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特開2024-104233無線通信システム、本体装置、及び操作端末装置並びに無線通信システムにおける通信制御方法
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  • 特開-無線通信システム、本体装置、及び操作端末装置並びに無線通信システムにおける通信制御方法 図1
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  • 特開-無線通信システム、本体装置、及び操作端末装置並びに無線通信システムにおける通信制御方法 図9B
  • 特開-無線通信システム、本体装置、及び操作端末装置並びに無線通信システムにおける通信制御方法 図10
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104233
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】無線通信システム、本体装置、及び操作端末装置並びに無線通信システムにおける通信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/02 20090101AFI20240726BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20240726BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
H04W52/02
H04W84/10 110
H04Q9/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008361
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】小塩 智弘
【テーマコード(参考)】
5K048
5K067
【Fターム(参考)】
5K048AA16
5K048BA08
5K048DA01
5K048DB01
5K048DC01
5K048EB02
5K048EB12
5K048HA01
5K048HA02
5K067AA43
5K067BB21
5K067DD27
5K067EE02
5K067EE10
5K067GG01
(57)【要約】
【課題】無線通信システムにおける操作端末装置の消費電力を更に抑制する。
【解決手段】本発明は、第1の通信モジュールを備えた本体装置をユーザが遠隔的に操作するための操作端末装置である。前記操作端末装置は、制御部と、前記制御部の制御の下、所定の無線通信規格に従って、前記本体装置の前記第1の通信モジュールとの間で同期通信を行うための第2の通信モジュールとを備える。前記制御部は、前記第1の通信モジュールと前記第2の通信モジュールとの間で第1の接続を確立した接続状態において、所定のタイミングで前記第1の通信モジュールとの間の前記同期通信により、前記本体装置において計時された運転停止時間を取得し、取得された運転停止時間が前記所定のしきい値を上回っていると判断する場合に、前記第1の通信モジュールとの間の前記第1の接続を切断し、前記第2の通信モジュールの動作を停止するように制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信モジュールを備えた本体装置をユーザが遠隔的に操作するための操作端末装置であって、
制御部と、
前記制御部の制御の下、所定の無線通信規格に従って、前記本体装置の前記第1の通信モジュールとの間で同期通信を行うための第2の通信モジュールと、を備え、
前記制御部は、
前記第1の通信モジュールと前記第2の通信モジュールとの間で第1の接続を確立した接続状態において、所定のタイミングで前記第1の通信モジュールとの間の前記同期通信により、前記本体装置において計時された運転停止時間を取得し、
取得された前記運転停止時間が所定のしきい値を上回っているか否かを判断し、
前記取得された運転停止時間が前記所定のしきい値を上回っていると判断した場合に、前記第1の通信モジュールとの間の前記第1の接続を切断し、前記第2の通信モジュールの動作を停止するように制御する、
操作端末装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の接続の切断後、所定の時間が経過した場合に、前記第2の通信モジュールの動作が停止するように制御する、
請求項1に記載の操作端末装置。
【請求項3】
前記制御部は、所定の時間間隔で前記同期通信を行うことにより、前記運転停止時間を取得する、
請求項1に記載の操作端末装置。
【請求項4】
前記操作端末装置は、前記ユーザの所定の操作に応じて所定のアクティブ信号を出力する操作センサを備え、
前記制御部は、前記第2の通信モジュールの動作が停止した状態において前記操作センサにより前記所定のアクティブ信号が出力される場合に、前記第2の通信モジュールの動作を再開させる、
請求項1に記載の操作端末装置。
【請求項5】
前記制御部は、動作を再開した前記第2の通信モジュールが前記第1の通信モジュールとの間で第2の接続を確立するように制御する、
請求項4に記載の操作端末装置。
【請求項6】
前記第1の通信モジュール及び前記第2の通信モジュールのそれぞれは、前記第1の接続が確立される際にボンディング情報を記憶し、
前記第2の通信モジュールは、前記第2の接続の確立の際に前記ボンディング情報に従って前記第1の通信モジュールから送信されるコネクション要求に応答する、
請求項5に記載の操作端末装置。
【請求項7】
本体装置と、ユーザが前記本体装置を遠隔的に操作するための操作端末装置とを備えるシステムであって、
前記本体装置は、
前記本体装置の運転停止時間を計時するための計時部を備える制御ボードと、
所定の無線通信規格に従って同期通信を行うための第1の通信モジュールと、を備え、
前記操作端末装置は、
制御部と、
前記第1の通信モジュールとの間で前記所定の無線通信規格に従って前記同期通信を行うための第2の通信モジュールと、を備え、
前記操作端末装置の前記制御部は、
前記第1の通信モジュールと前記第2の通信モジュールとの間で第1の接続を確立した接続状態において、所定のタイミングで前記第1の通信モジュールとの間の前記同期通信により、前記本体装置の前記計時部により計時される前記運転停止時間を取得し、
取得された前記運転停止時間が所定のしきい値を上回っているか否かを判断し、
前記取得された運転停止時間が所定のしきい値を上回っていると判断される場合に、前記第1の通信モジュールとの間の前記第1の接続を切断し、
前記第2の通信モジュールの動作を停止するように制御する、
システム。
【請求項8】
前記所定の無線通信規格は、Bluetooth Low Energy(BLE)であり、
前記第1の通信モジュールは、前記BLEにおけるセントラルとして動作し、
前記第2の通信モジュールは、前記BLEにおけるペリフェラルとして動作する、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
