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  • 特開-外気流入防止装置 図1
  • 特開-外気流入防止装置 図2
  • 特開-外気流入防止装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104261
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】外気流入防止装置
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/64 20060101AFI20240726BHJP
   E04B 1/70 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
E04B1/64 C
E04B1/70 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023017955
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】519021141
【氏名又は名称】丸山 芳之
(72)【発明者】
【氏名】丸山 芳之
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DB02
2E001FA21
2E001GA12
2E001HB01
(57)【要約】
【課題】 建物の土台水切り換気孔を経由して建物内へ流入する寒気、熱気は、床構造等の温度を上下させ、室温に大いに影響するため、寒気、熱気を土台水切り換気孔から建物内へ流入しないよう、安価で設置作業が簡便な建物内への外気流入防止装置を提供する。
【解決手段】建物の基礎Aと土台Bの間の基礎パッキン敷設部分Cから建物内へ流入する外気は、土台水切り1の防鼠型換気孔2を経由して流入するため、同喚起孔2を塞ぐ大きさの、シート状の磁石(マグネットシート)3により、換気孔2を手作業で塞いで換気孔2から建物内へ寒気・熱気等の外気が流入することを防止する外気流入防止装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の土台水切り換気孔から、建物内へ外気が流入するのを防止する装置であって、 強磁性体金属で形成した防鼠型換気孔付き土台水切りと、前記防鼠型換気孔を塞ぐ大きさを有して前記土台水切り底壁部外側へ磁力で固定することができるシート状の磁石と、からなる建物内への外気流入防止装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシート状の磁石を前記土台水切りの防鼠型換気孔を塞ぐ状態に磁力で固定して、前記換気孔から建物内へ外気が流入することを防止する建物内への外気流入防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の土台水切り換気孔からの建物内への外気流入の防止装置、及び防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、冬期の外気、すなわち寒気・冷気が土台水切りの防鼠型換気孔から建物内へ流入することは、基礎、床構造等の温度を下げ、ひいては室内等建物内の温度を下げることになる。
【0003】
これまで、寒気の流入防止装置として、シャッター付き水切り材が提案されている(特許文献1)。
また、出願人は、2021年4月、建物浸水防止装置として、防鼠型換気孔を後付けで塞ぐ技術を提案している(特許文献2)。この技術により外気の建物内への流入を防止することができる。
しかしながら、特許文献1の技術では、シャッター付き土台水切りを既存建物へ後付けするには、既設の土台水切りと取り換える工事が必要となる。
また、特許文献2の技術では、土台水切りを取り換えることなく後付けすることは可能であるが、装置の導入に関して、装置製造のための原材料費、加工費、及び装置取付け調整費等と、装置取付け技術が必要となり、それなりのコスト、作業時間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-364088
【特許文献2】特許2022-167731
