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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010427
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】比例弁制御装置、及び比例弁制御方法
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20240117BHJP
【FI】
F16K31/06 340
F16K31/06 310Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111757
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 新治
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 圭祐
【テーマコード(参考)】
3H106
【Fターム(参考)】
3H106DA02
3H106DA05
3H106DA22
3H106DB02
3H106DB12
3H106DB23
3H106DB32
3H106DC02
3H106DC17
3H106DD05
3H106EE01
3H106FA01
3H106FB02
3H106FB11
(57)【要約】
【課題】容易に流量を調整できる比例弁制御装置、及び比例弁制御方法を提供する。
【解決手段】比例弁1は、弁部とソレノイドとに作用する圧力が同圧となったバランス型である。設定値取得部94は、出力ポートから出す流体の設定値Q’を取得する。圧力情報入力部96は、圧力センサ74から圧力情報Spを入力する。温度情報入力部97は、出力ポートの流体の温度を検出する温度センサ86から温度情報Stを入力する。制御部95は、流体の流量の設定値Q’に応じた制御信号Iを設定するとき、圧力情報Sp及び温度情報Stを用いて制御信号Iを求める。制御部95は、その制御信号Iを電流制御回路77に出力してソレノイドを制御することにより、弁部の弁開度を調整する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソレノイドの吸引力と前記ソレノイドに取付けられた弾性部の弾性力とにより弁部の弁開度が設定されるとともに、前記弁部と前記ソレノイドとに作用する圧力が同圧となったバランス型の比例弁を制御するための比例弁制御装置であって、
出力ポートから出す流体の設定値を取得する設定値取得部と、
前記設定値に応じた制御信号を電流制御回路に出力して前記ソレノイドを制御することにより、前記弁部の前記弁開度を調整する制御部と、
給気ポートを流れる前記流体の圧力を検出する第1圧力センサと、前記出力ポートを流れる前記流体の圧力を検出する第2圧力センサと、の少なくとも一方から圧力情報を入力する圧力情報入力部と、
前記給気ポートの前記流体の温度を検出する温度センサから温度情報を入力する温度情報入力部と、を備え、
前記制御部は、前記流体の流量の前記設定値に応じた前記制御信号を設定するとき、前記圧力情報及び前記温度情報を用いて前記制御信号を求める、比例弁制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記圧力情報及び前記温度情報を取り込んで前記制御信号を求める処理を、繰り返し実行する
請求項1に記載の比例弁制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記弁部の有効断面積と前記設定値との関係を表す流量計算式に前記設定値と前記圧力情報と前記温度情報とを代入することにより、前記設定値に応じた前記有効断面積を求め、前記弁開度を調整するための補正係数と前記有効断面積とを用いて前記制御信号を求める
請求項1に記載の比例弁制御装置。
【請求項4】
前記比例弁において検出された検出情報を前記比例弁の外部に出力するための出力線を備える
請求項1に記載の比例弁制御装置。
【請求項5】
前記検出情報は、前記圧力情報と、前記流体の流量を検出する流量センサの流量情報と、の少なくとも一方である
請求項4に記載の比例弁制御装置。
【請求項6】
前記制御部の動作モードを、前記圧力情報及び前記温度情報に基づき前記流体の流量を制御する第1モードと、前記圧力情報に基づき前記流体の圧力を制御する第2モードと、の一方に切り替えるモード切替部を備える
請求項1に記載の比例弁制御装置。
【請求項7】
ソレノイドの吸引力と前記ソレノイドに取付けられた弾性部の弾性力とにより弁部の弁開度が設定されるとともに、前記弁部と前記ソレノイドとに作用する圧力が同圧となったバランス型の比例弁を制御するための比例弁制御方法であって、
出力ポートから出す流体の設定値を取得することと、
給気ポートを流れる前記流体の圧力を検出する第1圧力センサと、前記出力ポートを流れる前記流体の圧力を検出する第2圧力センサと、の少なくとも一方から圧力情報を入力することと、
前記給気ポートの前記流体の温度を検出する温度センサから温度情報を入力することと、
前記流体の流量の前記設定値に応じた制御信号を電流制御回路に出力して前記ソレノイドを制御することにより、前記弁部の前記弁開度を調整するときに、前記圧力情報及び前記温度情報を用いて前記制御信号を求めることとを、