本体装置と、ユーザが前記本体装置を遠隔的に操作するための操作端末装置との間の通信制御方法であって、
前記本体装置の第1の通信モジュールと前記操作端末装置の第2の通信モジュールとの間で同期通信をするために第1の接続を確立することと、
前記操作端末装置による運転停止指示に従って前記本体装置の運転が停止した場合に、前記本体装置が運転停止時間の計時を開始することと、
前記第1の通信モジュールと前記第2の通信モジュールとの間で第1の接続を確立した接続状態において、所定のタイミングで前記第1の通信モジュールとの間の前記同期通信により、計時された前記運転停止時間を前記本体装置から前記操作端末装置が取得することと、
取得された前記運転停止時間が所定のしきい値を上回っているか否かを判断することと、
前記取得された前記運転停止時間が所定のしきい値を上回っていると判断される場合に、前記第1の通信モジュールとの間の前記第1の接続を切断することと、
前記第1の接続が切断された後、所定の時間経過後に前記第2の通信モジュールの動作を停止するように制御することと、を含む、
通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、本体装置、及び操作端末装置並びに無線通信システムにおける通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルデバイス間の近距離無線通信規格として、Bluetooth(登録商標)が広く普及している。また、このBluetooth(登録商標)の規格の一部であるBluetooth Low Energy(以下「BLE」という。)は、低消費電力及び低コスト化に特化した規格である。
【0003】
BLE規格では、BLEデバイスがセントラル又はペリフェラルのいずれかの役割で通信を行う。セントラル(「マスタ」と呼ばれることもある)として動作するセントラル機器は、通信の制御を行う役割を担い、ペリフェラル(「スレーブ」と呼ばれることもある)として動作するペリフェラル機器は、セントラル機器から送信される要求に応答することにより通信を実現する。例えば、下記特許文献1は、BLE規格に従って無線通信が可能な複数の装置を含む無線通信システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-127238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
BLE規格では、セントラル機器とペリフェラル機器との間の接続が確立すると、これら接続状態にあるセントラル機器とペリフェラル機器との間で、コネクションイベントと呼ばれる同期通信に関する処理が所定の時間間隔(コネクションインターバル)で行われる。したがって、低消費電力化を謳うBLE規格といえども、このような同期通信は、当該デジタルデバイスがバッテリ駆動の場合、その消費を早める。
【0006】
ところで、赤外線通信方式を採用した従前の無線通信システムには、ユーザの操作端末装置から本体装置への片方向通信のものがある。例えば、テレビ装置や空気調和機(いわゆるエアコン)には、操作端末装置としてのリモートコントローラ(いわゆるリモコン)が付属しており、当該リモコンはユーザの操作があったときのみ赤外線通信により本体装置に制御信号を出力する。従ってこのような従前の赤外線通信方式による無線通信システムは、BLE規格に比較して消費電力が少なく、端末装置のバッテリ寿命は実用的に十分に耐え得る。
【0007】
以上より、BLE規格をリモコンと本体装置間の無線通信システムに採用した場合、ペリフェラル機器であるリモコンのバッテリ寿命は、赤外線無線通信方式のリモコンのバッテリ寿命に比較して短くなってしまうという問題がある。バッテリ交換が頻繁に発生すると、交換作業の煩わしさや交換費用が増加するため、製品自体の訴求力を阻害する要因となり得る。
【0008】
また、例えば季節的な要因等によって本体装置の運転頻度が下がり、長期間に亘り運転を停止している場合、リモコンの使用頻度も低下する。このような場合にリモコンがいつまでも待機状態にあると電力を消費することにより、バッテリ寿命を縮めてしまうことなる。
【0009】
そこで、本発明は、本体装置と操作端末装置との間で無線通信を行う無線通信システムにおいて、操作端末装置の消費電力を抑制することを目的とする。
【0010】
より具体的には、本発明は、BLE規格に従ってセントラル機器との間で無線通信を行うバッテリ駆動型のペリフェラル機器の消費電力を抑制し、もって、ペリフェラル機器のバッテリの交換頻度を減らし、使い勝手の良い(ユーザビリティの高い)ペリフェラル機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための本発明は、以下に示す発明特定事項又は技術的特徴を含んで構成される。
【0012】
すなわち、ある観点に従う本発明は、第1の通信モジュールを備えた本体装置をユーザが遠隔的に操作するための操作端末装置である。操作端末装置は、制御部と、制御部の制御の下、所定の無線通信規格に従って、本体装置の第1の通信モジュールとの間で同期通信を行うための第2の通信モジュールとを備える。制御部は、第1の通信モジュールと前記第2の通信モジュールとの間で第1の接続を確立した接続状態において、所定のタイミングで第1の通信モジュールとの間の同期通信により、本体装置において計時された運転停止時間を取得する。そして、制御部は、取得された運転停止時間が所定のしきい値を上回っているか否かを判断し、取得された運転停止時間が所定のしきい値を上回っていると判断した場合に、第1の通信モジュールとの間の第1の接続を切断し、第2の通信モジュールの動作を停止するように制御する。
【0013】
また、別の観点に従う本発明は、本体装置と、ユーザが本体装置を遠隔的に操作するための操作端末装置とを備えるシステムである。本体装置は、自身の運転停止時間を計時するための計時部を備える制御ボードと、所定の無線通信規格に従って同期通信を行うための第1の通信モジュールとを備える。また、操作端末装置は、制御部と、第1の通信モジュールとの間で所定の無線通信規格に従って同期通信を行うための第2の通信モジュールとを備える。制御部は、第1の通信モジュールと第2の通信モジュールとの間で第1の接続を確立した接続状態において、所定のタイミングで第1の通信モジュールとの間の同期通信により、本体装置の計時部により計時される運転停止時間を取得する。そして、制御部は、取得された運転停止時間が所定のしきい値を上回っているか否かを判断し、運転停止時間が所定のしきい値を上回っていると判断される場合に、第1の通信モジュールとの間の第1の接続を切断し、第2の通信モジュールの動作を停止するように制御する。
【0014】
