(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010426
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】回収装置
(51)【国際特許分類】
B01D 53/047 20060101AFI20240117BHJP
B01D 53/04 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
B01D53/047
B01D53/04 230
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111755
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】小沢 英隆
【テーマコード(参考)】
4D012
【Fターム(参考)】
4D012CA03
4D012CB12
4D012CD02
4D012CD07
4D012CK08
(57)【要約】
【課題】蓋部材を簡単な構成で移動させることができ、さらに、開口部において圧損を低減できる回収装置を提供する。
【解決手段】回収装置10は、筐体12と、排気部17と、送風機19と、第2蓋部材18と、を備えている。筐体は、二酸化炭素を吸着する固体吸着剤35が内部に配置されている。排気部は、筐体の内部へ空気を通流する。送風機は、排気部の排気口55から一方向へ回転して排気口と分離可能に第4ヒンジ軸58によって取り付けられている。第2蓋部材は、排気部の排気口から他方向へ回転して排気口と分離可能に第3ヒンジ軸57によって取り付けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気中から特定分子を回収する回収装置であって、
前記特定分子を吸着する固体吸着剤を内部に配置した筐体と、
前記筐体の内部へ空気を通流する少なくとも一対の開口部と、
前記開口部のうち少なくとも一方に設けられた送風機と、を備え、
前記送風機は前記開口部から一方向へ回転して前記開口部と分離可能にヒンジによって取り付けられ、
前記開口部には前記開口部から前記一方向に対して他方向へ回転して前記開口部と分離可能にヒンジによって取り付けられた蓋部材を備えたことを特徴とする回収装置。
【請求項2】
前記開口部は、前記筐体の内部へ前記空気を吸気する吸気口と、前記筐体の内部から前記空気を排気する排気口と、であり、
前記送風機は、前記排気口側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の回収装置。
【請求項3】
前記吸気口側には整流器と他の蓋部材とが設けられ、
前記整流器は、前記吸気口から一方向へ回転して前記吸気口と分離可能にヒンジによって取り付けられ、
前記他の蓋部材は、前記吸気口から前記一方向に対して他方向へ回転して前記吸気口と分離可能にヒンジによって取り付けられたことを特徴とする請求項2に記載の回収装置。
【請求項4】
前記開口部は前記筐体の側面に設けられ、
前記送風機及び前記蓋部材が前記開口部の側方へ回転するようにそれぞれの前記ヒンジが軸線を鉛直方向へ向けて取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の回収装置。
【請求項5】
前記回収装置はモータを備え、
前記ヒンジは前記モータによって回転を制御されることを特徴とする請求項1に記載の回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
温暖化等の気候関連災害の観点から二酸化炭素(CO2)削減のために、空気中に含まれる二酸化炭素を回収装置(DAC(direct air capture)装置)により回収する方法が知られている。回収装置のなかには吸気口及び排気口に蓋部材を備えたものがある。例えば、吸気口の蓋部材は、吸気口の内部に設けられて、多関節アームを作動させて閉位置と開位置とに移動される。また、排気口の蓋部材も、排気口の内部に設けられて、吸気口の蓋部材と同様に多関節アームにより移動される(例えば、特許文献1参照)。
この回収装置によれば、二酸化炭素の脱離工程において蓋部材を閉位置に配置して、吸気口や排気口を塞ぐことができる。よって、回収装置の閉鎖空間の容量を小さく抑えて閉鎖空間を減圧させて、二酸化炭素の脱離効果を高めることが可能である。以下、吸気口、排気口を開口部ということがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の回収装置は、蓋部材を閉位置と開位置とに移動させるために、多関節アームを開口部の内部に備える必要があり構成が複雑になる。また、蓋部材と多関節アームとが開口部の内部に設けられることにより、蓋部材と多関節アームとにより開口部において圧損(圧力損失)が生じる。
【0005】
本発明は、蓋部材を簡単な構成で移動させることができ、さらに、開口部において圧損を低減できる回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明に係る回収装置は、大気中から特定分子を回収する回収装置(例えば、実施形態の回収装置10)であって、前記特定分子を吸着する固体吸着剤(例えば、実施形態の固体吸着剤35)を内部に配置した筐体(例えば、実施形態の筐体12)と、前記筐体の内部へ空気を通流する少なくとも一対の開口部(例えば、実施形態の吸気口41、排気口55)と、前記開口部のうち少なくとも一方(例えば、実施形態の排気口55)に設けられた送風機(例えば、実施形態の送風機19)と、を備え、前記送風機は前記開口部から一方向へ回転して前記開口部と分離可能にヒンジ(例えば、実施形態の第4ヒンジ軸58)によって取り付けられ、前記開口部には前記開口部から前記一方向に対して他方向へ回転して前記開口部と分離可能にヒンジ(例えば、実施形態の第3ヒンジ軸57)によって取り付けられた蓋部材(例えば、実施形態の第2蓋部材18)を備えた。