前記比例弁を制御する比例弁制御装置に実行させる比例弁制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、比例弁制御装置、及び比例弁制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されるように、出力される流体の流量を検出する流量センサを備えた電磁比例弁が周知である。この電磁比例弁の場合、出力される流体の流量を流量センサによって監視する。そして、出力される流量が設定の値からずれた場合、流量が設定の値となるように、電磁比例弁への印加電流を増減させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-60662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、使用する流量の圧力は様々であるため、流量センサを用いたフィードバック回路を構成しなければ、所望の流量を得ることができない。このため、装置設定の工数や調整に多くの手間を要してしまう課題があった。
【0005】
本発明の目的は、容易に流量を調整できる比例弁制御装置、及び比例弁制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決する比例弁制御装置は、ソレノイドの吸引力と前記ソレノイドに取付けられた弾性部の弾性力とにより弁部の弁開度が設定されるとともに、前記弁部と前記ソレノイドとに作用する圧力が同圧となったバランス型の比例弁を制御するための装置であって、出力ポートから出す流体の設定値を取得する設定値取得部と、前記設定値に応じた制御信号を電流制御回路に出力して前記ソレノイドを制御することにより、前記弁部の前記弁開度を調整する制御部と、給気ポートを流れる前記流体の圧力を検出する第1圧力センサと、前記出力ポートを流れる前記流体の圧力を検出する第2圧力センサと、の少なくとも一方から圧力情報を入力する圧力情報入力部と、前記給気ポートの前記流体の温度を検出する温度センサから温度情報を入力する温度情報入力部と、を備え、前記制御部は、前記流体の流量の前記設定値に応じた前記制御信号を設定するとき、前記圧力情報及び前記温度情報を用いて前記制御信号を求める。
【0007】
前記課題を解決する比例弁制御方法は、ソレノイドの吸引力と前記ソレノイドに取付けられた弾性部の弾性力とにより弁部の弁開度が設定されるとともに、前記弁部と前記ソレノイドとに作用する圧力が同圧となったバランス型の比例弁を制御するための方法であって、出力ポートから出す流体の設定値を取得することと、給気ポートを流れる前記流体の圧力を検出する第1圧力センサと、前記出力ポートを流れる前記流体の圧力を検出する第2圧力センサと、の少なくとも一方から圧力情報を入力することと、前記給気ポートの前記流体の温度を検出する温度センサから温度情報を入力することと、前記流体の流量の前記設定値に応じた制御信号を電流制御回路に出力して前記ソレノイドを制御することにより、前記弁部の弁開度を調整するときに、前記圧力情報及び前記温度情報を用いて前記制御信号を求めることとを、前記比例弁を制御する比例弁制御装置に実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、比例弁において容易に流量を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態の比例弁の断面図である。
図2】プラグの側面図である。
図3】開弁状態の比例弁の断面図である。
図4】流体の各圧力において印加電流に対する流量の変化を示す波形図である。
図5】印加電流に対する有効断面積の変化を示す波形図である。
図6】比例弁制御装置の回路図である。
図7】比例弁制御装置の電気構成図である。
図8】流体制御の手順図である。
図9】第2実施形態の比例弁制御装置の構成図である。
図10】圧力制御の手順図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、本開示の第1実施形態を説明する。
(比例弁1の概説)
図1に示すように、比例弁1は、流体の流路を切り替えるための弁部2と、弁部2を駆動するためのソレノイド3と、を備える。弁部2及びソレノイド3は、例えば、ボルトやネジ等を用いた取付構造(図示略)により、一体に取付けられている。比例弁1は、ソレノイド3によって電磁的に弁部2の開閉が切り替えられる電磁比例弁である。比例弁1は、弁部2とソレノイド3とに作用する圧力が同圧となったバランス型である。流体は、例えば、正圧空気である。
【0011】
(ソレノイド3の概説)
図1に示す通り、ソレノイド3は、比例弁1のハウジング4の一部を構成するフレーム5を備える。フレーム5の内部には、コイル6、固定子7、及び可動子8が収容されている。コイル6は、筒状のボビン9に複数周巻回されている。コイル6は、磁性材料によって形成された第1磁気フレーム10及び第2磁気フレーム11によってシールドされている。ボビン9は、コイル6の軸方向(図1のX軸方向)に沿って延びる孔12を有する。
【0012】
第1磁気フレーム10は、例えば、両端が開口した略筒状に形成されるとともに、ボビン9を周方向から覆う。第2磁気フレーム11は、第1磁気フレーム10の一方の開口13に取付けられることにより、ボビン9の端部を覆う。ボビン9及び第2磁気フレーム11との間には、これらの隙間をシールするシール部14が取付けられている。