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的とするところは、既存建物の換気機能を有する土台水切りを取り換えることなく、かつ、換気孔の開閉を自在に行うことができ、換気孔を閉じる(塞ぐ)ことで、寒気、冷気、熱気、潮風等の外気が建物内へ入るのを防止する機能を有する外気流入防止装置を、製造費用、取付け調整費用等のコストを抑えることによって、低廉で簡便に導入できる装置、及び方法として提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、建物土台水切りの換気孔から建物内へ外気が流入することを防止する装置であって、強磁性体金属である鉄製鋼板で形成した防鼠型換気孔付き土台水切りと、前記防鼠型換気孔を塞ぐ短手、長手の大きさを有し、かつ、前記土台水切り底壁部外側へ磁力で固定することができる適度な大きさである、シート状の磁石(マグネットシート、磁力を有するシート)と、からなる建物内への外気の流入防止装置であることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシート状の磁石(マグネットシート)を、建物土台水切りの防鼠型換気孔を塞ぐ状態に磁力で固定して、前記換気孔から建物内へ外気、具体的には、寒気・冷気・熱気・潮風等が流入することを防止する建物内への外気流入を防止する方法であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1、2の発明によれば、既存の土台水切りをシャッター付き土台水切り等に取り換えることなく、かつ、比較的安価な費用で、しかも取付け作業が容易にできて、冷気等の外気が建物内へ流入することを防止して、床構造、基礎等の温度を下げる、または上げる、或いは潮風により金属ボルト等を腐食する原因となる外気の流入を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】 土台水切り1の底壁部外側平面Fの建物側へシート状の磁石(マグネットシート)3を磁力で固定している状態を下方から見た概略図である。
図2】 土台水切り1の防鼠型換気孔2を塞ぐ状態でシート状の磁石(マグネットシート)3を底壁部外側平面Fへ磁力で固定している状態を下方から見た概略図である。
図3】 建物の基礎A、土台水切り1周辺の建物の断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態、本発明の技術的範囲については、以下の実施形態及び図示に限定されるものではなく、また、本発明の実施には既存技術等を用いるものとする。さらに、各図は概略図であって、配置を分かりやすくするように敢えて隙間表示をしている部分もある。
【0011】
請求項1の実施形態について説明する。
本装置は、建物の土台水切り1の防鼠型換気孔2からの建物内への外気の流入を防止する装置である。
先ず、図3のように、建物は、基礎A、土台水切り1等が配置され、建物の外、内を構成している。外気は、防鼠型換気孔2から入り、基礎パッキン敷設部分(換気層)Cを通って床下へ流入する。
【0012】
土台水切り1は、強磁性体金属である鉄製鋼板で形成した、防鼠型換気孔2付きのものである。この土台水切り1は、従来から市販されている製品でよいし、鉄製鋼板で特別に加工したもの(別注品)であってもよい。
一般的にこのような土台水切り1の防鼠型換気孔2は、土台水切り1の底壁部に、同一の大きさで並列状態にて存在する。
換気孔2の一つの形状、大きさは、一般的に、長方形で、大きさは、長辺10ミリメートル前後、短辺5ミリメートル前後で、連続する換気孔2相互の間隔は2ミリメートル程度である。
【0013】
次に、この換気孔2を塞ぐ部材であるが、これを、磁気を有するシートである、シート状の磁石(マグネットシート)3とする。
図2のように、この部材3は、換気孔2を隙間なく塞ぐ大きさを有するもので、幅(短手)は、例えば、前記のように換気孔2の長辺が10ミリメートルであれば、この長辺以上のものである。
また、土台水切り1の垂直壁の下垂部分内側(建物側)Dと基礎Aの上塗り表面部分Eとで構成する土台水切り1の底壁部外側平面Fの幅以下のものとする。こうすることによって、シート状の磁石(マグネットシート)3が、土台水切り1の底壁部外側平面Fに隙間なく磁力で固定することが可能となる。逆に、上記の土台水切り1の底壁部外側平面Fより幅(横手)が大きなものであれば、シート状の磁石(マグネットシート)3の端部等が底壁部外側平面Fへ確実に固定されないため、シート状の磁石(マグネットシート)3の固定度が弱くなり底壁部外側平面Fから剥離して落下するおそれがある。
【0014】
さらに、図1のように、底壁部外側平面Fの長さの二分の一以下の幅(短手)とすれば、シート状の磁石(マグネットシート)3で換気孔2を塞がない状態として、土台水切り1の底壁部外側平面Fの建物側に磁力で固定しておくことができる。この状態にすることで、シート状の磁石(マグネットシート)3で換気孔2を塞がずに同シート状の磁石3を土台水切り1へ固定したままの状態で保管できる利点がある。
そして、外気の流入を防ぐため換気孔2を塞ぐ際には、シート状の磁石(マグネットシート)3を、建物側から離して、図2のように、換気孔2を塞ぐ状態で底壁部外側平面Fへ固定し直せば簡単に換気孔2を塞ぐことができる。