【0007】
この構成によれば、蓋部材を開口部にヒンジによって取り付けて開口部から分離可能とした。これにより、蓋部材を開口部から分離させて開口部を開放する開位置と、蓋部材を開口部に戻して開口部を閉塞する閉位置との間において、蓋部材を簡単な構成で移動させることができる。
【0008】
また、蓋部材を開口部から分離可能とした。よって、蓋部材を開口部から分離させて開口部を開放した状態において、蓋部材を開口部の外側に配置できる。すなわち、回収装置において蓋部材を流路の外側に配置できる。これにより、大気中から特定分子を回収(具体的には、吸着)する際に、開口部において生じる圧損を低減できる。したがって、大気中に含まれる二酸化炭素を回収装置により効率よく回収して削減できる。
【0009】
加えて、蓋部材を開口部にヒンジによって取り付け、蓋部材を他方向(すなわち、送風機の反対側)に回転させて開口部から分離可能とした。よって、蓋部材を開口部から分離させた状態において、蓋部材が配置されていた箇所に送風機を移動できる。すなわち、送風機と蓋部材とを開口部において入れ替えができる。
これにより、回収装置において、固体吸着剤が内部に配置された筐体から送風機までの距離を短くできる。したがって、大気中から特定分子を回収(例えば、吸着)する際に、開口部において生じる圧損を一層好適に低減できる。
【0010】
(2)上記態様において、前記開口部は、前記筐体の内部へ前記空気を吸気する吸気口(例えば、実施形態の吸気口41)と、前記筐体の内部から前記空気を排気する排気口(例えば、実施形態の排気口55)と、であり、前記送風機は、前記排気口側に設けられていてもよい。
【0011】
この構成によれば、送風機を排気口側に設けることにより、大気中から特定分子を回収(具体的には、吸着)する際に、筐体の内部を送風機により負圧にできる。よって、筐体に発生した負圧により、筐体と送風機との密着性を良好に確保できる。これにより、送風機を取り付けるヒンジに対する負荷を低減でき、さらに、筐体と送風機との隙間から漏出する空気量を低減できる。加えて、送風機を排気口側に固定する固定装置を簡素化できる。
【0012】
(3)上記態様において、前記吸気口側には整流器(例えば、実施形態の整流器16)と他の蓋部材(例えば、実施形態の第1蓋部材15)とが設けられ、前記整流器は、前記吸気口から一方向へ回転して前記吸気口と分離可能にヒンジ(例えば、実施形態の第2ヒンジ軸44)によって取り付けられ、前記他の蓋部材は、前記吸気口から前記一方向に対して他方向へ回転して前記吸気口と分離可能にヒンジ(例えば、実施形態の第1ヒンジ軸43)によって取り付けられてもよい。
【0013】
この構成によれば、他の蓋部材を吸気口にヒンジによって取り付けて吸気口から分離可能とした。これにより、他の蓋部材を吸気口から分離させて吸気口を開放する開位置と、他の蓋部材を吸気口に戻して吸気口を閉塞する閉位置との間において、他の蓋部材を簡単な構成で移動させることができる。
【0014】
また、他の蓋部材を吸気口から分離可能とした。よって、他の蓋部材を吸気口から分離させて開口部を開放した状態において、他の蓋部材を吸気口の外側に配置できる。すなわち、回収装置において他の蓋部材を流路の外側に配置できる。これにより、大気中から特定分子を回収(具体的には、吸着)する際に、排気口において生じる圧損を低減できる。
【0015】
加えて、他の蓋部材を吸気口にヒンジによって取り付け、他の蓋部材を他方向(すなわち、整流器の反対側)に回転させて吸気口から分離可能とした。よって、他の蓋部材を吸気口から分離させた状態において、他の蓋部材が配置されていた箇所に整流器を移動できる。すなわち、整流器と他の蓋部材とを吸気口において入れ替えることができる。
これにより、回収装置において、固体吸着剤が内部に配置された筐体から整流器までの距離を短くできる。したがって、大気中から特定分子を回収(例えば、吸着)する際に、整流器において生じる圧損を一層好適に低減できる。
【0016】
(4)上記態様において、前記開口部は前記筐体の側面に設けられ、前記送風機及び前記蓋部材が前記開口部の側方へ回転するようにそれぞれの前記ヒンジが軸線を鉛直方向へ向けて取り付けられていてもよい。
【0017】
この構成によれば、ヒンジの軸線を鉛直方向へ向けてヒンジを配置し、ヒンジに送風機及び蓋部材を取り付けた。よって、送風機及び蓋部材を、ヒンジを軸にして側方へ水平に回転できる。これにより、例えば、送風機及び蓋部材を上下方向へ回転する場合に比べて、送風機及び蓋部材を側方にヒンジを軸にして回転する際の重力負荷を軽減できる。したがって、送風機及び蓋部材を小さい動力で側方に回転できる。
【0018】
(5)上記態様において、前記回収装置はモータ(例えば、実施形態の第1電気モータ81、第2電気モータ83、第3電気モータ85、第4電気モータ87)を備え、前記ヒンジは前記モータによって回転を制御されてもよい。
【0019】