【0013】
固定子7は、ボビン9の孔12内において基端寄りの位置に挿通されている。固定子7は、端部に形成された螺着部15(例えば、雌ねじ)が第1磁気フレーム10の他方の開口に形成された被螺着部16(例えば、雄ねじ)に螺着されている。可動子8は、ボビン9の孔12と第2磁気フレーム11の孔17との両方に挿通されている。可動子8の先端は、第2磁気フレーム11の孔17から弁部2に向かって所定量突出している。
【0014】
ソレノイド3は、可動子8を固定子7に対して離間する方向(図1の矢印X1方向)に押す弾性部18を備える。弾性部18は、例えば、ばね(円錐ばね)である。弾性部18は、一端が第1磁気フレーム10に当接するとともに、他端が可動子8の先端の突起19に当接する。
【0015】
(弁部2の概説)
図1に示す通り、弁部2は、比例弁1のハウジング4の一部を構成するボディ22を備える。ボディ22は、例えば、非磁性材料により形成されている。ボディ22は、例えば、ボディ22の軸方向(図1のX軸方向)において孔23が貫通した筒状に形成されている。孔23には、ソレノイド3によって弁開度が設定される弁24と、弁24が挿し込まれるプラグ25と、が挿入されている。ボディ22は、弁24が挿入された孔23の端部がプラグ25によって封止される。
【0016】
第2磁気フレーム11及びボディ22の間には、これら両者間をシールするシール部20が設けられている。シール部20は、例えば、Oリングである。ボディ22は、比例弁1内に流体を供給する給気ポート26と、比例弁1からの流体を出力する出力ポート27と、を有する。
【0017】
弁24は、例えば、弁座28から直角方向(図1のX軸方向)に移動するポペット弁である。ポペット型の弁24は、ソレノイド3の駆動により、直角方向に直線移動する。本例の場合、弁座28は、例えば、プラグ25の先端部分である。本例の場合、弁24は、弁座28を開閉するための開閉部29を有する。開閉部29は、弁24の外周面において周方向一帯に形成されている。
【0018】
弁24は、弁24の本体となる弁棒31を有する。弁棒31は、外周面に前述の開閉部29を有する。開閉部29は、弁棒31の軸方向中央寄りの位置に形成された座32と、この座32に取付けられた弁体33と、を有する。弁体33は、弁棒31の周方向に沿って環状に設けられている。弁棒31は、プラグ25内を摺動可能に設けられた摺動部34を有する。摺動部34は、弁棒31の外周面において周方向一帯に形成された形状、いわゆる、フランジ状に形成されている。
【0019】
プラグ25は、例えば、弁24を挿し込むための穴35と、弁24を手動で操作するための手動操作軸36が取付けられる孔37と、を有する。穴35の径は、孔37の径よりも大きく形成されている。弁24は、ボディ22においてソレノイド3との境界に設けられた段状の支持部38に弁棒31の一端が支持されるとともに、弁棒31の他端がプラグ25の穴35の内面に支持されている。
【0020】
図2に示すように、プラグ25において先端寄りの位置には、プラグ25の外周面に対して所定量低くなった凹部41が周方向一帯に形成されている。本例の場合、プラグ25は、凹部41を挟んで先端部42及び基端部43を有する。先端部42は、例えば、凹部41よりもソレノイド3に近い側の部位である。基端部43は、例えば、凹部41よりもソレノイド3から遠い側の部位である。弁座28は、例えば、プラグ25の先端(先端部42)によって構成される。弁座28は、プラグ25の穴35の開口に沿って環状に形成されている。
【0021】
プラグ25は、内部の穴35を給気ポート26に連通する孔44を有する。孔44は、例えば、プラグ25の凹部41に形成されている。孔44は、プラグ25の周方向において等間隔に複数設けられている。プラグ25は、基端に設けられた螺着部45(例えば、雄ねじ)を、ボディ22の内面に形成された被螺着部46(例えば、雌ねじ)に螺着することにより、ボディ22に取付けられている。
【0022】
図1に示す通り、比例弁1は、弁24によって出口が開閉される弁室49を備える。本例の場合、弁室49は、プラグ25の内部において、プラグ25の内面と、弁棒31と、ボディ22の内面と、によって囲まれる領域である。弁室49は、流体を取り込むために給気ポート26と連通されている。すなわち、流体は、給気ポート26から弁室49内に流入する。弁24は、弁24が弁座28から離れると、開弁状態となり、弁24が弁座28に接触すると、閉弁状態となる。
【0023】
ボディ22の内面とプラグ25との間には、弁室49を密閉するためのシール部50が設けられている。本例のシール部50は、プラグ25の先端部42とボディ22の内面との間に設けられた第1シール部50aと、プラグ25の基端部43とボディ22の内面との間に設けられた第2シール部50bと、を含む。第1シール部50a及び第2シール部50bは、例えば、Oリングである。
【0024】
摺動部34は、弁室49を密閉するためのシール部51を有する。シール部51は、例えば、Oリングである。シール部51は、弁24がボディ22の穴35内で直線移動するときに、プラグ25の穴35の内周面を摺動するようになっている。
【0025】
(比例弁1の開閉動作)