また、別の観点に従う本発明は、本体装置と、ユーザが前記本体装置を遠隔的に操作するための操作端末装置との間の通信制御方法である。該方法は、本体装置の第1の通信モジュールと操作端末装置の第2の通信モジュールとの間で同期通信をするために第1の接続を確立することと、操作端末装置による運転停止指示に従って本体装置の運転が停止した場合に、本体装置が運転停止時間の計時を開始することと、第1の通信モジュールと第2の通信モジュールとの間で第1の接続を確立した接続状態において、所定のタイミングで第1の通信モジュールとの間の同期通信により、計時された運転停止時間を本体装置から前記操作端末装置が取得することと、取得された前記運転停止時間が所定のしきい値を上回っているか否かを判断することと、前記取得された前記運転停止時間が所定のしきい値を上回っていると判断される場合に、前記第1の通信モジュールとの間の前記第1の接続を切断することと、前記第1の接続が切断された後、所定の時間経過後に前記第2の通信モジュールの動作を停止するように制御することとを含む。
【0015】
なお、本明細書等において、「システム」とは、複数の装置(又は特定の機能を実現する機能モジュール)が論理的に集合した物のことをいい、各装置や機能モジュールが単一の筐体内にあるか否かは特に問わない。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、セントラル機器とペリフェラル機器との間でBLE規格に従って通信を行う通信システムにおいて、ペリフェラル機器の消費電力を抑制することができる。とりわけ、バッテリ駆動型のペリフェラル機器では、消費電力の抑制により、バッテリの交換頻度が減り、これにより、交換作業に対するユーザの手間を減らし、また、環境負荷への影響も抑制できる。
【0017】
本発明の他の技術的特徴、目的、及び作用効果又は利点は、添付した図面を参照して説明される以下の実施形態により明らかにされる。本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また他の効果があっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る無線通信システムが適用される空気調和システムの構成の一例を示すブロックダイアグラムである。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける室内機の機能的構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける操作端末装置の機能的構成の一例を示すブロックダイアグラムである。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける端末装置の外観構成の一例を示す図である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムの概略動作の一例を説明するためのシーケンスチャートである。
図6図6は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける室内機の動作を説明するためのフローチャートである。
図7図7は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける操作端末装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図8図8は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける室内機の動作を説明するためのフローチャートである。
図9A図9Aは、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける操作端末装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図9B図9Bは、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける操作端末装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図10図10は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムの概略動作の他の例を説明するためのシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(例えば各実施形態を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0020】
[第1の実施形態]
本実施形態は、本体装置と操作端末装置との間の無線通信システムにおいて、操作端末装置が本体装置において計時されている運転停止時間を所定のタイミングで取得し、取得された運転停止時間が所定のしきい値を上回っている場合に、本体装置と操作端末装置との間の接続(無線通信)を切断し、これにより、操作端末装置は、必要最小限のコンポーネントのみを動作状態にして、通信モジュール等の他のコンポーネントを停止状態にする態様である。また、操作端末装置は、本体装置と接続状態が維持されている間、付近にいるユーザの所定の動作を検出することで、本体装置から運転停止時間を取得する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る無線通信システムが適用される空気調和システムの構成の一例を示すブロックダイアグラムである。同図に示すように、空気調和システム1は、例えば、空気調和機の室内機2と、室内機2を遠隔的に操作可能な操作端末装置3とを備えるシステムである。また、図示しないが、空気調和システム1は、室内機2に電気配線及び冷媒配管によって接続された室外機を含む。
【0022】
室内機2は、例えば室内に配置され、室内の空気を調和する空気調和システムの一部である。室内機2は、熱交換器やファンを備え、熱交換器により冷媒と室内空気との間で熱交換を行い適切な温度及び湿度に調節された空気をファンにより室内に送出することで、室内の暖房、冷房、除湿等を行う。本開示において、室内機2は、操作端末装置3との関係において、本体装置とも称される。
【0023】
操作端末装置3は、ユーザが室内機2を遠隔的に操作するためのユーザインターフェースデバイスであり、リモートコントローラ(いわゆる「リモコン」)とも称される。操作端末装置3は、据置型であっても良いし、これに限られず、手持ち型であっても良い。
【0024】
無線通信システム10は、室内機2と操作端末装置3との間での無線通信を実現するためのシステムである。無線通信システム10は、室内機2及び操作端末装置3のそれぞれに組み込まれる一対の通信モジュールから構成される。本開示において、室内機2に組み込まれる通信モジュールは第1の通信モジュール24に相当し、操作端末装置3に組み込まれる通信モジュールは第2の通信モジュール35に相当する。BLE(Bluetooth Low Energy)規格でいうセントラルは、第1の通信モジュール24の一態様であり、また、ペリフェラルは、第2の通信モジュール35の一態様である。本開示では、無線通信システム10は、BLE規格に従った無線通信を実現するシステムであるものとする。
【0025】
