熱交換器(図示せず)に接続されている。よって、第2チューブ52を通流した熱交換流体は、流出口54から回収されて流出接続端子44を経て熱交換器に戻される(流入される)。
【0036】
このように、吸着剤熱交換部32は、熱交換フィルム46及び熱交換チューブ47が渦巻状に形成された状態において、第1チューブ51が気流方向において上流側に配置され、第2チューブ52が気流方向において下流側に配置される。また、吸着剤熱交換部32は、流入口53及び流出口54のみがフレーム31に接続された状態においてフレーム31の内部に収納されている。
【0037】
図6から図8に示すように、熱交換フィルム46は、気流方向の幅寸法W2が比較的小さく形成されている。よって、渦巻状に形成された吸着剤熱交換部32は、気流方向の幅寸法が比較的小さな扁平に形成されている。渦巻状に形成された扁平な吸着剤熱交換部32の間に、後述する吸着剤26が収納されている。よって、吸着剤26は、気流方向の幅寸法W3が比較的小さく抑えられた扁平な形状に形成されている。
【0038】
吸着剤熱交換部32によれば、熱交換流体(熱交換媒質)が流入口53から第1チューブ51の内部を経て第1チューブ51の先端部51a(折曲部47a)まで通流される。さらに、第1チューブ51の先端部51aまで通流された熱交換流体が第2チューブ52の先端部52a(折曲部47a)から第2チューブ52の内部を経て流出口54までに通流され、流出口54から流出される。
【0039】
ここで、熱交換チューブ47の折曲部47aは、渦巻状の中央に位置する。また、流入口53及び流出口54は、渦巻状の外周端に位置する。よって、熱交換流体は、熱交換チューブ47のうち渦巻状の外周端(流入口53)から供給され、渦巻状の中央の(折曲部47a)で折り返されて対向流とされ、渦巻状の外周端(流出口54)から回収される。回収された熱交換流体は、不図示の熱交換器において温度調整されて、流入口53から第1チューブ51(熱交換チューブ47)の内部に再度流入される。
【0040】
このように、熱交換流体を折曲部47aで折り返して対向流とすることで、熱交換チューブ47の全体を均一な温度状態に加熱にできる。よって、熱交換フィルム46の全体を均一な温度状態に加熱にできる。これにより、熱交換フィルム46と吸着剤26との間に熱交換がおこなわれ、吸着剤26の全体を均一な温度状態に加熱にできる。
【0041】
<第1フィルタ>
図3図6に示すように、吸着剤熱交換部32の上流側に第1フィルタ33が設けられている。第1フィルタ33は、メッシュ構造で円盤状に形成されている。第1フィルタ33は、例えば、織金網、焼結金網、焼結金属繊維不織布、打抜金網で形成され、もしくはセルロース、カーボン等の繊維により形成される。これにより、第1フィルタ33は、吸着剤26の粒子を吸着剤熱交換部32の上流側に漏らさないように保持でき、さらに流通空気の抵抗を十分低く抑える通気性を備えている。加えて、第1フィルタ33は、異物の通過を阻止する機能を持つように形成されている。
【0042】
<第2フィルタ>
吸着剤熱交換部32の下流側に第2フィルタ34が設けられている。第2フィルタ34は、メッシュ構造で円盤状に形成されている。第2フィルタ34は、例えば、織金網、焼結金網、焼結金属繊維不織布、打抜金網で形成され、もしくはセルロース、カーボン等の繊維により形成される。これにより、第2フィルタ34は、吸着剤26の粒子を吸着剤熱交換部32の下流側に漏らさないように保持でき、さらに流通空気の抵抗を十分低く抑える通気性を備えている。
【0043】
すなわち、第1フィルタ33及び第2フィルタ34は、吸着剤熱交換部32を気流方向において上流側と下流側とから挟み込む。これにより、吸着剤熱交換部32の熱交換チューブ47間に収納(配置)された吸着剤26を上流側と下流側とから保持できる。
【0044】
<第1保持部>