図1に示す通り、コイル6が励磁されると、可動子8がコイル6によって吸引されることにより、可動子8が固定子7に近づく方向(図1の矢印X2方向)に直線移動する。具体的には、コイル6が励磁されると、可動子8が弾性部18に抗して固定子7に近づく方向に直線移動するため、弁24が弁座28から離れる。そして、コイル6に流される電流iに応じた位置に可動子8が配置され、そして、弁24が可動子8の位置に応じた弁開度をとる。
【0026】
図3に示すように、コイル6が非励磁とされると、弾性部18の弾性力により、可動子8が固定子7から離れる方向(図3の矢印X1方向)に直線移動する。これにより、弁24が弁座28に接触するため、弁24が閉弁される。
【0027】
(手動操作軸36の概要)
図1に示す通り、手動操作軸36は、穴35の側面に係合されるフランジ部53と、フランジ部53よりも小径に形成された軸本体54と、を有する。軸本体54の周囲には、手動操作軸36と孔37との間を密閉するシール部55が取付けられている。手動操作軸36が押された場合、手動操作軸36によって弁24が開き方向に直線移動する。これにより、弁24を手動で開弁状態に切り替えることが可能である。
【0028】
(バランス型の説明)
図1に示す通り、弁室49における流体の圧力は、弁24の開閉部29と、弁24の摺動部34と、に作用する。バランス型の比例弁1の場合、弁24は、開閉部29で流体の圧力を受ける面積と、摺動部34で流体の圧力を受ける面積と、が同じとなっている。このため、開閉部29で受ける圧力と、摺動部34で受ける圧力と、が相殺される。よって、可動子8と弁24との間に差圧が発生しない。
【0029】
図4に、ソレノイド3に印加される電流iと、比例弁1を流れる流量Qと、の関係を示すグラフを図示する。なお、図4の場合、P1~P4の4つの圧力(P1<P2<P3<P4)の例を図示する。バランス型の比例弁1の場合、ソレノイド3に電流iが流れるとき、流体の圧力に関係なく、開弁するタイミングは一致する。すなわち、流量Qと電流iとの間の変化特性は、開弁するタイミングが一致する波形をとる。このように、バランス型の場合、流体の圧力に応じて、開弁のタイミングが変化してしまう波形変化をとらずに済む。なお、流量Qと電流iとの間の変化特性は、圧力が高くなるに連れて、傾きが大きくなる波形をとる。
【0030】
図5に、ソレノイド3に印加される電流iと、流路の有効断面積Sと、の関係を示すグラフを図示する。有効断面積Sは、例えば、弁24の開度を示す指標である。バランス型の比例弁1の場合、有効断面積Sと電流iとの間の変化特性は、流体の圧力に関わらず、同じ波形をとる。すなわち、有効断面積Sと電流iとの間の変化特性が、圧力に応じて各々異なる波形をとらずに済む。なお、有効断面積Sは、電流iが多くなるに連れて、大きくなる変化をとる。
【0031】
(比例弁制御装置58の概説)
図1に示す通り、比例弁1は、比例弁制御装置58の基板59を備える。基板59は、比例弁1のハウジング4の一部を構成するケース60に覆われている。基板59は、ソレノイド3のコイル6に電気接続されている。比例弁1は、外部の機器(図示略)と電気接続するためのコネクタ61をケース60の端部に備える。コネクタ61の内部には、基板59から延びる端子62が配置されている。
【0032】
図6に示すように、比例弁制御装置58は、比例弁1の動作を制御する演算装置64を備える。演算装置64は、例えば、MPU(Micro Processor Unit)である。演算装置64は、電源線65が接続される電源ポート66と、入力線67が接続される入力線ポート68と、GND線69が接続されるGNDポート70と、を有する。電源線65は、例えば、動作に必要な電源を演算装置64に供給する。入力線67に入力される入力信号は、例えば、比例弁1から出力したい流量Qの設定値Q’などがある。
【0033】
比例弁制御装置58は、電源線65から入力した電圧を演算装置64の駆動電圧に降圧する電源回路71を有する。電源回路71は、出力が電源ポート66に接続されている。
比例弁制御装置58は、入力線67に入力された入力信号を分圧する分圧抵抗72を有する。分圧抵抗72は、2つの抵抗R1、R2を有する。抵抗R1、R2の中点は、入力線ポート68に接続されている。演算装置64は、入力線67から入力された入力信号を、入力線ポート68で入力する。なお、入力信号がアナログ信号であるため、入力線ポート68は、A/D変換ポートである。
【0034】
(圧力センサ74の概説)
図6及び図7に示すように、比例弁制御装置58は、流体の圧力を検出する圧力センサ74と接続されている。本例の圧力センサ74は、例えば、給気ポート26を流れる流体(1次側流体)の圧力を検出する第1圧力センサ74aと、出力ポート27を流れる圧力(2次側流体)の圧力を検出する第2圧力センサ74bと、を含む。図7に示す通り、第1圧力センサ74aは、給気ポート26のポート上に接続されている。第2圧力センサ74bは、出力ポート27のポート上に接続されている。
【0035】
図6に示す通り、演算装置64は、第1圧力センサ74aの圧力情報Sp(第1圧力情報Sp1)を入力する第1圧力入力ポート75aと、第2圧力センサ74bの圧力情報Sp(第2圧力情報Sp2)を入力する第2圧力入力ポート75bと、を有する。第1圧力入力ポート75aは、配線76aを通じて第1圧力センサ74aから第1圧力情報Sp1を入力する。第2圧力入力ポート75bは、配線76bを通じて第2圧力センサ74bから第2圧力情報Sp2を入力する。圧力情報Spは、アナログ信号である。このため、第1圧力入力ポート75a及び第2圧力入力ポート75bは、A/D変換ポートである。