この構成によれば、ヒンジの回転をモータによって制御するようにした。よって、例えば、蓋部材や送風機を筐体に接触させる際に、モータのトルク(負荷)等を好適に管理できる。これにより、蓋部材や送風機を移動する際に好適な動作を確保できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、蓋部材を簡単な構成で移動させることができ、さらに、開口部において圧損を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る実施形態の回収装置を二酸化炭素の吸着状態に設定した概念図である。
【
図2】実施形態の回収装置を二酸化炭素の脱離状態に設定した概念図である。
【
図3】
図2の回収装置をIII矢視方向からみた側面図である。
【
図4】実施形態の回収装置により二酸化炭素を固体吸着剤に吸着する例を説明する概念図である。
【
図5】実施形態の回収装置を二酸化炭素の脱離状態に作動開始する例を説明する概念図である。
【
図6】実施形態の回収装置を二酸化炭素の脱離状態に継続して作動する例を説明する概念図である。
【
図7】実施形態の回収装置により二酸化炭素を固体吸着剤から回収する例を説明する概念図である。
【
図8】実施形態の回収装置を二酸化炭素の吸着状態に作動開始する例を説明する概念図である。
【
図9】実施形態の回収装置により二酸化炭素を固体吸着剤に吸着する例を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<回収装置>
図1は、実施形態の回収装置を二酸化炭素の吸着状態に設定した概念図である。
図2は、実施形態の回収装置を二酸化炭素の脱離状態に設定した概念図である。
図3は、
図2の回収装置をIII矢視方向からみた側面図である。
図1から
図3に示すように、回収装置10は、空気中に含まれる二酸化炭素(特定分子)を固体吸着剤で吸着して、吸着した二酸化炭素を固体吸着剤から脱離させることにより、空気中に含まれる二酸化炭素を回収する。具体的には、回収装置10は、筐体12と、吸脱着モジュール13と、吸気部14と、第1蓋部材(他の蓋部材)15と、整流器16と、排気部17と、第2蓋部材(蓋部材)18と、送風機19と、駆動ユニット20と、負圧ポンプ21と、高温負圧蒸気供給部22と、を備える。
【0023】
なお、筐体12、吸気部14、及び排気部17は、同軸上に設けられている。以下、筐体12、吸気部14、及び排気部17の軸線30を「筐体12の軸線30」ということがある。また、筐体12の軸線30を中心とする径方向を単に「径方向」と略記することがある。さらに、以下の説明において、回収装置10の吸気部14側を「上流側」、回収装置10の排気部17側を「下流側」という。
【0024】
<筐体、吸脱着モジュール>
筐体12は、例えば、中空の筒状に形成されている。筐体12の内部には吸脱着モジュール13が取り付けられている。吸脱着モジュール13は、例えば、固体吸着剤35と、熱交換器36と、を備える。固体吸着剤35は、筐体12の内部に配置され、例えば大気中の空気に含まれている二酸化炭素(特定分子)を吸着する。
熱交換器36は、筐体12に設けられ、固体吸着剤35側に熱交換用の流体(熱交換媒質)を導入することにより、固体吸着剤35を熱交換により加熱する。固体吸着剤35を熱交換で加熱することにより、空気に含まれている二酸化炭素を固体吸着剤35に好適に吸着できる。
【0025】
<吸気部>
吸気部14は、筐体12の上流側の側面において筐体12と同軸上に設けられている。吸気部14は、例えば中空の筒状に形成されることにより吸気口41(開口部)を有する。吸気口41は、筐体12の内部に上流側において連通され、筐体12の内部へ空気を吸気(通流)する。また、吸気部14は、例えば、第1シール材(Oリング)42と、第1ヒンジ軸(ヒンジ)43と、第2ヒンジ軸(ヒンジ)44と、を備える。
第1シール材42は、吸気部14の接触面14aに設けられている。第1シール材42は、吸気口41の径方向外側に位置し、吸気口41に沿って環状に形成されている。
【0026】
第1ヒンジ軸43は、吸気部14において吸気口41の径方向外側に位置し、筐体12の軸線30に対して交差し、かつ第1ヒンジ軸43の軸線(図示せず)が鉛直方向に向けて取り付けられている。第1ヒンジ軸43は、例えば、後述する第1減速機82の出力軸(図示せず)に同軸上に固定されている。第1ヒンジ軸43には、後述する第1蓋部材15が設けられている。すなわち、第1蓋部材15は、吸気部14に第1ヒンジ軸43を介して設けられ、吸気口41の上流側(吸気口41の側)に配置されている。
【0027】
第2ヒンジ軸44は、吸気部14において、第1ヒンジ軸43に対して周方向に180°間隔をあけて第1ヒンジ軸43の反対側に設けられている。第2ヒンジ軸44は、第1ヒンジ軸43と同様に、吸気口41の径方向外側に位置し、筐体12の軸線30に対して交差し、かつ第2ヒンジ軸44の軸線(図示せず)が鉛直方向に向けて取り付けられている。第2ヒンジ軸44は、例えば、後述する第2減速機84の出力軸(図示せず)に同軸上に固定されている。第2ヒンジ軸44には、後述する整流器16が支持されている。すなわち、整流器16は、吸気部14に第2ヒンジ軸44を介して設けられ、吸気口41の上流側(吸気口41の側)に配置されている。
【0028】
<第1蓋部材>