第1フィルタ33の上流側に第1保持部35が設けられている。第1保持部35は、トラス構造で円盤状に形成されている。第1保持部35は、例えば、金属、カーボン複合材成型等の繊維により形成される。第1保持部35は、組立、分解が容易で、簡単に交換が可能である。第1保持部35を第1フィルタ33の上流側に設けることにより、比較的柔軟性を有する第1フィルタ33の変形を抑えることができる。
【0045】
<第2保持部>
第2フィルタ34の下流側に第2保持部36が設けられている。第2保持部36は、トラス構造で円盤状に形成されている。第2保持部36は、例えば、金属、カーボン複合材成型等の繊維により形成される。第2保持部36は、組立、分解が容易で、簡単に交換が可能である。第2保持部36を第2フィルタ34の下流側に設けることにより、比較的柔軟性を有する第2フィルタ34の変形を抑えることができる。
ここで、第2保持部36は、流通空気による吸着剤26が偏在を効果的に防止するために、第2保持部36と比べて一層頑強に形成されている。
【0046】
すなわち、第1保持部35及び第2保持部36は、第1フィルタ33及び第2フィルタ34を気流方向において上流側と下流側とから挟み込み、第1フィルタ33及び第2フィルタ34を上流側と下流側とから保持できる。これにより、吸着剤26が流通空気や重力により偏在して変形することを防止できる。
【0047】
<吸着剤>
図1図6図7に示すように、渦巻状に形成された吸着剤熱交換部32の間に吸着剤26が収納されている。具体的には、渦巻状に形成された熱交換チューブ47間及び渦巻状に形成された熱交換フィルム46間に吸着剤26が収納されている。吸着剤26は、例えば、ビーズ、ペレット等の粒子に形成された固体吸着剤が採用される。吸着剤26は、渦巻状に形成された吸着剤熱交換部32の間に充填された状態においてフレーム31の内部に収納されている。吸着剤26は、例えば二酸化炭素を吸着、脱離する際に、吸着剤熱交換部32(特に、熱交換フィルム46)との熱交換により高温状態に保たれる。
【0048】
ここで、吸着剤26は、フレーム31の内部に収納された状態において、気流方向の幅寸法W3が比較的小さく抑えられた扁平な形状に形成されている。よって、吸着剤26による圧損(圧力損失)を低く抑えることができる。これにより、導入ファン18により導かれた流通空気を吸着剤26に好適に通流させることができる。
【0049】
また、吸着剤熱交換部32は、環状のフレーム31の内部に渦巻状に形成された状態で収納されている。よって、渦巻状に形成された吸着剤熱交換部32の間に配置された吸着剤26は、軸線22の方向(すなわち、気流方向)からみて円形に形成されている。
ここで、導入ファン18が設けられた排気口16aは、導入ファン18に合わせて空気の流路断面が円形に形成されている。よって、吸着剤26は、排気口16aの流路断面に整合されている。これにより、導入ファン18により筐体12の内部に導かれた流通空気を吸着剤26に好適に通流させることができる。
【0050】
以上説明したように、第1実施形態の吸着剤保持構造25によれば、図6から図8に示すように、U字状に折り曲げた熱交換チューブ47を熱交換フィルム46とともに気流方向に対して交差する方向に渦巻状に形成した。さらに、渦巻状に形成した熱交換チューブ47間及び渦巻状に形成した熱交換フィルム46間に吸着剤26を収納した。よって、吸着剤26を流通空気が通流する領域に均等に配置できる。これにより、吸着剤26の全域に流通空気を均等に通過させることができ、吸着剤26への二酸化炭素の吸着ムラを低減できる。
【0051】
さらに、熱交換チューブ47を折曲部47aでU字状に折り曲げることにより、熱交換流体を折曲部47aで折り返して対向流とすることができる。加えて、熱交換チューブ47及び熱交換フィルム46を渦巻状に形成した。よって、熱交換チューブ47及び熱交換フィルム46の全体を均一な温度状態に加熱できる。すなわち、熱交換流体が熱交換チューブ47を通過する過程において発生する温度差を吸着剤26に満遍なく分散させることができる。