【0036】
(電流制御回路77の概説)
比例弁1は、ソレノイド3に流れる電流を制御する電流制御回路77を備える。電流制御回路77の入力は、配線78を通じて演算装置64の制御ポート79に接続されている。演算装置64は、ソレノイド3に流す電流iを決めるための制御信号Iを制御ポート79から電流制御回路77に出力することにより、ソレノイド3に流す電流i、すなわち、弁24の開度を切り替える。制御信号Iは、アナログ信号である。このため、制御ポート79は、D/A変換ポートである。
【0037】
電流制御回路77は、フィードバック式のオペアンプ81と、ソレノイド3の電流経路のオンオフを切り替えるスイッチング素子82と、を備える。オペアンプ81は、分圧抵抗83を介して制御ポート79に接続された+入力端子と、スイッチング素子82に接続された-入力端子と、を有する。オペアンプ81の出力端子は、ダイオード84及び抵抗R3を介してスイッチング素子82に接続されている。
【0038】
スイッチング素子82は、例えば、npn型のトランジスタである。本例の場合、トランジスタは、コレクタ端子がコイル6に接続されるとともに、エミッタ端子が抵抗R5を介してGNDに接続されている。トランジスタのベース端子は、抵抗R3、R4の中点に接続されている。トランジスタのコレクタ端子及びベース端子の間には、トランジスタに印加される電圧を一定にするツェナーダイオード85が接続されている。
【0039】
オペアンプ81は、+入力端子と-入力端子との差を、出力端子から出力することにより、スイッチング素子82のオンオフを制御する。具体的には、オペアンプ81は、+入力端子の信号が-入力端子の信号以上となる間、スイッチング素子82をオンすることにより、ソレノイド3のコイル6に流れる電流iを制御する。このようにして、制御信号Iに応じた一定値の電流iがコイル6に流れる。
【0040】
(温度センサ86の概説)
比例弁1は、流体の温度を検出する温度センサ86を備える。温度センサ86は、例えば、出力ポート27を流れる流体の温度を検出する。温度センサ86は、検出した温度情報Stを演算装置64の温度入力ポート87に出力する。温度情報Stは、例えば、アナログ信号である。このため、温度入力ポート87は、A/D変換ポートである。
【0041】
温度センサ86は、例えば、サーミスタ88である。サーミスタ88は、例えば、一対の抵抗R6、R7を有する。サーミスタ88は、抵抗R6が電源に接続されるとともに、抵抗R7がGNDに接続されている。サーミスタ88は、抵抗R6、R7の中点が演算装置64の温度入力ポート87に接続されている。サーミスタ88は、抵抗R6、R7の中点の電圧を、温度情報Stとして温度入力ポート87に出力する。
【0042】
比例弁制御装置58は、比例弁1において検出された検出情報Skを比例弁1の外部に出力するための出力線89を備える。出力線89は、演算装置64に設けられた出力線ポート90に接続されている。検出情報Skは、例えば、前述の圧力情報Spと、流体の流量Qを検出する流量センサ91(図7参照)の流量情報Sqと、の少なくとも一方である。流量センサ91は、例えば、出力ポート27に流れ出た流量Qを検出する。
【0043】
(制御信号Iの演算)
図6に示す通り、比例弁制御装置58は、比例弁1の出力ポート27から出す流体の設定値Q’を取得する設定値取得部94を備える。設定値取得部94は、例えば、演算装置64に設けられる。設定値Q’は、例えば、作業者が比例弁1から出力したい流量Qの値である。設定値取得部94は、入力線67を通じて演算装置64に入力された設定値Q’を取得する。
【0044】
比例弁制御装置58は、弁部2の開閉を制御する制御部95を備える。制御部95は、例えば、演算装置64に設けられる。制御部95は、設定値Q’に応じた制御信号Iを電流制御回路77に出力してソレノイド3を制御することにより、弁部2の弁開度を調整する。
【0045】
比例弁制御装置58は、圧力センサ74から圧力情報Spを入力する圧力情報入力部96を備える。圧力情報入力部96は、例えば、演算装置64に設けられている。本例の場合、圧力情報入力部96は、第1圧力センサ74a及び第2圧力センサ74bの少なくとも一方(本例は、両方)から圧力情報Spを入力する。圧力情報入力部96は、第1圧力入力ポート75a及び第2圧力入力ポート75bから圧力情報Spを入力する。
【0046】
比例弁制御装置58は、温度センサ86から温度情報Stを入力する温度情報入力部97を備える。温度情報入力部97は、例えば、演算装置64に設けられている。温度情報入力部97は、温度入力ポート87から温度情報Stを入力する。
【0047】
制御部95は、流体の流量Qの設定値Q’に応じた制御信号Iを設定するとき、圧力情報Sp及び温度情報Stを用いて制御信号Iを求める。具体的には、作業者が流したい所望の流量Qが入力された場合、この流量Qを設定値Q’として演算装置64が取り込む。そして、制御部95は、設定値Q’に準じた流体が比例弁1から出力されるように、ソレノイド3に流れる電流iを制御することにより、弁部2の弁開度を調整する。
【0048】
(第1実施形態の作用)