図2は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける室内機の機能的構成の一例を示すブロック図である。同図に示すように、室内機2は、例えば、制御ボード21と、空気調和機構22と、センサ23と、通信モジュールとしての第1の通信モジュール24とを含む。
【0026】
制御ボード21は、室内機2の動作を統括的に制御するためのプロセッサ(マイクロコンピュータ)211、メモリ212、計時部213、及び外部インターフェース214等を含み構成される制御回路である。メモリ212は、例えば組み込み型制御プログラム及び各種の設定データ等を記憶する。制御ボード21は、例えば、ユーザによる操作端末装置3の操作の下、運転モード(例えば、冷房運転、暖房運転、除湿運転等)を切り替えるように、室内機2を制御する。計時部213は、室内機2の運転が停止している時間(以下「運転停止時間」という)を計時する。つまり、計時部213は、プロセッサ211の制御の下、室内機2の運転が停止した時点から運転停止時間の計時を開始し、運転が再開した時点で計時した運転停止時間の値を出力するとともにリセットする。計時部213は、出力された運転停止時間の値を例えばカウンタレジスタ(図示せず)に保持する。外部インターフェース214は、制御ボード21と、空気調和機構22、センサ23、及び第1の通信モジュール24とを接続するインターフェース回路である。
【0027】
空気調和機構22は、室内機2のうち、熱交換器、コンプレッサ、ファン、ルーバー等からなる機構系の構成物である。空気調和機構22は、制御ボード21からの制御を受け、室内機2は室外機との協働により、熱交換器において冷媒と室内空気との間で熱交換を行い、適切な温度及び湿度に調節された空気を室内に吹き出す。
【0028】
センサ23は、空気調和システム1の動作を適切に保つために、各種の物理量を検出する素子である。センサ23は、例えば、各種の環境センサを含み構成される。同図では、温度センサ23a、湿度センサ23b、及び人感センサ23cが示されている。
【0029】
第1の通信モジュール24は、操作端末装置3の第2の通信モジュール35との間で無線通信を実現するための通信インターフェース回路である。上述のとおり、第1の通信モジュール24は、BLE(Bluetooth Low Energy)規格でいうセントラルとして機能する。なお、本例では、第1の通信モジュール24は、制御ボード21とは別に構成されているが、これに限られず、制御ボード21の一部として構成されても良い。
【0030】
図3は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける操作端末装置の機能的構成の一例を示すブロックダイアグラムである。同図に示すように、操作端末装置3は、例えば、制御部31と、記憶部32と、ユーザインターフェース部33と、センサ34と、第2の通信モジュール35といったコンポーネントを備える。
【0031】
制御部31は、操作端末装置3の動作を統括的に制御する。制御部31は、例えば、プロセッサを含み構成される。また、記憶部32は、制御部31の利用に供されるメモリモジュールであり、例えば組み込み型制御プログラムや各種の設定データ等を記憶する。制御部31は、操作端末装置3を通常モード及びスリープモードのいずれかで動作するように制御する。スリープモードは、通常モードでの動作よりも低い消費電力で動作するモードである。例えば、スリープモードは、制御部31の一部及びセンサ34といった操作端末装置3の動作に必要な最小限のコンポーネントへ電力を供給して、それらを動作状態にする一方、ユーザインターフェース部33や第2の通信モジュール35といった他のコンポーネントへは電力の供給を停止し、それらを停止状態にするモードである。また、制御部31のプロセッサの動作周波数が低くなるよう変更されても良い。これにより、操作端末装置3全体の消費電力を抑制することができる。なお、スリープモードは、待機モードや省電力モードと称されることもあるが、その名称は拘らない。
【0032】
ユーザインターフェース部33は、制御部31による制御の下、ユーザにインタラクティブな操作を提供するユーザインターフェースを実現する。ユーザインターフェース部33は、例えば、タッチパネルである。また、ユーザインターフェース部33は、音声ガイダンス等を発するためのスピーカやユーザによる音声コマンド等を集音するマイク等を含んでいても良い。
【0033】
センサ34は、対象物(ここではユーザ)が接近又は操作したことを検出する操作センサである。センサ34は、ユーザがセンサ34の前方で手をかざしたり、ジェスチャーをしたりすることで、アクティブ信号を制御部31に出力する。センサ34は、例えば赤外線センサであるが、これに限られない。他の例として、センサ34は、ユーザが直接的に触れることでアクティブ信号を出力する接触センサである。更に他の例として、センサ34は、加速度センサである。このような加速度センサは、ユーザが操作端末装置3を手にすることを検出して、アクティブ信号を出力する。或いは、センサ34は、このようなユーザの能動的な動きを検出するのでなく、ユーザが近づいた場合に、アクティブ信号を制御部31に出力しても良い。なお、センサ34は、ユーザの操作を検出するものであるから、ユーザインターフェース部33の一部とみなすこともできるが、本開示では、ユーザインターフェース部33とセンサ34とは分けて説明している。
【0034】
第2の通信モジュール35は、室内機2との間で無線通信を実現するための通信インターフェース回路である。上述のとおり、第2の通信モジュール35は、BLE規格でのペリフェラルとして機能する。なお、本例では、第2の通信モジュール35は、制御部31とは別に構成されているが、これに限られず、制御部31の一部として構成されても良い。
【0035】
図4は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける操作端末装置3の外観構成の一例を示す図である。同図に示すように、操作端末装置3は、筐体301の上面に、ユーザインターフェース部33が設けられた形状を有している。
【0036】
筐体301は、操作端末装置3の略外観を規定し、例えば、ABS等の樹脂材料により形成される。本例では、筐体301は、略円筒状の形状を有し、ユーザインターフェース部33が形成された上面301aは、手前(正面)から奥(背面)に向けて僅かに傾斜している。
【0037】
ユーザは、例えば、スリープモードにある操作端末装置3に対して、センサ34上で手をかざすことにより、制御部31は、これを検出して、操作端末装置3の動作モードをスリープモードから通常モードに切り替える。通常モードにある操作端末装置3は、ユーザによるユーザインターフェース部33への各種の操作を受け付けて、これにより、室内機2を遠隔的に操作する。
【0038】
図5は、本発明の一実施形態に係る空気調和システム1の概略動作の一例を説明するためのシーケンスチャートである。具体的には、同図は、空気調和システム1における無線通信システム10の動作を説明している。同図において、室内機2の処理は、制御ボード21のプロセッサが制御プログラムを実行することにより、他のコンポーネントと協働して、実現される一方、操作端末装置3の処理は、制御部31のプロセッサが制御プログラムを実行することにより他のコンポーネントと協働して、実現される。