これにより、吸着剤26の温度を均一に制御(特に、加熱)することが可能になり、吸着剤26の温度勾配を低減できる。
このように、吸着剤26による二酸化炭素の吸着ムラを低減し、さらに、吸着剤26の温度勾配を低減することにより、大気中に含まれる二酸化炭素を吸着剤26により効率よく分離して削減できる。
【0052】
また、熱交換チューブ47を構成する第1チューブ51と第2チューブとをU字状の折曲部47aで連結した。よって、熱交換流体を熱交換チューブ47の内部において円滑に通過させることができる。これにより、熱交換チューブ47の温度差を低減できる。
さらに、第1チューブ51と第2チューブ52とを連結することにより、熱交換チューブ47の間に配置した吸着剤26を熱交換チューブ47で好適に保持できる。これにより、熱交換チューブ47の間に配置した吸着剤26が移動することを抑制できる。
【0053】
また、吸着剤熱交換部32のうち熱交換チューブ47の流入口53及び流出口54のみをフレーム本体41に接続させた。よって、熱交換チューブ47のうち流入口53及び流出口54の他の部位や熱交換フィルム46をフレーム本体41に対して非接触に配置できる。これにより、熱交換チューブ47及びフレーム本体41間の熱伝達や、熱交換フィルム46及びフレーム本体41間の熱伝達を防ぐことができる。したがって、熱交換チューブ47の熱や、熱交換フィルム46の熱がフレーム本体41から放熱することを防ぎ、吸着剤26を効率的に加熱できる。
【0054】
ここで、フレーム31の内部において、熱交換チューブ47の間に配置された吸着剤26は、第1フィルタ33、第2フィルタ34、第1保持部35、及び第2保持部36により保持される。以下、第1フィルタ33、第2フィルタ34、第1保持部35、及び第2保持部36をまとめて保持構造37ということがある。よって、例えば、フレーム31の内部へ吸着剤26を流入する際や、フレーム31から吸着剤26を排出する際に、保持構造37を分解することや、保持構造37を開閉するための可動部を設けることが考えられる。
しかし、保持構造37は空気が通過するため、風圧に対し剛性を確保する必要がある。このため、保持構造37を分解することや、保持構造37に可動部を設けることは好ましくない。
【0055】
そこで、図3図5に示すように、フレーム31(具体的には、フレーム本体41)に開口部41aを備え、開口部41aに蓋部材42を着脱可能に取り付けた。よって、開口部41aから蓋部材42を取り外し、開口部41aから吸着剤26をフレーム31の内部へ流入又は排出するようにした。これにより、風圧に対し剛性が必要な保持構造37を分解することや、保持構造37に可動部を設けることなく、フレーム31の内部に吸着剤26を入れ替えることができる。
【0056】
以下、第2実施形態から第5実施形態の吸着剤保持構造を図9から図13に基づいて説明する。なお、第2実施形態から第5実施形態において第1実施形態の吸着剤保持構造25と同一類似構成については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0057】
[第2実施形態]
図9は、第2実施形態の吸着剤熱交換部をフレームに収納した状態において気流方向からみた概念図である。なお、図9において吸着剤熱交換部102を簡略して図示する。
【0058】
図9に示すように、吸着剤保持構造100は、第1実施形態の吸着剤保持構造25に備えた吸着剤熱交換部32を吸着剤熱交換部102に代えたもので、その他の構成は第1実施形態と同様である。
吸着剤熱交換部102は、熱交換チューブ103が渦巻状に形成された状態において熱交換チューブ103の間隔Lが径方向の中心に向かうに従って徐々に広くなるように形成されている。
【0059】