第1蓋部材15は、蓋本体47と、基部48と、を有する。蓋本体47は、吸気部14の吸気口41を接触面14aの側から覆うように概ね円盤状に形成されている。さらに、蓋本体47は、径方向において第1シール材42より大径に形成されている。蓋本体47の径方向外側には基部48が設けられている。
基部48は、第1ヒンジ軸43に対して周方向に回転不能に固定されている。すなわち、第1蓋部材15は、後述する第1電気モータ81で第1ヒンジ軸43を回転することにより、第1ヒンジ軸43によって開位置P1と閉位置P2との間において回転可能には取り付けられている。
【0029】
ここで、第1ヒンジ軸43は、軸線が鉛直方向に向けて取り付けられている。よって、第1蓋部材15は、第1ヒンジ軸43を軸にして吸気口41の側方へ水平に回転可能である。また、開位置P1には第1蓋部材15を開位置P1に位置決めするためのストッパ部材(図示せず)が設けられている。閉位置P2には、第1蓋部材15を閉位置P2に位置決めする接触面14aが配置されている。
【0030】
第1蓋部材15は、吸気口41から分離可能な開位置P1に配置された状態において、吸気口41を開放した状態に配置される。また、第1蓋部材15は、吸気部14の接触面14aに接触する閉位置P2に配置された状態において、第1シール材42に接触して吸気口41を閉塞した状態に配置される。
【0031】
<整流器>
整流器16は、枠体51と、基部52と、不図示の整流部と、を備える。枠体51は、吸気部14の接触面14aを覆うように概ね環状に形成されている。さらに、枠体51は、外周が径方向において第1シール材42より大径に形成され、内周が吸気口41と同径に形成されている。
また、枠体51の径方向外側には基部52が設けられている。基部52は、第2ヒンジ軸44に対して周方向に回転不能に固定されている。すなわち、整流器16は、後述する第2電気モータ83で第2ヒンジ軸44を回転することにより、第2ヒンジ軸44によって分離位置P3と整流位置P4との間において回転可能に取り付けられている。
【0032】
ここで、第2ヒンジ軸44は、軸線が鉛直方向に向けて取り付けられている。よって、整流器16は、第2ヒンジ軸44を軸にして吸気口41の側方へ水平に回転可能である。
また、分離位置P3には整流器16を分離位置P3に位置決めするためのストッパ部材(図示せず)が設けられている。整流位置P4には、整流器16を整流位置P4に位置決めする接触面14aが配置されている。
【0033】
整流器16は、吸気口41から分離可能な分離位置P3に配置された状態において、吸気口41を開放した状態に配置される。また、整流器16は、枠体51が吸気部14の接触面14aに接触する整流位置P4に配置された状態において、第1シール材42に接触して清流部が吸気口41の上流側に配置される。
【0034】
枠体51の内部には、不図示の清流部が設けられている。清流部は、枠体51が吸気部14の接触面14aに接触する整流位置P4に配置された状態において、大気中から吸気された空気を吸気口41(すなわち、固体吸着剤35)の全域に安定させた流速分布で導く機能を備える。
【0035】
<排気部>
排気部17は、筐体12の下流側の側面において筐体12と同軸上に設けられている。排気部17は、例えば中空の筒状に形成されることにより排気口55(少なくとも一対の開口部の一方)を有する。排気口55は、筐体12の内部に下流側において連通されて筐体12の内部から空気を排気することにより、吸気口41から筐体12の内部へ空気を通流する開口部である。排気部17は、例えば、第2シール材(Oリング)56と、第3ヒンジ軸(ヒンジ)57と、第4ヒンジ軸(ヒンジ)58と、を備える。
第2シール材56は、排気部17の接触面17aに設けられている。第2シール材56は、排気口55の径方向外側に位置し、排気口55に沿って環状に形成されている。
【0036】
第3ヒンジ軸57は、排気部17において排気口55の径方向外側に位置し、筐体12の軸線30に対して交差し、かつ第3ヒンジ軸57の軸線(図示せず)が鉛直方向に向けて取り付けられている。第3ヒンジ軸57は、例えば、後述する第3減速機86の出力軸(図示せず)に同軸上に固定されている。第3ヒンジ軸57には、後述する第2蓋部材18が設けられている。すなわち、第2蓋部材18は、排気部17に第3ヒンジ軸57を介して設けられ、排気口55の下流側(排気口55の側)に配置されている。
【0037】
第4ヒンジ軸58は、排気部17において、第3ヒンジ軸57に対して周方向に180°間隔をあけて第3ヒンジ軸57の反対側に設けられている。第4ヒンジ軸58は、第3ヒンジ軸57と同様に、排気口55の径方向外側に位置し、筐体12の軸線30に対して交差し、かつ第4ヒンジ軸58の軸線(図示せず)が鉛直方向に向けて取り付けられている。第4ヒンジ軸58は、例えば、後述する第4減速機88の出力軸(図示せず)に同軸上に固定されている。第4ヒンジ軸58には、後述する送風機19が支持されている。すなわち、送風機19は、排気部17に第4ヒンジ軸58を介して設けられ、排気口55の下流側(排気口55の側)に配置されている。
【0038】
<第2蓋部材>
第2蓋部材18は、概ね第1蓋部材15と同様に形成され、蓋本体61と、基部62と、を有する。蓋本体61は、排気部17の排気口55を接触面17aの側から覆うように概ね円盤状に形成されている。さらに、蓋本体61は、径方向において第2シール材56より大径に形成されている。