【0039】
同図に示すように、室内機2及び操作端末装置3は、それぞれ、例えば電源ON等により起動する(S501A及びS501B)。起動時には、例えば、以下に述べるペアリングに関する各種のパラメータの初期化を行う。BLE規格において、多数のパラメータが定義されているが、本開示に関係するものとしては、例えば、コネクションインターバル、コネクションスレーブレイテンシー(以下「スレーブレイテンシー」という。)、コネクションスーパービジョンタイムアウト(以下「タイムアウト」という。)等が挙げられる。コネクションインターバルは、コネクションイベントと呼ばれるデータパケットの送受信の時間間隔であり、また、チャネルのホッピングが行われる周期を示す。スレーブレイテンシーは、ペリフェラル機器において送信すべきデータパケットがない場合に、ペリフェラル機器がコネクションイベントを無視できる回数から算出される時間を示す。この時間は、例えばコネクションイベントの発生間隔が20msの場合、それに前述の回数を乗じたものとなる。つまり、スレーブレイテンシーの値を大きくすることで、データパケットの送信遅延時間は増えるが、ペリフェラル機器は、接続状態を維持したままで無線通信に要する消費電力を抑制できる。タイムアウトは、通信が切断したと判断する時間である。室内機2及び操作端末装置3がそれぞれ起動した後、ユーザは、室内機2と操作端末装置3との間の無線通信を確立するために、ペアリングの指示を行う。これを受けて、室内機2及び操作端末装置3は、ペアリング処理を実行する(S502A及びS502B)。
【0040】
ペアリングでは、概略的には、まず、室内機2の第1の通信モジュール24は、スキャナとして機能して、操作端末装置3の第2の通信モジュール35を発見するために、スキャニングを行う一方、第2の通信モジュール35は、アドバタイザとして機能して、アドバタイジングを行う。つまり、第2の通信モジュール35は、アドバタイジングにより、特定の周波数帯においてチャネルを切り替えながらデータパケット(アドバタイジングパケット)を送信し、第1の通信モジュール24は、該データパケットを受信することで、第2の通信モジュール35を発見する。
【0041】
第1の通信モジュール24は、第2の通信モジュール35を発見すると、次に、イニシエータとして機能して、コネクション要求を第2の通信モジュール35に送信し、第2の通信モジュール35は、該コネクション要求に応答する。また、第1の通信モジュール24は、ペアリングにおいて取得した第2の通信モジュール35のデバイスアドレス等のボンディング情報を、制御ボード21の制御の下、メモリ212に格納する一方、第2の通信モジュール35は、第1の通信モジュール24のデバイスアドレス等のボンディング情報を、制御部31の制御の下、記憶部32に格納する。デバイスアドレスは、BLEデバイスを識別するために割り当てられた識別子である。これにより、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35との間のペアリングは完了し、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35とは無線通信が確立する(すなわち、接続状態(第1の接続)となる)。ペアリングにより、第1の通信モジュール24はセントラルとして機能する一方、第2の通信モジュール35はペリフェラルとして機能する。
【0042】
接続状態にある第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35とは、コネクションインターバルでコネクションイベントと呼ばれるデータパケットの交換を行うことで、双方向の同期通信が確立する(S503)。例えば、ユーザは、操作端末装置3のユーザインターフェース部33を操作して、室内機2に運転開始(例えば暖房ON)を指示すると、操作端末装置3は、制御部31の制御の下、第1の通信モジュール24から室内機2の第2の通信モジュール35に運転開始コマンドを送信し、これを受けて、室内機2は、制御ボード21の制御の下、運転を開始する。
【0043】
室内機2は、制御ボード21の制御の下、操作端末装置3からの種々の操作を受け付ける。ユーザは、操作端末装置3のユーザインターフェース(UI)部33を操作して、室内機2に運転停止(例えば暖房運転OFF)を指示すると、操作端末装置3は、制御部31の制御の下、第1の通信モジュール24から室内機2の第2の通信モジュール35に運転停止コマンドを送信する(S504B)。これを受けて、室内機2は、制御ボード21の制御の下、運転を停止する(S504A)。このとき、制御ボード21の計時部213は、運転停止時間の計時を開始する。また、室内機2は、制御ボード21の制御の下、運転停止ステータースを操作端末装置3に送信しても良い。
【0044】
室内機2は、制御ボード21の制御の下、所定の送信タイミングで同期通信により、計時されている運転停止時間を操作端末装置3に送信する(S505A(1)~S505A(n))。所定の送信タイミングは、例えば10分間隔であるが、これに限られない。これに対応して、操作端末装置3は、制御部31の制御の下、室内機2から運転停止時間を取得する(S505B(1)~S505B(n))。制御部31は、運転停止時間が取得されるごとに、取得された運転停止時間と所定のしきい値とを比較して、運転停止時間が所定のしきい値を上回っているか否かを判断する。所定のしきい値は、例えば168h(24h×7日)とすればよいが、これに限られない。制御部31は、運転停止時間が所定のしきい値を上回っていると判断した場合、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35との間の接続を切断するように制御を行う(S506B)。すなわち、操作端末装置3の第2の通信モジュール35は、コネクションインターバルでのコネクションイベントによるデータパケットの送信を停止する。
【0045】
第1の通信モジュール24は、コネクションイベントによるデータパケットを受信できないため、接続が切断したと判断する(S506A)。第1の通信モジュール24は、第2の通信モジュール35との接続の確立を試みるために、スキャニング処理を行う(S507A)。この時点では、第2の通信モジュール35は、休止しているため、アドバタイジングを実行していない。
【0046】
操作端末装置3は、制御部31の制御の下、第1の接続の切断後、所定の時間が経過した後、スリープモードに移行する(S507B)。すなわち、制御部31は、制御部31の一部及びセンサ34以外のコンポーネントへの電力の供給を停止するように制御する。これにより、操作端末装置3全体の消費電力を抑制することができる。とりわけ、本開示では、第2の通信モジュール35への電力の供給は停止され、BLE規格の下で無線通信に伴う消費電力を完全又はほぼ完全に抑制することができる。
【0047】