ここで、渦巻状に形成された熱交換チューブ103は、中心(すなわち、軸線22)に向かうに従って蓄熱性が高くなり、中心から離れる従って放熱性が高くなる。そこで、第2実施形態の吸着剤熱交換部102において、熱交換チューブ103の間隔Lを径方向の中心に向かうに従って広くなるような渦巻状に熱交換チューブ103を形成した。これにより、熱交換チューブ103を全域において一層好適に加熱することが可能になり、熱交換チューブ103により吸着剤26(図6参照)を一層均一に加熱できる。
【0060】
加えて、第2実施形態の吸着剤保持構造100によれば、第1実施形態の吸着剤保持構造25と同様の作用、効果を得ることができる。
【0061】
[第3実施形態]
図10は、第3実施形態の吸着剤熱交換部をフレームに収納した状態において気流方向からみた概念図である。なお、図10において第1吸着剤熱交換部114及び第2吸着剤熱交換部115を簡略して図示する。
【0062】
図10に示すように、吸着剤保持構造110は、第1実施形態の吸着剤保持構造25に備えたフレーム31及び吸着剤熱交換部32をフレーム112及び複数の系統の吸着剤熱交換部に代えたもので、その他の構成は第1実施形態と同様である。
すなわち、吸着剤保持構造110は、複数の系統の吸着剤熱交換部として2系統の吸着剤熱交換部が180°の位相差をつけて2重巻きに構成されている。具体的には、2系統の吸着剤熱交換部は、第1吸着剤熱交換部114、第2吸着剤熱交換部115である。図10において、第1吸着剤熱交換部114を実線、第2吸着剤熱交換部115を点線で示す。
【0063】
第1吸着剤熱交換部114及び第2吸着剤熱交換部115は、それぞれの系統が軸線22を中心とする同心上において、同方向へ渦巻状に形成され、かつ同一平面に形成されている。また、第1吸着剤熱交換部114及び第2吸着剤熱交換部115は、第1熱交換チューブ(熱交換チューブ)114a及び第2熱交換チューブ(熱交換チューブ)115aが中心(すなわち、軸線22)において接触されている。
【0064】
また、フレーム112は、複数の系統の接続端子として2系統の接続端子を周方向に180°の間隔をあけて備えている。2系統の接続端子は、第1流入接続端子116及び第1流出接続端子117、第2流入接続端子118及び第2流出接続端子119である。第1流入接続端子116及び第1流出接続端子117には、第1吸着剤熱交換部114の第1熱交換チューブ114aが接続されている。また、第2流入接続端子118及び第2流出接続端子119には、第2吸着剤熱交換部115の第2熱交換チューブ115aが接続されている。
【0065】
第3実施形態の吸着剤保持構造110によれば、第1熱交換チューブ114a及び第2熱交換チューブ115aに熱交換流体を個別に通過させることができる。よって、第1熱交換チューブ114a及び第2熱交換チューブ115aの温度差を低減できる。これにより、第1熱交換チューブ114a及び第2熱交換チューブ115aを均一に加熱して吸着剤26(図6参照)を均一に加熱できる。
【0066】
また、吸着剤熱交換部を第1吸着剤熱交換部114及び第2吸着剤熱交換部115で構成する2系統とすることにより、第1吸着剤熱交換部114及び第2吸着剤熱交換部115を1系統の吸着剤熱交換部32(図7参照)と比べて短くできる。これにより、第1熱交換チューブ114a及び第2熱交換チューブ115aの温度差を一層低減でき、吸着剤26(図6参照)を一層均一に加熱できる。
さらに、第1熱交換チューブ114a及び第2熱交換チューブ115aを短くすることにより管径を小さくできる。これにより、渦巻状に形成された第1吸着剤熱交換部114と第2吸着剤熱交換部115との間隔を通流する流通空気の抵抗値を低減できる。
【0067】
加えて、第3実施形態の吸着剤保持構造110によれば、第1実施形態の吸着剤保持構造25と同様の作用、効果を得ることができる。
【0068】