次に、本実施形態の比例弁制御装置58(比例弁制御方法)の作用について説明する。
図8に示すように、ステップ101において、演算装置64は、作業者によって入力された流量Qの設定値Q’を入力する。本例の場合、演算装置64は、設定値Q’を設定値取得部94で取得する。
【0049】
ステップ102において、制御部95は、圧力センサ74の圧力情報Spと、温度センサ86の温度情報Stと、を検出する。本例の場合、制御部95は、圧力情報Spを圧力情報入力部96で入力するとともに、温度情報Stを温度情報入力部97で入力する。
【0050】
ステップ103において、制御部95は、作業者が設定した流量Qの流体が比例弁1から出力されるように、流量制御を実行する。
ステップ104において、制御部95は、入力した圧力情報Sp及び温度情報Stを用いて制御信号Iを演算する。本例の場合、制御部95は、弁部2の有効断面積Sと設定値Q’との関係を表す流量計算式に設定値Q’と圧力情報Spと温度情報Stとを代入することにより、設定値Q’に応じた有効断面積Sを求める。
【0051】
流量計算式は、例えば、流体がチョーク流れのときに使用する式と、流体が亜音速流れのときに使用する式と、が用意されている。流体がチョーク流れ又は亜音速流れのいずれであるかは、例えば、第1圧力情報Sp1及び第2圧力情報Sp2を用いて判定される。流体がチョーク流れのときには、チョーク流れ時に使用する流量計算式に設定値Q’と圧力情報Spと温度情報Stとを代入することにより、有効断面積Sを求める。また、流体が亜音速流れのときには、亜音速流れ時に使用する流量計算式に設定値Q’と圧力情報Spと温度情報Stとを代入することにより、有効断面積Sを求める。
【0052】
制御部95は、有効断面積Sの演算後、「I=S/M」の式により、制御信号Iを求める。なお、同式において、「M」は、比例弁1の製品性能から算出される補正係数である。このように、制御部95は、有効断面積Sの演算後、演算した有効断面積Sと、弁開度を調整するための補正係数Mと、を用いて制御信号Iを求める。
【0053】
ステップ105において、演算装置64は、演算した制御信号Iを電流制御回路77に出力する。電流制御回路77は、制御信号Iに応じた電流iをソレノイド3に流すことにより、制御信号Iに応じた弁開度に設定する。このように、弁24は、流体の圧力(温度も含む)に応じた弁開度に調整される。
【0054】
ステップ106において、演算装置64は、弁24の開度を調整した後の圧力情報Sp及び温度情報Stを検出する。すなわち、演算装置64は、次に新たな制御信号Iを求めるときのために、現在の圧力と温度とを再度取得する。
【0055】
ステップ107において、演算装置64は、制御解除の有無を判定する。制御解除は、例えば、圧力情報Sp及び温度情報Stから制御信号Iを求めて電流制御回路77に送る処理、すなわち流量制御を、解除(終了)することである。制御解除の命令は、例えば、入力線67から演算装置64に入力されることが好ましい。
【0056】
ステップ107において、制御解除がなければ、ステップ103に戻り、制御信号Iを演算する一連の処理を再度実行する。すなわち、制御部95は、圧力情報Sp及び温度情報Stを取り込んで制御信号Iを求める処理を、繰り返し実行する。一方、107において、制御解除があれば、処理を終了する。
【0057】
(第1実施形態の効果)
上記実施形態の比例弁制御装置58(比例弁制御方法)によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0058】
(1-1)比例弁1は、ソレノイド3の吸引力とソレノイド3に取付けられた弾性部18の弾性力とにより弁部2の弁開度が設定されるとともに、弁部2とソレノイド3とに作用する圧力が同圧となったバランス型である。バランス型の比例弁1を制御する比例弁制御装置58は、設定値取得部94、制御部95、圧力情報入力部96、及び温度情報入力部97を備える。設定値取得部94は、出力ポート27から出す流体の設定値Q’を取得する。制御部95は、設定値Q’に応じた制御信号Iを電流制御回路77に出力してソレノイド3を制御することにより、弁部2の弁開度を調整する。圧力情報入力部96は、給気ポート26を流れる流体の圧力を検出する第1圧力センサ74aと、出力ポート27を流れる流体の圧力を検出する第2圧力センサ74bと、の少なくとも一方から圧力情報Spを入力する。温度情報入力部97は、給気ポート26の流体の温度を検出する温度センサ86から温度情報Stを入力する。制御部95は、流体の流量Qの設定値Q’に応じた制御信号Iを設定するとき、圧力情報Sp及び温度情報Stを用いて制御信号Iを求める。
【0059】
本構成によれば、流体の圧力や温度が変化しても、圧力や温度に応じた制御信号Iが求められて、電流制御回路77が制御される。このため、圧力や温度の変化に流量Qが影響を受け難くなる。このように、例えば、流量Qの出力を直接検出して流量Qを制御するという複雑な方法を用いなくとも、流量Qを所望の値に制御することが可能となる。よって、容易に流量Qを調整できる。
【0060】
(1-2)制御部95は、圧力情報Sp及び温度情報Stを取り込んで制御信号Iを求める処理を、繰り返し実行する。この構成によれば、制御信号Iの最適化が可能となるので、流量Qの出力にずれを生じ難くすることができる。
【0061】