蓋本体61の径方向外側には基部62が設けられている。基部62は、第3ヒンジ軸57に対して周方向に回転不能に固定されている。すなわち、第2蓋部材18は、後述する第3電気モータ85で第3ヒンジ軸57を回転することにより、第3ヒンジ軸57によって開位置P5と閉位置P6との間において回転可能には取り付けられている。
【0039】
第2蓋部材18は、排気口55から分離可能な開位置P5に配置された状態において、排気口55を開放した状態に配置される。また、第2蓋部材18は、排気部17の接触面17aに接触する閉位置P6に配置された状態において、第2シール材56に接触して排気口55を閉塞した状態に配置される。
【0040】
ここで、第3ヒンジ軸57は、軸線が鉛直方向に向けて取り付けられている。よって、第2蓋部材18は、第3ヒンジ軸57を軸にして吸気口41の側方へ水平に回転可能である。
また、開位置P5には第2蓋部材18を開位置P5に位置決めするためのストッパ部材(図示せず)が設けられている。閉位置P6には、第2蓋部材18を閉位置P6に位置決めする接触面17aが配置されている。
【0041】
<送風機>
送風機19は、枠体65と、基部66と、導入ファン67と、を備える。枠体65は、排気部17の接触面17aを覆うように概ね環状に形成されている。さらに、枠体65は、外周が径方向において第2シール材56より大径に形成され、内周が排気口55と同径に形成されている。
また、枠体65の径方向外側には基部66が設けられている。基部66は、第4ヒンジ軸58に対して周方向に回転不能に固定されている。すなわち、送風機19は、後述する第4電気モータ87で第4ヒンジ軸58を回転することにより、第4ヒンジ軸58によって分離位置P7と導入位置P8との間において回転可能に取り付けられている。
【0042】
ここで、第4ヒンジ軸58は、軸線が鉛直方向に向けて取り付けられている。よって、送風機19は、第4ヒンジ軸58を軸にして排気口55の側方へ水平に回転可能である。
また、分離位置P7には送風機19を分離位置P7に位置決めするためのストッパ部材(図示せず)が設けられている。導入位置P8には、送風機19を導入位置P8に位置決めする接触面17aが配置されている。
【0043】
送風機19は、排気口55から分離可能な分離位置P7に配置された状態において、排気口55を開放した状態に配置される。また、送風機19は、枠体65が排気部17の接触面17aに接触する導入位置P8に配置された状態において、第2シール材56に接触して導入ファン67が排気口55の下流側に配置される。
【0044】
枠体65の内部には、導入ファン67が設けられている。導入ファン67は、枠体65が排気部17の接触面17aに接触する導入位置P8に配置された状態において駆動する。これにより、筐体12の内部の空気を排気口55から排気して、筐体12の内部(すなわち、固体吸着剤35)に吸気口41から空気を通流(導入)させる。
【0045】
<駆動ユニット>
駆動ユニット20は、第1蓋部材15、整流器16、第2蓋部材18、及び送風機19を個別に作動可能で、かつ、第1蓋部材15、整流器16、第2蓋部材18、及び送風機19を互いに連動させて作動可能なユニットである。駆動ユニット20は、第1駆動ユニット71と、第2駆動ユニット72と、第3駆動ユニット73と、第4駆動ユニット74と、を備える。
【0046】
第1駆動ユニット71は、吸気部14において第1ヒンジ軸43の近傍に設けられている。第1駆動ユニット71は、例えば、第1電気モータ(モータ)81と、第1減速機82と、を備えている。第1減速機82は、例えば、不図示の出力軸が第1ヒンジ軸43に同軸上に固定されている。第1駆動ユニット71は、第1電気モータ81を駆動することにより第1減速機82を介して第1ヒンジ軸43を回転する。すなわち、第1ヒンジ軸43は、第1電気モータ81によって回転が制御される。これにより、第1蓋部材15は開位置P1と閉位置P2とに確実に開閉される。
【0047】
また、第1駆動ユニット71は、不図示の回転角度センサによって第1蓋部材15の開閉角度を高精度に制御する。加えて、第1駆動ユニット71は、第1蓋部材15が開位置P1でストッパ部材に当接し、閉位置P2で吸気部14の接触面14aに当接する。この状態において、電流値の急激な増大を検出して閉位置P1、開位置P2をセンサレスで検出可能とする。
このように、第1駆動ユニット71の制御に二重系を構成することにより第1蓋部材15の安定動作を確保できる。
【0048】
第2駆動ユニット72は、吸気部14において第2ヒンジ軸44の近傍に設けられている。第2駆動ユニット72は、例えば、第2電気モータ(モータ)83と、第2減速機84と、を備えている。第2駆動ユニット72は、第1駆動ユニット71と同様に構成されているので詳しい説明を省略する。
【0049】
第3駆動ユニット73は、排気部17において第3ヒンジ軸57の近傍に設けられている。第3駆動ユニット73は、例えば、第3電気モータ(モータ)85と、第3減速機86と、を備えている。第3駆動ユニット73は、第1駆動ユニット71と同様に構成されているので詳しい説明を省略する。
【0050】
第4駆動ユニット74は、排気部17において第4ヒンジ軸58の近傍に設けられている。第4駆動ユニット74は、例えば、第4電気モータ(モータ)87と、第4減速機88と、を備えている。第4駆動ユニット74は、第1駆動ユニット71と同様に構成されているので詳しい説明を省略する。
【0051】
<負圧ポンプ>