【0015】
なお、土台水切り1の底壁部外側平面Fが、シート状の磁石(マグネットシート)3を建物側に固定して保管しておくだけの幅がない場合は、同シート状の磁石3を剥離して巻き取り、別の場所で保管しておくか、土台水切り1の傾斜壁部外側、または、垂直壁外側へ磁力で固定しておくこともできる。
【0016】
シート状の磁石(マグネットシート)3の長手に特段の制限はない。例えば、出隅(入隅)から出隅(入隅)の距離間が5メートルの直線である場合、シート状の磁石(マグネットシート)3は、5メートルの1本で構成してもよいし、例えば1メートルを5本組み合わせてもよい。
【0017】
また、厚さは、1ミリメートル未満のものであってもよいし、1ミリメートル以上のものであってもよく、特段の制限はない。ただし、土台水切り1の底壁部外側平面Fに磁力で固定して、換気孔2を塞ぐ状態を長時間維持できる磁力強度を有する厚みが必要である。
【0018】
このように、本装置は、従来からの鉄製鋼板で成型した土台水切り1をそのまま利用することができ、しかも土台水切り1を取り換えることなく、後付けで取り付けることができる。
また、土台水切り1以外では、シート状の磁石(マグネットシート)3のみからなるものであり、比較的安価で導入することができる。
さらに、同部材3を、土台水切り1のサイズ(長手)に合わせる加工は、一般的なハサミ、カッターナイフ等で簡単に切断加工できるため、長さの調整が極めて容易である。
また、巻くこと(丸めること)ができるため、梱包、保管、運送等に要する経費が長物と比べて安価となる。
なお、換気孔2は、養生テープ、ガムテープ等でも塞ぐことができ、外気の流入を防止することができるが、養生テープ等は、一度剥がせば、再度接着し難いため、再三取り外しすることはできない。その点、本装置では、磁力が維持されている間は、繰り返して取り外しして使用できるのが大きな利点である。
【0019】
シート状の磁石(マグネットシート)3を製品として大量生産するに当たっては、例えば、幅(短手)20ミリメートル、長さ(長手)5メートルに加工、製品としたものを販売、提供すればよい。なお、製品とする幅、長さに制限はない。
【0020】
請求項2の実施形態について説明する。
1つは、冬期の寒気・冷気の流入を防止するものである。
これは、温暖地であっても、12月頃から2月頃にかけて、特に夜間から翌日午前中にかけて、建物周囲の温度が低下した際、上記のようにして換気孔2を建物全周または部分的に塞ぐことによって、建物内(床下等)への寒気・冷気の流入を防止する方法である。
冷気は風となって床構造等に当たり、同構造等の温度を下げるため、この方法により、冷気の流入を防ぐことは、断熱効果となり、暖房に要する省エネを実現する方法となる。
2つは、夏期の猛暑日等の際、建物内への熱気の流入を防止する方法である。
これは、建物に近接するアスファルト張り、コンクリート張り等の地面の照り返しにより熱気(例えば40度以上)となった外気を、特に午後から夕方頃にかけて、アスファルト張り等に近い部分の換気孔2を塞ぐことで、熱気が建物内、床下等へ流入するのを防ぐものである。この方法により、断熱効果となり、冷房に要する省エネ効果を実現する方法である。
3つは、潮風の流入防止である。
これは、春先の沿岸部や台風等の際の、高潮の飛沫、潮風が建物内へ入り込むことを防ぎ、建物への塩害を防止するものである。この方法により、塩分による建物の金属腐食等を防止することができる。
【0021】
このようにして、寒気・冷気・熱気・潮風の床下への流入を防ぐことにより、建物居住者の健康維持は言うまでもなく、冷暖房にかかるエネルギーの省力化(省エネ)、潮風による腐食、防錆効果等において大いに有効となる。
【0022】
さらに、磁力が強力なシート状の磁石(マグネットシート)3で換気孔2を塞いだ場合は、浸水防止部材としても期待できる。ただし、マグネットシート3を磁力のみによって土台水切り1の底壁部外側平面Fへ固定した場合、固定部分の一部でも剥離してしまえば、水流等でマグネットシート3の重みにより、全体が垂直落下するおそれがある。そのため、浸水防止部材としての利用はあくまで応急的、補助的なものであって、水流や漂流物の衝突に耐える固定力を備えるようにするためには、耐水接着テープで固定を補強するか、その他の固定用部材と併用してシート状の磁石(マグネットシート)3の底壁部外側平面Fへの固定状態を強固なものとするのが望ましい。
【符号の説明】
【0023】
1 土台水切り
2 防鼠型換気孔(土台水切り底壁部)
3 シート状の磁石(マグネットシート)
A 基礎
B 土台
C 基礎パッキン敷設部分(換気層)
D 下垂部分内側(建物側)
E 上塗り表面部分
F 底壁部外側平面
図1
図2
図3