(1-3)制御部95は、弁部2の有効断面積Sと設定値Q’との関係を表す流量計算式に設定値Q’と圧力情報Spと温度情報Stとを代入することにより、設定値Q’に応じた有効断面積Sを求め、弁開度を調整するための補正係数Mと有効断面積Sとを用いて制御信号Iを求める。この構成によれば、流量計算式を用いた演算や補正係数Mを用いた演算によって、最適な制御信号Iを簡易に求めることができる。
【0062】
(1-4)比例弁制御装置58は、比例弁1において検出された検出情報Skを比例弁1の外部に出力するための出力線89を備える。この構成によれば、比例弁1で検出された検出情報Skを、外部の機器に提供することができる。
【0063】
(1-5)検出情報Skは、圧力情報Spと、流体の流量Qを検出する流量センサ91の流量情報Sqと、の少なくとも一方である。この構成によれば、比例弁1で検出された流体の圧力及び流量Qの少なくとも一方を、外部の機器に提供することができる。
【0064】
(1-6)比例弁1をバランス型としたので、ソレノイド3に印加される電流iと、弁24の開度を示す有効断面積Sとは、流体の圧力に影響を受け難くなる。このため、弁24の開き始めから全開に至り、そして、再び閉じるまでの一連の動作における損失による性能差(いわゆる、応差)を、できる限り小さくできる。よって、弁24の開閉を制御し易くできる。
【0065】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態は、第1実施形態の流量制御のみならず圧力制御も実行可能とした実施例である。よって、第1実施形態と同一部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
【0066】
(比例弁制御装置58の概説)
図9に示すように、比例弁制御装置58は、制御部95の動作モードを切り替えるモード切替部99を備える。モード切替部99は、制御部95の動作モードを、圧力情報Sp及び温度情報Stに基づき流体の流量Qを制御する第1モードと、圧力情報Spに基づき流体の圧力を制御する第2モードと、の一方に切り替える。第1モードは、第1実施形態に記載した流量制御モードである。第2モードは、流体の圧力を調整する圧力制御モードである。
【0067】
モード切替部99は、例えば、比例弁制御装置58の回路に設けられたスイッチである。このため、演算装置64は、モード切替部99のスイッチ信号に基づき、制御部95の動作モードを第1モード及び第2モードのいずれかに設定する。よって、流量制御を選択する状態にモード切替部99が操作されていれば、演算装置64は流量制御を実行する。また、圧力制御を選択する状態にモード切替部99が操作されていれば、演算装置64は圧力制御を実行する。
【0068】
(第2実施形態の作用)
次に、本実施形態の比例弁制御装置58(比例弁制御方法)の作用について説明する。なお、第1モード(流量制御モード)の場合は、第1実施形態で説明した処理が実行される。よって、ここでは、第2モード(圧力制御モード)の詳細について説明する。
【0069】
図10に示すように、ステップ201において、演算装置64は、作業者によって入力された圧力の設定値P’を入力する。本例の場合、演算装置64は、設定値P’を設定値取得部94で取得する。
【0070】
ステップ202において、制御部95は、圧力制御を選択したスイッチ信号をモード切替部99から入力している場合、圧力制御として、圧力調整を実行する。圧力調整は、例えば、現在の流体(出力ポート27の流体)の圧力を、設定値P’に到達させるための処理である。
【0071】
ステップ203において、制御部95は、比例弁1を開弁する。すなわち、制御部95は、設定値P’に基づく制御信号Iを電流制御回路77に出力することにより、比例弁1を開弁する。
【0072】
ステップ204において、制御部95は、圧力センサ74の圧力情報Spを検出する。本例の場合、演算装置64は、圧力情報Spを圧力情報入力部96で入力する。
ステップ205において、制御部95は、現在の圧力が設定値P’であるか否かを判定する。現在の圧力が設定値P’であれば、ステップ206に移行する。一方、現在の圧力が設定値P’でなければ、ステップ202に戻り、前述のステップ202~ステップ204の処理を再度実行する。
【0073】
ステップ206において、制御部95は、圧力が設定値P’の到達した場合、圧力制御として、圧力監視を実行する。圧力監視は、現在の圧力が設定値P’に維持されているか否かを監視する処理である。
【0074】
ステップ207において、制御部95は、圧力センサ74の圧力情報Spを検出する。本例の場合、演算装置64は、圧力情報Spを圧力情報入力部96で入力する。
ステップ208において、制御部95は、現在の圧力が設定値P’であるか否かを判定する。現在の圧力が設定値P’であれば、ステップ209に移行する。一方、現在の圧力が設定値P’でなければ、ステップ202に戻り、前述のステップ202~ステップ207の処理を再度実行する。
【0075】
ステップ209において、演算装置64は、制御解除の有無を判定する。制御解除は、例えば、第2モード(圧力制御モード)を解除(終了)することである。制御解除の命令は、例えば、入力線67から演算装置64に入力されることが好ましい。
【0076】
ステップ209において、制御解除がなければ、ステップ206に戻り、第2モードを継続する。一方、209において、制御解除があれば、処理を終了する。