その後、室内に入ってきたユーザは、室内機2を操作するために、操作端末装置3のセンサ34上で例えば手をかざす。これにより、センサ34は、アクティブ信号を制御部31に出力し、制御部31は、ユーザの操作があったことを検出する(S508B)。制御部31は、ユーザの操作を検出すると、操作端末装置3をスリープモードから通常モードに移行させ、停止していたコンポーネントに電力が供給されるように制御して、その動作を再開させる。動作を再開した第2の通信モジュール35は、接続の再確立を試みるために、記憶部32に格納されているボンディング情報のデバイスアドレスが示す第1の通信モジュール24との間でペアリングのためアドバタイジングを開始する(S509)。すなわち、スリープモードにより電力の供給が停止されていた第2の通信モジュール35は、通常モードの移行により、電力の供給が再開され、動作を再開する。
【0048】
第1の通信モジュール24は、上述したように、スキャニングにより第2の通信モジュール35を発見すると、第2の通信モジュール35にコネクション要求を送信し、第2の通信モジュール35がこれに応答することにより、接続状態(第2の接続)となる。これにより、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35とは、コネクションイベントによる同期通信が可能になる(S510)。
【0049】
図6は、本発明の一実施形態に係る空気調和システム1における室内機の動作を説明するためのフローチャートである。具体的には、同図は、図5に示した室内機2の第1の通信モジュール24による初回のペアリング処理(S502A)を説明するためのフローチャートである。
【0050】
同図を参照して、まず、室内機2は電源が投入され又はリセットボタンが押下されることにより起動し、制御ボード21の制御の下、第1の通信モジュール24は、上述したように各種のパラメータの初期化処理を行う(S601)。例えば、第1の通信モジュール24は、コネクションインターバル、スレーブレイテンシー、及びタイムアウト等のパラメータの値をメモリ212に記憶されている初期値に設定する。初期値は空気調和システム1の設計時に実験等により予め定められ、メモリ212に記憶されている。
【0051】
次に、第1の通信モジュール24は、制御ボード21の制御の下、例えば室内機2に設けられた操作端末装置3とペアリングを開始するための特定のボタンの押下、すなわちペアリング操作があった場合(S602のYes)、スキャニングを開始する(S603)。スキャニングは、特定の周波数帯(例えば2.4GHz帯)においてアドバタイジングチャネルを切り替えながらアドバタイジングパケットの受信を試みる。
【0052】
第1の通信モジュール24は、スキャニングの間、操作端末装置3の第2の通信モジュール35によるアドバタイジングパケットを受信したか否かを監視する(S604)。第1の通信モジュール24は、アドバタイジングパケットを受信すると(S604のYes)、コネクションの要求処理を行う(S605)。すなわち、第1の通信モジュール24は、アドバタイジングパケットを送信した第2の通信モジュール35に対して、コネクション要求を送信する。コネクション要求には、例えば、第1の通信モジュール24のデバイスアドレス、アクセスアドレス、ホッピング、コネクションインターバル、スレーブレイテンシー、及びタイムアウト等の各種のパラメータを含む。
【0053】
第1の通信モジュール24は、コネクション要求に対する第2の通信モジュール35からの応答を受けて、受信した第2の通信モジュール35のデバイスアドレス等のパラメータをボンディング情報としてメモリ212に格納する(S606)。これにより、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35とは接続状態となる。すなわち、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35とは、所定の時間間隔(コネクションインターバル=例えば500ms)で行われるコネクションイベントにより同期通信が可能になる。
【0054】
図7は、本発明の一実施形態に係る空気調和システム1における操作端末装置3の動作を説明するためのフローチャートである。具体的には、同図は、図5に示した操作端末装置3の第2の通信モジュール35による初回のペアリング処理(S502B)を説明するためのフローチャートである。
【0055】
同図を参照して、操作端末装置3はバッテリが装置にセットされ又はリセットボタンが押下されることにより起動し、制御部31の制御の下、第2の通信モジュール35は、初期化処理を行う(S701)。例えば、第2の通信モジュール35は、コネクションインターバル、スレーブレイテンシー、及びタイムアウト等のパラメータの値を記憶部32に記憶されている初期値に設定する。初期値は空気調和システム1の設計時に実験等により予め定められ、記憶部32に記憶されている。
【0056】
次に、第2の通信モジュール35は、制御部31の制御の下、ペアリング操作があったか否かを監視する(S702)。第2の通信モジュール35は、ペアリング操作があったと判断される場合(S702のYes)、アドバタイジングを開始する(S703)。アドバタイジングは、特定の周波数帯(例えば2.4GHz帯)において、所定の時間間隔でアドバタイジングチャネルを切り替えながら、アドバタイジングパケットを送信する。
【0057】
続いて、第2の通信モジュール35は、タイムアウトで示される期間(例えば3秒)内に、第1の通信モジュール24からコネクション要求があったか否かを監視する(S704及びS705)。第2の通信モジュール35は、タイムアウトで示される期間内に、第1の通信モジュール24からコネクション要求を受信できなかったと判断した場合(S705のYes)、今回のペアリング操作による処理を無効にして、再度、ペアリング操作があったか否かを監視する(S702)。
【0058】
一方、第2の通信モジュール35は、タイムアウトで示される期間内に、第1の通信モジュール24からコネクション要求を受信したと判断した場合(S704のYes)、該コネクション要求に応答するために、自身のパラメータを第1の通信モジュール24に送信する(S706)。続いて、第2の通信モジュール35は、受信したコネクション要求に含まれるパラメータを第1の通信モジュール24とのボンディング情報として記憶部32に格納する。これにより、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35とは接続状態となり、同期通信が可能になる。
【0059】
図8は、本発明の一実施形態に係る空気調和システム1における室内機の動作を説明するためのフローチャートである。具体的には、同図は、室内機2における運転停止に係る処理を説明するためのフローチャートである。
【0060】
同図に示すように、室内機2の制御ボード21は、室内機2の運転が停止したか否かを監視している(S801)。制御ボード21は、室内機2の運転が停止していないと判断した場合(S801のNo)、計時部213のカウンタレジスタをリセットし(S802)、監視を続ける。これに対して、制御ボード21は、室内機2の運転が停止したと判断した場合(S801のYes)、運転停止時間の計時を開始する(S803)。計時される運転停止時間は、カウンタレジスタに保持される。