負圧ポンプ21は、筐体12の内部にポンプ吸気管91を経て連通されている。負圧ポンプ21は、筐体12の内部が第1蓋部材15及び第2蓋部材18で密閉された状態において駆動することにより、筐体12の内部を負圧に維持できる。筐体12の内部を負圧に維持することにより、固体吸着剤35に吸着されている二酸化炭素を固体吸着剤35から脱離させることができる。脱離した二酸化炭素は、筐体12の内部から負圧ポンプ21に導かれ、負圧ポンプ21を経て回収される。
【0052】
ここで、筐体12には第1開閉バルブ93が取り付けられている。第1開閉バルブ93を閉じることにより筐体12の内部空間を大気から遮断する。よって、筐体12の内部空間を負圧ポンプ21で負圧に維持できる。また、第1開閉バルブ93を開くことにより筐体12の内部空間を大気に開放する。よって、筐体12の内部空間を負圧から解放できる。すなわち、第1開閉バルブ93は、筐体12の内部空間の負圧を開放する負圧開閉バルブである。
【0053】
<高温負圧蒸気供給部>
高温負圧蒸気供給部22は、筐体12の内部に蒸気供給管95を経て連通されている。蒸気供給管95の途中には第2開閉バルブ96が取り付けられている。高温負圧蒸気供給部22は、第2開閉バルブ96が閉じられることにより筐体12の内部に対して非連通状態になり、第2開閉バルブ96が開けられることにより筐体12の内部に対して連通状態になる。
高温負圧蒸気供給部22は、筐体12の内部が第1蓋部材15及び第2蓋部材18で密閉された状態において第2開閉バルブ96を開くことにより、過熱蒸気を筐体12の内部に蒸気供給管95を経て通流させることができる。
【0054】
よって、過熱蒸気を筐体12の内部に蒸気供給管95を経て通流させて、二酸化炭素の分圧を低下させることできる。これにより、負圧ポンプ21による筐体12の内部における負圧レベルを緩和させた状態において、固体吸着剤35に吸着されている二酸化炭素を固体吸着剤35から好適に脱離させることができる。すなわち、高温負圧蒸気供給部22から筐体12の内部に過熱蒸気を導入することにより、負圧ポンプ21により固体吸着剤35から二酸化炭素を容易に脱離できる。
【0055】
つぎに、回収装置10により空気中から二酸化炭素を回収する例を
図4から
図9に基づいて説明する。なお、
図4から
図9において、第1蓋部材15、整流器16、第2蓋部材18、及び送風機19を制御する第1駆動ユニット71、第2駆動ユニット72、第3駆動ユニット73、及び第4駆動ユニット74の説明は省略する。
図4は、実施形態の回収装置により二酸化炭素を固体吸着剤に吸着する例を説明する概念図である。
図4に示すように、整流器16が整流位置P4に配置され、第1蓋部材15が開位置P1に配置されている。また、送風機19が導入位置P8に配置され、第2蓋部材18が開位置P5に配置されている。さらに、固体吸着剤35は、熱交換器36により加熱されている。なお、第1開閉バルブ93及び第2開閉バルブ96は閉じられている。
【0056】
この状態において、送風機19の導入ファン67を駆動する。よって、筐体12の内部の空気が排気口55から矢印Aの如く排気されて、筐体12の内部に吸気口41から空気が矢印Bの如く導入される。筐体12の内部に導入された空気が固体吸着剤35を通流することにより、固体吸着剤35に空気中の二酸化炭素が吸着する。
【0057】
ここで、送風機19は、排気口55側に配置されている。よって、導入ファン67を駆動することにより、導入ファン67と筐体12との間に負圧が発生する。これにより、送風機19を排気部17の接触面17aや第2シール材56に負圧を利用して密封した状態に自己保持できる。
【0058】
図5は、実施形態の回収装置を二酸化炭素の脱離状態に作動開始する例を説明する概念図である。
図5に示すように、固体吸着剤35に二酸化炭素を吸着した後、送風機19の導入ファン67を停止する。この状態において、整流器16を整流位置P4から第2ヒンジ軸44を軸にして側方水平へ矢印C方向(一方向)に回転を開始する。また、第1蓋部材15を開位置P1から第1ヒンジ軸43を軸にして側方水平へ矢印D方向に回転を開始する。
さらに、送風機19を導入位置P8から第4ヒンジ軸58を軸にして側方水平へ矢印E方向(一方向)に回転を開始する。加えて、第2蓋部材18を開位置P5から第3ヒンジ軸57を軸にして側方水平へ矢印F方向に回転を開始する。
【0059】
図6は、実施形態の回収装置を二酸化炭素の脱離状態に継続して作動する例を説明する概念図である。
図6に示すように、整流器16を整流位置P4から第2ヒンジ軸44を軸にして側方水平へ矢印C方向に継続して回転する。また、第1蓋部材15を開位置P1から第1ヒンジ軸43を軸にして側方水平へ矢印D方向に継続して回転する。
さらに、送風機19を導入位置P8から第4ヒンジ軸58を軸にして側方水平へ矢印E方向に継続して回転する。加えて、第2蓋部材18を開位置P5から第4ヒンジ軸58を軸にして側方水平へ矢印F方向に継続して回転する。
【0060】
図7は、実施形態の回収装置により二酸化炭素を固体吸着剤から回収する例を説明する概念図である。
図7に示すように、整流器16が分離位置P3に配置され、第1蓋部材15が閉位置P2に配置されている。また、送風機19が分離位置P7に配置され、第2蓋部材18が閉位置P6に配置されている。よって、筐体12の内部が第1蓋部材15及び第2蓋部材18で密閉されている。さらに、固体吸着剤35は、熱交換器36により加熱が継続されている。
【0061】