(第2実施形態の効果)
上記実施形態の比例弁制御装置58(比例弁制御方法)によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0077】
(2-1)比例弁制御装置58は、制御部95の動作モードを切り替えるモード切替部99を備える。モード切替部99は、制御部95の動作モードを、圧力情報Sp及び温度情報Stに基づき流体の流量Qを制御する第1モードと、圧力情報Spに基づき流体の圧力を制御する第2モードと、の一方に切り替える。
【0078】
この構成によれば、制御部95の動作モードを第1モードと第2モードとの間で適宜切り替えることができる。また、圧力センサ74を流量制御及び圧力制御の両方に使用することが可能となる。よって、圧力センサ74を有効利用することができる。また、圧力センサ74が比例弁1に元から存在する場合には、センサを新たに設けることなく、流量制御及び圧力制御を実施することができる。
【0079】
(他の実施形態)
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0080】
・各実施形態において、弁24は、ポペット弁に限定されず、例えば、スプール弁としてもよい。
・各実施形態において、比例弁1は、例えば、給気ポート26及び出力ポート27を有する2ポートタイプに限定されず、これらの他に排気ポートも有する3ポートタイプでもよい。
【0081】
・各実施形態において、圧力センサ74は、例えば、圧電素子方式、静電容量方式、項が気方式など、種々のタイプを使用できる。
・各実施形態において、温度センサ86は、2次側の流体ではなく、1次側の流体の温度を検出してもよい。
【0082】
・各実施形態において、温度センサ86は、サーミスタ88に限定されず、例えば、熱電対やIC温度センサを用いてもよい。また、温度センサ86は、接触式に限定されず、非接触式としてもよい。
【0083】
・各実施形態において、流量計算式は、所望の流量Qと、比例弁1の有効断面積Sと、流体の温度と、の関係を表す式であればよい。
・各実施形態において、出力線89は、省略されてもよい。
【0084】
・第2実施形態において、モード切替部99は、スイッチに限定されず、例えば、モード切り替えのための信号に基づいて、モード切り替えを実行する機能ブロック(ソフトウェア)としてもよい。
【0085】
・各実施形態において、比例弁1に供給される流体は、一定圧に限定されず、使用する種類に応じて、適宜異なる圧力をとる。
・各実施形態において、流体は、気体及び液体のいずれでもよい。
【0086】
・各実施形態において、比例弁1は、例えば、FA(Factory Automation)機器、医療機器に適用可能である。また、比例弁1は、食品工業に用いる流体制御装置や、薬品を梱包する加熱装置や、半導体製造に関するガス制御装置に利用されてもよい。
【0087】
・各実施形態において、設定値取得部94、制御部95、圧力情報入力部96、及び温度情報入力部97は、[1]コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサによって構成されてもよいし、[2]そのようなプロセッサと、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路との組み合わせによって構成されてもよい。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード、又は指令を格納している。メモリ(コンピュータ可読媒体)は、汎用、又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。或いは、上記プロセッサを含むコンピュータに代えて、各種処理の全てを実行する1つ以上の専用のハードウェア回路によって構成された処理回路が用いられてもよい。
【0088】
・各実施形態において、設定値取得部94、制御部95、圧力情報入力部96、及び温度情報入力部97は、独立したプロセッサから構成されてもよいし、機能の一部分が共用のプロセッサから構築されてもよい。このように、設定値取得部94、制御部95、圧力情報入力部96、及び温度情報入力部97は、独立した機能ブロックに限らず、1つの機能ブロックから構成されてもよいし、一部分が共用された機能ブロックから構成されてもよい。
【0089】
・各実施形態において、本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0090】
1…比例弁、2…弁部、3…ソレノイド、18…弾性部、26…給気ポート、27…出力ポート、58…比例弁制御装置、74…圧力センサ、74a…第1圧力センサ、74b…第2圧力センサ、77…電流制御回路、86…温度センサ、89…出力線、91…流量センサ、94…設定値取得部、95…制御部、96…圧力情報入力部、97…温度情報入力部、99…モード切替部、Q…流量、Q’…設定値、P’…設定値、I…制御信号、Sp…圧力情報、St…温度情報、Sk…検出情報、Sq…流量情報。
図1
図2
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図5
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