【0061】
制御ボード21は、計時部213による計時中、所定の送信タイミングになるまで待機する(S804)。制御ボード21は、所定の送信タイミングになったと判断した場合(S804のYes)、カウンタレジスタから運転停止時間を読み出して、これを操作端末装置3に送信するように制御する(S805)。
【0062】
続いて、制御ボード21は、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35とが接続状態にあるか否かを判断する(S806)。制御ボード21は、それらが接続状態にあると判断した場合(S806のYes)、次の送信タイミングに運転停止時間を送信するために、S803の処理に戻り、運転停止時間の計時を継続する。
【0063】
これに対して、制御ボード21は、それらが接続状態にないと判断した場合(S806のNo)、第1の通信モジュール24がスキャニングするように制御を行う(S806)。これにより、第1の通信モジュール24は、ボンディング情報に従って、第2の通信モジュール35との再接続を試みる。なお、室内機2の長期間の運転停止(例えば168h=7日以上の運転停止)により、操作端末装置3が接続を切断し、スリープモードに移行している間は、操作端末装置3の第2の通信モジュール35によるアドバタイジングが実行されていないため、再接続は確立しない。
【0064】
第1の通信モジュール24は、スキャニングの間、第2の通信モジュール35によるアドバタイジングパケットを受信したか否かを監視する(S808)。例えば、室内に戻ってきたユーザがスリープモードにある操作端末装置3を操作することにより、操作端末装置3は通常モードに移行し、アドバタイジングを開始する。第1の通信モジュール24は、第2の通信モジュール35からアドバタイジングパケットを受信すると(S808のYes)、メモリ212に第2の通信モジュール35のボンディング情報が格納されているか否かを判断する(S809)。つまり、第1の通信モジュール24は、受信したアドバタイジングパケット及びボンディング情報に基づいて、アドバタイジングパケットを送信した装置が既にペアリングを行った第2の通信モジュール35であるか否かを判断する。第1の通信モジュール24は、メモリ212に第2の通信モジュール35のボンディング情報が格納されていないと判断した場合(S809のNo)、スキャニングを継続する(S807)。
【0065】
これに対して、第1の通信モジュール24は、メモリ212に第2の通信モジュール35のボンディング情報が格納されていると判断した場合(S809のYes)、アドバタイジングパケットを送信した装置が既にペアリングを行った第2の通信モジュール35であると判断して、ボンディング情報に従ってコネクション要求を送信し、操作端末装置3との通信接続を再確立する(S810)。これにより、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35とは接続状態となり、同期通信が可能になる。
【0066】
図9A及び9Bは、本発明の一実施形態に係る空気調和システム1における操作端末装置の動作を説明するためのフローチャートである。具体的には、同図は、図5に示した操作端末装置3による室内機2への運転停止指示後の操作端末装置3の動作を説明するためのフローチャートである。
【0067】
上述したように、室内機2は、運転停止コマンドを受信すると、運転を停止して運転停止時間の計時を開始し、所定の送信タイミングで計時している運転停止時間を操作端末装置3に送信する。同図Aに示すように、操作端末装置3の制御部31は、運転停止時間を室内機2から受信したか否かを監視する(S901)。
【0068】
制御部31は、運転停止時間を室内機2から受信すると(S901のYes)、受信した運転停止時間が所定のしきい値を上回っているか否かを判断する(S902)。制御部31は、受信した運転停止時間が所定のしきい値を上回っていないと判断した場合(S902のNo)、運転停止時間を室内機2から受信したか否かを監視する動作に戻る(S901)。
【0069】
これに対して、制御部31が受信した運転停止時間が所定のしきい値を上回っていると判断した場合(S902のYes)、第2の通信モジュール35は、コネクションイベントの送信を停止させて、これにより、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35との間の通信を切断する(S903)。続いて、制御部31は、通信が切断された後、所定の時間が経過した時点で、操作端末装置3をスリープモードに移行させる(S904)。これにより、例えば、通信切断直後であってもユーザが操作端末装置3を操作した場合などは、直ちに通信の再接続処理が行われるので、ユーザに対し操作端末装置3の反応が鈍いなどの動作に対するストレスを与えることを回避できる。スリープモードでは、例えば、制御部31の一部、及びセンサ34といった必要最小限のコンポーネントのみが動作する。これにより、BLE規格の下で消費電力を更に抑制することができる。
【0070】
スリープモードへ移行後、制御部31は、センサ34によりユーザの操作を検出するまで待機する(S905)。例えば、室内に戻ってきたユーザが操作端末装置3のセンサ34の前方で手をかざすことで、センサ34はアクティブ信号を出力し、これを受けて、制御部31は、ユーザの操作があったことを認識する。制御部31は、ユーザの操作を検出したと判断すると(S905のYes)、制御部31は、操作端末装置3を通常モードに移行させて(図9BのS906)、これにより、第2の通信モジュール35の動作を再開させ、アドバタイジングを開始する(S907)。
【0071】
続いて、第2の通信モジュール35は、タイムアウトで示される時間内に、第1の通信モジュール24からコネクション要求があったか否かを監視する(S908及びS909)。第2の通信モジュール35は、タイムアウトで示される期間に、第1の通信モジュール24からコネクション要求を受信できなかったと判断した場合(S909のYes)、上述したように、制御部31は、操作端末装置3をスリープモードに移行させて(S904)、再び、ユーザの操作があるまで待機する(S905)。
【0072】
一方、第2の通信モジュール35は、タイムアウトで示される期間内に、第1の通信モジュール24からコネクション要求を受信したと判断した場合(S908のYes)、第2の通信モジュール35は、記憶部32にボンディング情報が格納されているか否かを判断する(S907)。第2の通信モジュール35は、記憶部32にボンディング情報が格納されていないと判断した場合(S910のNo)、アドバタイジングチャネルを切り替えて、アドバタイジングを継続する(S907)。
【0073】