[第4実施形態]
図11は、第4実施形態の吸着剤熱交換部をフレームに収納した状態において気流方向からみた概念図である。なお、図11において第1吸着剤熱交換部124、第2吸着剤熱交換部125、及び第3吸着剤熱交換部126を簡略して図示する。
【0069】
図11に示すように、吸着剤保持構造120は、第1実施形態の吸着剤保持構造25に備えたフレーム31及び吸着剤熱交換部32をフレーム122及び複数の系統の吸着剤熱交換部に代えたもので、その他の構成は第1実施形態と同様である。
すなわち、吸着剤保持構造120は、複数の系統の吸着剤熱交換部として3系統の吸着剤熱交換部が120°の位相差をつけて3重巻きに構成されている。3系統の吸着剤熱交換部は、第1吸着剤熱交換部124、第2吸着剤熱交換部125、第3吸着剤熱交換部126である。図11において、第1吸着剤熱交換部124を実線、第2吸着剤熱交換部125を破線、第3吸着剤熱交換部126を点線で示す。
【0070】
第1吸着剤熱交換部124、第2吸着剤熱交換部125、及び第3吸着剤熱交換部126は、それぞれの系統が軸線22を中心とする同心上において、同方向へ渦巻状に形成され、かつ同一平面に形成されている。また、第1吸着剤熱交換部124、第2吸着剤熱交換部125、及び第3吸着剤熱交換部126は、第1熱交換チューブ124a、第2熱交換チューブ125a、及び第3熱交換チューブ126aが中心(すなわち、軸線22)において接触されている。
【0071】
フレーム122は、複数の系統の接続端子として3系統の接続端子を周方向に120°の間隔をあけて備えている。3系統の接続端子は、第1流入接続端子131及び第1流出接続端子132、第2流入接続端子133及び第2流出接続端子134、第3流入接続端子5及び第3流出接続端子136である。第1流入接続端子131及び第1流出接続端子132には、第1吸着剤熱交換部124の第1熱交換チューブ(熱交換チューブ)124aが接続されている。また、第2流入接続端子133及び第2流出接続端子134には、第2吸着剤熱交換部125の第2熱交換チューブ(熱交換チューブ)125aが接続されている。さらに、第3流入接続端子5及び第3流出接続端子136には、第3吸着剤熱交換部126の第3熱交換チューブ(熱交換チューブ)126aが接続されている。
【0072】
第4実施形態の吸着剤保持構造120によれば、第2実施形態の吸着剤保持構造100と同様に、第1熱交換チューブ124a、第2熱交換チューブ125a、及び第3熱交換チューブ126aを均一に加熱して吸着剤26(図6参照)を均一に加熱できる。
【0073】
また、第1吸着剤熱交換部124、第2吸着剤熱交換部125、及び第3吸着剤熱交換部126を1系統の吸着剤熱交換部32(図7参照)と比べて短くできる。これにより、第1熱交換チューブ124a、第2熱交換チューブ125a、及び第3熱交換チューブ126aの温度差を一層低減でき、吸着剤26(図6参照)を一層均一に加熱できる。
さらに、第1熱交換チューブ124a、第2熱交換チューブ125a、及び第3熱交換チューブ126aを短くすることにより管径を小さくできる。これにより、渦巻状に形成された第1熱交換チューブ124a、第2熱交換チューブ125a、及び第3熱交換チューブ126aとの間隔を通流する流通空気の抵抗値を低減できる。
【0074】
加えて、第4実施形態の吸着剤保持構造120によれば、第1実施形態の吸着剤保持構造25と同様の作用、効果を得ることができる。
【0075】
[第5実施形態]
図12は、第5実施形態の吸着剤熱交換部をフレームに収納した状態において気流方向からみた概念図である。図13は、図12の吸着剤熱交換部においてXIII部を拡大した概念図である。なお、図12図13において第1吸着剤熱交換部142、第2吸着剤熱交換部143、及び第3吸着剤熱交換部144を簡略して図示する。
【0076】