この状態において、第2開閉バルブ96を開くことにより高温負圧蒸気供給部22から筐体12の内部に過熱蒸気を導入する。さらに、負圧ポンプ21を駆動する。負圧ポンプ21を駆動することにより、筐体12の内部が負圧に維持され、固体吸着剤35に吸着されている二酸化炭素が固体吸着剤35から脱離される。脱離された二酸化炭素は、筐体12の内部から負圧ポンプ21に導かれ、負圧ポンプ21を経て回収される。
【0062】
ここで、整流器16が分離位置P3に回動可能に構成されている。よって、第1蓋部材15を閉位置P2に配置した状態において、第1蓋部材15を筐体12に近づけた状態において吸気口41を閉塞できる。また、送風機19が分離位置P7に回動可能に構成されている。よって、第2蓋部材18を閉位置P6に配置した状態において、第2蓋部材18を筐体12に近づけた状態において排気口55を閉塞できる。
これにより、第1蓋部材15及び第2蓋部材18により密封される筐体12の内部空間を小さく抑えることができる。このように、筐体12の内部空間を小さく抑えることにより、二酸化炭素を固体吸着剤35から好適に脱離でき、さらに、固体吸着剤35から脱離する二酸化炭素の濃度を高めることができる。
【0063】
図8は、実施形態の回収装置を二酸化炭素の吸着状態に作動開始する例を説明する概念図である。
図8に示すように、固体吸着剤35から二酸化炭素を回収した後、第2開閉バルブ96を閉じて高温負圧蒸気供給部22を筐体12の内部空間から遮断する。また、負圧ポンプ21の駆動を停止して第1開閉バルブ93を開くことにより、筐体12の内部空間の負圧を開放する。
【0064】
この状態において、整流器16を分離位置P3から第2ヒンジ軸44を軸にして側方水平へ矢印G方向に回転を開始する。また、第1蓋部材15を閉位置P2から第1ヒンジ軸43を軸にして側方水平へ矢印H方向(他方向)に回転を開始する。
さらに、送風機19を分離位置P7から第4ヒンジ軸58を軸にして側方水平へ矢印I方向に回転を開始する。加えて、第2蓋部材18を閉位置P6から第4ヒンジ軸58を軸にして側方水平へ矢印J方向(他方向)に回転を開始する。
【0065】
図9は、実施形態の回収装置により二酸化炭素を固体吸着剤に吸着する例を説明する概念図である。
図9に示すように、整流器16が整流位置P4に配置され、第1蓋部材15が開位置P1に配置される。また、送風機19が導入位置P8に配置され、第2蓋部材18が開位置P5に配置される。
この状態において、
図4で説明したように、送風機19の導入ファン67を駆動する。よって、筐体12の内部の空気が排気口55から矢印Kの如く排気されて、筐体12の内部に吸気口41から空気が矢印Lの如く導入される。筐体12の内部に導入された空気が固体吸着剤35を通流することにより、固体吸着剤35に空気中の二酸化炭素が吸着する。
【0066】
ここで、第1蓋部材15が配置されていた箇所に整流器16を移動することにより、整流器16と第1蓋部材15とを吸気口41において入れ替えることができる。また、第2蓋部材18が配置されていた箇所に送風機19を移動することにより、送風機19と第2蓋部材18とを排気口55において入れ替えることができる。
よって、筐体12から送風機19までの距離を短くでき、さらに、筐体12から整流器16までの距離を短くできる。これにより、吸気口41及び排気口55において生じる圧損を低減でき、固体吸着剤35に空気中の二酸化炭素が好適に吸着できる。
【0067】
以下、
図4から
図9で説明した工程を順次繰り返すことにより、回収装置10により大気中から二酸化炭素を連続して回収できる。
なお、実施形態では、特定分子として二酸化炭素を例に説明したが、特定分子は二酸化炭素に限らない。
【0068】
以上説明したように、実施形態の回収装置10によれば、
図1、
図2に示すように、第1蓋部材15を吸気部14に第1ヒンジ軸43によって取り付けて、吸気部14の吸気口41から分離可能とした。これにより、第1蓋部材15を吸気口41から分離させて吸気口を開放する開位置P1と、第1蓋部材15を吸気口41に戻して吸気口41を閉塞する閉位置P2との間において、第1蓋部材15を簡単な構成で移動させることができる。
【0069】
また、第2蓋部材18を排気部17に第3ヒンジ軸57によって取り付けて、排気部17の排気口55から分離可能とした。これにより、第2蓋部材18を排気口55から分離させて排気口55を開放する開位置P5と、第2蓋部材18を排気口55に戻して排気口55を閉塞する閉位置P6との間において、第2蓋部材18を簡単な構成で移動させることができる。
【0070】
さらに、第1蓋部材15を吸気口41から分離可能とした。よって、第1蓋部材15を吸気口41から分離させて吸気口41を開放した状態において、第1蓋部材15を吸気口41の外側に配置できる。また、第2蓋部材18を排気口55から分離可能とした。よって、第2蓋部材18を排気口55から分離させて排気口55を開放した状態において、第2蓋部材18を排気口55の外側に配置できる。
すなわち、回収装置10において第1蓋部材15及び第2蓋部材18を流路の外側に配置できる。これにより、大気中から二酸化炭素を回収する際に、吸気部14や排気口55において生じる圧損を低減できる。したがって、大気中に含まれる二酸化炭素を回収装置10により効率よく回収して削減できる。
【0071】
加えて、第2蓋部材18を排気部17に第3ヒンジ軸57によって取り付け、第2蓋部材18を送風機19の反対側に向けて矢印J(