第2の通信モジュール35は、記憶部32にボンディング情報が格納されていると判断した場合(S910のYes)、該ボンディング情報に基づいて、コネクション要求に応答し(S911)、これにより、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35とは接続状態となり、同期通信が可能になる。
【0074】
以上のように、本実施形態によれば、操作端末装置3が、運転を停止している室内機2から運転停止時間を所定のタイミングで取得し、取得された運転停止時間が所定のしきい値を上回っている場合に、室内機2と操作端末装置3との間の接続(無線通信)を切断し、これにより、操作端末装置3は、制御部31の一部、及びセンサ34といった必要最小限のコンポーネントのみを動作状態にして、他のコンポーネントを停止状態にするので、操作端末装置3全体の消費電力を更に抑制することができる。つまり、室内機2の運転が長期間停止している場合、操作端末装置3をスリープモードにすることで、コネクションイベントによる同期通信に伴う消費電力を抑制することができ、第2の通信モジュール35のバッテリの消費を抑制することができる。とりわけ、例えば季節的な要因等によって室内機2の運転頻度が下がり、長期間に亘り運転を停止することから、これに合わせて操作端末装置3をスリープモードにすることで、バッテリの消費を効率的に抑制することができるようになる。
【0075】
[第2の実施形態]
本実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、本体装置と操作端末装置との間の無線通信システムにおいて、操作端末装置からの指示による本体装置の運転停止後、操作端末装置が本体装置の運転停止時間を計時し、運転停止時間が所定のしきい値を上回っている場合に、本体装置と操作端末装置との間の接続(無線通信)を切断し、これにより、操作端末装置は、必要最小限のコンポーネントのみを動作状態にして、通信モジュール等の他のコンポーネントを停止状態にする態様である。
【0076】
図10は、本発明の一実施形態に係る空気調和システム1の概略動作の一例を説明するためのシーケンスチャートである。以下では、上記実施形態と同様の内容については、適宜説明を省略する。
【0077】
図5のS501~S503の説明で上述したように、所定の初期化処理及びペアリング処理を行って、同期通信を確立する(S1001~S1003)。
【0078】
この状態で、室内機2は、制御ボード21の制御の下、操作端末装置3からの種々の操作を受け付ける。ユーザは、操作端末装置3のユーザインターフェース部33を操作して、室内機2に運転停止(例えば暖房運転OFF)を指示すると、操作端末装置3は、制御部31の制御の下、第1の通信モジュール24から室内機2の第2の通信モジュール35に運転停止コマンドを送信する(S1004B)。これを受けて、室内機2は、制御ボード21の制御の下、運転を停止する(S1004A)。このとき、操作端末装置3の制御部31は、図示しない計時部により運転停止時間の計時を開始する。
【0079】
室内機2が運転停止の間、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35とは、例えばスレーブレイテンシーの値を通常モードのときよりも長めに設定するように制御する。つまり、本実施形態では、操作端末装置3自身が運転停止時間を計時するため、運転停止時間の送受信を行う必要がなく、同期通信の時間間隔を長くして、操作端末装置3の消費電力を抑制することが可能になる。
【0080】
制御部31は、計時している運転停止時間と所定のしきい値とを比較して、運転停止時間が所定のしきい値を上回っているか否かを判断する。制御部31は、運転停止時間が所定のしきい値を上回っていると判断した場合、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35との間の接続を切断するように制御を行う(S1005B)。すなわち、操作端末装置3の第2の通信モジュール35は、コネクションインターバルでのコネクションイベントによるデータパケットの送信を停止する
【0081】
第1の通信モジュール24は、コネクションイベントによるデータパケットを受信できないため、接続が切断したと判断する(S1005A)。第1の通信モジュール24は、第2の通信モジュール35との接続の確立を試みるために、スキャニング処理を行う(S1006A)。
【0082】
その後、操作端末装置3は、制御部31の制御の下、接続が切断してから所定の時間が経過後、スリープモードに移行する(S1006B)。これにより、操作端末装置3全体の消費電力を抑制することができる。とりわけ、本開示では、第2の通信モジュール35への電力の供給は停止され、BLE規格の下で無線通信に伴う消費電力を完全又はほぼ完全に抑制することができる。
【0083】
スリープモードへ移行した後、上述したように、ユーザが例えば操作端末装置3のセンサ34上で例えば手をかざすことで、操作端末装置3は、通常モードに移行し、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35との接続が確立する(S1007B~S1009)。
【0084】
以上のように、本実施形態によれば、上記実施形態と同様の利点を奏する。とりわけ、本実施形態では、操作端末装置3が、室内機2に運転停止指示をした後、自身で運転停止時間を計時するので、運転停止時間を取得するための同期通信を行う必要がなく、操作端末装置3の消費電力を抑制することが可能になる。
【0085】
上記各実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
【0086】
例えば、本明細書に開示される方法においては、その結果に矛盾が生じない限り、ステップ、動作又は機能を並行して又は異なる順に実施しても良い。説明されたステップ、動作及び機能は、単なる例として提供されており、ステップ、動作及び機能のうちのいくつかは、発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略でき、また、互いに結合させることで一つのものとしてもよく、また、他のステップ、動作又は機能を追加してもよい。
【0087】
また、本明細書では、さまざまな実施形態が開示されているが、一の実施形態における特定のフィーチャ(技術的事項)を、適宜改良しながら、他の実施形態に追加し、又は該他の実施形態における特定のフィーチャと置換することができ、そのような形態も本発明の要旨に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
1…空気調和システム
10…無線通信システム
2…室内機
21…制御ボード
211…プロセッサ
212…メモリ
213…計時部
214…外部インターフェース
22…空気調和機構
23…センサ
23a…温度センサ
23b…湿度センサ
23c…人感センサ
24…第1の通信モジュール
3…操作端末装置
31…制御部
32…記憶部
33…ユーザインターフェース部
34…センサ
35…第2の通信モジュール
301…筐体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10