図12図13に示すように、吸着剤保持構造140は、第4実施形態の第1~第3の吸着剤熱交換部124,125,126を第1吸着剤熱交換部142、第2吸着剤熱交換部143、及び第3吸着剤熱交換部144に代えたものである。
第1吸着剤熱交換部142、第2吸着剤熱交換部143、及び第3吸着剤熱交換部144は、120°の位相差をつけて3重巻きに構成されている。図12図13において、第1吸着剤熱交換部142を実線、第2吸着剤熱交換部143を破線、第3吸着剤熱交換部144を点線で示す。
【0077】
第1吸着剤熱交換部142、第2吸着剤熱交換部143、及び第3吸着剤熱交換部144は、それぞれの系統が軸線22を中心とする同心上において、同方向へ渦巻状に形成され、かつ同一平面に形成されている。
ここで、第1吸着剤熱交換部142、第2吸着剤熱交換部143、及び第3吸着剤熱交換部144は、第1熱交換チューブ142a、第2熱交換チューブ143a、及び第3熱交換チューブ144aが軸線22の近傍において適切な間隔をあけて配置されている。
【0078】
第1熱交換チューブ(熱交換チューブ)142aは、第1流入接続端子131及び第1流出接続端子132に接続されている。第2熱交換チューブ(熱交換チューブ)143aは、第2流入接続端子133及び第2流出接続端子134に接続されている。第3熱交換チューブ(熱交換チューブ)144aは、第3流入接続端子5及び第3流出接続端子136に接続されている。
【0079】
第5実施形態の吸着剤保持構造140によれば、第1熱交換チューブ142a、第2熱交換チューブ143a、及び第3熱交換チューブ144aを軸線22の近傍において適切な間隔をあけて形成した。よって、第1熱交換チューブ142a、第2熱交換チューブ143a、及び第3熱交換チューブ144aの蓄熱性を軸線22の近傍において好適に抑えることができる。
これにより、第1熱交換チューブ142a、第2熱交換チューブ143a、及び第3熱交換チューブ144aを一層均一に加熱して吸着剤26(図6参照)を一層均一に加熱できる。
【0080】
加えて、第5実施形態の吸着剤保持構造140によれば、第4実施形態の吸着剤保持構造120と同様の作用、効果を得ることができる。
【0081】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、複数の系統の吸着剤熱交換部として2系統の吸着剤熱交換部や、3系統の吸着剤熱交換部を例に説明したが、これに限らない。その他の例として、例えば、複数の系統の吸着剤熱交換部を4系統以上の吸着剤熱交換部で構成してもよい。すなわち、複数の系統の吸着剤熱交換部を2系統以上の吸着剤熱交換部で構成してもよい。
【0082】
また、前記実施形態では、1系統の吸着剤熱交換部において熱交換チューブの間隔を径方向の中心に向かうに従って徐々に広くなるように形成する例について説明したが、これに限らない。その他の例として、例えば、複数の系統の吸着剤熱交換部において熱交換チューブの間隔を径方向の中心に向かうに従って徐々に広くなるように形成してもよい。
【0083】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0084】
10 回収装置
25,100,110,120,140 吸着剤保持構造
26 吸着剤
31,112,122 フレーム
33 第1フィルタ(フィルタ)
34 第2フィルタ(フィルタ)
41 フレーム本体
41a 開口部
47,103 熱交換チューブ
47a 折曲部
51 第1チューブ(一方のチューブ)
52 第2チューブ(他方のチューブ)
53 流入口
54 流出口
114a,115a 第1、第2の熱交換チューブ(熱交換チューブ)
124a~126a,142a~144a 第1~第3の熱交換チューブ(熱交換チューブ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13