図8参照)に回転させて排気口55から分離可能とした。よって、第2蓋部材18を排気口から分離させた状態において、第2蓋部材18が配置されていた箇所に送風機19を移動できる。すなわち、送風機19と第2蓋部材18とを排気口55において入れ替えて、筐体12から送風機19までの距離を短くできる。
【0072】
また、第1蓋部材15を吸気部14に第1ヒンジ軸43によって取り付け、第1蓋部材15を整流器16の反対側に向けて矢印H(
図8参照)に回転させて吸気口41から分離可能とした。よって、第1蓋部材15を吸気口から分離させた状態において、第1蓋部材15が配置されていた箇所に整流器16を移動できる。すなわち、整流器16と第1蓋部材15とを吸気口41において入れ替えて、筐体12から整流器16までの距離を短くできる。
【0073】
このように、筐体12から送風機19までの距離を短くし、さらに、筐体12から整流器16までの距離を短くすることにより、大気中から二酸化炭素を回収する際に、吸気口41排気口55において生じる圧損を一層好適に低減できる。
【0074】
さらに、送風機19を排気部17(排気口55の側)に設けることにより、大気中から二酸化炭素を吸着する際に、筐体12の内部を送風機19により負圧にできる。よって、筐体12に発生した負圧により、筐体12と送風機19との密着性を良好に確保できる。これにより、送風機19を取り付ける第4ヒンジ軸58に対する負荷を低減でき、さらに、筐体12と送風機19との隙間から漏出する空気量を低減できる。加えて、送風機19を排気部17に固定する固定装置を簡素化できる。
【0075】
加えて、第1ヒンジ軸43の軸線を鉛直方向へ向けて第1ヒンジ軸43を配置し、第1ヒンジ軸43に第1蓋部材15を取り付けた。よって、第1蓋部材15を、第1ヒンジ軸43を軸にして側方へ水平に回転できる。また、第2ヒンジ軸44の軸線を鉛直方向へ向けて第2ヒンジ軸44を配置し、第2ヒンジ軸44に整流器16を取り付けた。よって、整流器16を、第2ヒンジ軸44を軸にして側方へ水平に回転できる。
これにより、例えば、第1蓋部材15及び整流器16を上下方向へ回転する場合に比べて、第1蓋部材15及び整流器16をそれぞれ第1ヒンジ軸43及び第2ヒンジ軸44を軸にして側方へ水平に回転する際の重力負荷を軽減できる。したがって、第1蓋部材15及び整流器16を小さい動力で側方へ水平に回転できる。
【0076】
また、第3ヒンジ軸57の軸線を鉛直方向へ向けて第3ヒンジ軸57を配置し、第3ヒンジ軸57に第2蓋部材18を取り付けた。よって、第2蓋部材18を、第3ヒンジ軸57を軸にして側方へ水平に回転できる。また、第4ヒンジ軸58の軸線を鉛直方向へ向けて第4ヒンジ軸58を配置し、第4ヒンジ軸58に送風機19を取り付けた。よって、送風機19を、第4ヒンジ軸58を軸にして側方へ水平に回転できる。
これにより、例えば、第2蓋部材18及び送風機19を上下方向へ回転する場合に比べて、第2蓋部材18及び送風機19をそれぞれ第3ヒンジ軸57及び第4ヒンジ軸58を軸にして側方へ水平に回転する際の重力負荷を軽減できる。したがって、第2蓋部材18及び送風機19を小さい動力で側方へ水平に回転できる。
【0077】
さらに、第1ヒンジ軸43の回転を第1電気モータ81によって制御するようにした。また、第2ヒンジ軸44の回転を第2電気モータ83によって制御するようにした。よって、第1蓋部材15や整流器16を吸気部14の接触面14aに接触させる際に、第1電気モータ81のトルク(負荷)等や、第2電気モータ83のトルク(負荷)等を好適に管理できる。これにより、第1蓋部材15や整流器16を移動する際に好適な動作を確保できる。
【0078】
加えて、第3ヒンジ軸57の回転を第3電気モータ85によって制御するようにした。また、第4ヒンジ軸58の回転を第4電気モータ87によって制御するようにした。よって、第2蓋部材18や送風機19を排気部17の接触面17aに接触させる際に、第3電気モータ85のトルク(負荷)等や、第4電気モータ87のトルク(負荷)等を好適に管理できる。これにより、第2蓋部材18や送風機19を移動する際に好適な動作を確保できる。
【0079】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記施形態では、送風機19を排気口55側に設けた例について説明したが、これに限らない。その他の例として、例えば、送風機19を排気口55側と吸気口側との両方に設けてもよく、あるいは送風機19を吸気口側のみに設けてもよい。
【0080】
また、前記施形態では、吸気部14の接触面14aに第1シール材42を設け、排気部17の接触面17aに第2シール材56を設けた例について説明したが、これに限らない。その他の例として、例えば、接触面14a及び接触面17aに第1シール材42及び第2シール材56を設けなくてもよい。
【0081】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0082】
10 回収装置
12 筐体
15 第1蓋部材(他の蓋部材)
16 整流器
18 第2蓋部材(蓋部材)
19 送風機
35 固体吸着剤
41 吸気口(開口部)
43 第1ヒンジ軸(ヒンジ)
44 第2ヒンジ軸(ヒンジ)
55 排気口(開口部、開口部のうち少なくとも一方)
57 第3ヒンジ軸(ヒンジ)
58 第4ヒンジ軸(ヒンジ)
81 第1電気モータ
83 第2電気モータ
85 第3電気モータ
87 第4電気モータ